最新の観てきた!クチコミ一覧

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空飛ぶ本屋さん

空飛ぶ本屋さん

激団しろっとそん

MOVE FACTORY(大阪府)

2012/02/17 (金) ~ 2012/02/20 (月)公演終了

満足度★★★★★

彼女達の全力疾走!
芝居に対しての全力疾走は美しい。

だからこそ、胸にしみる。


まだ途中!
走り抜けてほしい!

半神

半神

BLACK★TIGHTS

世界館(大阪府)

2012/02/15 (水) ~ 2012/02/17 (金)公演終了

満足度★★★★★

初日と千秋楽!観ました!!
初日と千秋楽を観ました。

全然違った。
初日を観た感想としては、まぁこれくらいだろうか・・・・というようなもの。

しかし、
その初日の夜、前田さんは非常にイライラして悔いていた。
まだまだ行ける筈だ。
まだまだ上にいける筈だと、深夜練習に臨んだ。

僕は二日目は観れなかったが、千秋楽の第2部にどうにか間に合った。

全然違う作品が目の前にあった。

いやいや、まだまだ上はあるだろう。
しかしよくもまぁ、この短期間で作品を急成長させたものだと唸った!

詰める・・・という作業がどれほど困難な作業かは、学校の課題などで苦しまれた方なら容易に推測できるだろう。

お疲れ様でした!前田君!

君を好きにできない

君を好きにできない

コーヒーカップオーケストラ

遊空間がざびぃ(東京都)

2012/02/16 (木) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★

「恋愛における真理」?
一見おバカでしょーもない戯画化された可笑しさの中に「恋愛における真理」的なものや一部の人物の成長が見え隠れしたりしなかったり?(笑)
考えようによってはコーヒーカップオーケストラ版『夏の夜の夢』であったりなかったり?…いやそんな大層なモノではないんだが。(爆)

エレジー

エレジー

ULPS

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2012/02/14 (火) ~ 2012/02/20 (月)公演終了

満足度★★★★

気分は紀伊國屋ホールか俳優座劇場
ユーモラスな中にペーソスが練り込まれるなどいかにもベテランの作品で、その落ち着いた雰囲気も相俟って気分は紀伊國屋ホールか俳優座劇場。
頑固オヤジと気の強い若い女性の取り合わせ(+α)にアーネスト・トンプソンの『黄昏』を連想したりも。

奴婢訓

奴婢訓

演劇実験室◎万有引力

シアタートラム(東京都)

2012/02/12 (日) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

無題300(12-053)
19:00の回。指定席、19:01場内アナウンス~19:06開演~21:10終演。本公演、観てみようかなと思っていたところ開座の方からご案内をいただいたので観劇。開座のアトリエ公演(@森下)に七生さんが出演、サイトをみますと「万有引力」は1983年旗揚げ、私が芝居らしい芝居をみたのは、1985年、江守徹さんの「キーン」が初めて、このから、なんとなく劇団の名前は知っていました...で今日まで未見。

また、J・A・シーザーという名前は「月蝕歌劇団」で知っていて、1986年7月「帝国人形病院(@東演パラータ、演出:高取英)」を観ています。

何日に行くか決めかねていたので、座席は「トラムシート」、なんとか腰をかけての観劇。最後列=舞台から一番遠い、のですが、舞台が一望できて、ほんの少しの「動き」でも気が付きます。最初、人形が置いてあるのかと、目を離していたら動いていた!舞台は6段くらいの高低があって、最後列より高い位置があります。

開座の皆さんが出演していらっしゃるということなのですが、遠い&お化粧&衣装でなかなかわかりません、そんな中、岡庭さんだけはすぐわかります。

寺山さんの作品は観たことがなく「寺山修司に愛された女優(新高さん)」を読んで、いつかは..と思ってもいました。

などなどいろいろあって初めての観劇。

ネタバレBOX

大きな舞台、先月「乱歩の恋文」を最前列でみたのですが、最後列からでも大きい舞台でした。劇中、役者さんが目の前を歩いたり、巨大な「靴」が通ったり、本物のネズミも。セリフが少し聞き取りにくいところ(でも肉声とマイクを使い分けて聞きやすくはなっていました)もあったけど感覚への刺激は十二分。

会場の両サイドには立ち見のお客さん、1列ずつ入って来て階段、1段ごとに案内されていました。「トラムシート」からみると、ちょうどすぐ先に庇があって、舞台最上段にかかってしまうので少し屈み込むようにみます。

寺山修司さんの舞台は書物の中の写真でしかみたことはなく、三沢の記念館に行ってみたいと思いながらも未だ実現せず、ようやくの「万有引力」、これも「開座」からの案内がなかったら行ったかどうか怪しそう、座席指定のものはあまりみないので…特に、この土日の公演はなかなか決めきれず、直前の申し込みになってしまいました。

川崎109/IMAXで「アバター(3D)」をみたときに劣らない「視的」な刺激、青い闇のなかで蠢く集団、衣装の切り替え、ヘヴィーな音楽、普通に立っていることのほうがずっと少ない者たち、用途がわからないイロイロな道具やマシーン、縦/横の大きな動き、座席に迫り来る集団、次はもっと前で。
春をかぞえて、折る指に

春をかぞえて、折る指に

ZENROCK

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2012/02/16 (木) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★

なんとなくありきたり?
初めてZENROCKさんを観劇しました。
劇団名が「全力」から来てるところとか、エレベーターを降りて目に入る制作さんの雰囲気とかは好感持てた。
脚本取り立てて悪くはない。個人的にはちょっと期待してたほどではなかったです。
(詳細はネタバレにて)

ネタバレBOX

話自身はハッピーエンドで終わるのに対して、私自身は爽快な気持ちになれなかったのが残念である。
率直に言えば全体的に「薄い」。そして、役者間の実力の違いも目立った。
誤解しないで欲しいのが、演出も決して全てが悪いわけではない。でも、もっと詰めれた気がしてならないし、もっと深い話になれたと思う。

今後のことを思うと、もっと丁寧に作品を仕上げた方がいい。
あくまで「ふり」だが、大学でのドアの開閉も全体的に雑だったし、梅子の家の外から家に入ってくる位置も場面によって違った。(梅子は下手の手前から「ただいま」と言いながら入って、アキラは下手奥から入ってきた)

言い出したキリがないが、最後に。
チラシの影響か分からないが、最後にセット奥から出てきた梅の木はもっと立派なものかた思っていたら、意外にシンプルで個人的に残念でした。
こうして二人は幸せになりました、とさ

こうして二人は幸せになりました、とさ

MacGuffins

上野ストアハウス(東京都)

2012/02/17 (金) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★★

幸せに
チケットプレゼントにて鑑賞。

なぜか話に入っていけなかった。山場とかしっかりあって話自体悪くはないと思うけど。

ネタバレBOX

国本サチ(金魚)と難波一平(横田純)のハートウォーミングな話。
サチ25歳のイヴに難病を抱える一平と人生を歩む選択をするも、一平は死に、人生のどん底の中30歳で事故死するサチ。心肺停止状態の精神世界で一平と会い、人生を振り返るサチ。生きるか死ぬかの選択時、一緒にいたいと泣くサチに、俺が死んでサチは独りになったんじゃない、二人で一人だった内の半分が死んだのだ、サチの半分は俺だ、俺の分も生きてくれと、告げる…。
終盤の紙芝居のくだりとかいい話なんだけど、なんでかグッとこなかった。サチと一平の間の愛情を掬い取れなかったせいか、愛する人が死ぬ悲しみというもを理解できていないのかもしれない。とはいえ、最終盤の金魚の「別れたくないよぉ」はいい感じに心をくすぐられた。横田も死の恐怖に押しつぶされそうなところを堪え、サチと最期の紙芝居に懸ける姿がよい。

前回同様、軽快なテンポで話が展開していきストレスレスな舞台。複数キャラを演じるスタイルも特徴があって分別しやすい。
ただ、温子役の村野のしゃべりは聞き取りにくい。また、ボケに対して1~10まで舞台上でツッコミするのはクドく感じることもあるので、ボケだけで笑えるような箇所はそれで十分ではと思った。
ハローワーク

ハローワーク

国分寺大人倶楽部

テアトルBONBON(東京都)

2012/02/08 (水) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

ずーっと見てたい
虚構性の強い、マンガを読んでるような壮絶な物語にやっぱりシビレテしまう。テーマは違えども、毎回会話から浮かび上がるキャラがありありと現れてズブズブはまっていくのだ。もっと早く出会いたかった劇団、活動休止残念ですが皆さんの今後の活動にも注目だなぁ。

ネタバレBOX

観客の好奇心や期待を煽るような設定と登場人物を創り上げるのが本当にうまいと思う。こういうタイプの人はこういう言動行動するに違いないという世間の思い描くキャラ設定をものすごく忠実に再現したキャラクター達。そうしたキャラになりきってダラダラ雑談していく中で紡がれるドラマは、心理描写はほとんどなくてもとてもリアルに感じる。そのリアルは、共感ではないし、劇場の外には持ち帰れないんだけど。あぁこんなにドンピシャに想像通りの人物が本当に目の前にいて喋って動いているっていう感動だ。そして、クライマックスで急展開して一線超えたり、見ていた世界が簡単に破綻したりする。ありえないほど、いやありえないからこそ壮絶さが笑える。観客に都合の良い「愛青春死」をデフォルメしまくった虚構を、きちんとエンターテイメントにして提供してくれるのを毎回楽しみにしていました。

個人的には、今作の小林とか前作リミックス2の1編(ガールフレンド)に出てたような童貞臭丸出しの男とその男を翻弄しようとする女の感じとか、毎回のように出てくる人生なめてる感じの若者達の、その振り切れたキャラクターが、ありえねーと思いながら大好きでした。
横浜滞在

横浜滞在

山下残

横浜赤レンガ倉庫1号館(神奈川県)

2012/02/17 (金) ~ 2012/02/18 (土)公演終了

満足度

2回見たけど
やっぱつまらない

フィリップ・ケーヌ/ヴィヴァリウム・ステュディオ『セルジュの特殊効果 』

フィリップ・ケーヌ/ヴィヴァリウム・ステュディオ『セルジュの特殊効果 』

TPAM・国際舞台芸術ミーティング

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2012/02/18 (土) ~ 2012/02/18 (土)公演終了

満足度

私は
こういう説明的な演技は嫌いだ。

工場の娘

工場の娘

東京女子収集

中野スタジオあくとれ(東京都)

2012/02/16 (木) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★

流れを見よう
全体の流れの面白さがいい。細かい何かはわからないんだけど。

熱の華

熱の華

セカイアジ

OFF OFFシアター(東京都)

2012/02/18 (土) ~ 2012/02/22 (水)公演終了

満足度★★★★★

実はストレート
時代的な、衣装的な、キャラクタ的に特異な印象があるが、実はまっすくなんだなぁ。変に猟奇に走ってないで好感が持てる

贋作 春琴抄2012

贋作 春琴抄2012

劇団ドガドガプラス

浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)

2012/02/14 (火) ~ 2012/02/20 (月)公演終了

満足度★★★★

ショーを魅せる!
ということが重要な、浅草らしい作品でした。
ホール全体を使った見せ方にも賛同するが、
ワンテンポ置いた感じでショーを挟んだほうが、
作品演出上の流れにリズム感が増したのではなかろうか?

こうして二人は幸せになりました、とさ

こうして二人は幸せになりました、とさ

MacGuffins

上野ストアハウス(東京都)

2012/02/17 (金) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★

うーん
正直、脚本も役者も舞台美術(映像のみ)も、全てがイマヒトツ・・・の印象を受けました。
あまり心動かされませんでした。
しかし、泣いている人もいたので、私の感性の問題とも思えます。

役者さんたちの熱演は伝わってきました。
しかし大声、オーバーアクション、変顔、変ポーズは要らないんじゃないかな。本題の泣かせる話だけだったら、もっとすんなり見られたかも、です。

すみません。ありがとうございました。

ネタバレBOX

主人公の男女が白と黒、そのほかのお友だちが赤、青、黄色・・・という衣装はクレヨンを意識したのだと思います。
しかしながら、稽古着にしか見えず(足元も運動靴だし)小道具が一切ないので、体育館での舞台稽古を見学しているような感じでした。

舞台美術と呼べるものが全くなく、肝心なところでの映像は、本来舞台の役者が醸し出すべきものをイメージ映像に補完してもらっているような印象を受けました。
でも、これは本当に個人的な好き嫌いの問題だと思います。

全く同じ役者がシャツ一枚着替えずメガネ一つかけず色々な役をするのですが(文房具屋の社長夫妻、ヤクザとその情婦、フィリピンパプの従業員、島人などなど)、演じ分けているという様子はあまり無く、役者の台詞で「あーこれはさっきの人と違う、別人なのね」と客の方で解釈する。コントとかではよくあるお約束ごとですが。見る側の思いやりとか想像力が大事です。

ちょっと辛口になってしまいましたが、主役サチ役の女優さんは、健気で心惹かれるものがありました。横顔がすごく魅力的だと思いました。
(叫んだり突っ込んだりは今一つでした)
また違った形で見たいです。

トンマッコルへようこそ

トンマッコルへようこそ

劇団桟敷童子

大博多ホール(福岡県)

2012/02/11 (土) ~ 2012/02/11 (土)公演終了

満足度★★★★

真実のトンマッコルへようこそ
 不明を恥じなければならない。
 パク・クァンヒョン監督の映画『トンマッコルへようこそ』を観た時には、いかにも『千と千尋の神隠し』に影響を受けた安易な作り方と、ファンタジーだとしても説得力がなさ過ぎる展開に呆れて、世評ほどには面白いと思わなかった。当然のごとく、感動の涙を流すこともなかった。
 原作として舞台戯曲があることは知っていたが、日本語訳の出版がない以上、実際にそれを読む機会があるはずもない。また映画の製作・脚本に原作者チャン・ジンの名前があったことから、舞台も映画も基本的には同じものだろうと思いこんでいたのだ。
 それでも両者が完全に同じであるはずもないから、言わば「軽い興味」で、舞台を映画化する際に、「どの程度の改変を加えたか」を確認するつもりで(あとは松田“仮面ライダー斬鬼”賢二と、塩野谷“B.スプリングスティーン”正幸見たさに)劇場に足を運んだ。それだけのことだったのだ。
 ところが、舞台と映画とは、根本的に構造が違っていた。ストーリーの大筋は同じであっても、舞台は映画にはなかったユーモアも随所に満ちていて、まさしく演劇ならではの魅力に満ちている。字幕付きでも構わないから、本国での舞台版を観てみたい、そんな気にさせられたほどに刺激的だった。
 『トンマッコル』という題材を、映画版だけを観て判断してはならない。その事実を痛感したが、如何せん、現在でもこの日本で舞台と映画を比較研究できる機会は極端に少ないのである。映画版だけを観て、感動した人にも、そうでもなかった人にも、それは『トンマッコル』の真の姿ではない、ということだけは強く訴えておきたいと思う。

ネタバレBOX

 「トンマッコル」とは「子供のように純粋な村」という韓国語だという(原作者のチャン・ジンによれば、日本の村をイメージしたとか)。
 実在する村ではないし、そのタイトルからも、これが一つのファンタジーであることを――たとえ「韓国戦争(=朝鮮戦争)」を背景にしてはいても――示唆している。
 映画版で象徴的だったのは、人民軍(北朝鮮)の兵士たちが持っていた手榴弾が誤ってトウモロコシ小屋で爆発し、村の空いっぱいに「ポップコーン」が雪のように舞うシーンだ。戦争を知らない小さな山村で偶然出遭った、人民軍、韓国軍、そして米軍の兵士たち。彼らを結ぶ「平和」の象徴が、その「ポップコーンの雪」だったが、私は「戦争をそんなファンタジーで落としてしまっていいものだろうか」という疑念が浮かんで、素直に感動することができなかった。

 舞台版には、そんなポップコーンの雪のシーンはない。
 原作戯曲は三時間を超えていたというので、もしかしたらそういうシーンもあって、上演に際してカットしたのかもしれない。しかし映画と舞台の差異はそういう部分的な点に留まらない。原作舞台は、そもそも“ファンタジーではない”のだ。

 舞台にはまず「語り手」が登場する。彼は「作家」(板垣桃子)だ。彼が発見した一葉の写真が、物語の始まりとなる。その写真には、韓国戦争当時であると思われるにも関わらず、トンマッコルの村の人々と一緒に、敵同士であるはずの人民軍、韓国軍、連合国米軍の兵士たちの姿が、にこやかに写っていたのだ。
 このような“ありえない”写真がなぜ撮られたのか。作家は、写真の持主である父親に事情を聞く。即ちこの物語は、謎が徐々に解かれていくミステリーとしての構造を持っている。

 その父親――韓国戦争当時は少年だったトング(大手忍)は、ある日、知恵遅れの少女イヨン(中村理恵)と、墜落する戦闘機を目撃する。村の外れに落ちた戦闘機には、米軍のスミス(Chris Parham)が乗っていたが、足のケガだけで命は無事だった。突然現れた言葉の通じない珍客に、右往左往する村人たち。ここで村人たちの一人一人が、かなり詳しく描写される。
 村のまとめ役だが今ひとつ頼りにならない村長(塩野谷正幸)、その母親ですっかりボケた婆さん(鈴木めぐみ)、村一番のインテリだが正体不明のキム先生(深津紀暁)、トングのちびったウンコをうっかり掴んでばかりいるダルス(原口健太郎)、戦争帰りの粗暴なウンシク(外山博美)などなど……。
 映画版では殆ど書き割りに過ぎなかった村人たちが、ここでは生き生きと、そしてユーモラスな会話を繰り広げる。トンマッコルの人々は決して理想郷に住む仙人たちではない。後で明かされるが、ヒロインの少女イヨン(映画版のヨイルに当たる)は、実は村長の隠し子で、知能に問題があって生まれた彼女を、村長は娘として認めなかったという哀しい現実も示されるのだ。

 物語は全て、「村人たちからの視点」で描かれていく。映画版が兵士たちからの視点で描かれ、村人の純粋性が少女ヨイルだけに集約されていたのとは、全く正反対だ。
 スミスも、そして人民軍のトン・チソン(松田賢二)、チャン・ヨンヒ(鈴木歩己)、ソ・テッキ(桑原勝行)、韓国軍脱走兵のピョ・ヒョンチョル(池下重大)、ムン・サンサン(井上正徳)も、基本的には「お客さん」の立場を逸脱することはない。
 そして彼らは出逢い、当然、敵対する。村人になだめられ、農作業を手伝うようになる。少しずつうち解けるようになりながらも、結局は意見の相違から、殺し合う寸前に至るのだが――。

 舞台と映画の最大の違いは、ここからである。
 それまで、この物語を「作家」に伝えていた“父親”のトングが急死するのだ。即ち、「写真の謎」は真相が分からないまま、作家は途方に暮れてしまうのだ。
 それからの展開がとんでもなく面白い。仕方がないので、登場人物たちがめいめい勝手に動きだし、「自分たちの考える結末」を演じ始めるスラップスティック喜劇へと変貌してしまうのだ。特に松田賢二が敵を殺しかけていたのにいきなり平和主義者になって「みんなで記念写真でも撮ろう!」と言い出したのには場内大爆笑である。俳優たちが客席にも乱入、支離滅裂状態になったところで、作家が悲鳴を上げて、ようやく事態は収拾する。
 作家は、「これから先の物語は、全て私の想像です」と語る。いくつもの「結末」が示されるあたりはまるで黒澤明『羅生門』(と原作の芥川龍之介『藪の中』)だが、『羅生門』では最後に語られる杣人の証言が真実として示される。しかしこの『トンマッコル』の物語に「字義通りの真実」は存在しないのだ。

 これから先の展開は、確かに、映画と同じである。
 韓国軍の小隊が現れ、正体を見破られた兵士たちは彼らを殺す。流れ弾に当たったイヨンは死ぬ。村への連合軍による総攻撃があると知った兵士たちは、協力して「揺動」作戦を立てる。連合軍は、トンマッコルとは全く別の箇所を爆撃し、村は無事だったが、5人は死ぬ。「記念写真」は、兵士たちが村を去る直前にスミスのカメラで撮られ、トングに渡されたものだった。

 しかし、それは全て作家が「こうであってくれたら」という想像でしかないのだ。イヨンは、その知恵の足りない頭で、戦闘機から降りてきたのは「イエス様だ」と韓国軍に告げる。
 ファンタジーと言うよりも、この物語は「奇跡」の物語である。そうであってほしいという「祈り」を、作家はこの想像の中に込めたのだ。

 「真実」はそうではなかっただろうと、観客の誰もが思うだろう。なぜなら、作家が最後にこう語るからだ。「私は、一度もトンマッコルへは行っていない」と。
 「写真」にたいした謎はなかったのかもしれない。農作業を手伝っていたのだから、そんな写真が撮られる機会だってあっただろう。イヨンが写っていなかったのもたまたまで、5人が死んだのも、単に村から逃げたところをねらい打ちされただけかもしれない。
 「真実は夢物語ではない」という当たり前の事実が、そこにはあったことだろう。しかし、そんな夢物語があってもいいじゃないか、いや、あの戦争があまりにも悲惨だったからこそ、たとえそれが事実ではないことを知りつつも、そんな夢物語があったことを願いたい、トンマッコルがその名の通り、「純真な村」であってほしいという祈りが、この「真実ではない」物語に、一片の「心の真実」を与えている。
 「絵空事」を「これは真実ですよ」と提示して見せても、観客はその底の浅さに鼻白むばかりである。映画版の失敗はそれが原因だった。しかし、我々がともすれば厳然たる事実よりも、希望を内包した「虚構」を求める存在であることを認識した上で、あえて「絵空事」を「絵空事」として披露してみせてくれた場合――我々はその「虚構」に心を揺り動かされることになるのである。

 あの村人たちなら、韓国軍を前に、兵士たちを「家族」と呼んで匿ったに違いない、あの村長なら、最後にイヨンを「娘」と呼んだに違いない。「一度も父さんと呼ばせてあげられなかった」と泣いたに違いない、そう感じさせる「真実」がそこにはあるのだ。
 「事実」と、我々が本当に求めている「心の真実」とは違う。「物語」が観客に問いかけるべきものは、その「心の真実」の方なのではないだろうか。

 強いてこの舞台に注文を付けるのならば、これは劇団の構成員の問題もあろうから仕方がない面もあろうが、複数の男性役を女性が演じていたことだ。俳優のみなさんは、もちろんそれらしく演じてはおられたが、やはり男性が演じた方が自然ではある。
 自然、ということならば、やはり字幕付きになっても、韓国人俳優でこの舞台を観てみたいという気にもさせられた。チャン・ジンの話によれば、三時間の原作戯曲は冗長な部分もあったということではあるが、それでも物語に何が付け加えられ、何が引かれたかを確認することは、作品理解をより深めることになるだろうと思われるからである。
 
ロボット

ロボット

劇団三年物語

シアターサンモール(東京都)

2012/02/16 (木) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

良かった!
最前列での観劇、迫力満点、休憩15分を入れて3時間45分の公演時間もあっという間に終わった感がするほど、見応えがありました。一緒に観劇した、愛妻と娘も一緒に感動。

君を好きにできない

君を好きにできない

コーヒーカップオーケストラ

遊空間がざびぃ(東京都)

2012/02/16 (木) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★

役者、というか役者魂、のようなものを観た
ストーリーとか演出とか、もうどうでもよく(暴言・笑)、なんか恋愛に関するメッセージっぽくまとめました的な、それらしい台詞もあったけれど、もちろんそれなんかも、どーでもよくって、とにかく火花散らし、輝く役者たちを観たという印象が強い。

ネタバレBOX

ビルゲイツ高校という、偏差値の高い高校に通う高校生たちが下宿する下宿屋での話。
話の中心は、いるか、くじら、凜子の女子高生3人。
いるかは真面目な学生、くじらはお笑い志望で、いるかを相方に誘っているがいつも断られている。凜子はダブりで合コンに出かけては、男にもてたいと願っている。
そんな、もてたい願望の凜子の思いが神様に届いた?
そんな感じのストーリーに、下宿に住む男子高校生や大学生、変な入居者、大家さんの母娘が絡んでくる。

高校生とか頭のいい学校とかの設定はほとんど活かされることがない。とてもその設定に見えず、ほぼ自称状態。まあ、それはどーでもいいのだ。

とにかく全体のテンションが高い。と言うか高すぎる。
が、イヤな感じはしなかった。
むしろ、互いにぶつかり合い、火花を散らしているように見えた。

どのキャラクターも無闇に濃いのだが、それを全身で誰もが演じ切っていた。
全員が強烈すぎ。それを、まったくためらうことなく、アクセルを踏みっぱなし状態にして演じているのだ。

その状態の役者たちのぶつかり合いが、とてつもなくいい相乗効果を生んでいたと思う。
つまり、「あっちがこのレベルで来るのならば、こっちはこれでどうだ!」というような、役者魂に火を点けました状態のせめぎ合いが続く。

もちろん、全編その状態というのは、無意味だったり、無理があるところもあるし、それが常にいい状態であるとは言えないのだが、それでも役者たちの猪突猛進ぶりは爽快ですらある。
ガンガンぶつかって火花が散って、役者が輝いて見えるのだ。
だから、もうどんどん行ってくれ! という気持ちになってくる。

役者たちはランナーズハイ状態なのではないだろうか。観客は、ランナーズハイ状態の役者を、沿道で小旗を振りつつ見守るしかないというか、そんな感じ。…違うか。

特に女子高生3人のぐいぐい感はたまらない。
ダブリの女子高生・凜子を演じた小岩崎小恵さんは、いいテンションで押しまくるし。
いるかを演じたモリサキミキさんは、真面目キャラを貫き通しながら面白いところは確実に取っていく。
そして、お笑い志望のくじらを演じた小野寺ずるさんは、押すところと引くところがいい塩梅で、中盤以降は彼女が主役となっていくようだ。感情の上げ下げでは目が本気で、これは相当役に入り込んでいて凄いと思った。

男子高校生では、チャラくてバカな蛾野を演じた萩野肇さんの、あまりにも凄まじいバカっぷりに大笑いした。とにかく台詞回しとその表情が秀逸すぎ。
またアニメオタクのダイスケを演じた水本貴大さんの、思い詰めてしゃべる様子のキモさは絶品だった。いかにもツバキが飛び散る感じで。ただ、結末はヒドすぎる展開だけど…。

それ以外の登場人物を演じたどの役者さんたちも、とにかく濃い役を軸をまったくブラさず最後まで突っ走っていて、本当に面白かった。

濃くてキモくて、ちょっと下品で、神様出てきちゃったりして、愛のキューピット的な吹き矢で気持ちをどうにかするなんていう、どーでもいいストーリーだけど、役者を見るには最高だった。
演出がいいのか、それとも役者の相性がいいのか、あるいは両方なのかはわからないのだが、とにかく役者が大きく印象に残る舞台だった。
今思い出しても笑ってしまうシーン山盛り。大笑いじゃないけど。

プロデュース公演なので、演出としては相当思い切ったことができたのではないかな、とも思った。
熱の華

熱の華

セカイアジ

OFF OFFシアター(東京都)

2012/02/18 (土) ~ 2012/02/22 (水)公演終了

満足度★★★

初日ソワレ観劇
チラシの写真に使われた洋館の中で70年代風の昭和テイストの小道具(黒電話とかテーブルとか)や衣装が上手い具合に混じり合ってた。
昼ドラをあまり見ないので男女関係の要素がどこまで忠実なのか知らんけど江戸川乱歩作品を彷彿させるような味があり、ドラマ作品のカット割りに大げさな効果音が聞こえてくるのが上手い事マッチするような妖しい作品。

ネタバレBOX

「熱の華」ってタイトルだから、口唇ヘルペス絡めてくるのか、と思ったら登場人物の一人がその症状だった。口唇ヘルペスは特に意味なし。
屋敷を覆う樹木の葉が、訪れる人を麻薬のような感覚に陥らせる効果、幻覚や行動を起こさせるんだけど、一歩外出て変化する具合のメリハリをもうちょっとしっかり見せて欲しかったかも。
なんか「ハイ外出た、別人格になりました」っていう台詞運びに見えた。
描かれている背景で「放射能」「オルグ」という言葉が使われてたりして、反社会行為を思わせるけど破壊活動運動のリーダーの表情が優男過ぎて見え、あまりカリスマ性は感じなかった。
人生の終わりを一緒に彷徨いたかったかのように見えた、葛葉と堀川と阿部の三角関係が印象的。

ミステリーぽさもありつつのシュールだ、バランスのよい不条理劇っていうのかなぁ・・?
初めて観る劇団のカラーは漠然と掴めた気がするので次も見てみたい。
ドリルチョコレート×キコ qui-co.「世田谷童貞機構」

ドリルチョコレート×キコ qui-co.「世田谷童貞機構」

MCR

サンモールスタジオ(東京都)

2012/02/14 (火) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★★

苦笑系か
開き直っているようでそうでない、鬱屈した童貞の気分が痛々しさといじらしさみたいな微妙な空気を醸し出す、苦笑系のコメディ。傑作ではないが、疲れなくていい。

Spiral of Decay

Spiral of Decay

Aggressive Death Metal Band Super Star Seve Stars

アサヒ・アートスクエア(東京都)

2012/02/17 (金) ~ 2012/02/20 (月)公演終了

満足度★★★★

裏切られました!
いや 驚かされました
爆音鮮烈メタル幕末エンターテイメント!!! 凄くアツかった・・・
こんなに上手い役者が揃っていたとはポスターからは全く予測出来なかったので痛快な裏切りでした。
そしてもったいない!
彼らはとてもいい顔、いい面構えをしている
アニメ的ではなく アイドル的でもなく 骨太の役者!芝居巧者!アツい男達ではないか!! ポスターで敬遠した芝居ファンに是非とも観て裏切られてほしい。
アサクサアートスクエアスーパードライホールという箱を見事に使い 魅せる役者が揃い 泣かす。
藤堂役西岡、土方役出来本、近藤役潮見が締め 山南役志村が泣かし沖田役主演霜月が魅せる。 また観たい!と思わす骨太のエンターテイメント 千秋楽チケットが売り切れているというのはそういう事だろう

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