edit 公演情報 shelf「edit」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    劇としての展開がほしい
    劇場内に入ると白い空間に7人の男女がいる。立っているものもいれば、座っているものもいる。みな白と金のグラデーションの入った衣裳。白い砂山には仄かに明かりが灯っている。シンプルだがセンスある舞台。

    ネタバレBOX

    内容はいくつかのテキストの合成だが、メインはソフォクレスの「アンティゴネ」とアーシュラ・K・ル=グウィンの「左ききの卒業式祝辞」。「アンティゴネ」のシーンは演劇的なところもあるのだが、その他の場面は論説的な台詞が多くて、劇が動いてこない。身体的な造形でもあれば見られるのかもしれないが、そのような目を惹くシーンのないまま約1時間の舞台は終った。使用しているテキストは、今日の日本において大変意味深い題材を提供していると思う。だが、それらが演劇的に躍動しない。劇を見る楽しみはやはり相反するものの対立とか、人物の変質にあったりするのではないかと思うのだが、登場人物の思想を物語っても劇にはならない。さらに唯一展開した「アンティゴネ」も真に生きている人間の性が見えてこなかった。上品な語りにおさまっていて人間同士のぶつかり合いになってこない。演出家はそのようなものを求めてはいないのかもしれないが、テキストの素材選びにおける視点に非凡なものを感じられるだけに残念な気もする。
    また、アンティゴネ役の女優はその役を身体も含めて捉えていると思えたが、それに対してクレオン役の男優が、この役を理解していないように思えた。それは二人の台詞のやりとりに如実に現れていた。 

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    2012/05/27 21:09

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