半夏の会 読む・話す・演じる 公演情報 オフィス樹「半夏の会 読む・話す・演じる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    充実した内容
    6本の朗読…少し盛り沢山のようにも思えたが、どの作品も印象深いものがあった。朗読劇はあまり観(聞い)ていないが、改めてその魅力を認識した。さて、今回の6作品には共通したテーマがあったのか、その選定理由などは分からなかった。休憩を含め2時間45分。

    ネタバレBOX

    朗読順

    「鉄道開通(私のよこはま物語より)」 作・長崎源之助
    群読(8名)...それぞれの役者の持ち味が出ているのでしょうか、そういう演じ(聞かせ)方であるのかと思った。演じるという感じであり「語り聞かせ」という印象ではなかった。役柄とト書きもあわせて話す時もあるが、その時、物語の主筋を引っ張るストーリーテラーとの区別がよく分からなかった。

    「汽笛」 作・長崎源之助
    広島原爆投下後の病院の様子が痛ましい。小国民としての少年・少女の健気な様子。しかし、ある少女の父親が乗務する機関車が近づいて、汽笛を鳴らす。キレイにまとまりすぎているようで、前段の病院での悲惨な印象が暈けてくる(その対比が狙いか)。

    「お父さんの家、ぼくの家」 作・悠崎 仁
    放射能汚染区域内に残されたペット(犬の父子)の今日的な話。犬小屋で飼い主を待つ犬親子が食べ物がなくなり餓死する哀れ...死に至るまで互いを思いやる温かな会話が心を打つ。逆に人間の愚かさが際立つ内容である。全体的に明るく優しい雰囲気に救われた。

    「雨傘」 作・川端康成
    情緒的で、繊細という印象である。美しい旋律にのった男女の淡い、そして気恥ずかしい様子が微笑ましいが...。小説では、その世界の美しさを想像出来そうであるが、朗読という具体的な声色、話し方の雰囲気が、自分なりの小説イメージを作れなかった。

    「羅生門」 作・芥川龍之介
    映画が有名であり、自分も観たことがある。やはりその映像記憶を辿っている。その鬼気迫る映像(人の心に棲む鬼)以上のことは、この朗読からは感じ取ることが出来なかった。

    「ハエ」 作・長崎源之助
    圧倒された反戦物語。軍隊内で行われる不条理が若干のユーモアを交えながら切々と訴えてくる。主な登場人物は2人だけだが、学問には疎いが純粋真面目、もう一人は知識人だが傍観冷静という性格の違いにも関わらず、友情を育む。そして軍隊内でのハエとり競争が招いた悲劇...その情景がまざまざと浮かぶ。

    全朗読に共通しているのが、その情景がイメージしやすいような音響・照明効果という技術面である。例えば、「ハエ」では、音響では...軍靴・銃声、照明では...灼熱の太陽・夕日・日暮を赤橙・青紫・暗黒(暗転)というように照射色が変化していく。

    とても充実した朗読劇であったと思います。

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    2015/08/09 11:42

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