トライアンフ・オブ・ラヴ
梅田芸術劇場
天王洲 銀河劇場(東京都)
2008/04/04 (金) ~ 2008/04/14 (月)公演終了
満足度★★
ちゃっちー!!!
作品のスケールも小さく、舞台装置も簡素、話も簡単なら、出演者も数人と、
ミュージカルの割には、ちゃっちー作品。非常に安っぽい。
派手なダンスシーンもなければ、舞台転換もない。
なんでこんな作品、上演しちゃったんだろうって感じ。
小池先生がやりたいっていったのか、朝海ひかるがいいって言ったのか、
ホリプロが考えたのか・・・
主演・演出の顔ぶれで、今年の後半に始まる、エリザベートの
プレみたいな雰囲気なんだけど、正直逆効果。
ドレス姿の朝海ひかるは、「あっシシー出来るかも」と思わせる
容貌だったのが見せ所なだけで、あとは彼女の悪い部分しか
見えてこない。
とにかく歌が下手なんです、音痴、びっくりするほど音痴。
あまりにも下手で、「これはメロディがヘンテコリンなのかなぁ」と
耳を疑うほど、音程がズレっぱなし。、
彼女の魅力は華麗なダンスなんだけど、それが封印された作品
(エリザベートもそう)だから
中途半端な綺麗さで目を惹くほどもなく、
かなりのマイナス。
武田真治は、ぴったしの役柄。
他の役者も、まぁはまり役だけど、
作品がちゃっちいから、そんなに印象に残らない。
銀河劇場のスペックに合わせたコジンマリとした作品と言えば、
それはそうなんだけど、
10年くらい前にブロードウェィで人知れずひっそしとオープンし、
評判の悪さで、ひっそりと早々にクローズした作品。
何で今更こんな作品を上演したのか不思議。
安くあげたかっただけなんだろうか。
「燻し銀河」に比べば数千倍は立派だけど、S席は1万円以上するんだから、
もうちょっと格調高くしても良かったんじゃぁ・・・
そういう風に出来る骨組みは作品にありそうだし。
一応オケが入っているんだけど、どこにオケがあるのか、
カーテンコールでも姿が現われなかった。
ミュージカルは音楽も作品の構成の大事な要素なんだから、
ちゃんと紹介はして欲しかった。
今回は銀河劇場の3階のボックス席といわれる席から見たんだけど、
この席は本当に見づらい。
舞台には近いんだけど、上から見下げる形になり、
歌舞伎座や演舞場の3等B席なみの価値。
この席は、売ってもS席の4分の一程度の価格にしなきゃなぁ。
THE BEST PARTNERⅡ
ジーモ・コーヨ!
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2008/04/10 (木) ~ 2008/04/13 (日)公演終了
満足度★★★
僕は犬派なんで・・・
犬が絡んでくる話って、弱いんだよなぁ。
足元に愛狂わしくジャレついてくると、本当に癒されますねぇ。
犬が出てくるだけで、ポイントアップ!でも、
可愛い可愛いだけですまないところが、とりあえず演劇なんだけど。
他の方も言うよう、言いたいことは、わかる。
でも、その言い方が、くどくしつこく、そして説得力に欠けるのだ。
この作家の人、企業で部下指導とかしたら、
うっとうしがられるだろうなぁと思うほど、整理されない台詞で、
ぐだぐだダラダラ綴られるのだ。
また、こう綺麗ごとというか、うわっつだけの台詞ばかり
綴っているから、だんだん飽き飽きしてくる。
この手の話を、しっかりと訴えるという覚悟をもって話をするか、
いっそのこと子供向けで「動物は大事にしなきゃいけませんよ」って、
シンプルにするか、どちらかでなければ、
観客は納得しないでしょう。
甘っちょろい無責任で中途半端な作品に仕上がっているのが、
犬派としては余計に腹立たしい。
そしてラスト、結局何が言いたかったんでしょう???
こういう無責任で、視野の狭い人間達が、
取り合えず「いい人に見られよう」とか、
「可愛そうと思っている自分が好き」みたいな気持ちで、
問題提議をするケースが世の中に増えてきているから、
「品格」とか「KY」なんて言葉が流行るんだろうなぁ。
チワワをやっていた2人組みは、コケティッシュでいいですね。
あれはお笑いコンビかなぁ。
身のこなしも台詞の掛け合いも、身軽でとっても犬っぽく楽しい。
変に社会派ぶらずに、コメディやホームドラマ風で、
この犬たちの話を見てみたかった。
★2程度の話だけど、犬が好きだから★3つ。
マンマ・ミーア!【2021年4月28日~5月11日公演中止】
劇団四季
新名古屋ミュージカル劇場(愛知県)
2008/03/01 (土) ~ 2009/01/25 (日)公演終了
満足度★★★
鈴木ほのか四季化
ロングラン公演をするには、個性を出していたら、
身がもたないんだろうな。
約1ヶ月ぶりに見たら、開幕当初、それなりに自分の色を持っていた、
鈴木ほのかが、すっかり無個性、艶のない役者、
いわゆる「四季の役者」なってしまっていました。
朱に交われば・・・じゃないけど、
主役も誰も皆アンサンブルの一人のような味の薄さ。
「誰が演じても同じ水準」の四季ですから、
味があっちゃダメなんでしょうが、
それが本当に作品、役者の為なんでしょうか。
彼女、次は「ミスサイゴン」ですよね。
ヘレンですから、出番は少ないけど、
役者の個性で仕事を引っ張ってくる商業演劇において、
これじゃ退屈な女優、印象に残らない人になっちゃうんじゃないって、
人ごとではあるけど思っちゃいました。
名古屋のC席は本当にお得。
舞台に近く見切れもない2階の5-6列。
役者の表情や仕草もよくわかる席。
都会ならS席です。
3150円でブロードウェィミュージカルを楽しんで、
文句や不満をいっちゃバチが当たるか。
カラミティ・ジェーン
梅田芸術劇場
ル テアトル銀座 by PARCO(東京都)
2008/04/04 (金) ~ 2008/04/13 (日)公演終了
満足度★★★
湖月わたるーさん-ワンマンショー
本当に宝塚ファンの女性の方々って、微妙な上品です。
ロビーのあちこち、客席でも、役者の名前を乱暴に言うことは、ありません。
ワンピースやスーツを着た女性が、ハンカチで口を押さえながら、
「わたるさんの作品はね・・・・」「わたるさんのお茶会に行きましたの」
「わたるさんの限定ブロマイドが手に入りましたの」。
あっちでもこっちでも、わたるさん、わたるさん・・・・
でも上演中にアメちゃんを探して、鞄の中をガサゴソ詮索はします。
何でもファンは芸名と本名とニックネームの3パターンを覚えるのが
流儀とか。
小劇場とも、ある意味近い、内輪の世界です。
内容なんですが、これが面白い。
笑いあり涙あり、良く出来てます。
作品も良く出来ているのですが、
湖月わたるーさんーの、魅力を色んな角度から引き出しており
歌あり踊りありギャグあり(自虐ネタさえあり)、シリアスありと、
そう彼女のワンマンショー。テンポも悪くない。
退団後初作品ではないけども、これこそ彼女の顔見世興行、
「私、こんな事、あんな事も出来ますの」って、
プレゼンテーションしているかのような3時間。
レビューじゃない形で表現できているし、大成功でしょう。
彼女はいいスタッフに恵まれましたね。
ただ、そんなワンマンショーも3時間は長い。
決して、あっさりとはしていない元宝塚トップスター、脂が強く、
胸焼けしちゃいました。
僕には彼女が前面に出る作品、彼女一本槍な作品は、
骨付きカルビ3人前って感じで正直重い。
彼女メインでも構わないけど、
もう少しサラダや豆腐、お刺身なんかが交じった
「くたばれヤンキーズ」や「オールシュックアップ」くらいのような作品が
丁度いい。
その程度の役柄で個性派女優として出演されたほうが・・・。
まぁでもファンには骨付きカルビ3人前ほうが、
満足感ありますよねぇ、焼肉食べに行ったんだから。
あくまでも彼女のお披露目ですから、
他の役者は、刺身のツマ程度。
というより個性があっちゃダメなんです、わたるーさんーが、目立たないから。
出ている役者も承知の上なんでしょう。
今井氏なんて、他の作品とかけもちとか。
ルテ銀のスペックにあう舞台装置、上品な布であしらえた幕や、
ライティングなんかも非常にエレガント。
内容も、クラシックな作品ではありますが、
狂言回し風に話を進める、育ちのいい貴公子、小林十市が、
しっかりと話の底上げをし、安心できます。
彼は随分上手くなったなぁ、もう40歳前後なのに、
若々しくしなやか、さすが元バエレダンサー。
美木良介に色気があります、背の高い男まさりの湖月わたるーさんーが、
惚れるのもごもっとも、と納得するような伊達っぷり。
彼は50なんだよなぁ、みんな若いなぁ。
それに比べ小林綾子の地味なこと。
役も地味だけど、なんだろう舞台の上での華がない。
湖月わたるーさんーのオーラに負けてしまったのだろうか。
でも、新橋演舞場で座長公演するんだよなぁ。
見に行かないけど。
エンターテイメント性に富んだ、非常に土台がしっかりとした作品。
構造からしても、地方公演、全然OKな作品ですが、
大阪公演だけとか。地方は入らないんだろうな。
この公演も、不思議なくらい、中通路より前は満席なんですが、
その後ろはガッラガラ。極端に密度の差があります。
他の方も言ってるよう、
「お好きな席でどうぞ」って感じでした。
ルテ銀なんて見やすいから窮屈な真ん中より、前も後ろも左右誰もいない
席のほうが3時間もの長時間、ゆっくりと過ごせるのにって
思うのは、
湖月わたるーさんーに、あまり興味がない僕だけでしょうか。
ミュージカルスターや宝塚スターって、やっぱり都会だけの
ものなんですね。
タダ同然でも「篤姫」に出ている山ユーとか涼風真世も
地方で客呼ぶための名前と顔売りなんでしょう。
NHKの力は想像以上に地方じゃ神通力がありますから。
最後の旅立ち
IQ5000
笹塚ファクトリー(東京都)
2008/04/09 (水) ~ 2008/04/13 (日)公演終了
満足度★★
多分、連作なんだろうなぁ
お付き合いで足を運びましたが、あんまり良くわからない作品。
チラシを見たら、この劇団で似たようなタイトルの作品を上演している
ようなので、多分、連作なんだろうなぁ。
見続けている人だけが楽しめる作品を目指しているのか、
コアなファン作りに躍起としているのかは定かではないけど、
ファンタジーなんだかSFなんだか???
それなりに芝居見物に慣れている僕でも理解不能。
初めて見る人もいる可能性があるんだから、
これまでの「あらすじ」とか「人物相関図」とか、
話してくれてもよさそうなものだけど。
まぁ70人程度のお客さん相手に、10人以上のキャストが、
いくら初日とはいえ、
学芸会レベルの芝居をしているんだから、期待しても無理か。
がっくり。
途中で帰ろうと思ったけど、客の少ない小劇場で、
他の人の前を通って出て行くって、ある意味、勇気が要りますね。
今回も、仕方なく100分強、付き合ってしまった。
笹塚ファクトリーも、役者の控え室というか、楽屋が
ロビーから外へ出る通路から見えるんです。
この劇団も、つまらない芝居を打つ割にお見送りもせず、
楽屋の中で「あっはっは」って、くつろいでいる姿が見えました。
連作の芝居を打っているし、僕の性分に合わないだけで、
「見たい」の数が異様に多いし、
ご立派な劇団なのかもしれませんね。
この「見たい」のコメントが組織票でないことを祈っております。
青春の門 放浪篇
北九州芸術劇場
あうるすぽっと(東京都)
2008/03/28 (金) ~ 2008/03/30 (日)公演終了
満足度★★
茶番だなぁ
なぜ、この飽食の時代に小劇団公演として「青春の門」を公演するのか?
しかも数部作ある作品の途中だけ抜粋し「放浪篇」を単発で。
評判は耳にしていても実際に見る事がなかった「北九州芸術劇場」主催で、
新劇場の「あうるすぽっと」で、そして鐘下氏の演出という3要素を期待し、
劇場へ行きましたが、
内容は茶番としか、いえない。
主人公の設定や時代背景は、誰でも知っているという前提の下、
話は、どんどん進んでいく。
みんな知ってんですかねぇ。「青春の門」の全編。
50代より下の世代は馴染みなんじゃない??
昼メロで、不倫劇でもしてそうな、あま~く小さな顔立ちの主人公、
まゆ毛を綺麗にカットし肌もすべすべな現代っ子な主人公が、
清潔感あふれ、血色豊かな青年が、
ガラガラで全く通らない声で、何かを訴えかけている。
彼が訴える動機が全くわからない。
「男は背中で語る」と言いますが、
主人公の背中からは、甘いミルクの匂いしか、しません。
大々的な全国オーディションを実施して選抜された役者陣との
触れ込みですが、
パンフレットを見ると、みなさん、福岡の方。地元の方。
ん・・・。
商業演劇ならいいんですよ。
別にスターが主役で、回りは主役が引き立つような、
役者を揃えれば。
でも、これはスター主義の作品じゃないでしょう?
この作品は、いわゆる学生運動を背景に、問題定義をしながら、
汗臭い飢餓感に満ちた青春像を描こうとしていて、
立ち回りや派手な動きも多いのですが、
背景も浮かんでこず、
現代っ子がファッション感覚で60年代闘争をかじってみました感が
強い。
北九州芸術劇場なら、もっと緊迫した雰囲気とかが
展開できたのだろうか?
「あうるすぽっと」は最近できた劇場にしては公民館風というか、
とても趣のない、カルチャーセンターの発表会でもやるような、
見にくい(今時、小劇場でありながら見切れが多い)設計に
問題があるような劇場です。
(だからチケット代が安くできるのかな)
設備は近代的なんでしょうか・・・幾何学的雰囲気の舞台。
そこに簡素な装置や小道具を並べてるだけなので、
ギラギラした熱気も冷ましてしまうような空虚さがあり、
作品のイメージを再現するにはハンディがあるのに、
現代っ子風な役者、お世辞にも上手い器用とは言えない役者が、
起承転結の、承か転、いわば途中だけを上演すれば、
舞台と観客には、どんどん溝が広がっていく。
鐘下氏は、この作品に対し、何をしたかったのだろうか?
上演後のトークショーでも
「今の時代で、この作品・あの時代の雰囲気を再現するのは、
そもそも不可能」
「あの時代の精神を理解することは不可能」と
開き直ったようなコメントをし役者陣も、「うんうん」とうなずいている。
主催者の北九州芸芸術劇場のプロデユーサーだけは、
この作品を上演する意義や、出来栄えの自負を朗々と
語ってます。
「自分たちしか上演できない作品だ!」って。
誰も、こんなの環境じゃ上演しないよ。
これは、茶番だなぁ。
企画がいけないのか、劇場がいけないのか、演出がいけないのか。
でも劇場がバブル期以上に乱発気味に出来上がってますね。
池袋にも、溢れるほど劇場があるのに、
こんな中途半端な場所と雰囲気と大きさの劇場作って・・・
これも税金なんすかねぇ。
祝祭音楽劇「トゥーランドット」
TBS
赤坂ACTシアター(東京都)
2008/03/27 (木) ~ 2008/04/27 (日)公演終了
満足度★★★
豪華絢爛、華々しい祝祭・・・とはいかず
張り切って行って参りました、赤坂アクトシアター、こけら落とし初日。
中村勘三郎を始めとした歌舞伎役者の皆様や唐沢寿明夫妻、、
TBSレギュラー番組の司会者や、
アナウンサーら、テレビで見たことあるタレントさんがいっぱいで、
とっても客席はオーラに満ちてました。
こういうイベントな雰囲気って、気持ちを高揚させますね。
新赤坂アクトシアターは、昔のアクトシアターのような、
プレハブというかトタン小屋ほどではないにしても、
重厚感というか素材感は薄く、やっぱり「仮設」って感じがしました。
機能面を重視しているのか、軽くても良い素材が増えてきているのかは、
わかりませんが、
いわゆる「劇場」って雰囲気がない。
最近の四季の劇場にしても、映画館でいうシネコンにしても、
あぁいう量産型な小屋が増えていって、
帝劇とか日生のような情緒ある劇場は、もう出来ないのかもしれませんね。
劇場の雰囲気が、芝居を更に味付けしてくれると思っている身としては
寂しい限り。
内容ですが、パっと見は豪華絢爛な感じがするのですが、
どうも奥に広がらないというか、迫力が薄く、
オープニングにふさわしい、華々しい祝祭を試みようとしているが、
今ひとつ空回りしているような・・・。伝わってこないんだよなぁ。
僕は2階席後方だったから、そうなのかもしれない。
1階席は劇場中を右往左往した芝居が多かったようなので
1階席の人は満足度が高いのかも。
カーテンコールも、あっさりしたもので、
出演者の挨拶、演出家や製作者の登場、そして役者陣の涙もなく、
淡々としていた。
出たがり亜門さえ、挨拶しないって、
あんまりチームワーク良くないのかなぁ。
詳細はネタバレに書くとし、
見所は、個性の強い役者陣の中、ピカピカ光っていた
早乙女太一。
初めて見ましたが、男の目から見ても「綺麗な子だなぁ」と思うほど
色気がある。舞台から遠い席からでも、なまなましさを感じました。
あと、目立っていたのは、安部なっち。
頑張って歌ってました。
主役やスターの座にこだわらず、高橋由美子の席を狙っていけば、
なっちは大成すると思う。
ただ、アーメイはダメ。
これでフェイオンの代役なんて・・・代役は代役ですね。
カリスマ性もなきゃ歌だって大したことない。
そもそも美貌がない。垢抜けない演歌歌手みたい。
母国語が日本語じゃない人、マルシアとか桂ウンスクの
初舞台の時、
いづれも、その迫力に腰がひっくり返るほどの衝撃があったんですが、
アーメイって台詞は棒読みだし、歌も歌詞をなぞるのが
精一杯って感じで、全く心が入っていません。
フェイウォンが下りた時点で、適役がいなかったら、方向転換すればいいのに。日本人キャストで十分問題ないと思う。
アジアの観光客を呼ぶためにキャスティングしたのかなぁ。
舞台装置は派手だし、出演者数も多く、賑々しく
退屈はしません。
いろんな芝居のいいところ、はやりものを取り入れ
「ごった煮」にした感じ。
チケット¥13500は高いけど、まぁご祝儀も入れたら、
こんなもんかなぁ。でも劇場がちゃっちいから、やっぱ高いなぁ。
でも少なくとも「燻し銀河」の100万倍以上は、楽しめると思います。
いつものミュージカルの観客とは違い、
スーツ姿の男性が、とっても多かったのが新鮮でした。
たまに劇場へ足を運ぶ人には、夢のような時間だったろうなぁ。
燻し銀河
ネルケプランニング
天王洲 銀河劇場(東京都)
2008/03/26 (水) ~ 2008/03/30 (日)公演終了
満足度★
こんな作品を見に行った自分が腹立たしい
全く持って、退屈かつ低俗な作品であった。
年度末で仕事が慌しい中、モノレールに乗ってまで、このこんな作品の
為に時間を割いて見に行った自分の選択に強い地団駄を踏むほど、
腹立たしい思いでいっぱいだ。
10年近く前であろうか、確か中野ポケットと思うけど、
この作品が上演されていたとき、とても評判が良く、
見に行きたかったけど当日券さえも取れないほど人気があり、
記憶に残っていた。
今や人気者の八嶋氏や山シゲさんも出演していたと思う。
それで、この作品に興味を持っており、
オシャレで洗練された天王洲の格調高い(でもロビーには
パチンコ台がある。今はアクエリオン)銀河劇場へ行った。
馴染みのない出演者ばかりだったが
(知っているのは鹿殺しのチョビさんと清水宏くらい)
銀河劇場で6000円もの入場料を取るんだから、
僕が知らないだけで、著名人なんだろうな、と思ってましたが、
本当に無名の人ばかり・・・。
詳しくはネタバレに記載するとして、
結局中身が中野ポケット、チケット2500円程度の作品であった。
近場の小劇場で、その程度の予算で見る分には
「あぁくっだらねぇ」で済むけど、
こんな上等な劇場で、上等なチケット代金なら、期待度が違う。
ダラダラ趣味の安っぽい、芝居を見せられ、
非常に裏切られた気分でいっぱい。
僕の席は1階後方だったのだが、
なぜか、席の埋まり方がドーナツ化現象。
1階の真ん中、いわゆる一番見やすい席が
ぽっかり空席で、それを囲むように、パラパラ客がいる。
団体でもキャンセルになったんだろうか???
団体が入るような作品じゃないと思うけど。
どんな売り方してるんだろう・・・この作品だけじゃないけど、
こういうのって、とても不振に思う。
しかし、あぁ悔しい。
2時間30分の上演後、会社に戻り仕事で午前様。
あぁなんでこんな作品の為に時間使ったんだろう。
劇場とチケット代金を信頼して芝居を見に言っちゃいけないのか。
パルコやコクーン、ルテ銀、シアタークリエも入れて
これらの劇場で上演されるって、
それなりに質と品格が保証されているんじゃないんだろうか。
東京では、あふれる程、演劇が上演されているのに
自分の選択眼のなさが恨めしい。
誘惑する爪痕
ヒンドゥー五千回
サンモールスタジオ(東京都)
2008/03/19 (水) ~ 2008/03/25 (火)公演終了
満足度★★★
「建築家の腹」 少し分かり易いけどアンバランス
この作品のタイトル、そして両サブタイトル、これらと内容の
結びつきは、よくわかりません。
何となく、意味ありげなタイトルをつけただけって感じがする。
まぁ小劇場は制作費も殆ど持ち出しでしょうから、
自己満足に作ってもらって、構わないんだけど、一見さんには意味不明。
「北京の冬」バージョンに比べると、
少し分かり易い。
役者も機敏に動き回るし、説明的な台詞も含まれており、
なんとなく話の背景がわかるけど、
アンバランスな感じがするなぁ。
こちらのバージョンには、コーヒー牛乳の人が
客演で出ていました。
なんか目立つなぁというか他の人と毛色が違うなぁと、
浮いた感じがありました。なんか前へ前へ出た芝居をしている。
声の出し方というか、脇にいるときの仕草とか。
彼自身が個性が強いのか、小劇団でさえも
劇団のカラーがあるのか、全体のバランスが傾く原因になっている。
まぁこれは演出家のコントロールの問題でしょう。
2バージョン、全く雰囲気の違う作品です。
この作品が見たくて、でも時間がない人は、こちらの「建築家~」のほうが
見やすいとは思います。
それぞれのバージョンの公演時、もう一方のキャストの人達が、
劇場案内や受付をしています。
開演前とか、結構ひまそうにしてますから、興味がある人は、
お話も出来そうです。階上の喫煙所とかで。
誘惑する爪痕
ヒンドゥー五千回
サンモールスタジオ(東京都)
2008/03/19 (水) ~ 2008/03/25 (火)公演終了
満足度★★
「北京の冬」暗く重く・・・
こう、何と言えばいいんのか、果敢な挑戦、
作家の芸術性の創造を醸し出そうとする心意気は
伝わるし、なにか哲学的なメッセージを伝えようとしているんだなぁとは
感じましたが、90分の上演時間にもかかわらず、
まるで果てしなく時間が長く感じ、
暗く重い内容が綴られていく・・・。
役者の抑揚さえも、はっきりとしない。
100席しかない小劇場ならではの実験的作品jなんだろうけど、
僕には理解が困難だった。
この作品はマチネで見たんだけど、
チケット買う時に、勢いでセットで買ってしまっていて、
夜もう一度、劇場へ足を運ぶのが、とてもおっくうな気分。
WILDe BEAUTY
博品館劇場
博品館劇場(東京都)
2008/03/12 (水) ~ 2008/03/23 (日)公演終了
満足度★★
二匹目のドジョウ
同カンパニーの前作「アルジャーノンに花束を」は、
本当に素晴らしい出来栄えで、メジャーな話でベタな内容であるにも
かかわらず、涙・涙の感動作で、色々な人に薦めた傑作でした。
その2匹目のドジョウを狙った、この作品・・・残念ながら柳の下に
二匹目のドジョウはいませんでした。
典型的な続編な印象です。
いやに凝った構成、楽曲、台詞回し、アートな感じを狙う作品と
なっておりますが、
作り手の自己満足に終わり、熱意や努力は伝わりますが、
カラ回りです。
オスカーワイルドの生涯や、彼の作品への造詣が深い方には
見ごたえがある作品なのかもしれませんが、
上っ面程度しか僕は知らないので、
時代背景も含め、熟語や造語で綴られた台詞で進む話では
正直しんどい。
しかも上演時間は15分の休憩を挟む、3時間・・・。
それでも2幕には、そんな雰囲気にも慣れ、
多少は作品に見ごたえも出てきますが
結局クライマックスのカタルシスも感じられず
消化不良なエンディング。
役者が舞台で頭を下げるから「あ、終わりなんだ」って
気付きますが、きっちりとしたエンディングは感じられません。
それも、一つの「アート」なんでしょうか。
主役の浦井君は、顔も整っているし、体つきも立派、
表情もまずまず豊か、歌も戦隊レンジャー上がりにしてはお上手、
ミュージカルの出演も豊富、
なのに、半分しか埋まっていない客席が
物語るよう、どうも魅力がない。
きっと真面目なんだろうなぁ誠実なんだろうなぁ善人なんだろうなぁという
雰囲気は伝わってきます。
でも魅力がある人って、やっぱりワルというか不良というか、陰の部分、
個性がある人なんだろうなぁ。
万人ウケするってことは、味が薄いってことなんでしょう。
平凡な味のラーメンには、お金払いたくないもんなぁ。
熱演はしているんだけど、
どうも感情が伝わってこない。
「アルジャーノン~」で「かしこく~なりたい~」って歌っていた姿は
本当、真に迫ってきていたのになぁ。
池田さん、戸田恵子を狙っているんだろうかっていう位、
声も芝居も仕草もそっくり。
彼女、こんなんだったかなぁって違和感。
わざと戸田恵子のポジションを狙うかのように、
型にはまった芝居をしており、魅力薄。
宮川浩、戸井、両氏は、すっかり脇を固める
ベテラン扱いですね。
安定はしていますが、それ以上でもそれ以下でもなく、
話の芯を押さえるほどの魅力はなく。
これは、脚本と演出のせいでしょう。
大好きな「マンマミーア」のアンサンブルで何度も顔を見ていた
良知って男の子が出ていました。
「こんな声をしているんだなぁ」って初めて知りました。
四季の頃とは髪型も違い印象も変わっていましたが、
なかなか清潔感ある歌も踊りも演技も平均値以上な若手。
今後が期待できましょう。
博品館のサイズに合わせた作り方をしていて、
舞台装置や照明は、よく出来ています。
脚本がいけないのか、浦井君(企画)がいけないのか、
演出がいけないのか、退屈な作品に堕ちてしまっているのは実感。
カンパニー自体は悪くないと思いますから、
見直しをかけて、また良い作品を作り出して欲しい。
ベガーズ・オペラ
東宝
日生劇場(東京都)
2008/03/05 (水) ~ 2008/03/30 (日)公演終了
満足度★★
前かがみで観劇しては、いけません。
上演前、いやに、しつこい位、係員が「上演中、前のめり、前かがみになって、観劇なさいますと、他のお客様の迷惑になります。絶対に、前かがみでの観劇はしないで下さい」と、注意勧告。
芝居が始まって納得、いやに客席に下りての芝居が多いのだ。
歌舞伎座の3階席から花道が全く見えず、助六の時など
芝居の見所が半分見えないのと同様、取り残された感がとても多い演出だった。確かに、12000円払っているS席と4000円しか払っていないB席では
格差があるのは仕方ないが、ん・・・何が起こっていたんだろう、
ストレスが溜まる。
とは言って、もう一度見に行くか、と言えば、そんな価値はあんまり
なさそう。
久々休憩2回挟む3幕、計3時間30分を超える上演時間は長かった。
他の方もコメントしているよう、
それほど主役に依存している作品ではない分、主軸がはっきりしないから、
どうも物語に入り込みづらかった。
出演者が多く、アンサンブル扱いの人の人にまで存在感はある。
初演から再演までの間にご出世された方も多く、
顔見世興行的趣向さえ感じられたが、
(「トラブルショー」とは、かなり差がありますよ)
皆、似たような格好をしているため、役柄に存在感が生まれにくく、
話が整理されきれていない。
だから誰が誰だか、役の上での相関図も良くわからず、
また格好も皆コジキ衣装ですから、良くわかりません。
混沌としたまま、話は進んでしまい、
いろんな理由が重なり、取り残された感が強かった。
歌舞伎でも「何百年ぶりの復活」とか、「埋もれた名作」との
コピーで上演される作品はありますが、
長い間日の目を見なかった作品って、それなりに理由があるんですね。
つまらないから復興されないのでしょう。
ミュージカル実力派に囲まれた中、
主役の内野氏は、格好いいけど、正直存在感は薄い。
出番も多くないせいか、印象に残らない。
これなら来月の「風林火山」に出たほうが良かったんじゃないか、と
感じました。
お歌は上手になりましたが、それでもレベルは知れてます。
見所は、セットと照明などの舞台美術。
非常に日生劇場のサイズに溶け込んだ装置が仕込まれ、
これは見応えがありました。
マンマ・ミーア!【2021年4月28日~5月11日公演中止】
劇団四季
新名古屋ミュージカル劇場(愛知県)
2008/03/01 (土) ~ 2009/01/25 (日)公演終了
満足度★★★★
ドナは「鈴木ほのか」
いやいや、ビックリ。
最近そうでもないけど、開幕週と閉幕週だけは
単価が高そうなベテラン勢でキャストを固める傾向が強い劇団四季。
なんと、この日のドナ(主役)は「鈴木ほのか」
あれあれ、2週間前に池袋で「妊娠したーい」と言っており、
数ヵ月後には「クリス、あんたの浮気は許してあげる」と
地味目だけど仕事が続く鈴木ほのか。
四季は「初役には、最低3ヶ月以上の、みっちりとした稽古が
必須」と、基礎重視な姿勢であるにもかかわらず、
あらあら片手間じゃない?この人?って思いましたが、
なかなかよかったですよ。
鈴木ほのかは、衣装に切れ目たっぷりいて豊満なボディを
むちむち見せ付けます。
いやぁこのドナ、遊んでそうだなぁ。
前も言ったよう、すっかり所帯じみた感じは鈴木ほのかには
あったので、ドナにはよく合っていた。
そもそも構成も展開も良く出来た作品。
誰が演じても、楽しめる作品。
役柄と俳優のキャラクターが重なれば、なおのこと。
歌だって、たかだか歌謡曲のカラオケミュージカル。
大げさに言わなくたって、2週間あれば出来上がる役なんでしょう、
四季以外の作品同様。
鈴木ほのかでさえ、ここまで十分魅せられるのですから、
逆に言えば、誰にでも出来るってこと。
そして四季の役者は、本当に層が薄く魅力がないってこと。
(前田美波里は、大スターだから、バランスを考えて、
オーラを消すことも出来るのでしょう。)
元宝塚トップの皆様(樹里咲穂とか)、元アイドルの皆様(早見優とか)、が
月替わりでドナを演じて、
ソフィやスカイも元モー娘、元テニミューが月替わりで
上演されれば、年中完売御礼、観客も役者も新鮮な気持ちで、
イキイキと見れます。
その位、シンプルだけど力のある作品です。
他の配役は相変わらずだけど、
スカイ・田辺真也は芝居は上手くなっている。
ハムレットだの鹿鳴館だの陰気な役ばかりやらされていたせいか、
この明るくポップな作品で、とってもイキイキといい表情で
ハジけている。芝居も陰影を意識しすぎる様子はあるが、
阿久津陽一郎の足元まで辿り着いた感はあった。
僕の好きなミュージカルの5本の指に入る、この作品。
帰郷を兼ねて見に行きましたが、1000人に満たない劇場(秋劇場のよう)で
一層の一体感を得て、満足して帰りました。
また、すぐ行こう!
Blue Man Group IN TOKYO
Blue Man Group
Zeppブルーシアター六本木(東京都)
2007/12/01 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
満足度★★★
NYの劇場の定員は200人程度
5-6年前にNYの劇場で観劇してます。
その際は観劇4日前に劇場窓口で前から3列目(確か横幅は10席程度だったと思う。)が、普通に買えました。確か$60.
そう、料金の区分けはないけど、ポンチョシート。
冬の土曜日の夜22時開演の回でしたが、当日は超満員。
「NYの作品って、前売りよりも当日が売れるんだ、観光パビリオンみたいだなぁ」と感じたことを覚えております。
NYの劇場は200人程度の収容で、間口の狭い地下劇場。
狭い劇場だからこそ、圧迫感のあるチューブの渦、
アンダーグラウンドの異空間が、キャッツシアターの比じゃないほど
迫ってきて、ショーへの高揚感が溢れたなぁ。
シアタートップスでの作品を、シアターアプルで上演しているような
感じの今回の来日公演。
まぁ地方公演はキャパを大きくしなければいけないのは常だけど、
その差、約4-5倍は大きすぎないかなぁ。
おわかりのよう、味は薄くなってしまってました。
今回、偶然、前から2列目ポンチョシートのセンター20番代が取引先経由で
公演日3日前に回ってきたんですよ。
スポンサーの多い公演って、こういう良席が巡るんですよね。
(そう、この回は完売にもかかわらず、センター付近の一部が、
ボコっと空席で、ドーナツ化現象になってました。)
「これは行け、との天の指令」とばかりに、いそいそと週末でも、
晴天で健全な六本木へ。
入って、これは広い!と感じます。
公演中は、極上席だったので、真近でブルーマンコントを
楽しめましたが、
200人程度の劇場で上演するネタです。ちっちゃいちっちゃい。
表情での笑わせ方が多いにもかかわらず、モニター(多分)ないので
前から10列目以上、およびサイド席なら、行かないほうがいいでしょう。
もちろんブルーマンは劇場内を歩き回りはしますが、
ブルーマンの醍醐味はノリツッコミです。
まぁブルーマンの表情がよく見えると、
スクリーン越しのブルーマンと顔が違うことに気付きますから、
それはそれで興ざめですが、ご愛嬌。
内容は、5-6年前と9割がた同じネタ。
「NANTA」にしても、そうだけど、
こういう音楽とダンスとパントマイムのエンターテイメントって
国境を越え世代を越え性別を越え月日を越え、楽しまれるのだなぁと
感じました。
日本も、こういうショーの創造を期待したい。
閉演後、ブルーマンと「キッス」のようなコスチューム・メイクをした
バックバンドメンバーが、お見送り、気軽に写真にも握手にも
応えてくれます。
天気のいい六本木、屋外でヒルズをバックにブルーマンと写真が撮れます、
しかも無料。
四季「ユタ~」も、お見送り、握手をしてくれました。
どんなに作品がつまらなくても、
どんなに作品がわからなくても、
どんなに作品に割高感があっても、
こうやって、ちゃんと感謝されると嬉しいですよ、それだけでポイントアップ。
役者が作家が、どれだけ偉い人かはわかりませんが、
御客がチケットを買ってからこそ成り立つご商売。
こういう感謝の気持ちが、リピーター獲得に繋がるんです。
人間合格
こまつ座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2008/02/10 (日) ~ 2008/03/16 (日)公演終了
満足度★★★
「放浪記」のように。
僕は3回目です。
最初は風間杜夫でした、名古屋市民会館。
次は大高洋夫、紀伊国屋サザンシアター。
しみじみとして良い作品ですねぇ、味があって、時代を超えて
普遍的な情緒がある。
今回のキャストでも、それぞれがしっかりと役に溶け込んでおり
見ていて安心感がある。
特に太宰の岡本健一は、
見かけからして、暗さ、陰気さ、そしてボンボンさが漂っており、
物語を受け止めやすくなりました。
インを踏んだような言葉遊びが多様されているのですが、
野田秀樹ほど鼻につくことはなく、
とても耳障りよい心地よさ。
長く繰り返し上演される作品って、やっぱり作品のもつ
大きな力がケタ違いにあるのでしょうね。
この作品が比較されるなら「放浪記」。
作家の思想は出すぎているけども、
戦争の無条理、作家特有の視線、世の中への思い・・。
キャストはバラエティな組み合わせを繰り返しながら、
長く上演され続けて欲しいですね。
ユタと不思議な仲間たち
劇団四季
四季劇場 [秋](東京都)
2007/04/14 (土) ~ 2008/03/09 (日)公演終了
満足度★★★
四季のお家芸
9歳と7歳、知り合いの子供を連れて行きました。
「ライオンキング」「キャッツ」がいいかなぁとも思いましたが、
どうやらパペットが怖いらしく、子供達はユタを選びました。
動物は怖くでも、座敷童子(妖怪!)は怖くないんですね。
今回のチームでのユタ上演は、本当にレベルが低かった。
新しい人が多いせいか、例の台詞をはっきり伝える話し方を
意識しすぎで、どいつもこいつも棒読み、酷いものでした。
特に、出番が少ないながら、ユタの母親は、そのはっきりと、
ゆっくりとテンポなく話す台詞に、正直、観客をバカにしているのか!と
感じるほど。
妖怪の親分を、菊池正って人がやっていました。
この人、本当に大部屋役者感たっぷりの人で、苦節うん十年って
雰囲気がにじみ出ています。
いじめっ子のユタの同級生をやったと思えば、親分もやる、
ベテランですから何でも出来る、代役も練習相手も何でもござれでしょう。
見ていて新国劇かと思うような節回しまで、ありました。
しかし、悲しいかな、華が全くない。
やっぱりショービジネスは人気商売、選ばれた人だけが生き残れる、
生まれた時点で勝負の決まる世界なんでしょう。
いくら上手くても、いくら経験があっても、
そうじゃない人は、有料公演の舞台の真ん中で大きな役をやっちゃいけませんよ。
作品自体は、古今東西変わることない、
素朴な内容ですから、
小学生以下が見るには、良く出来てます。
台詞がよくわかるのは、四季のお家芸ですから。
ファミリーミュージカルとしては合格点でしょう。
あまり引き合いにされませんが、
こんなショボショボのキャストのファミリーミュージカルのほうが、
今度上演される豪華キャスト総出演のシスカンパニー「瞼の母」よりも、
チケット代金は高いんですね。
子供に見せる作品なんですから、\3000がいいとこじゃないでしょうか。
装置や演出も古く、もう原価売却しているのですから、
その程度でいいんじゃない。
そうそう、今のユタの子は、四季にしては珍しく、
役のイメージにピッタリの子なんです。
線が細く色が白く、見るからに都会のもやしっ子。
優しい、気の弱そうな顔立ちです。
しかし次の候補の人が、脇で出ているのですが、
これが筋骨隆々、顔つきもたくましく、
どう見ても、いじめっ子にしか見えない。
踊りや歌が上手くても、年齢とか、その人の雰囲気に合った
キャスティングはしてほしいですね。
HONEY
SQUASH(劇団スカッシュ)
吉祥寺シアター(東京都)
2008/03/07 (金) ~ 2008/03/09 (日)公演終了
満足度★
あまりにも無意味な時間
一体、この作品は何を表現したかったのであろうか???
全く持って、よくわからない筋書き、何も訴えかけてくるもののない
キャラクター、展開、背景。
今、流行の青春群像劇でも、
作家の志の主張があるわけでもなく(感じられない)、
ダラダラ綴られる(決して脱力感ではない)話には、
正直、うんざりした。
「なんとなく、いいかも・・」状態で表現された
舞台美術や、
「これってアートだろ・・・」といわんばかりに幾何学的な
組み合わせで展開する小道具たも、何の意味も感じられず。
全てにおいて、
不条理でもスタイリッシュでもない、中途半端以下な印象を受ける、
大いなる作家の勘違いとしか受け止められない。
個性のない下手な役者陣、
何かありそうで何もない話に約2時間つきあわされ、
本当に無駄な時間をすごした。
見所は吉祥寺シアターが、とても広がりある空間として
使われていたこと。
この劇場って、いろんな使われ方が出来るんですね。
内田有紀も立ったし、ロケーション、大きさ、雰囲気、とても
いい劇場と思います。
劇場の品格を落とすことなく、損なわないような作品を
選んで上演して欲しいですね。
チカクニイテトオク
掘出者
サンモールスタジオ(東京都)
2008/03/06 (木) ~ 2008/03/10 (月)公演終了
満足度★★★★
劇団名に偽りなし
年度末で仕事が立て込み、芝居は見ているけど、
サイトへの記入を後まわりにしますが、この作品については
無償に書きたくなりました。
いやぁ仕事を中抜けしてまで見に行って良かった。
この作品は個人的に小劇場作品としては大当たり、劇団名通り
「ほりだしもの」でした。
イライラするような台詞の応酬、目障りな登場人物達の仕草、
どいつもこいつも奥歯にモノが挟まったようなな言い方、
見ていてストレスの溜まる場面の連続が、その限界ギリギリの
100分の上演時間。
もう千秋楽が終わりましたので、そのまま記入していきますが、
背景にある「葬儀」の場では、いろいろな思いが交差します。
人間関係、個人の歴史、そしてお金。
実体験を通じ、葬儀の場では、本当に新しい発見があると、
身に染みている分、よけいに共感が出来た。
表現方法は脚本・演出家の姿勢ですが、
「演劇」という形を通じて、一つの見せ方として、
個人的には深く伝わりました。
そして、男色。
いやに筋肉の話が出てきたり、過敏な反応、
20歳そこそこのジャニ系な美少年秘書。
この辺りの微妙な距離感が、どうにも「もやっ」として
一層作品を際立たせていた。
舞台装置も、この作品を表現するに辺り、とても計算されていると
感じた。研ぎ澄まされ洗練された背景となり、芝居を浮き立たせている。
いろいろな思いやこざわりを小道具や照明に詰め込みすぎてしまう
余り、邪魔になってしまう場合が多い中、
丁度いいバランスであった。
わからないのは、そう美少年秘書。
秘書とはいえ、故人の片付けをするか~?家族以上に。
その会社の後継者の姿が見えないのも不自然、
だから余計に美少年の存在に違和感があった。
役者陣は、それぞれが個性的。
上手いのか下手なのか、雰囲気を作っているのか、
やや微妙な感じがする。
それは、見る作品、見る作品、
大きな声でオーバーな芝居をする事が、感情を思い切り出すことが、
芝居と思っているような作品が続いてしまったせいかもしれない。
こういう若い人の芝居では、
みんな似たようなタイプの人が多いから、誰が誰だかわからなく
なってしまうことが多いのですが、この作品では、個性がわかれ、
一人ひとりが光っていた。
たまたま見にいったのが7回公演の千秋楽だったので、
役者も芝居が上手くなったのかな。
他の方の話では、最初のうちは良くなかったのでしょうか、
確かに身体に染み込ませるには時間のかかるような仕草が多い演技には、
感じられたが、初日と楽日で、あまりに開きがあるとすれば、
問題ですね。一応、安くても同一料金なのですから。
100分という上演時間を意識してなのか、
広げようと思えば、まだまだ話の展開は広げられるが、
大胆に削がれている。
それぞれの人間関係が、最低限の説明で、
見ている側に想像力が求められる。
しかし、作品の総合力としては、正解であろう。
民族問題、在日問題、軽はずみには扱えない内容が、
組み込まれている。
際どい台詞も多い。
作家が、どこまでの覚悟でこの作品に向かっているか、
残念ながらメッセージは伝わらなかった。
含まれているのかもしれないが、僕にはわからなかった。
でも若者で構成されている劇団員、1800円という入場料なら
合格点。
作品が成長し、
隣のシアターサンモールで120分程度の作品となって再演されたとき、
更なる期待をしたい。
劇場入り口の外で案内する人、劇場内の案内、
役者陣のお見送り、いづれも◎。
この作家、この劇団は注目していきたい。
期待度で★を一つ増やして、★4つ。
お前がダメな理由
箱庭円舞曲
サンモールスタジオ(東京都)
2008/02/27 (水) ~ 2008/03/03 (月)公演終了
満足度★★
この作品を好きになれない理由
特に軸となる話もなく、なんとなく日常を描いているような、
いやに暗転の多い作品。
登場人物が多いにもかかわらず、あんまり深く描かれていないので、
他の方もおっしゃる通り、役者は自分の場面だけ、
バランスも考えずに、台詞しゃべってるって印象。
2時間以上あるんですよ、この作品。
いらない登場人物、よくわからない登場人物、および場面が
沢山あって、作品の設定自体は、もっとドラマが出来そうなんだけど
ちっとも膨らまない上、テンポもよくないので、
満員の客席で体を小さくしながら見ていて、本当にしんどかった。
底冷えのするサンモールスタジオ、固いパイプ椅子に座って、
退屈な芝居をダラダラダラダラ見させられて、尻が痛くて仕方なかった。
やっぱ小劇団って、10本見て1本、当りというか好みの作品に
出会えるもんなんだなぁと再認識。
スモーキング・ガレージ
劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)
シアターサンモール(東京都)
2008/02/22 (金) ~ 2008/02/26 (火)公演終了
満足度★★
語るべくもない
タイトルとポスターの雰囲気から、「ハードボイルドな作品かなぁ」と、
硬派な気分で行ったら、ごくごく普通の安っぽいドラマ。
どんでん返しもなければ、コメディなんて言える笑いところもありません。
SETの看板を出していますが、それらしき影響は
感じられません。
主役と思われる青年は、どうやら人気者のようなんですが、
特に目をひくところもなく、いわゆるミュージカルでいうアンサンブルレベルの
存在。その辺にいたら、「男前だなぁ」とは思いますが、
それ以上のオーラも感じられず。
女優陣も、別に印象に残ること人もおらず、いたって普通。
語るべくもない平凡な作品。
「良かった~」「面白かった~」って思う事見なければ
「何だ、この作品、つっまんねぇ」って思う事もなく、
どうでもいいって感じ。
サンモールから新宿まで、ぶらぶら歩いているうちに
すっかり印象が記憶から消えてしまいました。
ある意味、こういう作品が最も時間の無駄かもしれない。