チカクニイテトオク 公演情報 掘出者「チカクニイテトオク」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    劇団名に偽りなし
    年度末で仕事が立て込み、芝居は見ているけど、
    サイトへの記入を後まわりにしますが、この作品については
    無償に書きたくなりました。
    いやぁ仕事を中抜けしてまで見に行って良かった。
    この作品は個人的に小劇場作品としては大当たり、劇団名通り
    「ほりだしもの」でした。

    イライラするような台詞の応酬、目障りな登場人物達の仕草、
    どいつもこいつも奥歯にモノが挟まったようなな言い方、
    見ていてストレスの溜まる場面の連続が、その限界ギリギリの
    100分の上演時間。

    もう千秋楽が終わりましたので、そのまま記入していきますが、
    背景にある「葬儀」の場では、いろいろな思いが交差します。
    人間関係、個人の歴史、そしてお金。
    実体験を通じ、葬儀の場では、本当に新しい発見があると、
    身に染みている分、よけいに共感が出来た。
    表現方法は脚本・演出家の姿勢ですが、
    「演劇」という形を通じて、一つの見せ方として、
    個人的には深く伝わりました。

    そして、男色。
    いやに筋肉の話が出てきたり、過敏な反応、
    20歳そこそこのジャニ系な美少年秘書。
    この辺りの微妙な距離感が、どうにも「もやっ」として
    一層作品を際立たせていた。

    舞台装置も、この作品を表現するに辺り、とても計算されていると
    感じた。研ぎ澄まされ洗練された背景となり、芝居を浮き立たせている。
    いろいろな思いやこざわりを小道具や照明に詰め込みすぎてしまう
    余り、邪魔になってしまう場合が多い中、
    丁度いいバランスであった。

    わからないのは、そう美少年秘書。
    秘書とはいえ、故人の片付けをするか~?家族以上に。
    その会社の後継者の姿が見えないのも不自然、
    だから余計に美少年の存在に違和感があった。

    役者陣は、それぞれが個性的。
    上手いのか下手なのか、雰囲気を作っているのか、
    やや微妙な感じがする。
    それは、見る作品、見る作品、
    大きな声でオーバーな芝居をする事が、感情を思い切り出すことが、
    芝居と思っているような作品が続いてしまったせいかもしれない。
    こういう若い人の芝居では、
    みんな似たようなタイプの人が多いから、誰が誰だかわからなく
    なってしまうことが多いのですが、この作品では、個性がわかれ、
    一人ひとりが光っていた。
    たまたま見にいったのが7回公演の千秋楽だったので、
    役者も芝居が上手くなったのかな。
    他の方の話では、最初のうちは良くなかったのでしょうか、
    確かに身体に染み込ませるには時間のかかるような仕草が多い演技には、
    感じられたが、初日と楽日で、あまりに開きがあるとすれば、
    問題ですね。一応、安くても同一料金なのですから。

    100分という上演時間を意識してなのか、
    広げようと思えば、まだまだ話の展開は広げられるが、
    大胆に削がれている。
    それぞれの人間関係が、最低限の説明で、
    見ている側に想像力が求められる。
    しかし、作品の総合力としては、正解であろう。

    民族問題、在日問題、軽はずみには扱えない内容が、
    組み込まれている。
    際どい台詞も多い。
    作家が、どこまでの覚悟でこの作品に向かっているか、
    残念ながらメッセージは伝わらなかった。
    含まれているのかもしれないが、僕にはわからなかった。
    でも若者で構成されている劇団員、1800円という入場料なら
    合格点。
    作品が成長し、
    隣のシアターサンモールで120分程度の作品となって再演されたとき、
    更なる期待をしたい。

    劇場入り口の外で案内する人、劇場内の案内、
    役者陣のお見送り、いづれも◎。
    この作家、この劇団は注目していきたい。
    期待度で★を一つ増やして、★4つ。

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    2008/03/11 00:03

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