『起て、飢えたる者よ』ご来場ありがとうございました!
劇団チョコレートケーキ
サンモールスタジオ(東京都)
2013/09/19 (木) ~ 2013/09/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
悪霊はわたしたちの中にいる
この時代のしかもこの題材を直接的に取り上げることは、まだ我々の世代においては逡巡するところがあると思うが、この若き劇団はそれを真っ向から挑んだ。そして演劇というアイテムを使って人間の謎にせまるドラマを形作った。その取り組みは、社会的な存在意義をもたない趣味的小劇場劇団が大多数の中では注目すべき成果であると思う。
ウジェーヌ・イヨネスコ「授業」フェスティバル
die pratze
神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)
2012/04/27 (金) ~ 2012/05/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
「授業」Super Steam Through(授業フェスティバル参加)
これは面白い。面白いというかバカバカしい。とにかくここまでぶっ壊してくれると逆に爽快感がある。
使者たち
bug - depayse
シアターバビロンの流れのほとりにて(東京都)
2017/08/04 (金) ~ 2017/08/06 (日)公演終了
Ceremony2012-おひさまのほうから-
ストアハウスカンパニー
上野ストアハウス(東京都)
2012/02/22 (水) ~ 2012/02/26 (日)公演終了
満足度★★★★
花ひらく抽象性
同じパフォーマンスでもやる時期によって、こんなにも印象の変わる作品もないだろう。初演は確か2007年だったと記憶している。今回の上演は、この作品の持つ豊かな抽象性が花ひらいた。それは作品が変わったからではなく、現実が変わったからだ。
昭和神曲煉獄篇
劇団阿彌 GEKIDAN AMI
シアターバビロンの流れのほとりにて(東京都)
2012/04/12 (木) ~ 2012/04/15 (日)公演終了
満足度★★★★
静謐なる舞台
正方形の舞台の上手下手に演者が座る箱が数個置かれている。舞台はそれだけでいたってシンプル。演者は能を思わせる体勢で重心は低い。言葉は明瞭で直接的で余計なものはない。要するに演者も舞台と同様にシンプルな表現になっている。
かもめ或いは寺山修司の少女論
Project Nyx
芝居砦・満天星(東京都)
2012/06/16 (土) ~ 2012/06/25 (月)公演終了
満足度★★★★
エンターテイメントとしての寺山演劇
寺山修司の少女小説からの舞台化だが、中山ラビが歌ったり、ポールダンスが入ったり、人形劇があったり、宇野亜喜良の少女画のスライドが映ったりと、観客を飽きさせない楽しめる構成になっている。ある意味で商業演劇的な感じもするが、寺山作品は実験性だけではなく、エンターテイメント的な要素も充分あるのだから、その部分を大いに生かした舞台と言えると思う。
ローザ
時間堂
王子スタジオ1(東京都)
2012/05/16 (水) ~ 2012/05/29 (火)公演終了
満足度★★★
信じられたものと信じられなかったもの
ポーランド生まれのドイツで活動した革命家ローザ・ルクセンブルグをめぐる物語。彼女の死後、親しかったものたちが墓場に集い、ローザとは一体なんだったのかを、それぞれがローザを演じることによって検証する。
ウイルス
大駱駝艦
世田谷パブリックシアター(東京都)
2012/07/05 (木) ~ 2012/07/08 (日)公演終了
ココロに花を
ピンク地底人
王子小劇場(東京都)
2013/05/31 (金) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★
未消化の先の可能性
なにか未消化な感じのする舞台。言いたいことは何となく分かるし、ハッとする瞬間も時にはある。連続する絞殺事件、意識を失った人たち、意外な犯人などドラマを展開させる道具立てはあるのだが、表現が平坦すぎて引っぱっていくエネルギーが少なく眠気を誘う。作者はあえてそうしているのかもしれないが眠気にはかなわない。さらに歴史の話が出てくるが、それが全体と繋がってこないのでさらに未消化になる。もしかしたら個人の意識と世界の歴史を通底させる壮大な構想があったのかもしれないが、観客の想像力はそこまで律儀に働いてはくれない。でもこの95分間の未消化の先に何かしらの可能性を感じないこともないのだ。
edit
shelf
atelier SENTIO(東京都)
2012/05/24 (木) ~ 2012/05/27 (日)公演終了
満足度★★★
劇としての展開がほしい
劇場内に入ると白い空間に7人の男女がいる。立っているものもいれば、座っているものもいる。みな白と金のグラデーションの入った衣裳。白い砂山には仄かに明かりが灯っている。シンプルだがセンスある舞台。
班女/弱法師
shelf
d-倉庫(東京都)
2013/06/28 (金) ~ 2013/06/30 (日)公演終了
満足度★★
退屈を作る才能
「班女」は客入れから舞台上に4人の俳優が存在している。ト書きが語られることによって役の身体が覚醒する、そんなイメージの幕開き。花子を二人の女優が演じるのは、狂気をあらわすためか。台詞は全体に単調に進むが、実子役の女優が単調な中でも一種独特の集中力を持っていて空間を支配している。この演出家は退屈の作り方がうまい。静かで単調なシーンの連続は退屈するが、ときにその退屈のなかに別の色彩が差し込む。そのとき劇は息を吹き返す。ただ、照明がぼんやりとしていて美しくなかった。
「弱法師」については言うべきことなし。俊徳役に気品がない。
A.C.O.A.presents「スピリッツ オブ ジョン・シルバー」
A.C.O.A.
atelier SENTIO(東京都)
2012/06/07 (木) ~ 2012/06/10 (日)公演終了
満足度★★
なぜジョン・シルバーなのか
開演前から役者たちが会場内にいて、入場してくる観客を迎えている。場内カウンターでは飲み物などを売っている。開演前にそういった雰囲気づくりをしているのは、別にいいと思うのだが役者が知り合いの観客と客席で雑談を始めてしまうのは、この劇団の関係者でもない人間にとっては違和感があった。
唐十郎の「ジョン・シルバー」をもとにしているが、台詞を割ったりしているためか、個々の役が立ってこなくて、ドラマとしての展開の面白さは少なかった。75分ほどの短い芝居で、歌も頻繁に入るわりには退屈した。なによりも唐の台詞を喋れるだけの肉体が圧倒的に不足していると感じた。男役を女にやらせるのもどうかと思った。唯一、小春役を演じた演出家でもある鈴木史朗だけが、猥雑な身体を持っているように思えた。音楽も同じような曲ばかりで、場を変化させるだけの高まりに欠けた。そして何よりも、今なぜ「ジョン・シルバー」なのかということが分からなかった。
幻探偵
オルガンヴィトー
明大前「築地本願寺和田堀廟所」野外特設劇場(東京都)
2012/08/02 (木) ~ 2012/08/06 (月)公演終了
満足度★★
唐十郎をやるべき
明大前にある本願寺の墓地にテントはあった。唐組や新宿梁山泊のようなテントではなく、パイプが支柱のイベント用テント。客席は30席くらいか。客席と舞台は近い。
阿呆船
劇団 風蝕異人街
神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)
2012/03/03 (土) ~ 2012/03/03 (土)公演終了
ウジェーヌ・イヨネスコ「授業」フェスティバル
die pratze
神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)
2012/04/27 (金) ~ 2012/05/13 (日)公演終了
いのうえシェイクスピア「鉈切り丸」~W.シェイクスピア<リチャード三世>より
パルコ・プロデュース
東急シアターオーブ(東京都)
2013/11/08 (金) ~ 2013/11/30 (土)公演終了
満足度★★
中レベルのエンターテイメント
さかんに宣伝をしているのでどんなものかと見て来たが、全体的には中レベルのエンターテイメント。しかし、3時間は長すぎる。ある程度のところで主役の鉈切り丸がこれは絶対に最後は殺されるなというのが見えてきた時点でドラマに対する興味は薄くなった。
「リチャード三世より」とあるが、シェイクスピアのリチャード三世のような言葉の力で相手を牛耳っていくような迫力のある場面はない。主役の森田剛も単なる悪人というだけではなく人間としての重層性があればともう少し見られたかもしれない。今回が初舞台の成海璃子が演じる巴御前は、がなってばかりの学芸会。この二人を芸達者の役者たちが支えていくが、いくらお笑いのシーンを入れたり、照明効果を使いまくっても3時間はもっていなかった。客席はジャニーズファンばかり。だが、客席が埋まっているから商業演劇としては成功ということだろう。
わが友ヒットラー
シアターオルト Theatre Ort
駅前劇場(東京都)
2013/03/27 (水) ~ 2013/03/31 (日)公演終了
『地球☆空洞説~ちきゅう☆くうどうせつ~』The hollow Earth theory(世界初演!)
流山児★事務所
みらい座いけぶくろ(豊島公会堂)(東京都)
2012/11/22 (木) ~ 2012/11/29 (木)公演終了
ビョードロ 終演いたしました!総動員2097人!どうもありがとうございました!
おぼんろ
d-倉庫(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了
ピーター・ブルック、マリー=エレーヌ・エティエンヌ[フランス]『驚愕の谷』
フェスティバル/トーキョー実行委員会
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2014/11/03 (月) ~ 2014/11/06 (木)公演終了
満足度★
はじめての失望
どうなのだろう。これまでピーター・ブルックの作品はたとえ劇評家が寝ていても、とりあえず見られた。それは見るべきものがあったからだが、今回は眠くなった。芝居の系統としては人間の精神世界の闇をテーマとした「THE MAN WHO」に近いものがある。この作品もすんなりとは入って行けない作品だったが、今回の芝居は入りにくいというよりも入るだけの奥行きを用意していないという感じだった。やたらに時間をとった客いじりをしていたが、それがさして意味のあるものにも思えなかった。ここで大きな疑問を持ったのだが、これは果たしてピーター・ブルックの作品なのだろうか。ピーター・ブルック的ではあるが、決定的に何かが違うような気がする。ひとつだけはっきりと言えるのはこの芝居には以前のピーター・ブルックの作品のような驚きはない。ピーター・ブルック的なものはあったが、そういったスタイルは皮肉にも彼の著書にある退廃演劇に近しいような気がした。それにしても良くないと思ったなら拍手をしなければいいのに戸惑いながら3回もカーテンコールをする日本人はとんでもないお人好しだ。