リチャード・イーター
劇団銀石
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2009/08/12 (水) ~ 2009/08/16 (日)公演終了
満足度★★
苦手な古典ながら
2時間20分飽きずに観ました。あくまで題材でしょうから、佐野木さんに付合えるかの問題でしょう。独特な動き、衣装など印象に残ります。
ネタバレBOX
石原麻美さん、浅利ねこさんバナナ学園の印象が強すぎます。
浅利さん衣装良かったですよ。
チケプレで観ました。ありがとうございました。
タカダツカ狂奏曲
劇団TipTap
アトリエフォンテーヌ(東京都)
2009/02/12 (木) ~ 2009/02/16 (月)公演終了
満足度★★★
「ゴン・ヴァルジャン!」
新作公演やっているのに、登録されていないではないか・・・もったいない。
刺青/シセイ【ご来場ありがとうございました!!】
劇団印象派
タイニイアリス(東京都)
2009/08/14 (金) ~ 2009/08/16 (日)公演終了
満足度★★
いろいろと見せ場有り
華澄美に刺青を入れるシーン。刺青師を殺害するシーン。赤いテープを張り巡らしてから始まるダンスシーン。結構印象に残りました。劇団名に嘘無し。
ネタバレBOX
オープニング お香を持った人あの体勢は辛いですよね。やや手が下がりプルプル・・・・。
チケプレで観ましたありがとうございました。
ギンギラ太陽’s in 福岡市美術館 翼をくださいっ!外伝「幻の翼 震電」
ギンギラ太陽's
福岡市美術館(福岡県)
2009/08/11 (火) ~ 2009/08/16 (日)公演終了
アートと現実とがつながった
2006年秋にギンギラ10周年記念公演で上演された短編を、福岡市美術館で再演。この作品が作られるきっかけとなった中ハシ克シゲさんの震電プロジェクトのドキュメント展が同時開催。「震電」という飛行機の、哀しくて、ちょっぴりおかしい、ほんとうのものがたり。
ネタバレBOX
さらに震電が解体された8月16日に、作品も解体されました。64年という時間を経ても、忘れてはいけないことが、確かに今に伝わっている。しみじみとそう感じました。
野外パフォーマンス『果物夜曲』 *入場無料
FUKAIPRODUCE羽衣
東京芸術劇場 アトリウム前広場(東京都)
2009/08/11 (火) ~ 2009/08/16 (日)公演終了
満足度★★★★
明るい屋外で
みると違いますねぇ。そーとーけんこーてき!
サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ 〜日曜日にジョージと公園で〜
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2009/07/05 (日) ~ 2009/08/09 (日)公演終了
満足度★★★★
沁みました!
初演当時、なぜあんなにも心奮え記憶に残ったのか?!
再演でキャスト・演出の違いはあっても、貫かれている
ものはチャンと込められていたと思いました。
だから一気に当時の自分が感じたことも甦りました。
そして、新たな感慨も噛み締めました。
真っ白なキャンスを思わせる八百屋舞台、
キャストが演じ上げる真摯な想い。
エンディングが流れる中、改めてこみ上げてしまう涙に
自分自身が浄化されて、勇気を貰った気がしました。
刺青/シセイ【ご来場ありがとうございました!!】
劇団印象派
タイニイアリス(東京都)
2009/08/14 (金) ~ 2009/08/16 (日)公演終了
ハッシャ・バイ
虚構の劇団
座・高円寺1(東京都)
2009/08/07 (金) ~ 2009/08/23 (日)公演終了
満足度★★★★
お気に入りの劇団です。応援してます。初・座・高円寺です。
鴻上さん主宰の「虚構の劇団」第3回公演です。
1,2回公演作は、ともに小劇団にまつわる話でしたが、
今回はガラッと変わって、第三舞台の再演作。
1/3から半分くらいは書きなおしたという、
初演は23年前、28歳のときの作品といいます。
話自体は、最初と最後のワンカットで
いろいろな解釈も成り立ちそうで深い話。
確かに題材としては、探偵、精神病院、超能力者、
夢…という、結構いろいろなところで見たような
感じはしますが…。
さて、お気に入りの劇団の俳優さんたちについて。
これまでは鴻上さんがこの劇団のために書き下ろし
ていて、「あて書きに近いような」ところもあり、
すべての役に目配せがされていて、
比較的等身大に近い役でした。
そして内容も、今、時代を直接反映していました。
しかし、今回は本も昔のもので、再演もの。
これまでとは明らかに違う。
役者と登場人物の一体感があまり感じられない。
この両者の距離感のようなものが、
そのまま「実力」といえるのかもしれません。
そう考えると、本作はみんなが、次のステップに
進むために鴻上さんが選んだ作品であるように
思います。
それでもより一層次が観たくなる、応援したく
なるのは、劇団みんなが魅力的だからです。
…と素人考えで、もっともらしく書いて、
すみません。
でもますます今後も楽しみです。
※ちなみに今回は、小名木美里さんが欠席。
劇団研修生大杉さほりさんが出演しています。
雨の一瞬前(再演)
ユニークポイント
ザ・スズナリ(東京都)
2009/08/14 (金) ~ 2009/08/16 (日)公演終了
満足度★★★
終戦記念日にふさわしい
事前にあらすじをざっと見て、想像していたとおりの内容。
この作品に意外性などの要素を求めるものではないので
それは全然問題ないのですが、もっと現実の不条理さに
切り込んでくれても良かったのに、と感じました。
これでは、少し戦争が美しい記憶のように感じられてしまう。
連日の空襲、明日は身の上かもしれないという恐怖、
劣勢な日本、言葉も行動も、思想までお国のため、
そんな抑制された半狂乱な時代っぽく描かれていないのが
ぼく的に、リアリティに欠けて見えたのかもしれません。
でもこの作品を終戦記念日に観れてよかったと思いました。
斎藤幸子【作:鈴木聡 演出:河原雅彦】
パルコ・プロデュース
ル テアトル銀座 by PARCO(東京都)
2009/08/14 (金) ~ 2009/08/30 (日)公演終了
満足度★★★★
ああ、なんて清々しい気持ち
たぶん鈴木聡さんの、脚本の賜物と思われるのですが
何度も打ち寄せる波のように見所が押し寄せてくるリズム、
すごく心地いいのです。3時間という長丁場でも楽々観劇。
斎藤由貴さん、舞台役者としての動きはまだまだな感じも
否めませんがとにかく魅力的に描かれています。
キャスティングが個性派揃いで埋没するかと思いましたが
上手に持ち上げられ、主演「斎藤幸子」に収まってました。
ラストはよかったなあ。
ネタバレBOX
ネタバレではありませんが、本編とは関係ないのでここに。
休憩15分を挟む約3時間、15日はさらに20分の休憩を挟んで
約40分のアフタートーク、1400開場してから1800過ぎまでの
拘束時間。
そんな事とは知らず、1900スズナリの公演を観に行く予定を
入れていたので、アフタートークの途中で退席をしてしまい。
それだけが心残り。
赤ペン瀧川先生のエロメール添削
エロメールスライダーズ
座・高円寺2(東京都)
2009/08/04 (火) ~ 2009/08/04 (火)公演終了
満足度★★★★★
あ〜笑った
いつのまにかシークレットライブのほうもエントリーが出来てたんですね。瀧川先生にネタを提供したくて、面白いものを探してるんですが、なかなかありません。エロメールだけでなく、ブログのエロコメント、エロトラックバックっていうものもありますが、どれも「タダでできてラッキー」とか、ワンパターンなものばっかり。DVD化の次は書籍化してください。
雨の一瞬前(再演)
ユニークポイント
ザ・スズナリ(東京都)
2009/08/14 (金) ~ 2009/08/16 (日)公演終了
満足度★★★★
雨とは焼夷弾
タイトルの「雨の一瞬前」の「雨」とは、東京大空襲で無数に振り注ぐ焼夷弾のこと。
ストーリー、演出ともに、きわめてオーソドックスであったが、終戦記念日にふさわしい作品であった。
ネタバレBOX
朝鮮人収容所で、集団脱走を引き起こし、さらには、監視を殺害した朝鮮人と、日本人と朝鮮人のハーフで、通訳を勤める朝鮮人(?)の二人組が、本郷にある休業中に旅館に転がり込んだところから、東京大空襲までの数日を描いた作品。
テーマは戦争と、朝鮮人差別。それぞれのテーマについて、左右どちらかに偏ることなく、中立的に事実として描いている姿勢に好感を持った。
最初は驚きつつも、次第に、朝鮮人2人を受け入れる旅館を営む2人姉妹。姉から朝鮮人の存在を明らかにしないよう懇願され、いったんは了承しながらも、友人である前に、日本国民であることが優先されるべきと主張し、朝鮮人の存在を掲載に密告する出征者を夫に持つ女教師。軍人でありながらも、医師rとして、朝鮮人の治療に当たる軍医。そして、朝鮮人収容所で散々いたぶられたことが原因で日本人を強烈にうらみを持ちながらも、姉妹の暖かさに触れ、徐々に恨みが和らぐ朝鮮人。朝鮮人と日本人のハーフであることから、アイデンティティを確立できずにいる朝鮮人(?)
それぞれの苦悩をうまく描いた作品であると思う。
惜しむらくはもう少し、ひねりがほしかった気はするが、オーソドックスであるからこそ、伝えられるものもあるのではと気を取り直なおした。
ハッシャ・バイ
虚構の劇団
座・高円寺1(東京都)
2009/08/07 (金) ~ 2009/08/23 (日)公演終了
思い立って「ハッシャ・バイ」
鴻上さんの戯曲を読んでいたら、たまたまこの作品が上演中なのを知り、当日券で高円寺へ。ホントは「トランス」や「ハルシオン・デイズ」のような少人数のものを観たかったのですが。
「ハッシャ・バイ」も虚構の劇団も初見で何の前知識もなく観ました。
若い俳優さんたちが力いっぱい演じている姿がまぶしかったです。
舞台はなつかしいような、と思ったら初演は23年前だそうで、鴻上さんとは同世代でした。
夢と現と虚構と心象風景が何もない空間でめまぐるしく交錯する演劇のパワーを感じさせる舞台でした。
刺青/シセイ【ご来場ありがとうございました!!】
劇団印象派
タイニイアリス(東京都)
2009/08/14 (金) ~ 2009/08/16 (日)公演終了
満足度★★★★
谷崎の世界感を表現
谷崎潤一郎の「刺青」をモチーフにしながらも、新しい作品を表現。
ネタバレBOX
芸術家Sが突如、失踪。
失踪したSを探して、内縁の妻と、Sが金蔓としていた女、の二人が、それぞれ探偵を雇ってSを探す。
その過程で徐々に明らかになるSの遍歴と、そのSから逃れることのできない二人の女の物語。
Sが内縁の妻と出会ってから次々と姿を消していく、Sの昔の女たち。
果たして、昔の女たちの行方は?そして、Sの行方は。。。というストーリー。
谷崎のその後の作品性を決定続けたといわれる処女作「刺青」の倒錯した偏愛の世界観を残しつつ、まったく新しい作品に仕上げられた舞台はすばらしい。アングラの名にふさわしい印象的な舞台であった。
今回は、ダンスとのコラボがテーマであったとにおことであるが、ダンスは作品の進行との関連性がうかがえる部分もあった一方で、関連性が薄い部分もあり、課題を残していたように思う。
刺青/シセイ【ご来場ありがとうございました!!】
劇団印象派
タイニイアリス(東京都)
2009/08/14 (金) ~ 2009/08/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
劇団の名前どおりでした。
劇団印象派の公演は、印象派でした。
ネタバレBOX
舞台は棒が三本と絵が描かれた箱だけで、シンプルなセットだなぁと思いました。流れている音楽とスモークで妖しげな雰囲気がありました。
話はとてもおもしろく、最後まで楽しめました。
スモークと照明でシーンを演出していて、この劇団は印象派だなぁと思いながら観てました。所々で入るお笑いも良かったです。
しかし、ダンスと芝居は良く絡めていなかったように思いました。あまりダンスは必要なかったのでは?あと三本の棒もあまり活かせれていなかったように思いました。でもあの棒は紙テープをグルグル巻き付けるシーンの為だったのでしょか?あのシーンはとても好きでした。何かドキドキしました。
役者さんは皆さん良かったです。特に華澄美K役の役者さんが素晴らしかったです。今回の公演は最初から最後まで幻想的で妖しげな雰囲気があり、それを支えていたのは彼女の存在が大きかったように思いました。とても妖しげで美しくそして危険な香りがしました。
でも刺青はもっと綺麗な感じが良かったです。
最後のシーンは一番印象に残りました。カッコ良かったです。
今後の劇団の活躍に期待します。
イレギュラーweek ~Encore meet again~
dlb-EnterPrise 舞台演戯事業部 Do-リンク場
ぽんプラザホール(福岡県)
2009/08/14 (金) ~ 2009/08/15 (土)公演終了
満足度★★
乗せられてしまった
活きのいい役者に照明や音楽の迫力、ダンスまで見せてくれて、ノリは充分。
テンションは冒頭から落ちることなく一気にラストまで駆け抜ける。
鑑賞中はそこにある若さのエネルギーにうまく乗っていられた。
ネタバレBOX
けれど、その若さゆえの様々なウィークポイントが、鑑賞後、不満に形を変えて浮かび上がってきたものだからよろしくない。
とりわけ脚本の設定に甘さが目立つ。
ストーリーの開始点となる「試練」は、蓋を開ければただの“答え合わせ”でしかなく、実は誰も“問題を解く作業”はやっていない。
要は「死後一週間、誰かの記憶に残っていられるだけの人生」を歩んできていれば、何をするでもなく自然に生き返ることができる、って事でしょう。
その「誰か」を一人に絞ったり(親類は除かれる!)、それについてくる“特典”が実質“リタイヤ権”だったりすることに対して、別段、説得力のある説明はされない。
劇中の音楽業界の描写についても取材不足が露呈している。
本番一週間前にまだ人材の確保が済んでいなかったり、前座を交代させたり、プロデューサー1人の独断で中止になりかけたり、どれだけ小規模なライブなのかと。
そのカギを握るのが何の変哲もない一般女性という点も不可解。
友人2人ならまだしも、プロの世界にいるアーティストやプロデューサーに見初められるなんて、とんだ魔性の女っぷりだ。
ほかにもあるけど、これ以上書くと全否定だと思われそうなので止めておく。
彼らが描こうとしていたテーマは充分に伝わった。
鑑賞直後は星4つをあげても良かった。
そのうち2つ分は、どうやら魔法が解けてしまったようだ。
次は解けない魔法をかけてほしいと願う。
刺青/シセイ【ご来場ありがとうございました!!】
劇団印象派
タイニイアリス(東京都)
2009/08/14 (金) ~ 2009/08/16 (日)公演終了
満足度★★★
タピオカ。
あくまでも谷崎をモチーフ、ということでオリジナル性が強かったのが良かったんじゃないかと思う。
ネタバレBOX
雰囲気としては地球割さんに少し近いかなーと思うのでタイニイアリスでやる濃い口の芝居に慣れてる方にはあっさり楽しめる演出。
床を鉄棒でひっかく音がむぎゃーっと鳥肌が立つ私はその間耳をふさいでいたのですいません、部分的に台詞を聞いてません。
刺青を彫るシーンの顔を隠した踊り手さんの動き、紙テープを突き破って踊る際も赤い紙テープを選んで正解に思う。
個人的に1時間35分はやや長く感じて・・・最後の愛を語るシーンがくどかったのが勿体ない。
愛がテーマだからなのか大槻ゆかさんの振る舞いが昭和だったからなのか、海を連想しました。港町の場末の古い喫茶店の良さ。普通のコーヒー注文したらタピオカ入ってきたよ、みたいなちょっとアジアンな感じも。
劇団名の入ったノボリ?旗?あれは会場が見つけやすくて親切ですね。
マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人
DULL-COLORED POP
新宿シアターモリエール(東京都)
2009/08/14 (金) ~ 2009/08/17 (月)公演終了
満足度★★★★
140分
なのにあきさせない、ストレートなのに、翻訳劇風なのに、すげ
エブリ リトル シング '09
ネルケプランニング
天王洲 銀河劇場(東京都)
2009/08/10 (月) ~ 2009/08/16 (日)公演終了
満足度★★★★
いい感じの舞台でした^^
子供の役者については批評は避けるとして,愛と感動の奇跡の作品はちょっと言いすぎですが,なかなかいい感じの舞台でした。それぞれが独立のストーリーですが巧みに張られた伏線から全体が一つの作品に仕上がっています。お見事!エブリ編を観たのですが,リトル編も見たくなっちゃいました。観れないのが残念です。保田圭よかったですよ。
雨の一瞬前(再演)
ユニークポイント
ザ・スズナリ(東京都)
2009/08/14 (金) ~ 2009/08/16 (日)公演終了
満足度★★★
人が人と出会うには苦しい時代
偶然に人と人とが出会う。
始めて会う人たち、数十年ぶりに会う人。
出会った人たちのタイミングは、「時代」という理由のために、決して最良ではなかった。
なんでもない時代ならば、なんでもない出会いだったかもしれない。
人と人が出会って、何かが生まれ、別れていく。
別れてしまえば、二度と会えない。
しかし、それぞれの中に何かが残っていった。
それは、強く残ったものであった。
舞台ならではの、人がそこにいる、という実感。
とてもいいテーマと設定だと感じた。
ただし、どうも今ひとつ、のれない自分がいた。
ネタバレBOX
のれないのは、登場人物の行動に対する動機が、観ている側(私)に迫ってこないからだ。
例えば、旅館の女主人がなぜ、そこまであからさまに戦争を悪く言うのか、そして、なぜそこまでして旅館を再開させたいのかが、わからない。
戦争によって、普段の生活が奪われてしまったことを憎んでいるのはわかるし、両親の残してくれた旅館を大切に思っているのもよくわかる。
しかし、時代背景から言うと、その想いが強すぎはしないか、ということだ。
20年ぶりに会った友人の心を傷つけてしまうほど、戦争を嫌だという気持ちがあったり、逃げてきた朝鮮人たちを使ってまで旅館を再開したいというのは、常軌を逸しているとしか思えないのだ。
もちろん、本当に戦争を嫌だと思っている人は大勢いたと思うのだが、相手がどんな考えなのかもわからないのに(なにしろ20年ぶりに会うのだから)、自分の主張を述べたり、警察に追われている朝鮮人たちを匿うだけでなく、彼らを使って旅館を再開させようとする行動は、簡単には納得できない。
たとえどんなに大きな旅館であったとしても、姉妹2人住まいの家に、見知らぬ男性2人がいて、仕事をしているのは近所でもわかるだろうし(薪割りまでさせているのだから)。
そういう行動をとるのはなぜなのか、匿うことを決意したのはなぜなのか、ということをもっときちんと観ている側に納得させてほしかった。
困っている人がいたから助けた、ではすまない時代と設定だと思うからだ。
女主人の妹の犯す殺人もそうだ。姉を助けるために果物ナイフが都合良く置いてあったから、刺してしまいました、では納得できない。
姉を助けたい一心はわかるのだが、普通に暮らしている女性が、たとえ戦時下という状況であったとしても、めった刺しまでするだろうか? たとえ、それがしょっちゅう家に押し掛けてくる嫌な相手であったとしてもだ。
普通の女性が、殺人までしなくてはならない理由がわからない。
そもそも、妹に殺人をさせる物語の意図もよくわからない。
そして、朝鮮人を匿っていることを警察に密告する女教師の行動もわからない。
20年ぶりとは言え、かつての友人が見なかったことにしてくれ、とお願いしているにもかかわらず、簡単に密告してしまう。
友人として、匿っている理由ぐらいは訊ねるのではないだろうか。普通はその上で、密告ではなく、まずは説得しようとするのではないだろうか。
30後半の年齢で、まさか戦場に行かされると思っていなかった夫のことを、まるで侮辱されたように感じたから、あるいは、教師という職業柄させた行動なのだろうが、それでもなぜそうしたのかを理解させてほしかった。言葉では「いろいろ考えたが」とは言っていたが、それは伝わってきてないと思うのだ。
女教師がスカートだったのもちょっと気になったし。
そして、戦時中の緊迫感をなぜ感じないのだろうと考えてみたが、それは、空襲があるにもかかわらず、灯火管制を一切しておらず、電灯が明々と点いていることだ。せめて、それぐらいはするべきだったのではないだろうか。女主人の主義主張はともかくとして。
同居しながらの交流は、歌や言葉を教えたりというシーンで少しは垣間見られたのだが、もう少しそこのところが欲しかったと思う。
いろいろ書いてみたが、そういう意味では見入っていたのだと思う。だからこそ、いろいろと丁寧に描いてほしかったのだ。
「物語」の「ストーリー」ではなく、「深さ」を感じたかった。
3月10日の大空襲がラストの山場になるのだが、たぶん旅館のある本郷界隈は焼け残ったのであろう。あえて残った本郷を舞台にしたのは、なにもかも焼けて灰になってしまうのではないように、すべての罪も消えてなくなってしまってはならないのだ、というメッセージであるととらえた。
つまり「戦争はすべて奪い去ってしまう」のと同時に、重いモノを確実に残していく。そしてそれを消し去ることはできない。
なんでもない普通の平和な日に出会ったのならば(戦争なければ出会わなかったということもあるが)、こんな不幸なことは起きなかっただろうし、妹に殺されてしまった男も戦争に行ったことで人が変わってしまい、命を縮めてしまった。
日本人に憎しみを強く抱いている、チョン・ヨンサンが、ラストで「日本の歌を覚えたい」と言った台詞は、救いであると思った。