楽屋 公演情報 Quiet.Quiet「楽屋」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    新感覚の楽屋
    「楽屋」は相当数の公演を観たが、本公演のような冒頭の斬新な試みは初めてである。そして何より強く「反戦」を意識した描き方のように感じた。

    ネタバレBOX

    この劇場は、地下入口を入ると客席を左右に分けるように太い柱がある。今回はその柱の舞台側(客席からは反対側)に鏡台を設え、女優の化粧姿が客席に向かう趣向である。入り口の右側席正面の壁に字幕が映し出されるが、それがこの物語で描きたいイメージ、世界観であろう。この”楽屋”にもそれらしい衣装、飾り棚の上には小物(ぬいぐるみ等)がある。

    冒頭は女優C(阿部恍沙穂さん)のラップミュージックから始まる。楽屋に現れる女優A(秋葉舞滝子さん)、女優B(齋木亨子さん)の時代間隔、世界隔世の感を観せるためであろうか。そのためのラップ...なんだろうか。

    梗概...楽屋。亡霊になった女優Aと女優Bが楽屋で化粧をしながら、永遠にやっては来ない出番にそなえている。今上演中なのはチェーホフの「かもめ」。主役のニーナ役の女優Cが楽屋に戻って来ると、プロンプターをつとめていた女優がパジャマ姿でマクラを抱えて現れる。
    女優D(呉城久美さん)は精神を病み入院していたが、すっかりよくなったから、ニーナ役を返せと女優Cに詰め寄る。そして...お馴染みの話である。

    女優という職業の凄まじい業...女優の内面夜叉のような美醜が見事に描かれていた。
    本公演では、さらに楽屋、女優ということだけではなく、人間としての心魂・深奥を観たような印象である。そこには戦前・戦後そして現在という時代の中で生きてきた証のようなものが感じられる。そして平和への希求が...女優Aの顔の火傷が戦禍を想起させる。

    少し残念であったのが、公演全体の人間性を感じさせる雰囲気、厭らしいまでのドロドロ感がなく、案外アッサリした印象を持ち、内面への切り込みが浅い感じがした。

    演技は、4女優の特徴を生した“女優魂”を見事に体現していたと思う。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2015/08/25 18:59

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