ロスト花婿
ENG
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2018/03/16 (金) ~ 2018/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★
新郎、新婦の知られたくない秘密が次々に明るみに出て、ドロドロの展開になると思っていたら、その部分はあっさりとしたものでした。ストーリーは私には物足りないので星3つ。
役者さんは上手で、舞台セットも綺麗、歌と踊りも適切で+1つ星です。
これはミュージカルにした方が良い気がしました。栗生みなさんの見事なビブラートはそちらでより映えるのでは。
再生ミセスフィクションズ2
Mrs.fictions
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2018/03/15 (木) ~ 2018/03/19 (月)公演終了
満足度★★★★
多くの皆さんの「観てきた!」に背中を押されて予約をポチ。DVD付きで3,000円は安すぎ。
下北沢の小劇場風のところを予想していたらまさかの駅近接高層ビルの15階。清潔で大きなトイレも素晴らしく、下北沢のように駅で済ませるのを忘れて会場で嘆くということもない。ただ何だか落ち着かないのも事実。しかし会場に入るとカニの怪人が舞台でポーズを決めて、それに多くの人がシャッターを切っているという大劇場ではありえない光景に頬が緩む(小劇場でも無いけど)。
『男達だけで踊ろうぜ』にはすっかりやられてしまった。切れ味の良さはオー・ヘンリーの短編を思わせる。
『上手も下手もないけれど』はしっとりとした美しい作品。賞を取った脚本も素晴らしいのだろうが、岡野康弘さんと豊田可奈子さん、お二人のうまさには敬服した。萩原流行似の岡野さん、化粧して行くとジョニー・デップのマッドハッターとかヒース・レジャーのジョーカーを連想させた。豊田さんはちょっとアホッぽい娘から悟りを開いた老婆まで何の無理もなく変身して行った。
『東京へつれてって』はもうひとつ共鳴することができなかった。
『男達だけで踊ろうぜ2』は「魁!!男塾」風味。ストーリーは本能全開で安っぽくなってちょっと残念。応援団長役の高木健さんはアガリスクの「そして怒涛の伏線回収」で拝見して以来だが、こういう押しの強い役をやらせると日本一。
港に着いた黒んぼ
ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団
MUSICASA(東京都)
2018/03/13 (火) ~ 2018/03/15 (木)公演終了
満足度★★★★★
小川未明「港に着いた黒んぼ」は盲目で笛がうまい弟と、歌と踊りが得意な姉の二人のお話。
私はフラメンコというとパコ・デ・ルシアや沖仁のギターは聴くが踊りは映画でちらと見るだけである。したがってこの公演のメインである踊りについては何も語るものを持たない。期待していたギターも見せ場はなかった(もちろん快適なリズムを刻んでいたが)。それでは慣れないものを観て、経験値を積み上げるだけだったのかというとそうではない。
場内に響いた笛の音が私の心を鷲掴みにしたのである。音の主は篠笛の武田朋子さん。笛が割れてしまいそうな強く短い音からささやくような音まで自由自在である。踊りとの白熱のバトル、そしてソロ演奏と縦横無尽の大活躍であった。こういう思いもよらない出会いがあるので馴染みのないステージにも出かける価値がある。
それにこのお話のもう一つの要であるヴォーカルの中里眞央さんも素晴らしかった。若く柔らかく安定した歌声に癒された。それらを音楽監督でもある中島千絵さんのピアノ(とコーラス)ががっちりとバックアップしている。
1時間ちょっとの短いステージだったが音楽だけで十分に満足した。
観客の誰も拍手のタイミングを心得ていなかったのは残念だった。絶対何回かはあったと思うのだが、もしかするとフラメンコでは途中の拍手は無しなのか?
おかえりのないまち。色のない
キ上の空論
吉祥寺シアター(東京都)
2018/03/10 (土) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★
若くて美しい女優さんをたくさん集め、脚本・演出の名人が素材の特性を十分生かして手早く調理し、最後にあの映画のテイストのソースをかけると一丁できあがり、という感じだろうか。
テーマを突き詰めたとかギリギリの演技をしたとかとは無縁だが、それだけ妙なハイテンションもなく、中々良い具合に仕上がっている。お目当ての女優さんがいるならば文句なく5つ星だろう。
的確な照明の操作によるオーバーラップしながらの場面転換は全体のリズムを崩さず観客の緊張を保つのに十分な効果があった。裏方さんは大変だろうなあ。私はここに+1つ星である。
何しても不謹慎
箱庭円舞曲
駅前劇場(東京都)
2018/03/08 (木) ~ 2018/03/13 (火)公演終了
満足度★
corich にある【あらすじ】と【Introduction】は全くその通りで私も日々気にかけていることである。
しかし、劇場に行って観てみると「えっ?!これってただのイベントが面倒くさいかどうかの話ではないの。高く掲げた問題意識はどこへ行ったのよ!」と叫びたくなるくらい、看板倒れであった。
【あらすじ】と【Introduction】がなければ普通の会議劇でアガリスクがスピード感・爽快感を持ち味とするならこちらはゆるゆる感・後味の悪さを売りにしていて星3つである。
しかし、この【あらすじ】と【Introduction】がなければそもそも私は観に行くことはなかったのである。海苔巻き寿司を買ったはずがおにぎりであったようなものでおにぎりの味が普通であっても海苔巻き寿司としては星は1つがせいぜいである。
ジキル&ハイド
東宝/ホリプロ
東京国際フォーラム ホールC(東京都)
2018/03/03 (土) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
原作はスティーブンソンの1886年の小説「ジキル博士とハイド氏(の奇妙な事件)」で、これをもとにした1990年のブロードウェイミュージカルが「ジキル&ハイド」である。登場人物を含め内容がかなり異なっている。日本版は鹿賀丈史さん主演で2001,2003,2005,2007年に上演され、2012,2016そして今回2018年は石丸幹二さん主演となっている。
石丸さんはチラシ束を受け取ると必ず主演のものが入っていたり、TVでもミュージック・フェアなどミュージカル関連の番組では必ず引っ張り出されるミスター・ミュージカルである。半沢直樹での悪役支店長が2013年のことだったとは信じられないくらいだ。52歳のこの舞台も絶好調である。私的には最初にハイドになって登場するところが特に何があるというわけでもないのにツボにはまった。
笹本玲奈さんは2012,2016年には献身的で貞淑な婚約者エマ役を演じていたという。しかし今回は妖艶なルーシー役である。これが見事にフィットして、歌も踊りも演技もそして容姿も素晴らしく、10年も前から続けているようだ。
宮澤エマさんは名前も同じなエマ役で新規出演である。前回観た「ドッグファイト」では悪くはないがどうももうひとつという印象だったのだが、今回は実力、オーラ全開で笹本さんとも互角に渡り合っている。勝手に想像するに、宮澤さんはまだまだ発展途上で前回のように主役となると委縮し、今回のようにスーパースター達に囲まれるとめらめらと燃え上がってレベルアップをするという漫画の主人公のような方なのではないだろうか。
田代万里生さんはジキルの友人の弁護士アターソン役で新規出演である。歌声はいつものように素晴らしい。しっかり芯が通りながらも若さ、みずみずしさをたっぷりとたたえている。今回は重要な役柄で演技でも、というか演技の方でより強く、全体を引き締めている。
全体として、どこにも文句のつけようのない出来であって、ぜひ来年の公演では1階中央10列目以内で観ようと心に誓った。
劇場版爆弾紳士
円盤ライダー
山野美容学院マイタワー27階 〒151-8539東京都渋谷区代々木1丁目53-1(東京都)
2018/02/21 (水) ~ 2018/03/12 (月)公演終了
満足度★★★★
観客は作家の草加一郎のノンフィクション文学賞受賞記念パーティーの参加者という設定である。明るいサロンに案内されて、いつもの暗い劇場用の汚い格好で来たことをちょっと後悔してしまった。
パーティーが始まると爆弾紳士によって出入り口が封鎖されてしまい、彼から出題された沢山のパズルを解かないと仕掛けられた爆弾で命を落とすことになってしまうという。
そこで会場に入るときに選んだ「読者ファン」「作家仲間」などのグループに分かれて担当のパズルを解いて行くのである。クロスワード・パズルとか穴埋めなどの比較的簡単なものであるが、いきなり出題されると考えこんでしまう。難しいものもあって、これは誰も解けないだろうと困っていると解ける人が突然現れるので「何か怪しいなあ」と思うこともあった(笑)。
想定内の時間で全グループが解き終わるというありえない結果はこの劇団の努力の結晶のノウハウのなせる業なのだろう。素晴らしい手際の良さだ。会場を縦横無尽に動き回る俳優さんの演技も的確で大いに笑いも取っていた。
若い頃ならすいすい解けたであろうパズルが全く解けなかったのは悔しいところであるが自分の現状を知ったという点では悪くない。入社試験の集団面接でこのようなものがあると聞いたことがある。今日の私は指示された場所にはすぐに行き、一見協調性があるように見えるが、実は立っているだけでたまに解こうとしても解けないという困った志願者であった。確実に不合格だよ(笑)。
奴碑訓
Project Nyx
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2018/03/09 (金) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★
戦争物でもないのに会場は年齢高めの男性が多いという不思議なことになっている。
1978年の寺山修司による作品ということなのか、ベテラン女優さんが多いので固定ファンが来ているのか、Nyxの美女劇が高年齢のファンの心をつかんでいるのか…。
場所は「イーハトーブ」農場という設定で「雨ニモマケズ…」などの言葉が断片的に散りばめられ、「セロ弾きのゴーシュ」も登場する。もっとも全体とどう関係しているのかはとうとう分からなかったが。私にとって連日の宮沢賢治は奇妙な偶然だ。40年も前の有名な作品なので川島むーさんのコレクションにはしっかりと入っていることだろう。
内容は主人の留守の間に召使たちが交替で主人となり、やりたい放題の後は便所掃除に戻ることの繰り返しというドタバタ音楽劇である。まあストーリー云々よりは見て聴いて感じたままを楽しむものだろう。下敷きは1731年にイギリスのジョナサン・スウィフトによって書かれたものである。そのため、その時代のドレスが使われ舞台が華やかになっている(もっともかなり面積の小さな衣装もあって、そちらに気をとられたのか全体の衣装の記憶が飛んでしまって詳しいことが書けないのは我ながら情けない)。
ベテラン勢を除けばスタイルの良い女優さんが多いことに驚いた。そのスタイルをずっと保っていただきたいなあ。
また舞台上のビジュアルも素晴らしく、特に最初と最後の場面では持ち込まれる明かりが幻想的な美しさを作り出していた。
私にとって今回の最大の収穫は「黒色すみれ」のお二人の歌とバイオリン(+一部アコーディオン)のすばらしさである。鍛えられた喉から生まれたどこまでも破綻なく美しい声は、バイオリンのしっかりコントロールされた音色でコーティングされて行く。今まで全く知らなかったのが悔やまれる限りだ。
ひとり語り芝居『土神ときつね』
お茶祭り企画
あさくさ劇亭(東京都)
2018/03/09 (金) ~ 2018/03/11 (日)公演終了
満足度★★★
オノ・ヨーコ似の川島むーさんによる宮沢賢治大好きの研究発表会 with ピアノ by 本多千紘さんである。
前半はマニアの家に行って「これは見たか」「それはどうだ」「これは知ってるか」…などと次々にコレクションを見せられたような感じで微笑ましい。実際に資料もいくつか回覧された。
後半が表題の「土神ときつね」のひとり語り芝居である。とはいえ登場するのは土神ときつねと樺の木の3人(?)なので、演技の定型があるわけでもない。勢い、ダンスとかパフォーマンスに近いものになる。ここは好みの分かれるところで、私は3人の声を変えた朗読の方がすんなりと心に入ってくるように感じた。
会場の「あさくさ劇亭」は合羽橋商店街から一本通り違いにあって外観は普通の家である。玄関の引き戸を開けると路上で靴を脱いで直に家に上がることになって戸惑う。
一月物語
夢幻朗読劇『一月物語』製作委員会
よみうり大手町ホール(東京都)
2018/03/07 (水) ~ 2018/03/12 (月)公演終了
満足度★★★★
元宝塚トップスターの水夏希さんと当時の2番手の彩吹真央さん(久保田秀敏さんとのWキャスト)に加えて俳優の榊原毅さんの3人が朗読を務め、横関雄一郎さんのバレエダンスとかみむら周平さんのピアノ演奏で作り上げる舞台である。
水さんと彩吹さんは椅子から動かないので、その点では朗読であって朗読劇ではない。榊原さんが狂言回し的に動くのとダンスがあるので朗読劇としたのだろう。ちょっと用語に困るところではある。
テキストは平野啓一郎作『一月(いちげつ)物語』、設定は明治30年ということだが古典の幻想譚の趣が濃い。朗読とバレエと音楽が一体となってそういう雰囲気を醸し出している。BGMには琵琶でもすんなり行けそうな気がした。正直、私はバレエの巧拙は分からないのでそこはノー評価である。榊原さんの朗読は発音明晰、変幻自在(やりたい放題?)で他のお二人とはキャリアの差を感じた。ピアノは朗読(劇)では常に感じるように、あるとうるさい、ないと寂しいという二律背反が今回も健在である。最初、中間、最後に少し長めの演奏があって途中は聞こえるか聞こえないかぎりぎりのBGMに徹するというのが今のところの私の理想である。
観客は女性が大多数であるが、ミュージカル系に比べて少し年齢は高めであって開幕前のおしゃべりが盛んであった。宝塚時代からのファンが多いのかとは思うがインタビューするわけにもいかないので勝手に推察するのみである。
バレエを評価できる方なら4つ星を付けるのかもしれないが、そこが分からない私としては3つ星に留まる。しかしこの回は水さんと彩吹さんのアフタートークがあって宝塚時代の話やこの舞台の稽古の話を大変楽しく聞かせていただいた。+1星である。
赤道の下のマクベス
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2018/03/06 (火) ~ 2018/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★
会場は見渡す限りの白髪と薄毛のオンパレードである。平均年齢は優に70歳を超えているだろう。
この世代は親が戦争に行ったのである。私も子供のころ夕食で父親がお酒を飲むと戦地の話をするのを(父さんそれはもう何回も聞いたよ)と心の中で言いながらも、毎回相槌を打ちながら話し相手になる母親の手前おとなしく聞いていたことを思い出す。
舞台は終戦から2年を経過したシンガポールの死刑囚収容所である。3人の日本人と3人の朝鮮人が暮らす独房が6つ並んでいる。日本人BC級戦犯については裁判の理不尽さは常に語られることであるが朝鮮人BC級戦犯になると胸中の思いはそれをはるかに超えるものだろう。日本人3人それぞれに事情や思いがあり、朝鮮人3人もここに至った経緯は一様ではない。巧みな表現で6人の6つの人生が自然に見えてくる。
状況設定から見て一方的に日本人が非難される展開も覚悟していたのだが、作者はかなり抑えて書いていて刺激的な問題作となるよりも普遍的な作品を目指したように感じた。
The Entertainer ~新しき旗~
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シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2018/03/01 (木) ~ 2018/03/05 (月)公演終了
始まってすぐに来たことを後悔した。女性の甲高いキャンキャン声が会場に響いたからである。
主役の絶叫調の声に一々イライラしていては話にならない。
当然これは女優さんが勝手にやっているわけではなく演出家の意図なのだから、この舞台と私の相性が悪かったということだ。
まあそういうこともあるさ。
女性トリオの歌は良かった。
おまけ
(1) 法律の施行は「しこう」か「せこう」か。
この舞台でも役者さんで違ってましたね。
一般人は「しこう」、NHKも「しこう」、で法律の専門家は「せこう」と読む(らしい)。
あの外人さんは法律の専門家という設定なのでしょう。
(2) 「祖父が死んだ」か「祖父が亡くなった」か。
この舞台では「死んだ」を使ってました。身内に敬語は変だということだと思いますが、あの世に行くと神や仏になるので敬語で良いというのが私の考え。敬語ではないとかいろいろ議論はあるようですが、実際に身内が亡くなって言い慣れると違和感はなくなります。
ある日、ぼくらは夢の中で出会う
劇団6番シード
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2018/02/15 (木) ~ 2018/02/18 (日)公演終了
満足度★★
「D・ミリガンの客」以来の劇団6番シード観劇。
前作が良かったので期待していたが、今回は番外公演ということで実験的なものであった。
あまりネガティブなことは書きたくないが公演も終わったし、不条理劇なのに皆が「分かった、面白かった」と言っているのでは演じた方も拍子抜けするだろうから置いておく。
不条理劇ということだが、夢だと思えばそんなに飛んだ夢でもないので不条理さはほとんど消えてしまって、ただのつまらない劇になる。会話劇としても特に優れているとも思えない。新人刑事(犯罪者)が最初から最後までテンションMAXだったのが心地良い人も会場には沢山いたようだが私は疲れるだけだった。
俳優さんの勉強会に付き合ったということなのか。それはそれで意義のあることだが、次回からは本公演だけ行くことにしよう。
卒業式、実行
Aga-risk Entertainment
サンモールスタジオ(東京都)
2018/02/17 (土) ~ 2018/02/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
「〜その企画、共謀につき〜『そして怒濤の伏線回収』」以来のアガリスク鑑賞。
文句なく面白い。外れても裏切られても小劇場通いを続けていて良かった。
一言でいうと、卒業式実行委員長に降りかかる数々のトラブルメーカーを巡るドタバタ喜劇である。ドタバタとはいっても、どついたり、転がったり、裸になったりするものではなく下ネタも一切ない。また奇妙奇天烈な人物もいないし、悪人も聖人もいない。普通から微妙に外れた人たちが予想のわずか上をクリアして行く、その匙加減が絶妙な正統派会議系コメディーである。
皆さん芸達者な中で、生徒会長の熊谷有芳さんと美術教師の中田顕史郎さんがとくにツボだった。
詳しい説明は他の方にお任せして、とりあえず1番ゲット。
サロメ
TremendousCircus
シアターシャイン(東京都)
2018/02/10 (土) ~ 2018/02/12 (月)公演終了
満足度★★★
「サロメ」の話はごく短いが、今回の舞台はそれを大幅に改造、拡充したものでこの物語の精神を理解しようとしていた私の助けにはならなかった。しかし、あまりに妙な内容に調べてみる気になったのは幸いというべきか。
複雑な構成になった原因の一つは現代の様々な苦悩を表現しようという狙いにあり、そしてもう一つは若手の育成のために全員に見せ場を与えたことにある。これでは散漫になるのは当然である。
テーマを増やすのは良いとして
・サロメとヨカナーンが昔からの恋人であったり、
・サロメが子供を産んだことがあったり
するようなサロメ物語の骨格を変えてしまうことはさほど有名でない物語に対してはいかがなものかと思う。またヘロデ達が殺されてもすぐに生き返るのはサブストーリーを繋ぎきれなかったのだろうか。
衣装については、私が最近AKB48の「ハロウィン・ナイト」のPVを繰り返し見ていたこともあって、自然に世界に入って行くことができた。統一感のある整ったものだった。
演技について少しだけ書くと、ヨカナーンのセリフ回しが預言者らしくて良かったのだが、独白が長いところでは集中力が切れるのか段々と素に戻ってしまっていた。それでは聴いている私も折角のファンタジーの世界から現実に引き戻されてしまう。サロメの踊りが無いことも残念だった。まあしかし、あの舞台の流れでどんな踊りをするのか、それができる人材がいるのかと問われれば誰でも答えに窮してしまうだろう。
FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇
東宝
シアタークリエ(東京都)
2018/02/07 (水) ~ 2018/02/26 (月)公演終了
満足度★★★★
先週観た「マタ・ハリ」(corichでの登録なし)では全曲どれも声を張りビブラートを盛大にかけて終わるものだった。拍手の強制感はあるものの世界観と合っていて悪くはない。それに対して、こちらの「FUN HOME」の曲は無理な盛り上げを仕掛けてこないすっきり系の趣である。もちろんそれは物語の内容に沿ったものであり、観客も最初は曲ごとに拍手をしていたが途中から静かに聞き入るべきだと悟ったようである。
内容は完璧主義の父と反発しながらも大好きな娘のお話。父はゲイで娘はレズビアン。父の自殺で物語は終わる。一昔前なら陰鬱に重くするところを父の死でさえも淡々と、どこか爽やかに描いている。穏やかな感動がじわじわと染み入ってくるのが私には新鮮だった。
ヴェニスの商人
JAM SESSION
求道会館(東京都)
2018/02/08 (木) ~ 2018/02/12 (月)公演終了
満足度★★★★
テキストに大きな省略はなく、少しのギャグを入れただけの素直なものでした。
シャイロック役の女優さんは無理な設定を豊かな表現力でこなしていました。こういう味も悪くないですね。
ポーシャの裁判官のときの声の張りの強さに驚き、説得力に聞きほれてしまいました。
アントーニオの声も強弱の対比が芝居らしくて心地良いものでした。
ただし、何人かの俳優さんのセリフに聞き取りにくいところがあったのはちょっと残念。
ムーア人の過剰な黒塗りは最近の問題に対するこの団体の考えの表明なのでしょう。
出だしの音楽は歌詞がセリフの邪魔をしてイライラさせられました。
求道会館は期待が大きすぎたのか、それほどでもないなあというのが正直なところです。もちろん落ち着いた美しいものでした。
人狼TLPT S『未来への十字架』
私立ルドビコ女学院
新宿村LIVE(東京都)
2018/02/07 (水) ~ 2018/02/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
ミステリーファンで美少女グループファンの方は必見です。
まずは13人の美少女による近未来の巨大生物との戦いの寸劇があり、続いてグループの歌と踊りが続きます。ここまでが「アサルトリリィ×私立ルドビコ女学院」の部分でこれまでの活動の様子は YouTube で見ることができます。今回はここから、この世界観、メンバーで「人狼TLPT」の指導の下でメインの「人狼」ゲームが始まります。観客は彼女らと一緒に(やや有利な条件で)推理して人狼を当てるのです。
【私立ルドビコ女学院ホームページ】 には【宣伝動画】があります。
注意書きには「多少のネタバレを含みます。」とありますが寸劇、歌、踊りの一部があるということで人狼ゲームの解答には無関係です。行くかどうか迷っている方には見ることをお勧めします。美少女度は、さすがに乃木坂には負けるものの「まゆゆ」の抜けたAKBとは良い勝負ではないでしょうか。
会場に入ると、開演前ながら教官役のお二人が「人狼」ゲームのルールを説明していました。配られる紙にも書いてあり、ゲームの途中でもかなり述べられますが、いきなり行って理解するのは結構辛いので、あらかじめ【人狼TLPTホームページ】で調べておくのが良いでしょう。
誰が誰に投票したかをきちんと記録(記憶)していれば、かなりの確率で正解が得られると思います。ただし、普通は老若男女、様々な職業の人々が13人ですが今回は全員が同じ制服を着た美少女なのでほとんど区別がつきません。特別に胸に番号札を付けても良かったのではないかと感じました。まあ番号札なんて世界観が壊れますし、真剣に当てに行かずとも、彼女らのやり取りを無心に楽しんでいれば十分幸せになれるでしょう。
前方の観客は100%男性でした。後方にはチラホラ女性の姿も。
1,300円のチェキは全員分が完売とのアナウンスが。
男装音楽劇「宝島」
青蛾館
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2018/02/03 (土) ~ 2018/02/11 (日)公演終了
満足度★★★★
観てきたのは良いけれど、どう説明しようかと困っていたところに byassist さんの詳細で的確な紹介が現れたので全部そちらにお任せして、ここでは私の感想のみを書きます。
まず、寺山修司作ということで何か変わったものを期待される向きもあるかと思いますが、純粋な子供向け作品ですのでお間違え無く。なので男性が一人で行くというのはお勧めしません。まあしかし、ひねくれ老人の私でもかなり楽しめました。
シルビア・グラブさんの歌は絶品で、5つ星です。妖艶な姿も合わせて唯一のお父さんサービスでした。彼女の歌うナイトクラブがあったら毎晩通いそうです。子供たちの合唱もよくハモっていて4つ星です。しかし他の方々、とくに主役のジム君は平凡で3つ星です。おそらく歌の訓練は何もしていないのでしょう。シルビアさんにいろいろ教えてもらいましょう。
伴奏は定番のキーボードやバイオリンのない素朴な味を出したもので気持ちよく聴けました。
気になったのはマイクの使い方で、マイクを通すとかえって分かりにくくなるという本末転倒状態でした。とくに殺し屋(?)二人はまったく何を言っているのかチンプンカンプンです。少しマイクから離れましょう。
ポスターはB2版で1,000円でした。物販は寄付みたいなものですがそれにしても高い!
ぜんぶ水にながしたるねん
なかないで、毒きのこちゃん
OFF OFFシアター(東京都)
2018/02/02 (金) ~ 2018/02/07 (水)公演終了