天皇ごっこ~母と息子の囚人狂時代~ 公演情報 オフィス再生「天皇ごっこ~母と息子の囚人狂時代~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    芝居は心魂に響く...
    人の生き様はそれぞれ...その意味で芝居として観ると鬼気迫る内容であった。脚本は見沢知廉と母の物語だ。説明によれば「彼が遺した『母と息子の囚人狂時代』をテキストとし、母の生前に取材した様々な事実を積み重ね」たものだそうだ。そしてその演出、音楽・照明等の技術がすばらしい。

    ほぼ同世代で、彼・見沢知廉こと高橋哲夫の通った学校の卒業生に知り合いがいるはずであるが、この公演まで詳しく知らなかった。



    ネタバレBOX

    場内全体は黒を基調にしており、役者の服装も見沢本人(上半身裸)と母親・高橋京子(着物)以外は黒色である。また照明は薄暗く不安、閉塞を感じる。
    舞台セットは、床壁に白線(発光テープ)で四角い枠が刻まれる。正面、数段上と、下手の数段高くなっているところに役者が背を向けて佇む。
    舞台上には、多くの細姿見。下手奥は階下(劇場は2階であるため、実際は1階)から人が上ってくる。もっともこの場所は8階(投身自殺した住居階数)だろう。

    この舞台の特徴は、その深奥にある苦悩、自信、不安、憤怒など人間の感情の渦が強く描かれ、それが痛みとなって伝わってくるようだ。その演出と音楽・照明効果が見事にマッチしている。始まりと終わりの音楽のアンバランス、照明の強弱・方向とそれを助長するようなマッチの炎、両手にはハンディライト、姿見は場内の照明が交差・拡散する。その中で鏡の世界と向き合う役者。


    閉塞感(もしくは不自由)を象徴するような鉄条網、一方、上を見上げて動かない...空(自由か)というセリフが印象的である。
    心の乱れは、本や原稿用紙が乱雑に、ほんとうに散らばっている。
    重苦しい雰囲気だが、その重厚感のほうが圧倒していた。脚本・演出とも泣かせようと意図していないが、自然と落涙する...そんな母への想いが伝わった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2015/08/30 12:04

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