サロメ 公演情報 TremendousCircus「サロメ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    「サロメ」の話はごく短いが、今回の舞台はそれを大幅に改造、拡充したものでこの物語の精神を理解しようとしていた私の助けにはならなかった。しかし、あまりに妙な内容に調べてみる気になったのは幸いというべきか。

    複雑な構成になった原因の一つは現代の様々な苦悩を表現しようという狙いにあり、そしてもう一つは若手の育成のために全員に見せ場を与えたことにある。これでは散漫になるのは当然である。

    テーマを増やすのは良いとして
    ・サロメとヨカナーンが昔からの恋人であったり、
    ・サロメが子供を産んだことがあったり
    するようなサロメ物語の骨格を変えてしまうことはさほど有名でない物語に対してはいかがなものかと思う。またヘロデ達が殺されてもすぐに生き返るのはサブストーリーを繋ぎきれなかったのだろうか。

    衣装については、私が最近AKB48の「ハロウィン・ナイト」のPVを繰り返し見ていたこともあって、自然に世界に入って行くことができた。統一感のある整ったものだった。

    演技について少しだけ書くと、ヨカナーンのセリフ回しが預言者らしくて良かったのだが、独白が長いところでは集中力が切れるのか段々と素に戻ってしまっていた。それでは聴いている私も折角のファンタジーの世界から現実に引き戻されてしまう。サロメの踊りが無いことも残念だった。まあしかし、あの舞台の流れでどんな踊りをするのか、それができる人材がいるのかと問われれば誰でも答えに窮してしまうだろう。

    ネタバレBOX

    以下は私が調べたことの単なるメモです。
    Wikipedia によると
    サロメは実在の人物で新約聖書の記述は
    ・「サロメ (ヘロディアの娘)」の項に『マルコによる福音書』からの引用(900文字)などがある。
    これを基にしたオスカー・ワイルドの戯曲については
    ・「サロメ (戯曲)」の項の「あらすじ」500文字で骨子は十分であり、原著を全部を読んでもすぐに終わる。

    後者で王の名がエロドとあるのはワイルドは仏語で書いたのでそれを尊重して仏語の HÉRODE の読みを採用した(エロドよりエロドゥに近いかも)からである。
    預言者の名がヨカナーン(Iokanaan)であるのはワイルドがヨハネのヘブライ語表記を選んだからである。イエスに洗礼を授けたので洗礼者ヨハネと呼ばれ、イエスの最初の弟子の一人である使徒ヨハネとは別人。

    内容的な違いは前者では首を望むのは母であり首は母に渡され、後者では(母もそれを称賛しているが)サロメ自身が望み唇にキスをする。また後者では最後にサロメはヘロデによって殺される。史実ではその後も生きている。

    *上記Wikipediaの他、オスカー・ワイルド著、平野啓一郎訳「サロメ」、光文社古典新訳文庫、の本文、注釈および田中裕介の解説を参考にした。

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    2018/02/16 10:40

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