劇トクッ!

村角太洋|極限のシチュエーション喜劇と海を越える野望〈後編〉

CoRich舞台芸術!チャンネル連載最終回。完結編となる今回は、劇作家としての確固たる「1本釣り」の作劇哲学から、外部演出で挑む『裏緑特技悲喜話』、そしてロンドン進出という壮大な野望へと迫る。

「1本釣り」の哲学——シチュエーションを極限まで掘り下げる

村角氏の作品は、たった一行で説明できる「ワン・シチュエーション」を執拗なまでに深掘りしていく。「気まずい先輩と二人きりになった空間」など、一つのテーマを逃さず掘り下げる「1本釣り」のスタイルだ。

執筆中、人物が勝手に喋り出し「ピースが完璧にハマる瞬間」の快感は格別だという。近年増加している外部演出においても、他者の戯曲を「バイブル」として尊重しつつ、俳優との対話からコメディの骨格を立ち上げていく。演出家として、そして俳優として、双方の視点を持つ彼だからこそ可能な緻密な設計である。

爍綽と『裏緑特技悲喜話』への挑戦

最新作となる佐久間麻由によるプロデュース企画ユニット「爍綽と(しゃくしゃくと)」vol.3『裏緑特技悲喜話(うらみどりとくぎひきばなし)』(2026年5月)では、グリーンバックの特撮現場というニッチな空間を舞台に据えた。

主演にザ・ギースの尾関高文氏を迎え、特撮作品のメイキングに潜む滑稽さと哀愁を描く。ゴジラやバットマンをこよなく愛する映画愛好家としての顔も持つ村角氏。特撮現場特有の「真剣だからこそ面白い」バックステージの悲喜こもごもを、最高級のコメディへと昇華させる。

兄弟2人芝居『VISITORS』と、ロンドン進出への夢

自身の劇団では、最新作『VISITORS(ビジターズ)』(2026年8月〜9月)に挑む。弟・村角ダイチが3人の訪問者を演じ分け、村角氏(ボブ・マーサム)がそれを迎え撃つという、純度の高い「兄弟2人芝居」だ。

インタビューの最後、彼は壮大な野望を語った。「自分の台本を英語に訳し、ロンドンのようなコメディの本場で、現地の俳優に上演してもらいたい」。自身の笑いの構造が、言語を超えて「人間の滑稽さ」として通用するかを試したいというのだ。京都のラグビー少年が抱いた好奇心は、今や世界というフィールドを見据えている。

動画出典: CoRich舞台芸術!チャンネル『【劇トクッ!】村角太洋、登場!③』

URL: https://www.youtube.com/watch?v=sQ5OoxVkgK8

村角太洋さん インタビュー連載(全3回)

【前編】村角太洋 | 劇団「むらずみ」旗揚げ、不条理への挑戦と「笑い」へのこだわり

【中編】村角太洋 | ボブ・マーサム誕生秘話と恩人たちとの邂逅

【後編】村角太洋 | 演劇の未来、そこで創作を続けるすべての人へ贈るメッセージ

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