世田谷カフカ  公演情報 ナイロン100℃「世田谷カフカ 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    正月気分
    千秋楽に見てきた。ケラの芝居は劇団健康がナイロン100℃に変身してまもないころから見出したので、エチュードをやりながら作ったという今回の作品は、なんとなく昔のやり方にもどった感じがする。最近の作品から入った人は戸惑ったりするのでは?

    ネタバレBOX

    基本的にはカフカをメインにしたコント集っ感じ。はじめと終わりに劇団員3人が登場して、一応メタフィクションのような体裁になっている。冒頭では村岡希美、廣川三憲とともに、若手の水野顕子が自分の不条理体験を椅子に腰掛け、客席に向かって、世間話ふうに語った。廣川が語る稲荷の本尊、キツネかタヌキかのエピソードなどはその後もネタとしてまた出てきた。
    若手の水野は抜擢という感じで使われていたが、彼女の鼻にかかった声が誰かに似ているとしばらく考えているうちに、12月にこの本多劇場に出演する麻生久美子の声だと気づいて、ようやくモヤモヤがすっきりした。
    中盤、彼女がこの芝居の台本を持って自分の部屋で稽古するうち、デブの彼氏と喧嘩別れする場面が面白かった。
    そこへ友人の植木夏十がやってきて、人形芝居を始めるようすをなぜかカメラが捉えて、下手のスクリーンに大写しする。
    舞台の様子をライブでスクリーンに映すというのはときたま見かけるけど、ケラの作品ではひょっとしたら初めてかもしれない。
    映像といえば、序盤のダンスとの合成が凄かった。個人的にはあそこがこの作品のハイライトといってもいいくらい。後半も楽器を奏でる人間に直に映像を重ねて面白い効果を出していた。この部分だけを切り取って、コンテンポラリーダンスのショーケースである「吾妻橋ダンスクロッシング」に出してもきっとウケルだろうと思う。

    今回はカフカの長編を題材にしているということで、小説の内容を舞台に再現する場面もあったし、中村靖日の演じるカフカ本人も登場した。しかしそうした場面は雰囲気が暗めで、衣裳も黒っぽく、肝心のカフカの小説の面白さが充分に伝わっているとは思えなかった。
    ちなみに、私のカフカ体験は、小説は虫だけのクチ。「城」と「審判」は舞台や映画を見て大筋は知っている。ウチにカフカの短編全集というのが積読の状態で置いてあるので、この芝居を機にできれば読み始めたいと思う。

    この日の座席はN列だった。本多劇場はD列とE列の間が通路になっているが、ここと客席後方へ延びる二つの通路が、演技スペースとしてたびたび使われた。通路に展開した役者たちが少年王者舘の芝居を思わせる群唱で、宮沢賢治の詩「雨にもマケズ」のパロディをやったのが可笑しかった。食べた野菜はたしか4キロだっけ?
    本多劇場で芝居を見る場合、経験的にE列以降を選ぶようにしているのだが、(A~D列は段差がないし、そもそも舞台に近すぎる)、今回の芝居ではそれが大いに幸いして、むりやり体と首をひねって見るという苦労をせずにすんだ。あれも一種の不条理だと思う。

    以上、思いつくままに感想をだらだらと。

    最後にひとつ、客演の横町慶子は何年ぶりかで見たが、そのナイスバディは健在だった。



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    2009/10/13 22:15

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