4のシ点
南船北馬
カフェ+ギャラリー can tutku(大阪府)
2010/08/28 (土) ~ 2010/09/05 (日)公演終了
満足度★★★
ひさしぶりの南船北馬でした
スケジュールがあわずに最近見れておらず、ひさしぶりの南船北馬の観劇でした。
ちょっとスケジュールが立込んでいて体調が悪かったので、重い内容だとつらいかなと思っていましたが、45分の作品2本でしたので筋も追いやすくすっと入り込んで観れました。
演出ははじまりのところがすごい好きでしたが、映像はカフェでの公演ということもあり少し見辛く、あまり効果的でないようにも思いました。
ネタバレBOX
それぞれのお話は、東西ドイツと南北朝鮮(実際は北朝鮮と日本)が舞台になって、そこで暮らす人に焦点を定めていますが、読解力が足りないためか、その設定が強く影響しているという気はしませんでした。
それぞれの作品はあまり長くないので、背景ばかりを目立たせても仕方なかったのかもしれませんが。
つまらないことですが、2本目の作品で大富豪をしていて、そのカードの強さが貧富の差を表すところがあるのですが、あのカードは毎回同じように配られていたのか、すごく気になります。
Water-Cooler
天然果実
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/08/25 (水) ~ 2010/08/27 (金)公演終了
満足度★★★★★
「ゲームの名は獣奇的殺人!」
そんなタイトルが似合うかのような、ゲーム性の強い、アニメ感覚の世界観。暗転する際の音響の導入、照明、6人の高校生の薄暗がりでの佇まい。それはもう、映画の中のワンシーンのよう。
ほの暗い闇の世界から浮かび上がってくるような斬新な場面だ。閉じ込められた世界、身に覚えのない異次元の世界から彼女らの物語は始まる。
ワタクシのこりっち投稿「観てきた!」の数、1102舞台の中でも極めて経験のない描写だ。その映し方は演劇というより目の前で起こっている高校生らのゲームさながら。作家・広瀬格は勿論の事、津島わかなの演出の見事さに唸る。たぶん、この舞台を観た誰もが今まで経験したことのない描写に驚くと思う。
座席は最前列の桟敷席に座ると女子高校生の・・・、とても美味しい。笑
追伸:ホームページを作ったとの連絡があったため、こちらにもUPしてあげました。(やれやれ・・・苦笑)
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
序盤、6人の女子高校生が銃、斧、ナイフ、ロープ、カッター、ペットボトルを持ってちょっとガニマタで佇む。この演出に最初からやられる。この物語はもしかして「殺人ゲーム」なんじゃないかと。6人はそれぞれ自分が何故ここに閉じ込められて凶器なんか持っているのかが、さっぱり解らない。しかし、記憶を辿っていくと、10年前に学校であった獣奇殺人の情景を思い出す。
この6人の中に誰かによって殺された被害者と殺人鬼が居ることを漠然と理解すると、6人はお互いに疑心暗鬼になって殺し合いの模様を描き出す。いったい誰に誰が何で殺されたのか?凶器、殺人鬼、被害者で216通りのシーンがある。これは中学生の問題だ。6の3乗。
そして殺されるかも知れない恐怖に打ち勝つことが出来ない6人はヤラレル前に殺してしまう者、己の精神の限界についつい銃で撃ってしまう者。狂気の寸前で殺し合いの様になるが、殺された者が倒れるシーンの演出はまさにゲームのように静かにゆっくりと落ちてゆく。そして数秒後、また復活するのだ。まさにゲーム。
だから一般的なエンゲキという視点で観てはいけない。これはただの殺し合いというゲームではなく、犯人捜しのサスペンスの中に、仲間が先生によって殺された事を知ると、それに対峙して生徒が手に武器を持って戦うというホラー性もあり、更に殺人者と被害者が繰り返し反転することで観客もいったい犯人は誰か?などとドキドキしながらのめり込み、いつしか自分も物語の中に入ってしまうという高度なトリックも存在する。
正解を見つけないとここから出られない恐怖。ザアーザアー・・と止まない雨の音の演出。舞台ではブレイクダンスのようなゾンビダンスも盛り込み、連続猟奇殺人の犯人に仕立て上げられたプールの死体の謎と中原の呪い。喉が渇くというおぞましい罰から5人の同級生を殺してその血を啜るという吸血鬼のように変化した1人の生徒の終盤の展開と教師との対峙は想像だにしなかった結果で、その風景も新しく斬新だった。
この舞台に関わった彼らにとてつもない才能を感じて、演劇界の新しい夜明けを観ているかのようだった。素晴らしい。
湿度15%
創像工房 in front of.
慶應義塾大学日吉キャンパス塾生会館(神奈川県)
2010/05/07 (金) ~ 2010/05/11 (火)公演終了
淡々としていた。
ホームページの海底からぶくぶくと上昇していく水泡のフラッシュが目に留まったので観てきました。
極限環境下に置かれた者たちの心理から万人に共通する飢えと渇きを導き出そうとしているように思えたのですが、彼らの生存に関する記述が、物質面の確保に傾倒していたために、淡々とした暮らしぶり、飄々とした佇まいの内側/深層部へとストンと落ちるきっかけを見つけられないまま、終わりまで過ぎ去ってしまったような印象を受けました。
作品の主題を誘導する、なんてことない一言が会話のなかから引き出されていれば、突き抜けた異世界に吸い込まれそうになっていたかもしれません。
ネタバレBOX
灼熱の太陽が照りつける地平線の彼方までつづいていくような砂漠のどこかに井戸があるとの噂をききつけて、探しにやってきた4人の若者たち。
お目当ての井戸は、水を食べて暮らしている部族の集落にほど近い場所にあった。他の仲間にそれを知らせるために、自分らの住む集落へ伝えにいくタツオ。その間、他の者たちは無断で水を汲んで飲み、飢えをしのぐ。
ある日、砂を食べる奇妙な男が彼らのもとに現れる。
最初は気味悪がる若者たちであったが男が無害であることがわかると、徐々に打ち解けて行き、仲間のひとりとして、共に暮らしている風になった。
そんな光景を目の当たりにしたタツオは、今すぐ男をここから追い出すようリーダーに詰め寄るが、リーダーや他のメンバーも、男は無害であることをタツオに説得。そして自分の居場所を他の人間で穴埋めされたと錯覚したタツオは、水を黙って持ち出して彼らのもとを去っていく。
井戸の水が底をつき、食料の水があと残りわずかであるということへの危機感や、その貴重な水を黙って持ち出した仲間の裏切りやらで、疲れ果てたサイは、そもそもリーダーがタツオと口論にならなければこんなことにはならなかった、とリーダーを責める。逆上したリーダーは管理するとの名目でサイから水を取り上げる。
ふと姿を現した、砂を食べる奇妙な男。
彼の身体が水でできていることを知っていたサイは水を確保するために、いよいよナイフを振り上げる。
『地平線のかなたまでつづいていくような砂漠』が具現化された舞台美術と長い道のりを歩いてきたという時間の経過が見てとれる衣装とメイク、そこにやってきた若者が生きるために水をやってきたものの、ほんとうに生きていないような、あるいは生きる気力を奪われたような、空疎な感じが役者の表情によくあらわれていて、生きることの厳しさをまざまざと見せつけられながらもどことなく浮世離れしている異世界が構築されていた、空気感がよかったです。
笑いどころのほとんどない、緊迫感に満ちた作品であったということにも好感を持ちました。
また、井戸が見つかった喜びもつかの間、井戸の水が少なくなっていくごとに疲労も争いも生まれしまいには信頼関係も消え失せる。その間の心理的な駆け引きも含め、巧いとおもいました。
ただ、井戸の水が無くなるだろうということは、観る者が誰にでも想像がつくことであるので、作中で行われた心理的な駆け引きも、当然生まれるだろうことが予想ができてしまうので、次のシーンは一体どうなってしまうのだろう、という関心があまり生まれませんでした。
おそらく、ハラハラするスリルやサスペンスフルな展開はまったく意図していないとおもうのですが、だとすればそれに匹敵する、観客を作品に惹きつける要素は必要だとおもうのです。
個人的には、水が無いあるいは、水を奪われたという観点から物語に切りこみを入れて、争いごとへと拡大させていく方がより一層、物語の設定も生きてくるようにおもいましたし、シリアスさが伝わるような気がしました。
物語の重要なファクターである奇妙な砂男の身体に刻印されていた証をみたサキが彼の本性を知って少しうろたえるシーンがあったのですが、彼は一体何者だったのでしょうか。彼らと敵対する集落の者?不幸を呼び寄せる魔物??どちらとも判然とせず、モヤモヤ感が募りました。
それから、このドラマに登場する若者たちは、水を食べる集落のひとたちが用いる井戸を無断で利用しているのですから当然、集落のひとたちの声というのは何かしら耳に入ってくるものだとおもうのですが。そういった村人の声が会話のなかから引き出されたりしていれば、もっとドラマに厚みが生まれたようにおもいます。
『はるかむかし、地上には砂を食べるひとがいて、空には星をたべる人が住んでいた。』という内容の台詞は詩的ですきでした。
『刻め、我ガ肌ニ君ノ息吹ヲ』 再演
ACTOR’S TRASH ASSH
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2010/09/01 (水) ~ 2010/09/05 (日)公演終了
満足度★★★★
両キャストとも観て来ました
馴染みの役者さんが何人も出演するし、物語にも惹かれて観ました。両キャストとも観るかどうかは悩んだけれど、目当ての役者さんが別チームだし、PVで観るだけでも同じ役の雰囲気がかなり違うので、両方とも1日で観てきました。
PVで観た時は百狐丸の笑顔に馴染めなかったけれど、舞台で観ると白狐丸に合っているなと思えたので逆に魅力的に見えました。静とのやり取りも、ピュアな恋で素敵でした。特に月の音のくだりがとても良かったです。何度か月の音について触れられていましたが、2人だけの特別な音というのが伝わるし、明日になれば自分のことを忘れてしまう静に覚えておいてもらう為にとった白狐丸の行動も、それによって思い出す静のやり取りも切なくて。
最初に観た我チームは中央寄りだけど後ろの方の席だったので赤い目が分からなかったけど、刻チームの時は前だったのでよく見えました。やっぱり前で観た方が殺陣も迫力が全然違いますね。
白狐丸を鬼として追いかけている鵺たちの側も、郭の女将も、それぞれの心の内面が描かれているので良かったです。
ダブルキャストそれぞれのカラーを楽しめましたし、クライマックスは涙腺がゆるみました。DVDがほしくなってしまいました。
それにしても、藤堂さん演じる盲の男、普段演じている役とはかなり違うので意外だったけど素敵でした。新しい魅力ですね。
ハーパー・リーガン
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2010/09/04 (土) ~ 2010/09/26 (日)公演終了
9月4日(日)S
初日ゆえ?の小ミスが気になったが、役者が凄い。
Sea on a Spoon
こゆび侍
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/09/01 (水) ~ 2010/09/05 (日)公演終了
9月4日(土)M
加速度的に高まっていく緊張感。堪能。
【ご来場ありがとうございました!】蜻蛉玉遊戯
趣向
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/09/01 (水) ~ 2010/09/05 (日)公演終了
満足度★★★★
趣向ワカヌの残酷メルヘン。
胸に秘めた想いを守りつづけたいと願う普遍的な気持ちと幸いを壊したくなる衝動、こころのなかに棲みつく魔物と根拠のない善とが「生きたい」という根源的な欲求を重心にせめぎ合い、交わり合い、嘔吐する、壮絶な争いを繰り広げていた。
人間のドロリとした醜い業がぶちまけられたような舞台だったのになぜだろう。
うつくしくてひかりかがやくおとぎの国にまどろみながらおさんぽしてきた気分になった。
ネタバレBOX
『キョウダイ』
こころとからだ、血でつながっているふたりでひとつの『わたしたちきょうだい』が、だんだん大きくなるにつれ、わたしとあなたが違うことを自覚しはじめ、大人になって離ればなれになってしまったことを、遠い記憶から遡りモノローグ形式で綴っていく・・・。
戯曲のファイルがブログからリンクしてあったので、事前に読んでから観劇しました。活字で目にした時は、おかっぱ頭で目のぱっちりしたうりふたつの無表情な女の子たちが手を繋いでるイメージを抱いたのですが、実際作品を観てみると、白いふんわりとしたワンピースをきた女の子たちが、自由にそこいら中を駆け回っていて、まるできょうだいが共にいきることを祝福しあっているような、躍動感に満ちていて、それは彼女たちの根源的な生命力を意味しているようにもおもえました。
細胞レベルで繋がりあっている、彼女たちが、くっついたり離れたりしながら自我を確立し、互いから逃れたいと葛藤し、離ればなれになっていく様相は身体面ではよくつたわってきたのですが、台詞からは、それが伝わりにくかったようにおもえた場面もありました。私があらかじめ、戯曲を読んでいたからかもしれませんが・・・。実はこの戯曲を読んだ時に、ふたりが共にすごした時間が水のような透明感と響きを持ってさらさらと流れて行くような印象を持って。それが頭のなかに残っていたので、台詞が、1センテンスとして耳に入ってはくるのですが、音としてなかなか耳に響いてこなかったのです。
たとえば、『わたし』という単語が3音に分解(分節)されて『わ・た・・し』と発音されたり、更に『わたしたち』と台詞を重なったりズレたりしていれば、もうすこし違った感覚で観れたかもしれません。また、きょうだいがはなればなれになって、今では互いの安否すらわからないという場面で、物語が立ち止まり、沈黙する瞬間があれば、もっと切ない気持ちになったかなぁ・・・と。
ただこの辺りのことは、この作品の次に拝見した『天葬』では色濃く反映されていましたので、作品ごとに差異を出すために躍動感に絞った演出を意図されたのかもしれませんが。
役者のふたりは、純真無垢な感じがよく出ていてよかったとおもいます。
ただ、緊張していたのか、若干演技が固いような気もしましたが、後半はふたりの演技に引き込まれました。
『天葬』
天葬とは別名鳥葬と呼ばれ、その名の通り鳥が死体を食べるというチベットで行われるポピュラーな葬儀のことである。
この方法で自身の葬儀を行うことを望んでいた父親がチベットで死に絶え、葬儀が行われたとの一報を受けた妻の嶺子、娘の美月、息子の陽司。3人のそれぞれの想いが静かに語られていく。
家族には、家族だから言えること、家族だから言えないことがあるものだとおもうのですが、この家族たちは、その善し悪しを判断することはできるけれども、自身の出したアンサーを胸のなかにしまいこみ、他者に何かを問うことを遠慮してしまうひとたちなのだとおもえました。
そして、時には自分の出したこたえが正しいと自らに暗示をかけてしまう。
たとえば、天文学が得意な娘を、そういうのとは関係のない普通の大学に入れて普通な結婚をさせることが幸せだと思いこむ母の嶺子、姉や母と話すのが面倒くさくてひとり暮らしをはじめる陽司、仕事で世界中飛び回る夫に「戻ってきて」のひとことがいえない妻・・・。
父の訃報を機に家族がひとつに纏まるというのは何とも皮肉。
けれどもなかなかあと一歩踏み込めない彼らのけなげな強引さはとてももどかしく、微笑ましい気持ちにもなるのでした。
『カーニヴァル』
とある町で馬の頭を掻っ切って捌いて売ってる肉屋の女と一緒に暮らすひとりの少女。彼女の母はカーニヴァルの歌い手で、忙しくて面倒をみていられないから、女が預かっているのだという。もうすぐカーニヴァルがやってくる。果たして、ほんとうのお母さんは迎えにくるのだろうか・・・?
『オルゴール箱』を開くとはじまる華やかなカーニヴァル。されど永遠には続かないカーニヴァルは、少女のみる夢も女のみた夢もすっかりシビアな現実としてひとまとめにしてしまって。
ふたりとも、血のつながった母と娘であることを憎み、恨んでいるからこそ、
他人同士のフリをする。
それでも、少女が家を出たいと言うものなら、苦し紛れに『もうすぐほんとうのお母さんはやってくる。』と女は嘘をつく。
だが、自分自身をだませないと悟った時、どちらかを殺さなければならないと悟る。
とても恐ろしい人間の業がほとばしるような作品であったのに、片時も目が離せなかった。
真っ赤な血を流しているのに、それが甘くて美味しいイチゴジャムにでも見えるような残酷だけどスウィートな世界。3作品みたなかでこのおはなしが一番わたしは好きだったかな。
衛星放送に殺意を、
ハイバネカナタ
劇場MOMO(東京都)
2010/09/02 (木) ~ 2010/09/05 (日)公演終了
セリフの応酬
個性に頼る技術のない役者だと物語を背負いきれないので、言葉が全然入ってこなかった。特に妹役に全く共感できないのが致命的。
客演陣は豪華なのに、生かされてなく、もったいないなと思いました。
『刻め、我ガ肌ニ君ノ息吹ヲ』 再演
ACTOR’S TRASH ASSH
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2010/09/01 (水) ~ 2010/09/05 (日)公演終了
満足度★★★★
まさにヴァージョンアップ
過去2回と比べて瀬戸の憎たらしさが強調された結果、以前は唐突にも感じた終盤の「あるシーン」に説得力が出た他、ソフトな終わり方はいかにも「恋の話」。
また、現代パートや遊女たちの傍系エピソードも掘り下げられて、まさにバージョンアップ。
なお、ソワレの座席はI列8番。
劇、ということ
壱組印
ザ・スズナリ(東京都)
2010/08/27 (金) ~ 2010/09/05 (日)公演終了
満足度★★★
シルビアを聴きながら♪
劇というものは、古代より神を寿ぐ(ことほぐ)事から発祥したということで…、神様にまつわるいくつかのお話をオムニバス形式で演じた作品。
シルビアさんを間近に見られ、歌・芝居・踊りを堪能できたのが収穫でした。
ネタバレBOX
ドタバタして面白い場面もたくさんあったのですが、全体としてオチの無い万歳、古典芸能の三河万歳のような印象でした。
イザナミ、イザナギが御柱の周りを回ることがお芝居や舞踏の始まりということで、初めて物語のご説明。
恵比寿さん他七福神、神様がたくさん出てきたからといってなんじゃらほい。
音楽の神であるマイケル・ジャクソンが劇団の主宰に憑依した話、これは踊りやなりきりが素晴らしく楽しく、次の精神病院の診察室に続き期待を持たせるも不発。
サビエルの片腕という安土桃山時代の宣教師の話、嵐の海でどったんばったん、へとへとになるくらいひっくり返って面白かったのですがオチが無く、なんじゃらほい。
恵比寿さんに戻って、釣り竿が客席に飛び込みそうになって後で謝っていたところが面白かったですが、三河万歳的舞踊。
シルビアさんがタップダンスを踊ったときの、草履の鼻緒がついた黄色い靴は素敵でした!
おにもつ
東京マハロ
笹塚ファクトリー(東京都)
2010/09/03 (金) ~ 2010/09/12 (日)公演終了
満足度★★★
社員教育用事例研究か!?
起こるべくして起こった結末、どこがいけなかったのでしょうか?!
社員教育用事例研究で間違い探しをしているようでした。
ネタバレBOX
運送会社を巡る悲喜劇…・。お芝居の進行上、悪い方、悪い方に展開するためには已むを得ない面もありますが、それ以外も含めて社内の管理体制が甘すぎます。
①資金繰りも見ずに手形を受け取ったらすぐに割り引いてしまう。
②手形を裸で持って出る。普通カバンに入れるでしょう。
③会社の印鑑の管理を事務員に任せている。
④会社の印鑑を社外に持ち出す。押印した割引依頼書と裏書きした手形を銀行に持って行きます。
⑤営業車(トラック)を第三者に貸す。
⑥事務所内で酒を飲む。(一般にはよく有ることですが、運送会社の事務所ということを考えると甘いとしか言いようがありません。)
社訓も大事でしょうが、社内規定をしっかりしてほしいと思いました。
その他にも突っ込みどころがあって…、
社員が出勤途中でピストルを発見して会社に持ってきたら、そんなことはめったにないことなので、上司が付き添って警察に行くでしょう。あんなあっさりした社長がいるでしょうか!?
現在の話なのに、なぜ入口のドアが木製なのか?!なぜ昭和30年代の歌謡曲が流れるのか?!
寿司屋の親父だって、いくら祝い事とは言え運送会社の事務所に酒を持っていかなくてもいいんじゃないですか。自分の店で祝ってやれよ。
楽屋
劇団ひまわり
シアター代官山(東京都)
2010/09/03 (金) ~ 2010/09/08 (水)公演終了
満足度★★★
1/5観てきました
なんでも、5パターンの話があるそうです。
やはりベースとして「かもめ」は少し知っておいた方が良いかもしれません。
女優としての確執や舞台へ掛ける情熱など、
観客は、やや演技者向けの設定のような気がしました。
ですけど、要所要所に入ったコミカルシーンなども楽しめて、
見応えはありました。
ネタバレBOX
後半何かの演出上の理由かと思いましたが、
空調が無くなって、えらい暑くなって難儀しました。
劇場から出たら、とても涼しくて気持ち良かった事が、
一番の感想に書き換わりました。
クッションの貸し出しとかもあって、観劇環境は良かったのに。
エアコン壊れたんでしょうか?
あーさて、劇の感想。
前説の女の子、声が綺麗で活舌よく耳に心地よかった。
出番待ちの楽屋にいる赤い服の女優と、
声かかるの待っている白服の二人の女優。
原作者と電話で話して、役を代われと入ってくる。
枕抱えた電波名な女優さん。
70年も前に亡くなってる方と話せるなんて!
出来れば「日本語で話したの?」ってつっこみ欲しかった!!
後に白服3人になって、地縛霊らしい事が判るのですが。
永遠に声のかからない、出待ちって。
地獄ともとれる気がしますが・・・。
3人の舞台にかける熱量は、よく伝わりました。
他のパターンも観たかったかな。
役のある女優への嫌がらせで踏みつけられる、帽子が可愛そうでした。
でー評価ですが、空調の件で星ひとつマイナスです。
衛星放送に殺意を、
ハイバネカナタ
劇場MOMO(東京都)
2010/09/02 (木) ~ 2010/09/05 (日)公演終了
満足度★★★
あまり近未来感は無かった
物語の整合性や説得力不足を感じた、
アオシマさんのマイクを持つと豹変する設定は面白かったりもするのだが。
出演キャラの人物設定は、がんばっていたと思うが。
観客に見せる部分などが、今ひとつな感じがしました。
ネタバレBOX
サクライ姉の家出って・・。
十代の子供が親の借金背負うって変に思いませんか?
せめて「ハヤテのごとく」みたいに、身体の売買で狙われた!とか
未来なら、えぐい話で。環境の良い土地で育った子供を、
究極のグルメで食材にしてしまう!などという方が。
子供が必死に逃げる理由としては、納得できませんか?
(文字通り食べられちゃうんですし)
アオシマさん冒頭で留置所入ってるみたいですが、
オチは捕まるところと、してしまうよりも。
その留置所からの(それとも、そこへの?)
移送シーンも劇中にあるのだから、その先のワンシーンで〆るべきでは?
イトウさんの首から提げたアイテムの変化は楽しめました。
オタクさんのキャラともあいまって(^^)。
海賊放送立ち上げメンバーとしては面白かった。
けど?と思う設定も多かった。
お金なんぞを未来風に変えていましたが、
物価の違いで10万円札とか出しても笑えたかも。
キャバ嬢2名のキャバクラとか、
お金くれたら友達です、とか面白い設定やら科白入るのに残念でしたね。
題材は良かったと思うんですが、切り口があまかったかな。
次回作は全編暗室が舞台の、フォトレンジャー(コメディ)希望します
The Bando-Wanderer ~無稽・将門
劇団BOOGIE★WOOGIE
SPACE107(東京都)
2010/09/02 (木) ~ 2010/09/05 (日)公演終了
満足度★
血で血を洗う「無稽」
神武天皇が即位した皇紀元年と、日本が戦争に向かい始めている1940年(皇紀2600年)を対比させ、時空を超えた時代劇活劇。
まさに血で血を洗う殺戮の歴史で、主人公の側に立った殺戮の正当化、自己満足ばかりで、観ていて救いがなかった。
こういう活劇作品は、劇団新感線と傾向が似ており、どうしても比較してしまうので、申し訳ないが内容はお安い感じが否めず、チケット代4000円は高い気がする。登場人物が多くて人物相関が複雑なので、相関図が載った100円のパンフレットを買うようにできている(笑)。しかし、作家、演出家らの対談がふざけすぎていて、腹が立つ。作品についてまったく語らず、「言っとくけど、うちら飲んでなんぼの劇団だから。有料パンフを買ってくれたお客さんに、かんぱーい」だと。もっと真面目にやったらどうなのだ。裁断ミスのように切れていて解説文が読めないフライヤーといい、どこまでも客を舐めている劇団らしい。
ネタバレBOX
昨今増えてきた、殺陣の多い時代劇スペクタクルはとにかく出演俳優が多く、チケットノルマ対応策を感じる。
この芝居では、「殺陣」を見せるため、殺戮を繰り返しているような脚本・演出が、観ていて不愉快になってきた。
1940年の場面の「国軍」は日本というよりも米国のようだし、1940年といってもピストルが出る以外、江戸時代みたいに斬り合いで、違和感が強い。
主要人物の藤原純友、平将門、平塚国香、ツクヨミがそろって野心家で、「平和のために人を殺すのはしかたない」みたいな台詞を言うから、共感できない。純友が神武天皇になる、というのもさすがに納得できない。
滑舌が悪い俳優が台詞を噛んだことさえ、アドリブでお笑いにもっていこうとしたり、俳優いじりで、まったくウケない一発芸をさせて、シラケさせたり、客を舐めるな、と怒りたくなってきた。
シャーマンを演じる日美呼(上田郁代)、トヨ(本倉さつき)が2人とも滑舌が悪く線が細いので、役のカリスマ性が出ない。特に本倉は声量がまったくなく、前列の私でさえかろうじて聞こえる程度だから、後ろの客まで声が届いていなかったのではないだろうかと思った。時代劇のヒロインを見た目志向でアイドルっぽい女優を選ぶ傾向が目立つが、こういう役こそ、黒色綺譚カナリア派の赤澤ムックや牛水里美あたりが演じれば、少しは厚みが出るのでは、と思うのだが。
お笑い担当の上地春奈が「イジリー岡田そっくり」などとイジられながら笑いをとっていたが、ウケようという必死さが芝居に出てしまうのが気になった。
陰鬱で残酷な悪役、田原トウタを演じた村田祐輔がフィナーレでは別人のように明るく、この俳優は笑顔のほうが数段良い。キャスティングに疑問も感じた。
そのうえ、主役の将門(小川信太郎)と純友(佐藤秀樹)が思い切りむさくるしいオジサンで絵面的にも魅力に乏しく、小劇場系劇団だからこそ実現できる企画という感じだ。
極め付けに呆れたのはラストシーン。新型爆弾を積んだ2つの爆撃機というのは、広島、長崎への原爆を暗示していると思うが、阻止しようとする純友、将門は描かれず、物語が尻切れトンボで終わり、フィナーレが始まる。終わったと思ったら、カーテンコールの意味もあるのか、もう一度同じ音楽と振付のフィナーレがやたらハイテンションに繰り返されるのだ。クドすぎる!出演者だけが楽しそうだったが、バテて膝がガクガクしている俳優もいた(笑)。おまけに千秋楽でもないのに、2度とも小川が「お手を拝借」と言って、3本締めを客に強要する。「何なんだ」と思った。
この劇団の「将門」の企画、今春には朗読劇バージョンも上演されたが、以前の公演では劇団への評価が高く、絶賛されて「今後も観たい」という意見が多かった割には、春、今回ともCoRichでの注目度が極端に低かったのはとても不思議だ。
マカロニ・ウェスタン・ほうれん荘
劇団阿佐ヶ谷南南京小僧
明石スタジオ(東京都)
2010/09/02 (木) ~ 2010/09/05 (日)公演終了
満足度★★
ごちゃまぜとチープ感
初見の劇団で、明石スタジオも初体験。
「吉本新喜劇+アングラ+不条理劇+60年代大正テレビ寄席」みたいなナンセンス・ミュージカルといった趣。雰囲気も内容もともにごちゃまぜ感が強い。観ていて気恥ずかしくなる演技の連続に当惑(笑)。
チープ感たっぷりでいまどき珍しい個性の劇団だとは思うが、好き嫌いは分かれると思う。
ネタバレBOX
日劇と、その跡地に建つもうすぐ閉店の有楽町西武へのレクイエムともいえる作品。
無楽町の西部デパートが、どう見てもちっちゃな個人経営スーパー(笑)。
閉店セールにも客がやってこないという絶望的な状況のなか、在庫ダンボールの向こうからそこに棲み着くカウボーイ姿の日劇の怪人(?)たちが現れ、日劇ウェスタンカーニバルを繰り広げるという趣向。
言葉遊びを取り入れたギャグで単なるオチャラケではないのだが、客席は無反応で終始引き気味でシーンとしていた。はじめのほうの「夢見るシャンソン人形」は期待させたが、西部劇の話が入ってくるので、音楽部分のノリが中断される。この西部劇部分の芝居が単調で退屈してしまい、眠気に襲われ、もうだめ!と目を閉じた瞬間、あっけない終わりかたで照明がつき、明るくなった(笑)。
想像していたよりウェスタンカーニバルの部分が少ないのが残念。マカロニウェスタンのパロディーもいまの人たちにはどれだけ通用するかは疑問で、ミュージカルに絞ったほうが楽しめた気がする。
言葉遊びを取り入れ、単なるオチャラケではないのだが、客席は無反応で終始シーンとしていた。
開演前、100円マッチを販売していて、レトロな異次元といった雰囲気の劇団。ご当地商店街でウケている余興を無理やり見せられたような居心地の悪さが拭えなかった。
あちゃこ先輩(たなか智保)、店長(椿やきそば太)、トシ(雅憐)が、大林素子、瀬戸わんや、仲村トオルの共演を連想させ、そういう意味では面白かった(笑)。「たまりませんわー」のギャグを連発する伊藤昌子は唐十郎のアングラ劇に出てきそうな雰囲気で、同じ日劇でもミュージックホールのストリッパーみたいな厚化粧が強烈だった(笑)。
わたしが高円寺に住んでいた子どものころは、ここにこういう劇場もなく、自分自身が異次元に迷い込んだような不思議さは味わえたけど。
流れ姉妹〜たつことかつこ〜 第一章
真心一座 身も心も
TOKYO FM HALL(東京都)
2010/08/19 (木) ~ 2010/08/28 (土)公演終了
評判はいいようなのだが?
私の座席が完全なハズレであったことと、かなり寝不足であったことと重なり、ほとんど記憶に残っていない。というか忘れてしまいたい。それぐらいつまらなかった。このキャストで・・・信じられなかった。
ヴィジョン
ミームの心臓
神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)
2010/09/01 (水) ~ 2010/09/06 (月)公演終了
満足度★★★
真摯さ
に、やられました。当日コンディション最悪の状態で観てしまったのを後悔しています。
ネタバレBOX
アイデンティティに悩む若者の慟哭を、文学的な硬めのセリフで一字一句落とすように語っていく内容。パンフレットに役者陣の生年月日が書いてありましたが、まさにこの年齢で上演するのに相応しい、今でないとできない作品だったと思います。特に主人公の女の子は役者が大学生なだけでもみずみずしさが失われてしまうような気がしました。
令奈さんの「あたたかい目」と、不意に発する刺さるような言葉がとても印象的でした。
ただ、物語の着地点が開始数分で見えており、自分の体調不良もあってか感情移入ができず、終始同じ距離感をもって籠の外から眺めるように観劇していたので、120分の時間は長く感じられました。100分だとおしりにも嬉しいなと思いました。
東京アメリカ
範宙遊泳
STスポット(神奈川県)
2010/09/02 (木) ~ 2010/09/07 (火)公演終了
満足度★★★
ううむ
ボーダレス感もありながら、分かれている部分では、きっちりとめりはりがあり、完成度の高い劇中劇だったと思います。ただ、自分には多少演出過多だなと感じるところが随所に有り、その部分では一定の観劇層が盛り上がっており、おいてけぼりな印象を受けてしまいました。
ネタバレBOX
観客にお面を被せることが演出上必要なのですが、なかなか会社帰りのしがないサラリーマンには厳しかったです。ミサンガ的なもの、手に張るシール、的なものにしてもらえるとありがたかったかなと。
Sea on a Spoon
こゆび侍
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/09/01 (水) ~ 2010/09/05 (日)公演終了
満足度★★★
初見でした!!
初!こゆび侍!僕は照明の事はほんとになんにもわかんないが、すごくきれい。音響も僕には響きまくっていた。演技も皆さん好感がもてたし良かった。自分的な欲を言えば、少し場的に平坦になったところがあったかなぁと。会話のやりとりで小さい山的な盛り上がりの繰り返しを作っていくともっとおもしろいと思います。あくまで僕の感想です。おもしろかったです!!
衛星放送に殺意を、
ハイバネカナタ
劇場MOMO(東京都)
2010/09/02 (木) ~ 2010/09/05 (日)公演終了
満足度★★★★
熱意 白と黒
すべての衛星放送が検閲された閉塞の近未来。ジョージ・オーウェルを連想させるような、管理された社会にあえて挑戦する三人の男。着想がなかなかいい。ストーリー自体楽しんで観ることができた。
約二時間の劇で、おそらくは普通の劇の二倍はあろう台詞の多さ。よ~く聞いていると、その一つひとつの台詞の中に潜む言葉が実に豊かなのである。脚本家の言葉や表現に対するセンスの良さが伺われる。
言葉の量が多いことからして、役者はその分饒舌である。しかも早口、さらに絶叫する場面がかなりの部分を占める。
脚本家にとっては想定外だったと思うが、この豊饒な脚本ははたして成功したのか。残念ながら否。
良く言えば「宝の持ち腐れ」、意地悪に言えば「舞台を忘れたデスクワークの産物」であった。
二つの意味で、豊かな言葉は、観客の心を豊かにはしてはくれなかった。
一つは単純に、早口と絶叫で、聞き取りづらい箇所がいくつもあったこと。
二つめは、饒舌の場面で、役者の演技が停止してしまうこと。歌にたとえれば、メロディーを抜いたラップを聴いて、欲求不満になっているかのよう。
通して、役者さんの熱い演技は胸を打つものがあっただけに、それが「力み」として受け止められてしまったことは残念至極。
言葉を控えめにした、演技で勝負するものを次回以降に期待したい。