天皇ごっこ~母と息子の囚人狂時代~
オフィス再生
APOCシアター(東京都)
2015/08/28 (金) ~ 2015/08/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
芝居は心魂に響く...
人の生き様はそれぞれ...その意味で芝居として観ると鬼気迫る内容であった。脚本は見沢知廉と母の物語だ。説明によれば「彼が遺した『母と息子の囚人狂時代』をテキストとし、母の生前に取材した様々な事実を積み重ね」たものだそうだ。そしてその演出、音楽・照明等の技術がすばらしい。
ほぼ同世代で、彼・見沢知廉こと高橋哲夫の通った学校の卒業生に知り合いがいるはずであるが、この公演まで詳しく知らなかった。
ネタバレBOX
場内全体は黒を基調にしており、役者の服装も見沢本人(上半身裸)と母親・高橋京子(着物)以外は黒色である。また照明は薄暗く不安、閉塞を感じる。
舞台セットは、床壁に白線(発光テープ)で四角い枠が刻まれる。正面、数段上と、下手の数段高くなっているところに役者が背を向けて佇む。
舞台上には、多くの細姿見。下手奥は階下(劇場は2階であるため、実際は1階)から人が上ってくる。もっともこの場所は8階(投身自殺した住居階数)だろう。
この舞台の特徴は、その深奥にある苦悩、自信、不安、憤怒など人間の感情の渦が強く描かれ、それが痛みとなって伝わってくるようだ。その演出と音楽・照明効果が見事にマッチしている。始まりと終わりの音楽のアンバランス、照明の強弱・方向とそれを助長するようなマッチの炎、両手にはハンディライト、姿見は場内の照明が交差・拡散する。その中で鏡の世界と向き合う役者。
閉塞感(もしくは不自由)を象徴するような鉄条網、一方、上を見上げて動かない...空(自由か)というセリフが印象的である。
心の乱れは、本や原稿用紙が乱雑に、ほんとうに散らばっている。
重苦しい雰囲気だが、その重厚感のほうが圧倒していた。脚本・演出とも泣かせようと意図していないが、自然と落涙する...そんな母への想いが伝わった。
次回公演も楽しみにしております。
美しい日々
TEAM 6g
萬劇場(東京都)
2015/08/26 (水) ~ 2015/08/30 (日)公演終了
満足度★★★★
深みのある内容を丁寧に描く
物語の展開が丁寧で分かり易い。観客に観てほしいという姿勢に好感が持てる。
そのテーマから重たくなりそうだが、その演出はどちらかというと軽妙で、問題意識もさらりと観せる。重厚感を好む観客には物足りないかも...。しかし、自分は本公演の観せ方でも物語に引き込まれたし、楽しめた。
ネタバレBOX
梗概...プロローグがラーメン家での他客の因縁をつけられ暴力を見ないふり...暗転して舞台は、病室内に変わる。主人公は高校の教師であり、甲子園出場が決まっている。その学校の生徒が万引きをするが、その犯人は野球部員でる。それを見ていたが学校や世間体を気にし、誤認逮捕された生徒を庇わない。そしてその生徒が自殺未遂を...
一方、この病院に医療過誤の噂があり、それを取材・調査している女性弁護士が登場する。この二つの話は直接交わることなく、別の話のように展開していたと思ったが...。エピローグはプロローグへという、芝居でよく見かける展開に収まる。
この舞台セットは、下手にラーメン屋のミニカウンター、そして紗幕の奥が病室になっている。そこにはベットがあり入院患者が4人。さらにその奥に二階部が設けられ、そこにも紗幕がある。そこは屋上で、自殺未遂を図る場所をイメージさせる。
この公演は、脚本・演出が丁寧で、また舞台セットはそれを助ける見事な作り込みである。萬劇場という奥行きのある舞台の特長を十分生かしていた。
この公演を表層的に観れば医療過誤の追求が弱いと思う。ラストは女性弁護士の父親がこの病院の医療(手術)ミスで死んでしまう。それを告発するのが、直接ミスした医師を医学界から追放するだけで終わっている。
本来であれば、個人責任の追及だけではなく、病院全体の隠蔽工作も含めその態勢を追求すべきところであろう。
しかし、観方を人の心のあり方...真実と正義というキーワードから見れば、二つの物語は緩く交わる。教訓のようにならず、面白楽しく観せるという描き方は成功していたと思う。人は誰でも煩わしいことには関わり合いたくない、自己保身があるのではないか(少なくとも自分にはある)。その気持の自己変革を底流に描いており、テーマからすると重苦しくなりそうであるが、そこは軽妙だがしっかり観せており、自分は好感を持った。
次回公演を楽しみにしております。
浅草紅團・改
劇団ドガドガプラス
浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)
2015/08/21 (金) ~ 2015/08/31 (月)公演終了
満足度★★★★★
お見事...
『木曜の夜にはズロースが落ちる』と川端康成が新聞小説に記したばっかりに榎本健一率いる『カジノフォーリー』は連日連夜の超満員でごったがえしたそうです。 よーし、ドガドガもひとつあやかってみるか...を確かめるべく、木曜日の夜に観劇した。けっこう早く劇場に着いたつもりであるが、既に整理番号15番であった。
その公演は、やはり期待を裏切らない見事なものであった。
ネタバレBOX
本当に舞台上は、浅草風情(実際の上演場所も浅草・東洋館)が醸し出されている。場内全体をそのように感じさせる演出はいつもながら見事である。
舞台セットは、物語の展開とともに言問橋の橋桁や浅草寺境内・拝殿をイメージさせる。セットはシンプルであるが、役者の登場が上手・下手やセット中央の出入り口だけではなく、客席の両通路、上手の2階部など各所を...それだけで賑わいを感じる。
物語は、昭和初期の浅草を舞台に路地に生きる人たちの哀歓を描いた都市・風俗劇といったところ。この舞台では浅草だけではなく、その周辺も視野に入れていたようだが。関東大震災以降の都市変貌・風俗と昭和恐慌の影さす終末的な不安と喧騒の世情が見事に映し出されていた。そう映写機を通して見る当時の昭和モダニズム...その演出は雑多のようであるが、それはルポルタージュのような切り取りのように観せている。
もちろん、ダンス、歌は素晴らしいし。その雰囲気は耽美であり妖艶でもある。それが舞台上だけでなく、舞台と最前列客席の狭いスペースでも行われ、その圧倒的迫力...堪能した。
次回公演も楽しみにしております。
サミュエル
劇団俳協
TACCS1179(東京都)
2015/08/20 (木) ~ 2015/08/23 (日)公演終了
満足度★★★
コメディ...かな
準劇団員公演...最近は必ず観劇させてもらっている。本公演は今まで観た中では短い...1時間5分であったが、笑いの連続であった。俳協の公演は、どちらかと言うとキッチリというイメージであるが、今回は少し違った。
表層だけ観ると身の下話もチラホラあり、ドタバタが多く雑多な感じである。
一応「愛」の確認作業とその微妙なズレが面白いのかも...。
ネタバレBOX
梗概は、説明文...「狭いアパートの一室を舞台に展開する男と女の恋の物語。 登場する人物はいずれもどこか抜け落ちていて、微妙にずれている。 ありふれた日常会話とドラマの果てのラストがいとおしくも切ない。」から引用。この説明からすると愛ある会話劇ということを想起したが、印象は違った。
まず、舞台セットは主人公のマンションかアパートの一室。上手にベット、中央に本棚、中央下手寄が玄関で脇に下駄箱。下手に衣装BOXが二段重ねしてある。
主人公は、司法試験を目指す浪人(アルバイト)という設定。それにしては受験専門書もない。そのヒモ的存在であるが、「性」には関心がある、というかそれに執心している様子のみしかうかがえない。この男の彼女が病気見舞いを理由に部屋まで押しかけてくる。主人公の慌てふためくコメディ...。
本公演、観ている時は面白いと思ったが、心に残るものがなかった。俳協・準劇団員公演は楽しみに観ており、いつも印象深いものばかりであったが、今回は残念でならない。
次回公演を楽しみにしております。
パ・ド・ドゥ
劇団俳協
TACCS1179(東京都)
2015/08/20 (木) ~ 2015/08/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
愛...
パ・ド・ドゥはバレエ用語で二人で踊ること。特にその場面は「愛」を表現している。本公演も愛を描いた内容であるが、そのシチュエーションが変わっている。
説明にある、絡み合う「嘘」と、明かされない「過去」 冷たい接見室で繰り広げられる二人の「パ・ド・ドゥ」 ...それは愛の桎梏が裁かれるまでの”手かせ”を象徴しているかのようだ。
舞台には二人しか登場しないが、その他の人物もその台詞から人物像が浮かび上がるようである。
脚本・演出・演技とも素晴らしく、1時間40分がアッという間に過ぎるほど観応えがあった。
ネタバレBOX
愛の桎梏が裁きを受けるまでの手枷を象徴しているようだ。
接見室での2人(元夫婦)の濃密な会話劇。その舞台セットはスチール机とパイプ椅子のみ。ラストは、それまでの漂流するような会話や行動が、今でも愛するが故のことだと分かってくる。この元夫婦の言い分の主導権争いのような二転三転する駆け引き...本当に緊迫感ある空間を描き出している。
さて、女性の感情から見えること。元夫の歓心を得たい、また自分を見てほしいと切望する愛らしさ。その反面、怖い女心が垣間見える。
一方、男性は自由気ままで、無関心、無頓着という浮揚したイメージである。
この男女の間にある感覚的な隙間、そこに生ずるズレ・歪み、更には別の感情...機微のようなものが巧く表現され、ミステリー要素も加わり最後まで目が離せない。昔の流行歌♪別れても好きな人 を思い出した。
次回公演も楽しみにしております。
ミソロジカル:カナタ~時の向こうに~
れんアカデミー
座・高円寺2(東京都)
2015/08/23 (日) ~ 2015/08/24 (月)公演終了
満足度★★★★
平和、そして生きる大切さ
子供が主役の反戦物語。当然、戦後70年を意識した芝居である。この平和を享受している今には、先人の筆舌につくせない...がある。それを演じている子供がどこまで理解できるか分からない。セリフが上辺だけかもしれない。それでも”平和”は重要であることに変わりない。
この公演までに、子供たちはどれほどの稽古をしたのだろうか。たしかに公演であるから観客に観てもらうことは大事。その点、自分は楽しめたしメッセージも伝わった。
レベルアップは当然であるが、劇団にはそれぞれ特長があり、その良いところを表現していってほしい。
少し気になったところも…。
ネタバレBOX
パンフレットには、「なんでもそろう時代の子 不満をいっぱい抱えてた/なんにもなかった時代の子 希望を一杯しょっていた」というキャッチコピー。
そして、コトダマたちのいたずらで、神話(ミソロジカル)のカナタで出会う。ちいさな運命のものがたり、である。そのいたずら...時間の裂け目にあるクレイドルという空間での出来事であるが、実際観るのは時空を越えて70年前の太平洋戦争中の子供たちとの触れ合う不思議な物語である。
本公演は、もともと架空もしくは仮想の物語であり、そこにリアリティを持ち込んでも違和感を感じてしまう。現在と時空を越えた(戦時)状況にある違いから、何が大切であるかを学ぶ、それをどう感じるかという感覚的なものがしっかり描かれたのではないか。感じ方は人それぞれであり、それをどう解釈し理解するかは子供たちの成長とともに歩いてくる。
戦後70年という節目からは、体験は「歴史」になり、あとは追体験になりつつある(自分も戦後生まれ)。しかし戦争は事実あったことで、それの痛みを忘れることはできない、というメッセージは伝わる(実は「痛み」どころではないが)。
少し気になったのは、音楽である。舞台に簡易ピット...と言ってよいかはあるが、楽器はパーカッション...コンガ?、トランペット、アップライトピアノのようであったが、コンガの音が芝居とマッチしていたのかが疑問である(楽器選定の意)。他の2楽器はなんとなく芝居と合っていたと思うが...。折角の生演奏であったが印象に残らなかったのが残念である。
次回公演も楽しみにしております。
あのコがエロいのはボクのせいだ!
T.M.DELUX COMPANY
シアター711(東京都)
2015/08/21 (金) ~ 2015/08/23 (日)公演終了
満足度★★★★
笑いの連続だが、話は深い
タイトルのようなエロい場面は、全然ない。どちらかというと、ゲイ人...いや芸人の素晴らしい話術が楽しめる。
女優陣が魅力ある演(艶)技で魅せる。それに絡む男優陣の...なぜか調和して和やかに見えてしまう不思議感覚の芝居である。
もっとも物語はグッとくる好公演である。
ネタバレBOX
基本はコメディであるが、その内容は人心に潜む嫉み、恨みなどの醜悪な面を浮き彫りまたは抉り出すような話である。そしてラストがブラック...スゴイ!
舞台は、シェアハウスの共同スペース(リビングか)を中心に、そこに住む住人たちの不思議な体験物語である。セットは、中央にテーブルと横長ソファー、その奥に2階への階段がある。上手はダイニング・風呂場をイメージさせる舞台裏。上手から下手にかけて3部屋がある。
このシェアハウスの一室の住人が行方不明。その後に入居した住人(女)と大家(男)、さらにはこの住居に住む芸人の相棒(男)...この3人があるきっかけで心と体が入れ替わる。一対一の相互入替わりではなく、3人がシャッフルされた感じである。当然、身体的性差に驚き、違和感を感じさせる面白さ。その入替わりが住人たちの数パターンで繰返され、その都度、性差・性癖・感情・性格の違いを役者が達者な演技で観せる。美人・可愛い女優が変な関西弁を言う芸人に、オジサン大家が乙女チックになる、その変貌振りは実に見事。
そして、行方不明になっていた女が帰ってきて...元の部屋に入居したのが、高校時代の友人であった。行方不明の女は役者志望ということであり、夜はスナックでバイト。役を演じる、客に媚を売る、どれが本当の自分かわからなくなる。そんな女に憧れていたのが高校時代の友人女。
本当の自分とは、その奥に潜む思いとは何か。人が思っているほど自分自身に満足していない。羨まれることはない。この心身入替わりを通じて、本当の自分を知っていく様子が面白、楽しく描かれる。
この入替わりのタイミングは停電...住人の一人が何やら先進的な科学実験を行い、その都度、電力超過になっているのが原因だという。
この公演はミステリーの要素もあり、最後まで飽きさせることなく観させる。そしてテンポもよく観ていて笑い笑いの連続でもあるが、ラスト近くにはホロッとさせる。この落差がまた見事である。人身の入替わりが見た目の面白さ。その延長線にある本当の自分探しと人間の本性を浮き彫りにしたテーマ性。その芝居要素を十分堪能した好公演である。
ラストは、デザインの仕事をしている先生・助手役が例の実験で入替わりになる。その立場の逆転が今までの思いを...実にブラックユーモアで、最後まで見逃すことができない。
次回公演も楽しみにしております。
楽屋
Quiet.Quiet
小劇場 楽園(東京都)
2015/08/21 (金) ~ 2015/08/23 (日)公演終了
満足度★★★★
新感覚の楽屋
「楽屋」は相当数の公演を観たが、本公演のような冒頭の斬新な試みは初めてである。そして何より強く「反戦」を意識した描き方のように感じた。
ネタバレBOX
この劇場は、地下入口を入ると客席を左右に分けるように太い柱がある。今回はその柱の舞台側(客席からは反対側)に鏡台を設え、女優の化粧姿が客席に向かう趣向である。入り口の右側席正面の壁に字幕が映し出されるが、それがこの物語で描きたいイメージ、世界観であろう。この”楽屋”にもそれらしい衣装、飾り棚の上には小物(ぬいぐるみ等)がある。
冒頭は女優C(阿部恍沙穂さん)のラップミュージックから始まる。楽屋に現れる女優A(秋葉舞滝子さん)、女優B(齋木亨子さん)の時代間隔、世界隔世の感を観せるためであろうか。そのためのラップ...なんだろうか。
梗概...楽屋。亡霊になった女優Aと女優Bが楽屋で化粧をしながら、永遠にやっては来ない出番にそなえている。今上演中なのはチェーホフの「かもめ」。主役のニーナ役の女優Cが楽屋に戻って来ると、プロンプターをつとめていた女優がパジャマ姿でマクラを抱えて現れる。
女優D(呉城久美さん)は精神を病み入院していたが、すっかりよくなったから、ニーナ役を返せと女優Cに詰め寄る。そして...お馴染みの話である。
女優という職業の凄まじい業...女優の内面夜叉のような美醜が見事に描かれていた。
本公演では、さらに楽屋、女優ということだけではなく、人間としての心魂・深奥を観たような印象である。そこには戦前・戦後そして現在という時代の中で生きてきた証のようなものが感じられる。そして平和への希求が...女優Aの顔の火傷が戦禍を想起させる。
少し残念であったのが、公演全体の人間性を感じさせる雰囲気、厭らしいまでのドロドロ感がなく、案外アッサリした印象を持ち、内面への切り込みが浅い感じがした。
演技は、4女優の特徴を生した“女優魂”を見事に体現していたと思う。
次回公演を楽しみにしております。
≦ Beat!! ≧
[DISH]プロデュース
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2015/08/20 (木) ~ 2015/08/23 (日)公演終了
満足度★★★
心温まるが...
冒頭は、某地域の夏祭り...そして花火を楽しむ人々の姿がある。登場人物がすべて登場する場面から物語は始まる。その雰囲気は、古きよき時代を彷彿とさせるような心温まるもの。しかし、単に郷愁に浸るのではなく、そこには少し悲しい哀しい陰のような話があり、この公演に深みを持たせている。
全体としては、地域に伝わる不思議な伝説を絡めた人情話といったところ。
ネタバレBOX
セットは、舞台奥は高く、上手・下手はその上から降りてくる石階段がある。そして真ん中には丸い両引き戸が見える。舞台全体は広場(公園)のイメージである。
梗概は、約20年前の時を隔て過去と現在が交錯する。子供が命に関わる難病になり、母親は少しでも長生きしてほしいと神隠しを願う。いや、実際その行動をすることになった。昔、その地域に鬼が来たが、人間たちは鬼を殺さず面倒をみた。そして舞台奥の丸扉の中で生きている、という迷信が伝わった。鬼の棲む世界は人間の住む世界に比べ時間経過の遅速ができる。子供を助けたい母親はその扉に子供を入れ、長生きさせることを思いつき....神隠しという迷信に縋った。
その結果、子供は生き、そして現在と過去の話が交錯して、ラストシーンへ。人間を助けることで、逆に鬼の寿命が短くなるが、それを承知で鬼は...感謝と哀しさの感動を呼ぶ。
しかし、その展開・構成なりが分かり難くく、物語の主筋が捉えにくい。何故、子供が行方不明になったのか、母親の思いが分かるのが終盤になり、伝説の鬼との関係がもう少し早い段階で分かると、観客(自分)にその真相真意が伝わったと思うと残念でならない。
また、演技力に差があり、演出と相まって上手く物語が進まなかったように思う。最後jにダンスシーンがあるが、芝居とダンスが分離していた。芝居の雰囲気なり余韻を感じさせてほしかった。できれば上手く劇中にダンスシーンを取り込んでほしかった。
次回公演を楽しみにしております。
糸、あと、音。
時々、かたつむり
小劇場 楽園(東京都)
2015/08/13 (木) ~ 2015/08/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
テーマは良かったが、表現が…
近未来的な話…コンピューター・ロボットが環境などを操作し、安全で快適な生活を保証してくれるが、その代わりに人間にとって大切な自由が無くなるという、管理社会を描いた風刺劇。テーマは良かったが、その演出が映画でいうカット割が細か過ぎる。それは登場人物6名の対話を中心にし全ての組合で観せようとしているためであろう。場面展開が早く、分かり難くくなっていた。もっと観ている観客を意識して、丁寧な描き方をする工夫が必要だろう。逆にテンポは良かったと思うので、その辺りを考慮して展開・構成しては…。
描きたい内容を、どう上手く伝えるか…演出手腕の発揮どころ。
ネタバレBOX
ほぼ素舞台に椅子2脚...この劇場は地下入口から入ると中央に柱があり、左右に分かれて座席がある。その柱には半透明の薄膜が巻きつけられており、その一部が舞台にも敷かれている。物語の内容から雨降りと水溜りのイメージか。実際は滑り止めのようにも思う。
梗概は、高層ビルの住人は安全で快適な生活を享受している。逆に言えば、そこに生活しないと危険または快適でないことが喧伝される。その建物はコンピューター・ロボットでコントロールされている。そして天候を操り、情報を操作し人間の生活や心にも大きな影響を持つようになっている、という近未来の話。天候(洪水)とその情報操作によって高層ビルへ避難させるという目論み。しかし避難しない人間もいた。その情報の収集・分析がいつの間にか人間の行動を束縛している恐怖が伝わる。
比喩的に「籠の中の鳥の話」...大空に飛び立つ自由と引き換えに、安全と生きる力を要求される。一方、籠の中は安全で餌にも心配なさそうである。そして、もう一つ、人間の対応力が描かれているようにも感じた。例えば占い師の登場であるが、占いの依頼者は、話す、他方占い師は傾聴する態度になる。これが逆転したシーンがあるが、そこに自分の確固たる意見と態度の重要性を感じる。ふわふわとした気持ではない、何か芯が必要なのだと訴えるようである。
このいくつかのシーンが細切れのように交差または交錯するように展開するので、話の大筋がわからなくなる。もう少し丁寧な状況説明(1シーンをもう少し長くするなど)をして、観客にわかるよう工夫する必要がある。
さらに台詞を大切にしてほしい。例えば、先に記した「籠の中の鳥の話」であるが、大空に飛び立つのは鳥の”特権”?にしていたが、話の流れであろうが違和感がある。このような台詞回しがいくつかあった。言葉(台詞)の正確・重要性の検証もお願いしたいところ。
さて最後に、この高層ビルは建築中のイメージから「スカイツリ」ーを、ラストでは「バベルの塔」を想像した。この現実・空想の混同が...。
テーマ性というかその訴えたい内容に共感するが、くどいがその描き方に工夫が必要である。
今後の期待込めての★3つ
次回公演を楽しみにしております。
第三毒奏
劇団開花雑誌
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2015/08/14 (金) ~ 2015/08/16 (日)公演終了
満足度★★★★
鋭いテーマであるものの、その表現力が...
シアターグリーン学生芸術祭招致公演...大阪芸術大学 劇団開花雑誌による、近未来または仮想・架空という設定の物語。その脚本・演出は鋭く観応えあると思われるが、少し凝り過ぎた感もある。
ちなみに、道頓堀学生演劇祭Vol.8最優秀劇団賞受賞作品でもある。
全体的な雰囲気・印象は、幻想、ファンタジーであり、その観せ方は舞踏要素も取り入れて比喩的に感じた。
小道具、食べ物もその一つになっているが...
ネタバレBOX
まず現況、背景を整理しないと分り難い。自分の解釈としては、<If(仮)>戦争後の世界におけるスラム...そこで生活していたタケと桐也は、富豪の家に空き巣を狙い、桐也が手違いで殺人を犯し逮捕される。その後、スラムが解体され、そこにいた子供たちは少年院へ。そこでは少年法に則り20歳になると「戦争孤児は殺処分になるという」規則である。子供たちは20歳を前に脱出を試みるが、桐也が送り込まれて来る。ここから少しずつ歯車が狂いだし、狂気の世界観が見えてくると...。
まず「第三」は第二次大戦に対する意味であり、まだ起きないであろう仮想の戦後であることを表しているのだろう。そして多くの「毒」が吐き出されるが、その象徴が殺(人)戮...キャベツを足で潰す、またはそれを下に落とす(斬首)表現である。また冒頭に、小道具として包丁、拡声器、懐中電灯、本をボストンバッグに入れるが、それもラストに近いシーンで傷殺のため使用する。戦争は国家命令として多くの人間を殺害するが、ここに登場する桐也はたった1回しか殺人はしていない、と強調する件。その行為に正当性があるのか、という問いかけのように聞こえる。
また、大人(20歳)になれば、世間の目も厳しくなり、簡単に殺処分にできないという、現在の少年法を皮肉る。そのアイロニカルも際立っているが、公演全体を通じて、凝っていたため主張が暈けたように思う。
最後に「奏(音楽)」は、基本的にクラッシックが流れ、その中のドボルザーク交響曲第九番 第二楽章は哀しい。見事な選曲だったと思う。
本公演は、芝居をある程度観ている観客には満足、しかしあまり観ていない観客には難しく感じるのではないか? 観客の感性がどこまで追いついているのか、逆に劇団として捉えているか。その辺りを考えてみてはどうだろうか。
今後の期待込めての★4つ
次回公演を楽しみにしております。
ジジイ達の特攻隊
サン・マルガン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2015/08/12 (水) ~ 2015/08/16 (日)公演終了
満足度★★★★
しっかり観せる骨太作品
戦後70周年企画...みんなで考えなければならない年の様相を呈してきている。
この「ジジイ達の特攻隊!」は鮮鋭にその問題提起をしていた。内容は骨太作品であるが、歌謡漫談という明るいシーンも取り入れて、芝居としての魅力も十分観せてくれた。
上演前には、「異国の丘」「海行かば」など当時の歌も流れていた。
ネタバレBOX
梗概は、昭和20年7月。敗戦濃い日本のある下町。そこに歌謡漫談を職とする<これまたぼ-いず>の5人がいた。 ある日、隣人からの通報で家に憲兵が来て、歌の内容が非国民だ、歌を辞めなければ逮捕すると。しかたなく、<これまたぼーいず>は慰問の道を選ぶ。 初めての慰問先は特攻隊がいる島であった。しかも特攻隊の若者はわずか3名を残すのみ。 そして3人に特攻の命が下る。 若い隊員達の国を、そして家族を想う気持ちに<これまたぼーいず>達の想いが重なる・・・ そして最後の特攻隊が飛び立った時、戦争終結の連絡が入る。
この舞台セットは、プロローグとエピローグが下町の藤田家で、ほぼ中央に畳敷・卓袱台そして天井から裸電球、下手が玄関になっている。二場面が慰問に訪れた島(背景幕がジャングル)、第三場面がジジイが乗った戦闘機である。表層的な観方をすれば、本当に軍隊を始め当時の国家体制における理不尽さ、非道さ、それに従わざるを得ない無念さが伝わる。もっと言えば、それに面と向かって疑問を呈することができないところに恐ろしさがある。
芝居としては、ラストシーンは現実的でないが、このように演出したかった心情が当日パンフに記してある「家族を守るという父や母の気持ちと基本的には変わらないのではないか...その慈悲深く尊い気持ちを既存の特攻隊物でない形で表現したい!」とある。
芝居としては、若い特攻隊員1名が出撃するのが現実的であり、涙も誘うであろうが...。
疑問としては、島内には軍人8名と民間人(司令官:大佐の妻)という説明であったが、6名しか登場せず残りは見張役ということのようであるが、必要な設定であろうか。些細なことであるが、これ以外は本当に観応えがあった。
演技は全キャストとも上手いが、特に勝野八重 役(大勝かおり さん)の熱演は素晴らしかった。
この時期、シアターグリーン3館はすべて戦争関連の芝居であり、今、本当に一人ひとり考えなければならない。
上演後の挨拶で藤森太介 氏は、「愛」の反対語は「憎」であり、「無関心」も含まれる、という印象深い言葉を心に刻んだ。
次回公演も楽しみにしております。
チョイスw
ワンチャンUNIT -ストクエ-
シアターブラッツ(東京都)
2015/08/11 (火) ~ 2015/08/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
笑過が消夏になった日
笑い笑いのコメディである。確かに泣かせるシーンもあるが、始めから泣かせようなどと考えて制作していないだろう。また、その非現実的な描き方に配慮を感じる。
観せ方は二元というか異(次)元を通しているが、描いている内容は家族・夫婦の思い違いや思い込みという身近なこと。しかし、激しく口論する内容は日頃思っている本音、またはそれに近い。だからこそ笑いながらも共感してしまう。
ネタバレBOX
福間銀行(福岡県)へ強盗に入った男...人生に嫌気がさして自暴自棄になっての犯行、の予定であった。その実行の矢先、本当に寸前で別の強盗が入り行員を人質に支店を閉鎖してしまう。自身も客の一人として人質になってしまう。芝居的にはありそうなシチュエーションである。この強盗未遂の男は、優柔不断で家族からも見放されている。(そう思い込んでいる)。ラストに家族との繋がりも見え、救いもあるようだ。
コメディ...人生の岐路に立つ悲哀もそこそこ。その間抜け、恍けた風体と仕草は外見からしてウダツが上がらない。そんな人間が、本当に銀行強盗の現場に居合わせたらどうなるか?過去、自分が良かれと判断したこと、家族に迷惑だと勝手に思い込むこと、他人を不快にさせる思い上がり等が、哀しいまでに孤影として描かれる。
喜劇の中の悲劇...そのアイロニカルが素晴らしい。
なお、銀行強盗のシーンは、そのナンセンスな描写...警報装置の誤(手動)、防犯カメラのカラ撮影、緊急時の対応(呼び名)等は、実際には金融行政当局の指導もあり、対処手順はマニュアル化されているだろう。非リアル化が賢明だったと思う。
また、強盗を行う際にも、その手際の良さなど、人事評価のような能力主義的なシ-ンが垣間見れる。本当に見所満載であった。
次回公演も楽しみにしております。
人が流されていく川
The Stone Age ブライアント
サンモールスタジオ(東京都)
2015/08/11 (火) ~ 2015/08/16 (日)公演終了
満足度★★★★
考えさせる...
未来にあってもならいことを前提...芝居として観せるまたは考えさせるという発想力に驚かされた。この勾配のある舞台セットのように足元が不安定で、揺らぐような不安感が、公演全体をミステリー・サスペンスの雰囲気を醸し出していたようだ。
しかし、ストーリー展開する上で気になるところも...。
ネタバレBOX
舞台セットは、奥から客席に向かって全体的に斜めに下がっている。それは河川の土手をイメージしている。上手には、途中で寸断したと思われる橋の残滓がある。対岸は客席側になり、舞台上で描かれているのはこの岸のみだが、対岸(客席)には缶詰工場がある。
物語は、この川岸にある施設で働く人々の話。施設は死を願う、無意味に生きていたくない人を安楽死させるためで、町の福祉課が管轄している。調剤指示する医師もいれば、ケアスタッフもいる。近未来の姥捨山。そこは年寄りだけではなく、自殺志願者は総て対象になる。
一旦、安楽死を望んだ後、逃げ出して普通の生活に戻ろうとしても世間の目は、犯罪者よりも厳しいという。それでも死を選択する者は後を絶たず、また逃げ出す者も多くいる。
施設で働くスタッフ達も出来れば殺人に携わりたくない、と考えているというのが実情だ。
人は何のために産まれて、生きていくのか。そして”死”も自身で選択できる。しかしそれに他人、ましてや行政機関が関係しているという。「生・死」の扱いを客観的に見つめ、シュールな感じもする。その着眼点は面白く興味深いが、その状況に至る過程が説明不十分のようだ。物語として敢えての状況設定にしても、人間の内面だけを描いているわけでもない。過去、脛に傷を持つ人達にしても”死”の捉え方が淡白でその重要性が感じられない...逆に言えば”たかが命”と言わんばかりの軽さ。その心境に至る過程の説明が必要ではないか。女二人の邂逅は、静かな狂気が感じられる。その憎しみ合う雰囲気も良かった。
脚本テーマ、その観せる演出と舞台セットは面白い。役者の演技もバランス良くテンポも心地よい。それだけにもう少し臭くならない程度の説明があれば...。
次回公演を楽しみにしております。
食卓の華
演劇企画集団Jr.5(ジュニアファイブ)
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2015/08/06 (木) ~ 2015/08/11 (火)公演終了
満足度★★★
不器用な三兄弟
個性が強調された兄弟とそれを温かく見守る母親。その母親が少しずつ変化していく...流れる日常に少しずつ沈殿するモノ...。
「河内家」(チラシに写る兄弟の後の表札から推察)における日常であるが、その描く テンポ 間が自分には心地よくない。公演全体を通して冗漫な感じである。
リフレーンが同じテンポで何の意味があったのだろうか。
1時間以上経過した中・後半になって、人物が生き(動い)てきたようだ。
ネタバレBOX
家族は母親と3兄弟である。父親は家を出て浮気相手と一緒になったようだ。母親はパート勤務をし、子供たちを育ててきた。長男は中学卒業後、ネジ工場で働いている。真面目で父親代わりを自認している。二男は、お笑い芸人を目指すニート。本公演の主人公で、今日生きるのに四苦八苦。三男は大学進学を目指す受験生で、プライドが高い。という性格付と現況の説明。
さて舞台は、ダイニングキッチンの一場面。中央にテーブルと椅子。上手の舞台奥に食器棚、客席側に液晶TV。下手には台上の電話。舞台奥壁の上手側かた片開窓、キッチン、冷蔵庫が作りまたは置かれている。そして、これらのセットはすべて使用・利用する拘りはよかった。
中盤を過ぎた頃...母親が長男を夫と間違えて喚き縋るシーンから動き出したようだ。それまでは兄弟の性格や状況説明(喧嘩、詰問など)に終始したシーンのリフレーンという印象である。この描き方が冗漫で飽きてしまった。
また、TVをつけるシーンがあるが、その時間が長く感じられ、芝居よりその映像に目がいく(これも作りのようであるが)。
母親は若年性認知症か精神的な疾患のようであり、入院検査をすることになる。その前夜であろうか、家族で食卓を囲むシーン。わだかまりが出来た家族の心が氷解するようであるが...。
なお夫の心を繋ぎとめるために三男を産んだ...夫婦の行為?
タイトル「食卓の華」は夫のプレゼントしてくれたバラ一輪(既ドライ-フラワー)が常時食卓にあるのが、裏切られても待つ母の哀れを誘う。もっともこの花瓶に水を差すのも潜在的な狂気のように思う。
少し異常、狂気のようなシーンも観えるが、父親は居ないが、それ以外は何の変哲もない家族の話。
次回公演を楽しみにしております。
追記あり
合歓版・南太平洋 (再々演)
SPPTテエイパーズハウス
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2015/08/06 (木) ~ 2015/08/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
骨太作品にして軽妙
第二次大戦中の南太平洋にある孤島の日本軍捕虜収容所を舞台にした反戦物語。
再演を繰り返し、今回は合歓版として上演した。もっとも哀歓のようでもある。
明確な主題を持つ骨太な作品であるが、その観せ方として軽妙に演出しているところもある。
敢えてその愚かさ、悲惨さを芝居として観せ(引き込み)、観客(自分)に考えさせる。そんな印象を持たせる作品である。
ネタバレBOX
舞台セットは、上手に日本軍捕虜収容所建屋とそのバルコニー。下手は熱帯性植物か、ハイビスカスのような花も見える。中央は階段状になっており、シーンによってはフラダンスが披露される。もちろん劇中における喜びのシーンであり原住民が踊るということであるから、敢えてプロ仕様にしていないようだ。
気になるところ...
平岡一等兵曹(宮内利士郎さん)が、その階級にも係わらず軍事機密に詳しいこと。
新婚旅行兼取材のように訪れた男・力(平木勇輔さん) 女・純子(倉地彩乃さん)が、それぞれ実父・養父の過去をある程度知っており、それを確かめるようだが、その知る経緯がはっきりしない。また偶然にもこの孤島で過ごした父親同士の子が結婚することになったのか...都合のよい偶然か、違和感を持ったところである。
気になった点ではあるが、この公演の大きな、そして普遍的なテーマを分かり易く観せるための脚本だと解している。また物語は、いくつかの伏線が張られており、次の展開へ上手く誘導する。そして進展するにしたがい、しっかり説明してくれる。そしてラスト...時間的な制約を持たせることで緊張感を高め、最高潮へ。
同じ舞台上であるが、戦時中の緊迫した様子と回想している平和な時代における空気感の違いを感じる。それだけ雰囲気作りが上手かったと言える。
そこには、骨太な作品にありがちな重厚感ではなく、親しみが持てる(初めて演劇を観る人も含め)よう軽妙な演出が見て取れるところが秀逸だと思う。
今、観る...いや普遍的なテーマとして再演を繰り返してほしい作品である。
次回公演も楽しみにしております。
幻想時代劇 『阿弖流為-ATERUI-』
東方守護-EAST GUARDIAN-
新宿村LIVE(東京都)
2015/08/06 (木) ~ 2015/08/09 (日)公演終了
満足度★★★★
魅せる芝居
宝塚歌劇または劇団四季の公演のようなイメージである。もちろんそんな大掛かりな観せ方になっていないが、その雰囲気である(と言っても、両劇団公演もそんなに多くは観ていないが)。華やかで魅せる公演という印象である。途中休憩を含み3時間弱は少し長いような気もする。
ネタバレBOX
全体的に華麗、妖艶という表現が相応しいと思う。しかし内容は、表層的には8世紀末期における戦記として観せる。その当時の歴史の一端を知るには面白かった。
良かったところ...
史実にフィクションを交え、エンターテインメントとして観せる。その展開・構成は遊びの部分も多くあるが、その物語の大きな流れはしっかり捉えている。だからこそ、最後まで飽きることなく楽しめる。些細なこと...小物、仕草に配慮しつつも、この劇団・公演の魅力である壮大、雄大というスケール感は大切にしてほしい。多くの劇団がある中で、独創性を持って活動することが、他の劇団との選別になる。没個性にならないように!
華麗さ...群舞が魅力の一つ。その動作(演技も含め)には人の情も見える。
気になるところ...
遊びに見えるシーン…被り物の役者、戦場になっている地域・場所を示す映像(スライド)などは、物語の展開と雰囲気を損なう(飽きさせない配慮であれば無用)。違和感なく展開させた方が良かった。
魅せる芝居であるが、やはりその衣裳は華やか過ぎたと思う。少なくとも土着民は、自然・土地等と一体となっている雰囲気が無かったのが残念だ。その対立(土着・朝廷)の象徴としてほしかった。
物語の進展・構成を重視し観せる内容にしても、劇団の持っている魅力になんら変わらないと思う。
次回公演を楽しみにしております。
空手親父
ネコ脱出
小劇場B1(東京都)
2015/08/05 (水) ~ 2015/08/09 (日)公演終了
満足度★★★★
面白い!
昭和30~40年代を彷彿させるような人情劇...自然体な泣き笑いが優しく温かい気持にさせる秀作。
劇中にある一人パフォーマンスも...。猛暑に暑苦しい姿だが面白い。
ネタバレBOX
この劇場は、入り口から左右に分かれるように客席がある。舞台セットは、両方向から観やすいように奥斜めに家屋玄関を作り込んでおり、その出入りシーンが楽しめるよう工夫されている。この玄関の両側が板塀と溝(ドブ)がある。今のように側溝蓋がなく、当時の雰囲気が感じられる。舞台中央は、広場・路地裏に見立てたスペースで、多くの小学生が遊んでいる風景から物語は始まる。その小学生の一人の女の子・岸下恵子(佐藤佳那さん)の回想と現在を交錯させた展開は、服装や会話によって容易にわかる。その昔は、自分の子でなくても悪事・悪戯をすれば叱る、そんな頑固おやじがいたが...。この芝居では、その姿こそが空手親父・戸城保博(高倉良文 氏)である。
この芝居の好きなところは、どこか日本の良き原風景が見えるところ。とは言っても単にノスタルジーではなく、少し先の将来も見据える。忙しい日常において見過ごすまたは見逃している小さな幸せ、その当たり前のような大事なものを思い起こさせる。過ぎし日々を懐かしく思い、これからの夢に思いを馳せる。誰もが共感するような芝居である。
少し気になるところ...
近所の女の子・岸下と空手親父の関係について、父慕、苛めや不遇に思い遣る、といった上が描かれる。一方、実娘・戸城光(迫 真由美さん)との関係は、父親の心配は分かったが、娘側の気持が解り難い。父親との描く関係性が、娘とその友達とで入れ代わったように感じた。
一人パフォーマンス・ハヤブサシンジ(船戸慎士 氏)は、劇中の物語と直接の関係はなく、時代(時季)を捲るカレンダーのような役割。話の展開を分かりやすく(メリハリ)したが、不自然さもあり勿体ない。このパフォーマンスは面白いが、浮いた感じになったのが残念だ。
次回公演を楽しみにしております。
砂時計
しかくさんかく。
インディペンデントシアターOji(東京都)
2015/08/06 (木) ~ 2015/08/09 (日)公演終了
満足度★★★
詩的な...
抒情的な感じの芝居である。透明・純真・成長・恋愛そして想像といった言葉を連想させるような物語...しかしその展開・構成が観客に理解できるか。
その描きたい内容やテーマなりがもう少し分かると良かった。
一方、みずみずしい感性は大切にしてほしい。
ネタバレBOX
舞台セットのイメージは、公園にある滑り台といったところ。中央が滑り下りるところ、上手側が半回り階段、下手側が直階段(10段)である。そしてセットからの出入り口が上手下手に複数ある。またこの劇場は地下にあるが、その地下にある中二階も使用し落下させるもの有り。
自分では、少女二人の成長(小学生、中学生、大人へ...衣装の変化)と偶然知り合った男女(「せいじ」と「あかね」)の恋物語の繋がり、もしくは交差するところがあったのか。二つの物語が自然や環境の変化の中で、自分自身が成長変化していることを叙景、叙情ある感じで描いたのだろうか。蝉の話をしており、その脱皮にまで言及していたため。
恋愛に関しては、衣装や状況からイメージできないが、男が結婚を申し込むが、同時に遠くに出掛ける(帰る時期は不明)というセリフから、出征を想像した。
当時は当たり前だったであろう、国のための戦争が、時代を経てその愚かさを知る。それこそ天地がひっくり返るような出来事である。
当日パンフ「...夏。夏が嫌いです。夏になると毎年考えることがあります。...」(作・演出の小見波結希望さん)とあり、自分の勝手な思いを膨らませた。
少し比喩的なのか...しかしそのイメージがもう少し観客(自分)に伝わることが出来たらと残念でならない。
次回公演を楽しみにしております。
半夏の会 読む・話す・演じる
オフィス樹
南大塚ホール(東京都)
2015/08/05 (水) ~ 2015/08/05 (水)公演終了
満足度★★★★
充実した内容
6本の朗読…少し盛り沢山のようにも思えたが、どの作品も印象深いものがあった。朗読劇はあまり観(聞い)ていないが、改めてその魅力を認識した。さて、今回の6作品には共通したテーマがあったのか、その選定理由などは分からなかった。休憩を含め2時間45分。
ネタバレBOX
朗読順
「鉄道開通(私のよこはま物語より)」 作・長崎源之助
群読(8名)...それぞれの役者の持ち味が出ているのでしょうか、そういう演じ(聞かせ)方であるのかと思った。演じるという感じであり「語り聞かせ」という印象ではなかった。役柄とト書きもあわせて話す時もあるが、その時、物語の主筋を引っ張るストーリーテラーとの区別がよく分からなかった。
「汽笛」 作・長崎源之助
広島原爆投下後の病院の様子が痛ましい。小国民としての少年・少女の健気な様子。しかし、ある少女の父親が乗務する機関車が近づいて、汽笛を鳴らす。キレイにまとまりすぎているようで、前段の病院での悲惨な印象が暈けてくる(その対比が狙いか)。
「お父さんの家、ぼくの家」 作・悠崎 仁
放射能汚染区域内に残されたペット(犬の父子)の今日的な話。犬小屋で飼い主を待つ犬親子が食べ物がなくなり餓死する哀れ...死に至るまで互いを思いやる温かな会話が心を打つ。逆に人間の愚かさが際立つ内容である。全体的に明るく優しい雰囲気に救われた。
「雨傘」 作・川端康成
情緒的で、繊細という印象である。美しい旋律にのった男女の淡い、そして気恥ずかしい様子が微笑ましいが...。小説では、その世界の美しさを想像出来そうであるが、朗読という具体的な声色、話し方の雰囲気が、自分なりの小説イメージを作れなかった。
「羅生門」 作・芥川龍之介
映画が有名であり、自分も観たことがある。やはりその映像記憶を辿っている。その鬼気迫る映像(人の心に棲む鬼)以上のことは、この朗読からは感じ取ることが出来なかった。
「ハエ」 作・長崎源之助
圧倒された反戦物語。軍隊内で行われる不条理が若干のユーモアを交えながら切々と訴えてくる。主な登場人物は2人だけだが、学問には疎いが純粋真面目、もう一人は知識人だが傍観冷静という性格の違いにも関わらず、友情を育む。そして軍隊内でのハエとり競争が招いた悲劇...その情景がまざまざと浮かぶ。
全朗読に共通しているのが、その情景がイメージしやすいような音響・照明効果という技術面である。例えば、「ハエ」では、音響では...軍靴・銃声、照明では...灼熱の太陽・夕日・日暮を赤橙・青紫・暗黒(暗転)というように照射色が変化していく。
とても充実した朗読劇であったと思います。