組曲虐殺 公演情報 こまつ座「組曲虐殺」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    井上ひさし、アッパレ
    休憩を入れて3時間15分と、レミゼ並みの長尺の作品だが、
    もっと長編で、改めて完全版として見たくなるほどの
    充実度の作品である。
    井上ひさし、アッパレである。
    時間軸がわかりづらかったり、やはりこの作品を上演するに
    銀河劇場のキャパは大きすぎたりはするが、
    それを埋めるほどの本の素晴らしさである。
    新作を量産している最近でも、出色の出来ではないか。
    こまつ座オリジナルで紀伊国屋あたりで5000円で再演してほしい。
    また見に行こう。

    ネタバレBOX

    長尺であっても、場数が多いわけでなく
    一場が30分近くあると思うが、そのどれもが
    力強い台詞と表現力で、少数精鋭で綴られる。
    よくある一人が何役も演じるのではなく
    登場人物自体が6人で、これだけ見応えある作品に仕上げるのは
    なんとも素晴らしい。

    キャストが優れているという訳ではない。
    井上芳雄で小林多喜二というのが、企画のスタートらしいが、
    ステレオタイプに演じる井上芳雄は、
    「こまつ座の芝居って、こんな感じ?」って風情が感じられ、
    かなり違和感がある。
    そこを演出家の技であろう、必要以上に台詞を唄にして、
    さながら音楽駅である。
    井上ひさし作品は、唄を多用することはあるが、
    今回は、さながら井上芳雄の独唱。
    タイトルの「組曲」は、この意味か。
    そのせいもあり、最後まで井上芳雄は井上芳雄、小林多喜二には見えない。
    ホリプロ主催の商業演劇なので、仕方ないか。

    石原さとみは、舞台の華ではあるが、
    彩り程度の役割で、彼女の存在感や役割は、よく伝わらない。
    芝居も唄も未熟なせいか。
    さながら、ちらし寿司の紅しょうがが助六のバランである。

    高畑敦子は、貫禄が出すぎ。
    大女優感というか、豪快すぎて
    姉としての陰影が見えない。

    メインは、このようにキャストありきで来ているので
    役柄とはあっていないが、
    その脇の3人は素晴らしい。
    山本龍二の、ルパン三世・銭型警部のようなシリアスとユーモラス感、
    シルビアクラブに似ている神野の、肝が据わった安定感、
    小市民ぶりな山崎のマスコット感、
    しっかりと話の外枠を埋めて、がっちりと話の型を作っている。

    えぐい部分はファンタジーに包み、
    多喜二の陰の部分を前面に出してシリアス感はなく、
    その部分は、少しスパイスとしてあったほうが
    インパクトがあるのは、と思うが
    お芝居だから、そんなに思想を押し付けるのも考え物だから
    このくらいでいいのだろう。

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    2009/10/13 12:44

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