「庭にはニワトリ二羽にワニ」 「キニサクハナノナ」 公演情報 せんがわ劇場「「庭にはニワトリ二羽にワニ」 「キニサクハナノナ」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    声色の豊かさに聴き惚れる
    キャスト登場時から、小ネタを見せてくれる幕開け。
    それぞれ約30分程度の作品だが、後方に映像を映し出しその前でキャスト4人(後半3人)が単なる読み聞かせではなく芝居を合わせ、ピアノ伴奏で歌ったり。
    話の面白さや聴き易さ、それぞれにあった衣装等、とても工夫した舞台で楽しめた。
    今回の企画、当初は花組芝居の水下さんが演出予定だったそう。志賀さんが演出を引き継いだ形の上演となったが、とても楽しかった。

    公演時間中、東京都内に雹が降った時間帯で、雨(雹)音も激しく聞こえ多少気になったものの、演者さんの声は支障なく聞こえました。
    約80分 (休憩15分あり)

    ネタバレBOX

    西条さんがピアニストの吉村さんエスコートし登場後、志賀さんと藤谷さんも静かに登場してくるが、なかなかやってこない伴さん。志賀さんの命令で西条さんが伴さんを連れてくるも、今度は2人とも台本持たず手ぶらでやって来たり…という感じで、冒頭からちょっとした小ネタ込みの観劇注意事項も芝居の一部にして見せた後、本編開始。

    「庭にはニワトリ 二羽にワニ」
    ドレスアップした4人がピアノ伴奏に合わせタイトルロールを合唱しながら、後方スクリーンにはお話の絵が随時映し出され、紙芝居のよう。
    ひょんな事でワニに食べられた父親鶏、それを知ったその子どもの兄妹鶏、なぜか妹は父親がカニに食べられたと思い込んだままワニの家へ敵討ちにお屋敷まで出向くが、そこで暮らしているのはワニを飼っているマダムとメスの子ワニ、父鶏を食べた母ワニはなんとマダムが子ワニのオシャレベルトになっていた。それ知った子ワニ、ビックリしてると敵討ちにやって来た妹鶏になぜかオスのワニと勘違いされ、惚れられて告られちゃったり。
    いろいろ混乱はあったものの、マダムが鶏も一緒に暮らしましょ、と決め、めでたしめでたしで〆。雌鳥に振り回される雄鶏とかなり悲惨な境遇なんだけど、なぜか笑えてしまうクロコ、マダムのあっけらかんとした強引さ、などなど明るいドタバタコメディで面白かった。

    「キニサクハナノナ」
    志賀さん抜きの3人芝居。あまり台本を手に持ってなかったようなリーディング芝居。
    境界線が敷かれているような地で、分厚い過去帳簿を読んでいる人。
    そこへやって来た桑島、読む人と言葉を交わしているうちにやって来たたま子。2人は戦時中の見合い相手だった。見合い、即、結婚で気持ちが固まっていたたま子と桑島、別れの時は姿が見えなくなるまで見送ってくれたのに、なぜか翌日には一方的に破談を告げたま子のもとを去っていった桑島。
    その後、桑島の出征の事情を知ったたま子も結婚していれば生きて戻る気力も湧いていたのでは、と問うも「あの島からは誰一人生きて帰っては来られなかった」と告げる。
戦後のたま子の暮らしぶりを聞き、平和な世の中になった事が嬉しい、とも。
ずっと桑島の心残りになってしまい見合いの席で咲いていた白い花の名を告げる為にやって来た。ずっと伝えたかった、という思いと共に。

    自分の人生を振り返ると案外つまらない人生だったのでは、と考え始めるたま子だったが、そのやり取りを読む人の「沢山の人生を読んできたけれど、面白くない人生なんて1つもなかったよ!」という一言にきた道を戻る事にしたたま子、遠くの方から「お見送り〜」と声が聞こえ、立ち上がって大きく手を振り姿が見えなくなるまで見送る読む人、また本を開いて読み始める。

    一生の中で一度しか出会わなかった人。誠実、後悔、思いやり、尊さ等、短い話なのにじーんときた。
    男が表立って出てくるのは青年時代の姿、お見合い風景と戦場の悲惨さ。戦争で亡くなった男の姿を西条さんが実直に演じられて好印象。
    藤谷さんのたま子、娘時代から老婆まで話す声のペースの切り替えもわかりやすい。
    2人の行方を読んでいた道先案内人のような伴さんの読む人、傍観者にならず、そこで「見守る」という安定感ある存在に思えた。
    メロディアスなピアノ演奏も聞いてて心地良く、ファンタジーなお話だけど観終わった時は清々しくなるような気持ちよい舞台でした。

    演者さん、とても響く声の出し方で聞きやすかったです。

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    2014/06/25 02:00

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