君を好きにできない 公演情報 コーヒーカップオーケストラ「君を好きにできない」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    役者、というか役者魂、のようなものを観た
    ストーリーとか演出とか、もうどうでもよく(暴言・笑)、なんか恋愛に関するメッセージっぽくまとめました的な、それらしい台詞もあったけれど、もちろんそれなんかも、どーでもよくって、とにかく火花散らし、輝く役者たちを観たという印象が強い。

    ネタバレBOX

    ビルゲイツ高校という、偏差値の高い高校に通う高校生たちが下宿する下宿屋での話。
    話の中心は、いるか、くじら、凜子の女子高生3人。
    いるかは真面目な学生、くじらはお笑い志望で、いるかを相方に誘っているがいつも断られている。凜子はダブりで合コンに出かけては、男にもてたいと願っている。
    そんな、もてたい願望の凜子の思いが神様に届いた?
    そんな感じのストーリーに、下宿に住む男子高校生や大学生、変な入居者、大家さんの母娘が絡んでくる。

    高校生とか頭のいい学校とかの設定はほとんど活かされることがない。とてもその設定に見えず、ほぼ自称状態。まあ、それはどーでもいいのだ。

    とにかく全体のテンションが高い。と言うか高すぎる。
    が、イヤな感じはしなかった。
    むしろ、互いにぶつかり合い、火花を散らしているように見えた。

    どのキャラクターも無闇に濃いのだが、それを全身で誰もが演じ切っていた。
    全員が強烈すぎ。それを、まったくためらうことなく、アクセルを踏みっぱなし状態にして演じているのだ。

    その状態の役者たちのぶつかり合いが、とてつもなくいい相乗効果を生んでいたと思う。
    つまり、「あっちがこのレベルで来るのならば、こっちはこれでどうだ!」というような、役者魂に火を点けました状態のせめぎ合いが続く。

    もちろん、全編その状態というのは、無意味だったり、無理があるところもあるし、それが常にいい状態であるとは言えないのだが、それでも役者たちの猪突猛進ぶりは爽快ですらある。
    ガンガンぶつかって火花が散って、役者が輝いて見えるのだ。
    だから、もうどんどん行ってくれ! という気持ちになってくる。

    役者たちはランナーズハイ状態なのではないだろうか。観客は、ランナーズハイ状態の役者を、沿道で小旗を振りつつ見守るしかないというか、そんな感じ。…違うか。

    特に女子高生3人のぐいぐい感はたまらない。
    ダブリの女子高生・凜子を演じた小岩崎小恵さんは、いいテンションで押しまくるし。
    いるかを演じたモリサキミキさんは、真面目キャラを貫き通しながら面白いところは確実に取っていく。
    そして、お笑い志望のくじらを演じた小野寺ずるさんは、押すところと引くところがいい塩梅で、中盤以降は彼女が主役となっていくようだ。感情の上げ下げでは目が本気で、これは相当役に入り込んでいて凄いと思った。

    男子高校生では、チャラくてバカな蛾野を演じた萩野肇さんの、あまりにも凄まじいバカっぷりに大笑いした。とにかく台詞回しとその表情が秀逸すぎ。
    またアニメオタクのダイスケを演じた水本貴大さんの、思い詰めてしゃべる様子のキモさは絶品だった。いかにもツバキが飛び散る感じで。ただ、結末はヒドすぎる展開だけど…。

    それ以外の登場人物を演じたどの役者さんたちも、とにかく濃い役を軸をまったくブラさず最後まで突っ走っていて、本当に面白かった。

    濃くてキモくて、ちょっと下品で、神様出てきちゃったりして、愛のキューピット的な吹き矢で気持ちをどうにかするなんていう、どーでもいいストーリーだけど、役者を見るには最高だった。
    演出がいいのか、それとも役者の相性がいいのか、あるいは両方なのかはわからないのだが、とにかく役者が大きく印象に残る舞台だった。
    今思い出しても笑ってしまうシーン山盛り。大笑いじゃないけど。

    プロデュース公演なので、演出としては相当思い切ったことができたのではないかな、とも思った。

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    2012/02/19 04:36

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