国家~偽伝、桓武と最澄とその時代~ 公演情報 アロッタファジャイナ「国家~偽伝、桓武と最澄とその時代~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    ごめんなさい。
    初めに謝っちゃいますが、「私には」合わなかった。
    「観たい」登録の時にも、その予感を書いたのですが、その残念な方になりました。
    なので、「あくまで個人の感想」として言いたい放題書きますが、演じられた皆さんと主宰に敬意を払って、謝っておきます。ごめんなさい。

    副題が「偽伝、桓武と最澄とその時代~」となっていましたが、まさにそのタイトル通りでした。私は桓武と最澄の「国家」を造る話かと思って観に行ったのですが、むしろ「その時代」の話だと強く感じました。

    たまたま前日観た芝居で別の国の「その時代」の熱に中てられてきた為か、残念ながら、この芝居の「熱」は私には伝わりませんでした。

    円形劇場型のステージになっていましたが、背中を向けてしゃべっている役者の声が聞こえないことがたびたびありました。
    また、台詞が出て来ないのか妙な間があったり、言い直したり。
    はっきり言って申し訳ないのですが、技量が舞台に付いていってないと感じる役者も何人かいらっしゃいました。
    それぞれ一生懸命なのは伝わってきましたが、今回の舞台は役者の一生懸命ぶりを見たいわけではなかったので。(そういう見方も、知り合いや応援している役者が出るときにはアリです)

    そんな中で石塚役の周本絵梨香さんは、声もよく通っていて安定した存在感がありました。
    (終演後に友人と「どの役者が良かった」という話になった時、私がそう言うと「えっ、そこ?!」と笑われましたが・笑)

    休憩なしの3時間10分という長時間を持ってしても、その時代の登場人物と出来事を伝えることが精一杯で、内面まで踏み込め無かった。そう感じました。
    『芋づる式に』書かなければならない人が次々に出てきたというのはわかりましたが、それでもあえて「最澄と桓武」に絞って本を書いていただけていたらもっと良かった、と思います。また、松枝さんにはその力があると思っています。

    賛否ありそうなひとり現代人、歴女の小日向さんですが、私的にはよかったです。彼女の登場で、このお芝居をTVでもある「歴史バラエティー番組」風に楽しむことができました。「一方その頃、島原では・・・」みたいなあれです。
    初めのうちは何度か多少かんだりとちったりして気になりましたが、後半になると彼女の登場を心待ちにしている自分がいました(笑)
    彼女がいなかったら、3時間ちと辛かったことでしょう。

    ネタバレBOX

    小日向さんに救われたのは、(この芝居を歴史バラエティーの再現ドラマ風にしか見られなかった私は)アテルイが滔々と民に語っている場面や薬子が死ぬ場面など、気恥かしくて落ち着かなくて、早くこの場面終わってーと念じていると、彼女が現れて、場の空気を変えてくれるのです。助かるー(笑)

    他にも最澄と陽射の場面とか、なんかこっ恥ずかしい場面がいっぱいありました。私が誰にも感情移入できていないからだと思いますが。すみません。
    この先の感想もすべて、「私が芝居に入り込めていなかったから」です。

    陽射は可愛かったのですが、どうにも落ち着かないキャラでした。いえ、私がですが。見ていて落ち着かんっ!みんなが荷車押してるときにひとリフラフラ花持って遊んでるから「お前も持てよー」と思ったり、信念に説教する場面では「何でそこまでお前が知っとる!」と突っ込んでみたり。

    突っ込むと言えば、細かい話ですが、桓武天皇のあと確かに兄の安殿(平城天皇)が即位しましたが、とっとと弟に天皇位を譲って奈良に引っこんでいたはずです。
    「薬子の変」は嵯峨天皇の時代になってからのはすだけどなー。
    とか、あと他にも、泰範ってこういう奴じゃなかったよなー。たしかこいつが空海のとこ派遣されて行ったら空海を師事しちゃって、最澄が何度も呼び返したのに帰らなかったんだよ、だから最澄と空海仲悪くなったって話もあったはずだけど? とか思っていたら、なぜか最後にちゃっかり空海のところに行ってて(笑)、あれっこれ見ている人わかるのかなーとか。
    決して間違っていないのでしょうが、省略されて間違っているようにも見える進行にはハラハラしました。
    そこでタイトルの「偽伝」ですね。これで、たいていのことは許されると思います。

    「偽伝」といえば、桓武天皇が「まじないを嫌う」という設定には違和感あります。
    そもそも平安京遷都したのは「早良親王の祟りを恐れて」のこと、桓武天皇は終生自分が追いやった義母兄、弟たちの祟りを恐れてノイローゼ、そこで縋ったのが最澄、というのが私の知っている「桓武と最澄」です。
    とはいえ、私が知っていると言っても本やマンガで読んだものばかりですから、今回、演劇、この芝居で知った新しい「桓武と最澄」については、何の文句もありません。
    まじないを信じない桓武天皇。オッケーです。魅力的です。
    その彼が最澄の何に惹かれたのかをもっと深く知りたかった。
    何故、彼がそこまで最澄を寵愛したのか。←BL的な意味じゃなく(笑)
    二人の心のつながりや、国造りにかける使命感の共有?、互いの中に何を見たのかなんかが描かれていれば良かったと思います。
    その上で「国家は人」「人を育てよ」というテーマを打ち出していただけたら、さぞや感動したことでしょう。

    そんなこんなで、気づけば好き勝手に長々書いてしまいましたが、それもこれも松枝さんに期待して。
    いちファンの意見として、大らかに受け止めていただけば幸いです。
    次回作も楽しみにしています。

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    2013/03/30 21:18

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