満足度★★★★
先週観た「マタ・ハリ」(corichでの登録なし)では全曲どれも声を張りビブラートを盛大にかけて終わるものだった。拍手の強制感はあるものの世界観と合っていて悪くはない。それに対して、こちらの「FUN HOME」の曲は無理な盛り上げを仕掛けてこないすっきり系の趣である。もちろんそれは物語の内容に沿ったものであり、観客も最初は曲ごとに拍手をしていたが途中から静かに聞き入るべきだと悟ったようである。
内容は完璧主義の父と反発しながらも大好きな娘のお話。父はゲイで娘はレズビアン。父の自殺で物語は終わる。一昔前なら陰鬱に重くするところを父の死でさえも淡々と、どこか爽やかに描いている。穏やかな感動がじわじわと染み入ってくるのが私には新鮮だった。