満足度★
はじめての失望
どうなのだろう。これまでピーター・ブルックの作品はたとえ劇評家が寝ていても、とりあえず見られた。それは見るべきものがあったからだが、今回は眠くなった。芝居の系統としては人間の精神世界の闇をテーマとした「THE MAN WHO」に近いものがある。この作品もすんなりとは入って行けない作品だったが、今回の芝居は入りにくいというよりも入るだけの奥行きを用意していないという感じだった。やたらに時間をとった客いじりをしていたが、それがさして意味のあるものにも思えなかった。ここで大きな疑問を持ったのだが、これは果たしてピーター・ブルックの作品なのだろうか。ピーター・ブルック的ではあるが、決定的に何かが違うような気がする。ひとつだけはっきりと言えるのはこの芝居には以前のピーター・ブルックの作品のような驚きはない。ピーター・ブルック的なものはあったが、そういったスタイルは皮肉にも彼の著書にある退廃演劇に近しいような気がした。それにしても良くないと思ったなら拍手をしなければいいのに戸惑いながら3回もカーテンコールをする日本人はとんでもないお人好しだ。