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春の海

春の海

世田谷シルク

シアター711(東京都)

2010/04/08 (木) ~ 2010/04/11 (日)公演終了

満足度★★★★

故郷といえる場所
人口200人そこそこのむつじ村にはむつじ川が流れ、そしてむつじダムがある。そして、その景色を映すように後にそびえ立つむつじ山。
そんな田舎での物語。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

いつものように多面的な場面を同時進行させるのが「世田谷シルク」のカラー。今回も1990年の一年間と現在、そして2019年の未来をどう繋がっていく物語なのかを断片的に交差させて魅せる。

物語は8年前にダムの底に沈んでしまった「むつじ村」が当時はどんな生活様式だったかを「実験教室」を通して教師らと子供たちとの関わりあいで上手に機能していたことを物語る。教師と生徒の会話が実に愉快な芝居だった。テンタとマサキの二人が面白い。そして子供を脅す教師のキャラクター。笑
毎回の如くビデオを早送りするみたいなコミカルなダンス。あれって水の中の生き物なんだろうか?タツノオトシゴみたいな・・。笑

一方で8年前は生徒だった彼らの現在の様子も、炙り出す。現在はフリーでドキュメンタリーを作ろうとしている遠藤。そのドキュメンタリーのターゲットを「むつじ村」にしようと考えたことから、様々な思いや意見が浮き彫りになる。

舞台が終わってみれば「自分たちの故郷」を考える正当な芝居だったような気がする。その表現の方法がテクノ的で斬新なだけだ。故郷の両親や都会に出て行った家族、残された者とそこでの生活。それらを直面からではなく、こっそりと斜めから描写したような舞台は、たぶん、後からじわーーっと記憶に残る。



CALLING

CALLING

Neo Mask

吉祥寺シアター(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

かっこいい
柳生十兵衛と八犬伝を上手く絡ませたストーリー。
広い舞台を使い切った殺陣。
影絵シルエットによる演出。
所々に織り交ぜるギャク要素。
固くなり過ぎず、中弛みもせずに楽しめた舞台でした。

ネタバレBOX

観終わった後に素直に『面白かった!』と言える舞台でした。
一つの舞台として纏まっていたので、観終わった後にスッキリします。
とても広くとった舞台で繰り広げられる殺陣はカッコよかった。
くの一のお二人と和唐成功さんの殺陣がお気に入りです。
それぞれの立場や生き方や、思惑が絡み合って芝居としても楽しめました。
BloodTYPE(ブラッドタイプ)

BloodTYPE(ブラッドタイプ)

山下幼稚宴

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2010/04/03 (土) ~ 2010/04/11 (日)公演終了

満足度★★

ミュージカルコメディ?
確かに歌って踊るし、随所に笑いどころを織り交ぜてはいたけれど、ちょっとどっちつかずの中途半端さを感じてしまいました。
『一生懸命』が全面に出ていて好感は持てました。

ネタバレBOX

登場人物が多いので、それぞれにキャラ立てをしようという試みなのでの『あだ名』だろうけど、無理矢理感が否めなかった。
名を現わすようなパフォーマンスが薄いように感じました。
キャストの演技力差や歌の得手不得手が透けて見えてしまって、アンバランスなところが気になりました。
ドタバタのタイムトラベル物としては王道だし、辻褄の合わなさを勢いで乗り切ろうとするのは好感が持てました。
ミュージカルとして心に残る曲が無かったのが残念。
ドライビング エンゼルフィッシュ

ドライビング エンゼルフィッシュ

劇団6番シード

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2010/04/08 (木) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度

「コメディ」とは何か。
この作品が【「圧倒的!」「徹底的!」なコメディ】だと思う方はどれだけいらっしゃるのかと少々疑問を覚えてしまいました。とにかく「笑いたい」、そういう気持ちで拝見しに出かけたのですが…一度も声に出して笑えず…申し訳ないのですがガッカリというのが正直なところです。例えばこれが「ファンタジックコメディ」とかの‘うたい文句’でしたら、僕もきっと楽しめたのではないかな…と思います。舞台装置とかスケールは感じたんですが…う~ん…自分の思うコメディではなかった、という事でしょうか…。

ミツバチか、ワニ

ミツバチか、ワニ

あひるなんちゃら

駅前劇場(東京都)

2010/03/04 (木) ~ 2010/03/08 (月)公演終了

満足度★★★★

微妙にズレて可笑しい会話
主人公が彼女との今後を占ってもらおうとしたら占い師が頼みもしないのに「ミツバチかワニ……アナタの前世」と告げるところから始まるユルさ満載のコメディ。
基本的には下手のテーブル(占いの館)と上手側のテーブル(主人公の部屋)を交互に使って演じられる(そういえば舞台の中央を使わないのが新鮮)ので非常にわかり易く、フクザツなことなど考えずにただひたすら微妙にズレて可笑しい会話に笑っていればイイという。
「芝居として演じていること」を一部の登場人物が知っていて、設定上はいないハズの観客に「その人は出てきませんから」と断ったり、劇中人物に「そこは壁があるんだからちゃんとこっちを通って」とツッコんだりするのも好み。

汝、知り初めし逢魔が刻に・・・

汝、知り初めし逢魔が刻に・・・

project☆&p2

笹塚ファクトリー(東京都)

2010/03/03 (水) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

休憩なし160分余もさほど長く感じず
平安期、相手が鬼とは知る由も無く愛し合った姫が息子を産み落として十数年、領主(?)を恨む里の者たちや権力の座を狙う者の様々な思惑や欲が絡んだ物語、かつてしゅうくりー夢が上演した(未見)ものを当時出演していた田中精の演出(出演も)で、という企画、バカな男たちのカッコ良さ満載なのがいかにも松田脚本な感じ?
また、シンプルな勧善懲悪の物語ではなく、前述の如く複数の要素が絡み合っているのでドラマに厚みがあり観応えたっぷりなのも松田チックか。
だもんで初演時は誰がどの役だったか推測しながら観る楽しみもアリ。
さらに今まであっちやそっちでよく観て面識もある方々が出演されており、その顔合わせ(直接の絡みがないケースもあったが)も楽しんだし、松元環季の背がコハナ時代よりかなり伸びているのを見て「そういえばそういう年頃だよねぇ」などと親戚の子供へ向けるような目線になったり…(笑)
そんなこんなで休憩なし160分余もさほど長く感じず。

もう一回の、乾杯。

もう一回の、乾杯。

空晴

劇場HOPE(東京都)

2010/03/02 (火) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

まぁるくてやわらかくてあったかい
「式」の当日、親戚たちが集まっている家のベランダにイトコたちが出入りしているが、そのうちの1人は他の皆からは見えていない様子で…なシーンから始まるホーム(厳密には「レラティブ」?)コメディ、今までの作品中で一番笑える部分が多い感じ。
もちろん終盤ではホロリとさせられて「まぁるくてやわらかくてあったかい」その作風はいつも通り。
妻から代理出席を頼まれたが「式」が慶事なのか弔事なのかわからず、さらに「ごろう」が周囲の人々に見えているのかいないのか悩む「とりい」(←登場人物6人の中で唯一血の繋がりがない)はそのまま観客の疑問を体現しており、設定の勝利で上手い。
そのあたりで存分に笑わせつつも、終盤で「とりい」に白いネクタイを貸す「いつき」とか、終盤で明かされる(冒頭のシーンで)「しょうご」が紙を凝視している意味とか、心が「ほわん」とあたたまるのがまたイイ。
そんな内容を盛り込みつつも80分という手頃なサイズにまとめているのも巧く、σ(^-^) にとって好きな女性劇作家(兼女優)って、「東ササミネ、西オカベ」かも。いや、イキオイで書いているので「あ、あの人もいた!」なんてこともありそうだが…。(←たとえばふっこさんとか)

猫丸先輩の演劇

猫丸先輩の演劇

O-MATSURI企画merrymaker

ザ・ポケット(東京都)

2010/03/03 (水) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

満足度★★★★

脚色としても見事
倉知淳の原作(未読)を元にした短篇連作、オープニングエピソード(五十円玉二十枚の謎)に導かれての3編の短篇(空中散歩者の最期・猫の日の事件・寄生虫館の殺人)とそれらの合間に演じられる連続もの的なもう1編(日曜の夜は出たくない)という構成や探偵役の猫丸先輩を演じるのが各編でそれぞれ別人というツクリが独特で面白い。
さらにプロローグ以外の部分を劇中で(それも中野にある劇場で)上演されている芝居と明かした上で、「プロローグでの猫丸(=劇中でのリアル猫丸)」がそれまでの疑問点を指摘するエピローグ…というより最終エピソードが秀逸。メタフィクション的なものって好きなんだよなぁ。
実は原作ではそこんところど~なの?と思って後から立読みでナナメ読み(爆)したら、原作もそうなのね。ただ、原作では芝居ではなく小説という設定なのだけれども。
ちなみに「寄生虫館…」の謎解きで、点検中で使うことができないエレベーターを使ったトリックでは?と思いながらも実はそうではないのがひっかかっていたので「あ、やっぱり!」的なヨロコビもあり。
そんな部分に加えて、倉知淳の小説家デビューのキッカケとなった「五十円玉…」をオープニングエピソードに持ってきたり、「猫の日…」では猫を半ば擬人化しつつ役者に演じさせたりなど、脚色としても見事。

笑う女。笑われる男FINAL

笑う女。笑われる男FINAL

BIG FACE

シアターX(東京都)

2010/02/24 (水) ~ 2010/03/03 (水)公演終了

満足度★★★★

いわば「老舗の松花堂弁当」
両国らしき町の商店会のオジさんたちが東京国際マラソンに出場しようとする下町人情系コメディ。
内容的には決して意表を突くような展開はないものの老獪(爆)…もとい、円熟味のある作品で、いわば「老舗の松花堂弁当」。オーソドックスなネタを少しずつ取り合わせつつ、そのそれぞれに老舗ならではの味がある、な感じ。
全体の流れとか場面構成はもちろん、それぞれの家族(従業員も含む)の会話シーンにちりばめられた笑いなども実に巧み。
また、出演している女優が昨年完走しており、それをそのまま劇中に取り入れ(といっても劇中人物が、という設定だが)その完走祝いの宴会場面から始まって彼女に刺激を受けたロートル(失礼!)たちが「来年はオレも走るゾ」という導入部や、出演者が今年の大会で実際に走るなんてセミ・ドキュメンタリーな部分もあるのがユニークだし面白い。
しかも大会前日まで・当日・翌日以降で3バージョンあるということだし。
(当日と翌日以降は、当日に撮った大会の映像が加わり、前日までのものに「映像特典:もうひとつのエンディング」的な部分が附加された模様)
さらに、終盤で破乱もありつつ、親子ネタ(また弱点を突かれてしまった)を含めてすべてが丸く収まる結末もうまく出来ていて、ホントに巧い。

トマトのいろは

トマトのいろは

SPINNERS

劇場MOMO(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/11 (日)公演終了

満足度★★★

観てきました!
松本紀保さんを目の前で拝見。

トマトジュースがおいしそうでした。

ネタバレBOX

トマト農家のビニールハウスに隣接した喫茶店が舞台。カメラマンになりたくて、母の死後家を飛び出した姉が8年ぶりに帰ってきて起こる日常の変化を描いた話。

娘が家を出た後で、「娘の大好きなトマト」という名のトマトを栽培し始めた父親のくだりはちょっといい話でした。

隕石が落ちたと騒いだり、停電が起きたりしてSFっぽくなるのかと思いきや、願掛けの対象として扱われたに過ぎません。

自分の意志で家を出た娘です。けんかして家出したわけではなさそうです。法事にも帰っていたようです。

自立した人間が心に迷いが生じ自信を無くしたものの、弟夫婦と話し自信を取り戻すというのがテーマです。自立した人間には願掛けで仲良くなるなんてことは似合いません。

町長が反対派にど突かれてよろめいて怪我をしたと知らせるシーンも、あんなに泣き叫ぶほどのことでしょうか。

一つ一つのシーンで、何か少し大げさで、空回りしているような感じがしました。
The Heavy User

The Heavy User

柿喰う客

仙行寺(東京都)

2010/02/27 (土) ~ 2010/03/02 (火)公演終了

満足度★★★★★

今回もその手法に舌を巻く
勤務中に突然自殺した女性の母に、娘の同僚だったと名乗る女性から「自殺ではない」という電話が入るが、それには時々ノイズが混じっており…という状況から始まるサスペンスホラーで今回もその手法に舌を巻く。
フランス公演作品の事前お披露目ということもあってか、まずカタカナのカンペを読んでいるような(笑)英語の挨拶から始まり、それを直す「リピート・アフター・ミー」的な2人のやりとりに他のメンバーがコーラスのように加わってリズムを形成し、「言葉のSTOMP」みたいだな…と。
そうして始まる本編、電話に入るノイズを会話をする2人以外の全員が声で表現して、その音の感じに『呪怨』などのジャパニーズモダンホラーを連想。
それはそのまま前半の物語に漂う雰囲気にあてはまり、事情聴取をした刑事も…なんて、モロに『呪怨』(笑)(あ、いけね、あっちのネタバレか?)
が、ノイズの正体というか、自殺させたモノの正体が明らかにされる後半は、実体を持たない意識生命体が登場するSF小説のオモムキ。
それに「自ら命を絶つ行動をする生物は人間だけである」なんてことも絡ませて、あっちもこっちもσ(^-^) の好きな要素取り合わせ、みたいな。
あ、「怪奇大作戦」や「BLACK OUT」に似たニオイもあるか?
また、冒頭の「言葉のSTOMP」以外にも「ソロとコーラス」的な手法が時折挿入され、それはある時は芸能山城組のパフォーマンスあるいはそのバックグラウンドであるバリ島のケチャを想起させ、ある時は「言葉(台詞)による交響楽(※)」のようで、これも面白い…ってか好きなんだな。
※ 提示したテーマ(台詞あるいは言葉)をソロやトゥッティ、カノンなどで奏し、他のテーマなどが出てきた後に再現したり、変奏したりなんてのが似ている
そんなワケで、アフタートークの質問でσ(^-^) のいきなりのシンプル・クエスチョン4連発は以下でカッコ内は回答。
1.清水崇作品などジャパニーズホラーはお好き?(NO:但し知っている)
2.芸能山城組は御存知?(NO)
3.ではバリ島のケチャは?(研究した)
4.交響曲はお好き?(交響曲というかオーケストラが好き)
質問と言えば「これまでの内容も踏まえてタイトルの由来を」という締めに相応しい質問も良く、それに対しての「女性からワタシのドコが好き?と訊かれるのと同様一番難しい」という回答も言い得て妙。
そのアフタートークでの話によれば、前回の海外公演作品『恋人としては無理』では「身体の模倣」を、今回は「言葉の模倣」「耳からの伝播」をテーマにしたとのこと。

機械城奇譚【当日券あり!1時間40分です】

機械城奇譚【当日券あり!1時間40分です】

少年社中

劇場MOMO(東京都)

2010/02/26 (金) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

満足度★★★

「オトナのための童話」なオモムキ
壊れて役に立たない機械が大半の店に、深夜、店主と知り合いらしき女性が呼び出され、店主の言うことには深夜0時を過ぎると機械たちが人間のカタチになり動き出す…という導入部からの物語。
もともとファンタジー要素が強い上に今回は「アナザーワークス」と銘打っており、通常の冒険系ではなくメルヒェンっぽい味わいも加えた感じ。
午前0時を過ぎると…という設定に「おもちゃのチャチャチャ」を連想したこともあって「オトナのための童話」なオモムキ?
が、女性の正体が明かされる中盤からは一転。序盤に出てきた「今夜、死ぬ」という店主のメモがクローズアップされ、そういえば呼んだ理由も店の品たちのその後の依頼であったし…なんて思っていたら、一旦明かされた女性の正体が覆されてさらに新たなフェーズに入るという。
ここで記憶障害の人物のために芝居を繰り返すことに劇団離風霊船の『どいつもこいつも!』を連想しつつ、毎夜繰り返してきたループから新入りによって抜け出すハナシか、とようやく全貌を理解。
がしかしビターな結末を迎え、時計が時間を戻してくれないので自ら0時前を再現するラジオが切ない。
ではありながら、最終的には優しく…いや、必ずしもそうとは言い切れないか、「希望を残す」の方が的確か、な終わり方なので安心。

上海バンスキング

上海バンスキング

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★

若手バージョン的なものでも上演して欲しい
よくもこれだけのメンバーが集結したモンだ。まさに奇蹟?
それだけに一部若い頃のシーンで登場した時に笑いが起こったり、設定年齢に見えなかったり、そうでなくてもロビーコールで間近に見たら「老けたなぁ」な方もいたりするワケで…(笑)
考えてみるとファイナル公演当時、大半のメンバーは現在のσ(^-^) より若かったハズで(自分も含めて)時の流れというものをヒシヒシと感じる。
そんな作品だけにステージ上・客席ともに同窓会みたいな?(笑)
あるいは往年の人気バンドの再結成コンサート的な?(演奏シーンもあるので、それじゃほぼまんまか…)
で、一部新たな部分や改変された部分アリ。
新たな部分は「あの日の**」という役名で7人ほど装置の2階部分(これも新設)や舞台の端で進行を見守っている役者がいること。これが衣裳やメイクによっていかにも登場人物の若い頃に見せていて○。
一説によるとメインの役者に「万が一のこと」があった時の保険でもあるそうなんだそうだけれど、さもありなん。(その日の配役は上演1時間前に決定するそうだし)
改変は以前あった舞台横の「クラブの客席」がなくなったこと。
これはクラブの場面での臨場感的なものが欠けるし、リクエストを出すシーンがわかりにくいし、「海ゆかば」で兵士がかけつけるのも客席通路を走ってくるので不自然(『HAIR』で警官がかけつける場面を連想)だし、なんだかなぁ…。
とはいえ、声高ではないながらもジワリと反戦を訴える内容、終盤の幻想シーンの切なさ、演奏そのものの楽しさなどやっぱりイイものはイイ。
が、ムリにオリジナルメンバーにこだわるのではなく、若手バージョン的なものでも上演して欲しい気がする。

二人の高利貸しの21世紀

二人の高利貸しの21世紀

イキウメ

キッド・アイラック・アート・ホール(東京都)

2010/02/16 (火) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★

こんなにも違うのか、的な
1,000万円という巨額の回収(しかも現金)を終えた2人の高利貸し(というより取り立て屋的な感じ)の中篇(50分程度)会話劇、チェルフィッチュ(未見)の岡田利規が前世紀末(←こう書くと大袈裟だな)に書いた戯曲を前川知大が脚色し、演出は各チーム(A~Dの4つ)の出演者自身が行なうという企画で、女性のみ(B:岩本幸子、伊勢佳世)と男性のみ(C:森下創、窪田道聡)ということだけでなくガラリと違った味わい。
同じ台本を使いながらも人物のキャラが違っているのはもちろん、小道具の札束まで違っている(広告などを使ったものと色画用紙(?)を使ったもの)し、オリジナルは男性2人なのだろうが、部分的に女性の方が合っていたりもするし、もうこんなにも違うのか、的な。
やはり「テキストに直球勝負」というA(浜田信也、盛隆二)、男女ペアのD(緒方健児、加茂杏子)も観るべきだったか。(通し券6,000円なんてのがあったら観たな、きっと)
また、前説も他チームのメンバーが行う趣向で、Bは緒方健児がBチームから客に宛てた手紙を読み、Cは盛隆二が自ら描いたCの二人の似顔絵(けっこう上手い)を披露するという…これも楽しい。
そんな内容といい、「ひみつ(←平仮名なのがミソ)集会」的な小規模の会場(笑)といい、何となく「ファンクラブイベント」のようなオモムキもアリ。
なお、会場は11年前に劇団SEINの『MIDNIGHT RADIO STATION』(あぁ懐かしや!)を観に来た後に改装(新装?)されてギャラリーっぽく(実際ギャラリーもある)なっており…。

好きよキャプテン

好きよキャプテン

Theatre劇団子

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2010/02/24 (水) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★

テッパンなネタな上に好みのストーリー
高校時代のボート部の面々が同窓会で30年ぶりに顔を合わせて回想する高校時代…という定番中の定番、テッパンなネタな上に好みのストーリーなので135分の上演時間もアッという間。
それに加えて中心となる'80年にはシッカリ物心がついていたので、「アレは80年の出来事(やヒット曲)だったか」などと回顧に耽る。
(本編で曲が流れたりはしないが、ザ・リリーズも30年くらい前のアイドルだということに今更ながら気付いたりも…)
また、練習台を4台並べての最後の練習の見せ方(劇中でも練習台を使っている設定)に『ペダルをめっちゃ漕ぐ』のレースシーンの演出の原点も見る。
さらにその背後の壁に水面の映像を投影する演出に敷村良子原作(もちろん読みましたとも!)、磯村一路監督の『がんばっていきまっしょい』(98年)のクライマックスシーンが重なって「久々にアレもまた観てみようかな」(DVD所持)とも思う。
で、劇団SEIN時代から贔屓の田澤佳代子が08年4月の『トレジャーのある街 '08』に引き続き外国人キャラなことにニヤリ…。
あと、冒頭で母から同窓会に代理出席を頼まれている女性が終盤で登場してメッセージを代読するのも上手い。
…ってなワケで満足度高し。

『世界の終わり』を囲む短編

『世界の終わり』を囲む短編

Minami Produce

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★

各編ごとに「原典との距離」「接点の多寡」が異なる
全6編のエピソード、プロローグとなる「世界の終わり」(#1)と全体を締めくくる(エピローグというには長い)「幸せな結末」(#6)は両コースで上演、それに挟まれる2編が変わるというスタイルで、各編は芥川龍之介の短篇を「サンプリング」しているが「原典との距離」「接点の多寡」はそれぞれ異なる。
先に観たAコースではまんまとダマされ「ループするようにも、パラレルワールドのようにも解釈できる」「ドグラ・マグラ的な入れ子構造?」「原作の翻案・オマージュというより “その精神的な部分をベースにした” ってこと?」などと誤読(笑)する。
が、Bコースで内容を把握。南主宰と話したところによればそれでも全貌は読めていないそうだけれど、自分なりには納得。
世界の終わりの直前、天使に採用された男が「天使の実地試験(あるいはOJT)」としてパラレルワールドでのいくつかのケースを処理する中、姪が原因で迎えそうになる終末を防ぐ、というのがσ(^-^) の解釈だが、いかが?>ご覧になった方々

夕焼けとベル

夕焼けとベル

カムヰヤッセン

インディペンデントシアターOji(東京都)

2010/04/03 (土) ~ 2010/04/11 (日)公演終了

満足度★★★

ふーむ
おもしろくないわけではなく

かといっておもしろいというわけではないが


期待はできるのでは


無頼の女房

無頼の女房

劇団東京ヴォードヴィルショー

紀伊國屋ホール(東京都)

2010/04/03 (土) ~ 2010/04/11 (日)公演終了

満足度★★★

熱い舞台だが・・・。
坂口安吾をモチーフにしたらしき無頼派作家の塚口圭吾(佐藤B作)とその妻(あめくみちこ)の物語。
なのだが、周辺のエピソードが盛りだくさんで、タイトルにある「無頼の女房」にはフォーカスが絞り切れていなかったように感じた。

ただし、舞台の上の熱演は観客席にも伝わってきて、約2時間の上演時間であったが、集中して観ることができた。

ネタバレBOX

無頼派の作家、塚口圭吾は、睡眠薬と覚醒剤、さらに飲酒で身体を壊しつつある。
彼の自宅には常に編集者がたむろし、原稿を待っている。
彼は、その編集者を伴って飲み歩いたり、2階から飛び降りるという奇行を繰り返している。
彼には、妻と呼べる女がいる。彼女は塚口の作家としての能力に惚れている。

塚口の友人である作家の谷、お手伝いとその夫、太宰治を模したであろう豊臣治(やはり無頼派の織田の名前にかけたネーミングか?)という、塚口と同じ無頼派の作家、塚口の恋人の妹などが彼の周りで様々な騒動を引き起こす。

そんな中で、塚口は妻が妊娠したことを告げられる。

浮き足立つような、舞台全体を覆うテンションの高さがあった。それは塚口圭吾の常に躁状態のようなテンションが全体を引っ張っているようだった。
それには悪い印象はないが、やや一本調子に感じてしまうのも否めない。

熱い舞台であったが、これを東京ヴォードヴィルショーの舞台として観たときに、私としては、もっと「人」への深みがほしいと感じた。さらに「笑い」ももっとほしいと感じたのだ。
ユーモアの中の人間の哀しさとか、暖かさみたいなものを、東京ヴォードヴィルショーには期待しているからだ。
道学先生ではどのように上演されたのだろうか。

大勢の登場人物がいて、キャラクターの明確さで、それぞれのアウトラインがくっきりしていたが、中心となる登場人物の内面までは、あまり掘り下げられることはなかったように思えた。

みんな味があって、いいんだけどね。

例えば、塚口の遠い親戚である大橋は、物語の本筋にはあまり絡んでこないのだが、彼の内面には何か陰があるように感じた(兵隊に行かなかったエピソードが噂として語られるのだが)。ラストで塚口のもとを去るということが唐突に告げられるのみなので、観ている側としては消化不良である。

また、塚口本人にしても、奇行で無頼派の体面を無理して保っているように見えるのだが、その内面にもあまり踏み込んでいかないのだ。

一番気になるのは、タイトルにもなっている『無頼の女房』である、その無頼の女房、塚口の妻の、心の動きのようなものがつかみきれないのだ。
中盤のいろいろなエピソードのときに、妻はとくに役割を果たさないので、その間がないこともあろう。
この描き方によって、中盤からラストにかけては、もっとぐっときたりしたのではなかったのだろうか。

さらにラストだが、唐突にくる破滅はいいのだが、やはり、このストーリー展開ではこれしか締め方がなかったのだろう。
そういう意味では、それを裏切るようなラストがほしかったと思う。

妻と塚口の関係を鮮やかに見せていなかっただけに、単なる子煩悩となった塚口の印象を残しただけのラストへの引き際にしか見えなかったのは残念であった。
感情の緩急が後半にはややあるものの、全体的にあまりうまく醸し出されてなかったということだろうか。

とはいうものの、登場人物たちのテンションの高さに嫌悪感はなく、逆に役者たちの熱さで、面白く観ることができたのは確かだ。

☆は、大好きな東京ヴォードヴィルショーに期待したものとのギャップがあったので、やや辛めになった。
いつか失くした心のカケラ

いつか失くした心のカケラ

ぱるエンタープライズ

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2010/03/30 (火) ~ 2010/04/04 (日)公演終了

満足度★★★

もっとコンパクトに
できたのではないかと思います。
ダンスの意図がイマイチわかりませんでした。。。
オープニングのダンスは長かったですね。そこでちょっと気持ちが離れてしまいました。
赤ちゃんが産まれそうになるくだりはなくてもよかったような気がします。
でもところどころにぐっとくるセリフがありました。
結構笑いが起きていたと思うのでもっと泣けるシーンが強ければよかったかなと思います。

通し狂言 四谷怪談忠臣蔵

通し狂言 四谷怪談忠臣蔵

松竹

新橋演舞場(東京都)

2010/04/01 (木) ~ 2010/04/23 (金)公演終了

満足度★★★

新感線で観てみたい演目
猿之助一門の歌舞伎、久しぶりでした。
以前は体型まで、猿之助さんそっくりだった右近さんが、少しスッキリされて、歌舞伎役者としての華が増した気がしました。
元々、忠臣蔵外伝である、「四谷怪談」と、「仮名手本忠臣蔵」をうまくドッキングさせて、スピーデイに見せる演出手腕は見事でした。
何しろ、仮名手本は大序から4段目あたりまでが遅々として進まず、通し上演の時など、必ず睡魔に襲われ、かなり居眠りしても、まだ由良之助は着かず、塩冶判官と一緒に「由良之助はまだか」って言いたくなりますもの。(笑)

でも、忠臣蔵の方が巧くスピーディだった反面、四谷怪談の方は若干モタモタした印象がありました。

忠臣蔵と四谷怪談、どちらも一度は観てみたいという歌舞伎初心者にはおススメですが、演目の味わい深さには欠けるので、何度も両演目ご覧の方は、肩透かしを食うかもしれません。

これにもっとエンタメ要素を加味したら、新感線でやったら、とても良さそうな気がしました。途中から、この役はじゅんさんとか、これは粟根さんとか、勝手に脳内キャスティングして観ていたら、妙に楽しくなりました。

ネタバレBOX

何故か、新田義貞の霊まで出て来たり、いつもは敵役の定九郎がいい人だったり、四谷怪談の伊右衛門が、討ち入りの時は、師直の配下の小林平八郎に改名していたり、かなりとんでもない話に変わっている部分もありながら、本軸は、両方の演目の流れから逸脱していなくて、なかなか趣向が楽しい作品でした。
一幕の幕切れの両国橋の花火が綺麗!!普通の歌舞伎では見ない演出でした。
忠臣蔵がスピーデイに巧くまとまってわかりやすかったのに比べ、四谷怪談の方は、やや役者さんの動きがぎこちなくて、次の場面のための仕込みが客に気取られる箇所が何度か目に付き、気になりました。一番おかしかったのは、お岩が、後で自分の首が刺さって死ぬための刀を、懸命に柱の穴に突き刺していたこと。喜劇じゃないんだからと突っ込み入れたくなりました。
門之助さんと笑也さんが良かったなあと思いました。

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