満足度★★★★
青年の苦悩が詰まってる。
2作品観劇。両方とも僕のあがきやもがき、苛立ちを濃縮還元にして制限時間内いっぱいにフルスピードで押し切ったような、俗に言って青年の苦悩をテーマにしていたが、見せ方も演技の質も全く違っていて、ほんとうに同じひとが描いた作品なのかと疑うほどだった。
なんでも当パンの主宰のあいさつ文によると片方の作品が好きだともう片方の作品はキライになるように心掛けたそうでご多聞に漏れず、私もそのようになった。
『やがて僕は拒絶する』の方は登場人物たちが自分の気持ちを素直に吐き出すことが多かったので、それぞれの苦悩がよく伝わってきたが、そのすべてが僕が僕を肯定するためにでっちあげるたくさんの嘘だとすると、言葉の持つ意味合いが反転するように思える演出が秀逸。
一方、『ファイナルファンタジー』は、つまらない日常から全力で逃走しようとしている僕の話。
現実なんてクダラナイぜ。っていう精神状態を中指を突き立てて大人に歯向かったり、世の中に対する不平不満をそーゆー仲間を集めてロックな音楽に乗せて歌ったりするようなわかりやすすぎるエネルギー行動に流れずに、何かのせいにしてヘラヘラ笑ってフラフラネトゲーに勤しんでいる『僕』の不健全さ、そのアナーキズムが最高。
そして、大事な言葉をあえてサラリと受け流すスノッブさが、現代口語演劇をアイロニカルに表現しているようでかなりツボだった。
どちらを観ようか迷ってる方は両方見たほうがいいとおもうけど、安全な場所からダメ人間を眺めていたいひとは『やがて僕は拒絶する』を、現実逃避が趣味なひとは『ファイナルファンタジー』を個人的にはお勧めします。