坂口安吾 白痴
726
OFF OFFシアター(東京都)
2010/10/14 (木) ~ 2010/10/19 (火)公演終了
満足度★★★★
夢見るように眠りたい
初726。
原作を読んだのは遥か昔ながら、読後と観劇後の印象が変わらなかった。
オリジナルの要素も多分にあったので巧みな脚色なのだと思う。
対面座席にする必要あったのかなと、終盤まで疑問だったが、なるほどなるほど。
ラストシーンの余韻がとても好きだ。
ネタバレBOX
終盤の窓を開ける演出は、マチネとソワレで印象が変わりそう。
葬送の教室
風琴工房
ザ・スズナリ(東京都)
2010/10/06 (水) ~ 2010/10/13 (水)公演終了
満足度★★★
みた
チラシ写真やタイトルとは違う内容で、少し肩透かしを食った。そうした作品はたくさんあるけれども、実話をもとにした物語だから、そのぶん変化球を期待する気持ちがあったのかも知れない。
人物同士の気持ちのぶつかり合いはわかる気がする。だから、、
ネタバレBOX
だから終盤、航空会社の2人が去った後に突然やってくる和やかな空気に違和感を感じた。緊張感を緩和させたどさくさで風呂敷を包んだなという印象。
あまり気持ちが入り込めず、なぜいまこの題材で、さらに舞台にしようとしたのか、そればかり気になった。
ドールズハウス★ご来場ありがとうございました!!!
u-you.company
サンモールスタジオ(東京都)
2010/10/13 (水) ~ 2010/10/19 (火)公演終了
満足度★★★★
うれしい再見
ちょっとヒネリの効いたメルヘン・ファンタジー。楽しませてもらいました。おまけのダンスショーもよかったし。それと個人的には、乱痴気STARTERで見た「生物」に再見できたのがうれしい。いいぞ!「生物」。
気付かない奴は最強
箱庭円舞曲
駅前劇場(東京都)
2010/10/06 (水) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★
みた
皮肉っぽさもあるけど、冷笑しているようには見えなかったからいいのかもしれない。
落語は人間の業の肯定だと言った人がいるけれど、落語を演劇に置き換えてもいいんじゃないの?と思うのはこういう芝居を見たあと。
国家婚活支援法
ジャイアント・キリング
しもきた空間リバティ(東京都)
2010/10/15 (金) ~ 2010/10/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
傑作ですね。
ええ、傑作です。
素晴らしい作品でした。
ネタバレBOX
初っ端、役者陣がきっちりと席に付き、男性陣が全員おしりをこちらに向けているものですからね、もうこのまま進んでいってしまうんじゃないかと、もしかしたら男性陣の顔を見る事なく劇場を後にするんじゃないかと、なんだか少々不安になっていたのですが、そんな不安は即座に解消されました。全くもってどうでもいい不安でした。
いやぁ、それにしてもストーリーがとても良く出来てました。そしてすこぶるおもしろかったです。
終盤、カップルになって去って行く場面なんか最高でしたね。ああ、クライマックスなんだなこれはと、はっきり感じさせてくれましたもんね。レストラン入口に『食べられません』と書いてあるサンプルの食事みたくはっきりしてましたもんね。
そういえば昔、女性があまりいない島に結婚希望者を集め、一大お見合い大会のようなことをしていた番組ありましたよね、なんだかそれを思い出しました。
それにしてもシシドですかね、あの自衛官、その役をされていた方、すごく声が良くて、同時にいいセリフをたくさん言うものだから目が離せませんでした。ロマンチックだとか、そんなチックじゃない本物のロマンを見せてくれました。
そしてツカモトですかね、あの元タレント、その役をされていた方、地があんな感じなのかなと思って見ていたのですが、最後の挨拶の時の表情を見たら全然違いましたね。すごく穏やかな顔でかわいい方でした。役者さんなんですね、やっぱり。すっかり騙されました。そしてちょっとホッとしました。
いやぁ、なにしろイイモノ観させて頂きました。
僕も婚活パーティーに出ることにしました。
三十女
ペテカン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2010/10/13 (水) ~ 2010/10/21 (木)公演終了
満足度★★★★★
みた
都会的な感覚と郷愁を呼び起こす雰囲気づくり。見ていて笑い、切なくなり、また笑う。
話に目新しさなどなにもないのにまた見たくなる不思議。
窮する鼠
JACROW
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/10/12 (火) ~ 2010/10/17 (日)公演終了
満足度★★★
みた
役者は達者な人がごろごろいた。変わりように目を見張る人もいた。物語はどれも半端だった。次回本公演に期待。
性的敗北
シンクロ少女
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/10/15 (金) ~ 2010/10/17 (日)公演終了
満足度★★★★
タイトルの意味
個々の愛憎劇に歪んだスパイスをかけて味を濃くしたような作品。客席は対面式だが、終盤エロいシーンがあるので見どころは会場に入って手前の前列座って左側が絶妙なエロチックゾーン。ここの席は料金倍額でも良さそう!!笑
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
3人兄弟の弟と妹は近親相姦の仲。これを知った兄嫁は一般常識を盾に二人を別れさせようと尽力する。この時に兄嫁は夫に種がない為に子供が授からないことも暴露する。やがて別れた兄と妹。妹はうどん焼きそばの店員と恋仲になり、一方で妹に捨てられた兄は妹を忘れられない心の痛さに泣きじゃくる。そんな背景を利用するように兄嫁が弟の種を貰いに来る。「夫に種がないから貴方の種を私に頂戴!そして子供を生むわ。」とセックスを夫と一緒に弟に強要するも、投げやりになっていた弟は兄が応援する眼の前で兄嫁とセックスをする。セックスシーンでのしまおみほはパンツを脱いで投げたが下はスッポンポンのように見えた!(すっかりオヤジ発言!)
もう一方の愛憎劇も同時進行的に反対側で公演される。ヤマダ(女)の親友リオ(女)はヤマダにケイジという同棲相手が居るにも関わらず頻繁にヤマダを呼びつける。ここでのリオは「ヤマダが好きで好きで仕方がないから一緒に居て欲しい」とのたまうが、ヤマダが幸せそうな環境に居ることに嫉妬している表情も見せる。そんな折、リオはケイジに会うことを思いつく。この時にヤマダは「酒癖が悪いからケイジにはお酒は飲ませないように」と耳打ちするも、いざケイジに会い、ケイジから「ヤマダの話でもっと酷い女かと思っていたけど違うじゃん」との一言でリオはヤマダからケイジを奪うことを決める。ヤマダにとことん酒を飲ませ自分も酔ったフリをしてヤマダの目の前でリオはケイジとセックスをする。これが原因で別れるヤマダとケイジ。その後、ちゃっかりとリオはケイジの恋人に収まる
三組目の恋人2人、ナツヒコとユリは今にも破滅しそうな恋人どおし。観客の目にもたぶん、そのうち別れるんだろなーと予感さえしていた人は多いと思う。そんな二人がユリの妊娠によって、ナツヒコはこれから地獄になることも想定しながらも観念する。笑
三組三様のゆくえを描いた作品。観終わって男が性に敗北する場面を描きたかったのだなと理解する。序盤、静かなモノローグの始まりだったため、ただの恋愛ものかな?と思っていたら違った。誰にでも受け入れられる物語ではないから、好みは割れると思うが、「人間の業」のようなものを感じた舞台だった。相手の弱点を利用して勝ち誇る醜さが絶妙な物語!誰かの不幸の上に幸せが成り立ってるような構図。観ておいても悪くない、と思う。
性的敗北
シンクロ少女
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/10/15 (金) ~ 2010/10/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
みた
好き嫌いは分かれるだろう。でも薦めたい。
僕はまた今日も 未完成の音楽で唄う
東京ELECTROCK STAIRS
こまばアゴラ劇場(東京都)
2010/10/14 (木) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★
なんでもかんでもKENTARO!!
場内のビール販売もKENTARO!!。振り付けに関係なく、ダンスだけで見せることのできるダンサー。誕生日おめでとう。
性的敗北
シンクロ少女
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/10/15 (金) ~ 2010/10/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
○○と××をのぞく
全てのひとにみてもらいたい!!
ネタバレBOX
「不妊に悩む夫婦」と「近親相姦のカップル」
をのぞく全てのひとにみてもらいたい!!
「ファイナルファンタジー」「やがて僕は拒絶する」
劇団エリザベス
タイニイアリス(東京都)
2010/10/14 (木) ~ 2010/10/18 (月)公演終了
満足度★★★★
青年の苦悩が詰まってる。
2作品観劇。両方とも僕のあがきやもがき、苛立ちを濃縮還元にして制限時間内いっぱいにフルスピードで押し切ったような、俗に言って青年の苦悩をテーマにしていたが、見せ方も演技の質も全く違っていて、ほんとうに同じひとが描いた作品なのかと疑うほどだった。
なんでも当パンの主宰のあいさつ文によると片方の作品が好きだともう片方の作品はキライになるように心掛けたそうでご多聞に漏れず、私もそのようになった。
『やがて僕は拒絶する』の方は登場人物たちが自分の気持ちを素直に吐き出すことが多かったので、それぞれの苦悩がよく伝わってきたが、そのすべてが僕が僕を肯定するためにでっちあげるたくさんの嘘だとすると、言葉の持つ意味合いが反転するように思える演出が秀逸。
一方、『ファイナルファンタジー』は、つまらない日常から全力で逃走しようとしている僕の話。
現実なんてクダラナイぜ。っていう精神状態を中指を突き立てて大人に歯向かったり、世の中に対する不平不満をそーゆー仲間を集めてロックな音楽に乗せて歌ったりするようなわかりやすすぎるエネルギー行動に流れずに、何かのせいにしてヘラヘラ笑ってフラフラネトゲーに勤しんでいる『僕』の不健全さ、そのアナーキズムが最高。
そして、大事な言葉をあえてサラリと受け流すスノッブさが、現代口語演劇をアイロニカルに表現しているようでかなりツボだった。
どちらを観ようか迷ってる方は両方見たほうがいいとおもうけど、安全な場所からダメ人間を眺めていたいひとは『やがて僕は拒絶する』を、現実逃避が趣味なひとは『ファイナルファンタジー』を個人的にはお勧めします。
ネタバレBOX
両作品とも登場するのは僕の母、僕の彼女、僕の友人で、僕をとりまく身近な人々との対話が『僕は拒絶する』では僕の脳内において、『ファイナルファンタジー』では細々とした会話が僕の部屋で交される。
ただこの作品のなかで特徴的なのは、僕以外の登場人物たちの実体が見えにくいというか、消失している、妄想の産物ですらあるように見せている点であろう。
事実、彼/彼女たちは、それぞれ僕の『彼女』『友人』『母』を演じているに過ぎず、それ以上でもそれ以下でもない。だから、余計な感傷も感情移入も受け付けないし、無印良品の商品みたいにクリーンでドライなイメージだ。
そして、彼/彼女たちの言動はとっても軽いから、自意識過剰の僕には重すぎる。重すぎるから、他者とのコミュニケーションをファンタジーである。と受け止める。なぜなら、そうしなければ現実をまともに生きていられないからだ。
しかしそんな風にはぐらかして自分を騙し続けられるほど『僕』は強くないし、強くないと信じていたい。だからいつか心はぐしゃっと潰れてしまう。
するともう、目の前には絶望しかなくて。死にたい、だなんて安易な欲望にすり替える。
生きるか、死ぬかの瀬戸際で関わりあった彼/彼女たちとのオモイデを頭んなかに描きながら自己対峙するのが『僕はやがて拒絶する』であったのではないか、とおもう。
この作品のなかで『僕』は28歳で派遣切りにあった障害者として描かれる。
おそらく、生きることへの苦難や苦悩を障害者という形にして表現していたのだろうが、これらの情報は不要におもえた。
そんな風な設定を整えなくたって充分伝わる内容なのではないか、と感じたのだ。
それに、障害者だから健常者より生きるのがつらいよね・・・的な差別心がとても頂けない。
僕が好きなら僕の糞を食べるべきだ、というくだりにも絶句した。
(←しかも人糞はネタ的にも新しくない。ソドムの市とかピンクフラミンゴとか見てるひとたちに対して不親切!笑)
更に、客入れの時に筋肉少女帯の『踊るダメ人間』がヘビロテされてて苦行の30分だった。
ほんとにダメなひとは筋少なんか聞かないだろうし、踊るダメ人間のサビでジャンプしたりしないでしょ。笑
あと気になったのは、物語が全体的に、ダメなひととはこーゆーひとのことを言うんじゃないだろうか。的な一般論の偏見で満たされているような感じがしてしまったこと。
脚本のなかで唯一、すっごいオリジナルとおもったのは、パソコンけーたい破壊自殺のくだりと、僕の彼女に好き好き大好きとか超言いまくるところ。あれはすごくよかった。
ネタバレ外にも書いたけど、この作品はとにかく空間演出が優れているとおもった。僕と対話するひとをひとりづつロシアンルーレットのように回転させて、『僕』の混乱をも表現する。キミもボクも地球だって、ぐるぐる回る。
ただ、役者の演技についてはちょっと過剰だったような気はした。自分がどちらかといえば、辛い時にほんとにひとは辛いと言えるのかな、とか泣きたい時に泣けないことだってあるんじゃないか。とかおもったりする側だから、なのかもしれないけれど。
あと、妖精ちっくな衣装も、正直言ってあんまり・・・だった。
30まで童貞だったら妖精になれるとかいう都市伝説をベースにしてるっぽくて、そういうのもなんだかなぁ・・・苦笑
というわけで、この作品に対して抱いた感想ははっきり言うと『嫌悪感』だった故、まんまと公演の意図に乗せられたのだけれど、
この作品の次の日に『ファイナルファンタジー』を観る予定を入れていたので、一抹の不安がよぎったことも確か。しかし、それは杞憂に終わった。
それどころか『ファイファン』最高!でございます。
もっと言ってしまうと、ファイファンしか観ていなければ、満足度は星5つあっても足りないくらいだった。それほどまでにグッときたのだった。
話のなかで言わんとしていることは『やがて僕は拒絶する』と同じではあるものの、『僕』と僕をとりまく人々のそれぞれの生活感が身体に染みついる感じがして、説得力が凄まじかった。
『僕』は観客のいる客席という現実から背を向けて、ひたすらネトゲーというめくるめくファンタジアと向き合っているわけだけど。そんな態度であるくせに、ティーシャーツの背中には『僕』という意思表示をしっかり行っていて。
僕は確かに今ここに存在しているということを叫び、訴えているようだった。
『僕』と世界を繋げるものは、ネトゲーと携帯電話だけで。それ以外の物、たとえばお風呂とか冷蔵庫とか、スイカとかそーゆーものは普通にあるけど、適当に抽象化されている。ドアなんて、普通に透明。日常会話も普通にあるし、友だち・彼女・親とだって普通に話す。それなりに。
まったく楽しくもない、生産性のない会話。一方通行の関係性。
そしてだらだらと果てしなく続いていく日常。その倦怠感。わかるな、この感覚。そして「オレの人生、レベルアップするだけだから。」とか、「目が死んでるところが最高なんだよねー」という台詞とか、自分が戦うのは怖いから、誰か代わりに戦ってくれよ。みたいな他力本願さとか。共感するばかりだった。
だけど、いつか現実を直視しないといけない時は必然的にやってくるわけで。
そん時は自分自身で戦わなくちゃいけない。終盤でコントローラーに操られてゲームの世界を走り回る『僕』は、現実と向き合うための訓練をしていたのかな。最後、『僕』はうつむきながら正面を向く。
『クダラナイ日常』と向き合うことは絶望的ではあるけれど、それが希望だと信じるフリして生きるほかない。それが、『ファイナルファンタジー』だとおもった。
この作品は、色んな事象がメタファーで彩られていたから、観るひとがそれぞれ想像できる自由度があって。押しつけがましくない感じが観ていてとても心地よかった。多くの台詞は鋭利なナイフのようにささくれ立っていたけれど、それ以上に空気感で何かを伝えようとしているように思えて、それもよかった。
あと、全編に散りばめられたギャグセンスもすばらしかった。特に、性行為が『はばたき』のイメージっていうのはかなり面白かった。妖精役のひとの動き・表情も変態気質でかなり萌えた。Wあと、手塚の○○○。あれはズルイ。けど相当面白い。大人しく退場せずに、カーテンからチラチラと客席を伺う時のあの顔には奥ゆかしささえあった。笑
あと、尾崎豊を『自殺』『恋人』『若者』のメタファーとして登場させる手腕がアイロニカルでいいとおもった。
終盤のコントローラーに操られた僕が走り回るシーンでwowakaの『ロンリーガール』が流れた時はかなりビビった。あの曲、死ぬほど好きだから。だけど、なんでオリジナルの方じゃなかったのかはかなり謎。原曲のキーはもっと高いハズなんだけど。あと、歌詞の内容を重視するなら、ロンリーガール&ロンリーボーイの両面で作品をつくって、繋がりたいのに繋がれない、繋がらない僕たちとか、出会いたいのに出会わない、出会えない、出会うことを拒絶する僕たち、とかっていう形にしてもよかったんじゃないかとおもった。
それから気になったのは、弾道ミサイルのくだり。『壊れゆく世界』を気に留めない僕、だったり終末感的なデカダンを表現していたのかもしれないけれど、ちょっと中途半端だったとおもう。今、日本は戦地でどこもかしこもすごいことになってる、みたいな混乱をもっと話のなかに噛ませてもいいとおもった。
ともあれ、自叙伝的な2作品だと勝手に想像したので、次回作がどうなるのかかなり期待。
ジャパニーズ・スリーピング/世界でいちばん眠い場所
遊園地再生事業団
座・高円寺1(東京都)
2010/10/15 (金) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★
宮沢章夫さんの三年振りの新作舞台
シャープで洗練された空間。意識ははっきりしてるのに、眠っているような感覚が新鮮で、豊かな演劇体験ができました。役者さんはみんな自立していてかっこ良かった。お好みは分かれる作品だと思います。
バニラ
643ノゲッツー
OFF OFFシアター(東京都)
2010/09/29 (水) ~ 2010/10/05 (火)公演終了
満足度★★
何が言いたかったのか
役者さんは熱演で、おもしろい掛け合いがあったりしたが、、何を言おうとしていたのか不明。舞台もロッジが殺風景でもうちょっと何とかならなかったのか。うーん。
坂口安吾 白痴
726
OFF OFFシアター(東京都)
2010/10/14 (木) ~ 2010/10/19 (火)公演終了
満足度★★★
うーん
良かったと思いますが。。。
ネタバレBOX
役者さんの声がよく通ってきれいでした。舞台も不思議な演出で、空間の使い方がうまいと思いました。開演前から開演直後まできこえていたのは外の騒音だったのか。それも不思議感を醸し出していた。
役者さんもうまかったと思います。伊沢が芸術と生活の間で揺れるところ。大家さんの(下世話な)リアリティ。白痴の女はあの時代の中で正気でいるために白痴を装っているのか。家鴨の悲しみ。煙草屋の女の願い。本音を隠して生きる傷痍軍人。
古典はことばがきれいですね。宮本輝の短編小説「幻の光」とかやってほしい。空間の使い方がうまいからできると思う。ただ、終わり方が混沌としていた。原作に忠実なのかもしれないけれども、現代に生きる私たちへのメッセージもほしかったかも。心に残る科白がなくて残念(あまりに期待しすぎか)。最後に、冒頭で着物姿なのにコンビ二の袋を持って出てこられたときには面食らって、最後まで気になった(もうちょっと気ィ使ってくれ)。
カズコと、天使
さるしげろっく
テアトルBONBON(東京都)
2010/10/14 (木) ~ 2010/10/17 (日)公演終了
満足度★★★
あるがままを、
一つの絵画を通して描く現在、過去、未来の話。こう宣言していることの功罪が少し感じられました。
ネタバレBOX
過去は現在へのきっかけであるビッグバンか、昨日の様子のような感じなのか…、「飾られた…」とあることから、絵画が持ち込まれた経緯、どんなきっかけがあったのかと楽しみになります。
未来の話があるということは、現在の様子が続くということです。現在の話は建物を取り壊すことについての会議のシーンで始まりましたが、建物を残すことに決まっています。結果は分かり切っています。
過去の話は女流作家と売れない絵描きの夫の話。女流作家の気持ちを考えると、いつまでもこの風景が続くような気がしました。というか、未来は過去からの続きですが、さらに未来に続いてほしいなと思いました。
未来の話は、盗賊かテロリストか、そんな組織の人間が逃げ込んでたてこもる話でした。未来には続かない一日、最後の日を表現するにはこうしないとだめだったんでしょうか、強引な内容でした。絵画を破り、建物を爆破させました。
女流作家の気持ちを考えると残念ですが、未来永劫まであると思っていた大木も落雷で枯れてしまうこともあります。大風で倒れた古木もあります。
物には始まりがあり、終わりがあります。悲しいけれど、あるがままを受け入れました。
窮する鼠
JACROW
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/10/12 (火) ~ 2010/10/17 (日)公演終了
満足度★★★★
場を浮かび上がらせる力
くっきりと伝わってくる
物語の語り口にひかれ
その構造にゆだねる時間を過ごすことができました。
お芝居の秀逸に加えて
場を浮かび上がらせる
作り手の力に感心しました。
ネタバレBOX
中短編的な尺の3本がほぼ同じ役者で
上演されていきます。
・きぼうのわだち
観る側はお気楽極楽に笑ってしまうのですが、
そのなかに様々な構造が織り込まれていて
笑いの後にいくつもの色をしたペーソスが残る。
披露宴に向かう登場人物たちが
それぞれに抱えるものが
同じ色に塗りこめられているように思えて
それが次第に個々の感触にばらけていくところに
ぐいぐいと引き込まれてしまう。
立ち位置や台詞の間が
うまくコントロールされていて・・・。
また、役者たちの動線に加えて
デフォルメされたホテルマンのお芝居や
花嫁の兄の存在などがしっかりと効いて
ルデコの素舞台を
ホテルのロビーの一角に見せるだけの力があって。
なにか舞台の総合力に包まれて
グイっと見入ってしまいました。
・Loveletter from・・・
物語の構造はそんなに複雑なものではないのですが
個々のシーンに編み込まれたニュアンスに
厚みがあって。
表情で顕す想いが鮮烈。
それゆえ
想いのずれのような部分が
あざとさなくくっきりと伝わってくる。
一つ間違えばソープオペラのような
薄っぺらさが漂いかねない物語なのですが
きっちりとした個々のシーンのニュアンスと
役者たちの作りだす空気感が
観る側をひと膝進ませるような
ふくらみを舞台に与えて・・・。
個々のキャラクターの肌合いが
べたつきなく観る側に残る感じにも
好感が持てました。
ちょっと嵌る質感を持った作品でありました。
・リグラー
どこか小汚い雑居ビルの雰囲気と
登場人物の存在感が
しっかりとした圧力を
空間全体に作りだしていく。
営業系独特の雰囲気が
絶妙にデフォルメされて
腰の据わったリアリティへと昇華していきます。
ありがちな大会社の構造がしなやかに裏打ちされていることで
さらに観る側に現実感が生まれて。
その中にキャラクターの存在感が
がっつりとはまる。
ちょっと引くほどの強さにも
目を閉じることをさせない
お芝居の手練があって。
そこまで押し切られているから
終盤の展開をそのままに受け取ることができる。
課長や妻のそれぞれから滲み出てくるものに
ことわりがあって、
しかもそのことわりに頼ることのない
雰囲気の醸成がさらに重ねられていて。
常ならぬ感覚が現実の質感として
観る側に広がっていくのです。
ラストで本公演につなぐ仕掛けも
実に粋。
この劇団らしい美学を感じる。
***** *****
まあ、初日ということで
作り手のちょっと探りながらのお芝居を感じた部分も
なかったわけではないのですが
逆にこれだけのおもしろさに
さらに伸びる余白を感じさせるというのは
相当に凄い。
終演後素明かりになった空間をながめ
素舞台に近いルデコの空間を塗り替える
作り手や役者の力量に舌を巻いたことでした。
窮する鼠
JACROW
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/10/12 (火) ~ 2010/10/17 (日)公演終了
満足度★★★★
見応えある3本立て
短編3本なのだが、その内容は濃い。
単なるストーリーというよりも、物語としての広がりを感じさせる。
ネタバレBOX
『きぼうのわだち』
軽妙さがあり、途中まで観客に見せていた、新郎新婦と友人たちの関係が暴かれ、その「挑戦」を受けるという話が、新婦の兄の登場で、一気にガクッとなる感じがいい(あまりにもバカバカしすぎるのだが・笑)。しかし、それを単なるオチにしないところがうまいのだ。バカバカしすぎるネタばらしなのに、ちょっといい話になっていくところは強引だけど、いい感じだ。
『LoveLetter from …』
会社員の男の軽さがいい。そのために小説家志望の友人との対比が鮮明になる。また、男が心を寄せる女性に、ほとんど台詞がないというのもうまい。それによって、話が引っ張られるのだ。会社員の男と友人の関係性がちらりと見える脚本がうまいなぁ。
『リグラー』
一気に空気を重くさせ、その世界に突入した。見事だ。単純な話なのだが、これも単なるオトシ話にしない手法がよい。
男たちの間に流れるギスギスした雰囲気は、実は別の意味の恐怖だったりするというところの、観客の気持ちを大きく振る脚本がうまい。
3本ともに、話の筋ではなく、「物語」としてきちんと見せてくれた。
もちろんそれは、脚本(台詞)や演出のうまさもあるのだが、役者のうまさが際立っていたように思えた。
テイストの異なる3本にそれぞれが出演していて、衣装もそれほど大きく変わるわけでもないのに、わずかな時間で、見事にその世界にはまっていた。前の役は、すっかり抜けているのだ。いい役者が揃っているな、とつくづく思った。もうこれは「カッコいい」と言ってもいいほど。
JACROWは、まだ数本しか観ていないのだが、根底にはいつも「語り口のうまさ」を感じる。そしてそれを支える役者たちの力量も感じるのだ。
星の王子さま
Project Nyx
吉祥寺シアター(東京都)
2010/10/13 (水) ~ 2010/10/20 (水)公演終了
満足度★★★
素材は素晴らしい
寺山修司の「星の王子さま」に、サン・テグジュペリの「星の王子さま」を融合させたそうである。そこに黒色すみれの演奏と歌。
さらに、ゲストたちが加わる。
ネタバレBOX
気合いが入っている舞台である。
(チケットのもぎりから舞台装置、衣装などまで)
登場人物たちそれぞれが強い印象とともに現れる。
黒色すみれの演奏に従い、並行して進む寺山版「星の王子さま」とサン・テグジュペリ版「星の王子さま」。
サン・テグジュペリ版では、人形の王子さまとパラが演じる。
物語の途中に、ストーリーとほとんど関係なく、ゲストの短い芝居や歌が挟まる。
寺山版「星の王子さま」のエンディングは破棄され、サン・テグジュペリ版「星の王子さま」で幕は閉じられる。
いろいろな要素が、次々と現れてくる。
しかし、結局それら、つまり、寺山修司の「星の王子さま」、サン・テグジュペリの「星の王子さま」とゲストたちの歌のパートは、有機的につながることはなく、それぞれに存在し、それぞれに完結していったようだ。
それにしても、この日のゲストだった、カルメン・マキさんと中山ラビさんの存在感は凄いものがあった。
実際、それぞれをライブ会場でも観たことはあるのだが、演劇的色合いを濃くし、短時間にそれを凝縮したことにより、強さが一段と増して見えた。情念ともいえるような炎が燃えているようであった。
これを観ただけで、満足と言いたくなるようなライブだった。
役者も人形もゲストも素晴らしいと思った。特に女優陣の美しさは光るものがあった。
これだけの素材がありながら、もうひとつ心をつかまれることがなかったのは残念。すべてがきちんと結びついていればな、と。
普通に寺山修司版「星の王子さま」を観たかったな、というのが感想である。
2時間45分(休憩時間含む)なのだが、休憩が前半1時間50分終了後に入るということもあり、前半の体感的な長さには閉口した。後半はあっという間だったが。
女と女と棺と女
うさぎ庵
BAR COREDO(東京都)
2010/10/12 (火) ~ 2010/10/14 (木)公演終了
満足度★★★★
しみじみとした絶品の味わい深さ。
工藤千夏作演は、うさぎ庵及び渡辺源四郎商店 工藤支店含め、そつのなさが最大の魅力だと思ふ。