最新の観てきた!クチコミ一覧

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前向き!タイモン

前向き!タイモン

ミクニヤナイハラプロジェクト

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

怒涛の熱演
機関銃のようなセリフの嵐に最初は戸惑うも、スーパーテンションの世界に引きずり込まれた。

楽屋

楽屋

π

ザムザ阿佐谷(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★

演出の妙
本来女優4人で演じられるところに変化を加え、より見やすく分りやすく、そして深みのある劇に仕上がってました。演出の面白さを感じた舞台です。それにしても、第一回公演なんて信じられない完成度の高さでした。観客の中にいた小さな子供さんも、惹き付けられてすぐにお話の中に入っていっていた。役者さんが微妙に台詞を早めたり、声のトーンを調節していたのが効を奏した感じでした。上手いですねぇ・・・・。この劇、有名な劇を劇中で演じたり、急に劇中人物に戻ったり、役者さんからすれば、ものすごく演じ甲斐のある劇なのでしょうね。演じる喜びや集中力なども良く伝わってきて、ものすごく面白かったです!

「ベルナルダ・アルバの家」

「ベルナルダ・アルバの家」

ウンプテンプ・カンパニー

シアターX(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★

蜥蜴の家
ベルナルダにとって従順で慎ましい娘ってどう言う人を指すのでしょうか?近所の目、世間体などから何を守るのか。何を恐れるのか時代背景や「家」に纏わる因習に縛られる人達など興味深く観劇。舞台上の鳥かごが象徴的。籠の中が幸せなのか考えされる。また羊の群れの中には、作を飛び越え自由になっても狼に襲われてしまうみたいな感じでしょうか。新井さん、坪井さんら役者は上手く見応え充分。

ネタバレBOX

ラスト自殺で悲劇なんだけど悪しき因習に縛れるぶん鬱積する性、姉妹間の嫉妬など観てると滑稽で笑える。
天守物語

天守物語

SPAC・静岡県舞台芸術センター

舞台芸術公園 野外劇場「有度」(静岡県)

2011/06/18 (土) ~ 2011/07/02 (土)公演終了

集成
一人の演劇人、一つの集団の創る作品の中に、
これほどの多様な要素が収斂していった事に驚きと畏怖を感じました。

こうして、この更に先が観たくなるのです。

ハッピーエンド

ハッピーエンド

東京農業大学 農友会演劇研究部

東京農業大学 演劇研究部部室(東京都)

2011/07/14 (木) ~ 2011/07/17 (日)公演終了

どうやって創るか
なにを思い、なにを考えているか、
だけでなく、
誰が、誰と、どうやって創るか、その後どうなっていくのか、ということも重要なのだろう、と思いました。

魅力的な集団になって欲しい、
と思います。


HELLO!

HELLO!

表参道ベースメントシアター

表参道GROUND(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★

意外に
表参道でお芝居?どんなんだと思いつつキャストの豪華さに行ってみました。。案外面白かった。Helloの意味はわからなかった!

ザンさんいいわぁ、あんなお母さんになりたいし、あんなお母さんほしいと思ってる人はいっぱいいると思う。

お姉ちゃんのツッコミがウケました。
スーさん役しか観たことなかったので、ふつう?の女性役どうだろうと思ったがやっぱり素敵。

カッちゃん面白すぎ。芝居はじまってからのシンとした感じを払拭する面白さ。小劇場好きだけじゃなくても最後爆笑してたもの。素敵な役者さんです。

ピグマリオン

ピグマリオン

アトリエ・ダンカン

あうるすぽっと(東京都)

2011/08/19 (金) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

教授と呼ぶには若過ぎるような・・
ヒギンズがとにかく若く見えてしまい、もう少し貫禄のある方が演じて欲しかった。

ネタバレBOX

発音矯正の場面がなかったけど、そこって結構大事なシーンなのでは・・?
イライザとヒギンズの好意の関係が簡略化されすぎてたような気がし、
ヒギンズの最後の場面の嘆き方も幼く見えてしまった。
謎の球体X

謎の球体X

水素74%

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

めちゃめちゃ可笑しいブラックコメディ
当日パンフの田川の挨拶文が可笑しい。思わず笑ってしまう。そして舞台も。舞台客席は対面式。割に広い「星のホール」を小劇場のように小さな作りにしてるものだから、このまま、アゴラでも芝居が出来そうだ。星のホールだからといって大きなセットを作らないところも田川らしい。笑

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

登場人物の全員がどこか病んで屈折している。その歪みっぷりは想像を絶するのだが、噛み合わない会話劇や捩れた描写がコミカルなのだ。
キチガイと都市伝説のように他者から噂される健児。お人よしで殆ど他者に流されっぱなしの妻。父親に近親相姦されながらもそれを愛情だと勘違いしている妻の妹。弱い相手を見つけては可哀想だと同情し、その心もちに優越感を感じる大家。そして畳のしたからやってきた怪しげな男。

舞台の上は捩れた人間模様が織り成す群像劇なのだが、役者に吐かせるセリフが相変わらず巧みな田川マジック。これはもう、この芝居を観ない事には、どうやって説明したらいいのか解らないほどオモチロ可笑しいのだ。
その可笑しみは人間の鬱積した部分を裏の裏まで穿りだすようなある意味、サイコなコメディだ。だから、観客達はここで笑うと役者に対して失礼だぞ、とか思いながらも、ついつい堪えきれなくなって吹き出してしまうのだ。そういった吹き出す笑いが劇場のあちこちで聞かれ、実に楽しい舞台だった。

本当に観て良かったと大満足だった。お勧めの舞台。
前向き!タイモン

前向き!タイモン

ミクニヤナイハラプロジェクト

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★

限界に挑戦
演出の意図は私の感性では理解できなかったが、役者さんってスゴイっていうことを再認識。
ただ、あまりの超速に聞き取れないセリフも多く、私にとっては物珍しさ以上のものはなかった。

花と土/ファーファーファーファー,ファーラウェイ

花と土/ファーファーファーファー,ファーラウェイ

monophonic orchestra

百想(re:tail別館)(東京都)

2011/08/31 (水) ~ 2011/09/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

1週目観劇感激
繊細で淡い話を3篇。1篇目は会場の雰囲気に非常にあっていて、切なくて愛おしい絵画を見ている様な感覚になりました。本当に美しかったです。
2編目は、居丈高に構えていない深イイ話って感じで、適度にヒューモアを含んでいて楽しませてもらいました。最後のセリフは素敵過ぎます。
3篇目は、ある仕掛けにほくそ笑んでましたが、ちゃんとストーリーもしっかりしていて、短くも感心させられました。
観劇後の吉祥寺駅まで、天気はどんよりしていましたが、心は晴れ晴れと幸せな気分で帰りました。

「ベルナルダ・アルバの家」

「ベルナルダ・アルバの家」

ウンプテンプ・カンパニー

シアターX(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

久しぶりの新劇
台詞、言葉遣いが懐かしく感じられました。
昔は演劇ってこうだったなと。
とても静かで、とても激しくて、とても不安で、
公演中ずっと心を揺さぶられっぱなしの舞台でした。
役者も鍛えられていて、良い声、良い演技を見せてもらいました。
前の方もおっしゃっていますが、パンフレットの情報でバックグラウンドが分かり、
(どのような時代、どのような環境でこの作品が書かれたか)
さらに入り込むことができたと思います。

ネタバレBOX

最初は静かに始まり、
ラストの火がついたような盛り上がりが素晴らしかったです。
終わり方も、余韻があって良かったです。
アデーラとマルティリオのやりあいが見ごたえがありました。
なによりベルナルダ役の新井さんの素晴らしさ。
芝居であることを忘れ、そこで起こっている事の様に感じるほど入り込めました。
一番かわいそうで同情してしまうのはアングスティアス。
年をとって、体も弱くて、お金をもっているから求婚されて
妹に婚約者を取られて…。ちょっと自分に重ねてしまい(笑)

準決勝

準決勝

あひるなんちゃら

駅前劇場(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/06 (火)公演終了

満足度★★★★

解毒作用あり
いつものゆる~い感じに軽い笑いが連発。
計算しつくした脚本を力のある役者陣が演じる緩さ。
何も考えずに笑ってたら、肩の力も抜けてスッキリ。

身毒丸

身毒丸

彩の国さいたま芸術劇場

天王洲 銀河劇場(東京都)

2011/08/26 (金) ~ 2011/09/06 (火)公演終了

満足度★★★★★

まるでオペラ
やはり名作ですね。ただ何回見ても100%は理解できない(笑)
藤原竜也版とはまるで違いました。
やはり評価の高いステージが前にあるので、
それを超えようと相当苦労されたんだと思います。
矢野聖人は頑張った!そして大竹しのぶさんは流石!
怪しさでは白石さんでしたが、大竹さんは狂い方が凄まじいです。

HELLO!

HELLO!

表参道ベースメントシアター

表参道GROUND(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★

素直なストレート
他の観てきた皆さんが一様に書いておられるように、自分もライト過ぎで淡泊かなあと思いますが、主人公二人のファンの方が多かったのか斜に構えず純粋に芝居を楽しんでる感が充満していて、自分もそれに身を任せたので普通に楽しませてもらいました。しかし、相変わらず上野さん作品は軽妙ですね、ライトユーザーにも自信を持って薦められます。

ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎

ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎

東京演劇集団風

レパートリーシアターKAZE(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/05 (月)公演終了

満足度★★★★

まさにプロのお芝居でした
初観劇の劇団ですが、やはりプロの仕事は違うと言うのが感想です。専有の劇場、本格的な衣装やさまざまな小道具、滑舌の良い台詞、どれも洗練されており、最高のアミューズメントを見せて戴きました。友の会というのがあったので、入会要検討です。

身毒丸

身毒丸

彩の国さいたま芸術劇場

天王洲 銀河劇場(東京都)

2011/08/26 (金) ~ 2011/09/06 (火)公演終了

比較してしまう
前回の藤原&白石コンビが強烈すぎて、比較して観てしまい評価でしない。

クロノス

クロノス

遊悠見聞録

高田馬場ラビネスト(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

無題110
ここはたぶん3回目。梶尾さんの作品だからみにきました。「クロノス・ジョウンター」は、いくつかの版を持っていて、「エマノン」シリーズとともに好きな作品です。なので、原作の影響なのか、演出なのか、それとも役者さんがよかったのか、ぜんぜんわかりません。ただ、今まで、読んで、観てきたものを総動員しながら目の前の舞台をみている自分がいることがよくわかります。「実験都市(昨日、やっとのことで原作読了。予想どおりあまり面白くないけど…)」「ナスカ」のときもそうでした。でも、SFならばどれでも、というのではなくて、逆の場合もあります。ヴィジュアル的にはなにもない舞台、時間を遡る時、照明が眩しく輝くくらい。吹原役の海田さん、汗びっしょり、走り、倒れこんでの熱演。原作ではこんなに引っ込み思案じゃなかったと思うんだけど、許す。

ネタバレBOX

このお芝居で「ふき」という名前を耳にしたとき、もう一人のふきさんを思い出しました。蒲生亭事件のふきさんです(これも時間もの、最後の手紙はあまりに切ない)。

受付で名前を告げるが…ない、と。へっ?劇団から届いた「予約完了メール」をみせる。昨日も同じことがありました。どんな商売でも、お客さんの予約を失念するのは大失態だと思うのですが、小劇場の世界ではよくある話し、以上。なんですかね。普通はここで店長を出せ!でしょう。というのはおいといても、たぶん同じミスを繰り返すんだと思う。いつもだと受付で不愉快な思いをすると評価しないんだけど、梶尾さんの作品にそれはできないので。

ともあれ、クロノス、舞台を見ることができ感謝。この先どうなるか、わかっていても楽しかったです。奥の扉、もっと、がっちりと(重たそうに)作ったらいい雰囲気になったと思います。
降りそそぐ百万粒の雨さえも

降りそそぐ百万粒の雨さえも

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2011/08/06 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★

すばらしかった
三部作完結!
おもしろかった!僕もこれからどんなことがあろうとも走って生きたい!

が、個人的にはやっぱり風を継ぐ者が一番好きだ!
再演してくれないかな~っと思う。

コデ。

コデ。

劇団きらら

熊本市現代美術館(熊本県)

2011/08/26 (金) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★

旧世界のままで終わる物語
 新古書販売のチェーン店に取材した、中年の店長と心が壊れた奥さん、新人だがやはり中年でちょっとイケメンの男、うるさい熊本弁おばさん、バツイチ子持ちで学のない女と、その元夫で「せどり屋」の男、コミュニケーション不全の青年、美貌の声楽の先生ら、一風変わった人間たちが織りなす群像劇。
 になるはずが、核になるドラマが弱く、一人一人のキャラクターの魅力も描き切れてはいない。軽妙な会話のやり取りや、個々人の部分的な描写には鋭い切り口を見せる面もあるが、全体としての印象は盛り上がりに欠け、あのエピソードもこのエピソードも、消化不良な形で終わってしまっている。演劇の持つ「限定性」をうまく活用しきれなかったことが失敗の原因だろう。
 とは言え、俳優のアンサンブルには目をみはらされた点も少なくなく、何人かの俳優の間の取り方の巧さには、訓練だけでは習得しきれない天性の勘のよさすら感じさせられた。物語として、声楽を物語に取り込む必然性は実はあまりないのだが、かと言って邪魔になっているわけでもない。ドラマの弱さを、声楽の練習を通して癒されていく登場人物たちの伸びやかな声と笑顔が補強している。

ネタバレBOX

 「コデ。」という珍妙なタイトルは、作者・池田美樹が、人生の夕方を迎えた時に、“ココで何してるんだろう”という思いに駆られて付けたものだということである。でもなぜここまで意味が分からなくなるほどに省略しないといけないのか、理由がよく分からない。単に奇を衒っただけかも知れない(苦笑)。

 もっともタイトルの問題は枝葉末節で、いささか困ってしまうことは、物語の中身の方である。
 店長の目黒(井上ゴム)と新人の成増(寺田剛史)の37歳コンビ、「人生の黄昏」がテーマであるのならば、この二人が中心人物にならなければならないはずなのだが、決してそうなってはいない。掛け合い漫才のような楽しさはあるものの、この二人のドラマが物語の核になるほどには強くないのである。
 成増のドラマは、書店の店長を辞めて彼女に振られたことと、「飛ぶ夢をしばらく見ない」というどこかで聞いたような話くらいしかない。目黒は心を病んで家事を全く放棄している妻との離婚を真剣に考えているが、そのドラマは「家庭」の問題なのであって、殆ど「舞台外」のこととしてモノローグでしか語られない。舞台はその8割が新古書店内に限定されており、他の場所へ移動する余裕を持ち得てはいないのである。
 もしかしたら脚本の意図としては、この夫婦の確執と離婚に至るまでの修羅場などについては、観客の想像に任せたい、ということなのかも知れない。しかしこれは、ちゃんと舞台上で展開させなければならない話なのではないか。
 目黒は現実逃避からか、バツイチ女の阿比留(森岡光)にも言い寄るが、夫婦間のすれ違いや愛憎がきちんと描かれないために、共感どころか感情移入自体し難いキャラクターになってしまっているのである。

 主役が主役に見えなくなってしまうのは、中盤、物語が完全に阿比留の方に移ってしまうせいでもある。
 浮気や放蕩の末に阿比留と別れた軽薄な夫・野野原(豊永英憲)は、現在は「せどり屋」という奇妙な商売をしている(古書の転売で利ザヤを儲けること。梶山季之『せどり男爵数奇譚』や三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』などにその詳細が描かれている。野野原は「セドラー」と自称)。古書の相場を見抜く「勝負師」の勘が必要になる商売で、とても本能だけで生きているような野野原に務まるとは思えない。案の定、彼は元妻の阿比留のところに借金をねだりに来る。
 元夫婦の諍いが何度か繰り返され、二人の関係がどんな結末を迎えるのか、観客は固唾を飲まされる。しかし、口論の果てに二人が本当に別れることになったのか、野野原は借金を重ねた末に破滅に至ったのかどうか、このエピソードも何も語られないままになぜか尻切れトンボで終わるのである。
 他のたいして主要ではないキャラクターについても、バックボーンとなる設定がちょこちょこと語られはするが、一つ一つのエピソードはやはり散漫で比重も小さく、その程度の「ヒミツ」なら、もう何も語らない方がいいんじゃないかとさえ思う。

 唯一、全ての登場人物をつなぐ要素となっているのが、スタッフのスキルアップ研修として導入された「合唱」の練習である。
 声楽の先生・佐倉レイ子(青柳美穂)の指導で、店員たちは『遠き山に日は落ちて』(ドヴォルザーク『新世界より』)を練習する。その歌詞に「人生の黄昏」を感じ取る店員たち。若い店員たちもどこか涙ぐんで見えるのはおかしな感じではあるが、本作のテーマを内包した合唱のシーンが時折挟み込まれることによって、物語が空中分解してしまうのをかろうじて食い止めた、と言えるだろう。

 以上のように、脚本に少なからず難はあるものの、全体としてはそうつまらないという印象を抱かなかったのは、俳優たちの台詞の「間」の取り方に熟練の業を見ることができたからである。
 特に成増役の寺田剛史は、相手のツッコミにかなり間を置いて頷いたり返答したりして、確実に観客の笑いを誘っていた。古書店のブログに載せるからということで、写真を撮られる時に、店長から「加瀬亮っぽく」と注文される。聞いた瞬間、固まってしまう成増だが、しばらく「間」を置いた後で、“それらしい”ポーズを取る。また、野野原に自分の名札の文字を「セイゾウさん」と間違って読まれた時にも、正確な読み方を教えるのも面倒くさいとばかりにかなり「間」を取った後で「はい」と答えてしまう。
 様々な場面で、もうほんの1秒、タイミングを逃したら客に笑ってはもらえないという、ギリギリのところで絶妙な応対をするのだ。

 声楽の練習のシーンでも、青柳美穂の指導で、森岡光が次第に「巧く」なっていく過程をリアリスティックに描けたのは見事としか言いようがない。このシークエンスなどは本作で最もドラマチックなシーンとなった。
 通常の発声で歌う森岡と、ソプラノの青柳との合唱が声質が違うにも関わらず違和感なく受け止められたのは、表現された「感情」がシンクロしているからなのだ。これが「演劇」を構築する、ということなのだ。
 優れた演技が見られた反面、甲高い声で誇張され過ぎてかえって笑いを取り損なっていたのは野野原役の豊永英憲だったが、軽薄さを表現するためだとしても、もう少し抑えないことには「なぜこんな男に惚れて阿比留は結婚していたのか」という説得力が生まれない。これは演出の指示もよくなかったのだろうと思われる。

 舞台転換に、書架に見立てた「枠」を役者各人が動かしたり、映像を使った『遠き山に日は落ちて』の解説したりなどのアイデアも気が利いている。それだけに、どうしてもドラマの希薄さが気になってしまうのである。
vol.5『日本全国奇形鍋』

vol.5『日本全国奇形鍋』

財団、江本純子

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★

鍋は煮えたか
超個性的な人達がこれでもかと集まって普通に仕事をしている姿が淡々と進む。いざこざは起こるけどまさにごった煮の感じだけで、何をしたかったのか最後まで薄味な印象。星奈美さんが面白かったけど。

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