満足度★★★★★
祝福されたる未来の証明
ほとんどイスとテーブルぐらいしか何もない舞台で4人芝居。2時間半。音楽の使用も最小限だ(というかあったか?思い出せない)。そんなんじゃ、ふつうはもたない。空間的にも時間的にももたない。もちろん出演者が、寺島しのぶとかなら別だが、小劇場程度の人間がいくら出てもふつうはもたない。が、もたせた。そこがすごい。そして、あの世界がもった理由。それは、ひとえに、清水那保。そこにつきる。
僕は「小部屋の中のマリー」からしか谷さんの芝居を観ていない・・・あ、柏でやったロミジュリが一番最初か・・・まあダルカラを観たのは「小部屋の中のマリー」からなので、清水さんを観たのもそれからなのだが、僕は不思議な感慨をもっていた。
・・・谷さんは劇団の主演女優・清水那保をうまく使えていないんじゃないか・・・という感慨。
「小部屋の中のマリー」のマリーはハマリ役のように見えるが作りものな感じがどこかある。それはブランヴィリエ侯爵夫人も同じ。清水さんの芝居には常に作りものの感覚があった。谷賢一の要求水準(演技の要求水準ではなく物語にかかわる「存在」としての要求水準)があまりにも高いため、清水那保ががんばって背伸びをしているという感じが常にあった。
しかし、『プルーフ/証明』のキャサリン役。
今回はどんぴしゃりと過不足のないハマリ役になったと言っていい。
数式でいえば「キャサリン=清水那保」だ。