国家~偽伝、桓武と最澄とその時代~ 公演情報 国家~偽伝、桓武と最澄とその時代~」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-20件 / 32件中
  • 満足度★★★★★

    若者の光と挫折を骨太に描く
    周囲を観客に囲まれた、隠れることないステージの上で、若者たちの火花が散る。
    舞台はシンプルなのに、どのシーンも、どの一瞬も見事に「絵」になる。
    3時間超の作品なのに、ずっと息を呑んで観た。

    ネタバレBOX

    国家がどう生まれ(変わっ)ていったのか、ということよりも、「こうしたい」という熱く目標を掲げ、それに邁進していく若者たちの姿が印象的であった。
    熱い若者たちの舞台だった。

    連綿と続く古びて腐り始めた体制を、自分たちの手で変えたいという若者はいつの時代も現れてくる。
    しかし、当然それに対する反感も旧体制側にいる人たちから起こってくる。
    新しいことをしたいと思う者が、どうやって現れて、どうやってそれを成し遂げようとするのかは、桓武の時代であっても今の世であっても同じだ。

    異端の天皇として誕生した桓武天皇は、正統な系統から見れば、しがらみが少ない。だから思い切ったことを実践できるのだろう。「変化したモノが生き残れる」というのは、生物の世界にあっても真理だ。
    ただし、だからと言って、傍系からやって来た者が新しいことをしようとすれば、その出る頭は叩かれる。

    どんな時代にあっても通用するリーダーというものはいない。
    「変革の時代」には、「変革の時代のリーダー」が必要だ。

    桓武天皇は、まさにその時代に呼ばれてきたリーダーだ。
    人間力とビジョンが人を牽引する。

    リーダーを精神的にサポートしたのが、最澄だ。

    桓武天皇の「理想」「ビジョン」に最澄が共鳴しただけなのではなく、最澄の思う仏教のあり方(国家の精神的背骨となり得る)に桓武天皇も共鳴したのだろう。
    互いの熱き心が共鳴し合う姿が、舞台の上でも輝いていた。

    若者の熱き血潮の舞台と言えば、蜷川幸雄さんのさいたまネクストシアターを思い浮かべてしまう。
    蜷川さんは、力技で若い役者の熱さを引き出しているように思う。
    そして、無理矢理とも言えるような、独自の外連味的な演出で、観客をねじ伏せてくる。
    老人だからこその、手練れであり、その力は凄いと思う。

    翻って、アロッタファジャイナ、つまり、松枝佳紀さんの描く若者は、単に勢いや力だけではない。
    「誰にでもわかりやすく、いつの時代も同じな、若者の苦悩と生の迸りを描く」のが蜷川さんだとすれば、松枝さんは「今、目の前にいる若者の痛みと不安を含めての、若さを描いて」いると思うのだ。

    そして、蜷川幸雄さんがトップダウンであれば、松枝佳紀さんはボトムアップで舞台を作り上げているというの印象だ。

    演出家もまた座組のリーダーである。
    ひょっとしたら、松枝佳紀さんは密かに桓武天皇に自分を重ね合わせて演出していた、と思いながら観ると面白いのだろう。

    リーダーは決断をしなくてはならない。なので、孤独である。
    公式・非公式のパワーを使って、権限と人間力で組織を動かす。
    ビジョンや価値観を組織内でどう共有するかが課題だ。

    そして、目的に向かうときに邪魔になるものをどう遠ざけるかも大きな問題である。
    桓武天皇にとってのそれは蝦夷であった。
    この作品で、桓武天皇側が彼らをどう排除していくのかを見ると、逡巡が感じられる。

    アテルイを藤波心さんに配役したことで、福島がアテルイの背中に見えてきてしまった。
    この選択は、松枝さんがどういう思考回路で行ったのかはわからないが、主人公である桓武天皇と対抗する蝦夷(アテルイ)を両立させるわけにはいかないのだ。

    蝦夷を徹底した「異物」として扱わなかったことが、史実との折り合いとしての演出の苦悩と、作品中の桓武天皇の苦悩が重なっていくという、フィクションならではの面白みが見えた。
    そして、そのことへの逡巡が作品にも現れていた。
    個人的には、もっと非情であってもよかったのではないかと思うのだが。

    ストーリーの進行には、歴史アイドルの小日向えりさんが「小日向えり」本人で登場し、その間の歴史を語る。
    これはスピード感を殺すことになるのだが、全体のいいリズムになっていたと思う。
    ただ、「偽伝」と言っているのであれば、「偽伝」のまま突っ走ってよかったと思う。

    話を少し戻すと、この作品と蜷川幸雄さんのさいたまネクストシアターを比べたのだが、もう1点比べるところがある。

    蜷川幸雄さんは、ネクストシアターに限らず、何かを仕掛けてくる。
    例えば、『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』では、こまどり姉妹が登場し、嘆き悲しむハムレットを前に「幸せになりたい」と歌わせた。これに限らず、舞台の奥を開けて舞台の後ろを見せたりと、力ずくで演出し、それがいい意味での外連味となっていることが多い(少々ワンパターンだったりするが)。

    松枝佳紀さんにも独特の外連味がある(外連味とは悪い意味で使う言葉なのだが、フィクションを見せるときに、観客をハッとさせる瞬間があってもいいと思うので、私は外連味はいい意味で使っている)。
    それは、もっとポップな外連味だ。
    演劇企画「日本の問題」のような企画力に代表されるような、「今」をつかんだ上での、ポップさがあるのだ。

    今回で言えば、配役にそれがある。
    例えば、仮屋ユイカさんの妹・本仮屋リイナさん、反原発を掲げるアイドル・藤波心さん、さらに歴史アイドルの小日向えりさん、評論家の池内ひろ美さん、映画監督の荒戸源次郎さんたちを俳優として舞台に上げたのだ。

    これが外連味でなくて何であろうか。
    彼らの配役は、話題性もさることながら、そのポジションの位置、使い方がうまいのだ。

    先に書いたアテルイへ藤波心さんを配したことなど、彼女を使うことで意味がさらに増してくるし、「今」につなげてくる。
    歴ドルの登場も、まさに観客を現代へ一気に連れ戻す。

    荒戸源次郎さんの起用も、ある程度の年齢の俳優を使うことよりも、この人だったから出せたという雰囲気と、若者たちとのマッチ感があったと思うのだ。
    この人の役が、うますぎる老練な俳優であったとしたら、その俳優が飛び抜けてしまい、バランスを欠いただろう。なので、「あれぐらい」(笑)がよかったのだ。その点、池内ひろ美さんはうまくなりすぎていたかもしれない(笑)。

    こういう使い方は、悪い意味での外連味になってしまう可能性もあり、諸刃の刃でもあるのだが、そこに留まらせない見せ方のうまさが、この作品を含め、アロッタファジャイナにはあると思う。

    ラストに空海がきらびやかな印象で登場する。
    これって、ハムレットのフォーティンブラスじゃないか、と思ってしまった。
  • 満足度★★★★

    舞台に観客を繋ぐ力に圧倒されつつ・・
    入り口で上演時間の掲示を見たときには、
    少々くらっとはきましたが、
    むしろ、観終わって、その時間を全く感じることなく
    物語に閉じ込められていた
    自分にびっくりしました。

    なにか作り手の魔力を感じる作品ではありました。
    ただ、作り手の作意には、
    観る側が感じる以上の奥行きがあるようにも思えました。

    ネタバレBOX

    入場すみると
    四方を客席に囲まれた舞台の新国立(小)の空間はとても広く感じられて、
    でも物語が語られはじめると、
    その広さだから観る側が受け取りうる空気があって。
    舞台に留まらず客席までが取り込まれても、
    印象が散漫になることなく、
    いにしえのこの国の物語がつづられていきます。

    3時間を超える舞台ではあっても、
    登場人物の歩むベクトルがぶれない。
    また、観る側が置かれる視座も安定していて、
    うろ覚えの長岡京遷都の歴史や、
    密教文化の話、
    それらが舞台上でしっかりした骨格に組みあがり
    観る側にそのなりゆきを追わせてくれる。

    シーンの繫がりも流れるようで秀逸、
    一つのエピソードにオーバーラップするように
    他のシーンが描き込まれ、
    舞台が観る側を手放さないのです。

    歴史の刹那に、
    事象が端正に描かれつつ、
    関わった人や事象の裏地が
    温度をもって作りこまれていく。
    表層の顛末が、人物の想いに支えられ、
    その想いも、ベタに語られるのではなく
    しなやかに切り出され、
    役者たちが醸す色に染められて
    観る側に供されて。

    シーンごとの空気や、
    人物を紡ぎ出す解像度には
    多少のばらつきはありつつも、
    ロールを世界に置き、観る側に運ぶ力は担保されていて、
    役者たちがそれぞれにもつ演技の切先が、
    キャラクターの個性となって際立ち
    史実にたいしての因果や、
    時代の肌触りを作り出していく。
    舞台を編む一人ずつが空間の広さにしなやかに喰らいつき、
    自らのもつ引き出しをしっかりと使っていることで、
    シーンのベクトルが少々ばらけても、
    それをさらに束ねる力が舞台に生まれ、
    全く見飽きることなく、
    もっといえば、歴史の流れを台詞にとどまらない、肌で感じるもので追い続けることができる。
    3時間を超える舞台を休憩なく、
    また、暗転すら極力排して描き出していく、
    作り手の手法がしっかりと支えられ功を奏して。
    歴史エンタティメントとしてこの舞台を観たとき、
    そのクオリティは十分すぎるほどで、
    ベタな言い方ですがほんとうにおもしろかったです。

    ただ、観終わって、
    作り手が本当に舞台に描きたかったものは
    史実の肌触りに留まらない、
    そこを踏み台にして描かれる、時代の変革のあからさまなありようや、
    それを貫く人物たちが内包するものの普遍性であったような気もして。
    もしそうだとすれば、
    作品のフォーカスや、シーンの重ね方は
    よしんば、最後に現代から歴史の俯瞰を織り込まれたとしても、
    作品から作り手の意図を何となく感じる以上の、
    作品のなかでシーンを束ねての
    観る側を支配する切先にまでは
    作りきれていなかったように思えるのです。

    その時代を描き込む作り手や役者の秀逸に
    垣間見える作意がさらに細かく繫がれば、
    作品は、作り手の意思とともに、もっと深く、
    観る側に入り込んでくるようにも感じたことでした。
  • 満足度★★★★★

    大作
    内容も時間もそんな感じでした。 志を持ったヤマベとサイチョウ、今の政治家にも見習って欲しいですね!? 客席も使ったセンターステージの演出も良かったです。合間合間に入る小日向えりさんの説明もよかったのですが言葉に詰まるところがあったのは残念でした。最後にアテルイ役の藤波心さんが存在感のある予想以上の好演でした。

  • 満足度★★★★★

    心に残る舞台でした!
    先週の30日土曜日、アロッタファジャイナさんの「国家ー偽伝、桓武と最澄とその時代ー」を新国立劇場にて観劇しました。舞台の雰囲気に始まる前からドキドキしてました 。始まってからは一気に舞台に引き込まれ気がつくと自分もその舞台にいる様な気持ちになるくらい感情移入していました。
    最澄と桓武天皇の国づくりに対する思いだったり友情だったり最澄が最澄になった理由や桓武天皇が天皇になるまでの道のり。どの場面も役者さん達の迫力や熱意がこもった演技に圧倒されると同時に沢山感動して何度も泣いてしまいました
    国家、1日だけの観劇となってしまいましたがもっと観にいけたらよかったと思いました。 こんなに素晴らしい舞台と出会わせてくださった役者の皆様、松枝さん、スタッフのみなさまに感謝です。また舞台を観に行きます‼人生で二度目の舞台だったけど心に残る作品です。またひとつ楽しみが増えました♡

  • 満足度★★★★

    まるで大河を観たような
    ここまで描き切った歴史物の舞台は初めて観た。
    桓武と最澄、このふたりがどう生き、どう出会い、どう死んでいったのか。
    まるで大河を一本観たかのような重厚な観劇後の気持ち。
    悠久の時の流れを、若き役者の皆さんの脈動が板の上に甦らせる。
    血潮のうねりのようなものを感じた。

    主演の遠藤雄弥さんがとても素晴らしかった。

    ただ3時間休憩なしはちょっと大変でした。

  • 満足度★★★

    結果的には
    面白いとは思います。それは最澄とその歴史そのものだけに感銘したのか
    役者の演技に引き込まれたのははハッキリしないんですが
    3時間でしたけど「後半は」集中して見る事が出来ました、
    役者さんも頑張っていたとは思います、ただ前半はかなり軽かったです。
    3時間もかける中、必要ないような部分も多々ありますが
    歴ドルの解説はよかったと思います。
    ただ、広野と彼女の出会いシーンだけはどうにかして欲しかったです。
    仕事が忙しくて今頃そっと感想出来ました。読まれると辛いかも・・

  • 満足度★★★★★

    「国家」観ました!!
    初日から全部で3公演観劇させて頂きました。
    一番印象的だったシーンがあります。

    最澄が自分の死期を悟り、嵯峨天皇に願い出るシーンです。

    天に召された桓武天皇が、息子嵯峨天皇と共にその願いを聞き
    嵯峨天皇の肩にそっと手をやる・・・。
    その気配を感じる嵯峨天皇。

    このシーンは何度観ても号泣でした!!

    DVDに是非映して欲しいところでもあります!!

    3時間ノンストップと言う舞台ではありましたが、もう一度観たいと思わせてくれる作品でした。
    ありがとうございましたm(--)m

  • 満足度★★★★

    みてきました。
    真山明大さんのファンです。
    舞台もあまり見慣れていません。
    歴史も苦手です。
    けれど三時間は思ったほど長く感じませんでした。
    ほかの方も書かれているように、役者さんの体が後ろ向きだったりして、
    聴き取れない台詞や、せっかくの熱演の表情が見れず、残念な気持ちになることが多々ありました。
    そんな中で、すごい!!と思う演技をされていた女優さんや、男優さんに出会えたことはとっても良かったです。
    観劇初心者ゆえに、おもしろかった~。良かった~。
    と単純に感動しやすくあまり参考になりませんが…。

  • 満足度★★★★★

    えっ?うそ。
    上演時間が3時間越え。
    まさかの休憩なし。
    でもそんなことを感じずあっという間でした。

    男くさく
    泥くさく
    男の友情が詰まってました。

    芝居はハートです。
    ハートがあふれるアツく、
    暑苦しいほどアツい芝居でした。

    観て本当に良かった。
    こんな素晴らしい芝居は久し振りです。

    ありがとうございます!!

  • 満足度★★★★★

    長丁場を感じさせない熱量のある舞台でした
    あらためて説明読むと、凄いキャストの勢ぞろいだったんだなぁと更に感心。
    眠気まったく起きなかったし、
    タイトルに相応しい話のまとめ方であることも納得です。

    <3時間15分(休み無し)→5分休憩後アフタートーク20分弱>

    ネタバレBOX

    本舞台が、お神楽のように舞台中央に配され。
    客席が前後(左右かな)で2階席が1列ぐるりと取り囲んだ劇場でした。
    黒い舞台に、白を基調にした役者さんの服が映えました。
    (1字漢字が書かれている作務衣のような感じの服です)

    話は最澄中心に国のあり方が描かれていきます。
    また歴女である小日向えりさんは、青い服で上手に合間合間に説明を加えて話の理解を手助けしてくれるので、話に?となるようなことは無かった(^^)。

    偽伝とはいえ、史実には即しているので。
    見知っている歴史の知識と合わせてみると面白い展開でした。
    使い勝手の良い家臣や悪い奴に、権力もって狂うとこや。
    血生臭い謀略や家族の愛憎などなど。
    歴史は繰り返すなぁとしみじみ思いました。

    比叡の森に暮らしていた”ひろの”と”ひざし”のカップルが、
    当時の戸籍の無かった”センニン”である”ひざし”に戸籍を家族ごと与えようと画策した”ひろの”であったが。請け負った下級役人が”ひざし”をものにしようとして、結局誰も救えず悩んだ”ひろの”は僧の”ギョウヒョウ”に弟子入りし、諸行を救うようにと弟子入りを許され、”最澄”と命名される。

    桓武天皇との邂逅、天台法華宗の確立、遷都、唐への遠征、空海との出会い、さまざまなエピソードが順を追って語られてゆき。まったく飽きさせずに観劇できました。

    アテルイが女性だったり、和解できそうな状況が開戦に至るドラマ性や。
    空海の凄さなどが上手に解説されていてわかりやすかった。
    (でも1年で密教習得とか凄いなぁと昔は思っていたが、以前読んだ文献では。密教本部さんがいろいろ策を弄して仏教の布教用に1年で渡す努力したらしいと読みました。→それ考えると国としても「仏教とか経典など欲しいから用意して」とか伝達したはずだよなぁと思いますね。結構裏のいろいろある話と勘ぐります。)

    漢字の説明や、服に表記の字とか。
    いろいろ人間ドラマは、ようの東西・今昔などは変わっても。
    そんなに変わらないなぁと思った長丁場でありました。

    ちなみにアフタートーク「桓武天皇と家族」では、
    河合さん平子さん坂口さん真山さん神木さんが出演し。
    究極の歴女である歴史アイドルの小日向えりさんが司会でした。
    実際は桓武天皇は30人くらい子供がいた(劇中は代表の2名ほど)とか、
    藤原薬子を笑わせるトコの他バージョンなどの再現で盛り上がりました。
    トークでも言っていた通り、最澄メインの話は少なく。
    けっこうタメになったです。



  • 満足度★★★★

    見応え有り!!
    確かに明るい話ではないが、若い出演者が多いせいか、エネルギッシュで生命力を感じる。パワーのある若手に、ベテラン組の味のある演技。予想外にいい舞台だった。難を言わせて頂ければ、あのガイド役はなんとかならないものか?暦ドルなどと浮いた存在はいらない。歴史の人間関係は難しいだろう。説明役は必要だ。その歴史の中にいた道化回し、そういう存在はいなかったのか?出来れば登場人物の台詞だけでそういう関係図がわかるのが一番いいのだが・・・・・・・もうひとつ藤原薬子、娘の婿である天皇に愛された女性。悪女の代表的に言われているが、美貌と才のあった女性とも言われている。そういう部分が全く削られていたのは残念だ。とはいえ舞台上の薬子もまたあれはあれでなかなかの存在ではあった。











  • 満足度★★★

    面白い!
    細かいことはともかく、楽しんで観れた。
    上演時間3時間15分(休憩なし)であったが、長くは感じなかった。

    ネタバレBOX

    ネタばれというより、私見(観客としての視点)を述べる。

    出演者28名と多いため、誰がどの役か把握するのに時間を要した。
    パンフレットに人物相関図があった方が良いと思う。
    また、出演者が同じような衣装であり、分かりにくかったため、
    主要人物だけでも衣装の色を別にする等して欲しかった。
    (同行者も同意見)

    歴女による、案内はなかなかアイデアだと思う。
    ただ、今回の役者さんは個人的には合わなかった。
    緊迫感のある場面の後、明るい感じで話されることにより、
    舞台に集中していた意識が急に現実に引き戻されてしまった。
    落ち着いた語りの方が良かったように思える。

    出番直前になると、出番の役者が待機しているのが丸見え。。
    これは役者が見えないよう、もう少し配慮が必要に思えた。

    3時間15分という上演時間は、一般的には長すぎると思う。
    私は夜公演を観たが、21:45終了であった。
    もし長い時間にするなら、もう少し早い時間からの開始して欲しい。
    (同行者も同意見)

    役者陣の力量にバラツキがかなりあるように感じた。
    最澄、桓武天皇役の役者さんは見応えがあり良かった。
    人数が多いとどうしても余計なセリフや場面が多くなるように思える。
    最澄、桓武天皇との下りに内容を絞り、上演時間をもう少し短くした方が良いように思えた。

    客席を走り回る演出は良かった!
    照明、音響の使い方は効果的であった!
    舞台を客席の中央に置いた芝居は楽しめた。
    ただ、場面展開の仕方には工夫があった方がいいかな。
    死んだ人間がすぐに起き上がるのは、ちょっと違和感が。。
  • 満足度★★★★

    3時間
    長さは感じたが面白かった。最澄と桓武天皇にもっと焦点を当ててほしかった、手広くやりすぎた感がある。あと所々に熱は感じるのだがそれを歴ドルの人が冷ましてしまうのが残念。構造的に観にくいののもあるし、いいシーンなのに舞台横でスタンバイしてる歴ドルを見ると冷めてしまう。

  • 満足度★★★★

    熱が伝わってきました。
    フィクションだとは分かっていても、歴史の可能性をワクワクした思いで楽しみました。休憩なしで3時間を超える舞台だと聞いて、少なからず不安を感じていましたが、全く飽きることなく、足腰の痛みを忘れ(終わってから思い出しましたw)、集中して観ることができました。
    最澄の生涯を清廉に鬼気迫る迫力で演じた遠藤くんと、純粋で弱いゆえに鬼に転じる僧を演じた山田くんが印象に残りました。剛毅でセクシーな桓武天皇・河合さん、蝦夷のリーダーアテルイの藤波さん、最澄を傍で支え続けた江定役の縄田さんなど、他にもたくさんの素敵な役者さんが、熱く力強く、舞台で生きていました。プロの役者さんとそうでない人が同じ舞台にいる違和感を感じたのも事実ですが、別にそれが悪かったとは思っていません。ただ、セリフの噛み過ぎ(挙句に笑ってしまう)、掛け合いのテンポの悪さ(順番が前後して言い直す)など、稽古が間に合ってないのかな?と思わされる部分があり、残念でした。もう一つ残念だったのは物販です。パンフレットが間に合っていなかったこと。夜公演ではDVDの予約も開演前にしかできず、内容を見てからの予約が不可能だったこと。盲目ファンしか買えませんよね?

  • 見事
    ネタバレ

    ネタバレBOX

    事前に3時間と聞いていたからから、逆に、長く感じなかった。

    むしろ、起承転結の「承」をどう捌くのか観ていたが、引き込まれる。

    飽きない。

    およよ、およよ、という間に、転にいく。

    結の結。ここで、何か圧巻の終わりを観たかった。

    結の結をあっと言わせて欲しかった。


    いや、ここまで望むのは贅沢だろう。

    この舞台、男性のほうが受けるのでは?と思ったがどうだろう。

    歴史大好きな私は、桓武、早良、薬子、平成、アテルイ、と聞くとワクワクしたものだが、女性の方々はどうだったのか。

    まあ、いい。私は男性だ。

    私は面白かった。

    主宰、演出、作者である松枝さんの、崇高で、静謐で、気高い世界観に敬意を表する。
  • 満足度★★★★★

    再観劇
    見逃した部分もあったのと、解らない話しもありましたのでまた、観ました。
    プレビューと違って、演技力がアップしていました。
    後ほどネタバレします。

    ネタバレBOX

    2度観しましたので、もう相関図がなくても完璧に解りました。今回は前の席に大男がいなかったので、物語と役者さんを追うことができたのは嬉しかったです。大柄な男性はなるべく後ろの席にという配慮は難しいのでしょうか?

    今回もオサベ役の演技力が目立ちました。あと、最澄役の仏道に入りながらも世情を鑑みる苦悩の表情が見事でした。そして桓武天皇とのからみは、何度観ても泣けました。

    小日向さんは、初日と同じように滑舌が課題でした。冷静に観ているとご本人は一生懸命、演じていられたのが解り、好感を持ちましたが、重要な場面で嚙まれると、ハラハラしました。
    全体的に役者さんたちが自分の役柄にノッテルようで、見応えがありました。
    この分だと、千秋楽が期待できると思います。


  • 満足度★★

    ごめんなさい。
    初めに謝っちゃいますが、「私には」合わなかった。
    「観たい」登録の時にも、その予感を書いたのですが、その残念な方になりました。
    なので、「あくまで個人の感想」として言いたい放題書きますが、演じられた皆さんと主宰に敬意を払って、謝っておきます。ごめんなさい。

    副題が「偽伝、桓武と最澄とその時代~」となっていましたが、まさにそのタイトル通りでした。私は桓武と最澄の「国家」を造る話かと思って観に行ったのですが、むしろ「その時代」の話だと強く感じました。

    たまたま前日観た芝居で別の国の「その時代」の熱に中てられてきた為か、残念ながら、この芝居の「熱」は私には伝わりませんでした。

    円形劇場型のステージになっていましたが、背中を向けてしゃべっている役者の声が聞こえないことがたびたびありました。
    また、台詞が出て来ないのか妙な間があったり、言い直したり。
    はっきり言って申し訳ないのですが、技量が舞台に付いていってないと感じる役者も何人かいらっしゃいました。
    それぞれ一生懸命なのは伝わってきましたが、今回の舞台は役者の一生懸命ぶりを見たいわけではなかったので。(そういう見方も、知り合いや応援している役者が出るときにはアリです)

    そんな中で石塚役の周本絵梨香さんは、声もよく通っていて安定した存在感がありました。
    (終演後に友人と「どの役者が良かった」という話になった時、私がそう言うと「えっ、そこ?!」と笑われましたが・笑)

    休憩なしの3時間10分という長時間を持ってしても、その時代の登場人物と出来事を伝えることが精一杯で、内面まで踏み込め無かった。そう感じました。
    『芋づる式に』書かなければならない人が次々に出てきたというのはわかりましたが、それでもあえて「最澄と桓武」に絞って本を書いていただけていたらもっと良かった、と思います。また、松枝さんにはその力があると思っています。

    賛否ありそうなひとり現代人、歴女の小日向さんですが、私的にはよかったです。彼女の登場で、このお芝居をTVでもある「歴史バラエティー番組」風に楽しむことができました。「一方その頃、島原では・・・」みたいなあれです。
    初めのうちは何度か多少かんだりとちったりして気になりましたが、後半になると彼女の登場を心待ちにしている自分がいました(笑)
    彼女がいなかったら、3時間ちと辛かったことでしょう。

    ネタバレBOX

    小日向さんに救われたのは、(この芝居を歴史バラエティーの再現ドラマ風にしか見られなかった私は)アテルイが滔々と民に語っている場面や薬子が死ぬ場面など、気恥かしくて落ち着かなくて、早くこの場面終わってーと念じていると、彼女が現れて、場の空気を変えてくれるのです。助かるー(笑)

    他にも最澄と陽射の場面とか、なんかこっ恥ずかしい場面がいっぱいありました。私が誰にも感情移入できていないからだと思いますが。すみません。
    この先の感想もすべて、「私が芝居に入り込めていなかったから」です。

    陽射は可愛かったのですが、どうにも落ち着かないキャラでした。いえ、私がですが。見ていて落ち着かんっ!みんなが荷車押してるときにひとリフラフラ花持って遊んでるから「お前も持てよー」と思ったり、信念に説教する場面では「何でそこまでお前が知っとる!」と突っ込んでみたり。

    突っ込むと言えば、細かい話ですが、桓武天皇のあと確かに兄の安殿(平城天皇)が即位しましたが、とっとと弟に天皇位を譲って奈良に引っこんでいたはずです。
    「薬子の変」は嵯峨天皇の時代になってからのはすだけどなー。
    とか、あと他にも、泰範ってこういう奴じゃなかったよなー。たしかこいつが空海のとこ派遣されて行ったら空海を師事しちゃって、最澄が何度も呼び返したのに帰らなかったんだよ、だから最澄と空海仲悪くなったって話もあったはずだけど? とか思っていたら、なぜか最後にちゃっかり空海のところに行ってて(笑)、あれっこれ見ている人わかるのかなーとか。
    決して間違っていないのでしょうが、省略されて間違っているようにも見える進行にはハラハラしました。
    そこでタイトルの「偽伝」ですね。これで、たいていのことは許されると思います。

    「偽伝」といえば、桓武天皇が「まじないを嫌う」という設定には違和感あります。
    そもそも平安京遷都したのは「早良親王の祟りを恐れて」のこと、桓武天皇は終生自分が追いやった義母兄、弟たちの祟りを恐れてノイローゼ、そこで縋ったのが最澄、というのが私の知っている「桓武と最澄」です。
    とはいえ、私が知っていると言っても本やマンガで読んだものばかりですから、今回、演劇、この芝居で知った新しい「桓武と最澄」については、何の文句もありません。
    まじないを信じない桓武天皇。オッケーです。魅力的です。
    その彼が最澄の何に惹かれたのかをもっと深く知りたかった。
    何故、彼がそこまで最澄を寵愛したのか。←BL的な意味じゃなく(笑)
    二人の心のつながりや、国造りにかける使命感の共有?、互いの中に何を見たのかなんかが描かれていれば良かったと思います。
    その上で「国家は人」「人を育てよ」というテーマを打ち出していただけたら、さぞや感動したことでしょう。

    そんなこんなで、気づけば好き勝手に長々書いてしまいましたが、それもこれも松枝さんに期待して。
    いちファンの意見として、大らかに受け止めていただけば幸いです。
    次回作も楽しみにしています。

  • 満足度★★★★

    壮大で
    なかなか濃い内容で、歴史の裏側を知ることができたし、
    センターステージでの演出だったので
    役者さん達の熱もとても伝わって来ました。
    男達の熱い情熱と必死さ、それに繋がる女達。
    考えさせられる事が沢山ありました。

    ただ歴史が苦手なので、所々ナビ的なものはありましたが、
    約3時間の公演は正直ちょっと辛かったです。

  • 満足度★★★★

    遷都の彼方に見えるもの
     最澄、桓武の改革を縦軸に、改革に反対する旧勢力との角遂を横軸に、時代の現実と理想実現の困難を描いて見せた。役作りは役者自身の掘り下げ、関係の把握を基本にしており、為り為りて成った形が、舞台上の表現というわけだ。色々な意味で力業である。

    ネタバレBOX

     演出の技術レベルに対して、未だ若い役者達の自然な演技を引き出す為には致し方の無い方法であったかと思う。最澄役の遠藤 雄弥、桓武役の河合 龍之介は上手い。高い理想を理解せず、己の利害得失に腐心し俗世の権力に拘泥する墨染の衣を纏った衆生、我執や恩讐の頸木を逃れられず、他者を不幸に巻き込んで行く修道僧、遷都を巡る改革者と旧勢力。力無き民と統べる者。生きる苦難を前に、人は他者を救うことができるか? という難問。この問いに応える為に立ち上がった二人の人物、最澄と桓武。
     為そうとして為し得ぬ理想同様、思惑通りに実現できた部分は少ない。然し、だからこそ、単に国家変革というのみならず、理想実現の為には深い知恵と忍耐、揺るぎの無い志と同志、そして意思を継ぐ人材を生み出す為の時が必要であることを描きだし得たのではないか。その為に作・演出の松枝が取った方法は、芋である。最澄を描く為には、桓武を、桓武を描く為には、旧勢力を、という具合に芋づる式に時代を描いたのだ。その為、最澄と桓武が出会い、生涯の盟友として、互いの真価を認め合うシーンは、圧巻である。然し乍ら、この方法が持つ拡散というベクトルは中盤以降、劇的な収束力を弱める結果にもなった。
     劇的効果という側面に絞って言えば、ホメロスの叙事詩、“イーリアス”のような強烈な個性を中心に据えたままで、最後迄引っ張るか、時代を牽引する何か絶対的なものを最後迄隠しておくようなテクニックが必要であろう。秘すれば花なりだ。或いは、演出で役者の素を出させることと同様に、T.P.O.に応じて自ら持って生まれた自然の性(男なら男、女なら女)を殺すことによって滲みだす男の中の女性性、女の中の男性性というレベルを要求しても良かったのではあるまいか。もとより、生き残りは至難の技というのは、舞台に関わる者総ての認識であろう。高いものを目指さねばならない。それも一時ではなく生涯に亘ってである。
  • 満足度★★★★★

    奈良平安
    丁度、高校日本史の教科書の検定が話題になった頃なので、歴史について考えるという意味でタイムリーな上演かもしれません。源氏物語や幕末、戦国、太平洋戦争などはよく演劇の題材になりますが、桓武天皇、最澄は前代未聞? シェイクスピアの悲劇に優るとも劣らない血なまぐさい権力闘争があった時代なので、今まで盛んに作品が作られなかったこと自体が不思議なくらいです。時代考証に忠実な演出でないどころか、衣装など極めて国籍不明でしたが、この作品が提示した日本という国家観や思想史に大いに刺激を受けました。

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