最新の観てきた!クチコミ一覧

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ボス・イン・ザ・スカイ

ボス・イン・ザ・スカイ

ヨーロッパ企画

青山円形劇場(東京都)

2009/06/17 (水) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★

ドラゴン退治に明け暮れる「光の戦士」の日常。ゆる~い笑い。舞台装置が圧巻!
「サマータイムマシンブルース」のヨーロッパ企画の作品。

結成11年目を迎えているとのことですが、良い意味で
その部活の日常のような雰囲気が劇団の味でもあります。

劇団初の円形劇場・囲み舞台。この劇団のお芝居では、
いつも、常に10人くらいが舞台上にいるので、
人物が重ならないように考えた結果、なんと舞台に
鉄骨の足場で3階建ての「塔」を作り、
この3層で会話や演技が交わされる構成になりました。

当初、上へ上へ上っていく話だったそうですが、
結局塔の最上部に居座っているドラゴン(動かない)を
クリスタルの光によって転送、処理する仕事の
人たちの話に。
昔は脚光を浴びていたこの人たちも、今は徐々に
忘れられつつある存在。
しかも、このドラゴンも動かない種類のもので、
メンバーたちもいっこうに盛り上がらず、単なる
ルーチンワーク化している・・・。
この「ドラゴン退治」を職業とするたちの
ゆるやかで、まったりとした仕事振りが展開します。

劇的な何かがあるわけではない、緩やかで、
ちょっとだけ不思議な、でも普通な人々の日常が
とってもユーモラス、ゆる~い気分に浸ります。

終演後は、出演者と作者によるトークショーが30分
くらいあって、これも満足でした。

逆鱗に唇を

逆鱗に唇を

地球割project

タイニイアリス(東京都)

2009/06/10 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★

SFオマージュながらモチーフは…
かなり先の未来、地下の「現代遺跡」発掘に携わる「モグラ」の一員である主人公が「逆鱗」という鎧(的なもの)を身につけた暗殺者に抜擢(?)されて…な物語。
その内容にはかつてあらすじだけ聞いた(もしくは読んだ)「荒廃した地球で遺跡から宇宙船を見つけて旅立つ主人公」なSF、「モグラ」には映画『猿の惑星』における人類(「ニワトリ」「カモメ」は猿)を連想。
また、「20mの(人間搭乗型)ロボット」「60mの(地球上では3分間しか活動できない)巨人」「(人口冬眠中の人間の)腹に卵を産む宇宙生物」などのオマージュにもニヤリ。
さらに、後半には「玉青(たまお)」に関するくだりがあり、前回公演(初見)とリンクしていたりするのは嬉しい。
で、SFを装っていながら実はモチーフは人斬り以蔵だというハナシを終演後に高橋主宰から伺い、観ながら何か脳裏をかすめたものはそれか(2週間前に以蔵モノも観ていたし)と膝ポン。
なお、「土から離れたモグラは竜となって空に駆け上がる」なんて野田秀樹チックな言葉遊び(笑)なども思いつく。(…ってかそれも意図していたのか?)
あと、文字通りのプロセニアムと言おうか、額縁を思わせる縁取りでステージを囲った美術も面白い。時としてそこから役者が出て来る(ハミ出す?)のには、ある騙し絵を思い出したりもして。

ナナシ

ナナシ

30-DELUX

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2009/06/10 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★

さらに磨きがかかったアクション
家康の前に彼の命を狙う「四神無双」を斬ったという男「ナナシ」が現れ…というアクション時代劇。
それでなくともアクションには定評があるのに、今回は Action Club Mix ということでさらに磨きがかかった感じで一枚岩ではない「四神無双」とか「ナナシ」の正体とか意外性もたっぷりで先が全く読めない服部半蔵秘話、これまた少年社中とはかなり異なった毛利亘宏の作・演出も含めてお見事。

チキュウノミカタ

チキュウノミカタ

劇団†勇壮淑女

ウッディシアター中目黒(東京都)

2009/06/09 (火) ~ 2009/06/15 (月)公演終了

満足度★★★★★

怪人が絶滅種指定!?
昭和58年の法改正により民営化(!)が可能となったため正義の味方が増えすぎて、もはや怪人が絶滅種指定(笑)されそうという「もう一つの日本」を舞台にした物語。
ヒーローもののパロディのフリをした(←ダブルミーニング気味)王道コメディ(レイ・クーニーなどが得意とする「でまかせの嘘でその場をしのいだツケが回って大慌て」のアレ)な前半から、「非戦」がテーマになる後半とσ(^-^) 好みのパターン2点盛りなのが「ギュウカレ」的。(笑)(女優系としては3点盛りで「ギュウカレ焼きそば」か?(爆))
が、オチのつけ方が異星からの侵略に対してヒーロー、怪人の双方が手を組むというもので、これには「非戦じゃねーのかよ!」なツッコミを憶えないでもない…(笑)
とは言え、棒遣い人形を使った回想シーンもペンダントを首にかけたり流れ星を見せたりなんて細かい技を含めてイイし、「無理という言葉で自分を縛ってはいけない…(中略)…大事なのは、信じること」なんて名台詞はあるし、モロモロで満足度かなり高し。

ハナウタ日和

ハナウタ日和

IOH

シアター711(東京都)

2009/05/27 (水) ~ 2009/06/07 (日)公演終了

満足度★★★★

新境地か?
清掃業を自営する父と息子2人・娘1人の4人家族のもとに娘の交際相手が訪れる日、永年家を出ていた母が突然戻り、娘のことを想っている従業員も巻き込んだ騒動を描いたホームコメディ系、ドタバタ気味に始まりながらも家族の秘められた部分が明かされるあたりからは優しさや温もりが漂い、100分程度の上演時間が短く感じられる。
以前の家族シリーズに比べて笑いも多く、しかし家族の絆もしっかり描かれている(←これは従来通り)のは新境地か、それともσ(^-^) がこういう系統を見逃していただけか?

当選確率 0%

当選確率 0%

TEAM JAPAN SPEC.

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2009/06/05 (金) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

カタそうな題材をドラマチックに
とある地方都市で、外部からも指摘されるほどの市政の弱点を改善しようと、在職20年を超える現職市長に対抗して市長選に立候補することにした若き(元)教師と彼の高校時代の同級生たちを中心とした激闘の1年間を描いた物語、前回公演『カイシャ』に引き続き「身近ではありながらとっつきにくいあるいは堅苦しそう」に思われる題材を取り上げながらもたとえばスポーツもののようにドラマチックに見せてしまうのが独特で面白い。(そういえばここって、スポーツもの(野球、フットボール、陸上など)も得意としていたっけ)
また、上演時間を2時間程度(この日のマチネはちょうど120分)とするために元の脚本をかなり削ったとのことで、確かに総集編っぽいというかダイジェストっぽいというかな部分はありつつ、1年という期間をテンポ良く見せることになって結果オーライ?
さらにネタがネタだけに選挙に関するトリビア(公示前に「候補」の文字を使ってはならないとか、演説会ポスターは2人の顔を載せなければならないとか)までまぶしてあって、勉強になる…とまではいかないけれど「そういうことなのかぁ」と納得。
で、主人公がアラサーだけにそのかつての同級生たちも広告代理店勤務から家業を継いだ者、主婦、バツイチなど様々だし、彼らの恩師で立候補を決めるまでは主人公の同僚でもあった人物や市民運動のリーダー的存在から現職市長や衆議院議員まで登場し、そういう多彩かつ個性的なキャラクターと演者がピタリとハマっているのも◎。

-共生の彼方へⅤ- どんぐりと山猫

-共生の彼方へⅤ- どんぐりと山猫

A.C.O.A.

atelier SENTIO(東京都)

2009/06/18 (木) ~ 2009/06/21 (日)公演終了

最高の快楽。
劇場に足を運ぶことの最高の快楽がここにある。なぜもっとみんな、鈴木史朗さんを知ろうとしないのだろうと思う。

いっそ誰も知らなくてもいい。僕だけが知っていればいい。という気持ちにさえさせられる。

歪んだファン心理ですね。もう。

ヨシザキ、カク語リキ

ヨシザキ、カク語リキ

バジリコFバジオ

劇場MOMO(東京都)

2009/06/19 (金) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★

これだけバカバカしいと、むしろ爽やか
・・・ってことはないな。ない、ない。爽やかさは絶対にない。

予想もつかないバカバカしい展開に、見ている側は翻弄されるのみ。
思い切り戯画化されたキャラクターもいい。
人形とのコラボも楽しい。

そして、ヨシザキは最後にナニをカタルのか・・・は、やっぱりネタバレで。

ネタバレBOX

100円ショップの店長は、脱サラして移動飲食店を始めたいと思っている。そんなとき、妻の父がパンツを履かずに外に出て捕まってしまう。そして、子どもがネコだと言って貧乏神を連れてきたり、100円ショップで万引きされたり、店員のバイトがちゃらんぽらんだったり、万引き対策の特別装置を設置したり、10年前の中学生のときの回想に戻ったり、先生が生徒の遺体とともに逐電したり、三匹の魚が出たり、オホーツクの海に溺れたり、ハワイに行ったり、ヨシザキの野望が信長風だったり、ガンダムがカレーの中から出てきたり、メンチカツとコロッケを分ける仕事をしたり、牛丼太郎に落ちてきたり、パーティバレルが飛んできたり、刑務所に慰問に行ったり、ヨシザキが人生はなんたるかを語ってみせたりと、なんやかやで、月で東大でNASAで大団円(・・か?)を迎えるのであった。というのがあらすじだ。

うっかり「スラップスティック」なんて言ってしまいそうだが、そんな横文字のようなスマートさではない、ドタバタ感がとても愉快に感じた。・・・ひょっとしたら異論があるかもしれないが、この際、胸を張って言おう、私は愉快に感じたのだ。

キャラクターの濃さは、出演者すべてにあるのだが、特に中学生3人組と息子役の濃さは尋常ではない。悪い部分というか暗闇の部分というか、とにかく煮詰めていって、そんな部分だけを凝縮したような感じだ。

それは、フライヤーのイラストのテイストであり、要所要所に出てくる人形の造形にも似た、ひねくれて、ちょっと不気味さがあるようなキャラクターだ。

1人何役もこなしているだけに、「ここぞ」という役に関しては、どの役者も容赦なく役を「煮詰めて」くる(やりすぎ、とか、酷いという声も聞こえてきそうなほど)。先生の目に狂気が宿っていたりとか。それとコスプレとも言える衣装の用意や小道具の多さにも感心する。
だから、どの役者も間違いなく印象に刻み込まれているのだ。
小学生の息子が東大生になっても、NASAに入ってもずっと同じ演技というのには参った。その塩梅が素晴らしい。

原作ではどのような内容だったのかはわからないが、何の意味があるのかを考えずに、どうでもいいことを丁寧に描くところが好きだ。
例えば、息子が最初に登場し、「バッタをコーラで煮るのは、よさそうじゃない?」から「あっ生で食べちゃった」あたりのどーでもよさの爆発は私の心を鷲づかみにした・・・は言い過ぎだけど、よかったのだ。
また、牛丼太郎の牛丼やカレーにおまけが入っていたり、店員が店内で寝ていたりというのも、ほとんど必要ないエピソードなのに細かい。
100円ショップに350円の弁当があるというエピソードは、昨今の100円ショップの在り方に一石を投じるような・・・いや、それはない、けど楽しい。

ただ、移動販売用の車の絵を見せるところは、一瞬期待してしまうのだが、意外と中途半端で、見ているほうは笑う用意をしているのに笑えず困ってしまう。全体の弾け方から言うと、もう少しどうにかならなかったのだろうか。

人形の使い方は、アクセントになっていたと思う。人形だからできることがもっとあればいいと思ったし、人形劇の人形(その設定は2回もある)は、あえて逆に人が演じても、面倒だけど面白かったような気もする。

そして、タイトルにもある、ヨシザキが、人生の最後にしみじみと語るのは、人生の深淵なる教訓・・・というわけではまったくなく、単に「オナニーが人生で一番楽しいことに気がついた」というどーでもいいことなのだ。それに感動した店長が、生きることを決意するという、どーでもよさが素敵すぎる。

さらに、これは個人的で、どーでもいいことなのだが、役者がテンション高く話すシーンが多く、つばが見事に大量に飛んでいるのが、光の加減でキラキラとよく見えた。
役者の誰かが、保菌者であれば、間違いなく飛沫感染しているだろうなあ、と最前列に座りながら考えてしまったのだ。
ふうふうの神様

ふうふうの神様

劇団桟敷童子

ザ・スズナリ(東京都)

2009/06/19 (金) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

アングラを懐かしみたい方に
友人に誘われ初見です。

使用音楽や客入れ、一人一人の名前の紹介付カーテンコールなど、まさしくアングラです。
役者さんの一生懸命さ、とても若い人が多いこと、引き算よりも足し算の多い感じが熱く熱くこちらに。

ごめんなさい・・・それがとても恥ずかしくて夢が見れませんでした。

声を張るだけでなく、役者さん同士でちゃんと関わりあって欲しかった。
役者さんにあまり余裕がないように見えてしまい、思ってるほど
表に表現として出てきてない気がしました。

前の台詞やシーンを受けてつながっている感じがなかったのが残念。
暗転多め。

ネタバレBOX

子供を捜す夫婦お二人は安定。
もりちえさんの居方も悪くないです。

誰太郎コンビは喉が持つのか。大丈夫だと思いますが。
あとイジリー岡田に似ています。


女信長

女信長

RUP

青山劇場(東京都)

2009/06/05 (金) ~ 2009/06/21 (日)公演終了

満足度★★★★

主演:黒木メイサがイイ 「・・・であるか?」結構まじめに男女について考えさせられました。
信長は女だったという奇想天外な話を舞台化。

最初は、まさかという感じでしたが、言われてれば、
それまでの伝統に捕らわれない斬新な発想、
エキセントリックな性格は、
女性がいきなり天下を取ったと考えると合点がいく
かもしれない。

本作の脚本は、北区つかこうへい劇団7期生の
渡辺和徳さんが担当。
その、つかこうへい作品には「沖田総司が女だった」
という『幕末純情伝』がありました。
演出の岡村俊一さんもつか作品のプロデューサー
だったり、主演の黒木メイサさんは、2004年の
舞台『熱海殺人事件~』でデビュー。
本作でも、中森明菜の歌で踊ったり、急にブリッコ
演技で甘えたりという、つか作品のテイストに
満ちた作品でありました。

それにしても、黒木メイサさんは絵になるなぁと。
この存在感は凄い。
もっともっと濃い役柄、演技が観てみたいと思いました。

玉ノ井家のエンゲル係数(公演終了しました!)

玉ノ井家のエンゲル係数(公演終了しました!)

劇団ぎゃ。

ColaboCafe tsubomi(大阪府)

2009/06/13 (土) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

面白かったです
「カフェ公演なのに2000円は挑戦的だなぁ」などと思いながら行ったのですが、十分に面白い公演でした。

きつい挑戦的な演出や、あんまりハッピーじゃないお話や、過剰な作はあんまり好みじゃないんですが、センスの良さや感度の高さは「面白いと言わなきゃしょうがない」と思わせる作品でした。

なんか自分と全然違う意見なのに、完全に論破された気分です。
「すげー」という気持ちと、「悔しいなぁ」という気持ちが混ざっています。

また、大阪に来たら多分見に行くと思います。

一人オリンピック~千の仮面をもつ女

一人オリンピック~千の仮面をもつ女

高木珠里ひとり芝居

リトルモア地下(東京都)

2009/06/18 (木) ~ 2009/06/29 (月)公演終了

満足度★★★★

演劇っていいなあ~
と、あらためて思いました。ひさびさの体育座り観劇だったのに、途中からはまるで気にならず、もっともっと観ていたくもなってしまったし、ね。

いっぱいエネルギーを頂けた感じ☆

シリタガールの旅

シリタガールの旅

本能中枢劇団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/06/20 (土) ~ 2009/06/27 (土)公演終了

外角低めいっぱいのスローカーブ
そしてたぶん絶妙なコントロール。なので、まったく手をだせませんでした…。

アンドゥ家の一夜

アンドゥ家の一夜

さいたまゴールド・シアター

彩の国さいたま芸術劇場 小ホール(埼玉県)

2009/06/18 (木) ~ 2009/07/01 (水)公演終了

満足度★★★★

熱い!!!
情熱に年齢は関係ない、気持ちが心が大事、
というところでしょうかね。
いやはやスゴイ。

故人の思い出って、人によってずいぶん違うものですよね。
美談化したい人、そうじゃない人、それぞれの立場、意見はありますねぇ。。
現実そうですもんねぇ~

ネタバレBOX

蒼い球が飛ぶ~

蜷川さん、プロンプター、ちょいちょいやってますね。
気付かない時もあれば、響きわたるくらいの声で言ってるときもあるし。
ふうふうの神様

ふうふうの神様

劇団桟敷童子

ザ・スズナリ(東京都)

2009/06/19 (金) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

この世でない何処か
色鮮やかな紅葉のセット。会場に入るとその光景にしばし、圧倒される。
舞台は運動会のシーンから始まるが、そこに融合する導入音楽も流石。

客席は超満員!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

睦子と之成の一人息子が運動会の日に神隠しに会ってしまった。両親は一心不乱に探したが、見つからない。かつての睦子も幼少の頃、神隠しにあって異界で暮らしていたが現(うつつ)に戻された経緯があったことから、睦子は自分が身代わりになって息子をこの世に戻してもらおうと考えた。

睦子の実家のある神隠し里(隠れ里)に睦子は戻り、ここで、村の童と知恵遅れの童にあう。後にこの3人の童がふうふうの神様(人戻しの神)と人隠しの神ということが解るが、ここまでの話の展開は絶妙で睦子の実家がある隠れ里そのものが異界で、睦子の実家も異界での隠されたマヤカシの家族と解る。つまり、異界に連れて来られた人達が家族のように振舞っていた。という筋。
後半、この里に住む人達は自分が戦時中に置かれていた状況を話し出し、その当時の人たちなのだと理解できる。
マヤカシの世界にも人が居る限り、愛憎劇はあってそれゆえに人を殺す。
どっちがこの世でどっちが異界なのか錯覚してしまうシーンはうつつと異界を繋ぐ場所に見張り番のごとく居る山吹アヤメのセリフで効果的に想像させる。
最後のシーン、睦子と息子が紅葉狩りに来た所に、かつての夫・之成が記憶喪失のように登場するが、3人はお互いを覚えていない。
しかし、睦子も之成も懐かしい相手を見たように振り向く。この場面が実に印象に残り、絶妙なのだ。

つまり・・・どっちがうつつでどっちが異界なのか・・・。
そんな錯覚を目眩がするほど行ったりきたりするが、結果、之成の居るのがうつつなのかと思う。
もしかして、この芝居がうつつで観客が異界か・・・?
などとほくそ笑んでしまうのです。

物語と言い、人物設定といい、とにかく不思議感いっぱいの懐かしい香りのする素晴らしい!舞台でした。
パイレーツ・オブ・トレビアン

パイレーツ・オブ・トレビアン

ノーコンタクツ

萬劇場(東京都)

2009/06/05 (金) ~ 2009/06/07 (日)公演終了

満足度★★★

得意ワザを封印しての挑戦作
従来の「想像力刺激演劇」的手法は控え目に、装置もキッチリ建て込んで、どちらかと言えば表現手法としてはオーソドックス寄りでパロディも少なめという、得意ワザを封印気味にしての挑戦作。
その分キャラクター勝負でもあり、「とんでもない」あるいは「跳んだ」キャラなども配しての三つ巴状態から共通の敵に力を合わせて挑む海賊たちの物語、「こんな芝居も打てるんですよ」な感じ?
その意味では舞台中央を三角に客席に突き出させて船の前部甲板に見立てた装置と照明、音響によって荒れた海などをちゃんと見せていたのも挑戦と言えるか?
いやしかし、こういう一般的な芝居だと「実験的」と思われてしまうのが、ここの特徴をよくあわらしている、みたいな?(笑)
次回公演は「あのRPGゲーム」がネタのようだけれど、はたしてどんな世界を見せてくれるのかしら?

流れ星

流れ星

東京セレソンデラックス

シアターサンモール(東京都)

2009/05/20 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★

あの幕切れはズルい(笑)
一種「逆バック・トゥ・ザ・フューチャー」な物語、06年5月のザ・ポケットにおける初演時は夏子の身勝手さが気になったのに今回そうでもなかったのは一度観ていたからか、それともここ3年の間にオトナになった…もとい、トシをとったからか?(爆) そういう事例も少なからずありそうな現実を知ったからってところか。
また、今回はマリー役の山田まりやが良かった。今までも何度か観てきたけれど、ホントにイイ女優になったモンだ。

ネタバレBOX

しかし、謙作が亡くなるというのがわかっていてのあの幕切れは何度観てもズルい(巧いともゆー)。(笑)
無気力宇宙船メロディライナー55号

無気力宇宙船メロディライナー55号

劇団東京都鈴木区

遊空間がざびぃ(東京都)

2009/06/23 (火) ~ 2009/06/24 (水)公演終了

満足度★★★★

ショーもない、けど、いい話
23世紀の宇宙船で起こる、ショーもないコメディだが、話の骨格はどこにでもありそうなものながら、細かい部分を楽しく作ってあって、かなり楽しめる。
基本的に悪い人が出てこないので、安心して観ていられるのはアリガタイ。細かいギャグを楽しめるかどうかがカギだが、私は楽しめた。よく考えると、男優2人・女優4人という構成での上演だが、女優がいっぱい、という印象がないあたりは、巧く作っていると言える。

海と雨とフェスティバル

海と雨とフェスティバル

乱雑天国

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2009/06/19 (金) ~ 2009/06/23 (火)公演終了

満足度★★★★

意外に真面目
動物電気の松下幸史のユニットだが初めて観た。動物電気っぽいコメディなのかと思っていたら、笑いのファクターはあるものの予想外に真面目。
短編4話で一つのストーリーを展開する70分程度の舞台だが、適度に笑わせて少し泣かせる。いい話だった。

鳥の飛ぶ高さ

鳥の飛ぶ高さ

青年団国際演劇交流プロジェクト

シアタートラム(東京都)

2009/06/20 (土) ~ 2009/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★

2つが1つになる方法が重層的に描かれる
企業買収、虐殺、征服、結婚、公武合体、合唱・・・等々と、何かと何かをくっつけて1つにする方法が重層的に描かれていた。
その層の断面を見せてくれる舞台はさすがだと思った。

ただし、いささか消化不良。こちらのキャパに、というか語学力にも問題はあるのかもしれないのだが・・・。

ネタバレBOX

とにかく、1つになろうとする話がしつこく次々と現れる。

主軸は、フランスの会社が日本の便器会社を傘下に収めようとする話(2つの会社が片方に飲み込まれる)であり、日本神話の形を借りて描かれるのは、半島からの民族が土着の民族を征服する話(民族が他民族を飲み込む=国家が1つになっていく)、そして、ルワンダでの虐殺は、片方の部族を殲滅し、1つにしようとする話(2つの民族を1つだけにする)の3つ。

つまり、すべて「力(ちから)」によるものであり、対する相手は「対抗」するのだが、結果的に、1つめは「懐柔−容認」、2つめは「闘争−服従・浸透」、3つめは「排除−消滅」というところか。

そこに結婚(なぜだが異民族同士の結婚が3つも現れる)や、皇女和宮の公武合体(フランス人女性が強く惹かれるという設定も面白い)などという要素も加わる。
極めつけは、「私」という、この舞台の作者が現れ、自らが仲介となり、舞台と観客をなんとかくっつけようとすることだ。
合唱という声の合体まで使って。

とにかくあまりにも多くのものが次々と現れる。
問題は、その多さだけではなく、「言語」だ。
つまり、日本語で語られる台詞はいいのだが、フランス語の台詞は舞台上方の字幕に頼らざるを得ず、また、フランス語と日本語が交互に現れるところもあり、そのための視線の行き来が結構大変なのだ。
さらに場面展開も早い。

また、役者さんたちに気持ちの余裕がなかったように見えた。観ている側(というか私)に余裕がなかったせいでそう見えたのかもしれないが、もっと余裕があれば、笑えるシーンではきちんと笑えたような気がする。

大長編だったオリジナルを今回の長さにまとめた、ということからなのか、どうも一気呵成に進みすぎ、息抜きができない。
笑いのパートがそれにあたるのだが、それほど笑えないのだ。
唯一、合唱のパートはかなり面白く、笑顔で見入って息抜きにはなったのだが。

フランス企業が日本企業を買収するというエピソードは、今、この景況を考えると、テーマとしては、中途半端に古い印象は否めない。
会社法の改正で、外国企業による日本企業の子会社化が行いやすくなったと言っても(実際はそうでもないのらしいのだが)、どうしても10年ぐらい前の、日産のカルロスゴーン氏や日本長期信用銀行の外資売却、数年前(リーマンショック以前の)の海外からの大都市圏の不動産への投機的活動が思い出されるからだろう。
ま、その設定は、原作からの踏襲で、しょうがないのかもしれないけど。

子会社化(または買収)の手段として、日本企業内部の欲望をかき立てて、内部から切り崩し、さらに新製品の投入とマーケティングによって実績を上げ、企業価値を上げるという手法はうまいと思った。
ライブドア以降、敵対的な合併・買収には敏感になっている日本企業攻略としては、極めて適切かつ有効な方法だろう。

しかし、フランス人コンサルタントのなんと怪しいこと! 
マーケティングというコトバの裏に隠れ、ブレストなんていう方法で煙幕を張り、出てきたコピーがアレで、しかも、それに対してもっともらしい理由をつけるあたりは、マーケティングによる販売や事業展開自体を揶揄しているように思えてならなかった。
それで、購買意欲が高まり、新製品の便器がじゃんじゃん売れるというのもなんともやるせない(もちろん、私もそういう消費者の1人として)。

そう考えると、最後にフランス人社長が、「私が欲しかったのは、人です」と言うのも大いに怪しい。完全なる眉唾ものだ。

なぜなら、彼らは日本人の思考(嗜好)もきちんとマーケティングしてあるはずで、ここは日本神話のエピソードを紹介するときに「征服した相手をも神として祭る」というあたりの、日本人的なメンタリティーを見事に掴んだ発言としか思えず、その言葉は、新・猿渡社の社員の心には響いていたようだが、舞台では空しく響いていたように感じたのだ。

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