なしかの観てきた!クチコミ一覧

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無意味な花園

無意味な花園

空想組曲

サンモールスタジオ(東京都)

2014/09/02 (火) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★

最終日観劇
これまでのほさかさんの作品とは一線引いたような作品だった。

陰と陽、陰があるから陽がある、どちらも等しく価値があり優劣がなく二つで一つ、好きな男の前ではそんな二面性を垣間見た姫沼先生の対応の端々に自己投影する場面がなきにしもあらず(苦笑)。だけど、友人だったらそれで良いの⁉︎と説教かましたくなったり。彼女の場合、肝心の女友達がいなさそうだけど。歪んでいっているのに正常心を保ち、年下女子に言い放つ発言の迫力は年上女としての凄みがあり。年代的に姫沼先生よりなので見ていてどうしても彼女視点で見てしまったが、彼に対する行為は素直な恋心なのか接した上での同情なのか、それとも憐れみなのか、と同時に、2人は相互感情で陰鬱と落胆を補い、そこが却ってうら悲しさや慈しみの姿として浮かんで見えた。
真面目に生きてる人はなぜか虐げられる世の中、そんな劇中、赤ペン先生もとい佐川先生の存在が良心に思えた。
出演者4人とも素晴らしかった。
不揃いだけど激しく繊細で美しいラストでした。

ネタバレBOX

「相手に選ばれなかった」という言葉に似た状況で、ポツドールの愛の渦の過程をふいに思い出したが、こちらは近親相姦が与えた選ばれなかった悲しさ、それが成長すると失望感に変化するのはなんとなくわかる。芝原、雨宮への自傷行為に対する場面でのセリフには聞いてる方もグサッときたw

日常生活の不満、自分ではどうにもならない願望、格下と思われる相手には強く出る、そんなイマドキ女子高生の芝原。
趣理さん、これまでも別の舞台で女子高生役をやっていたが声を荒げたりすると、実のお母さんの声質に似ている事が多々あったけど(親子だから仕方ないんだけど)今回それが見られず、また違う一面が見られて良かった。
雨宮役の西井さん、普通に喋る男子校生セリフ、意外と難しいと思うんだがスラスラ聞きやすく、そこがまた役者としての素質があるんだろうな、と印象に残った。
ハエのように舞い 牛は笑う

ハエのように舞い 牛は笑う

はえぎわ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2014/08/23 (土) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★

タイトル通り
15周年おめでとう。終演後、松尾スズキさんゲストのアフタートークあり。

いろんな形の小話が連なって、家族愛や兄弟愛の出来事や、平坦な台詞でも劇的に言えば印象も変わるなーと。
耳に残りやすい楽曲と生演奏は心地よかった、乾いた笑いにナンセンスさ、牛乳の件は日本人は胃腸が弱い、の言葉を思い出したが、目覚めたら一体何の夢を見てたんだろ?と思うような舞台だった。
今回はちょっと長く感じた約2時間+AT約20分。
アフタートーク、ネタバレ会話あり。

ネタバレBOX

ノゾエさんはなぜあそこまで女のデリケートゾーンを知っているのだろうかw、ボールングをする男の熱唱場面は中盤の盛り上がりのシーンなんだろうけど、その後が中だるみが続いていたような気もした。

終演後、司会ノゾエさん、ゲスト松尾スズキさんを迎え、ユルくてしどろもどろなフリートーク形式のアフタートークの聞き覚え書き。
ノゾエ氏と はえぎわ にまつわる思い出話、最近の松尾さん出演舞台等。
ノゾエさんは多少緊張していたのか、主に松尾さんが率先して喋るが終始小声でおだやかな一定ゆるリズム。
客席の上手側にノゾエさん、下手側に松尾さんの椅子並び。

・登場時、舞台仕掛けを覗き込む松尾さん「なるほど、こうなってたのか」と納得。
・ノゾエさんから「結婚おめでとうございます。」とお祝いコメントあり。→「しました」
・松尾さんとノゾエさんとの関係
10年くらい前、松尾さんがえんぶゼミを1年くらい担当した際、ノゾエさんが松尾クラスの生徒だった。はえぎわ内の同期は井内さん、齋藤拓さん等。それから長い付き合いが始まり、今でも先生と生徒みたいな間柄になっているような。
・舞台の感想
松尾 / 面白かった。だとしか言えないよw 散文的な舞台だった、(見ていると)だんだんここからつまんないなー、と思ったりするが今回そんな事なく集中して見れたけど、これまで何度そう思ったのかわからないwこの(舞台見た)後、トークがあるし好感度の持てるコメントを考えていたのかもしれないw みんな池袋までくるの大変でしょ、電車賃払って。でもツイッターとかで「クッソつまんなかった」と書き込むのは無駄だなーと思う。テクニック、混乱、わざとなのか下手なのかの時期(があって)毛皮族と被ってた?その時はそう思っていた。
新人の巨人(山口航太)さん、なかなか良いですね。ボウリングの玉をほんとに投げそうで、最前列のお客さんにぶつけるんじゃないかと思った。サーカスの象が(興奮して?)客席踏んづけたらパニックになると思うがそれを想像した。あの喋り方は睡眠時無呼吸症候群の人だろうなー(→ノゾエさんの補足。彼は普通の人です、コミュニケーション取れる人、双子でお兄さんはボディビルダー、彼よりもっと大きい。らしい)
・印象的なシーンは
(劇中)悪い女の人も集団になったら協力するんだなー、以前だったら靴脱げたらそのままだったのに、今はちゃんと履いて帰ってる、さっきも(ステージの扉)横を通り過ぎる時ギリだな、とかこの期に及んでそういう事がある、一つ一つのエピソードが笑える。カップルも定番だね。
(ノゾエさん→絵から作っている、影絵、アナログな事に興味があっていろいろ考えた。音楽とか。)
・舞台が島だが
ノゾエさんは桜島をイメージして書いたそうで、桜島(鹿児島)は松尾さんの母方の実家があり、ノゾエさんもルーツは桜島近辺らしい。今回リアルに表したら(ゾンビ以外)ああなったそう。
話している途中、ノゾエさんがその場の緊張なのかアガっているのか「どうしよう、汗が止まらない」と話も途切れ途切れに。松尾さんも「ウクレレの人、残しておけばよかったねw」とフォローする場面も。

・はえぎわ15年、大人計画は25年、この10年間は?
10年前?41歳か・・いっぱいヤな事があった年だったなー、そっから再起した。結婚しました、離婚しました、そうやって嫌な事忘れて行くんですね。(劇中ノゾエさんの役の「あの男の人はなんで忘れたの?」の問いに)あの男の人は寓話的なキャラクター設定なので〜。モロタも善のイメージだが変化していいかなーと、最後は言い伝えとは違うように、顔になんか塗ってるし、チラシも赤かったので血を出したら良いかなーと変化させた。(ほか、りんか役の橘花梨さんは20歳、松尾さんの「はつらつとしていたなー」とか、評価あり)
・劇中音楽について
ノゾエさん→音楽を生で入れたのは、以前、北九州でリーディング公演を行った際、今回の舞台に出演している田中馨(たなかけい)君の演奏が良かったので、自分の劇団に取り入れた時どうなるか、と思って。おしゃれすぎる方向になるかと思ったら気にならず思ったよりもよかった。
(松尾さん→前は収集つかなくなるとマイケルやったりしたのにそこは少し考えるようになった。劇中の曲のリクエスト場面は毎回本気リクエストなのか?)毎回、違う事書いて紙を渡している、曲目は一緒。

・執筆について
年々書くのが遅くなってきている、個人的に不安なんですがどうしたもんだか、と打ち明けるノゾエさん。
松尾さんは「これからは好感度を気にして生きていかなきゃいけないんで」「ちゃんと書いてる」と答えるもノゾエさんの書き上げるペースが約ひと月という返答に、松尾「早い方じゃないですか。あ、書き出しが遅いのかも。8月公演なら6月に書き始めれば?」ノゾエ「そんなに上手くいくもんですか?松尾さんはいつ頃から書くんです?」松尾「割と早いうちから書いてます。(最新作の)ラストフラワーズは一年かけて書いた。もちろんそれだけじゃなく、合間にいろいろほかの仕事も入れてやっていたが。(今回の公演規模が)数万人呼ぶ公演なんでヘタは撃てないから。プロットも早く書いて、書いては直しで。イメージは幾つかある。メモ取らず書いている。ラストフラワーズは「スパイ物」の目的があったから。スパイ物をいっぱい見た。キャラクター作って物語背負わせて作って。(書きながらスパイ物じゃなかったーと思った事は?)ない。総制作費が何億の世界で夫婦善哉みたいなの作ったら、ふざけるな!と思われる。スパイ物と知り(期待されて?)のしかかる重圧、お金かかる俳優使ってるし。あ、この前、新宿駅の立ち食いそば屋寄ったら、滝寛式くんがちゃっちゃと麺切ってた。」ノゾエ「そんな人達が出ている舞台です。」

・この先10年、どう頑張れば良いんでしょう・・・
もうすぐ40? 41(歳)には気をつけたらいい。そこ乗り越えたら良いと思う。
・なにか告知があれば〜・・・
これから大阪(9月から)ラストフラワーズの公演、1ヶ月ある。ラストフラワーズの舞台稽古(に参加した時)、始まって5分ぐらい場当たりを見て、ふっと はえぎわ を思い浮かんだ。この5分で はえぎわ の全公演の予算使ってるなー。ノゾエさん→ラストフラワーズでこのセット使ってくださいw、松尾→このセットだったら逆に はえぎわ でリメイクしなよw
と言ったところで時間切れ。
しどろもどろになりつつ、礼して終了。
安部公房の冒険

安部公房の冒険

アロッタファジャイナ

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2014/08/23 (土) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★

欲望の方が勝っていた印象
個人的に安部公房氏のイメージは、劇作家より小説家の印象。
舞台内容がどこまで真実なのかは不明だが、この舞台では妻より愛人(この例えが妥当かは微妙だが)目線。それゆえ奥さんの存在がやや不憫。
不倫相手の成長と作家晩年まで淡々と進行したメロドラマと思えばよかったのか。火宅の人とは異質なダメ男にも思えたが、実際接するとそこがまた魅力的に見えて来るんだろうな。
縄田さんの演技や、赤と白の対比させるような衣装、簡素だけど整然と見える配置の舞台セットが印象に残った。約90分。

ネタバレBOX

小説は読んでいるので、見た事のない安倍氏の舞台内容について触れてほしかった気も。
公演プログラムが¥1500、読み応えはありそうな内容でした。価格が¥1000くらいなら購入したのだけど・・・。すみません。
有馬の家のじごろう

有馬の家のじごろう

劇団AUN

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2014/08/20 (水) ~ 2014/08/25 (月)公演終了

満足度★★★★★

よか舞台でした。
普段はイギリスの王様やローマの貴族的な役柄が多い劇団なのに、今回は近代日本の薩摩の一家族の物語。
元九州人(非・薩摩)としては祖父母の昔話として、親戚が集まるとその手の話をよく聞かされていて、朧げながら馴染みある内容だったので、なんだか遠縁のご先祖話を見ている感覚に。
舞台連投の鋼太郎さんの出番の多さにも驚きだけど、その時代の優しいけど、ひ弱でない薩摩隼人のその性格がいかにも次男坊らしい態度の谷田さんや大塚さんの器の大きさが引き立つ役がまた似合う。今では偉人の類いの西郷さんも、武勲挙げた立場とはいえ、その当時はまだ巷の有名人扱いに、今だったら誰に当てはまるんだろうとよけいな事考えたり。
日本、薩摩という地に蓄積された戦の歴史は、この話で完結の願いもあるのでは。最後の場面で涙腺崩壊してしまった。
いい舞台でした。休憩込み約3時間。

痕跡 〈あとあと〉

痕跡 〈あとあと〉

KAKUTA

青山円形劇場(東京都)

2014/08/10 (日) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

最終日観劇
極普通に暮らし細やかな暮らしの中で支え合って生きがいを見つけ、悔悟と一期一会の出来事を繰り返す、それが人生の機微というか。華美さはなくとも様々な年輪が蓄積し気づけば自然に涙が零れそうになる。
様々な夫婦の愛情の形、これから共に歩みだそうとする2人の容易ではない今後、「見ちゃったから」ほっとけず「聞いちゃった」という行動の生きる事への正義感の持ち方等々。
いろんな事を詰め込み、それらを突きつけられ複雑な思いになりつつも、良い余韻の痕が残った素晴らしい舞台でした。

カズオ/斜めから見ても真っ直ぐ見てもなんだかんだ嫌いじゃないもの

カズオ/斜めから見ても真っ直ぐ見てもなんだかんだ嫌いじゃないもの

オーストラ・マコンドー

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/08/07 (木) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★★

Aプログラム:カズオ観劇
両作見たかったが、都合により「カズオ」のみ観劇。
客席100人に満たない狭い会場をパワフルに走り回り、踊り回り、ジャレあったり。子供から老若男女、等々、役柄を上手い事切り替え演じる若手女優2人のライブ感満載のガチンコ芝居。
切り替わりが多さが変化がまた上手、単純明快で力の抜いた奇妙なコメディ作といえば良いのか?。最後の場面の2人の台詞の純粋さにまた魅了された。やる方は大変だろうが見ている方は面白かった。約110分。

ネタバレBOX

鉄骨シートに座っての観劇だったが、隣の男性の動きにシートが揺れるため、ちょっと怖かったw
大人の新感線『ラストフラワーズ』

大人の新感線『ラストフラワーズ』

ヴィレッヂ

赤坂ACTシアター(東京都)

2014/07/30 (水) ~ 2014/08/25 (月)公演終了

満足度★★★

話を取るか、役者を取るか、で楽しみ方も違ってくるような感じ
真夏のお祭り興行。
前半から、いい大人が動き回るわ、奇抜な行動ばかり見せつけるわ、畳み掛ける馬鹿丸出し世界観。
松尾ちゃんは一体どこで出てくるんだとやきもきしたが、いのうえさん仕様の松尾ちゃん、無様で男っぽくて面白くて良かった。でも出演人数配分で分けると、この役者さん、もっと出番があってもよかったのに、と頭に思い浮かべながら見ていた場面もあったり。
普段ならPOPさとは対極な位置にいそうな松尾作品。新感線側と大人側で役柄シャッフルしても違和感なく成立している世界にも感心したが、話自体は擬似感ある展開で毒っ気も中和されていたような印象。
源ちゃんの歌声を聴けて、ついラッキーwって思ったり。ダンスの振り付けは新感線風だなーと見えたり。
休憩25分含む、約3時間30分。

ネタバレBOX

世界を股にかける暗躍スパイ合戦、ではないが、この辺は真剣に頭に残してなくてもよかったw、実の姿を隠れ蓑にした2部構成、最終的にこれが締めにくるとはw。裏の主役は新感線のじゅんさんみたいな活躍ぶり。
新感線舞台ではお馴染みのスクリーン映像の舞台背景。
コネタで入る小津映画オマージュや東映任侠ヤクザ(このサダヲはこの前の岩松作品でも見たような気が)は両方の劇団のいいとこ取りで面白い見せ場だった。欲を言えば、役者宮藤さんをもっと見ていたかった。なんというか、全体的にいろんなところにお金かかってる感。

人間のちっさな欲望が浮かび上がり、それを包み込むような「ラストフラワー」の歌詞に、普段から大きな声では力説しない松尾さん流の人間愛が見え隠れしていたように思えたが、過去の作品を容易に思い浮かべるような配役造形は控えてほしかった。
でも最後のスカパラテーマソングのエンディングには一緒になって、つい歌っちゃったw。
【不帰の初恋、海老名SA】【カラシニコフ不倫海峡】

【不帰の初恋、海老名SA】【カラシニコフ不倫海峡】

MAパブリッシング

ウッディシアター中目黒(東京都)

2014/07/29 (火) ~ 2014/08/01 (金)公演終了

満足度★★★★

「カラシニコフ不倫海峡」15時の回
川口覚&ハマカワフミエ版を観劇。
大小様々な形のキャンドルに彩られた中、その灯りをぼんやり眺めながらステージ上では読み手2人が座り込、文面を読み進める。
前回の公演(草月ホール)より劇場規模も小さいが、この作品についてはこのくらいでちょうど良いと思う。
「〜、海老名SA」より、内容も成熟しているように感じたが、読み手2人の息づかいや、男と女の微妙な思考の距離感等、読み進めるうち悲劇とはまた違う感情の変化の会話世界に入り込んでしまった。2人ともよかった。

窓に映るエレジー

窓に映るエレジー

ジョンソン&ジャクソン

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2014/07/24 (木) ~ 2014/08/06 (水)公演終了

満足度★★★

くだらないのにジーンとくるのはなぜw?
笑い控えめなのにくだらなさとゆったり感がベストナンセンス。
男と女のおふざけ加減、成志先輩の存在の揺るぎなさ、哀歌とはこういう事なのな。毎度の事ながら成志さん池谷さん村岡さんの歌上手!大倉バンドマンも必見。
この手の芝居に感想や説明する行為は野暮なのかもしれないけど、くだらないけど最終的にジーンときて面白かった。でも、ちょっと長かったかな。約2時間。

ネタバレBOX

池谷さんのワンコ、やっぱり野球は広島カープ!
「廃墟の鯨」

「廃墟の鯨」

椿組

花園神社(東京都)

2014/07/12 (土) ~ 2014/07/23 (水)公演終了

満足度★★★★

最終日観劇
水飛沫を大量に浴び泥塗れになりながら戦後直後のヤクザ、娼婦、耳つんぼ、市井の人々の地獄絵図から熱気と生命力に溢れた、ダイナミックでロマンチアングラ劇でした。
配役の設定に多少の荒さのようなものも感じたけど、面白かった。
平日千秋楽で飲み会参加なんて無理、なので大人しく帰宅せねばならないのは残念w

ネタバレBOX

冒頭から強烈な眼力を発揮させ歌い、踊り、台詞を発する役者たち。一瞬でも目をそらしたら負けな気がして、ついこちらも見つめすぎてしまったw。
ワタリさんのピストル持った姿かっこ良くてサマになっていたけど、もう少し「女」の要素の場面があってもよかったような。能嶋、早乙女の繋がりに最後まで生きていてほしいな、と思ったり。ほか、撃たれてもなかなか死なない八幡の亨さんwとか、扉座の公演時とはまたひと味違う野性味ある馬野伊の松本さん、途中まで狂言回しの出落ちかと思った梶原の辻さん、面白くて印象に残った。
それにしても劇中「人間まんま」の台詞を、一体何回聞いた事かw。
生き抜いて死んで、またどこかで新たな命として復活して、を繰り返す人生の切なさと希望みたいなものが、ごちゃまぜに熱く感じらさせられた芝居だった。
河童

河童

DULL-COLORED POP

吉祥寺シアター(東京都)

2014/07/18 (金) ~ 2014/07/27 (日)公演終了

満足度★★★

緑色な世界
原作未読。音楽劇とあり楽曲は聴き易く、照明も和風の妖しさで気を惹く。20人近くの配役にそれぞれ意味合いがあるので、それがある為か、やや長く感じられた。
人間と河童界、中盤の道徳観の異文化交流のような展開から、自分で理解するのに多少わけわからん状況になってしまったが、終盤でようやく話が理解できた感じ。
夢か現か幻か、まるでファンタジー。尻子玉抜かされた気分。
休憩時もイベントあり、約135分。

ビタジルダ

ビタジルダ

サモ・アリナンズ

駅前劇場(東京都)

2014/07/16 (水) ~ 2014/07/21 (月)公演終了

満足度★★★

初日観劇
6年経ってもガッツ団!終始ゆる〜い空気に包まれてグダグダも変わる事ないサモアリらしさ満載。小道具やセットも変わらずかわいい。
場内満員、遅れてくる客誘導の合間もあの人達がショートコントで盛り下げるような上げ方も変わらず。
これぞサモアリ、話の筋はあることにはあるけど、まじめに見ると損をするような小学生の教室感覚を久々に思い出し、ゆるゆると楽しかった。
初日、約95分。

おとこたち

おとこたち

ハイバイ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2014/07/03 (木) ~ 2014/07/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

良い舞台だったなぁ•・・
いつもの調子で男子4人がふざけて笑わせながら成長し、自力で生きていく、という人間の根幹の話。
劇的な何かがあって、話の空気が変化するでもないのに、見ているこちらに、じわりと老いを自覚させ、終いには涙腺までも刺激する。泣かないつもりだったのにw、深く胸を鷲掴みされ、こっちもこんな生き方してすみません、と誰かに謝りたくなる。
今後の自分の人生に於いても、こんなに良い舞台、あと何回見られるだろう。約2時間。

鎌塚氏、振り下ろす

鎌塚氏、振り下ろす

森崎事務所M&Oplays

本多劇場(東京都)

2014/07/04 (金) ~ 2014/07/27 (日)公演終了

満足度★★★

良質なコメディ舞台
鎌塚氏シリーズ第三弾、旧作の話題も話のコシを折らない程度にあり。毎回最後にタイトルネタあかしは今回も適用。ナイーブで変人公爵は今回も良い、堂田夫妻ゴージャス感増強し小物感たっぷりで面白い、執事と女中の恋愛模様はマイルド、次に繋げるんでしょうか。鎌塚氏父の絶妙な台詞廻しと執事の仕事ぶりはまるで素でやっているようにも見えた。
アカシ執事の所作の動きと格闘は綺麗、今回も舞台はよく回った。
約2時間。

ネタバレBOX

完璧な執事も実の父親が倒れたのを目の当たりにすると、生身の人間に戻る、そこを乗り越えてさらに完璧さが増す仕事熱心の凄さに立派だなーと感心。

タイトルに適用されている「振り下ろす」最後のスコップ場面、手持ちが甘かったのかぶつかった拍子にトラブルあり。結末、どうするんだろう!?とヒヤヒヤしたが、何事もなかったように続けてやっていった。全員流石!シリーズ見続けてると内容もおおよそ予想がわかってくるけど、このトラブルについては、まぁこういうこともあるし生の舞台の醍醐味としてしょうがないよね、と苦笑いするしかないか。
てんぷくトリオのコント

てんぷくトリオのコント

こまつ座

あうるすぽっと(東京都)

2014/06/19 (木) ~ 2014/07/06 (日)公演終了

満足度★★★★

芝居を見る幸福を感じた
井上氏の初期のコント作品から、劇作家転向のキッカケ、こまつ座父娘(麻矢さん)話、演芸と井上戯曲の珠玉の台詞が上手い具合に脱線せず絡みあい、この辺は芝居としてもっと見たかった。コントの相互場面で芸人さんがツケ打ちを見せたが実に上手い‼︎それには感心したが、肝心のコント場面になると面白さが半減したネタが幾つかあり。井上氏の台詞の重要性の意思を継ぐのもいいが、舞台も生き物なので昭和のネタが平成の時代状況にあっているかは微妙。
タイトルはちゃんと覚えていないが、「歌舞伎入門」と「死刑台の男」が面白かった。
和田誠画風の井上氏=山西さんと杉山さんの熊倉さん激似!
楽しかった。

「庭にはニワトリ二羽にワニ」 「キニサクハナノナ」

「庭にはニワトリ二羽にワニ」 「キニサクハナノナ」

せんがわ劇場

調布市せんがわ劇場(東京都)

2014/06/14 (土) ~ 2014/07/01 (火)公演終了

満足度★★★★

声色の豊かさに聴き惚れる
キャスト登場時から、小ネタを見せてくれる幕開け。
それぞれ約30分程度の作品だが、後方に映像を映し出しその前でキャスト4人(後半3人)が単なる読み聞かせではなく芝居を合わせ、ピアノ伴奏で歌ったり。
話の面白さや聴き易さ、それぞれにあった衣装等、とても工夫した舞台で楽しめた。
今回の企画、当初は花組芝居の水下さんが演出予定だったそう。志賀さんが演出を引き継いだ形の上演となったが、とても楽しかった。

公演時間中、東京都内に雹が降った時間帯で、雨(雹)音も激しく聞こえ多少気になったものの、演者さんの声は支障なく聞こえました。
約80分 (休憩15分あり)

ネタバレBOX

西条さんがピアニストの吉村さんエスコートし登場後、志賀さんと藤谷さんも静かに登場してくるが、なかなかやってこない伴さん。志賀さんの命令で西条さんが伴さんを連れてくるも、今度は2人とも台本持たず手ぶらでやって来たり…という感じで、冒頭からちょっとした小ネタ込みの観劇注意事項も芝居の一部にして見せた後、本編開始。

「庭にはニワトリ 二羽にワニ」
ドレスアップした4人がピアノ伴奏に合わせタイトルロールを合唱しながら、後方スクリーンにはお話の絵が随時映し出され、紙芝居のよう。
ひょんな事でワニに食べられた父親鶏、それを知ったその子どもの兄妹鶏、なぜか妹は父親がカニに食べられたと思い込んだままワニの家へ敵討ちにお屋敷まで出向くが、そこで暮らしているのはワニを飼っているマダムとメスの子ワニ、父鶏を食べた母ワニはなんとマダムが子ワニのオシャレベルトになっていた。それ知った子ワニ、ビックリしてると敵討ちにやって来た妹鶏になぜかオスのワニと勘違いされ、惚れられて告られちゃったり。
いろいろ混乱はあったものの、マダムが鶏も一緒に暮らしましょ、と決め、めでたしめでたしで〆。雌鳥に振り回される雄鶏とかなり悲惨な境遇なんだけど、なぜか笑えてしまうクロコ、マダムのあっけらかんとした強引さ、などなど明るいドタバタコメディで面白かった。

「キニサクハナノナ」
志賀さん抜きの3人芝居。あまり台本を手に持ってなかったようなリーディング芝居。
境界線が敷かれているような地で、分厚い過去帳簿を読んでいる人。
そこへやって来た桑島、読む人と言葉を交わしているうちにやって来たたま子。2人は戦時中の見合い相手だった。見合い、即、結婚で気持ちが固まっていたたま子と桑島、別れの時は姿が見えなくなるまで見送ってくれたのに、なぜか翌日には一方的に破談を告げたま子のもとを去っていった桑島。
その後、桑島の出征の事情を知ったたま子も結婚していれば生きて戻る気力も湧いていたのでは、と問うも「あの島からは誰一人生きて帰っては来られなかった」と告げる。
戦後のたま子の暮らしぶりを聞き、平和な世の中になった事が嬉しい、とも。
ずっと桑島の心残りになってしまい見合いの席で咲いていた白い花の名を告げる為にやって来た。ずっと伝えたかった、という思いと共に。

自分の人生を振り返ると案外つまらない人生だったのでは、と考え始めるたま子だったが、そのやり取りを読む人の「沢山の人生を読んできたけれど、面白くない人生なんて1つもなかったよ!」という一言にきた道を戻る事にしたたま子、遠くの方から「お見送り〜」と声が聞こえ、立ち上がって大きく手を振り姿が見えなくなるまで見送る読む人、また本を開いて読み始める。

一生の中で一度しか出会わなかった人。誠実、後悔、思いやり、尊さ等、短い話なのにじーんときた。
男が表立って出てくるのは青年時代の姿、お見合い風景と戦場の悲惨さ。戦争で亡くなった男の姿を西条さんが実直に演じられて好印象。
藤谷さんのたま子、娘時代から老婆まで話す声のペースの切り替えもわかりやすい。
2人の行方を読んでいた道先案内人のような伴さんの読む人、傍観者にならず、そこで「見守る」という安定感ある存在に思えた。
メロディアスなピアノ演奏も聞いてて心地良く、ファンタジーなお話だけど観終わった時は清々しくなるような気持ちよい舞台でした。

演者さん、とても響く声の出し方で聞きやすかったです。
毒婦二景「定や、定」「昭和十一年五月十八日の犯罪」

毒婦二景「定や、定」「昭和十一年五月十八日の犯罪」

鵺的(ぬえてき)

小劇場 楽園(東京都)

2014/06/12 (木) ~ 2014/06/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

A:定や、定 観劇
Bプロ観劇から数日経過し、あが定版観劇。
ハマ定版同様、テンポ良い話だったが、定と正直のやり取りは「喜劇阿部定」とタイトル変えてもいいくらい笑えた。時々切なくなったけど。
男が若き日の定との交流を噺家のように語り尽くし、行き着いた先は、父性が芽生えたんだろうか。
どちらの定さんも魅力的で迫力あってチャーミングだった。
面白かったです。約70分。

毒婦二景「定や、定」「昭和十一年五月十八日の犯罪」

毒婦二景「定や、定」「昭和十一年五月十八日の犯罪」

鵺的(ぬえてき)

小劇場 楽園(東京都)

2014/06/12 (木) ~ 2014/06/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

B:昭和十一年五月十八日の犯罪 観劇
ハマカワ版の安倍定。
226事件から間もなく起きた事件で、逮捕後の取調室が舞台。面白かった。約70分。

ネタバレBOX

笑って良いのか躊躇う題材なのに、警察内部に首を突っ込む内務省の異分子的愉快犯も手伝い、話の面白さが増す。
ハマカワさんの緊張を強いられる状態でも動じない品があって芯のある眼差しや、混乱後の着付け姿も見蕩れる。この仕草に男も虜になったんではないか、と思わされる女っぷりだった。カオスな状況に持っていく瀧川さんとそれをセーブさせる谷仲さんのやり取りも面白かった。
それにしても、お上の注目逸らしの手法って、昔も今も変わんないのかも。
サラエヴォの黒い手【ご来場ありがとうございました!!】

サラエヴォの黒い手【ご来場ありがとうございました!!】

劇団チョコレートケーキ

駅前劇場(東京都)

2014/06/11 (水) ~ 2014/06/15 (日)公演終了

満足度★★★★

国を思う気持ちや誇り
100年前の世界地図を頭の片隅に思い描きなから、世界昔話を見てたような錯覚。登場人物名も特有の「〜ヴィッチ」名義で、すぐに覚えられないせいもあり事象を追いかけてるうちに終わってしまったが、このお話では、主に青年チームに重点を置いて見てた。
その中でもポポヴィッチの西尾さんとチュブリロヴィッチの岡本さんの瞬時に役を切り替える上手さは見事だった。
国を思う熱意が妄信に変化させるような愛国心を煽る方法は嫌いだが、ラスト場面は現代の世論みたいだなぁと思ったり。
気の緩む隙を与えない舞台だった。
約135分。

毒舌と正義

毒舌と正義

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2014/06/06 (金) ~ 2014/06/12 (木)公演終了

満足度★★★★

話し合い
高校の修学旅行先で起きた生徒達の問題行動、それに対応する様々な立場の引率教師達。宿泊先のホテルの一室で各々集まり会議、また会議。
学校法人の有名進学校から同系列の底辺校に移動させられた阿久津先生を主軸に話は進む。前任校の事件と交差するので、その疑問が解明されるまで最後まで気が抜けない舞台でした。舞台中央を囲む、椅子の配置等も面白い見せ方と思った。もー、教師って大変!って実感した。
阿久津先生と実藤先生の叩きあいは見ていてハラハラしたが。このメンツの中で若い先生たち、奮闘していたと思う。
約110分。

ネタバレBOX

修学旅行先で生徒同士の喧嘩が発端、男子生徒が女子生徒の部屋に入り込み荷物を漁る事件も起したり。それについて9人の教師達の話し合いと間に入る添乗員とホテル従業員、生徒は出てこない。
教育なのか暴力なのか体罰なのか、問いと答えを巡る裁判、それの裁判記録、生徒たちの葛藤。
感情をあまり表面にださない学年主任の実藤先生や、全体の均等を保とうとする物理の度会先生が、今時の四角四面で信念ある教師像なのかな。
教頭先生は裁判を起した阿久津先生をあまり良く思っておらず学校側として敵視しながら接していた、と思っていたがどうなんでしょう。最後の阿久津先生の生徒から信頼度の表れが嘆願書の形になって出されたのは救いだったけど、どうしてそれほど慕われていたのかの描写がなかったような。自分が見落とした場面だったかな?

ネズミが超有名なあの場所で起こった暴力事件、高校でその場所が修学旅行先という事は関東以外の学校なんだろうか。今回の先生達の対応ぶりに、つい先日の長崎の被爆者に暴言を吐き、ニュースネタになった事件をふと思い出したりして。

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