満足度★★★★★
今回もその手法に舌を巻く
勤務中に突然自殺した女性の母に、娘の同僚だったと名乗る女性から「自殺ではない」という電話が入るが、それには時々ノイズが混じっており…という状況から始まるサスペンスホラーで今回もその手法に舌を巻く。
フランス公演作品の事前お披露目ということもあってか、まずカタカナのカンペを読んでいるような(笑)英語の挨拶から始まり、それを直す「リピート・アフター・ミー」的な2人のやりとりに他のメンバーがコーラスのように加わってリズムを形成し、「言葉のSTOMP」みたいだな…と。
そうして始まる本編、電話に入るノイズを会話をする2人以外の全員が声で表現して、その音の感じに『呪怨』などのジャパニーズモダンホラーを連想。
それはそのまま前半の物語に漂う雰囲気にあてはまり、事情聴取をした刑事も…なんて、モロに『呪怨』(笑)(あ、いけね、あっちのネタバレか?)
が、ノイズの正体というか、自殺させたモノの正体が明らかにされる後半は、実体を持たない意識生命体が登場するSF小説のオモムキ。
それに「自ら命を絶つ行動をする生物は人間だけである」なんてことも絡ませて、あっちもこっちもσ(^-^) の好きな要素取り合わせ、みたいな。
あ、「怪奇大作戦」や「BLACK OUT」に似たニオイもあるか?
また、冒頭の「言葉のSTOMP」以外にも「ソロとコーラス」的な手法が時折挿入され、それはある時は芸能山城組のパフォーマンスあるいはそのバックグラウンドであるバリ島のケチャを想起させ、ある時は「言葉(台詞)による交響楽(※)」のようで、これも面白い…ってか好きなんだな。
※ 提示したテーマ(台詞あるいは言葉)をソロやトゥッティ、カノンなどで奏し、他のテーマなどが出てきた後に再現したり、変奏したりなんてのが似ている
そんなワケで、アフタートークの質問でσ(^-^) のいきなりのシンプル・クエスチョン4連発は以下でカッコ内は回答。
1.清水崇作品などジャパニーズホラーはお好き?(NO:但し知っている)
2.芸能山城組は御存知?(NO)
3.ではバリ島のケチャは?(研究した)
4.交響曲はお好き?(交響曲というかオーケストラが好き)
質問と言えば「これまでの内容も踏まえてタイトルの由来を」という締めに相応しい質問も良く、それに対しての「女性からワタシのドコが好き?と訊かれるのと同様一番難しい」という回答も言い得て妙。
そのアフタートークでの話によれば、前回の海外公演作品『恋人としては無理』では「身体の模倣」を、今回は「言葉の模倣」「耳からの伝播」をテーマにしたとのこと。