合歓版・南太平洋 (再々演) 公演情報 SPPTテエイパーズハウス「合歓版・南太平洋 (再々演)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    骨太作品にして軽妙
    第二次大戦中の南太平洋にある孤島の日本軍捕虜収容所を舞台にした反戦物語。
    再演を繰り返し、今回は合歓版として上演した。もっとも哀歓のようでもある。
    明確な主題を持つ骨太な作品であるが、その観せ方として軽妙に演出しているところもある。
    敢えてその愚かさ、悲惨さを芝居として観せ(引き込み)、観客(自分)に考えさせる。そんな印象を持たせる作品である。

    ネタバレBOX

    舞台セットは、上手に日本軍捕虜収容所建屋とそのバルコニー。下手は熱帯性植物か、ハイビスカスのような花も見える。中央は階段状になっており、シーンによってはフラダンスが披露される。もちろん劇中における喜びのシーンであり原住民が踊るということであるから、敢えてプロ仕様にしていないようだ。

    気になるところ...
    平岡一等兵曹(宮内利士郎さん)が、その階級にも係わらず軍事機密に詳しいこと。
    新婚旅行兼取材のように訪れた男・力(平木勇輔さん) 女・純子(倉地彩乃さん)が、それぞれ実父・養父の過去をある程度知っており、それを確かめるようだが、その知る経緯がはっきりしない。また偶然にもこの孤島で過ごした父親同士の子が結婚することになったのか...都合のよい偶然か、違和感を持ったところである。

    気になった点ではあるが、この公演の大きな、そして普遍的なテーマを分かり易く観せるための脚本だと解している。また物語は、いくつかの伏線が張られており、次の展開へ上手く誘導する。そして進展するにしたがい、しっかり説明してくれる。そしてラスト...時間的な制約を持たせることで緊張感を高め、最高潮へ。

    同じ舞台上であるが、戦時中の緊迫した様子と回想している平和な時代における空気感の違いを感じる。それだけ雰囲気作りが上手かったと言える。

    そこには、骨太な作品にありがちな重厚感ではなく、親しみが持てる(初めて演劇を観る人も含め)よう軽妙な演出が見て取れるところが秀逸だと思う。

    今、観る...いや普遍的なテーマとして再演を繰り返してほしい作品である。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2015/08/10 18:28

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