天国までの百マイル
劇団文化座
THEATRE1010(東京都)
2009/10/13 (火) ~ 2009/10/14 (水)公演終了
満足度★★★★★
安男さん がんばれ
文化座のお芝居はいつも安心して観ていられる。
落ちぶれてしまった安男さんが、重い心臓病の母をおんぼろのワゴン車で最高の医者のいる病院へ連れていく。
途中はらはらさせられるが、無事到着、手術も成功。
安男さんを陰で支えていた、まりさんとの別れ。
ダメ男を演じた 米山さんとっても良かったです。
また、マリさんも いつもの佐々木愛さんとは違った本当にかわいい女になっていて笑えました。
安男さん 頑張ってください
カムパネルラ
Oi-SCALE
SAI STUDIO komone(東京都)
2009/10/08 (木) ~ 2009/10/13 (火)公演終了
満足度★★★★
意外!
「残された人間/ジョバンニ」を観ました。Oi-SCALE は数作品観ましたが、今回が一番好き。どこかの片田舎の不良たちのその後、的な世界を描く劇団かと思ってましたから。まさか宮沢賢治の世界を描くとは。そしてそれがここまでしっかりきっちり出来上がるとは。題材の意外さと、Oi-SCALE らしい映像や照明の使い方がぴったりマッチして、一気に観ることができました。
ネタバレBOX
銀河鉄道の夜は大昔に読んだっきりで、正直そんなに覚えてないくらいのまま観ました。だからそれを堪能といった形では楽しみは少なかったかもしれないのにも関わらず、すごく素敵な世界に浸れたんです。
まさかOi-SCALE に素敵、っていう形容詞を使うとは。
サークルの顧問が亡くなり葬儀のために集まった仲間が、そこに向かう途中で事故で亡くなり、一年後にその道のりを再度たどっていく。事故当時と一年後がクロスし、収束していく。
絡んでいく過程に並ぶエピソードやアイテムがいとおしい。傘やりんごといったモノたち。
林灰ニさんの世界が俄然気になりました。時間さえあったらもう一方も絶対行ったのに。ちょっと悔しい。
河童橋の魔女
劇団ジャブジャブサーキット
ザ・スズナリ(東京都)
2009/10/07 (水) ~ 2009/10/11 (日)公演終了
満足度★
う~ん。。。
初見でした。
長く続いている劇団のようなので、期待して行きましたが、、、
ネタバレBOX
古くさいというか、
色んなパーツパーツがどこかで見たことある、みたいな。
各キャラも、魅力がない上に設定がぼやけているというか。
話が、見えなかった部分が見えてきてもスッキリしないし、
最後の再会のシーンも、久しぶりな感じられずに『?』みたいな。
残念でした。
世田谷カフカ
ナイロン100℃
本多劇場(東京都)
2009/09/28 (月) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★
正月気分
千秋楽に見てきた。ケラの芝居は劇団健康がナイロン100℃に変身してまもないころから見出したので、エチュードをやりながら作ったという今回の作品は、なんとなく昔のやり方にもどった感じがする。最近の作品から入った人は戸惑ったりするのでは?
ネタバレBOX
基本的にはカフカをメインにしたコント集っ感じ。はじめと終わりに劇団員3人が登場して、一応メタフィクションのような体裁になっている。冒頭では村岡希美、廣川三憲とともに、若手の水野顕子が自分の不条理体験を椅子に腰掛け、客席に向かって、世間話ふうに語った。廣川が語る稲荷の本尊、キツネかタヌキかのエピソードなどはその後もネタとしてまた出てきた。
若手の水野は抜擢という感じで使われていたが、彼女の鼻にかかった声が誰かに似ているとしばらく考えているうちに、12月にこの本多劇場に出演する麻生久美子の声だと気づいて、ようやくモヤモヤがすっきりした。
中盤、彼女がこの芝居の台本を持って自分の部屋で稽古するうち、デブの彼氏と喧嘩別れする場面が面白かった。
そこへ友人の植木夏十がやってきて、人形芝居を始めるようすをなぜかカメラが捉えて、下手のスクリーンに大写しする。
舞台の様子をライブでスクリーンに映すというのはときたま見かけるけど、ケラの作品ではひょっとしたら初めてかもしれない。
映像といえば、序盤のダンスとの合成が凄かった。個人的にはあそこがこの作品のハイライトといってもいいくらい。後半も楽器を奏でる人間に直に映像を重ねて面白い効果を出していた。この部分だけを切り取って、コンテンポラリーダンスのショーケースである「吾妻橋ダンスクロッシング」に出してもきっとウケルだろうと思う。
今回はカフカの長編を題材にしているということで、小説の内容を舞台に再現する場面もあったし、中村靖日の演じるカフカ本人も登場した。しかしそうした場面は雰囲気が暗めで、衣裳も黒っぽく、肝心のカフカの小説の面白さが充分に伝わっているとは思えなかった。
ちなみに、私のカフカ体験は、小説は虫だけのクチ。「城」と「審判」は舞台や映画を見て大筋は知っている。ウチにカフカの短編全集というのが積読の状態で置いてあるので、この芝居を機にできれば読み始めたいと思う。
この日の座席はN列だった。本多劇場はD列とE列の間が通路になっているが、ここと客席後方へ延びる二つの通路が、演技スペースとしてたびたび使われた。通路に展開した役者たちが少年王者舘の芝居を思わせる群唱で、宮沢賢治の詩「雨にもマケズ」のパロディをやったのが可笑しかった。食べた野菜はたしか4キロだっけ?
本多劇場で芝居を見る場合、経験的にE列以降を選ぶようにしているのだが、(A~D列は段差がないし、そもそも舞台に近すぎる)、今回の芝居ではそれが大いに幸いして、むりやり体と首をひねって見るという苦労をせずにすんだ。あれも一種の不条理だと思う。
以上、思いつくままに感想をだらだらと。
最後にひとつ、客演の横町慶子は何年ぶりかで見たが、そのナイスバディは健在だった。
CHICAGO THE MUSICAL
TBS
赤坂ACTシアター(東京都)
2009/10/01 (木) ~ 2009/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★
最高!!!
やっぱりミュージカルはいいなぁ~
プロの中の選ばれたプロのダンスと歌に惚れ惚れ~
良席だったので、表情や体の筋肉までよく見えて
素晴らしかった!!
唯一字幕が両サイドだったので、見ると舞台が見えなくなり、
しょうがなくセリフは感覚で聞くことに。
あらすじはわかっているので、問題なかった♪
ネタバレBOX
ヴェルマも良かったけど、ロキシー(ビアンカ・マロキン)の愛らしさが
素晴らしかった!(人殺して愛らしいもないけど 汗)
映画のゼルウィガーも可愛かったな~~
唯一の日本人キャストの大澄賢也は外人の中では小さく見えるけど、
存在感があって素晴らしかった。
ど真ん中にオケを配置する斬新さに驚いた。
彼ら(指揮者やオケ)も演技に使っていたところが面白かった。
世田谷カフカ
ナイロン100℃
本多劇場(東京都)
2009/09/28 (月) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
レベルが高すぎ
面白かったし、3時間寝ることもなく夢中になって見たんだけど、
北九州でみたその他の変種と違う意味でわけわからず、
たぶん、カフカは『変身』?だっけ?(ムシになるやつね)しか読んだことが
ないのが一番のネック。つまり自分の勉強不足なのだろう。と
でも『審判』『城』『失踪者』ともに未完だというのが不思議。
普通1作づつ仕上げるのではないんだろうか。
三宅さんと村岡さんが印象に残った。
てか出演者多いっ
赤と黒【脚色・演出:赤澤ムック】
avex live creative
赤坂RED/THEATER(東京都)
2009/10/01 (木) ~ 2009/10/11 (日)公演終了
満足度★★★★
貴族なのに庶民的
貴族の気位の高さを表す衣装や帽子、靴などがひどく滑稽だったし、
ジュリアンの牧師を表す黒の衣装の下に赤のシャツというのも
ひどく対照的でおかしく、とにかく衣装に目を奪われた。
ときどき象徴的にやってるファッションショーの撮影の様子が
楽しい。
格調高く・・・はなかったけど、ひきつける赤澤演出だったと思う。
ネタバレBOX
熊本のきららのようなポップな演出に非常に惹かれた。
主演の木村了は初々しくて良かったが、こもったセリフはちょっと
なじめなかったかな。でも鏡の中の彼(上山竜司)は上手でかけあいが
良かった。レナール夫人のやわらかそうな感じはマチルドと対比が
あって実に上手い使い方だった。
ここは小さいけど、きれいでしゃれた劇場だった。
『プルーフ/証明』 『心が目を覚ます瞬間~4.48サイコシスより~』
DULL-COLORED POP
サンモールスタジオ(東京都)
2009/10/07 (水) ~ 2009/10/13 (火)公演終了
満足度★★★★★
祝福されたる未来の証明
ほとんどイスとテーブルぐらいしか何もない舞台で4人芝居。2時間半。音楽の使用も最小限だ(というかあったか?思い出せない)。そんなんじゃ、ふつうはもたない。空間的にも時間的にももたない。もちろん出演者が、寺島しのぶとかなら別だが、小劇場程度の人間がいくら出てもふつうはもたない。が、もたせた。そこがすごい。そして、あの世界がもった理由。それは、ひとえに、清水那保。そこにつきる。
僕は「小部屋の中のマリー」からしか谷さんの芝居を観ていない・・・あ、柏でやったロミジュリが一番最初か・・・まあダルカラを観たのは「小部屋の中のマリー」からなので、清水さんを観たのもそれからなのだが、僕は不思議な感慨をもっていた。
・・・谷さんは劇団の主演女優・清水那保をうまく使えていないんじゃないか・・・という感慨。
「小部屋の中のマリー」のマリーはハマリ役のように見えるが作りものな感じがどこかある。それはブランヴィリエ侯爵夫人も同じ。清水さんの芝居には常に作りものの感覚があった。谷賢一の要求水準(演技の要求水準ではなく物語にかかわる「存在」としての要求水準)があまりにも高いため、清水那保ががんばって背伸びをしているという感じが常にあった。
しかし、『プルーフ/証明』のキャサリン役。
今回はどんぴしゃりと過不足のないハマリ役になったと言っていい。
数式でいえば「キャサリン=清水那保」だ。
ネタバレBOX
(中略)
わからないが、谷賢一は、劇団活動を休止するギリギリにして、はじめて清水那保を100%使うことのできる演目を見つけることができたのかもしれない。nを無限大に飛ばした。これは偉大なことだ。毎回自分を100%出したり、他人を100%使えたりしているなんて思うバカは死んだほうがいい。自分が自分であることに人は迷い続ける。だが谷賢一はついに清水那保を発見した。あなたがあなたであることを示した。これはすごいことだと思う。最後のギリギリにそんな演目を間に合わせることがシャレている。谷賢一らしい。
清水那保=キャサリンという発見、その僥倖によって、ダルカラの、今後あるかないかわからない未来は輝かしいばかりに照らし出されることになった。だから僕たちは安心して谷賢一を、そして清水那保を待つことができる。今回の作品『プルーフ/証明』の成功こそが、彼らの祝福されたる未来のなによりのproof/証明なのだから。
第63回東京都高等学校演劇コンクール地区発表会
東京都高等学校演劇連盟
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/10/11 (日) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★
都立青山高校「モンタージュ」~はじまりの記憶~
ある公園で2人の老女が会話をしている。片方の老女は昔の思い出を楽しげに語っていた。しかし、もう片方の老女は語られる思い出すべてを覚えていなかった。それどころか、何を思い出しても嘘のように思えてしまうと言って・・・。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
鈴木瑞穂(1年)と篠本雪乃(2年)の二人芝居。
この二人の会話が絶妙でひじょうに素晴らしい作品だった。
作・高泉順子・伊沢磨紀とあるから、ふたりで本を作ったのだろうか・・?
とにかくものすごい才能だと思った。
舞台の始まりは椅子に腰掛けた老女2人のシーンから。
この設定でも篠本の老婆っぷりが板についてる。笑
老女1は老女2に昔の記憶を話しかけるところから物語は始まるが、自分たちが住んでいた細い裏路地のパン屋の話は実におとめちっくだった。まるで絵本を読んでるような世界。
そのパン屋は狭い路地をカニ歩きでメロンパンを抱えながら入っていく。そんな歩き方をしないと狭い路地に入ることが出来ないからだ。メロンパンの入った箱を両手で持って顎で押さえながら入ると、パン屋は自分の周りにメロンパンを20個置いただけのちっさなパン屋だった。狭い路地でパンを売っているけれど誰も気がつかない。
この話を老女1は老女2に「先に私が貴女に教えたのに他のみんなに自分が見つけたみたいな話をしたでしょ?どうして貴女はいつもそんななのよ。昔っから貴女はそうだったわね?」と、かつての少女だった頃の回想シーンに移る。
その回想シーンではお互いの写真のこと、缶けりをして遊んだ記憶、少年と少女の淡い恋物語、お互いの家族のことなどを子供のようにお互いをいぢりながら描写していく。この二人の関係がいい。
少年と少女の恋物語では老女2は少年を好きだったのに、少年の気持ちに正直に答えられなかった記憶が蘇る。老女2は自分の気持ちとは反対に少年に『老人になったらここで逢いましょう。』と約束してしまった自分がいた。「何故あのとき、少年を好きだって言えなかったのだろう。ずっと後悔してた。いつも片意地張って素直になれない。そんな自分が嫌で嫌で、嫌なことはすべて嘘にしてしまいたかった。すべてを嘘にしてしまったら、そうしたら、自分が何処にも居ないんじゃないか?って思ったの。」と老女1に告白する。
そうして場面は最初のシーンに伏線を繋げ、お互いに老女たちは「貴女が必要なの。」とちっさい頃から友達でいた事に感謝する。そうして記憶を失ったこのように思えた老女2はかつて埋めた写真を掘り起こして、最初のお互いにお互いを楽しくいぢり合うシーンに戻る。
脚本も素晴らしいことながら、演じた高校生2人のタッグがよかった。
この年齢で老女独特の持つ風景や世界観を上手に描写し、また、過去に遡っての少女たちのシーンが素敵だった。
まるで映画の中のワンシーンのよう。
セットの配置を自分たちで配置していた為、暗転のなかバタバタと少し中断したが、それでもそんな事を払しょくしてくれる舞台だった。
お互いを楽しくいぢり合う姿はほのぼのとした空気感を演出しながらも笑いどころも満載で、セリフのセンスが良かった。
素晴らしい芝居をみました。
来年はもっと沢山の高校演劇を観たい。
案外、レベルが高いのにびっくりした一日でした。
余談:インフルエンザの為、学校閉鎖で公演中止が相次いでいます。ひじょうに残念!ちなみに評価は大人が公演してる舞台と同じように評価しております。ワタクシの中で高校生も大人も演劇人として同等と考えています。
第63回東京都高等学校演劇コンクール地区発表会
東京都高等学校演劇連盟
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/10/11 (日) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★
目黒高校演劇部「ザ・ヒューマンリニューアル」
2100年くらい、世界中の人々はあAタイプ・Bタイプに分かれる。
Aタイプは遺伝子操作による社会の中枢を担うエリートが人口の20%
BタイプはAタイプの下でおとなしく働く歯車、人口の80%
ちなみに2:8の法則はパレードの法則による。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
上記に記載したパレードの法則は優劣をつけると、例えば企業で働く社員の2割は有能で他の8割の無能な社員の給料を稼いでいるという仕組み。
だから、この2割のうち誰かが働かなくなると、代わりに8割のうちの誰かが有能ぶりを発揮して、この法則の数値は変わらないという。
世界の中枢にいる更生センターはBタイプの人々を管理していたが、近年、Bタイプの中でも特に落ちこぼてしまう人々が目立ってきた。センターでは落ちこぼれを更生させてうまく働かせようと、落ちこぼれの一人・只野を更生させる場面から始まる。
その更生の方法は「只野さん歌手デビュー」とか「只野さん2年計画」とかギャグみたいな計画。笑
しかし、演じてる彼らは大真面目で完璧なプログラムによる再生計画だという。劇の半分以上がコメディとして笑わせる、という様で、最後に只野さんと一緒にセンター職員アダチが同調してセンターを脱出する「脱出計画」も実はセンター側の只野更生計画の一つだったことが分かる。
この脱出計画でアダチはセンター側に捕まったと見せかけて、只野一人を逃がしたと思い込ませる事によって、センターを脱出できた自信と勇気を植え付け、ついでにアダチへの恩も植え付けた。というオチ。笑
舞台慣れしてないせいか、一部の生徒に棒読みセリフな演技があった為、ちょっと世界感に入れなかったのと、コメディとシリアスの境があいまいだった。
高校生がパレードの法則を引用するあたり・・どうよ?笑
余談:インフルエンザの為、学校閉鎖で公演中止が相次いでいます。ひじょうに残念!ちなみに評価は大人が公演してる舞台と同じように評価しております。ワタクシの中で高校生も大人も演劇人として同等と考えています。
世田谷カフカ
ナイロン100℃
本多劇場(東京都)
2009/09/28 (月) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
20091010
ン、)ノ カフカらしさは十分に出ていた。カフカが嫌いなら嫌いになる作品かもしれないしカフカが好きなら好きになる作品だと思う
蛮幽鬼(ばんゆうき)
松竹
新橋演舞場(東京都)
2009/09/30 (水) ~ 2009/10/27 (火)公演終了
私としたことが・・
早乙女太一のカレンダーを買うか否か、一瞬だけ迷った。
殺陣がダントツで魅せるし、想像してたより、声や台詞もずっと良かった。
立ち姿が全然違う。年季が違う。
太一様万歳。
切れ長の目に斬られました・・。
ネタバレBOX
豪華絢爛なのも最高に楽しいし、たまには大劇場もいいけど、自分にとっては本当に胸に刺さるのはやっぱり小劇場だなぁ、とも実感。
河童橋の魔女
劇団ジャブジャブサーキット
ザ・スズナリ(東京都)
2009/10/07 (水) ~ 2009/10/11 (日)公演終了
満足度★★
話の筋を語り過ぎて逆に不親切。
ミスリードなく、ちゃんと隙間を想像力で埋めさせる絶妙な語らなさ加減がこの劇団の持ち味だと思ってたのになぁ。101分。
ネタバレBOX
舞台だと視点の切り替えがない分、提示しすぎるとそれ以上の広がりもなくなってしまう。それがこの作品に深みを感じなかった一番の難点かと。
またキャラの方はもう少し個性を際立たせるくらい描いてもよかったんじゃないかと思うくらい。
流れとしてはほぼ動きのない前半は冗長すぎ。
本筋がしっかりしてない分、アムロのお面で遊びすぎたのがちょっとなぁ…。それと気になった点はアムロの場合レイは名字のハズ。分かってて台詞書いてたのかと思わせるそんな小ネタは必要だったの?
あとは演出の加減もあるんだろうけど、最近のジャブジャブの芝居ってキャラが物わかり
よすぎて、会話のテンポにすごく違和感を感じるようになってるのもマイナス要素。
アフタートークでもはせさんがご自身で似たようなことを言われてたので(全部出しちゃえ、みたいな)、もう少し苦労してでもちゃんと不親切な脚本を書いてほしかったなぁ。
それから、いくらアフタートークでも今回の作品が一番じゃないって作家自身が言うもんじゃないと思う。客はその一番じゃない創出作に対してちゃんとお金払って観に来てるんだから。
『プルーフ/証明』 『心が目を覚ます瞬間~4.48サイコシスより~』
DULL-COLORED POP
サンモールスタジオ(東京都)
2009/10/07 (水) ~ 2009/10/13 (火)公演終了
心が覚醒する瞬間に
命懸けで挑まれた一ことがひしひしと伝わってきました。
ネタバレBOX
開演前、シングルベッドで横になっている男と女。
ビートルズが流れてる。愛のうた。
時々キスをしたりじゃれあったりしている微笑ましい関係。
ふたりはまるで、シド&ナンシー。
午前5時。男は部屋を出る。
再生する記憶。
午前4時48分。
彼女の心が立ちあがる時刻。
それから1時間12分間、彼女は正気でいられるという。
彼は彼女の意識下の一番深いところにクリックする。
彼女と向き合うために。
恋人と担当医師を演じることを繰り返し、あらゆる手立てを使って交信するが
彼女の心はまるでピースのかけたパズルのように、どう組み合わせても完成しない。
よって、ピースの欠けた部分は彼自身が補うことになる。
客席に背を向けてデスクに向かいキーボードを叩く男。
ほほ笑む彼女のポートレートに笑いながらオモチャのピストルをぶっ放す男。
サイケデリックなグラフィックスが映し出される大型プロジェクター。
ざらついたロックンロールミュージックを時々、口ずさむ男。
酒を飲み、精神安定剤を飲み、頭を抱えてうなだれる男。
すぐにディレートされる、記憶の断片。
記憶が更新されていくテープレコーダー。
宙ぶらりんの”わたし”の告白。
崩壊していくアイデンティティ。
彼女は彼女自身が納得し、安心できる言葉を捕まえようと試みる。
彼女は自分自身に出会おうとする。
彼女は彼女が嫌いだ。
白い腕に自然な動作で引かれる無数の赤い口紅はリストカットを暗示する。
自分を傷つければ傷つけるほど、痛みに慣れ、強くなれるような錯覚。
血で塗り込められていく心の空白。
彼女は死にたい。
彼女は生きたい。
彼女は彼女と対峙する。
彼は彼女と対峙する。
彼は彼女を助けようとする。
彼は彼女を求めようとする。
彼は自分自身は救えない。
彼は彼女が投げる走り書きのメッセージを必死に追いかけて掴み取ろうとするが追いかければ追いかけるほど、心理的な距離感はどんどん遠ざかっていく。
彼らは理解し合うことを恐れ、欲していたが、
どんなに対話を続けても理解し得ないことを知っていた。
それでも理解し、愛そうとする彼の熱意が彼女を加速させたのか?
彼女は光の速さで燃え尽きた。
恐ろしいほどに美しく。
彼女の病室のベッドの窓からはうっすらと光が差し込んでいて
それはとても幸福そうな死に見えた。
これは、ある男がサラへ宛てた究極のラブレター。
でたらめに鉛筆で殴り書きしたデッサンがたくさん詰まったスケッチブックをいたずらに交換し合う真剣なお遊び。
本人ですらどんな思いで描いたのか説明できないようなぼんやりとしたそれらにわたしたちは共鳴し、恍惚し、熱狂する。
わたしたちはいつまでも彼らの物語を忘れない。
想いを抱えて、歩いていく。
そしていつの日か、いろんな色の油絵の具を塗りたくって、ゴージャスな額縁なんかに入れて、誰かのハートに飾るかもしれない。
わが星
ままごと
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2009/10/08 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
いたしかたない理由で千秋楽観劇
じっと見つめながら、自分が生きている喜びを実感できる希有な体験。
て
ハイバイ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2009/09/25 (金) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
2度目
2度目でわかったこともいっぱいあって。誘って一緒に観た友人にも満足してもらえました。北九州は岩井さんが出るんですね~、観たいな~。
TPT72 『血の婚礼』
TPT
BankART Studio NYK(神奈川県)
2009/10/03 (土) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★
非常に見づらい、興行主満足な作品
雰囲気を楽しむ作品でしょう
興行主と、そのセンスの相性がよければ・・・。
みなとみらいの景色をバックに決して気軽に仕事帰りに行けるような場所にはない(東京からですが)海沿いの倉庫、アングラ感溢れる何本もの柱が視界を遮るコンクリート向きだしで息苦しい空間、役者が空回りにエキセントリックな熱演を酔いしげにする芝居。
このエキセントリックさが、もろステレオタイプで、
見ていて本当に、不愉快極まりない。
「これがアートだわぁ」って思えればハッピー、
僕のように、なんか無性に鼻について居心地悪くなったらアンハッピー。
やろうとしていることは判るのですが、自分には合わなかった。
特に空間全体を使って作品感を出しているのだけど、半分は見えない席、
いわばステージシートのような配置なので、
大した芝居でもないのに緊張して観劇しなきゃいけない姿勢が
押し付けられます。
何度も上演されている戯曲なだけに「どうやって表現するのかな?」って視線でいやがおうでも見ざる得ない。それだけに舞台全体が見えないのは致命的。
フレッシュな役者?だから下手だけど一生懸命演じるのはわかりますが、いかにも熱演な芝居は、うっとうしい。
横浜の夜景と馬車道散策のデートのついでに、ふらっと見る分には、違和感ない作品。芝居だけを楽しみに行くと、好みが別れちゃって僕のように車中で後悔しながら帰るハメもありそう。
レ・ミゼラブル
東宝
帝国劇場(東京都)
2009/10/06 (火) ~ 2009/11/20 (金)公演終了
満足度★★★★
松田聖子は大スター
東京公演初日観劇
一番の思い出は2階貴賓室へ腕を組んで歩いていく松田聖子・神田正輝を偶然真近で見れたこと
いやぁ聖子ちゃんは大スターだね、オーラが違う!本当に可愛い、40代後半なんて思えない…♪ 舞台上のどのキャストと比べても
別格、華がちがう。
まっそれはいいとして
今回の配役の中では最も充実していると思われるキャスティングでの初日、平日の夜にも関わらず超満員の帝劇を包む緊張感が心地好い
そして内容も期待を裏切らない素晴らしい出来であった。多少の個人差やアンバランスな面もあったが、舞台を包む幸福感、アンサンブルも含め役者の一人一人が、この作品に出演出来ること、皆が誇りを持って演じている熱意が伝わり、観客も真意な姿勢で作品と向き合おうとするのだ。
ここが全く四季ミュージカルとは違う。
僕の場合は約20年にわたり15回程度、この作品を見ていますが、見る度に新たな感動が沸き起こります。自分が見る年齢や生活環境などで、見えなかった芝居の意味や感じ取れなかった歌詞の意味を掴み取れたり、また新たな解釈を持ったり…いやいや奥行きの深い作品です。
組曲虐殺
こまつ座
天王洲 銀河劇場(東京都)
2009/10/03 (土) ~ 2009/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★
井上ひさし、アッパレ
休憩を入れて3時間15分と、レミゼ並みの長尺の作品だが、
もっと長編で、改めて完全版として見たくなるほどの
充実度の作品である。
井上ひさし、アッパレである。
時間軸がわかりづらかったり、やはりこの作品を上演するに
銀河劇場のキャパは大きすぎたりはするが、
それを埋めるほどの本の素晴らしさである。
新作を量産している最近でも、出色の出来ではないか。
こまつ座オリジナルで紀伊国屋あたりで5000円で再演してほしい。
また見に行こう。
ネタバレBOX
長尺であっても、場数が多いわけでなく
一場が30分近くあると思うが、そのどれもが
力強い台詞と表現力で、少数精鋭で綴られる。
よくある一人が何役も演じるのではなく
登場人物自体が6人で、これだけ見応えある作品に仕上げるのは
なんとも素晴らしい。
キャストが優れているという訳ではない。
井上芳雄で小林多喜二というのが、企画のスタートらしいが、
ステレオタイプに演じる井上芳雄は、
「こまつ座の芝居って、こんな感じ?」って風情が感じられ、
かなり違和感がある。
そこを演出家の技であろう、必要以上に台詞を唄にして、
さながら音楽駅である。
井上ひさし作品は、唄を多用することはあるが、
今回は、さながら井上芳雄の独唱。
タイトルの「組曲」は、この意味か。
そのせいもあり、最後まで井上芳雄は井上芳雄、小林多喜二には見えない。
ホリプロ主催の商業演劇なので、仕方ないか。
石原さとみは、舞台の華ではあるが、
彩り程度の役割で、彼女の存在感や役割は、よく伝わらない。
芝居も唄も未熟なせいか。
さながら、ちらし寿司の紅しょうがが助六のバランである。
高畑敦子は、貫禄が出すぎ。
大女優感というか、豪快すぎて
姉としての陰影が見えない。
メインは、このようにキャストありきで来ているので
役柄とはあっていないが、
その脇の3人は素晴らしい。
山本龍二の、ルパン三世・銭型警部のようなシリアスとユーモラス感、
シルビアクラブに似ている神野の、肝が据わった安定感、
小市民ぶりな山崎のマスコット感、
しっかりと話の外枠を埋めて、がっちりと話の型を作っている。
えぐい部分はファンタジーに包み、
多喜二の陰の部分を前面に出してシリアス感はなく、
その部分は、少しスパイスとしてあったほうが
インパクトがあるのは、と思うが
お芝居だから、そんなに思想を押し付けるのも考え物だから
このくらいでいいのだろう。
黒米
劇団BOOGIE★WOOGIE
d-倉庫(東京都)
2009/10/09 (金) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★
えげつない最低の芝居
めちゃくちゃである。
コメディとかバラエティーとかパロディいう代物ではなく、単なる宴会芸。しかも見苦しい。
まぁ来ている観客も9割方お友達だから、手前味噌な内容のほうが楽しめのかもしれませんね。一般客からすると、呆れるのを通りこして、ラスト近くは不快感がありました。
春頃見た作品、ジョーカーがエンターテイメントとして完成度の高い作品だっただけに、こういう興行をするというのは、誠に残念。
同じ品のなさでもワハハ本舗とは質が違う
ファンクラブへのイベントで、身内だけで遊んでいてればいいんじゃないか。
これ以上 触れたくない。