itomasa7の観てきた!クチコミ一覧

141-160件 / 173件中
「隠形の袖」(おんぎょうのそで)

「隠形の袖」(おんぎょうのそで)

鬼面組

シアターシャイン(東京都)

2013/09/26 (木) ~ 2013/09/29 (日)公演終了

満足度

魂抜かれた感じ・・・
古典系の劇だったのでしょうか?(観た自分が聞くのも変ですが)。最初「歴史」「日本史」「歌(百人一首など)」などについてある程度教養がないと理解出来ないお話で、だから自分は話についていけてないし気持ちも入らない/笑えないのかな(そういう分野が分かってる人はお話に気持ちも入るし、歌など絡めた小ネタにも笑えてるのかな)と思ったんですが、途中いきなりそれまでの空気をぶち壊したの観た時(内容はネタバレの方に)、「ああ、これは誰もついていけてないんじゃないかな(前のおじさんは携帯いじり始めてたし)」と感じました。演者さんが手を抜いている訳ではありません。ただ、観客に向けて笑いをとりに来たり、という場面でもほとんど誰もクスリともしてなかったかと。自分ももう「何が起きているのかさっぱり」で唖然としてしまい、歴史などと全く関係ない普通の笑いのネタでも表情が引きつって笑う事ができませんでした。脚本/演出家の方は、観客に向けて何を観せどういう気持ちにさせたかったのか、それが知りたいです。

ネタバレBOX

ある劇団演者の方からのおさそいメール
(多分チケットノルマで送ってきた?)が来ているのに気づき、
「たまには新規劇団も開拓するか」という気持ちで急遽観劇する事にしました。
(演者さんの所属劇団自体はいつもとても面白い舞台を観せてくれる所
だったのもあって、ちょっと「信用」してしまっていたのかもしれません。)

内容については「面が出る?」程度の前提知識しかない状態でした。
(ちゃんと必要な前提知識がある事を調べておけばよかったですね。)


会場に入場すると開演30分も前から、不思議なBGMの中
舞台で1人の演者さんが舞?のようなものをゆっくりと踊り続けていました。
(ちょっと変わった空気感に興味を覚えましたが、
能その他古典系の(昔言葉を使う)劇なのかな?と
その方面に弱い自分はちょっと不安になりました。)


実際舞台が始まってみて、
・ 「昔言葉」で言っている事がよく理解できず、進んでいく場面の状況が理解しにくい

・ 「何を言っているか」だけでなく、「何をやっているか」も理解しにくい
  (こういうのは史実か何かで前提知識が必要だったのでしょうか?)

・ 「歴史」「日本史」「歌(百人一首など)」に絡めたネタが
  本筋および途中途中に差し込まれる笑いの場面に入っていましたが
  その辺も教養不足の為か、よく分からずついていけない、笑えない

という状況で、「まあ、古典系の劇で自分の教養不足じゃあ仕方ないな、
多分そういう分野が分かっている人たちはお話も理解できるし
きっと楽しいのかな?今回は自分にはハズレだったけど
演者さんの演技が悪い訳でもないし”評価なし”って感じなのかな、
とりあえずどう終わるのか見届けよう」と思っていました。




しかし、
(途中途中にも本筋を無視したような笑いの場面は入っていましたが
まだそれは許容範囲内だったと思いますが)
いきなり今までシリアスな演技をしていた人たちが
ぶっちゃけた感じになって会場に話しかけだしコールを要求しだした時から、

「なんかおかしいぞ?何が観せたくてこんな流れにしたのかさっぱり分からない」

と舞台の流れに異常なものを感じました。

その辺りから周りのお客さんの空気も、はっきりいってノれていない
(舞台観ないで携帯いじってる人までいる始末)、
という感じなのが分かりました(全員そうかは知りませんが、
笑いの場面から何から全然笑い声もあがりませんし
隣見てもまったくの無表情でした(自分もですが))。

演者の方が必死で笑いやコールを要求しても誰も反応しようとしません。
(演者さんが必死であればあるほど見ていて(言い方は悪いですが)
哀れな感じすらありました。)


その意味不明な場面転換から更に元の話に戻したかと思ったら、
今度もこれまた「さっき刺して殺したはずの相手」などが普通に出てきたり、
ぶっちゃけたはずの女の人がまた本筋のシリアスな演技を始めたり、
はっきりいってついていけません(さっきのはなんだったんだ?と)。


劇中に違った場面、コーナーを差し込む舞台というのもよくありますが、
完全に自分達の舞台の空気を自分達で壊している感じでした。


※ タチの悪い自慰行為を見ているかのようで嫌な気分にさせられました。
  この作品の脚本/演出家は、いったい何を観せたかったのでしょうか?
  客をどういう気持にさせたかったのでしょうか?
  ああいう形で笑いを取りに行くつもりだったのなら、
  最初から喜劇として作るべきだったのではないでしょうか?

何もかもがよく分からないまま、タイトルの「袖」がぶら下がっている場面が
出てきて舞台終了。
(何がどうなってどういう形で終わったのか、自分が無知だからかも
知れませんがさっぱり理解できません。)

終演後アンケートのお願いをしに来たスタッフの表情からも、
「多分自分たちのやっている事がどういう評価を受けているか」
は理解しているのではないか?
という気がしました。


こういう舞台に当たっちゃうと劇団を開拓するのが嫌になるんですよね、
すごい憂鬱な気分にさせられました。
(2度と案内メールなんて信用しない。。。)
OVER SMILE

OVER SMILE

企画演劇集団ボクラ団義

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2013/09/26 (木) ~ 2013/09/30 (月)公演終了

満足度★★★★★

観劇すればするほど気付きのあるスルメのような舞台
同じ舞台の感想2回投稿してすいませんm(_ _)m
初めて同じ舞台を2回観劇しました。当初の想像では「同じものを2回観るんだからどこかで飽きたりアラに気づいたりするのでは?」とマイナスのイメージがあったのですが、ボクラ団義さんの作品は毎作品脚本から演技から演出から何からすべてのクォリティが高い上、今回も「これでもか!」というぐらい手抜きがなくお客様を楽しませようというスピリットに溢れていたので2回目の観劇でも新しい発見だらけで驚かされました。なんでもないような台詞の1つ1つが実は軽めの伏線だったり(2回目だからこそ気づけた)、舞台上部下部で下部が暗転してる時もそこでもお芝居は続いていたり、(OverSmileでは手話という手法が取られている事もあって)1回目の観劇では気付かなかった部分でも手話で小芝居
(悪い意味ではなく見逃してもいいけど、知るとちょっとうれしくなるような、という意味の)が入っていたり。あと初回も思いましたけど改めて観て衣装と小道具(武器その他)がかっこいい!(大道具小道具さん裏方の皆さんの努力の賜物ですね)。それもあって殺陣がまた映えるなあ。あと舞台ってTVとは違って観る位置によってもまた違い印象を受けるんですね、
知らなかった。。。他劇団の舞台までは分からないですが、ボクラ団義さんは今後複数回観劇をデフォにしようっと( ´ー`)

ネタバレBOX

毎公演ごとに1回(それ以上も?)あるアフターイベント付き回、
どういうものか気になってたんですよね、
いやあとてもいいものでした。

いつもこういう構成という訳ではないと思いますが
楽曲提供のローズインメニーカラーズさんの生歌に合わせて
その楽曲を使用したシーン(中盤の盛り上げ部分)を再演してくれるとは
思ってもみませんでした。

舞台自体を見ている時は話の流れに夢中で注目しきれていませんでしたが
殺陣・アクションがとてもダイナミックでかっこよく惹きつけられる
(激しいだけでなく人と人とのかみ合わせも見事)、
場面としてスーちゃんがさらわれ牢屋に入れられて、と会えない状況になった時の
オーレイの届かぬ想いを伝える手話

「鳥の鳴き声を聴いたんだ、今は君に伝える事ができないけど」

という場面で涙腺を緩ませ、と
あの場面にこの舞台全体が凝縮されているようでした
(音は生歌オンリーで無声で演じるのがまた歌と演技をともに引き立てあっているようでした)。


いやあ、やっぱり舞台っていいものですね( ´ー`)
水野晴郎風に締めてみる


あの場面良かったです、オーレイが亡くなる時、
手話でスーちゃんに「好き」と伝えていた所
(初回は見逃してしまいました、2度見で得したなあ、という気分です)。
OVER SMILE

OVER SMILE

企画演劇集団ボクラ団義

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2013/09/26 (木) ~ 2013/09/30 (月)公演終了

満足度★★★★★

ひさしぶりに舞台観劇で泣かせてもらいました
もうめっっちゃ沢山色々な気持ちもらったので、それこそこれから観る人の為にネタバレは避けつつそれでも全力でオススメしないとという気持ちに( ´ー`)ひさしぶりに全力押し舞台です…とにかく演劇の流れのテンポの良さがまず光りました。メインストーリーに対して泣きと笑いの小ネタ大ネタ、アクション、ダンス、その他演出表現が入るテンポとタイミングの良さは、叙述トリック(言葉忘れてしまいました)と並んでボクラ団義さんのお家芸、お箱だという事は分かっているつもりだったのですが、その中でもこれまたお見事というレベルだと思いました(引きこまれすぎて時間の感覚忘れました)。ヒロインの手話(字幕)を観る度に涙腺が緩み、そうかと思えばぶっこんでくる笑いのネタに笑うのを止める事も出来ない、そうしていながらメインストーリーは進んでいき、そして…というまさに演劇として観る人を楽しませよう、その気持ちを引き込んでやろうという力作だったと思います。

ネタバレBOX

以前、先に別劇団の公演でOverSmileを観ました(観てしまいました、というのが正しい?)。
そこでは「うーん、設定その他いい所もあるのに(はっきり言っちゃうと手話のヒロインが本当に喋れない人なのかな?と思うぐらい演技がうまく感じた事と、あと堀川りょうさんの老人/グリーンなんとかの戦士としての演技に好感が持てた(多分声が上手い))、殺陣その他による世界設定/背景の表現がイマイチだな、なんかお話が凝ってる割に実際の演技で浮いてしまっている(世界観を小さく感じてしまう)」
というマイナスの感想を抱いていた作品でした。
(その後でボクラ団義久保田唱さんの脚本だった事を知りました。)

で、今回Play Again vol.3として、やっと本家ボクラ団義のOverSmileが観れる事になって、
「ああ、お話知らなければ良かったな、初見の感動は味わえないかも…」とちょっと不安がありました。

でも、舞台が始まり、スーちゃん(フォンチーさん)の手話(+字幕)を観る度に何故か涙腺が緩み
(最初はお話を既に知ってしまっているから、悲しい方向に進むからかと思いましたが、
最終的にフォンチーさんという演者さんとその手話、セリフ(字幕)の内容自体が涙腺に響いていたのだな、と思います)、
演者それぞれがぶっこんでくる小ネタ大ネタに笑いが止まらず、
しかもお話も進めば進むほど(多分初回公演時と比べ、今回かなり脚本内容もいじってきたのかと思いますが)、
・ 三色の国それぞれを表現する各演者の演技/演出
・ 殺陣および場面間をつなぐダンスその他の演出
を観ていく中で、
「自分が以前観た(つもりになっていた)OverSmileとは違うこれが正真正銘本家本元”ボクラ団義”のOverSmileなんだな」
という気持ちになり、はっきりいってその先の話の流れについても
過去の(別劇団の)記憶と被らず、初見の気持ちになれました。
(実際、脚本自体も前観たものと違い、かなり凝ったものになっていましたし)

途中、グリーンなんとかのリーダーがヨーヨー芸を度々披露するシーンは、
たまたま「ボクラTV」で一度ヨーヨー芸世界チャンプの技を観せてもらっていて
既に知ってしまっていたネタの為、
「ここまで押さないでもいいかな?笑い取りに行き過ぎかな?」
とか思ったりもしたのですが、実際こういった小ネタ大ネタを挟んでいる理由が、
最後の最後に
「(ネタバレ)お爺さんが実際に一度観た風景を表していた為こういうシーンが見えた」、
という叙述トリック?である事を知り、「うわー、またひっかかったー、見事に頭の中で
ピースがハマったー」という、脳トレ的な快感でした。
ほんとどこまでも凝り性ですよね、久保田唱さんは( ´ー`)

実際、別劇団で観た時は「引き込まれなかった」為、話の本質/本筋をちゃんと観ていなかったようで
スーちゃんがオーレイに対しては目をそらされる事覚悟で本気で意志を伝えていた事、
青の人(すいません、ゴロリというキーワードしか思い出せないm(_ _)m)にはいつも
笑顔で視線を合わせていた事、などからスーちゃんの本当の気持ちがどこにあったのか、
なども今回の観劇で痛いほど伝わって来ました。


自分が一番気に入った(気になった)場面は、
終盤赤+青の連合軍が緑を倒そうとする場面、
緑の不幸な女性の苦痛の叫びや争いの叫びの中で、
オーレイとスーちゃんだけが
「こんな状況でも、ちゃんと耳を澄ます事ができれば?小鳥のさえずりも聴こえる」
というような事を手話でやりとりしている場面が、
・ 舞台演出側の視覚/聴覚表現

・ 手話(+字幕)でやりとりする2人の世界
を見事に分けていた事、そして
一瞬の静寂の中で小鳥のさえずりが実際に(演出で)流れる場面でした。

ほんと表現がうまいな、と集中して観劇している自分と別の自分が感心していた感じです。


その後、老人と出会ったカップルの視点が実は老人の視点であった事の示し方
(演技のリプレイ)もこれまた素晴らしかった上、
最後の最後(現実だったのかどうかは分かりませんが)
スーちゃんとオーレイが2人で再開し、
「私の声はどう?」
「まるで囀る小鳥のように綺麗だよ」
とやりとりする場面は、本当に「ああ、こう終わってほしいよな、観劇する側の夢だよな」
となんだか悲しいお話の中で温かい気持ちにさせられました。


PS.
・ 待ち時間が長い人の事を考えて前説時間を15分に増やしてくれた事の功罪(??)
  久保田さん達の前説に集中してしまい、パンフが読めませーん!
  1時間前入りとかにさせてもらえるとパンフも読めて前説も聴けてありがたい・・・

  竹花さんの自己紹介ダンス?はおもしろいですね、
  ぜひ動画化を希望します。

・ 前作からの豪華パンフレットが開幕当日に間に合わなかったというショック!
  前作で「これまでのアフターパンフに比べ、これだけ写真も記事も厚い内容なら
  それこそ舞台観劇後、当日夜から週末までずっと思い出に浸れそう」
  と思っていただけに、今回間に合わなかったのはショックでした。
  (記憶が刻一刻と薄れてしまい、感動が薄まってしまわないか、が怖い…)

  あと「さよならの唄DVD&BD」も間に合わなかった(´・ω・`)
  まあ、こちらはいずれ観れればいいのですが

・ 今回は初めて複数回かつアフタートーク付きも観劇するので、
  「ボクラ団義のアフタートークイベント、一体どれほどのものか!」
  と非常に楽しみです。

※ 前回の豪華パンフ刷りすぎて余ってしまった、との事ですが、
  何か劇団紹介的な内容も盛り込まれていれば、それこそ複数冊買って
  友人連中にも配れるのですが…
  (演劇自体から遠ざかっている連中にBeforeパンフ?、Afterパンフだけで
  ボクラ団義さんの魅力を伝えるのは結構難しいものがあるので。
  特に小中学生には…)
  今後その辺を期待したいと思います。


長文失礼しましたm(_ _)m

PS2.
この時点でまだBefore、After両パンフ読めてません( ´ー`)

あ、フォンチーさん可愛いなあ!という一言を追記
ミハルの人魚

ミハルの人魚

X-QUEST

駅前劇場(東京都)

2013/08/17 (土) ~ 2013/08/25 (日)公演終了

満足度★★★★

爆笑劇なのか考えさせられる劇なのか、観る側の取り方次第で変わってくるお話
下北沢駅前劇場という少々せまめの劇場内で、
X-QUEST=殺陣/大立ち回り、と想像していたら
会話劇5割、殺陣より場面表現的なアクション寄りの作品でした。
場面転換の早さ、メイン/サブストーリーのつながりなど
まったく追いつけない部分が多々ありましたが、
目前で繰り広げられる会話劇のおもしろさと
劇中で絡み合う何本かのストーリーの舞台表現(演技と踊りその他)などに
気持ちを持って行かれてしまって、
「いいや、話なんてよく分からなくても”面白ければ!”」
という気持ちにされてしまいました。
楽しい100分でした。

ネタバレBOX

かつてTVでまで取り上げられた元人気手品師とその妹(を名乗る女性)が
福島のあるお祭りで手品ショーをやってほしいという引き合いの元に
向かう電車の中、


と思ったら、いきなり

・ 海の中(?)から這い上がる青年と人魚(男子)との出会い
  そして地上人類にとって変わろうとする人魚(魚人?)

・ 人間は猿から進化した(ホモ・サピエンス)説に対して
  海から陸にあがりまた海へ戻って更に陸へやってきた(ホモ・アクアリウム)説を説く学者

・ 元は有名だったが訳あって福島で開業した精神科医(催眠療法士)

とそれぞれがそれぞれのお話を進めていくのですが、
観ていて話がうまく噛み合いません、
ポンポン変わっていく場面転換の早さに
「これは誰かの精神世界とかそういうものを表現しているのかな?(最終的に正解だったのか(??)」
など色々混乱しながら観ていたのですが、

・ 人魚2人(前作では確かド派手な殺陣を観せてた人とおねえキャラの人)

・ 学者の説明(ボクラ団義の「さよならの唄」でストーリーテラー的な役割をやってた人、X-QUESTだったんですね)

の会話劇、などが面白くて
「まさかX-QUESTさんがアクションでなく話劇で来るとは」という
いい意味での騙された感と、各場面場面に入るダンス表現など
メンバー全員の身体を張った部分にかなり気持ちを持って行かれました。

「この先どう進んでいくんだ(??)」と想像しながら観ていても
最後まで想像を裏切る展開の連続に「もう、話を理解する」
なんて考えるのやめよう、目の前で起こっている事をそのまま受け入れよう、
という気分にされました(自分としては珍しい事ですが)。

爆笑劇のようでいて、福島の海や進化の話など結構深いネタも
突っ込んでいるという考えようとすれば考えられる部分もかなりある作品でした。

それにしても、前作ブルーアップルに引き続き今回も海と進化をメインネタの一つに
持ってきているという事でX-QUESTさんはその方面がお好みなのかしら?
でも未来には君がいる

でも未来には君がいる

RayNet

青山円形劇場(東京都)

2013/08/14 (水) ~ 2013/08/18 (日)公演終了

満足度★★★★

おもしろい劇場だなあ、ミュージカルも好演
「井上和彦さんボイスのミュージカルってどんなんだろう?」
ぐらいの興味から観に行きましたが、
ミュージカルの中心は若手メンバーでした。
青山円形劇場の三重丸構造
(真ん中が舞台、その円周にキャットウォーク?で◎状態、
その周りを更に観客が360度囲む)の形態に対して、
真ん中舞台、円周、観客席の間に設けられた6本?の通路を
使っての場面の演じ分けが、青山円形劇場自体
初めての経験でしたが、かなり上手かったな、と思いました。
(劇場自体を出たり入ったりの感じはカプセル兵団の
笹塚ファクトリーの使い方に近いかと)

メインテーマ的に流れていた曲(自作?)と
ダンスと各人の歌もかなり良かったので、
「ああ、こういう形のミュージカルもおもしろいなあ」と
いい気分で劇場を後に出来ました( ´ー`)

ネタバレBOX

終戦後頃に関わるような話、というような前情報以外
掴んでいなかったのですが、
舞台上にぶら下げられた2013のロゴから
「現代を意味してる?あるいは劇場自体のセット?」

舞台開幕してすぐ円周を時計の短針、長針、秒針、のように
回り出す演者陣から「時計?時間が関係する?」など、
色々推測しました。


で、かつて情熱に溢れすぎ、それが空回りしてしまって
何度も舞台を失敗させ、業界を何年も干されてしまっていた
演出家(だったかな?)が、世渡りを身につけたと
言わんばかりに愛想を振りまいて、
眠ってしまうほどつまらない舞台の通し稽古を終えて、
という場面からいきなりのタイムスリップ

時は1950年、敗戦後まもない時代の場末のバーに飛ばされて、
そこで敗戦後いろいろな想いをかかえて活きる若者たち
・ バーで働く若者、住まわせてもらっている医大生
・ 叔父(バー店長)に世話になっている事を申し訳なく思い、
  闇市その他悪い事をしてとにかく稼ごうとする者
・ その悪事を追う刑事達
・ アメリカ人相手のミュージカル劇場で働く者
達と関わって

そして未来へ戻っていくまでに何を得るか(取り戻すか)、
というお話でした。


最初、劇場の形式からいっても演者の入れ替わりが難しそうに見え、
「演者陣出っぱなしで歌と踊りを舞台でやる形の短時間ミュージカルかな?」
と想像してたのですが、先にあげたように三重丸の舞台構造を
うまく使ってお芝居の中にうまく歌と踊りを組み合わせて、
と軽快な流れで展開してました。


演者が男性オンリー(BGMでは女性ボーカルの歌もありましたが)という事で、
歌が野太くなってしまうかなー、とも思ったのですが、
各人それぞれいい声をお持ちでメインテーマとなる曲その他
見事歌い上げていました。


また、井上和彦さんはダンス参加はされなかったのですが、
その他のメンバーのダンスも真ん中舞台の中から観客すれすれまで
所狭しと(ダンスの種類は分からないのですが)
昭和世代の踊りやAKB、きゃりーぱみゅぱみゅまで踊り分けて
笑いと拍手につつまれていました。


思わぬ拾い物をした気分です、今回の演者陣もそうですが
青山円形劇場もぜひまた観に行ってみたいです。


PS.ただ、
・ 医大生(実は漫画家志望)ののび太くんみたいな若者が
  ちょっとお話から浮いてたかなあ、という気も…妙に推察力ありすぎだし。
  何かオチ(実は手塚治虫だったとか)が欲しかったです
  (あるいはそういうネタも振られていた?8牛のネタは分かりませんでした)

・ 先輩刑事が実は戦争後、人を撃ちたくてしかたない、
  というヒール設定はいらんかなあ、という気も
  (それまでいい人だったので)


ワーニャ伯父さん

ワーニャ伯父さん

演劇集団円

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2013/07/19 (金) ~ 2013/07/28 (日)公演終了

満足度★★

「何を伝えたい、観せたい」のかが見えない舞台
それなりに小奇麗かつ凝ったセット、小さな場面転換でも
セットを色々いじってくるなど演出面で凝った部分はあったものの
肝心のお話がさっぱり分からない。
(何を伝えたいのか、観せたいのか、など)

序盤、小さく笑いをとっていって「これは喜劇なのかな?」
と思っていたけど、中盤の盛り上がり以降も特に
お話の色も方向性も見えず、終わりまで見て
ほんと「何も得るものがなかったな」という気持ちになりました。

ネタバレBOX

確か前に演劇集団円さんの舞台を一度観た事があって、
それは面白かった、という記憶が。
また朴さんの舞台(あるいは朗読など?)を
何か1つ観ていてそれもおもしろかった記憶が。
という事でチケット取りました。

シアターウエストの真っ黒な舞台に対して、
ロッジ(ホテル?)風室内とその外の森を表現したセット構成、
これが場面場面でどの部屋にいるか、などを表現する為に
小さく変わっていくのですが、その辺は
「まあ、きれいな見せ方/演出だな」と思えました。


しかし、序盤(前夜夜更かししてしまった事もあって)
人物紹介その他を含んだ日常パートが平々凡々と進む中
うつらうつらとしてしまったのもあり、
どうもお話に集中できないし話が伝わって来ないが、
「それはあくまで自分の体調のせいかな」とも思っていましたが、

中盤以降お話が盛り上がり始めこちらも集中できるようになってきても、

・ 医者が人妻にモーレツアタック、それに対して「NO!」と拒絶し、
  「もうこの家を出よう!」と言う人妻

・ この家の土地の利子は2%にしかならないので、
  売って有価証券にして5%もらおう、
  といきなり言い出す教授(長男?)、
  それに対して「今までこの土地の代金を(一部)払い、
  守ってきたのは自分達だ、勝手な事を言うな!」
  とキレて銃まで打ち出すワーニャ伯父さん

と、この辺を主軸に話が展開するのかと思ったら
大して展開もせず、結局特に各人物の背景設定などの
掘り下げすらないまま、
長男夫婦と医者が出て行って元の生活に戻り忙しく仕事をする
ワーニャ伯父さんに対して姪のソーニャが
「私達は苦労ばかりでいい事なんて1つもないけど、
きっとこの人生が終わったら神様に色々と聞いてもらいましょう」
とよく分からない形の締め句を告げて終わり、
という

・ 喜劇にしては笑いも少なく
・ 悲劇にしては説明不足過ぎ、涙もなし

この物語は何を伝えたいのだろう、という事がさっぱり分かりませんでした。
(ワーニャ伯父さん、後半キレるまではっきりいって端役でしたし、
教授とか出番少なすぎて人妻の旦那が誰なのかすら
よく把握できませんでした(これは眠かったせいかも))

海外の逸話/物語か何かを、内容を日本向けに直さずそのまま使って
演じてみた、という感じがしたのですが、そこのところどうなのでしょう。


舞台開演前は、演劇集団円のパンフなどを見て、橋爪功さんなどが
関わっている事などを知り、
「これからはもっと観てみようかな」と思っていましたが、
アンケートも提出する気もなく撤退してしまいました。
(ほんとは途中で席を立ちたかった・・・)
宝塚BOYS

宝塚BOYS

東宝

シアタークリエ(東京都)

2013/07/23 (火) ~ 2013/08/11 (日)公演終了

満足度★★★★

終戦/戦後当時、男性も歌劇団を目指した事があってもおかしくないなあと
他舞台のチラシで、「かつて男性が宝塚の舞台に立つ事を目指した事が~云々~」
というくだりに興味を惹かれてチケット購入。
当日行ってみるとイケメン声優/俳優(入野自由君以外誰も分からんかったけど)
目当ての女性陣が9割近かったのでちょっと引いてしまいましたが…

終戦ほどないタイミングでの宝塚歌劇団へ
「ぜひ男子部を作って欲しい」という想いを手紙に綴った主人公(の1人)、
そして集まった宝塚男子部メンバー、それぞれの戦争/戦後の境遇と
宝塚の大舞台に立つ事にかけた想い、
(案内パンフで既にわかっていた事ですが)
それが叶わぬ夢と消えゆくまでを描いていて、
喜劇のようでありながらホロリと涙腺が緩む場面も多数、そんな作品でした。

俳優目当てで行く人がほとんどかと思いますが、かなり真面目な演技と
ダンスと色々で、一見の価値ありじゃないかな、と思います。

ネタバレBOX

冒頭、戦争/戦後の混乱期の中で歌とダンスと演技で一般大衆を喜ばせる宝塚歌劇団、
そこにあこがれ「男であってもぜひ宝塚歌劇団の舞台にあがりたい」
という想いが叶っての男子部設立、それに参加した7人の男性主人公、
それぞれが抱える想いや境遇を笑いを織り交ぜて語りつつ、
しかし「宝塚は女性のもの、男子など不要!」という上層部、女子部、ファン
その他大勢からの妨害により中々陽の目をみる機会を得る事ができずに、
演者、観客ともにはがゆい想いが延々と続きます。

基本舞台が練習場、寮、の2箇所なので、結構似たような場面が続き、
ちょっと話に起伏が欲しいなあ、と思いながら休憩を迎えました。
(ここまで1.5時間程度、ちょっと喜劇パートとはいえ長かったかなあ、と)


当初、「2年を目処(舞台デビュー目標)にする」という話だったのが3年過ぎ、4年過ぎ
(この辺から年の説明がないので実際何年経っているのか分かりません)
やっと「男女混合舞台をやる!」という話が持ち上がるのですが、
それも出ては立ち消え出ては立ち消え、台本まで用意されても
まだ実現されない状況の中、1人は病気で入院、1人はこの煮え切らない状況に
業を煮やして脱退宣言、もう1人は終戦後ずっと消息の分からなかった父親の
死亡通知が届いた事で肩を落とし、そして最後には
「宝塚歌劇団男子部は解散」と、ひっぱるだけひっぱられての
救いのない展開にお話としてはちょっと残念過ぎました。
(ここまで観ていて、1回ぐらい男女共演出来て終わるのかな、と思っていたので)


しかし、7人の夢の中なのか、あるいは誰も観ていない舞台を使ったという設定なのか、
とうとう7人+寮のおばさん(元宝ジェンヌの方?)の夢の舞台が
開催されました。

観客としても「待ってました!」と言わんばかりの拍手喝さいです。
昭和のテイストを出しつつも押しも押されぬイケメン声優/俳優達の
歌とダンスに目と耳を惹かれました。
そして、おばさんのソロ歌(美空ひばりさんの歌?)がこれまた聴かせてくれました。

そうして一瞬の華やかさの後、練習場に別れを告げ、
「とりあえず飲みに行くか…」と笑顔で集まる7人に
何か哀愁のようなものを感じました。




今でこそ、宝塚歌劇団は女性が男性を演じる独特の劇団である、と完全に認知された上で、
その他にも男性女性それぞれが活躍する場(歌劇、演劇その他)は
多数ありますが、昭和/終戦の当時には
「宝塚歌劇団」というものがそれ以上のものとして
一般大衆に希望を与えていたのかと思います。

そんな中、それを目指す男子がいたとしてもおかしくないよなあ、
そしてこんな結末をたどったのかなあ、と感慨深いものがありました。
キミが、No.1☆

キミが、No.1☆

劇団東京都鈴木区

遊空間がざびぃ(東京都)

2013/07/20 (土) ~ 2013/07/21 (日)公演終了

満足度★★★★

キャスト総入れ替えの「彼」編「彼女」編、対で観てこその面白さが
当日まで「どうして同じ芝居2連続取ったのかなー?」と疑問に思ってましたが、小さい劇場での3人芝居、それも再演の「~彼はサ、サ、サ、サイボーグVer~」(男1、女2)と合わせ、新規の「~彼女はサ、サ、サ、サイボーグVer~」(女1、男2)というWキャストでなくキャスト3人総入れ替え版(男女逆転版?)が観れる、との事。
1話1時間との事で、いざ「彼」編から順に見てみると、ちょっと物語に気持ち的な物足りなさ(もうちょっと観たいかな)も残りましたが、次の「彼女」編を見てみると、さっき見た内容のほぼ同配役(男女逆転)で、メインキャストが「彼」から「彼女」に設定が入れ替わっている為、視点の違いや織り込まれるネタなど色々な部分が変わっている、ただしメイン設定は引き継いでいる、などからその内容/視点の違いを大きく楽しむ事が出来ました。前回は「彼」編のみだった、との事ですが、僕はぜひ「彼」編「彼女」編セットで楽しんで欲しいなあ、と思いますね。

ネタバレBOX

1話1時間と短めのお話でしたが、「彼」版を見た際には
単純な笑いあり泣きありモノかと思っていたらそうでもない
結構動くストーリー展開
(途中いきなり織り込まれる彼女の謎の行動に対する疑問ミステリ
(それまでの説明からすぐ視聴者側にも回答は想像出来てしまいますが))
に「アレアレ?」と思っちゃう所もあり、時間が長く長く感じました
(あれ?1時間にしては話コロコロ動くなあ、って)。


テクノ先輩が未来から来た自分の子供だったり、
サイボーグ「彼」が記憶をどんどん取り戻していったり、
話が展開していきますが、彼女が選択するのは
「彼」がかわいそうだからもう初期化してあげて・・・

自分としてはパンフで歌っていた「思い出を再インストール?」
という触れ込みから、もう少し思い出ネタで泣かせてくれるのかな、
と思ったのですが、そこは脚本がライトだったのか、笑い中心だったかな、
と思いました。

1回目では、「彼」が死んで、サイボーグとして復活して、
思い出を語って、デートで東京ゴニョゴニョ(大人の事情)シーへ
行って水をかぶって、記憶を取り戻してエンド、という流れに
笑いは十分取りつつも、ちょっと涙分が足りないかなあ、など
(脚本の長さゆえ?)気持ちに物足りなさも感じていましたが、

2回目「彼女」編を見なおして観ると、
さっき観た内容のキャラ設定で今度はさっきの「彼女」の方が死んで
~~の流れの中で、「彼」編との違いや、同じ泣き所でありながら
「彼」と「彼女」が入れ替わってる所、など胸にストン、と落ちた気がしました。
「彼」編でちょっと物足りない、と思ってた彼、彼女、の心情の一部が
「彼女」編で視点を入れ替える事によって補完されたような・・・
(自分としては、「彼女」編の方がお話として好きなのかも・・・あるいは観た順ゆえか?)

あと「サイバー先輩」(いろいろ噛んだりトチったりもしてましたが)
キャラ立ちすぎ、あまりに面白すぎるおっさん
(未来から来た子供って、エッΣ(゚Д゚)
にかなりハマってしまいました。

それにしても3人芝居ゆえのテクノ/サイバー先輩のモブキャラぶりが
すごかったですね、「お前たちにもしもの事があった時の為に見張ってる!」
にしても、恋人がシーで絡むモブが全部先輩って所に笑いました。
(特に夜のパレードだけキャスト落ちた・・・ってネタが)


そうそう、最後はテクノ/サイバー先輩の夢オチになりますが、
「どこまでが夢だったのか」がすごく気になりました。

「全部が夢で実際ただの先輩後輩」なのか、
あるいはテクノ/サイバー先輩はやっぱり未来人で
その親である「彼女」「彼」が恋人を亡くしてからの行動部分が夢だったのか、
最後紹介される「道着を来て出てくる「彼」「彼女」」
(彼女はちょっと柔道家似合わな過ぎだったので別ネタで入れて欲しかったなあ(しかし「彼」編の逆バージョンだから合わせたのかな)と思いつつ)
が出てきた所で、物語の締めくくりを視聴者によっていくつかの方向に
取れると思います。
まあ、そこは観客側が想像して楽しむ部分ですかねー( ´ー`)

※ 自分は名前の違いに気づきませんでした。そうするとオチは決まるのか・・・


1話だと短編3人芝居ですが、2話合わせて観て初めて考えさせられる部分
(「彼」編で「彼女」が思った事、「彼女」編で「彼」が思った事が補完されているような)
この2話はぜひ1セットで観た方が楽しめるなあ、と思いました。


ちょっと今回は買えませんでしたが、上演台本をPDFで販売してくれる、って
いうのはいいアイデアだなあ、と思います。
物販上コピーとかされちゃうのは怖いけど、iPhone/Androidなどで物語を
振り返れる、っていうのは通勤/通学の楽しみにもなるかなあ、と。
ただ今度はヒーローアゴーゴーのDVDとかも出して欲しいですね、あの2話まだ見れてないので
超鋼祈願ササヅカイン~新たなる脅威~ 

超鋼祈願ササヅカイン~新たなる脅威~ 

カプセル兵団

笹塚ファクトリー(東京都)

2013/07/11 (木) ~ 2013/07/15 (月)公演終了

満足度★★★★

殺陣を超えたスーパー特撮バトル演劇ですね
カプセル兵団さんを最近知ってから、いつも話題にあがる「超鋼祈願ササヅカイン」、ずっと気になってました。1話の上映会とか行けなかったので今回DVD購入しつつ、パンフで基本説明だけ読んでの鑑賞だったのですが、日本の特撮系アクションに笹塚人情ドラマまで入って、ほんと楽しい作品でした。
最初単純に笑いを追う場面が多かったのですが、だんだん涙腺の緩む場面が増えていく上に、カプセル兵団さんならではの演出方法(パントマイムのようなアレ、なんて言うんでしたっけ?)やただの殺陣ではない黒子さんも手伝ってのアクション、とても見ものでした。言葉で情景説明したりと、結構観客の想像力に挑む場面が多かったですが、自分はほんと仮面ライダーその他の特撮ヒーロー物の劇場サイズを観てる気分になれましたね。次は「からくりサーカス」のDVD(あるいは再演)に期待したいなあ( ´ー`)

ネタバレBOX

自分はダストシューターズからカプセル兵団さん見始めたのですが、
やっぱり笹塚ファクトリーでのカプセル兵団舞台は水を得た魚のように、
あのちょっと狭めの舞台を前後(観客席ど真ん中)左右、
場面の転換やシーンへの飛び入り演出など、
観ている前で人も劇も動きまくって
ほんと大劇場にでもいるかのような気持ちになれました。
(笹塚ファクトリーの使い方はカプセル兵団さんが一番うまいんじゃないかなあ)

ドラマの部分も、「あ、おまえは!」のように、誰かが登場するのか!
と思わせた場面で次のシーンへ転換するなど、
うまい演出だなあ、と思わされました。


自分勘違いでネギオさんがササヅカインに変身するものと思ってたんですが、
別人だったんですね、
ササヅカインVSササヅカインダークネスのバトルで

・ スーツアクターVSスーツアクター

・ ボイスアクターVSボイスアクター(僕の回は関智一さん)

実際声を当ててる人が隣にいる、っていう時点で笑いを誘ってましたが
リアルにスーツアクターが戦闘服を着てアクションしてる所に、
生で台詞が当たっているのが
TVで観てる特撮アクションの現場にいるかのようなすごさを感じました。

お話の方は前作の続き、という事でちょっと出演者達の背景があまり分からず
前作観てたらもっと楽しめたのかな、という気持ちもありましたが、
笹塚で生活する商店街の人たちや、夢に迷う子供達、
人生に迷うネギオ(自分もフラフラ生きてるのでまるで
自分の事のようなネギオの境遇と心境、その変化に何か得るものがありました)、
笹塚を守る警察と今回の悪役、
そのそれぞれに色々な想いがあり、
またその背景を難しくないように分かりやすく描いてたので、
最初笑いと特撮アクションだけのお話を想像してた所を
ちょっといいお話感まで出てきて涙腺が緩んでしまいました。


ただ、ササヅカインとササヅカインダークネスのかっこいい衣装と
殺陣、黒子を使ってのそれ以上の特撮系アクション、
などぜひ今の子供に観て欲しいなあ、と思いつつ、
結構な下ネタも放り込んでくるので、子供にはどうかなあ、
とも迷うところでした(最前列とか結構子供いるのに気付いて驚きましたが)。


しかし、今までカプセル兵団さん観てきて
「お芝居も、その独特の演出方法も、ほんとおもしろい劇団だなあ」
と思うのですが、有名ゲスト頼みの集客や一部お話を切ってまでの
有名ゲストのトークパートはどうなのかなあ、と最近思います。

有名ゲストのファンの方がかなりの数いるようで、
普通の演者さんの色々なネタにチラホラと拍手が出る所を、
有名ゲストがやるちょっとした事(ネタでなくても)にも大爆笑
(確かにTVその他で目や耳にするあこがれのあの人のあの姿が!
と思うとその喜びようも分かりますが)、
更には有名ゲストとのアドリブパートまで作って
完全にお話を一度ぶった切ってるなあ、と。

俳優兼声優の方を呼ばれる事が多いですが、
ササヅカインは特にスーツアクターの声を当てる、という役が
ちゃんとあるので、そこで色々アドリブやるだけで十分
有名ゲストを呼んだ効果は出ていると思うのですが、
10分以上を有名ゲストの持ちネタその他に当てるのはどうなのかなあ、と・・・

舞台集客その他の難しさは分かりませんが、
1本のお話を観る側としては、お話中心で楽しませて欲しいなあ、
という気持ちがあります。
笑う警官

笑う警官

グループK

笹塚ファクトリー(東京都)

2013/06/18 (火) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

TVよりも豊かな表現方法で人気刑事ドラマの二時間スペシャル版を観劇したような感激が
パンフを軽く読んだ上での観劇だったので、「警察官」のあり方/考え方、
などについて突っ込んでいく作品なのだろう、ぐらいには思っていましたが
道警(北海道警)で発生した殺人事件に対して捜査を外されてしまった
刑事達の独自捜査と警察の暗部に関わる大きな事件とのつながり、
主人公刑事「佐伯」の過去の経歴から発症したPTSD/ナルコレプシー(眠り病)、そして妄想、
それと対比するかのように悪役部長刑事「石岡」の警察組織での中間管理職としての”悪行”、
被害者女性への依存、しかし最後の最後で悪に徹し切れない自分
(警察官としてのあり方にさいなまれる)、
などいろいろな設定/伏線がそれぞれバラバラにどんどん投入されてくるのですが、
それがいつの間にかつながっていき、そして物語自体が色々な方向から
最終的な結末へ向かうという、場面はずっと「バーの中」なのに
刑事達の捜査活動や思考/検討、葛藤そして反目、
そういった人間ドラマが目の前で所狭しと繰り広げられていて、
かなり夢中にさせられてしまいました。
終わった時には「まさかここまでいいもの観せてもらえるとは」と
胸の中が一杯になってしまいました。

「次は1年後を予定しています」との事でしたが、必ず観に行きたいですし、
待ちきれない気持ちもかなりあります。

ネタバレBOX

この舞台を観て、「すごい!物語が心に入り込んできたし、感動した!」と
感激しているのですが、その中で出てきた全部の設定や伏線その他については
記憶しきれなかったり、理解したつもりの内容自体が実は間違っていたり
(作者の意図と違ったり)、という部分が多々あるかと思います。

以前、すごく凝った脚本を書く別の劇団の舞台でも全設定/伏線とその回収/演出の理由などを
全て把握しきれなかったのにショックを覚えたのですが、ある人に
「物語について全部を全部正しく理解するという事よりも、まずこの舞台を観て自分がどう思ったか、
感動出来たかどうかが重要では?」という言葉が胸に響いたので、
自分がこの舞台を観て考えた/感じた内容をまず列記します。

※ 一言で感想を言えず(言いたい所、感情の動いた所が多すぎて)、
  ひさびさ長文を書いてしまいました。


・ 笹塚ファクトリーというとセットにあまり凝れない
  小箱のイメージがあったが見事に隠れ家的地下バーを再現していました。

  (まだ観てないので内容は知らないのですが)
  ドラマ「探偵はバーにいる」のように
  本捜査を外された連中がバーに集まり
  「隠れ家バー裏捜査本部」とでも言うような
  状況を作って独自捜査を行なっている感じがよかったです。
  (雰囲気が良かったです。)


・ 開始直後、バーで居眠りする男「佐伯」(?あるいはママでしたっけ?)と
  謎の踊り子達、亀のジョージ(ロンサムジョージという奴でしたっけ?)
  の話が出たと思ったら、いきなりヤクザも出てきてSMチックに展開したり、
  それを「佐伯」が射殺してしまうという場面になって、
  「心に闇を持つ刑事の妄想劇」か何かなのだろうか?と
  初っ端からミスリードされそうになりました。

  結局は、刑事「佐伯」が数多く手がけたおとり捜査の中での不幸な経験から
  PTSD/ナルコレプシーを発症し、女房との中もおかしくなってしまったという体験が、
  ナルコレプシーで眠ってしまう度に妄想として
  更にハードになった形で妄想劇として登場してしまう、という事のようでした。

・ 道警の婦人警官が絞殺(?)され、恋愛関係にあったとされる同僚刑事が
  指名手配された上でいきなり捜査権を上に持っていかれた上に
  SATが要請され、射殺命令まで降りている、というかなり強引な展開。

  「これはあまりに異例すぎる、絶対何かが裏にある」と推理する刑事達。

・ そして、実は道警で裏金作成の仕組みが出来上がっており、それについての
  証人喚問に同僚刑事が出る事になっていた。
  これについて「歌う」(でしたっけ?警察内部の身内が仲間の情報をばらす)
  行為を行う事について、反感を持った別の刑事は、
  「この捜査からおれは降りる」と宣言して外れてしまいます。

・ その後の推理、捜査から
  ・ 同僚刑事と婦人警官は既に別れていた
  ・ 婦人警官は二股をかけていた
    ※ 実際は更に風俗で働くなど、かなり荒れた生活を送っていたようですが・・・
  ・ 婦人警官の持っていたTVや貴金属が質屋に売られており、
    それを売った空き巣(真犯人か?)が特定される
  などから、一度は仲たがいした刑事たちに再び連帯感が生まれ協力しあいます。

・ しかし、空き巣はあくまでも殴っただけ、殺人はおかしていない、
  元から婦人警官(風俗嬢と思っていた)は別の誰かと会う予定だった、
  その相手を自分は見ている(高級そうなスーツを着た男だった)、
  という事で更に捜査は振り出しに戻ります。

・ (タイミングが前後してしまってるかも知れませんが)
  道警上層部の裏金作成の仕組みについて、このネタをバラされるのを止める為、
  「どこかの権力者が裏から手を回し同僚刑事の犯行に見せかけた上で射殺命令を出した」
  という推理が行われています。

・ そして、今までの流れから考えて悪役部長刑事「石岡」こそが、
  婦人警官の恋人であり、殺人者であり、今まさに同僚刑事を射殺しようとしているのでは、
  という推理の元、刑事「佐伯」が「石岡」にその内容をぶつけますが・・・

・ 「佐伯」と悪役部長刑事「石岡」の2人きりの対峙、
  「自分も悪の親玉ではなく、更に上がいる、自分を捕まえたとしても状況は何も変わらない」
  という警察組織で実際にありそうな現状を語ったり、
  独白を続ける中で「佐伯」がナルコレプシーで眠ってしまった時に
  「こいつを殺してしまえば・・・」と行為に及ぼうとするも

  BGM「警察学校入校時の宣誓書」

  が流れ
  (パンフに記載があった時から気になってはいたのですが、このタイミングで
  出るのが本当に憎い演出だなな、と)
  警察官とは「この善意に基づくルールによって存在しなければならない」
  という事に思い至って葛藤して犯行を取りやめ、

  更には「佐伯」のみならず、「石岡」も悪に手を染める原因となった
  婦人警官(朝美でしたっけ?)への依存の情景の妄想演出が入ったりと、
  この場面は結構主役の「佐伯」を悪役部長刑事「石岡」が食ってしまったのではないかな、
  (それはそれで舞台として美味しい展開ですが)と思いました。
  特に「だったら舐めなさい!」とヒール/足を舐めさせられる場面など
  婦人警官と悪役部長刑事の実際の上下関係が露骨に見えていたと思います。


・ 物語の裏にある主題として(勝手な想像ですが)
  国家より警察権力という力を与えられ、正義という公務を成す警察官は
  「自分を正しく律する、高いモラルを持っていなければならない」
  という事が「警察学校入校時の宣誓書」にて語られていますが、
  今の時代
  ・ 医者だって命を救うという崇高な使命の前に
    お金も欲しい、趣味を持ったり楽しく生きたい、人間的な生活/労働環境だって欲しい、
  ・ 警察官や弁護士、司法関係の人間だってみんな同じ気持ち
  というように、「正義」が仕事だから心も「正義のみ」で構成されていなければならない、
  ではなく、普通に大人として社会で働く人として、
  もう少し「人間的に扱ってほしい、扱われるべきである」
  という(この物語でいえば)「警察官」とはどうあるべき、ではなく
  どうすれば良かったんだろう?
  ・ 「佐伯」の心と家庭は壊れなかったのか
  ・ 「石岡」は悪に手を染める事はなかったのか
  という点が、この2人を対比しつつ、観劇者側に対してもつきつけられているのではないか?
  と思いました。

・ そして、亀のジョージは「100年間何を考えていたのだろう?」と精霊?風の女子が言っていたり
  「佐伯」が「友達になれたかな?」という語ったりしている部分は、
  昔ながらに「愚直なまでに生きてきた亀のジョージ」と
  同じく「愚直に刑事を行なってきた」自分とは
  似ている存在(その為に亀のジョージが物語に出てきていた?)
  という風に感じました。

・ 「石岡」に1日くれ、と言われ、バーで「佐伯」と同僚婦警が泊まる場面で
  暗転した際に、ここで物語も終わるのかな?
  と思ったら、翌日の場面につながり
  ・ 「石岡」は自殺
  ・ 警察、機動隊はバーの周りを包囲している
  そしてバーに突入、同僚刑事を射殺、という
  「まさかこんな悪い方向にオチるのか!」と思わせた所で
  実は同僚刑事は別のルートで既に証人喚問に到着していた、
  撃たれたのは(可哀想ですが)オカマの人(防弾チョッキ着用)、
  だった、という快活なオチ。

  ここで「佐伯」は笑います。

・ そう、ずっと気になっていたのですが、何故、この物語は
  「笑う警官」だったんだろう?
  
  色々な場面でそれぞれの警官は「怒ります」「葛藤します」「悪に誘惑もされます」
  「悲しみます」「苦しみます」「叫び出します」、
  しかし、どこがこのタイトルの”笑う”なのかが、
  自分には最後まで特定できませんでした。

  多分、上記オチの場面での「笑い」ではないのではないか、という気がしています。

  それこそ、物語を観ていた観客側が「笑えたかどうか」そういった意味なのかも、と・・・

・ 最後、チーママが「結婚します」宣言した後で、
  「佐伯」がママのお誕生日を御祝いしますが、
  そこで「結婚しよう」と言わないのが、ここまで物語を
  進行してきた、「佐伯」という人物なんだなあ、と妙に納得です。

  ママにプレゼントした「色紙?」には一体何が書いてあったんでしょう?
  かなり気になります、まさか「警察学校入校時の宣誓書」内容じゃあないだろうし

・ 1点だけ分からなかったのは、同僚刑事が身を隠した事その他について、
  度々情報を漏らしていたのは誰だったのでしょうか?
  仲たがいした刑事だったのか(それらしき事を確かに言っていた)、
  あるいはママの店で働くチーママ「マリ」かと疑いましたが、
  結局「結婚します」という報告があったのみでその方向にはなりませんでした。

と、物語を思い出しつつ(前後関係や認識は間違ってしまってるかも知れませんが)
これだけ色々な事を考えたり、感情移入したり出来たという意味で、
今年観た舞台の中では(多分)一番おもしろかったと思います。
(舞台はその脚本世界の大きさよりも、緻密な設定やドラマ、
とにかく感情を動かす要素こそ重要なのだなあ、と思いました。
特にドラマについては、「佐伯」だけでなく「石岡」、その他面々や更には
魔性の女のはずの婦人警官についてもドラマがあり、感情移入できる部分が存在しました。)




【気になった点】
・ 舞台演劇にしては台詞の口調があまり声を張らない感じだったので、
  一部聴き逃しがありました。席の位置のせいもあるのかも知れませんが。

  しかし、演技の前後関係で「こういう事を言ったのだろうな」と
  すぐ理解出来たので特に問題とは思いませんでした。

・ 笹塚ファクトリーの椅子がかなり劣化していました。
  真ん中が凹みまくっていたりとすわり心地が悪く、
  演劇中申し訳ないとは思いつつ、度々お尻のポジションを
  直すハメになりました。
  (中盤以降集中してくるとそれもなくなりましたが。)

・ これだけの物語、設定、登場人物が出る話だからこそ、
  アフターパンフレット的な全体像の分かるパンフが欲しかったです。
  誰がどういう人だったか、どういう理由で物語が動いたのか、
  という部分を、全部が全部「脚本家の想いを見せて!」
  とは言いませんが、色々思い出して楽しみたいです。




【お詫びというか】
・ TVの刑事ドラマの二時間スペシャルを観ているかのように、
  心を持ってかれてあまりに気持ちよく終われてしまったので、
  「この御礼はしないと」と笹塚駅で、
  しかも今回が最終公演という事で暑い日なのですぐにも
  冷えたものが食えたほうがいいだろう、と
  銀座コージーコーナーで(一応包装されてない食べ物は色々問題あると思ったので)
  袋入りのシュークリームその他買い込んで(かなり並んでたので時間かかったが)
  すぐ舞台に取って返して
  「舞台終了後で申し訳ないんですが、(・・・間・・・)
  あまりにおもしろい舞台だったので(しどろもどろ)
  ぜひお礼をしないとと思いまして(しどろもどろ)
  あの保冷剤入ってるんですが、1時間ぐらいしか持たないと言われてますので・・・(意味不明)」とお菓子をつきだして帰ってきてしまった。
  挙動って難しいね。営業経験あれば良かったな( ´ー`)
SUPER SOUND THEATRE MARS RED

SUPER SOUND THEATRE MARS RED

MARS RED制作実行委員会

舞浜アンフィシアター(千葉県)

2013/06/22 (土) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★

SOUND THEATERは舞浜アンフィシアターだとあそこまで豪華演出になるのか
SOUND THEATERの中では珍しく有名男性声優ぎっしり回で、お客様の9割近くは女子だったような。
えー、明日もあるのでネタバレは避けるとして私ごとですがちょっと前日徹夜してしまったのもあって前半少し意識失ってしまいました(舞台/朗読鑑賞の上で初の大失態です)。

それもあって一部兵士達の設定がわかっておらず、後半もうお話にまったく集中/感情移入できないかなあ、と残念な想像をしてたんですが、後半のお話と演者さんの演技の盛り上がりで見事に気持ちを引き込んでくれました。
笑い中心でありながら、色々なものを絡めたいい締め方をしたなあ、と思います。
前半(多分1、2分だと思いますが)見逃してしまった部分も観たいのでひさびさ舞台演劇のDVD注文しました。

ネタバレBOX

ちょっと箇条書きで
・ 舞浜アンフィシアターは広い、音響もすごい
  セットもMARS REDというSFチックを表現してるのか異質でありながら豪華
  今回のバンドは和洋折衷な曲調がこれまた「いい感じ」

・ どこかの情報でヴァンパイアになってしまった兵隊たちの話、
  というのは知っていたのですが、序盤いきなりいかにも
  ソルジャーという装いの人がワイヤーアクション?で
  10m近く引き上げたり後で今度は天井30m近くから降りてきたり、
  今までのSOUND THEATERにはないぐらいの豪華さでした。
  照明演出、スモーク、ファイアー、花火その他も当社比3倍以上。

  ※ ただ、あくまでも朗読劇は「まず話に集中したい」と
    いつも自分は思っているので過剰演出は
    ちょっとマイナスイメージもあったかなあと。

・ 大正時代、日露戦争後?、などちょっと歴史に詳しくない自分には
  初期設定こそ入っていけないものがありましたが
  ・ 地震で崩落した劇場に取り残された女子2人がストーリーテラー
    (後に片方はS級ヴァンパイアと判明)

  ・ ヴァンパイアという異質の存在が悪事を働く為、
    その対処の為にヴァンパイアウィルスに感染した
    ファンパイア兵士たちが活動している、という設定。
    後に日本軍の快進撃自体の裏に
    死人を元にしたヴァンパイアを利用していた、という
    「生きてる人の為なら死人を使ってでも勝つ事が重要(若者を活かす為)」
    「死人の尊厳を奪って勝ってそれで良いのか」
    という、大正SFストーリーの中でもちょっと重いテーマが

 ・ あとキャラ設定の中で石田彰さんが博士チックな発明の数々を行い、
   それを某デパートに横流しして設けていた、という設定も
   (後にその研究こそが、メインストーリーの大きな事件と
   物語のファイナルにつながっていくのですが)

・ 前半、休憩、後半パートの中、基本はヴァンパイア兵士達の
  笑いネタの多いトークを中心に進んでいくのですが、
  まず豪華声優陣のトークがおもしろい、そしてその中で出てきた
  「(チェスに勝つより)まずはクィーンを守れ!」
  「(ヴァンパイアになって夜しか行動できなくなったので?)
  天ぷら食いたいなあ」
  など、ちょっとした会話の中のネタが物語の最後に
  大きく胸に染み入るような意味を持つ事になる、
  という点が演者さんという言葉のプロと
  脚本という物語作りのプロ達の仕事として「いい味出してるなあ」
  と感じさせました。

・ ただ、今回演者キャスト数が7名と多い為、それぞれの設定が
  (特に兵士について)名前、個性、ヴァンパイアか否か、そのレベル、など
  ちょっと把握するのが大変でした(前半意識が飛んでたのもあって)。
  前回の「The ONE」のように新撰組を3人の登場人物で演じきる、
  ぐらいの方が朗読劇としては観る側にとっても理解しやすく、
  テンポもよく進むのかなあ、という気もします。


あと、公演終了後の物販宣伝で担当の人がムリに面白い事を言おうとしたのを、
石田彰さんが「アドリブダメなら下手に話伸ばすな!(笑)」のように
突っ込んでいたのが、声優スキーな自分にとってはたまらないツボでした。

またこういう豪華声優陣で色々なお話をやって欲しいですね。
朗読劇 私の頭の中の消しゴム 5th letter

朗読劇 私の頭の中の消しゴム 5th letter

ドリームプラス株式会社

天王洲 銀河劇場(東京都)

2013/06/04 (火) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

有名タイトルなので結末はみんな知っているだろうけど、それでもぜひ観覧してほしい
去年に続いて2度目の観劇だったけど、本筋以外は忘れてたのと細かい部分のネタは新しくしてくれていたようで、初めての気分で観れた。それにしても福山潤さんの声と演技はすごいな、声優なので声の良さは分かるけど、喜怒哀楽その他色々な表現を身体まで使ってあそこまで演じるとなるとそれこそ「演劇」と言ってもいいのではないかと思った。笑い所と怒り所、そして感情のたかぶる泣き所がとてもよかった。途中、ポケットからハンカチを出し目を拭っていたが、あれは本人も演技に感極まってしまったのだろうか?

ネタバレBOX

あと名前は分からないけどヒロイン役の人もとても良かった。(特にアルツハイマーの症状でキレやすくなったり、という怒りの表現が真に迫ってる。)

まわりの席の人、かなりの人数鼻をすすり涙を溜めていたと思う、自分は号泣までは行かなかったけど、やはり涙腺は緩みっぱなしだった。

あと、始まりからずっと2人がそれぞれの日記を読む、という形でお話が進むが、その掛け合いのペース/テンポの早さがこれまたすごいと思う。
どれだけ練習したんだろう?


ぜひ来年もやってほしいし、来年こそは全メンバー観てみたい、お金貯めようっと
イカルスの星

イカルスの星

ヅカ★ガール

小劇場 楽園(東京都)

2013/05/31 (金) ~ 2013/06/22 (土)公演終了

満足度★★★

光るものはあるかと
パンフなど設定は軽く確認していたとはいえ、
序盤、発声も演技も「学生の遊びか?」と思わせる
程度の出来に見え、「これで1時間半はツラすぎるな」
と思っていましたが、
中盤の夜間シーン以降お話がシリアスな方向に向かうにつれ
舞台の雰囲気も演技も、それぞれがそれなりに
自分を引き込むものになったな、という気がします。

もう少し演技と脚本を磨いて、
次は対面式の舞台で観てみたいなあ、と思いました。

ネタバレBOX

3月頃「プロレスを題材とした舞台をやる」という
情報だけツイッターで見てなんとなくで
チケット応募してしまいましたが正直6月時点、
どういう劇団がどういう話を演じるのか、
という部分をまったく忘れていました。
(どういう集まりの方なのかも確認していませんでした。)

劇場自体かなり狭い上、部屋の角の舞台に対して
L字に客が座ってそれぞれの面から舞台を眺める、という独自構成。
正直椅子の間隔が狭く、デブな自分には観劇するの自体がツライ、
という状況でした。
(更に角舞台の真正面(L時の角部分)にはけ口がありましたが、
そこを見るには首を90度以上右に捻らねばならず、
首がつりそうでした。)

で、序盤明るいムードで始まった舞台はといえば
(言い方は悪いですが)
適当な流れで適当にお話が進んでいる、という感があり、
正直学生が学校で遊びでやる分にはともかく、
これでお金を取る、というのはどうだろう?
と本気で思いました。
(座席の構成上席を立つ事ができなかったのですが、
立てていたら自分は帰っていました。)

しかし、中盤の夜間の場面以降
(お話自体は伏線も何もなしでいきなりな感じでしたが)
シリアスな内容になるにつれ、舞台上のリングの観せ方や
演技の内容にも変化があり、序盤笑いも何も起きず、
本当に空気でも眺めているかのように時間が過ぎていった事からすれば
かなり引き込まれるものがありました。

場面転換その他と関係なく、いきなり歌い始めたり、
最後なぜか踊り始めたり、といった部分、訳の分からない所は
多々ありましたが、1本通して観ると、ちゃんと起伏に富んだ話に
なっていたかなあ、と。


あと、最年長レスラーのなんとかさん?や、
新聞記者のなんとかさん、などは
設定自体が入りやすいもの、というのもあったかと思いますが、
「演技が出来ていた、キャラが立っていた」かなあ、と。

どういう集まりの旗揚げ公演なのか分かりませんが、
今後頑張って欲しいなあ、と思いました。

PS.有名劇団の役者さんでも嫌がる人のいる、
   あのお客様との0距離での芝居をやってのけただけでも
   立派といえば立派かな。
リザードマン~Bitter Pain Dolls~

リザードマン~Bitter Pain Dolls~

劇団ヘロヘロQカムパニー

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★

コンサートもかくや、という超豪華演出
SF要素の入った特撮系設定の舞台としては最強と言えるほどの照明/映像/音響効果(従来を100%とすれば照明/映像は500%増し、音響は300%増し、といった所)。

特撮を表現するなら演技も殺陣も、この演出に勝るものはない、とは思いつつも。。。

ネタバレBOX

逆に今までのどの劇団でもありえないぐらい演出に金をかけている、
と思ってしまった事で物語の方に集中しきれませんでした。

丁度別劇団の舞台を観てきた後、という事もあり
「いくらなんでも演出に凝りすぎだろう・・・舞台の主役は演技では?」
と的外れな所でちょっと自分は引いてしまいました。


しかし、演出にまかせて演者さんの演技や殺陣が手を抜いているか?といえば
まったくそんな事はなく、とても必死に、とても丁寧に
情熱的に演じられていました。


そう思うと、
(前作の獄門島が究極のこだわりセット/大道具舞台として)
今回は「リザードマン」の設定を表現する上で
最高の表現方法を選んだのだなあ、と納得でき、
そこからは純粋に物語を楽しむことができました。
開演前に読んでいたパンフの中でも
「あれだけ個性的なキャラ設定をどうやって表現するのか?
(演技でどうこうなるレベルではないだろう)」
と思っていましたが、
あの演出効果で見事にそれぞれを表現されてました。
(蜘蛛の巣、壁と同化、とても強い鱗、イルカ、などなど)


そうやって中盤以降物語に集中は出来たのですが、
しかし、全労済ホールスペース・ゼロはあまりに広すぎる、
演者さんの必死の演技もあまりの距離の遠さに
自分には体感/共有できないものがありました。
(あくまでも遠くから眺めている、という感覚でした。)

途中、イルカと組み合わされた女の子の「1度だけ心を覗いてしまった」
というくだりあたりでかなり涙腺が緩みましたが、結局その他の場面は
(お話の設定自体に自分があまりのめり込めなかった事もあり)
結局お話に気持ちが入っていかず、
舞台を眺める第三者、というか、気持ちがかなり遠かったです。
(演目にもよるのでしょうが、自分には今回の舞台は
前進座ぐらいの大きさが限界だったかなあ、という気がします。)

また、これ以上ない演出方法も、多用しすぎで
どこがどう良かった、という気持ちが分散されてしまった感があります。
それぞれの場面で「おおっ!ここでもか!」という気持ちと、
同じく「ここもか・・・」という気持ちが両方あったのは確かです。
(もう少し厳選して使ってもらえたら、きっと「アレはすごい表現方法だ!」
とソコを褒め称える事も出来たのでしょうが・・・)

PS.悪い意味でなく、子供達がこの舞台を観たら大喜びして、
  舞台の世界に興味を持ってくれたんじゃないかなあ、と思いました。
  そういう意味で、毎回は食傷してしまうとして、
  その舞台内容に合わせて「また演出の限界に挑んで欲しいなあ、
  今度は子供に観せたいなあ」と思いました。
さよならの唄

さよならの唄

企画演劇集団ボクラ団義

六行会ホール(東京都)

2013/05/30 (木) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

『盛りだくさん』、その一言に尽きる
2ヶ月ぶりですか?(本公演だと4、5ヶ月ぶり?)のボクラ団義さん本公演。
冒頭から「これでもかっ!」というほどの
演技とダンスと演出と設定の多さに目が眩んでしまいそうでした。

いつもならなんとか物語と設定を(だいたい)全部把握して
納得できるのですが、今回はいつもを超えているのか
自分の理解力が落ちたのか、一部人のつながりその他理解しきれなかった所が・・・
(この人は事前に出てきた人だっけ?どの人とつながってるんだっけ?と)

また、演出方法について「こういう意味かな?」ぐらいに捉えていたのが
終演後帰りの電車でアフターパンフを読んでいて
「ああ、そういう意味であの観せ方だったのか」と前公演のツボの件のように、
もう一度見なおさなきゃ分からんなあ( ´ー`)、という箇所も。

と、お話を全部は回収しきれなかったなあ、とは思いつつも
2時間45分という長編を演者皆様の演技の良さに引っ張りこまれて
涙と笑いとその他色々な感情を持って見届ける事が出来ました。

ネタバレBOX

ただ、後でアフターパンフや今回初登場の本格的パンフを読みつつ
これから物語を思い出さないと

劇中で「あ、この人のこの台詞いいなあ、見事にこの場面/話を言い表してるな」
など、ちょっとずつ心に残った場面などが思い出し切れないのは、
ちょっといつもに増して情報量多すぎか?とも思ったり思わなかったり。


冒頭でバス車内での演技をしてる時に座ってる人、立ってる人それぞれ
演技をしつつも身体は荒れた山道に合わせて揺れてたり
細かい所が見事だなあ、などいろいろな箇所で思ったのですが
その箇所も思い出しきれません
(そういう見えない良点が多数散りばめられていたせいもあるのでしょうが)

ただ、タイムスリップものなので当然のようにいくつもの史実/歴史的設定が出てくるのですが、
脳死の時点では「これが今回の背景的なメインテーマかな?」
と思ったら更に列車事故/震災と続いたのは、ちょっと時事ネタ入れすぎかな、という気も


また、病院と女子高生2人の場面が始まって、
また次にこの組み合わせが登場するまでの間がかなーり開いたようで、
最初の登場では「メインキャラ的な立ち位置か?」と思っていたのに、
次の登場時には、自分の中からこの人達のことがポッかりと抜けてました。
(その事に気づいた時、更に「あっ!この人(キムラさん)の設定が
まだ何1つ出てないや!」と更に驚かされましたが)


最初の傘ダンスの時点で思いましたが、あれだけの大人数、
メインとなる人も多数、それぞれに複雑かつ深い設定
(それぞれが背景としては2013年、2010年?、2003年に集約されているのですが)
を見事に膨らませて落としたなあ、と思いますが、
やっぱり良くも悪くもボリュームが大きすぎ、ですね。


複数回公演を観られる方や、DVD/ブルーレイを購入して再見する方はともかく、
1度見ただけで全容を理解するのは難しくなってきたのかなあ、と。
(そこまで含めてボクラ団義流、と考える事も出来るのでしょうが)

自分は「このスタイル」のボクラ団義さんに大満足ですが、
人を選ぶようになってきた(?もともと?)とも取れるのかなあ


追記.
いただいたアフターパンフを読んで設定を振り返り、
更にカラーパンフを読んでいて、
千代將(あってますか?)太さんを観て、
「ああっ!ピーナツバターの人だ!そうだ、そういうシーンあったあった!」
と思い出しました。

多分、いつものモノクロパンフだけだったら思い出せなかったと思います、
やっぱりカラーでキャスト写真載ってると記憶を呼び起こす力がハンパないです、

コストとか大変だったと思いますが、ぜひカラーパンフは続けてほしいなあ

( ´ー`) 「これはいいものだ」
「体感する能|葵上 梓の出」

「体感する能|葵上 梓の出」

和の会

宝生能楽堂(東京都)

2013/06/29 (土) ~ 2013/06/29 (土)公演終了

満足度★★★★

独自の空気感が出ていた
「能」という名前がついている以上、
普通の演劇、朗読劇と違う事が起きるのかという緊張に、
開演からピリピリとした無言の空気の中で
能楽で使われる琴、琵琶、横笛などの
各楽器による演奏と
源氏物語 葵上の組み合わせに
とてもドキドキしました。

ネタバレBOX

しかし、朗読向けに文章をお話を起こしているとはいえ
光源氏自体名前しか知らない自分には
名前その他の時点でとても理解が追いつかない、
序盤は光源氏、その他の人のやりとりで
誰が誰でどういう状況なのか、など
普段の朗読劇からすると100%理解出来たとはとても言えませんでした。

普段の洋楽系の音楽とはまったく違う和風/古風の音楽を背景に
いい空気感が出てるだけに自分の理解が追いつかないのがもったいないとも、
もっと分かりやすい平易な文/言い回しに出来なかったのかなあ、
という気持ちも。

中盤から後半に入るにつれ、
光源氏や葵上に人生を翻弄される六条御息所(最後まで名前が覚えられなかった)の
悲しみと怒り、女の情念のようなものがとてもよく表現できていたと思います。

ただ、舞台背景に能の映像を映したのは
「能楽に興味を持ってもらおう」という意図はともかく
朗読劇への集中をさまたげる以上の効果はなかったんじゃないかなあ、と

能自体1度観てみたいとは思いますが、
この劇を観て「能が観てみたい」という気持ちには至らなかったなあ・・・

この表現方法はこの表現方法として、「能」とは別のものとして
続けて欲しいと思いました。
あなたに会えてよかった

あなたに会えてよかった

東京ジャンケン

ザ・ポケット(東京都)

2013/05/02 (木) ~ 2013/05/06 (月)公演終了

満足度★★★

舞台はナマモノだからトラブルもあるか・・・
東京ジャンケン旗揚げ公演、という事で
「細かいことはともかく温かい目で観ようっと」と思ってたんですが、
開始直前演者の方が怪我して病院へ行っているらしく「代役を立てた上で戻りしだい交代する」との事。

「ありゃりゃー、旗揚げというだけあって色々あるなー、突然の代役大丈夫かなー」と少々あきらめムードで観始めたのですが

かなり豪華に組まれたセットやら開始直後のつかみやら、
お話や演者さんの必死さなども伝わってきて「思ったより全然良いのではないか?楽しめるのではないか?」
と、逆に期待させられる場面もあったのですが、

代役の方の登場や病院から演者さんが戻っての入れ替えなどから
ちょっと場の空気感が薄れたような・・・

冒頭のつかみの良さが消えてしまったようで、結局最後まで
引き込まれる感じがなかったのが残念でした。
(お話や、演技自体が悪かった、というわけでもないと思うので、
明日以降は良くなるといいなあ、と)

次回公演に期待したいです

ネタバレBOX

【気になった点(良い・悪い)】
・ 豪華なセット(別の劇でザ・ポケットに来た時より更に凝ったものだったかと)
・ 舞台開始直前の豊口さんの病院の件、なんとか舞台に戻られたのですが、
  観ているこっちが「怪我大丈夫かな?どこ怪我したんだろう?」とか
 いろいろ考えてしまい、舞台に集中できませんでした。

  あと、前説の方が「開始20分辺りで豊口の出番があるがそれに間に合わなければ」
  とネタバレしてしまったので、「そろそろかな?間に合うかな?」と
  別の所に意識を持ってかれました。

  また、この件で5/4(土)5/5(日)に席一部確保するので再度観に来ていただいてもよい
  ムリな方は返金します、
  などのお話をされていましたが、
  「今日観に来た全員が入れる訳ではないだろう」
  「今日観ないで帰るならともかく、今日ちょっとトラブルのあったままの
  舞台を見てしまったら、もう1度観たとしても、初見ほどの良さは
  伝わらない、得られないだろう」
  と、ちょっとその対応が本当に良いものなのかなあ、と疑問でした。
  (豊口さんご本人の状況次第でしたが、病状的に危険なものではない、
  単に時間を待てばよい、というものだったら
  自分は30分、1時間待っても、ベスト(に近い)状況の舞台を見たかったなあ、という気がします。)
  まあ、すごく真摯な考え方から言われたのかと思いますが・・・
・ 演技中、三宅さんの顔からハエが飛ぶのを見て、こういうのを
  全くおくびに出さず演じきっていたようで「集中してるなあ」と感心
・ 狙って取ってた笑いはよいのですが、台詞をとちる?などで出す
  (逃げの)笑いについては、どうにもおふざけ感があり
  「笑えないなあ、今までのいい空気壊すなあ」と
・ それほど多くの場面ではないですが、結構身体張ってるな、
  と感じられる場面あり
  (声優さん、というお仕事がメインの方々にしては
  かなり体当たりだったかと)
・ 女性声優が集まるとどうしても女子会のような、演技なのか
  どうなのか分からない微妙な?雰囲気が出てしまう、
  と思ったのは自分だけかしら
  (昔観た声優さんのお芝居が、まさに女子会のような雰囲気で以降、
  演技でないじゃれあいの姿が折角のお話をぶったぎった形で嫌だったのですが、
  ちょっとそれに似た空気を一時感じました)
・ 全体通して単純ながらもいろいろ仕掛けのあるお話で、面白そう、
  とは思ったのですが、観ていて「面白い!」とまでは冒頭以外
  思えませんでした。
  芝居運びやらトラブルやら演技外でムリに笑いとりにいった場面やらで
  観ている側が話に集中しきれず
  (フィナーレ直前に帰る方がいたのはちょっと観客としても残念でした・・・)
・ 会話劇部分については声優さんという事で声の張りなど
  「うまいなあ」と思わせる部分あり
・ メインキャスト中心に必死さや演技の上手さもあり、
  「旗揚げ」といっても素人芝居ではないなあ、と感じました。

次回は朗読劇をやる、との事。期待したいなあ


あと自分自身、単に舞台を見て、どこがどういい、どう悪い、と勝手な感想を書いてますが、
ドラマやアニメ、映画と違って舞台は毎公演がナマモノ、
公演前も公演中も何が起こるか分からない、
(演者や裏方の皆さんの努力によって)それが1本ちゃんと観れたなら、
まずそれだけで「おつかれさまでした」「ありがとう」と
思ったほうがいいのかな、と考えさせられました。
(ここ数件トラブルその他でベストの状態でのお芝居を見れない事が多かったので)
SLeeVe

SLeeVe

ENG

相鉄本多劇場(神奈川県)

2013/04/25 (木) ~ 2013/04/29 (月)公演終了

満足度★★★

いろいろともったいない感が残る
日本の妖怪をによる「○○戦争勃発!」と熱くも楽しくも展開できそうな設定、
そしてそれに合わせたかのような豪華な客演陣に対して、
どうにも前半お話の起伏その他うまく展開していかなかったかと・・・

しかし、後半の演者の皆さんの熱の入りようにこちらも思わず引き込まれてしまう、
「演技の上手さ、熱さ」が際立っただけに、ちょっともったいないなあと感じました。

ネタバレBOX

「自分だけの妖怪を召喚し、最後の1人になるまで殺しあう」
という始まりでの設定提示に、某アニメ/ゲームのような熱い、またはシリアスな展開を想像し、
また客演キャスト陣に笑いからシリアスからアクション/殺陣からと色々こなせる人材を
そろえた事もそれを期待させました。

ヒロイン、そでやまさん、サトリを召喚した青年、とこの3つの柱を中心に
色々アクションやら何やらが展開していくのかなあ、とまでは想像していたのですが。。。

特に気になったのは
・ 前半、笑わせ所、シリアスにいく所がうまく分けられていなかったように感じました。
  話自体も演技についても
  (特に真面目にいく場面が微妙な空気になっていたように)

  妖怪の人がそのキャラ設定上どんな場面でもおちゃらけた演技をするのは
  仕方ないと思いつつ(違和感はありましたが)

  特にそでやまさんがトチってからそれをフォローして笑いに変える場面など
  最初は温かい目で見守れましたが、段々最前客をいじったり、
  エスカレートしてきた?ように見え、場面が切り替わっても
  空気感が変わらない
  (前の笑いを引きずっているような、演技が切り替えられていないような)
  雰囲気を感じました。

・ キャラの心情がコロコロ変わりすぎ
  ヒロインが「殺しちゃだめ!」「殺せ!」など正義感、やさしさを見せた次の場面では
  人間が変わったかのようになっていたり、が繰り返し
  (青年についても同様で、人に対して色々な想いがある実は深いキャラ?、
  と思わせたら次ではかなり浅い感情にまかせて行動していたり)
  コロコロと性格が豹変しているようで
  それぞれの人物に対して感情移入ができませんでした。

など、折角の序盤に対して結局思ったほど
話が膨らまない、引き込まれることもない、と残念に感じながらの後半


シリアスなパートになるに従って演者の方の演技に熱が入ってきたのか、
その演技の熱や上手さに引き込まれるものがありました。

お話自体に対する共感はともかく、演者さんに
「(観客の)感情を持っていかれたな」
と最終的には気持ちも舞台に釘付けになりました。


だからこそ、「もったいない」と思います。
(面白そうな設定やそれを演じきれる役者陣を揃えているのだから、
もう少しお話練ってたらなあ、と・・・)




あと関係ないのですが、相鉄本多劇場のセットのペンキはげは
「演出かなー、違うかなー」とずっと気になりました。
特に別舞台のチラシで支配人自らごあいさつ文を載せるぐらい
舞台に対する想いがあるなら、セットのペンキぐらい塗りなおしてほしいなあ、
そこでお芝居を上演される方々にもう少し気を遣っては?と・・・
アベンジャーズ

アベンジャーズ

カプセル兵団

ワーサルシアター(東京都)

2013/04/25 (木) ~ 2013/04/29 (月)公演終了

満足度★★★★

ヒーロー論を熱く語る男達
ヒーロー達の会話劇、前回舞台がカプセル兵団の「動」だとすれば今回は「静」、こういう芝居もできるのだなあ、とかなりの長台詞をなんなくこなされる演者の皆さんに感心でした。ゲストパートはもう舞台そっちのけでしたが、腹を抱えて笑わせていただきました。

ネタバレBOX

冒頭の暗闇の中での轟音、轟音、轟音、から一転して
喪服姿のヒーロー達が勢揃いしての会話劇、

(自分が子供の頃全然特撮ものを観ていなかった為)
序盤の特撮ヒーロー小ネタはあまり拾えなかった
(まわりの雰囲気で笑うぐらい)でしたが、

敗戦国日本、憲法第九条により軍隊を持つ事ができない日本だからこそ
「特撮ヒーロー」がここまで流行った、
日本とアメリカのヒーロー観の違い、
など、脚本家の方、演者の方の特撮ヒーロー論のようなものに
聞いていて納得させられるものがありました。

後半、ゲストを迎えてのトークパートでは、
今までの演技部分は忘れてTVのバラエティー番組ノリの
演者さん達のネタばらし大会になっていましたが、
小屋の暑さも手伝ってかかなり笑わせていただきました。

そして最後に往年ヒーローのちょっとしんみりするような
話で締めるなど、特撮ヒーローをネタにしたいろいろな事を
大人達が本当に語り合っているようで
ほんと静かな会話劇なのになぜか引き込まれるものがありました。


舞台開演前に「演技の都合上、タバコを実際吸うので」のくだりから序盤まで、
「お芝居なのだから実際タバコ吸う必要ないんでは?」
と思っていましたが、だんだん話に熱くなったり、
しんみりしたり、タバコ部屋か楽屋か、というような
大人達の語りにはやはりタバコが合っているなあ、
と最後には納得させられました。


あと、ゲストパートでそれまでの芝居と空気が一変しちゃうのは
劇としてはどうかと思いましたが、
1. 開幕からずっと語られる「先輩ヒーロー」という名前だけの存在
2. ゲスト(先輩ヒーロー)参加
3. 後半 ここでは「先輩ヒーロー」=ゲスト という認識になるので、
  1.とのギャップが観客の(主に笑いの)ツボになる
という事まで狙ってゲストのトークパートを入れてるんだとしたら
「考えてるなあ」と思います。


ただ、子供が観覧していたのですが、
あの子はきっと最初から最後まで完全に置いてけぼりを
食っていたのではないか、とちょっとかわいそうでした。
(動きあふれるカプセル兵団を期待してきたのか、
ササヅカイン?を期待してきたのか)
名探偵を探せ!Qの喜劇

名探偵を探せ!Qの喜劇

劇団ヘロヘロQカムパニー

TACCS1179(東京都)

2013/04/10 (水) ~ 2013/04/14 (日)公演終了

満足度★★★★

ひさびさ本当の「若さ」と「情熱」を観せてもらった(おじさん眩しーΣ(゚Д゚)
新人さん中心の舞台、という事で
「演技、演出などどのくらいのレベルなのだろう?(脚本も)」
とまったく想像がつかない状態で観劇。

案内パンフの「裏方中心でやってきた彼らの初の主演公演です」といった内容や
前説の脚本担当?の方が「自分は今年10年目で~」と言っていたのもあり、
「”新人”とはいいつつ、10年近くヘロQさんに関わってきた、
そういう人たちの晴れの舞台、という事なのかな?」
という目で(ある程度の熟練者、というイメージで)観劇しました。

しかし、最後の挨拶で「ヘロQに関わってまだ3年未満」
というお話を聞いてかなり驚きました。
(実際の役者歴はもう少し長い人もいるらしい、とファンの方達の会話で聞きましたが)

ダンスなどの細かい部分を見れば一糸乱れぬには程遠い、
演技についてもセリフの量や内容などによりうまく演じられている人から
かなり「読んでいる」感が出てしまっている人もいました。

そういう意味でアラを探せばヘロQの大御所のみなさんや
他劇団で一線級で役者をやられている方からすると
まだまだな部分もある(んだろうなあ)と思いつつも、
(そういう部分が全然気にならないぐらい)
自分は十分に惹きつけられてしまいました。

最後、劇がクライマックスに入っていくに従って、
演技というより多分感情自体が入ってしまって、
涙目で演じられている人もいましたが、こういう部分に
「役者としての上手さ」とはまた違った「若さ」や「情熱」を感じました。
(終わった後で感極まって泣きだしてしまう演者さんまで)

始めての主演舞台という緊張感や、
お客さんを喜ばせよう、自分の役を演じきろう、
喜劇なので「笑いをとっていこう」とそれぞれについて
いい意味でのアグレッシブさが前面(全面)に出ていて、
観ていて演技というよりその熱意のようなものに
自分のようなおじさんは何かひさびさに
いい「若さ」に触れられたような気がします。

今後、再び大物役者陣の影に隠れてしまうのではなく、
どんどんこういう若手も使って行ってほしい
(あるいはヘロQ内で新しい勢力を作ってしまっても
よいんじゃないか?(前進座NEXTさんのように))
と思うぐらい、今後が気になるみなさんでした。

お話の構成として「喜劇」「半分ミステリ」「感情劇・感動劇」
「アクション」「ダンス」など、この「新人」達がどれだけの芸、演技を
身に着けているのかをみせる為か、いろいろな場面を用意されていましたが、
前半の笑いのパートはともかく後半の「感情劇・感動劇」の
部分に「ストーリーの流れとしてのムリ」を感じてしまった為、
100点満点からは遠い部分もあると思いますが、
自分が終演を目にして、劇場を出て、
「満足できた」という意味では80点~90点、
ほんと今後この役者さん達
(もう主演を張っているので「新人」とは呼べないです)
の今後が見たいなあ、と思いました。

ネタバレBOX

「ネタバレ」欄では、まず(悪い意味のみでなく)自分が気になった点を

(1)本舞台内容を
  1.各自の自己紹介+アピール
  2.探偵クイズ
  3.半ミステリ(探偵パート)
  4.感情・感動劇
  5.締めくくり
  とした時に、「探偵(志望、ファン)として集められた面々」なのに
  3.から4.への移行でムリが色々あったかと・・・

  ○ 探偵パートが終わって「めでたしめでたし」な所に
    いきなり「関西」が「東大」に絡んでいく形で
    場面の空気を変えようとする。
    (なぜ絡むか、の理由が弱すぎる。
    せめて探偵パートまでで「東大」が
    あまりに頭でっかちで嫌な奴的に絡んでいた、
    などしてれば、「関西」が空気を壊してでも
    つっかかる理由になったかと)

  ○ 4.でそれぞれの現実や内面を語るパートで、
    「探偵」ネタがまったく絡まない話になってしまった。
    各自の実際の心情を語る部分について、
    本舞台「名探偵を探せ!Qの喜劇」でいう「探偵」、
    という部分がもう少し絡んだ形での設定にできていたら
    そのまま上手く話が繋がったと思うのですが・・・
    (今までのお話を完全にぶったぎり形で
    このパートが入ってしまったので、
    折角の熱のこもった演技について、
    (周りの観客は泣いている人もいたのに)
    自分はいまいち入り込めない部分がありました。)

    また、ここで「探偵」という設定を一度離れてしまった為、
    5.でマスターが「皆さん名探偵です!」といった部分が、
    「上手い締め」でなくなってしまった・・・
    (3.4.5.と繋がっていればいい締めだったのですが)

  ○ 特に「完全記憶」の人が男である理由が・・・
    序盤でも伏線的に「男?」みたいなつっこみを入れて
    感動劇パートでそのネタを展開させていましたが、
    特に男っぽさがどこかに出ていたとか
    そういうのを全く感じなかったので、
    このネタ自体にムリがあるかと・・・


(2)新人皆さんを主役として立てた為か
  その設定や元々の持ちネタなどによって
  キャラが立つ人と立たない人が出てきてしまったように感じました。

  「関西」の人がテンションの高さと高度なモノマネを見せていた。
  (しょっぱな歌い出した所では、「わざわざカラオケで
  時間を割く程のネタなのか?」と疑問に思いましたが、
  その後も多くのレパートリーをそつなくこなしていくにつれ、
  「これだけで見事な芸である」と認識を改めました。)

  また、「主婦」の人の「最初から最後までずっと笑顔」が
  実はすごい事だな、と感動パートで感じたり
  (あと激しいダンスを褒めてる人も多かったです)、

  「壇蜜」の人の色っぽさ(本人実はこういうキャラが得意という
  訳ではなかったそうで、かなり頑張ったそうです)

  「整形」の人が申し訳ない話本当に整形っぽい
  (そういうメイクでしょうか・・・じゃなかったらすいません、
  あとしゃべりその他に自分はローゼンメイデン(アニメ)の
  水銀灯(CV.田中理恵さん)を思い出しました、すいませんアニオタで・・・)
  などに比べて、

  「東大」が東大、ハッカーというキャラ設定より
  アクションの方で目立っていたり
  (こっちが役者さん自身の特技、っていう事ですかね?)、

  「大食い」の人が食う、「壇蜜」の色香に惑わされる、
  実はすごい五感の持ち主である、という部分が
  ジョジョのカーズ様?風立ち方ぐらいでしかアピールできていなかったり、

  「完全記憶」の人は探偵パートまでほとんどなんの個性も
  出せていなかったかと(もっと完全記憶を利用したネタを
  投入しておくべきだったかと)・・・


  ・・・ああすいません、「数学者」が抜けてました・・・
  (というぐらい、目立っていないのです。
  わざわざ自分の彼女まで写真登場させたり、
  探偵クイズで数学者としてのすごさ、を見せていたはずなのに)
  特に半ミステリパートでは、自分だけ「探偵」役でなく
  「犯人」扱いされてしまっていた、というのもかわいそうでした。

  これはモチネタの有無(「関西」「主婦」「壇蜜?」)はともかく、
  あとは設定としての強さ弱さがモロに出てしまっていたかと・・・


  まあ、今回は「新人」全員を立てる、という公演の性質上
  仕方ないのかもしれませんが、
  本来ならば
  ・ それぞれの個性をアピールするのにもう少し時間を割く
    (序盤結構アピール差が出てしまっていたかと)
  ・ 「真の主人公」は1、2人におさえておく
  などの方がまだバランス的によかったのかもしれません。


(3)その他
  ・ 舞台開演直後のダンスより、
    メイドさんのお誕生日おめでとう(これはネタですか?)
    ダンスの方がうまい、と感じた。
    +ダンスを入れる場面にもう少し工夫が欲しかった

  ・ 関さんがアドリブでペットボトルの水を実際に演者(特に壇蜜)に
    かけたりしてたり、つっこみ入れたりしてた部分は、
    「おまえら、喜劇なんだからもっと身体張って笑い取りに行け!」
    (まだまだ積極性が足りないぞ!)
    とハッパをかけているようにも見えました。


など、気になった点はいくつか(書きすぎましたが)ありました。


とそんな所を突っ込ませていただきましたが、
本当に演技、演出、アクション、ダンス、など
本当に「新人」でいるには惜しい、という所までいっていると思います。

今回は新人主体の舞台という事で、チケット販売などの面で
かなり苦労されたようですが、これだけちゃんと演じられる、
という事を観せたからには次からは先輩達の力を借りずに
自分達だけで客を呼ぶ、という事にもチャレンジしていけるのではないか、
と思います。

ヘロQさんもひさびさ新人劇団員募集を始めるなど、
かなりの大所帯となってきた事もありますし、今後
「舞台内でのベテランvs若手の対決」

「若手公演」
などを増やしていってもいいんじゃないかな?と思います。

ヘロヘロQカムパニーさんというと
座長の関さん長澤さん小西さんを中心とする
今や有名声優勢やベテラン役者勢が中心となって引っ張ってきて、
その方々を中心にファンがついている劇団、というイメージがありますが、
その関さん長澤さん小西さんその他の方にしても、
関さんのトークにもありましたが、
「20年前にはたった8人?で立ち上げた」と、
今回の若手8人と同様の状況からスタートしている、との事。

今回、立派に演技を成し遂げた若手連中が、
今後劇団を引っ張る中心になっていくんじゃないのかな?
そういう可能性を感じる舞台だと思いました。

このページのQRコードです。

拡大