ハムレット
劇団東京乾電池
ザ・スズナリ(東京都)
2012/01/04 (水) ~ 2012/01/15 (日)公演終了
満足度★★★
意外にも
東京乾電池なのでひとくせもふたくせもあるのを期待していましたが、意外にもシェークスピアに忠実でした。
福田恒存さんの訳そのまま使われていたりして、高校時代に読んだ新潮文庫を思い出し懐かしかったです。
(東京乾電池らしい点はネタバレで)
それにしても、世に「シェークスピア俳優」と謳われる人って、すごい人なんだなと、改めて感じました。
ネタバレBOX
最初から最後までの「学芸会」ムード。
ボール紙で作られた鎧に、わざとらしい棒読み。
あのハムレットやオフィーリアの棒読みは演出ですよね?
(中には本当にカツゼツが悪くて台詞が聞き取れない役者もいましたが)
割合自然に台詞を言っていたクローディアスは死ぬ時に「ガクッ」とか言っちゃうし(笑)
おまけにその後、目を閉じずに舞台の様子をきょろきょろ見ているんですよ。
死んだオフィーリアは暗転時(といっても暗くない)、自分で墓穴から出てそでにはけちゃうし。
芝居を芝居しているんだ。
まるまるっとシェークスピア劇のパロディのようでした。
そう考えると、台詞忘れてつまった人も、舞台上のやり取りで思わず素で笑っちゃったように見えた役者も、あれもこれも全部演出だったりしてね。
平成中村座 壽初春大歌舞伎
松竹
隅田公園内 特設会場(東京都)
2012/01/02 (月) ~ 2012/01/26 (木)公演終了
満足度★★★★★
夜の部よかったです
私の2012年初観劇は、やっぱり歌舞伎になりました。
お正月らしい寿曽我対面は、中村座の(小さい)舞台でとても華やかに見えました。勘三郎丈の曽我十郎は初めて見ましたが、とても柔らかく優しい感じでした。
今まで見た十郎では、五郎を止める場面での指の反りを美しいと思いましたが、勘三郎丈は、その場面で手のひらを五郎の胸に当てていたのが印象的でした。
お正月らしく目出度い舞台でよかったです。
七之助のお染七役は、玉三郎監修らしく、科白回しや表情に玉三郎丈そっくりなところがたびたびありました。特にお光やお六。
まだ真似ている段階でしょうが、そのうち七之助の芸になると思います。
早変りも(さすが中村屋だけに)すばやくて、みんな大喜びでした。
ネタバレBOX
寿曽我対面、見た目は華やかで良いのですが、台詞がつくと全体的に小物感が溢れました(笑)まあ、私の印象です。
それも含めて、ほほえましく、おめでたく、という舞台でした。
大したことではないですが、お染久松で弥忠太役の山左衛門さんが、善六に向かって、「やい、弥忠太」と言ってしまって、善六から「これは弥忠太様」と言われてから、「あ、そうだ善六だ。善六」と言ったのが可笑しかったので書きとめておきます。
あしたのイエス
双数姉妹
OFF OFFシアター(東京都)
2011/12/23 (金) ~ 2011/12/28 (水)公演終了
満足度★★★★★
いいお芝居でした。
まずセットがとてもリアルでした。
世田谷区なら駅から相当遠くないと家賃3万6千円じゃ借りられないと思いますが、ごく普通の男ひとり暮らしのアパート。そのアパートに突然現れる紀元前1世紀のベツレヘム。
アパートの中なのに、ちゃんとベツレヘムになっていました。
梁と柱が照明で十字架になったのも、感動的でした。
当初、クリスマスシーズンでもあるしイエスの物語を絡めてるんだなくらいに見ていたのですが、途中からの展開にうなりました。(そのあたりはネタバレで)
役者さんたちがとにかくうまかったです。
特に、洋平役の江戸川卍丸さんと創役の成瀬功さん、この二人には圧倒されました。
他のみなさんも、それぞれ素敵でした。
他のお芝居もぜひ見てみたいです。
ネタバレBOX
子どもが欲しくて夫以外の男の子どもを産んだ里子とその家族のドラマの中に挿入されるベツレヘムの世界。里子はベツレヘムではマリアです。
はじめ、誰でも知っているイエス物語を再現しているように見せながら、しだいに、病気が治ったというのは「気の持ちよう」だとか、パンを5000人に分け与えた話は「話が大きくなっている」だけだとか、奇跡を否定し、挙句の果てにマリアの処女受胎は、実はマリアを育ててくれた神父様の子。「イエスは神の子ではなく、人の子」になっていきました。
でも、神の子であろうと人の子であろうと、親が子どもを愛する気持ちは変わらない。むしろ、人の子だからこそ愛おしいという母親の思いが、最後にグッと迫ってきました。
現代のアパートの中では、里子と知的障害児の創の親子愛、里子と洋平の姉弟愛、別れた夫との夫婦愛、出会って間もない若いふたりのこれから愛?など、色々な愛の形がまるっと描かれていて、なるほど「愛の話」だなと思いました。
成瀬功さんの演技が本当に上手で、色々な場面でうるっときました。
優しい子ですね。車にも自分から飛び込んで行ったんですよね、木村さんに心臓をあげようと。最後に元気な姿で登場してくれて、ホッとしました。
温かくいいお話でした。ありがとうございます。
個人的には、ベツレヘムでの罰ゲームのような笑いの挿入は要らないかなと思いましたが、あのパンを分け与える場面は好きです(笑)
バンザイ
劇26.25団
駅前劇場(東京都)
2011/12/23 (金) ~ 2011/12/28 (水)公演終了
満足度★★★★
ニッポン バンザイ
TPPや原発の影響を受けた日本の食問題というシビアなテーマを絶妙な笑いで見せてくれました。
「バンザイ」というタイトルは「ニッポン、バンザイ!」なんでしょうね。
日本は負けないよ!という元気なメッセージをもらいました。
セットがよくできていました。店の外の路地までが丸見えなところ。
中で芝居している人の向こうで、外の人がちゃんと芝居しているのも見えました。
楽しかったです。ありがとうございました。
見終わった後は、たこ焼き食べたくなりました。
ネタバレBOX
霊感少女の桜(岸本鮎佳さん)が最高でした。
あの場面、大笑いでした。
泉美役の梨木智香さんの英語の発音が本格的でした。
畳アレルギー(ってあるんですね)男のロブが英語で何を叫んでいたががわかったら、もっと楽しめたのですが、ヒアリングは昔から弱かった私です。
大江戸鍋祭
る・ひまわり
明治座(東京都)
2011/12/23 (金) ~ 2011/12/26 (月)公演終了
満足度★★★★
ファンのための舞台
笑いました。
三上真史くんの座長。村井良大くんとのやり取りも、いつもながらのファンサービス満載。
東宝エリザベートのルドルフ役が発表されたばかりの平方元基くんが、フツーにお笑いをやってくれているのも嬉しい。
歌舞伎で言うと俳優祭のような感じ。
ファンならたまらないけれど、ファンじゃなかったら学芸会レベルのお芝居です。で、会場は当然ファンの集まりだから、盛り上がっていました。
戦国鍋TVって、戦国時代の歴史知識をいつの間にか教えてくれる貴重な番組でしたよね。
今回の大江戸鍋でも、浅野内匠頭が勅使饗応役を任じられたのは「初めてではなくって実は二回目」だとか、どうでもいいようなことをしつこく話題にしていて、脚本家のこだわりを感じました。
第二部の歌謡ショーは、個人的に犬好きなので、「元禄生態 生類アワレンジャー」のワンワンラブがよかったです。
それにしても、いつもながらどの曲もどこかで聞いたことあるものばかり、あれパクリとは言われないのか不思議です。
A席チケットのCD&生写真引き換えは結構時間がかかるので、劇場には早めに行く方が良いですよ。終わってからも交換してくれますが、昼の部だと夜の人がもう並んでいたりします。待ち時間、列に並んでから15分くらいは覚悟した方が良いです。
十二月歌舞伎公演
松竹
日生劇場(東京都)
2011/12/07 (水) ~ 2011/12/25 (日)公演終了
満足度★★★
ひ孫三人
夜の部の口上を見て、七世松本幸四郎の息子三人というのは、それぞれこんな感じだったのかなと思った。
宮尾登美子さんの「きのね」読んで勝手に作ったイメージだけれど。
三人全く似てなく、それぞれ一長一短と言うのが面白い。
染五郎も言っていたけれど、歌舞伎の世界ではまだまだ若手。これから精進してほしい。
それにしても、海老蔵の声はくぐもり過ぎだった。喉をおかしくしているのだろうか。勧進帳の問答がまったく聞き取れなかった。
相変わらず姿はいいのだけれど、あの声は何とかしないとまずいと思う。
染五郎の碁盤忠信は、華やかで楽しい演目。厄も払ってくれたし、めでたい。
荒事はいまひとつだけれど、これもこれから精進。
義経が、美しかった。白塗りが似合う顔になった。
松緑は茨木が良かった。
富樫は残念ながらニンじゃない。
通しで見ても疲れなかったのは、椅子が良かったのもあると思うが、何しろ短い。
夜の部なんて、40分、10分、65分で、2時間もやってない。
これで1等席15000円は高すぎる。
一緒に見た友人は、「このメンツなら6時間くらいやれって感じだよ」と怒っていた。
お目出たい人
劇団だるま座
アトリエだるま座(東京都)
2011/12/20 (火) ~ 2012/01/27 (金)公演終了
満足度★★★★
温かくて ちょっとしんみり
お通夜の席の男六人のやり取り。
各々のセリフやしぐさがとても自然で、本当に米田さんという人のお通夜に同席してしまったかのように見てしまいました。
大笑いするような仕掛けは無いのに笑ってしまう、役者さんの間が上手いんでしょうね。
温かいお話だったのですが、私自身にふと置き換えて、しんみりしてしまいました。
ネタバレBOX
私が死んだ時、ひとりあたり60万円もの借金を肩代わりしてくれる友人が5人もいるかなと思い、その顔が浮かばなくて悲しくなりました。
逆に、私自身が「あなたの残した借金なら60万円被っていいよ」って言える友達、ひとりくらいしか浮ばないし。
最後のカーテンコールのじゃんけん大会まで、楽しく温かかったです。
ただし、会場内は寒くてコートが脱げませんでした。
上演前のスタッフからの問いかけに「暑い」と応えたご婦人がいらしたからでしょうが、開演同時くらいに冷たい風が吹いてきたときには、かなりまいりました。私の隣の女性も寒いとつぶやいて、コートを着ていました。
そしてそのご婦人までもが、自分の上着を抱え込んだのを見て「あんたも寒いんじゃん!」と、内心突っ込みました(笑)
90ミニッツ
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2011/12/03 (土) ~ 2011/12/30 (金)公演終了
満足度★★
期待はずれ
三谷生誕50周年企画の最後の舞台というので、かなり無理してチケット取りましたが、正直言って期待外れ。
私の目視できた範囲で、途中退出者がひとり。
スタオベもひとりいましたが、役者に対してでしょう。
役者はよかったです。
ネタバレBOX
二人の男の平行線の言い争いに90分も観客が付き合わされ、最後譲歩してもらった側の男の自分勝手な被害者意識の台詞で幕切れという、全くスカッとしない話。
・・・・・・と、私は受けました。
たぶん、違う見かたをした人もいると思います。
しかし、子どもの命を前にして実の父親と医者が対等というのがまずわからない。これが父親と母親ならまだわかるけれど。
先に折れるのは、他人の医者の前に、父親じゃないのか。
(三谷はそうとう医者を神聖視しているのか)
私が医者なら、とうに子どもを見殺しにしている。
それくらい、父親にイライラとしました。
あの最後の台詞で、ちゃぶ台ひっくり返したくなりました。
たぶん、3秒たってもサインしなかったよ、あんたは。
と、こう思わせるのも、三谷の作戦なのか。
演出は舞台上に流れ落ちる水のみ。
小さい箱で3000円くらいなら納得するけど、PARCO劇場で8000円も出して観る芝居じゃない。と、私は感じた。
学生版日本の問題
日本の問題
ギャラリーLE DECO(東京都)
2011/12/21 (水) ~ 2011/12/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
Aチーム観劇
よかった。
三者三様、どれも満足。
個々の感想はネタばれで。
とにかく、見て損なし。
お勧めします。
ネタバレBOX
ミームの心臓
「vital signs」
ハイデガーの「死を自覚して生きなさい」という哲学と、安楽死の問題と、
「人は二度死ぬ(肉体が死んだときと、遺された者から忘れ去られた時)」というテーマが、わりとオーソドックスに語られていました。
梨沙のいる避難区域というのがフクシマなのか、恒暉が逃げてきた施設というのが何なのか(ただの刑務所というには思わせぶり)、そもそもこれって現代の話ってことでいいのかとか、いくつか疑問は残りましたが、脚本のややこなれていないところ、あとテーマのかみ合わせのぎこちなさなどは、役者の魅力がカバーしてくれてました。
鈴木由里さんの目力が良い。朝戸佑飛さんも全く個人的に好み(おばさん・笑)。この二人のお芝居、また観たいです。
四次元ボックス
「あんのーん」
まさに「unknown」で「安穏」なお話。
何が日本の問題なのか全く分からなかったけれども、とにかく楽しかった。
ダンスのキレもいいけれど、何より声のそろい具合が気持ちよかった。
見て気持ちの良い演劇は、また観たいです。
声を出すと気持ちいいの会
「役者乞食」
やられた。紹介文から、騙されました。
紹介文でも冒頭でも「これはドキュメントです」とやたら声高に叫んでいて、そして語られはじめたのが妙に美化された日本の農村の情景。
なんだかうすっぺらい気がして、正直、一番期待していただけにがっかりしたんですね。
というのは、私、前回の鋼鉄村松のお芝居でザキヤマ七段を演じた後藤裕哉さんの隠れファンになっていたんです。隠れなくてもいいか。
で、残念ながらイマイチだなーと思っていたところのあの展開。
農業問題だけじゃなくって、全てに傍観者である日本人の問題を鋭く突かれました。私のこととして。
すごいね。うまいね。
できたら、後藤くんにはあの最後の場面、もっとがっつりおにぎり頬張ってほしい。
米粒ボロボロこぼして、でもそれを(地面に落ちたものも全部)拾って食べてほしい。
しかし、あのおにぎり、固めすぎなんですよね。なんだか、餅を食いちぎるように食べていましたね。
あのお兄さんが握ったんなら、仕方ないか(笑)
あのお兄さんに「お前、日本の問題、日本の問題って、えらそうに考える振りして、ただ芝居見てるだけじゃねえか」と言われた気がしました。
スピンドクター
劇団 東京フェスティバル
OFF OFFシアター(東京都)
2011/12/15 (木) ~ 2011/12/20 (火)公演終了
満足度★★★★★
☆7つ
見終わった後は、ハードカバーの本一冊を読み終わった後のような、良質な2時間映画を見終わった後のような、ここちよい興奮と感動に包まれていました。たった90分だったんですよね。すごい充実感でした。
90分の中に、情報操作と隠蔽をテーマに、政治スキャンダルや日本のエネルギー問題などたくさんの情報が詰め込まれていて、それでいて分かりやすくて置いて行かれない、これってすごいことだと思います。
脚本が、しっかりしているからでしょう。
そして、その脚本を生かす、役者さんたちがすばらしかったからでしょう。
いいものを見させていただきました。
ありがとうございます。
個人的に☆7つくらいつけたい大満足のお芝居でした。
ネタバレBOX
情報操作・情報隠蔽をテーマに、ハラハラする展開を、きれいに大団円にまとめながら、最後の最後にどんでん返し。
どんでん返しの瞬間、お~っと頭の中で唸りました。
メリーメリークリスマスがカッコいい!
カッコいいというと、女性総理の矢代朝子さんが終始とっても素敵でした。美人で知的で、迫力あって。
新人ライターの女の子と最初に名刺交換する時には「どうも」的にあしらっていたのが、最後に「あなたも記者でしょ」と呼びかけたところなど、本筋とはあまり関係ないのですが、女性としてすごく感動しました。
あんなボスになら私もついていきたい!
とてもよくできた脚本で、観終わった後大興奮でした。
きたむらけんじさんのお名前は今回初めて知りましたが(初心者なんですみません)、次も絶対に見たいです。
歯に衣着せない
劇団あおきりみかん
新宿シアターモリエール(東京都)
2011/12/17 (土) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
面白かったです!
面白いだけでなく、「言葉」の持つ力と意味を考えさせる、メッセージ性もありました。
欲を言うと、最後にもうひとひねりあるともっとよかった(というか好み)です。
2時間しゃべり続けた役者のみなさん、お疲れ様です。
1日2回公演は、さぞ大変じゃないかと、終演後思いました。
大満足です。よいお芝居をありがとうございました。
ネタバレBOX
冒頭の山内庸平さん、「ソーシャルネットワーク」でのジェシー・アイゼンバーグの登場シーンを思わせるようなものすごいインパクトで、そこからぐいぐい惹き込まれました。
「ある日、男は言いたいことを全部言うことにした。だから、女も、言いたいことを全部言うようにした」
というチラシの文面を見て、夫婦喧嘩っぽいのか何かかと陳腐な予想をしてしまっていたのですが、羽衣ならぬ歯衣神社でお祈りすると歯に衣着せない人になる、という設定が秀逸。
本音をぶちまけるとどうなるかというのが面白おかしく演じられながら、その中に色々な戒めも含まれていました。
本音が言える人言えない人、言葉を選ぶことにした人、形容詞や擬音しか口に出せない人、色々な意味で示唆に富んだ内容でした。
私などはわりと歯に衣着せないタイプですが、世の中にはそうでない人もいるんですよね。反省しなくては……といいつつ、舞台の上でも言いたいこと言い切ってる人の方が魅力的に見えたりして(笑)
途中いきなり始まる歌謡ショー(違うか・笑)の選曲がちょっと昔風なのも、個人的にストライクでした。
山内さんのダンス、キレキレでしたね。
手嶋さんが歌っている時のとりつかれたような表情が好きです。
あと、キャメロン近藤さん、かわいい!家に持ち帰りたかったです。
RICHARD O'BRIEN'S『ロッキー・ホラー・ショー』
パルコ・プロデュース
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)
2011/12/09 (金) ~ 2011/12/25 (日)公演終了
満足度★★★★
みじかっ!
いやいや、面白かったです。
これ昔、渋谷の映画館のレイトショーで見たんですが、その時はまだ映画館にお米とか水鉄砲とかライターとか持っていってよかったんですよね。って、どんだけ大昔の話だ!!
もともと「スクリーンと一緒になって騒ぐ」というのが、正しいロッキー・ホラー・ショーの楽しみ方です。
これから見に行く人、ここ見て準備してからいった方が楽しいかも。
無理しない程度に馬鹿騒ぎましよう。
http://www.parco-play.com/web/play/RHS/rules.html
難をいうと上演時間がたったの80分しかなかったこと。
新感線のいのうえひでのり演出だから3時間位覚悟していたのに(笑)
9500円のチケット代にしては短いとおもいました。
背景、舞台美術も、ほぼ映像だしね。
個人的には古田スキーなので大満足でしたが、チケット代との兼ね合いで☆一つ減らしました。
ネタバレBOX
今回、私は事前にチラシもサイトも見ずにいきました。
「ロッキー・ホラー・ショーだからね」みたいな余裕かまして。
そのため「大きな勘違い」をして、かなり恥ずかしい会話を幕間にしてしまいました。
お暇な人はブログ見てください。
http://ameblo.jp/imacoco2010/entry-11110077760.html
『タンバリン・スナイパー』
8割世界【19日20日、愛媛公演!!】
ワーサルシアター(東京都)
2011/12/07 (水) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しい
主人公あやめ先生役の奥山智恵野さんが良かったです。
表情豊かで、惹きつけられました。
動きも愛らしくて、彼女を見ているだけで楽しい気持ちになりました。
全体、明るく元気で、メッセージもわかりやすいお芝居でした。
ありがとうございます。
ネタバレBOX
演出家さんがこだわったという円形舞台と赤い緞帳、素敵でした。
あの着ぐるみも、よかったですね。大爆笑でした。
あえて難を言えば、幼稚園ソングとおゆうぎが多すぎて、くどく感じました。
正直、途中ダレました。
あと、「言葉」で勝負している惣介さんが、他人の言葉の引用ばかりするのが薄っぺらに見えたのと、自分の言葉でもあまりたいしたことを言ってないのも残念でした。ごめんなさい。
久保らの歩く道
コーヒーカップオーケストラ
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2011/12/05 (月) ~ 2011/12/07 (水)公演終了
満足度★★
うーん
お芝居というよりは、コント。
確かにバカバカしいのですが、私はあまり笑えませんでした。
ごめんなさい。
もちろん大笑いしている人もいましたので、面白くないと感じたのは、あくまで私の感覚です。
役者の皆さんの身体を張った演技には、情熱を感じました。
最前列に座ったひとたちは、唾いっぱい浴びていましたね。
平成中村座 十二月大歌舞伎
松竹
隅田公園内 仮設劇場 (東京都)
2011/12/02 (金) ~ 2011/12/26 (月)公演終了
満足度★★★★★
おすすめの夜の部
中では、「関の扉」が特に素晴らしかった。
勘太郎の関守と菊之助の小町桜の精。凄味が感じられました。最後幕引きでは私も隣の女性も立ち上がらんばかりに(立ちませんよ)拍手を送り、終わったとたん同時に「良かったですねー!」と興奮して互いに呼びかけていました。
前半の七之助も可憐で美しくて、目の保養でしたが、菊之助を見た後だと、ちょっと線が細すぎかな。体型じゃなくってね。
それにしても、菊之助はそのあとの「松浦の太鼓」での立役も決まっていましたし、かなり楽しみな役者になりました。
勘太郎の踊りは前から安定していますが、ここでも素晴らしかった。
このコンビこれからも観たいです。
夜の部は、この「関の扉」のほか、早変りや曲書きが見どころの「葛の葉」、十二月らしい赤穂浪士もの「松浦の太鼓」と、演目がそろっていますので、お勧めです。
ネタバレBOX
「葛の葉」
この演目、最後に葛の葉が舞台いっぱいの障子に、
「恋しくば尋ねきてみよ和泉なる信田の森のうら美葛の葉」
と歌を曲書きするのが見所の一つ。
曲書きというのは、下から逆に文字を書いたり、筆を左手に持ち替えて表裏逆の裏字を書いたり、子どもを抱いて口にくわえて書いたりというもの。
そのたびに、前の席の人たちが「まあー」「うわー」と感嘆の声をあげていて、なんだか嬉しくなりました。あれ、ちゃんと役者さんが書いているんですよ。
扇雀さんのお手は、まあ、なんというか・・・・・・この日の字は「うら美葛の葉」あたりでは、かなりやっちゃった感が溢れていましたが(笑)、相当難しいですよね。子どもだっこして口で書くんだもの。見てるだけなら何とでもいえる。
「松浦の太鼓」
これは、とにかく勘三郎が可愛かった。
勘三郎もわかってやってますね。きっと。おれ、ラブリーさが売り。
この役は吉右衛門さんの方がニンだし、吉右衛門さんだと可愛いだけじゃなくって大らかで懐の広いところも見せてくれるから、最後の「ほめてやれ」で、ジーンとするんですが(なにしろ浪士達はこれから切腹だもの)、この日のお殿さまはとにかく浮かれっぱなし。
最後に「ここでだしたか!」の平成中村座お約束の仕掛け(舞台の後ろぶっこ抜いてスカイツリーを見せる)もあり、とにかく万歳万歳で明るい幕切れ。
それもあっての、勘三郎の松浦様ですね。
二手目8七飛車成り戦法
劇団鋼鉄村松
ザムザ阿佐谷(東京都)
2011/12/02 (金) ~ 2011/12/05 (月)公演終了
満足度★★★★★
面白かった!!
将棋というと「三月のライオン」よりも「月下の棋士」の方が身近なお年頃。
子どもの頃の愛読書(の一つ)は、「少年チャンピオン」でした。
ボス村松さんが描いたこのお芝居、そのころの小チャン魂が感じられました。
それだけじゃなくって、ジャンプ魂も少女コミック魂も竹書房魂も感じました。
ようは盛りだくさんで、熱かった。すごく面白かった。
今が師走じゃなかったら、もう一回観たいです。
対局のシーン、役者のみなさんの指さばきが美しくて感動しました。
ラストの対局、漫画でいうなら見開きが16ページくらい続くような感じのすごいクライマックスです。(いえ、そこで終わらないけどね。主役の対戦じゃないし。それがいいんです)
個人的にムラマツベスさんがとても気になります。
ネタバレBOX
ムラマツベスさん(ハブが毒性強くしてコブラってすばらしいネーミングですねv)、白手ぬぐいと子ども騙しの青い3Dメガネ(みたいなの)だけでシャアになってたあたりから胸撃ち抜かれました。
どこにも赤いもの使ってないのに、シャア。
つなぎに使ったというガンダムネタは、ファースト世代には嬉しかったです。
しかし(他にも有名どころが色々あるのに)何故に、ビグ・ザム。上から撮ったときの絵面を意識したのでしょうか。だとしたら、それも秀逸。
分かりやすいガンダム、遊戯王ネタ以外にも、子ども村松がコナン少年のようだったり(衣装だけね)、月の下がよく似合う棋士とか「私の方が痛い」とか、女性漫画家には腐要素を匂わせたりと、ボス村松さんの数々の漫画へのオマージュを感じました。
ていうか、私がただの漫画好きだからそういう見方になっているだけならすみません。
それにしても、2時間の中にみっちりでしたね。
とても得した気分です。
余談
へのうえ九段(バブルムラマツさん)が「名人コブラ(ムラマツベスさん)はF1レーサーになったじゃないか!」と叫んだときには、この上どんな展開が!!と期待したのですが、間違いだったのは、返す返すも残念でした(笑)
白いスポーツカーで失踪じゃない疾走するカッコいいムラマツベスさんを観たいです。
あ、あと、レディの衣装、サイコーでした。
法王庁の避妊法【全公演終演致しました!ありがとうございました!!】
ファルスシアター
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2011/12/01 (木) ~ 2011/12/04 (日)公演終了
満足度★★★★
あたたかい
まず、受付でホッカイロをいただいてその気づかいにあたたかくなりました。
ありがとうございます。
お芝居の中身も、あたたかかったです。
全てにおいて「真面目な人たちが一生懸命」な様子に、ドライアイ気味の私もウルッときました。
女性たちが、みんな健気でよかった。
ネタバレBOX
唯ひとり、真面目とか健気とかと遠いところにいた高見先生、ワタシなぜか悪い人だと思って見ていました。
荻野先生が月経と排卵の周期に気付いて興奮して助手と一緒に確認し合っているあの場面、ドアの向こうで聞き耳を立てている高見先生が「論文を盗むんじゃないか?!」とドキドキしました。すみません。
外科と産婦人科は違うしついてる教授もいるのにそんなことはあり得ない、といわれたらその通りなんですがね、でもなんかわざとらしいパフォーマンスとかが悪人っぽかったんで、妄想しちゃったんですよ~(汗)
結果的に、みんないい人でよかった。
高見先生がフェミニスト看護婦とくっつくというのは解せないけれど、ほっこりした良いお話でした。
全然関係ないけれど、最近は「できちゃった婚」じゃなくって、「さずかり婚」って言うらしいですね。
日本の問題
日本の問題
ザ・ポケット(東京都)
2011/11/27 (日) ~ 2011/12/04 (日)公演終了
満足度★★★★
A班観劇
B班に続いてA班を観ました。本日のマチネです。
それぞれの感想は、まだ公演中なのでネタバレで。
で、ネタバレ関係なく、終わってしまった今日のアフタートークについて言わせてください。
私は内田春菊という人の漫画が好きで、本人に興味があり、今回チケットを購入する際も「アフタートーク内田春菊」というのに惹かれて、わざわざこの回にしました。
ところが、始まってみたらグダグダの極み。
あれは、事前に質問事項とか会話の手順を打ち合わせていないんですよね?
前回見たアフタートークでは、評論家の男性が一人でしゃべっていて、それもしゃべりすぎって言うか打ち合わせできてないな~って気がしましたが、
たった20分ほどのトークショーですから、その日話してほしいことなど事前に申し入れしておくべきではないでしょうか。
内田春菊さんが、舞台に上がってからパンフレットをめくって、ブツブツ質問して、それを松枝さんが「今日はAチームです」とか、見てるとこ違っているのを注意してあげる始末。春菊さんからものすごく基本的な(見てリゃわかるだろ的な)質問が出で、演出家が気を使いながら答える始末。
耐えきれなくなった人たちが、次々に途中退出していく様子にも、胸が悪くなりました。
個人的には、一度見ると決めた以上途中退出はマナー違反だと思います。
が、途中退出の人はそれだけ何か(たぶん私と同じ気持ちを)伝えたい、意思表示だったのだと思います。
アフタートークでは今日のお芝居の話は全く出ませんでした。
風邪引いたとか、最近寒いからとか、よくわからない世間話。「だったら腹出すなよ」と、心の中で内田さんに突っ込みました。内田春菊さん、ベルトの上に肉乗せて、わざわざお腹を見せたピタシャツでした。歌舞伎の腹出しじゃないんだから。風邪引いたばっかりなら、腹巻きしてください。お大事に。
「宮崎駿はロリコンだからナウシカも嫌い」とか、そんな話を聞きたかったわけじゃないんですよ。演出家の一人がそれに対してえらく喜んでいましたが、私は別に宮崎駿の擁護じゃないですが、「それでも宮崎駿はあんたら全員よりも売れてるんだよね」とちょっと意地悪な気持ちになりました。
それくらいアフタートークがひどかったんです。
ごめんなさい。意地悪な感想でごめんなさい。
芝居の感想がB班より厳しくなったのはこのアフタートークのせいかもです。
ネタバレBOX
「金魚の行方」
走っている男の子が良かった。
投げ飛ばされたりジャンプした時にフワッと空中に浮くあの感じは、熊川哲也の海賊を観た時に通じるような・・・・・・と言うのは、ごめんなさい、言いすぎでした。ま、それくらい彼の身体能力に感動しました。
しかしながら、お芝居自体は、今一つ。
今の日本の問題を次々にあげつらいながら、結局何にも解決していない。
「解決できないよ」っていうのが、結論なんでしょうが。
なんだか「俺たち、こんなに色々知ってんだよ、頭いいだろ」ってのが変に鼻について、お芝居として面白くなかったです。
あの身毒丸の母の意味もわかりません。あのシーンは何のサービスでしょう??
「天使なんかじゃないもんで」
A班の中で唯一面白かったし、見て良かったと思えたものでした。
宗教(新興含)もヤクザも日本の問題の一つですが、それを題材に入れながら、ユーモアもふんだんにあり、最後に「救い」を感じさせてくれました。
今日の4作品の中で、私が日本の未来に救いを感じたのはこれだけでした。
この作品があったので☆4つ。
「ボレロ、あるいは明るい未来のためのエチュード」
意味のないバカ騒ぎが煩くて、演説も騒音も耳障りで、同じことが繰り返されて、退屈で……しかし、それがいまの日本の政治だと言われたらその通りなので、「日本の問題」という意味では、正しい指摘をしてくれていました。
しかしながら、私の基準では「もう一度見たいという気持ちになるものがよいお芝居」なので、そういう意味ではこれ、8つの中でワースト1です。
すみません。
「博物学の終焉」
このお芝居を見ていてふと浮かんだのが、ものすごく幼い頃に読んだ童話、アンデルセンだかグリムだか立原えりかだか(全然違うか)知りませんが、赤ちゃんが笑ったとき遠い世界で言葉の花のつぼみが開き、その中から一つのうつくしい言葉が生まれるという場面でした。
先生が語る「言葉が生まれた意味」というのには、感じるものがありましたが、
何故あのラストなのかというのが理解できませんでした。
近未来的情緒的ドラマが、突然、現代のよくあるオチで終わった感、が残念です。
20分という時間の制限が、そうせざるを得なかったのでしょうか。
B班を観た後なので、A班に対してより期待が高まり、すごく辛口になった気がしますが、(もしくはアフタートークのガッカリ感が)、いずれにしても、こういった試みはとても面白いと思いますし、一度にたくさんの劇団を観ることができたのは、私にとって大きな収穫でした。
ありがとうございます。
次回は、みなさんの単独の公演を見に行きたいと思います。
深呼吸する惑星
サードステージ
紀伊國屋ホール(東京都)
2011/11/26 (土) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★
見なかった間が悔やまれる
やっぱりメジャーになった劇団は違うなと思った。
芝居自体は、最近観ている小劇場と、そんなに大きく違ったことはしていない。(最近観ている方が第三舞台や他の先達の真似なのかもしれないけれど)むしろ、芝居の内容は、古くさい印象すら与える。
しかし、多くの小劇団が客を呼ぶのに汲々としているのに比べて、紀伊國屋ホールは満員御礼、カーテンコールは鳴りやまない。
三回のカーテンコールの後、大高洋夫が出て来て「明日もあるから、もう帰ってください」というのに、まだ呼び出す。
みんなが「第三舞台のサヨナラ」というイベントを楽しんでいた。
私が初めて第三舞台を見たのは、およそ四半世紀前の「朝日のような夕日をつれて」で、まさにここ紀伊國屋ホールだった。ホールは、あの時とちっとも変っていないのに、舞台の上の人たちは、私と同じだけ、ちゃんと年を取っている。
実は、あれっきり観ていなかった。
ちゃんと追いかけて観ていれば、このイベントをもっと楽しめたのにな。
残念。
ネタバレBOX
筧利夫と大高洋夫のダンスや、長野里見の着ぐるみなど、昔を知っているからこそ、会場はおお受け。
お芝居ももちろんそれなりに面白いんだけれど、8400円(+プレミア)というチケット代は安くはない。
今時の人代表で入った高橋一生は、やっぱりちょっと浮いている。
(しかたないよね、他のメンバーの80年代オーラが強すぎるんだよね。ところで、あの常に笑いながらしゃべっているのは演出ですか?)
それでも、観る価値はありました。
偶然でも、この劇団の最初と最後に立ち会えたというのはラッキーだと思います。
テーマは、意外にも良く伝わりました。
鴻上尚史さんの大学ノートに書きなぐったような(修正テープでの書き直しあり)「ごあいさつ」があって、上演前に読めたので良かったです。
これ、本当にコピーですよね。直筆のコピー、却って貴重な感じです。
「祖国なき独立戦争は始まる」
あの言葉の対となる答が、この筧利夫さんですね。
直接会えなくても、思い出して会話できるというのは、完全な喪失ではないということ。人の死にたとえていましたが、「第三舞台」もそういった存在でありたいということですよね。
昼間、「日本の問題」という4劇団によるお芝居を見たばかりだったので、支配を受ける惑星は、日本人個人でもあり、日本という国自体にも見えました。
さようなら。ありがとう。
日本の問題
日本の問題
ザ・ポケット(東京都)
2011/11/27 (日) ~ 2011/12/04 (日)公演終了
満足度★★★★
B班観劇
劇場にはいつも開演30分前には到着するつもりで動いてます。
この日もその計算で武蔵小金井の駅に着きましたら、たった今高円寺駅で人身事故があり中央線が上下とも運転停止、復旧時間は約1時間後の13時40分と言うじゃないですか!
その時間からじゃ絶対に14時に中野には着かない。振替輸送のバスも中野方面には無い。呆然としましたら、一緒にいた家人が言いました。
「ひと駅でも中野に近づいておこう」
はい、歩きました。中央線の一駅区間って、都心と違って結構あるんですけどね。
それで、電車時間にして5分ぶん稼ぎ、この事故を考慮して開演時間を10分遅らせていただけていたことのダブル効果で、幸いにも最初から見ることができました。
関係者の皆様、ありがとうございます。
会場内でお待たせしていた皆様には、すみません。
さて、お芝居。B班から観ました。
思っていたよりも、わかりやすく楽しめました。
震災の後だからか、設定は似たところもありましたが、受け取るメッセージはそれぞれ違いました。詳しくはネタバレで。
行って良かったです。歩いた甲斐もありました(笑)
A班も楽しみです。
ネタバレBOX
「指」
一緒に見た家人は「まんま羅生門じゃん」とパクリ扱いでしたが、私はそうは思いません。まさに3.11後の東北で「羅生門」に通じる行為をした人がいるという事実。それが「日本の問題」だといわれたら、その通りだと思うのです。
最近、電車のつり革広告から「物事の善悪の基準」について、真剣に考える機会がありました。私は「他人を幸福にすることかどうか」と定義してみましたが、あっさり矛盾を突かれました。
そんな後なので、この芝居で女が「何が良くて何が悪いことかって、他人に決めてもらうことじゃない」と言ったのが、とても印象に残りました。
ただ、叫び合っている会話はいただけなかった。
夜明け前のシンとした東北のがれきの中、もっと押し殺した会話の方が、濃密な世界になった気がします。
叫びあって言い争っている時間を無くして、心理面を掘り下げてくれたら、より良い舞台になったと思います。
「日本の終わり」
東京には田舎の神童が集まるれれど、必ずしも全員が優秀な働きをしていないというのは、この間まで勤めていた会社で痛感していたので、大きくうなづきました。それを地元に強制送還するという発想は面白く、「日本解散」もインパクトありました。
でも、女子高校生の「お父さんが末期癌で」のお涙ちょうだい的演説から急にシラケました。
「触れられるところまで」が世界ってのは、どうなんでしょうか。300藩に分けても全員と触れあうのは無理だとおもいます。
『地縁血縁が無くなってきた今だからこそのネット縁』という方が、むしろピンときます。ミク友たちとは「70過ぎたら生死確認つぶやこうね」とか言いあってます。「生きてるなう」みたいな。
「枯葉によせて(仮)」
本当の家族と偽の家族とか、分離と再会とか、無防備な女子高校生と完全防御の風俗嬢とか、パワフルな母さんと寝た切り父さんとか、色々と対比させているのは面白いのですが、いかんせん私は「テ●キ」とか「チン●ン」とかを連呼するような芝居は嫌いなのです。すみません。
「甘えない蟻」
働き蟻の法則、(パレートの法則とたまに一緒に語られますがちょっと違います)『働き蟻の中でも本当に働いているのは8割で、あとの2割は働いていない。この2割の蟻を取り除いても、今まで働いていた蟻の中から働かなくなる蟻が出て来て、結局、全体の中で働いている蟻は8割になる』というものです。
この話を聞いたとき、最後まで働き続ける蟻というのはどういう蟻なのかなと思いました。
幸雄さんはそんな甘えられない不器用な蟻だったんですね。
「もっと甘えていいんだよ」「甘える自分を許していいんだよ」というメッセージは、疲れた日本人にグッとくると思います。誰にも甘えられずに自殺していく人たち、これも「日本の問題」の一つですよね。
しかし、パソコンのスクリーンセーバーに「幸雄」の名前があったのは、興ざめ。
あれは遺書なんですか?遺書だとしたら、スクリーンセーバーというのは奇をてらいすぎだし、幸雄の人物を想像するに、違和感があります。
思わず漏れたつぶやきとした方が沁みます。その場合、名前は不要です。
色々書きましたが、いつものように個人的感想です。
面白い芝居をありがとうございました。
20分という短い時間のなかに、これだけのメッセージを込められる皆さんはやっぱり素晴らしいと思います。
2時間のお芝居も見に行きたいです。