国家~偽伝、桓武と最澄とその時代~ 公演情報 アロッタファジャイナ「国家~偽伝、桓武と最澄とその時代~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    人間を演じるということ
    前回の新国立劇場での「ルドンの黙示」のようなエンタメを勝手にイメージしていたので、それとは違うベクトルでの演出にしばらく戸惑ったものの、見慣れてきたら驚くほど役者さん達の表現力に引き込まれて休憩なしの3時間超を夢中になって観てしまいました。

    見目麗しい役者さんや実力のある女優さん達の役者力を見せつけるかのような素舞台で、人間が人間を、特に一生に渡る生の重みを演じるということの凄まじさをこれでもかというほど堪能。

    中でも遠藤雄弥くんは、最澄という僧侶の思想そのもので舞台の上を生き、肉体は死しても思想を世に残すほどの人間を演じきる表現力は私が今までに観た役者さんの中でもトップに並ぶ鮮烈さ。厳かな佇まいのなか、背負うものの多さや重さをストイックに表現していたのですが、そのストイックさが逆にセクシーで、この役を演じられるのは彼の他には考えられないほどの唯一無二の存在感が素晴らしかったです。

    彼の他にも、良い役者さんが目白押し。中でも、桓武天皇の母と石塚を演じたさいたまネクストシアターの周本さんは若さに似合わない貫禄の演技で圧巻。そして安殿を演じた真山くんの魔性の色気にも戦慄。芸能界の第一線で活躍している方たちの魅力に圧倒させられっぱなしでした。

    色々初日らしい部分もありましたが、すっごく面白いと素直に思わせていただきましたので☆5つ。ちなみに、より舞台を堪能するために、桓武天皇と最澄をwikipediaで予習することをお勧めします 笑

    ネタバレBOX

    ・最澄の一生とは肉体の一生のみらなず。肉体は死しても思想を残し、長い長いときを経て世を変える力、その思想を伝える人間達を育てる力。そんな力・思想を持つ人間を演じきり、終幕後も魂が舞台の上に浮遊している確かな余韻。それが遠藤雄弥くんが見せた稀有な表現力。

    ・最澄と桓武天皇の友情はかなりフェティッシュで萌えますね(笑)

    ・主役なのでその二人に思いを馳せがちですが、安殿と薬子の悲恋に目を移すと途端にロマンチックなファンタジーに心を奪われます。安殿役の超絶イケメン真山くんに手を取られてキスをされる薬子役のナカヤマさんに思わず感情移入。そう、薬子ではなくナカヤマさんに感情移入(爆) あんなに乙女なナカヤマさんを観たのは初めてです。

    ・信念を演じた山田くんの、遠藤くんの最澄とは対を成す炎のような僧侶にも目を奪われました。

    ・殺陣の振り付けは三元雅芸さん。キレキレでカッコ良かったです。

    ・観ていて「終わらないでほしい」と思いました。長さがとても心地よかったです。

    ・初心者にオススメの理由は、一流の役者さんの凄まじさを観れるから。

    また思い出したら追記します*

    0

    2013/03/28 22:14

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大