満足度★★★★
元宝塚トップスターの水夏希さんと当時の2番手の彩吹真央さん(久保田秀敏さんとのWキャスト)に加えて俳優の榊原毅さんの3人が朗読を務め、横関雄一郎さんのバレエダンスとかみむら周平さんのピアノ演奏で作り上げる舞台である。
水さんと彩吹さんは椅子から動かないので、その点では朗読であって朗読劇ではない。榊原さんが狂言回し的に動くのとダンスがあるので朗読劇としたのだろう。ちょっと用語に困るところではある。
テキストは平野啓一郎作『一月(いちげつ)物語』、設定は明治30年ということだが古典の幻想譚の趣が濃い。朗読とバレエと音楽が一体となってそういう雰囲気を醸し出している。BGMには琵琶でもすんなり行けそうな気がした。正直、私はバレエの巧拙は分からないのでそこはノー評価である。榊原さんの朗読は発音明晰、変幻自在(やりたい放題?)で他のお二人とはキャリアの差を感じた。ピアノは朗読(劇)では常に感じるように、あるとうるさい、ないと寂しいという二律背反が今回も健在である。最初、中間、最後に少し長めの演奏があって途中は聞こえるか聞こえないかぎりぎりのBGMに徹するというのが今のところの私の理想である。
観客は女性が大多数であるが、ミュージカル系に比べて少し年齢は高めであって開幕前のおしゃべりが盛んであった。宝塚時代からのファンが多いのかとは思うがインタビューするわけにもいかないので勝手に推察するのみである。
バレエを評価できる方なら4つ星を付けるのかもしれないが、そこが分からない私としては3つ星に留まる。しかしこの回は水さんと彩吹さんのアフタートークがあって宝塚時代の話やこの舞台の稽古の話を大変楽しく聞かせていただいた。+1星である。