糸、あと、音。 公演情報 時々、かたつむり「糸、あと、音。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    テーマは良かったが、表現が…
    近未来的な話…コンピューター・ロボットが環境などを操作し、安全で快適な生活を保証してくれるが、その代わりに人間にとって大切な自由が無くなるという、管理社会を描いた風刺劇。テーマは良かったが、その演出が映画でいうカット割が細か過ぎる。それは登場人物6名の対話を中心にし全ての組合で観せようとしているためであろう。場面展開が早く、分かり難くくなっていた。もっと観ている観客を意識して、丁寧な描き方をする工夫が必要だろう。逆にテンポは良かったと思うので、その辺りを考慮して展開・構成しては…。
    描きたい内容を、どう上手く伝えるか…演出手腕の発揮どころ。

    ネタバレBOX

    ほぼ素舞台に椅子2脚...この劇場は地下入口から入ると中央に柱があり、左右に分かれて座席がある。その柱には半透明の薄膜が巻きつけられており、その一部が舞台にも敷かれている。物語の内容から雨降りと水溜りのイメージか。実際は滑り止めのようにも思う。

    梗概は、高層ビルの住人は安全で快適な生活を享受している。逆に言えば、そこに生活しないと危険または快適でないことが喧伝される。その建物はコンピューター・ロボットでコントロールされている。そして天候を操り、情報を操作し人間の生活や心にも大きな影響を持つようになっている、という近未来の話。天候(洪水)とその情報操作によって高層ビルへ避難させるという目論み。しかし避難しない人間もいた。その情報の収集・分析がいつの間にか人間の行動を束縛している恐怖が伝わる。

    比喩的に「籠の中の鳥の話」...大空に飛び立つ自由と引き換えに、安全と生きる力を要求される。一方、籠の中は安全で餌にも心配なさそうである。そして、もう一つ、人間の対応力が描かれているようにも感じた。例えば占い師の登場であるが、占いの依頼者は、話す、他方占い師は傾聴する態度になる。これが逆転したシーンがあるが、そこに自分の確固たる意見と態度の重要性を感じる。ふわふわとした気持ではない、何か芯が必要なのだと訴えるようである。
    このいくつかのシーンが細切れのように交差または交錯するように展開するので、話の大筋がわからなくなる。もう少し丁寧な状況説明(1シーンをもう少し長くするなど)をして、観客にわかるよう工夫する必要がある。
    さらに台詞を大切にしてほしい。例えば、先に記した「籠の中の鳥の話」であるが、大空に飛び立つのは鳥の”特権”?にしていたが、話の流れであろうが違和感がある。このような台詞回しがいくつかあった。言葉(台詞)の正確・重要性の検証もお願いしたいところ。

    さて最後に、この高層ビルは建築中のイメージから「スカイツリ」ーを、ラストでは「バベルの塔」を想像した。この現実・空想の混同が...。
    テーマ性というかその訴えたい内容に共感するが、くどいがその描き方に工夫が必要である。

    今後の期待込めての★3つ
    次回公演を楽しみにしております。

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    2015/08/16 19:15

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