UFOcm
あひるなんちゃら
駅前劇場(東京都)
2010/08/25 (水) ~ 2010/08/29 (日)公演終了
満足度★★★
不思議な世界
相変わらず、シュールで不条理で不思議な世界。深く考えずに、素直に楽しめました。代表の前説よかったです。
吐くほどに眠る
ガレキの太鼓
APOCシアター(東京都)
2010/08/19 (木) ~ 2010/08/26 (木)公演終了
満足度★★★★★
ゾクっときました
最初の語りから引き込まれてはいたんだけれど,乱雑な舞台ところころ替わる役回り,途中までは混沌とした舞台だという感が抜け切れませんでした。とこどが後半にはそんなことも気にならないほど,深く見入ってしまいました。観劇後も考えさせられてしまいます。後引いてるなぁ^^;とにかく遠くまで出張っていっても観る価値のある芝居でした。
宝塚BOYS
東宝
シアタークリエ(東京都)
2010/08/06 (金) ~ 2010/09/01 (水)公演終了
満足度★★★
役者のレベルに差が
話としては面白かったです。
でも歌ダンスとも優れていた東山さんと、歌唱力がある藤岡さんだけが群を抜いていて、役者のレベルに差を感じてしまいました。
「宝塚」とあると高レベルの歌唱力とダンスを期待してしまったので、あまりに歌とダンスシーンが少ない事にがっかり。
正直、おばちゃん役の方がうまくて涙しました。娘役のシーンとラストのソロ。
レベルがダントツでした。
竜馬と龍馬
劇団ショーマンシップ
小郡市文化会館(福岡県)
2010/08/22 (日) ~ 2010/08/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
面白かったです。
すごく前の方で見れたので、役者さんの表情もよく見えました。
最後までの話の流れを知っていたけど、
やっぱりドキドキしながら見てしまいました。
舞台とか、大きくて立派だなぁ・・・って思いました。
旬の観たいもの展2010
旬の観たいもの展
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/08/17 (火) ~ 2010/08/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
天然果実「Water-Cooler」を観た
「ゲームの名は獣奇的殺人!」そんなタイトルが似合うかのような、ゲーム性の強い、アニメ感覚の世界観。暗転する際の音響の導入、照明、6人の高校生の薄暗がりでの佇まい。それはもう、映画の中のワンシーンのよう。
ほの暗い闇の世界から浮かび上がってくるような斬新な場面だ。閉じ込められた世界、身に覚えのない異次元の世界から彼女らの物語は始まる。
ワタクシのこりっち投稿「観てきた!」の数、1102舞台の中でも極めて経験のない描写だ。その映し方は演劇というより目の前で起こっている高校生らのゲームさながら。作家・広瀬格は勿論の事、津島わかなの演出の見事さに唸る。たぶん、この舞台を観た誰もが今まで経験したことのない描写に驚くと思う。
座席は最前列の桟敷席に座ると女子高校生の・・・、とても美味しい。笑
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
序盤、6人の女子高校生が銃、斧、ナイフ、ロープ、カッター、ペットボトルを持ってちょっとガニマタで佇む。この演出に最初からやられる。この物語はもしかして「殺人ゲーム」なんじゃないかと。6人はそれぞれ自分が何故ここに閉じ込められて凶器なんか持っているのかが、さっぱり解らない。しかし、記憶を辿っていくと、10年前に学校であった獣奇殺人の情景を思い出す。
この6人の中に誰かによって殺された被害者と殺人鬼が居ることを漠然と理解すると、6人はお互いに疑心暗鬼になって殺し合いの模様を描き出す。いったい誰に誰が何で殺されたのか?凶器、殺人鬼、被害者で216通りのシーンがある。これは中学生の問題だ。6の3乗。
そして殺されるかも知れない恐怖に打ち勝つことが出来ない6人はヤラレル前に殺してしまう者、己の精神の限界についつい銃で撃ってしまう者。狂気の寸前で殺し合いの様になるが、殺された者が倒れるシーンの演出はまさにゲームのように静かにゆっくりと落ちてゆく。そして数秒後、また復活するのだ。まさにゲーム。
だから一般的なエンゲキという視点で観てはいけない。これはただの殺し合いというゲームではなく、犯人捜しのサスペンスの中に、仲間が先生によって殺された事を知ると、それに対峙して生徒が手に武器を持って戦うというホラー性もあり、更に殺人者と被害者が繰り返し反転することで観客もいったい犯人は誰か?などとドキドキしながらのめり込み、いつしか自分も物語の中に入ってしまうという高度なトリックも存在する。
正解を見つけないとここから出られない恐怖。ザアーザアー・・と止まない雨の音の演出。舞台ではブレイクダンスのようなゾンビダンスも盛り込み、連続猟奇殺人の犯人に仕立て上げられたプールの死体の謎と中原の呪い。喉が渇くというおぞましい罰から5人の同級生を殺してその血を啜るという吸血鬼のように変化した1人の生徒の終盤の展開と教師との対峙は想像だにしなかった結果で、その風景も新しく斬新だった。
この舞台に関わった彼らにとてつもない才能を感じて、演劇界の新しい夜明けを観ているかのようだった。素晴らしい。
ダミーサークル
花まる学習会王子小劇場
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/08/25 (水) ~ 2010/08/29 (日)公演終了
強度のあるテクスト
「書かれたものを読む」ことを拡大させた、リーディングの発展型で新鮮な感覚。
演技がまあ想定内な分、脚本と演出の強度が目立つ。
白々しいものだとか暑苦しいものだとか、そういった演劇しか眼の前に現れてこなかった高校の時にでもこれを観ていたら、自分の現代演劇観も大分早くにマシなものになってただろう。
60分の尺でリーディングスタイルという、演じ手にとってハードルが低いにも関わらず、構造の面白さと現代っ子が受け入れ易いシビアさを兼ね備えているという、学生演劇の入門かつ演劇に固定的なイメージを持っている(故に普段演劇を観ない)人の「演劇」の観念を広げるに足るテクストの強靭さがあるように思う。
なのでぜひこれは中高校の新歓とか学祭とかで上演したり、あわよくば新人公演のスタンダードぐらいにしてもらって、高校の時の自分のような「演劇とか(笑)」と思ってる連中に演劇の面白さを知らしめることに一役かってくれないものかと思う。お願い中高生演劇部。
それにしても内容が身に覚えがありすぎて恐ろしい。高天原高校の部活動はどこも破滅型(笑
『まばたき』
ポムカンパニー
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/08/25 (水) ~ 2010/08/29 (日)公演終了
満足度★★★★
人間観察の面白さと、
相手に言葉できちんと気持ちを伝えることの重要性がテーマです。
ネタバレBOX
違和感…、隣にもう一人の自分がいて、ああ楽しんでいるんだなと思う。これって本当に楽しんでいることにはなりませんね。良く分かります。
その前日に、『清水ミチコのお楽しみ会2010』に行ってきましたが、こんな感じでした。一つ一つのパフォーマンスは面白く、楽しめるのですが、ノリのいいシミザー(ミチコファン)の歓声を聞いていると、隣の自分がお前も楽しんでいるよねと言ってきます。マ、一回観ておけばいいや!
さて、喫茶店での3組のカップル、いろいろ観察すると面白いですね。交互に会話が行われ、その間他のカップルは静止しているという手法、良かったです!
相手に対して、「好きだ!」の気持ちを言葉で伝えないと、ぐずぐずで最終的には破局してしまうという教訓、重要なテーマです。
が、一回目は破局、で、もう一回繰り返して今度はハッピーエンド…、好みの問題ですが、個人的には一回目で終わらせるのもありかなとは思いました。
UFOcm
あひるなんちゃら
駅前劇場(東京都)
2010/08/25 (水) ~ 2010/08/29 (日)公演終了
満足度★★★★
脱力系の笑いは好み
「あひるなんちゃら」は以前から評判を聞いていて、メンバーの客演などで興味を持っていた劇団。念願かなっての初見でした。
次々出てくる人物の会話によって展開していく。「駄弁芝居」とはよく言ったもので、特別なことは起こらないけれど、つい笑ってしまう。
いくら人気劇団でも、自分はテンション高く大勢でわめき騒ぐコメディーが苦手で、脱力系の淡々とした笑いのほうが好き。自分の好きな劇団「ボールベアリンゴドラゴンズ」の芝居をもう少しコントっぽくした感じで、ザンヨウコ・黒岩三佳らの女子の会話には共通点もあり、好みである。
コントと喜劇の中間のようで、好みは分かれるとは思う。
夏バテ気味のときに観るには肩も凝らず、打ってつけだった。
ネタバレBOX
お祭りの日、UFOを呼ぼうとする人(石澤美和)の周りに集まってくる、ちょっとおかしな人たちのだらだらと人を喰ったような会話が続く。
石澤さんは主宰のオファーで今回初参加だそうだが、物凄い存在感(草野球のことしか頭にない根津茂尚が石澤を見て「体型がキャッチャー向き」という場面も可笑しい)。
ザンヨウコの演じるマイペースな人も、友人役の黒岩三佳との絶妙な間で最高に面白かった。
非番だと言ってまるで責任感のない警察官(江崎穣)や、外来診察を抜け出してくる医師(石田潤一郎)も、実際にいたら迷惑でけしからん存在だが、この街自体が架空の世界というコント感覚で観ていれば、腹も立たない。演劇の理屈で観ようとすると評価の分かれる芝居だと思う。
その中で、渡辺裕也の演じる詐欺的な花屋がいつもの渡辺らしくしっかりと演じていて印象に残った。アルバイト(江見昭嘉)とのずれた会話も面白かった。
フライヤーの出演者紹介を読むと常連の客演俳優も多いようで、外部の人が何度も出てくれるというのは、それだけ現場が楽しい証拠だと思う。
チョイ役出演の作・演出家の関村俊介もふだんの人柄がしのばれるようで、好感が持てた。
ログログ
キリンバズウカ
シアタートラム(東京都)
2010/08/26 (木) ~ 2010/08/29 (日)公演終了
満足度★★★
院内&同級生恋愛
「ER」みたいに病院ってそんなに院内恋愛が日本でも多いんだろうか。おまけに中学時代の同級生もからんで世界が狭いこと。ちょっとミステリータッチの筋立てで飽きずに見れる。簡素ながらモダンな舞台装置が素敵なので、始まる前から良く見てください。
旬の観たいもの展2010
旬の観たいもの展
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/08/17 (火) ~ 2010/08/29 (日)公演終了
満足度★★★★
『Water-Cooler』観ました!
開始直後の暗闇から少しずつぼーっと現れるところが印象的でした。
数学の問題もあるよ!
ネタバレBOX
気が付くと暗い部屋の中に凶器を手にした女子高生姿の6人がいて、張り紙を読み話し合うと、どうもその中の一人が10年前に別の一人から殺されたらしく、誰がどんな凶器で別の誰を殺したのかを明らかにしない限りこの部屋から出られないことが分かります…。
ここに集めたのは被害者です。犯人と被害者以外は、誰が犯人で誰が被害者か分かっていません。
やみくもに殺し合うと、死ぬことはありませんが痛烈な痛みを感じます。話し合ったり、思い出したり、試しに殺し合ったりしながら探します。
途中で、文化祭の準備で夜遅くなった日に女子高生一人が殺され、副担任が自殺したことを思い出します。被害者は判明しましたが、当時副担任が犯人だと思われていたので、犯人探しにものすごく興味が湧きます。
しかし、観客は薄暗い中で6人全員の表情を見ることはできません。
喉が渇き、殺して血をすする一人の行為から犯人と当夜の真相も明らかになりましたが、本当はアリバイ的な説明で推察したり、表情の変化から推察したりしたかったなとも思いました。
二度観ると、表情の変化は分かるのかな。疑心暗鬼の中のお試し殺人ゲーム面白かったです!
ところで、「犯人、被害者、凶器」の組み合わせが何通りあるか、お芝居の中で女子高生が言った数字に疑問が湧き、ずーっと考えていました。
さて、問題です。
「女子高生が6人いて、誰かが犯人で、別の誰かが被害者です。凶器は6種類あります。何通りの可能性があるでしょうか?」
ログログ
キリンバズウカ
シアタートラム(東京都)
2010/08/26 (木) ~ 2010/08/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
違和感から浮かび上がる世界の秀逸
舞台上に現れてくる様々な感覚が、
単純に予定調和するのではなく、
収まりきらない感じで観る側にやってきます。
それが、くっきりと舞台上にあるものの
本質を
浮かび上がらせていく・・・。
作者一流の独特の質感をもった舞台に、
しなやかにがっつりと取り込まれてしまいました。
ネタバレBOX
惹かれるトリガーがとてもたくさんあるお芝居でした。
トラムの広さや空間の高さが生かされて
大きくいくつにも区切られたスペースの中に、
ルーズに連携したシーンたちが
次々と広がっていきます。
冒頭から、
シーンそれぞれの色が
互いにどこかなじまないまま、
でも、くっきりと作りこまれて
観る側にやってくる。
個々のシーンの中には、
たっぷりのウィットも込められていて、
登場人物のキャラクターも
雰囲気も、時制のトリガーとなるものも、
その中でちゃんと成立している物語もあるのですが、
一方で
それぞれのシーンの色にも内容が
他のシーンたちと
すっとはまっていかないような感覚もあって。
それは、ずれたり重なりあわないということではなく、
同じ場所に置かれたものの
形状や大きさがことなって
それぞれにはみ出しているような感じ・・・。
でも、その違和感こそが、
観客に、舞台全体のありように対する、
いくつもの視座を与えてくれるのです。
浮かんでくるもの、見ようとしているもの、隠されたもの、
消えたもの、再び現れたもの。
置き換えたもの、塗り込められたもの、塗りかえられたもの・・・。
舞台に描きこまれたものたちの
それぞれに込められたニュアンスも
違和感に照らされて、
ランダムに色を変えて浮かび上がってきます。
個々のシーンが他のシーンに踏み込んでいく時の、
しなやかな突飛さと
観る側にそれを受け入れさせるに足りる切れに
目を見張る。
すんなりとはいかないし、
必ずしも折り合いがついているわけでもない、
でも、それを含めて
その場にある時間が、
観る側自らの深層にあるものの
俯瞰図のようにも思えて・・・。
同じシチュエーションの異なるシーンが現れることも、
失踪することも、突然現れて思い出すことも、
叩くことも、まさかの蹴りがやってくることも、
個々の違和感を包括した
全体の豊かで鮮やかな表現として
観る側にやってくるのです。
あそこで、あの形でやってくる、
「かあさん」は凄い・・。
役者たちには力量と安定感がありました。
ロールに対する精度をもったお芝居が
それぞれに醸し出していく
デフォルメされていたりナチュラルだったりする
ふくよかなニュアンスたちが
舞台をがっつりと下支えしていて・・。
ラストの折り紙のエピソードに
描かれた世界が
さらに自然に観る側の視野を広げて見せる。
終演後、そこには
細密に削り出された
「記憶」の質感が置かれていて。
描く世界の独自の色の秀逸を含めて
過去作品でも強く感じていた
作り手の才を改めて実感したことでした。
○○●●●☆★★◎
口紅を初めてさした夏『ご来場ありがとうございました。』
TOKYOハンバーグ
千本桜ホール(東京都)
2010/08/25 (水) ~ 2010/08/31 (火)公演終了
満足度★★★★
人は...
きっちりとした脚本・演出で魅せられた。
人は人とのつながりで生きていくのです。大人と子供、親と子供、友人や知人など。
芝居では子役の演技がとても上手であり、ほかの役者さんもそれぞれの役をうまくこなしていた。なかなかの見ものでした。
アフタートークで、演出家の話が合ったが、なかなか気持ちちのいい方だった。次回作も見に行くつもり。
熱狂坊や
八時の芝居小屋制作委員会
盛岡劇場 タウンホール(岩手県)
2010/08/25 (水) ~ 2010/08/27 (金)公演終了
満足度★★
B級の意味とは?
内容のひねり方しだいではもうちょっとおもしろいお芝居になったんでしょうに・・・
最後のお客様の拍手の音量が全てを物語っていたと思います。
ネタバレBOX
B級ホラー映画は、作り手の創意工夫次第で何億もかけた映画よりよっぽど面白い作品になったりもするのですが、残念ながらそうは成らなかったようです。
入場時の楽屋通路を使ったお化け屋敷は最高に面白い演出でした!
本編前の予告編は、僕にとっては全く面白くありませんでしたが、まだお客さんの笑い声もありました。
が・・・
本編スタートからがどんどん尻すぼみ。
途中までは、ホラー映画を舞台で体感できる期待感もあったのですが・・・
意図的なのでしょうか?つまらない失敗作映画の意味不明な展開や意味不明なシーンをそのまま盛り込んでくれたため、結果的にも意味不明なまま終わってしまいました。
上手く脚本構成や演出をすれば、テーマ的な要素も盛り込んだ面白いお芝居にも出来そうな途中経過だったために、非常に残念な気がします。
ラストシーン・・・まさかこれで終わりじゃないよね?という客席の不安感の中で終演。
カーテンコールでの力の抜けた拍手。
更にどう反応していいかわからない「スリラー」ダンスに、周りのお客様も薄ら笑いを浮かべている感じ。
途中から冷房の効きすぎが気になるほど、寒いエンディングでした。
一番興ざめだったのが、銃を撃った人が「ばーん!」って言うこと。
どこのB級ホラーを真似たんでしょうか?
そんななか、照明がそこそこ良かっただけにますます残念!
知ってる娘だから余計高評価になってしまいますが、19歳でこれだけのプランニング能力なら普通に驚きであるし、芝居明かりは非常に良かった。
本人にも伝えたとおり、スリラーの明かりは最悪でしたが。
知っている人が意外に多く絡んでいるので、あえて酷評を書いてみましたが、企画意図は嫌いではなかったので、是非!B級ホラーファンも納得する様な舞台を作ってリベンジしていただきたいと思います。
UFOcm
あひるなんちゃら
駅前劇場(東京都)
2010/08/25 (水) ~ 2010/08/29 (日)公演終了
満足度★★★★
なんちゃら〜としては、ストライ〜ク!
何にもない。
ぼんやりしている。
でも、なんちゃらだから面白い。
ネタバレBOX
ちょっとだけ真面目な話をしよう。
私はそれほど昔からのファンではないのだが、ここ数回観て思うのは、彼らは「コメディをやっているわけではない」ということなのだ。
「結果として笑いが起きる」のだが、コメディではない…と思う。
コメディとして見ても「ゆるい」という視点から、それなりに楽しめることは確かであるが。
しかし、強いて言えば、この劇団のやっていることは、「不条理劇」が一番近いのではないだろうか。ご存じの通り、「不条理劇」というのは、意外と笑いが起きたりする。それをもっと笑いの方向に煮詰めていったり、いかなかったりすると、あひるなんちゃらの感じになると思うのだ。
ちょいちょい挟まれるメタな感じも。
コメディとしては、その基盤となる人物像が、あまりにも歪だったりする。思い切って言うと、軽いノイローゼな人たちしか出てこないのではないかと思うほどだ。
今回で言えば、友人を意味なく拒絶する女性だったり、豚肉を腹一杯食べたいがためにUFOを呼ぶ女性、さらに何でだかわからないが、毎日草野球をしている男、面白そうだったら(非番の日が前提だが)、悪事的なことをしてもいいと思っている警官など、明らかに歪で異様である。彼らの応対はさらに変である。
不気味とも言うかもしれない。
当然それはわざとそうしている…はず。
「そんな変な人いないよ」と言う人もいるだろうが、作・演をしている関村さんだって、そんなことぐらいわかっているはずだ。
もちろん、劇団の全員もわかっているはず。
そんな世界がいつもここにはある。
現実にありそうな状況もしくは設定の中で、思わぬ人間的な反応から笑いを誘うような、コメディとは明らかに立脚点が異なるのだ。
そんな世界を前提に物語が構築されている。
あひるなんちゃらを観ていつも感じるのは、「コミュニケーションを取りたい人たちの必死さ」である。
ウソやデタラメを言ったとしても、コミュニケーションをとっていたいという姿、痛々しいほどの姿がいつも見られる。
とんでもないことを言って、次の会話につなげていくことでの、不安の解消とでも言うか。
今回で言えば、小学校だけ行っていない女性とその友人の会話なんて、まさにそれである。「友人(メル友)」という言葉の周辺を、着地点を互いに知りつつも、いつまでも周回しているのだ。
「笑い」というお砂糖の中に、言いたいことが隠れている(いや、隠してはないか)。観客はお砂糖舐めて「甘い」と言いながらも、その中にある「変な味」に気がついたり、つかなかったりする。隠し味のように、その「変な味」に気がつかなくても、ひと味足されることで、深みが増しているのだ。
ただし、その「変な味」を「不快」に思う人も当然いるだろう。理解できない変な味だからである。それは、麦茶かと思って飲んだら麺つゆだったような不快感ではないだろうか。コメディかと思っていたのに、である。
毎回、当て書きであろう役者もいい。繰り返し客演している役者はその空気を確実に自分のものとしているように思えた。そして、ボー立ちと言えるような佇まいは、不条理である。
あひるなんちゃらの役者は、その足腰が強いような気がする。その存在感は、ホームであってもアウェイであっても際立つ。
JACROW『北と東の狭間』で中国人パブに通うポケベル社長を演じた根津茂尚さんは、独特のダークさを出していて、さらにラストでの表情への振り幅が素晴らしかった。今回、毎日草野球をしている男とは、ある意味紙一重の存在感であったと言える。不気味さ無邪気さの狭間を漂う野球男(背番号16)。JACROWは、その本質を見抜いてのキャスティングだったのだろう。
ミクニヤナイハラプロジェクト『幸福オンザ道路』でキャスティングされていた黒岩三佳さん。ミクニヤナイハラプロジェクトはご存じのとおり、怒濤の展開に、激しい動き+高速の台詞である。どう考えてもあひるなんちゃらとは違いすぎる気がする。しかし、黒岩さんの凄い瞬発力&テクニックを買ってのキャスティングだったのだと思う。
今回で言えば、UFOを呼ぶ女性に「泊めてもらってもいい?」と聞いて「……いいよ」と答えるのに対しての、黒岩さんの「いいのかよ」の鋭い台詞は、その速度としても音量にしてもあまりにも凄すぎて、感心しながら笑ってしまった。
また、役者としての関村さん……は、アノ、あれはよかったですね、そうそう『あまうめ』…は出てはないか。まあ、ここでは横に置いておこう。
とにかく、この2人の外部出演を見ても、ただ者ではないことが理解できるのではないだろうか。
とにかく凄まじいのだが、あまりにもあっさり演じているのでわかりにくいのかもしれない。
でも、それが目的ではないのでそれはそれでいいと思う。
劇団の紹介で「微妙にズレていく会話の行き着く先には結局何もなかったりする」ときちんと言い切っているように、結局たいして何もなく、言ったことを投げっぱなしにしてみたり(そんなトラップ的なことがいろいろ散りばめられていて)、なんていうところも好ましいと感じてしまう。
結局、あひるなんちゃらは、私にとっては確実に面白く、確実に楽しませてくれる。
幕が開く直前ぐらいから、うす〜く流れる、テーマソングに耳をそばだてるあたりから顔はゆるみ、最後までゆるみっばなしである。
笑っちゃうのである。
あの衝撃のラスト、100年後の盆踊りは最高だった!
だらだらと「あひるなんちゃらはコメディじゃないんじゃないか説」みたいなものを書いてきたが、あひるなんちゃらの公式ステートメントとして「われわれはコメディ劇団である」と宣言したとしても、私は「アウト!」とだけ言って、責任をとるつもりは毛頭ないとだけ付け加えておく(笑)。
ログログ
キリンバズウカ
シアタートラム(東京都)
2010/08/26 (木) ~ 2010/08/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
深刻そうな表情でも笑うさ
トリックのような味わいに、それそれのキャラの微妙なズレ感が秀逸。
UFOcm
あひるなんちゃら
駅前劇場(東京都)
2010/08/25 (水) ~ 2010/08/29 (日)公演終了
満足度★★
それなりに楽しいけれど…
始まりは、なかなか愉快でした。でも、途中から、全然気持ちが乗り遅れて行きました。
これって、全てが、2分割されている気がします。役者力も、会場の空気も…。
何組かの組み合わせで、見せられる連作コントのような構成のため、秀逸な掛け合いのコンビがいるかと思えば、笑いのセンスが全然感じられないコンビやトリオも…。その温度差の違いは、客席も同じで、一つのネタ的芝居に対して、大笑いしているブロックと、冷ややかに観ているブロックが、常に2分されていました。
シュールな笑いを好むブロックは、他方の笑いには無反応。下世話な笑いが好きなブロックは、逆に、シュールさにはシーン。
その見事なコントラストに途中から興味が移り、私自身は、どんどん、気持ちが乗らないまま、ラストを迎えた印象でした。
最初の、女子だけのシーンは、とても好みの作風だっただけに、何だか残念。
好きなものを最初にすっかり食べてしまったら、後には、嫌いな食べ物だけ残ってしまったような…。あー、最後に、もう一度、あの好きな食べ物を口にしたかったなみたいな…。
緩い笑いが楽しくはあって、決して、印象は悪くないのですが、でも、これをわざわざお金払って、下北沢まで見に来なくても良かったかなと、少しだけ、後悔寄りな劇後の印象でした。
もう2度と観ないとまでは思いませんが、とても好きな役者さんが出る時だけでいいかなと思いました。
ネタバレBOX
最初に登場する、黒岩さん、石澤さん、ザンさんの掛け合いが、お見事なので、終始楽しく、このままの空気を維持するんだと期待してしまったため、どんどん、登場人物が増える度、こちらの気持ちは反比例するように、下降線を辿りました。
その後の、二人組、小学生経験だけない、基本的常識に欠ける女役の篠本さんと、いろいろ常識を教えてあげる女役高橋さんのコンビも愉快で、花屋とバイト君の、シュールなお笑いコンビも、声を上げて笑って観ていられました。
役者力のいきなりのトーンダウンは、これ以降。出て来るヒト、出て来るヒト、正視できない感じになって、一気にワクワクした気持ちが、空気の抜けた風船みたいに萎んでしまいました。
特に、笑いの間もセンスも全く感じられない方がいて、どういう劇団の方かと思ったら、無理もない!その在籍劇団は、日頃、観た人を奈落の底に突き落とすような、絶望の中のカタルシスを演劇化しているところでした。
笑いの間なんて、彼の役者人生には一番遠距離なのではと思い、逆にお気の毒になりました。
こういう、緩い笑いで見せる芝居は、一定レベル以上の役者力は必須条件だと思うし、キャストのレベルはある程度、一定でなければ、舞台の流れが、うまく運ばないと思います。
脚本自体は結構面白いと思うので、最初のチームに合わせたキャストレベルが揃ったら、この舞台、化けるかもしれません。
それにしても、黒岩・石澤・ザンの3人トリオはシリーズ化してほしいくらい、気に入りました。3人の名演技バトル、ずっと観ていたかった程。
ZED【12月31日で公演終了】
CIRQUE DU SOLEIL
舞浜アンフィシアター(千葉県)
2008/10/01 (水) ~ 2011/12/31 (土)公演終了
満足度★★★
良かったけど
開場時にプレビュー公演を観て以来、2回目の観劇。
前回は、最前列だったので、首が痛かったけど、
今回は、真ん中の後方でとても見やすい席だった。
でも、半分も入っていないガラガラの客席。
自分も招待券だからタダなんだけど、
これでは、商売成り立たないと思える状況で
いつまで常設劇場として続けられるか心配。
内容も、特別新しいパフォーマンスも無いので
飽きられちゃうかな。
ロックンロール
ホリプロ
世田谷パブリックシアター(東京都)
2010/08/03 (火) ~ 2010/08/29 (日)公演終了
満足度★★★
予想以上に良かった!
前評判が芳しくないので、結構心配だったけど
予想以上に良かったね!
内容も個人的には分かりやすかったし、
全く問題なかった。
それに、これは改善されたのかもしれないけど
時代背景の書かれたチラシも入っていたから、
パンフ買わなくても充分内容が分かった。
客入りも予想以上に1階はほぼ満席だったし
最後はスタンディングオベーションになるくらいの
盛り上がりで、なかなかよかったです。
吐くほどに眠る
ガレキの太鼓
APOCシアター(東京都)
2010/08/19 (木) ~ 2010/08/26 (木)公演終了
満足度★★★★
おもしろかった
久々に観たあとうむむと考えさせられた。
宣伝文句と反して作品はまったくおしつけがましくない。もっとおどろおどろしい作風かと思いきや非常に繊細で丁寧。
全体通してうまいなーと思った。
そしてAPOCシアターはとてもきれいでおしゃれ。
制作さんは親切、道案内メールをくれる、これはとっても助かる。
ほかのところでも導入してくれたらとっても助かるなぁ。。。
できることならあと三回くらいみてうむむと考えたかった。
後引き型?
ネタバレBOX
印象的だったところ
・なわとび
・大学にあがって不安定
・親友の恋愛遍歴(おもしろかった)
・介護施設での労働と嘘
・母親とのツアーコンダクターについてのやりとり
・家族のためにああしなきゃこうしなきゃと言いながら自縛
彼女ほど病的に繊細でなくても
わかるわと叫びたくなったし観ていて泣きそうになった。
この女のひとの人生っていったいなんだったんだろう。
と考えてしまう。。。
ぐちゃぐちゃの頭とぐちゃぐちゃの洋服。
片づける方法を知っていれば。。。あるいは
だれかいっしょに片づけてあげられれば
もっとちがう結末だっただろうに。。。
くだらないあれですが、
女子高生のブラウスはアイロンかけといたほうがよかったかも。
リュックからでてきたやつ。
体位をかえるだけで時の経過をあらわしたのはよいなあと思った。うまい。
でも性的なシーンはやっぱりちょっとあわわとなる。観るけどね!しっかりと
かっわいいなーとおもった役者さんお名前は北川裕子さん。
悪役志願
黒色綺譚カナリア派
座・高円寺1(東京都)
2010/08/20 (金) ~ 2010/08/26 (木)公演終了
満足度★★
色彩豊か
精力的に活動し、急成長せいているイメージの団体。本日、初観劇したが正直がっかり。雰囲気は伝わってくるが、物語を見せる演出力は皆無。結果、役者のエネルギーは空回りし、すばらしいスタッフワークも作品に噛み合わず。実にもったいない、というのが印象。