丸ノ子ちゃんと電ノ子さん
芝居流通センターデス電所
「劇」小劇場(東京都)
2010/04/14 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★★
パンパカパーンを待ちわびて
表現者になりそこなった人生であっても、表現者であることにしがみつくしかないだろう無意識にでも。「私」と「あなた」のための、やさしさ渦巻くファニーでブラックな舞台。
単純なのに本質を掬いとる言葉の説得力。思わずうならずをえない場面が多数。
演技や技術的な面で引っかかるクセやラストの方に物足りなさが残ったので☆4を付けたが、観客に提示していたものに対しては☆5を付けたい。
おたふく・氷解
劇団芝居屋
ザ・ポケット(東京都)
2010/04/13 (火) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★
劇団のコンセプトは素敵!言うだけなら簡単ですね…
「わかりやすい」をどのように捉えているんだろう。
ブラッド・ブラザーズ
東宝
THEATRE1010(東京都)
2010/04/17 (土) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
拍手は嘘をつかない!!!
本当に、素晴らしい舞台でした。
皆さん、本気で拍手し続け、普通なら、それで終わりだった筈のカーテンコールが、何度もありました。
昨年、クリエで観た時は、演出も何だか腑に落ちませんでしたし、舞台を台無しにするキャストがいたため、愕然とする出来栄えでしたが、今回は、その2人のキャストが変わって、安崎さんと杜けあきさんになったので、本当に見違えるような素晴らしい作品に生まれ変わっていました。
今日が初日で、これから、日本全国の公演後、東京に戻るような雰囲気でしたから、是非是非、多くの演劇ファンの方にご覧頂きたい公演です。
田代、藤岡コンビは未見ですが、武田、岡田コンビの演技が賛辞の言葉が足りないくらい素晴らしいので、私としては、このお2人の方をおススメします。
楽曲も、ストーリーも、舞台セットも、とにかく、申し分のないミュージカルです。
最終的には悲劇ですが、本当に、人間が良く描かれているし、役者さんの演技が秀逸で、幼い頃のシーンは、笑いの絶えない作品です。
鈴木亜美さんも、キュートで素敵でした。
ネタバレBOX
東京キッドブラザーズの公演は観ていないものの、ジャニーズと歌穂さんの公演と、昨年のクリエで、今まで、4回程、観ています。
ストーリーの結末を知っているので、最初から、笑いつつ、泣いてしまうの連続でした。
30代の武田さんと、40代の岡田さんが、登場すると、どうしても、7歳のやんちゃな男の子にしか見えず、二人の、微笑ましいまでの、やり取りが、愛おしく、切なく、ずっと1幕を観ていたい思いでした。
2幕では、14歳から、成人する頃まで、お2人と亜美さんが、舞台の上で、無理なく成長して行く様を体現され、本当に、その演技の素晴らしさに、何度も胸が熱くなりました。
2人の兄サミー役の、伊藤明賢さんもいいし、杜けあきさんの、ライオンズ夫人が、これまた秀逸。
ナレーター役は、私の観た中では、一番適役の安崎さんで、安心して観られましたし、金さんのミセス・ジョンストンも、若いTSUKASAさんより、母親の哀切さと、肝っ玉の太さが混在する難役を演じきれていた気がします。
クリエでは、ラストシーンがあまりにもわざとらしくて、白けましたが、今回は、それ程の違和感がなく、感動的でした。
クリエの時より、楽曲が減ったり、展開もスピーデイになったようで、作品の緩急の度合いも、見事な配列でした。
今まで、あまり好きでなかった、演出のグレン・ウォルフォードさん、ちょっと見直しました。
本当に、可能な限り、たくさんの方の目に触れてほしい舞台です。
松山流
シガラキ
RAFT(東京都)
2010/04/16 (金) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
面白い
一人芝居は難しい
一本でもそうなのに四本
旨い構成でつないでいた
また是非観たい役者さんだ
四畳半襖の下張り
外波山文明ひとり芝居一座
RAFT(東京都)
2010/04/13 (火) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
素敵
なんてチャーミングで色気のある方なんだ
次は役者してる友人を連れて行きたい
仕事休んで観た甲斐がありました(笑)
「悲しくない?」 ~真珠色の連鎖(ネックレス)~
劇団40CARAT 【第36回公演『ダーリン×ダーリン×ダーリン』9月15日[金]~9月17日[日]阿佐ヶ谷アルシェ】
アトリエフォンテーヌ(東京都)
2010/04/16 (金) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★
初見でも地下ライブの感じ
40CARATの芝居は、初見でしたが、生バンドのライブと効果音とアングラ地下演劇の匂いがあってよかったし、花山らもさん演出ぶりは、まさに鬼才でした。
ユダ勘定
ウラダイコク
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2010/04/15 (木) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★
コメディとは程遠い!
まいったなぁああ、こんなにつまらないとはツユ知らず。殆どがウケナイ会話劇。観れば解ります。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
前説からシーン!!状態。関係者だけが笑ってる。なぜ関係者と解るのか?って突っ込む人は居ないだろうと思う。これだけの観劇数があるのだから、会場に来ている役者の大体は網羅している。プライベートだから声をかけないだけだ。
序盤、12人の使徒達はイメージするシーンから入るが、この場面でもウケナイ。シーン!! 「お客さんは私が何をするかまったく理解できていない。完全においてけぼり~。」っつうセリフがあるのだが、まったきそのとおり!客を果てしなく延々とおいてきぼり~~状態!ワタクシ、途中で帰ろうかと思ったくらいの本の酷さ。キャストの演技うんぬんより、コメディと自称するならもっと勉強して欲しい。
物語は最後にどんでん返しがあるが、これがちょっと、ををっ!?と目を見張ったぐらいで殆どが客席に居る事が苦痛だった芝居。
『ハチクロニクル』 (公演終了)
劇団鋼鉄村松
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2010/04/16 (金) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★
マジでハチクロなんだ…
うーん評価が難しいわこの作品。
作風としてはシュールなんだよね。
意味不明っちゃ意味不明なんだけど、筋が通ってるようにも見える。
台詞は詩的なんだけど訴えてくる手法がくだらない。
飽きたわけではないんだけど、心を掴まれたわけでもない。
つまらなかったわけではないんだけど、面白かったわけでもない。
それでも舞台上でおこるすべての事象を私は観察したわけで…
これは集中していたということなのか??
知的好奇心が満たされていたのかしら。
とりあえず脚本家は頭いいんだろうなぁと思う。
でも作品に寄り過ぎな感じがした。
もっとオリジナリティ欲しかった。
版権ものの許可関係はどうなってるんだろう?
ネタバレBOX
ばぐちゃんの衣装ちょっと考えた方がいい。
ぴったりしたカップ付きタンクトップみたいな。
綺麗な丸すぎる明らかな偽ラインの乳がくっきり浮いちゃってて、
下品な嫌らしさになっちゃってたよ。
せめて前ファスナー閉じたらどうでしょう?
洗濯機な兎と、キクチさんかわゆい。
今宵、宇宙エレベーターの厨房で【ご来場誠にありがとうございました。】
隕石少年トースター
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2010/04/16 (金) ~ 2010/04/19 (月)公演終了
満足度★★★★
初めての観覧
この劇団のお芝居は初めて見に行くので、どんな感じなのかとあらすじ・説明を見ると、「摩擦熱や無重力を利用した料理のフルコース。地上では起こり得ないトラブルの降るコース。月へ向かう厨房は、料理人たちの戦場と化す。」とあり、
宇宙や料理に関して難しい内容設定だったら面白くないかも・・・なんて思ってました。
映画の始まりのようなオープニングでググっと興味を引き付けられました。
宇宙の設定はどこかで仮説を聞いた事があるもので、料理も難しいものではなく、難しそうな話になると説明のようなセリフが有るし。
どんどん引き込まれていきました。
宇宙人の方の動きがず~っと気になりました。
告白の結果が気になったので、最後に声だけの出演でいいのでハッピーエンドの結果があったら良かったなぁと思います。
凄く楽しかったです。
「悲しくない?」 ~真珠色の連鎖(ネックレス)~
劇団40CARAT 【第36回公演『ダーリン×ダーリン×ダーリン』9月15日[金]~9月17日[日]阿佐ヶ谷アルシェ】
アトリエフォンテーヌ(東京都)
2010/04/16 (金) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
初日
いつものように同じ場所で観劇させていただきました!ぶっちゃけ可愛すぎだぞ!そして今回の作品は『哀』が似合う綺麗な感じでしたね♪まあ〜ダメ出しをいえば『お尻が痛い』だね(笑)
ピースピットVOL.11 『MOTHER』 緊急追加公演 in HEP HALL
ピースピット
HEP HALL(大阪府)
2010/04/16 (金) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
奇跡の追加公演
お金を払わせて二時間、食べも飲みもトイレにもいけないようなところに友人をつめこむのはとても勇気がいる。私が面白くても他の人が面白いとはかぎらないしそれが観劇初心者ならなおのこと。それでもどうか見てくださいって思わせるような舞台。
観劇になれていればちょっとチケット代損したり外れを引くのも慣れるかもしれないけど、でもこれは舞台を見ない人にこそ見て欲しい。これを傑作と呼ぶのだと思う。
キャストと脚本を追加しての公演、蛇足を心配しなかったわけではないけれどまったくの杞憂。本当に素晴らしく、すごくなった。應典院で見たあれよりももっともっとすごいことになった。この追加分、見ることのできない人のためにぜひDVDにしてほしい。
『ハチクロニクル』 (公演終了)
劇団鋼鉄村松
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2010/04/16 (金) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★
証明は完結したのか?
当劇団初見。
あらたしい数学の定理を発見した気鋭の数学者。
彼と彼の友人の愛読書は「ハチミツとクローバー」であるという。
ふとしたことから、その数学者は、「ハチミツとクローバー」の世界観を証明すると言い出し。。。
役者陣では、バグちゃんを演じた南部久美子の怪演と、それと対照的な振る舞いを見せた岩出茉莉のコントラストが面白かった。
ネタバレBOX
そこに絡むのが11年受験に失敗している浪人生(「ハグ」ちゃんならに、「バグ」ちゃん)。
数学者とその友達、浪人生とその友達がハチクロの世界を体現すると言うストーリー。
名前こそ聞いたことがあるものの、ハチクロの内容を知らない私にとっては主題を十分に理解するにはいたらなかった。
少なくとも、ハチクロの世界観を私に証明することができなかった。
もう少し内容を整理し、一般受けするように改定することができないだろうか?
その一方で、会話はウィットに富んでおり(本編と関係のないギャグではなく、あくまでも本編上の会話)、クスクスと小さな笑いをこらえるのに苦労するほどであった。
脚本の緻密さは十分に理解できたので、もっと分かりやすい、かつ、主題のはっきりした会話劇を組み立ててはどうか?
次回作に期待したい。
ユダ勘定
ウラダイコク
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2010/04/15 (木) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★
裏切りの果てに
当劇団初見。
イスカリオテのユダのキリスト裏切りに着想を得た本作。
気鋭の演出家の元に、次回公演のオーディションに集まった12人+2人の「役者」。
しかし、演出家にはある思惑が。。。
ネタバレBOX
演出家はスポンサーが下りてしまったことで資金繰りに困り、公演を中止せざるを得ない状況に追い込まれる。
しかし、売り出し中のかれは、自分の名前に傷をつけたくない。
そのため、かれはオーディション参加者の中に、自分の意向を反映して動く裏切り者(ユダ)を送り込む。
その裏切り者は、参加者が相互に不信感を抱くように悪巧みの仕掛けをする。
そして、その悪巧みが完結しようとしたそのとき。
良心の呵責にさいなまれた裏切り者が実はオーディション参加者に事の顛末を伝えており、演出家は逆裏切りを受けることとなるというストーリー。
コメディーなのか、トラジェディーなのか、はたと迷ってしまった。
ストーリー自体はトラジェディーなのだが、ところどころ(というか相当)本編と関係のない、笑いがちりばめられる。
しかし、その笑いがまた独特のもので、爆笑する観客が一部入る一方で、多くの者は沈黙。。。
ストーリー自体は悪くないので、もっとトラジェディーとしての精度をあげてはどうか?
次回作に期待したい。
八百長デスマッチ/いきなりベッドシーン
柿喰う客
タイニイアリス(東京都)
2010/04/15 (木) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★★
切れと豊かさの両立
初日を拝見
両作品ともに、
圧倒的に研がれた表現だからこその
豊かな軽さがあって・・・。
舞台にあるものが
拡散せずにすべて観る側にやってくる。
個々作品の上演時間の短さが
まったく感じられない充実に
目を見張りました
ネタバレBOX
・八百長デスマッチ
二人のユニゾンが基調となって
小学校一年生の入学式から
新生活の感覚が描かれていきます。
二人の役者の芝居からやってくるものは
明らかに異質・・・。
それぞれから透けて見えるものもトーンまでがかなり違う。
にもかかわらず、一体感が積み重なっていくのです。
しかも
戯画的なシーンの積み重ねに
昔からの友人との
ライバルとか友情とか愛憎の感覚が重なる。
笑えたりもするのですが、
可笑しさのあとには、まったく別の感覚が残っていて。
それが観る側の深いところを柔らかくしっかりと揺さぶる。
観ているうちに、ボーダーをまたいで
別の感覚に引き込まれた感じ。
作者の企みに見事にはまってしまいました。
さらに、若干精度が上がる余地があるのかもしれませんが、
観る側を凌駕するのには十分の出来。
堪能いたしました。
・いきなりベットシーン
この作品は再見。初演は王子小劇場で観た記憶があります。
一人芝居を凌駕するような、その疾走感と
物語性にがっつり惹かれた作品。
再演ではそこに伸びやかさというか
丸みまでが加わって・・・。
見栄を切るときのぴんと延びた四肢が
キャラクターの好奇心や前向きな表面に
観る側を引きずり込んでいきます。
さらに、初演時に比べて、
単に勢いで走るだけでなく
その鮮やかさにふくらみができたことで
単に彼女自身の内心だけではなく
周りからみたキャラクターの雰囲気が
よりしっかり感じられるようになって。
ジェットコースターにのせられて
上昇と落下を味わう感覚にも似ているのですが、
そのデフォルメのなかに
「八百長・・・」同様の観る側の感覚との重なりが
確実に存在していて、
激しく動く舞台の中でぶれないベースが
鮮やかに浮かび上がってくる。
役者の進化に加えて
柿演劇の真髄をみたような気がしたことでした。
PS:休憩時間の予告編にも見入ってしまいました。こういう試み、大好きです。なにかわくわくしました。
☆☆★
『ハチクロニクル』 (公演終了)
劇団鋼鉄村松
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2010/04/16 (金) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★
大衆ウケする作品ではないと思いますが…
終始、客席になにか良い意味での緊張感のようなモノが漂っていたのがとても印象的。たしかに僕も、わけはわからなかったけど、シッカリ観れました。これは一体なんなんだろう…。わけわからない作品である事には確かだと思うのですが(苦笑)。
正直、顔見知りの劇団さんなので、周りの評価も勝手ながら気になっていたところ…既に☆5つが2つもついていてちょっとビックリ。そんなに高評価なんだ!(笑)もしかして「わけわかってない」のは僕だけなのか!?(汗)
とりあえず、たしかにでも僕の拝見したボス村松氏の作品の中では1番‘この作品でやりたい空気’がシッカリ出来ていたと思う。そこは間違いないです。
「ハチクロ」読まなくてもわかりますが(わけわからない感じだけど)、読んだ方がより楽しいんじゃないかなとか思います。そこも多分間違いないです。
紙風船、芋虫、かみふうせん❤
オクムラ宅
TARA(東京都)
2010/04/10 (土) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★
とても良くできた愛すべき小品たち
ちょっと大げさに言えば、演出の奥村さんが持つ世界観や生き方のようなものが、ギュッと込められていたようで、そこに好感が持てた。
そして、今回の会場のサイズが、いい効果を生んでいた。
ただ、それぞれの作品については、気になるところがあり、それがひっかかってしまった。
ネタバレBOX
「紙風船」
夫婦の日常の会話から、夫婦の姿が浮かび、それが「紙風船」へと収斂されていく物語はあまりにも美しいと感じた。さすが岸田國士! と思わずにはいられなかった。
演ずる2人の俳優も、それぞれの内面にある気持ちを覆い隠しながら、制御された演技はなかなかだと思ったが、新婚1年目、日曜の午後の空気感までは漂わせるところまではいかなかったと感じた。
それがあれば、完璧だったと思う。
それがうまく表せなかったのはなぜだろうと思ったら、ラストの1本「かみふうせん」を観て、「あ、これか」と思い当たった。
このラストに控えている1本のテンションが、俳優の中に待機していたのではなかったのだろうか。深読みすぎかもしれないが。
「芋虫」
江戸川乱歩の「芋虫」は、とても辛い作品だ。それにインスパイアされたこの奥村さんの「芋虫」は、戦争によって変わり果ててしまった夫とその妻という関係性と、妻の心の闇という要素を踏襲して作り上げられていた。
この作品では、戦場で手足を失い「芋虫」のようになった乱歩の作品とは異なり、「着ぐるみの熊」という姿になってしまった夫が戦場から戻ってくる。
「芋虫」と表現される姿に比べて「着ぐるみの熊」は、一見楽しげだが、実は辛い。
くりくり目玉とほほえんでい熊の顔を見ていると最初は、笑みがこぼれるのだが、段々笑えなくなってくる。
ちょっと大げさな着ぐるみの動き見せれば見せるだけ哀しいのだ。
この設定のうまさにき舌を巻いた。
乱歩は、妻の闇を夫への虐待で描いたが、奥村さんは、妻が自らの心の中に閉じ込めていったようだ。
夫も自らに閉じていく。
ただ、この作品の中に、あえて放り込んだコメディ的な要素が気になってしまった。それは、酒屋のサブと下着のくだり、それに食事のときの醤油だ。ちょっとした笑いが起きるのだが、これは不要だったのではないだろうか。
淡々とする世界に、着ぐるみの違和感だけで成立したと思うので、この箇所が喉に刺さった小骨のように気になってしまった。
・・・観客にツボにはまったのか笑いが止まらない人がいた。人それぞれだが、そこまで笑うか? と思ってしまった。小さい会場だったのでいやでも見えてしまうのだ。
「かみふうせん」
驚いた。最初の1本とまったく台詞は変えず、現代の若夫婦の会話として演出されていた。
見事だ。
演じる2人も活き活きしていた。
「紙風船」の妻の気持ちを、ストレートに表現していたように感じたし、夫婦の本来の関係も露わになったように思えた。
途中の段ボールを使った演出も見事で、この緩急が素晴らしいと思った。
が、ラストがいただけない。
なぜこんな幕切れにしたのだろうか。
この作品のテンション的な納め方の方法として、あるいは、ちよっと衝撃のあるオチにしたかったのだろうか。どうもこの展開だけは信じられない。残念な気持ちで一杯になった。
そこまでの空気でこうなるのか? と思わざるを得ないのだ。
この夫婦の関係は、会話から観ても結婚前からこうであっただろうに。
これさえなければ、何も言うことはなかったのだが。
3つの作品を通して語られるのは、夫婦の関係だ。阿吽の呼吸を大切にしたいという様は、実に日本人的とも言えるし、結局のところ、昔も今も夫婦は他人であって、結婚したときから家族になることで、言葉にしなくても通じ合えるという幻想を抱いていることが根底にある。
3本ともに「きちんとした会話」(コミュニケーション)が、そこにあったのならば、何事も起こらない話だったと思う。
そして、言葉のやりとりがあり、一見通じ合っているように見える「ディス・コミュケーション」の姿が奥村さんの考える夫婦の姿なのだろう。自らの心の中を広げて見せたような感じさえある。
実際は言葉による対話もほとんどないのが、新婚とは呼べなくなった「できあがった夫婦」(笑)の姿なのだか(それも幻想かもしれないが)。
細かいことだが、作品の根幹をなすものだと思ったので、評価は厳しいものになったと思う。
ただし、奥村さんの作り上げる世界には共感が持てたので、今後どのような世界を見せてもらえるのかは興味がわいた。
今後も注目したいと思うのだ。
ぼくらのアイドル
味わい堂々
OFF OFFシアター(東京都)
2010/04/16 (金) ~ 2010/04/21 (水)公演終了
満足度★★★★
うまくとらえている
タイトルに偽りなしで、「アイドル」という存在の
質感を良く捉えていて・・・。
どこかコミカルな感じや
ちょっとシニカルな視点の入れ込みかたもよく
時間を忘れて観てしまいました
ネタバレBOX
初日ということで、
若干のトラブルもあったようですが
観ている方にはあまり気にならなかったです。
音楽の使い方が、ベタなのだけれど
しっかりとはまる。
この人の曲を選んだセンスがなにげに凄い。
時代的にごった煮的な部分もあるのですが、
それをすべてひっくるめて雰囲気にしてしまうような
アイドル側のどこかマンガちっくな描き方と
それにはまる側の実存感の対比がとてもしたたか・・・。
アイドルに対するイメージの絶妙な薄っぺらさが
きっちりと作りこまれていて・・・。
一方でアイドルを観て楽しいと思う気持ち、
追いかける側の心情や
夢の与えられ方、引き込まれ方に
あっと目を見開くようなリアルさがあって。
押入れを開いて
アイドルに楽しさを与えてもらう表現や、
アイドルが人生の中心になってしまうような感覚が
とても鮮明に観る側に伝わってくる・・・。
結末のシニカルな部分が
作品をすっと引き締めて・・・・。
この劇団の、
癖になるようなテイストを
たっぷり味わうことができました。
☆
さくら餅キャンディ♡
はちみつシアター
劇場MOMO(東京都)
2010/04/14 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★
たしかに濃いかも‥
序盤は各シーンの進行や、合間の変わり目(シーンの切り替わり)がなんだかチグハグな印象を受けた。オープニングの映像が非常に疾走感があって良かっただけに、本編もそのままのたたみかけるような勢いで入って欲しかった。
笑いも全体的に女性目線で描かれているせいなのか、男のオレにはあんまり面白みを感じられなかった。
でもラストのダンスパフォーマンスは圧巻だったし、とても良かった♪ただダンスシーンの前に前説が入るのはちょっと‥。
ネタバレBOX
衣裳替えの都合なのかもしれないけど、勢いが止まってしまうし、本編の流れのままダンスシーンに突入したほうが良かったと思う。全篇2時間超というのも決して退屈ではなかったけど、もうすこしコンパクトにまとめたほうがより楽しめたんじゃないかなぁ。
丸ノ子ちゃんと電ノ子さん
芝居流通センターデス電所
「劇」小劇場(東京都)
2010/04/14 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しかったよ~o(^-^)o
生演奏で今まで観た演劇と少し違って新鮮な感じで演技も良かったし約二時間だけど短く感じました
THE LEFT STUFF
Piper
本多劇場(東京都)
2010/04/10 (土) ~ 2010/04/25 (日)公演終了
満足度★★★★
してやられました!
相武紗季ちゃんの初舞台、タカピー。
でも、あんな制服だけじゃなあ。
ネタバレBOX
くそーっ!
実験の許可のサインしたもんね。舞台に上がれて喜んで…。
こちらが被験者だったとは!被験者のサインだったとは。やられました。
でも、あのとき、人間の命はじゃんけんで決められないって叫んでいたらどうなったのでしょう!?
摘み出されるかな…。そういうシナリオも用意されているのかな。
ところで、芸能人かくし芸大会みたいなのは見たくありませんでした。つまらない!!