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明け星の頃には ~セロ弾きのゴーシュ~

明け星の頃には ~セロ弾きのゴーシュ~

ゲンパビ

シアター風姿花伝(東京都)

2013/05/03 (金) ~ 2013/05/05 (日)公演終了

現代版セロ弾きのゴーシュ
朗読劇の要素もありアットホームな雰囲気のいいお芝居でした。
個人的には登場人物の設定が現実的過ぎて原作のイメージと馴染まなかったのが少々残念。 もう少しファンタジックな仕上がりが好みかも…
朗読の部分がテンポよく分りやすくかった反面、各場面での間には何となく居心地の悪さを感じて、上演時間の割には長く感じてしまいました。
演出の意図が読み切れない自分を痛感したので、もっと勉強して次回作に臨みたいと思います。

SHOOTING PAIN

SHOOTING PAIN

コロブチカ

横浜美術館レクチャーホール(神奈川県)

2013/05/04 (土) ~ 2013/05/06 (月)公演終了

満足度★★★★★

笑って泣いて
不覚にも涙が出そうになりました。
あれだけ賑やかして笑わせておいて、
油断したところで心をギューッと鷲掴みにされました。
シンプルな舞台を、巧みに時間と場所を飛んでみせる演出に感心。
そして、俳優陣のレベルの高さに脱帽です。

照明も良かったですね。
ダンス(群舞?)の際のシルエットが綺麗でした。

久しぶりに拝見した右手さんに夢中でした。
完全にやられました。
そして、看板でありながら抑えた演技のコロさんに脱帽です。

次回公演も、たくさんの人に観てほしいです。

明け星の頃には ~セロ弾きのゴーシュ~

明け星の頃には ~セロ弾きのゴーシュ~

ゲンパビ

シアター風姿花伝(東京都)

2013/05/03 (金) ~ 2013/05/05 (日)公演終了

キレイだ。
シンプルな舞台装置ながら照明の使い方が効いていて、ニクい空間演出。お洒落なカフェ公演の雰囲気もあって良い気分でいられました。

物語自体は他人との分かり合えなさや勘違いを主軸に、目崎さん演じるゴーシュを下敷きにした主人公の周囲を描いていくスタイル。各場面同士の繋がりは若干弱めに感じたものの、何より空間が統一出来ているので流れとして自然に観ていられた。

これが企画公演となると、本公演はどうなっているのか。今回観られたのは収穫。いずれ本公演にも行ってみたくなりました。

ネタバレBOX

しばらく振りに行った風姿花伝。空間的にサンモールスタジオと似てるかな?

早井さんも可愛らしかったんだけど、ああいう役を観るとどうしても清水那保さんを思い浮かべてしまって…。口調として、朗読の語尾が気になった。変化がなく同じニュアンスが続くので、その度にフレーズが終わってしまう物切れ感。思い浮かべながら読んでいるとか、次の行を気にしながら読んでいるとか、「。」に辿り着く度に多少の変化を付けて欲しかった。
あと、事前にパンフを見ずに朝比奈親子が親子であるのを見逃すと、ひかりの登場は意味が分からなくなる可能性があって、その関係性は戯曲の時点でもうちょっと押し出しても良かったかも。

各人物の知識の引き出しがちょっと浅く思えて、WEBで検索して租借せずに引用していた様な印象。例えば三田村は登場シーンからすると風水にハマっている様子だったものの、後に出てきたエピソードは六星仙術だった。平野が天体の知識を語る部分も、好きで気分が高揚して口にしているはずなのにイマイチ楽しそうじゃなったり。オタクが好きなアニメを語るのと同じシチュエーションなんだから、もっと熱くなって然るべきでは?
ロボティクス・ノーツ

ロボティクス・ノーツ

トライフルエンターテインメント

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2013/05/03 (金) ~ 2013/05/12 (日)公演終了

満足度★★★

原作未読
内容を知らずに観劇したのに、普段使わないであろう言葉が多用されているにも関わらず、疑問が残る展開はありましたがストーリーがちゃんと分かって、最後には熱くなりました。

ただ、他の方も言ってらっしゃいますが、台詞が聞き取り辛かったです。

斜い人 (はすいひと)

斜い人 (はすいひと)

ナイスコンプレックス

サンモールスタジオ(東京都)

2013/05/02 (木) ~ 2013/05/08 (水)公演終了

満足度★★★★

布石
作品を通して、「赤ちゃんポスト」について改めて考える布石になりました。
その存在は、有りなのか無しなのか、最善のソルーションなのか?別の仕組みを模索するべきなのか?
でも直視すべきは、子供を持つことに苦悩する母親、産まれてきた赤ちゃんであることがとても強く伝わってくる芝居でした。
敢えて厳しい社会に直面する成長した私生児達が浴びる言葉、扱いの実態も演じられる。
思いの詰まった作品でした。
初めて観劇した劇団でしたが、表情豊かな役者陣にとても魅力を感じました。
観劇後に過去DVDを見ていると、丁寧に作品の魅力を説明してくださるスタッフのお陰で、4本のDVDを選別し購入できました。
次回作も期待しています。

ロボティクス・ノーツ

ロボティクス・ノーツ

トライフルエンターテインメント

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2013/05/03 (金) ~ 2013/05/12 (日)公演終了

満足度★★★★

原作知らない
巨大ロボットが出現する話なんだから、足だけでもセットにあれば良かったのに〜。スクリーンの映像がピンボケっぽくて雑だったのが難点。

原作やゲームを全く知らない状態で見ましたが、これで小中学生と話が合う。

河童~はたらく女の人編

河童~はたらく女の人編

渡辺源四郎商店

ザ・スズナリ(東京都)

2013/05/04 (土) ~ 2013/05/05 (日)公演終了

満足度★★★★

”河童”現象
オトナの高校演劇祭2本目は「河童~はたらく女の人編」。
高校演劇部のために書かれたこの作品は、高校の教室が舞台だったが
今回なべげんのオトナが演じるにあたり、舞台はオフィスになっている。
ある日突然河童に変身してしまった女子社員をめぐって職場は大揺れ。
「いじめ」や「差別」は子どもも大人も同じように、その社会にはびこっている。
そして性質が悪いことも同じなら、有効な解決方法が見当たらないのも同じだ。

ネタバレBOX

なぜか突然河童になってしまった女子社員の扱いについて職場は意見が分かれる。
それまでの勝手な振る舞いもあって、全く同情の余地なしとする社員もいれば
かわいそうだから優しくしてあげてと訴える同期の社員もいる。
部長は一生懸命みんなで受け入れましょうと説得を試みるが、社員の反応は冷たい。
社内恋愛の相手だった課長も今やドン引きの状態だし
あのぬるぬるした緑色の皮膚と水かきの手、そして強烈な匂いに皆辟易している。

河童が課長との甘い思い出に浸るシーンで
突然ピンキラの「恋の季節」を歌い出したりするのが最高に可笑しい。
だがそんな河童の楽観的な思惑を木端微塵に打ち砕くのは
理解し励ましてくれていた部長が、握手を拒んだことだった。
口では何とでも言えるが、結局それか、触るのは嫌か…。

理解者ぶっても最終的には拒否する。
僕はみんなと違う、僕も河童になると言って近づいて来る男は、
完全防備で直接触れないようにしている。

そしてある朝、唯一河童と手をつないだ同期の女子社員が出社してきた時
彼女の手は緑色で水かきがついていた…。

アフタートークで畑澤氏が語ったように
カフカの「変身」がベースにあって
ある日突然いじめの対象になる、理由も原因もわからない不条理さが出発点だ。
高校生にも理解できるよう、「変身」のあらすじを語らせるなど
親切な試みにあふれていてとてもわかりやすくなっている。
「1回では聞き逃すから2回言う」のがポイントだそうだが
高校生から70代、80代までの幅広い年代層が理解し楽しめるようにするのが
高校演劇の特長だというのが印象的だった。
確かに、若い劇団が同年代の仲間ウケだけに満足しがちなのとは一線を画している。
地方では尚更、そんなターゲットを絞った演劇ではやって行けないということだ。

ストーリーは何の解決策も提示されず、
所詮同じようにいじめられ差別される者同士しか分かり合えないのだ…
みたいな暗澹とした終わり方をするのだが
もしかしたら、“河童”が伝染して社員全員が河童になってしまえば
いじめも差別も無くなるのか、という気もする。

想像力を働かせれば何とかなるとか
「みんな仲良く」みたいな説教で何ら変わるものではないという
辛口のメッセージが、現役の教師から発せられるという所に説得力がある。

自分の過去の職場で見聞きした“河童”現象をいくつか思い出して
今さらながらひどく納得したのだったが
たぶんこういう見る側の経験値も、オトナの演劇祭をさらに面白くするのだろう。
focus. 神話

focus. 神話

ミームの心臓

インディペンデントシアターOji(東京都)

2013/05/02 (木) ~ 2013/05/08 (水)公演終了

満足度★★★

みました
ハイブリッドハイジ座は役者さんそれぞれのキャラがよかった。
ミームの心臓はつまんなかった。

ネタバレBOX

(ミームの心臓)ダンボール箱の中の黒電話が繋がってることになってるって、なめてんのでしょうか。
focus. 神話

focus. 神話

ミームの心臓

インディペンデントシアターOji(東京都)

2013/05/02 (木) ~ 2013/05/08 (水)公演終了

満足度★★★

大学毎のカラー
早稲田のハイブリッドハイジ座、慶應義塾のミームの心臓、日本大学の四次元ボックスによるオムニバス演劇。木箱に座っての観劇だったので、とてもお尻が痛い。

大学ごとにやはりカラーがあるようで、ハイジ座は身体的、ミームの心臓は言語的、四次元ボックスは感覚的。そのような印象を受けます。

神話というコンセプトで多角的に現代社会へ切り込めたかというと、まぁ、できていないかなぁ。それでもやろうとしていることは、とても素晴らしいので、続けて行って欲しいなと。

斜い人 (はすいひと)

斜い人 (はすいひと)

ナイスコンプレックス

サンモールスタジオ(東京都)

2013/05/02 (木) ~ 2013/05/08 (水)公演終了

言葉が出なかった
セットにループする様な演出に、なかなか面白かったです。


赤ちゃんポスト。正直重いテーマです。
考え方は人それぞれだし、子を持つ親でも感じ方は違うだろうし…
こんなことが無くなればいいと思う反面、どんな生まれ育ちでも、今を幸せだと感じ生きているなら良いのではないかとも思います。

答えなんてわからないし、何が正しいとも無いと思います。
ただ、この作品で考えることがたくさんあって。涙が止まりませんでした。
ぜひ、たくさんの人に観てほしいです。


評価は、あえて付けません。
でも、素敵な作品でした。
ありがとうございました。

魔劇 今日から(マ)王! 魔王誕生編

魔劇 今日から(マ)王! 魔王誕生編

株式会社Ask

博品館劇場(東京都)

2013/04/25 (木) ~ 2013/05/06 (月)公演終了

満足度★★★

ミュージカル、ですよね
原作を知っていたのとキャストさんで、興味を持ちました。
なかなか、面白かったです。
が。
歌が不安定だし、音量バランスも劇場に合っていない様に感じました。

ちょっとこの作品で何がやりたかったのか掴めませんでした。
イケメンを見て笑うには、楽しかったです。

SHOOTING PAIN

SHOOTING PAIN

コロブチカ

横浜美術館レクチャーホール(神奈川県)

2013/05/04 (土) ~ 2013/05/06 (月)公演終了

満足度★★★★

可笑しくて切ない物語
まずシナリオがとても良かったです。池亀三太さんは流石だと思わずにいられません。役者の皆さんも素敵で、物語は少し悲しくて切ないのですが、後味の悪さは感じず、明るい気持ちになれるという不思議な感覚でした。面白かったです。

明治座 五月花形歌舞伎

明治座 五月花形歌舞伎

松竹

明治座(東京都)

2013/05/03 (金) ~ 2013/05/27 (月)公演終了

満足度★★★★

頼もしい勘九郎実盛
どちらかと言えば、切られ与三の方がお目当てでしたが、作品の完成度は、実盛の方が勝っていました。

とにかく、勘九郎さんの実盛が、理想形に近く、あっぱれです。手堅い配役で、台詞も明瞭。近来の上演の中でも、わかりやすさの点では、群を抜いていました。何度も観ている演目ですが、仁左衛門さんの実盛以外で、泣かされるとは思いませんでした。

小万との経緯を物語る場面は、的確な表現で、観客の目を逸らせずに語る説得力があり、大変頼もしく感じました。

瀬尾役の亀蔵さんは、口跡も良く、今まで拝見したどの瀬尾役より、最期の場面に共感してしまいました。お若い頃から、父が注目していた役者さんでしたので、帰宅して、早速、仏壇の父にも報告したくらいです。

「玄冶店」の場が有名な切られ与三は、七之助さんのお富が美しく仇っぽいのはいいのですが、どうも、実のない、性悪女に見えてしまうのが惜しい。染五郎さんの与三郎は、見染の場の若旦那ぶりはいいのですが、やさぐれた後の強請り場での役作りは、まだ工夫が必要だなと感じました。蝙蝠安の亀鶴さんの軽やかな演技には、楽しませて頂きました。

ところで、この日、明治座のカフェで、河竹登志夫さんはお元気かしらとふと思い出し、帰宅後、自宅の書庫で、登志夫先生の著書を数冊立ち読みしていました。まさか、当日亡くなられていたとは!
虫の知らせだったのでしょうか?
これで、父のご友人は皆さん、父と同じ世界にいらしてしまわれました。
合掌。

ネタバレBOX

団体客も多かったものの、歌舞伎を楽しもうと集まった客層で埋まった客席は、開幕前から、大変気持の良い雰囲気でした。

ただ、お隣のお二方が、上演中に、役者や芝居の説明をしたり、幕間に、次の演目の内容を全部話してしまわれるのには閉口しました。

お富さんと、与三郎がどうなるか、誰は誰と実はこういう関係だとか、何度も観ている観客は当然知ってはいても、観る前に全てネタバレしてしまうのは、たとえ歌舞伎と言えども、ご法度でしょうと思うのですが…。

どちらの演目も、現代的に、ずいぶん、わかりやすい工夫や、観て楽しめる要素が増え、退屈しないことが、画期的な気がしました。
ただ、その分、歌舞伎狂言としての美が若干薄味になったきらいはありますが。

とにもかくにも、歌舞伎の未来にちょっと安心して、帰路につくことができて、何よりの喜びでした。

ひかる君ママの復讐

ひかる君ママの復讐

月刊「根本宗子」

BAR 夢(東京都)

2013/04/28 (日) ~ 2013/05/06 (月)公演終了

満足度★★★★★

なんて面白い復讐劇
BAR 夢で繰り広げられた復讐劇は、それはそれは楽しいものでありました。
タイトルからは想像もつかない爆笑の掛け合いの繰り返し。
演じられている役者は役を演じているのか、素なのか。

月刊根本宗子は劇団、本谷有希子のような雰囲気かと思っていたら、
結構違うものなのですね。

今後も期待。

ING版「戦場のピクニック」

ING版「戦場のピクニック」

劇団ING進行形

d-倉庫(東京都)

2013/05/05 (日) ~ 2013/05/06 (月)公演終了

満足度★★★★

多様な表現
 息子の戦うバトルフィールドへ父母がバイクでピクニックに来る。父は、かつて矢張り戦場にあり、敵の騎兵と戦った。また、若い頃には走る地下鉄から何度も飛び降りたことがあるのが、自慢である。息子は、前線に父母が来ては危険だと、帰るように頼むが、馬耳東風!。ご存じアラバールのスペイン内戦を扱った作品だ。

ネタバレBOX

 同一テキストを全部で15の劇団が、其々の方法で舞台化、自分は、その最後のパート13劇団目から15劇団目迄を拝見したわけだが、いや、驚いた。2次元のテキストが、3次元になるということは、これほど大きな差を生むのか、ということにである。実際、各々の劇団で出演する演者の数も異なれば、作品解釈も異なる。どの部分を強調するのか、各劇団の、今迄演じて来た方法論を、この作品に如何様に映すのか、予算や規模の範囲内で、ベストな表現は何か、というのを真剣に考えた結果だろう。どちらかと言えば、オーソドックスに創る者、アナーキーな迄に、不条理性を野生味に置き替えエネルギーを爆発させる者、エネルギーポテンシャルを保ったまま、溜めを使って抑え、その緊迫感を美しさに迄高めた者、それぞれが、其々の仕方で作品を構築した。面白い試みである。また、3作品の上演の順番も良く考えられていたと思える。3作品中最もソフィスティケイションされていたのは、最後に演じたING進行形だろう。ダンスの動きなども得意な集団だが、敢えて抑えを効かした演出で締まった舞台になった。衣装のセンスもこの演出に合うきりっとしたフィギュアであり、色であった。それにしても、これ程、多様な表現に結実する不条理劇の底知れぬ深さと広がりに改めて感心した。(因みに、このようなことは、ゴドーを演出した、外国の天才的演出家も言っていたし、今回、ゲネで総ての作品を観た演出家も、「不条理劇だから、ここ迄、印象の異なる作品化が出来た」という意味のことを言っていた。以上、二人の演出家に近い自分の感じ方を、自分流の表現で言ってみた。)
 今後も、今回のような企画をどんどんやってほしい。
踏切があがるとき

踏切があがるとき

神奈川県演劇連盟

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2013/05/03 (金) ~ 2013/05/05 (日)公演終了

日本人の生き方を、70ー80年代を軸に再考察

「演劇の神奈川」を体感するには十分の舞台であった。

1970年代の国鉄は、国労のストライキにより多数の乗客に対し列車遅延の被害を与え、日本経済の生産性に障壁となっていた。
その様子は、朝日新聞に連載されていた70年代の『サザエさん』(作_長谷川町子)にも度々、登場する。

一方、グループ総帥•堤康次郎死後も「国土計画」を通じ堤家支配が続いた私鉄の西部鉄道は、ストライキが発生していない。

「国鉄一家」という造語がある。
国鉄は、現東京ヤクルトスワローズなどのプロ野球団を持ち、職員のためのオリエンテーションに努める さきがけ的な存在の事業団である。

たしかに国労が日本の労働運動に汲みした役割、または位置づけは過小評価すべきではないだろう。

しかし、「国鉄一家」の身内争いが、客人である乗客=一般大衆を困惑させ公益性の障壁となった事実も合わせて考えなければならないのではないか。




「昭和」から「平成」に掛け、人々のライフスタイルは変わった。
昭和のライフスタイルは1950年代の「さんちゃん農業」(じいちゃん、ばあちゃん、母ちゃん)、から「モーレツ社員」へ。福田赳夫が「自民党は農家の皆さんの味方です!」と息巻いてから減反政策がスタートし、「カイシャ的共同体」の中で生活する日本人=男性が急増した。

72年頃に入社した小泉の組合運動への専念というのは まさに 「モーレツ社員」「カイシャ的共同体」オモテ裏のうち、その裏側に位置したのである。

現在まで、公務員にストライキ権は付与されていない。
代わりに、内閣から独立した人事院があり、労働争議の仲介も行われる。

国労を含めた国鉄系労働組合、地方郵便局長系の全特、地方公務員の自治労等は、各々が大政党(自民党、日本社会党、民社党)の組織票であった。
こうした、冷戦集結前の公務員、国有事業団職員による“業界運動”が政治力を持った結果、社会全般の権利を向上させた面はあるが、たとえば全特を例に取れば 彼等は既得権益者であった。

日本国憲法に、公務員は国民の「公僕」と明記されている。だが、昭和の時代、そして平成を越えて今も自治労メンバーは「国」へ目を向ける。民営化された事業団の職員は現代でも法規上は特殊会社•社員の身分であり、霞ヶ関の中央省庁から庇護を得ることしか考えていないのである。 


そして、平成のライフスタイル。
小泉は倒れた後の晩年、若い頃に張り切った登山を付き添われながら挑んだ。
しかし、それでも小泉は笑顔ではないことから、バブルが崩壊し“生き方”を暗中模索した90年代の時代性と見て取れる。決して、肯定しているわけではない。









ネタバレBOX


社会を誰が牛耳ってるか分かる、社会派の舞台でもあった。
日本の政治家に正統性はあるか。これはじつは大切なテーマだ。

現在、総理大臣を指名する衆議院の選挙方式は、小選挙区比例代表並立制だ。
1994年に制定され、1996年執行の衆院総選挙から運用されている。

1988年にリクルート事件を発端とし結成されたユートヒア政治研究会は、1年生議員の年間に掛かる政治費用を算出したことがある。

以下、同研究会に関わった、衆議院議員•とかい紀三朗氏の公式ホームページから引用したい。


「金のかからない政治を実現するためには、まず何故政治に金がかかるのかを知らなければならない。それ故に、メンバーの必要経費を分析することになり、理系学部出身であった私と鳩山氏が担当することになった。

かなり以前のことであり、資料が手元に残ってないので正確ではないが、最低でも6500万、最高は1億9000万円(おそらく鳩山氏)、バラツキはあつたが参加メンバー10人の平均は約1億1000万となった。

鳩山氏が分析を試みたが、選挙区の広狭と経費の多寡に若干の関連性はあるものの、それぞれの選挙区事情に差もあり、傾向を結論づけることは難しかった」


中選挙区制時代には、『三バン』という政治用語があった。
地盤、看板(知名度)、鞄(資金)の三つ である。
一つの選挙区で、同じ政党の公認を受ける複数の候補が競い合うケースがみられたため、より世襲化、金権腐敗が進行したというのが戦後日本政治史の痛切だろう。
もっとも、常に120〜160程度の議席数を保有していた日本社会党が ほぼ「一選挙区1名」の方針だったわけだから、事実上は自民党の問題を指す。


この自民党利権誘導メカニズムについて、政治学者の砂原廉平氏は、次のように指摘する。

「政党を頼ることができない候補者がまず依存するのは、選挙区内のさまざまな組織・団体だ。たとえば定数4人程度の選挙区では、20%程度の得票を固めれば当選が見込めるので、一定の組織・団体からの支持が当選に直結する。

所属政党を問わない競争のもと、候補者は自分だけを支持してくれる組織・団体を探す。その結果、選挙区内の地域ごと・産業セクターごとに細分化された組織・団体が、政党ではなく候補者個人を支援する。

当選した議員たちは、支援の見返りとして組織・団体への便宜を図ることを優先し、それが政治腐敗の温床となるのだ。

次に候補者が依存するのは、自民党で隠然たる力を持っていた「派閥」だ。自民党の派閥は、党の支援に頼れない候補者に、経済的な資源をもたらし、場合によっては選挙区の組織・団体の紹介をも行っていた。

派閥の長は、自民党総裁選挙に勝利して総理大臣になるべく、構成員にさまざまな資源を付与して求心力を高めようとするのだ。この過程で政治腐敗が生じることになる」(2013.2.2  週刊東洋経済)


リクルート事件が世論に与えた影響は多大で、直近の参院選での土井社会党躍進を招き、政治改革を巡り自民党経世会の改革派が新生党、新党さきがけ らに分裂した結果、戦後保守レジーム崩壊へと繋がった。

では、小選挙区比例代表並立制と選挙方針が変わり、中選挙区制の難点は解消されただろうか。

中選挙区制時代の「地盤」「看板」「鞄」は、世襲政治家がものを言う最たる武器だった。地域の企業、団体とのパイプはあるし、政治団体の資産は息子が代表となれば使える。

小選挙区比例代表並立制に基づく選挙が執行された1996年以降の、衆議院議員における世襲状況を見てみよう。


1996年総選挙 87名
2000年総選挙 113名 
2003年総選挙 134名


年々、増加傾向にあるではないか。1996年時に内閣総理大臣だった橋本龍太郎以降、既に5人が世襲政治家首相である。


政治資金に関しては、小選挙区比例代表並立制になり「カネが掛からなくなった」か。たしかに政治家個人の政治団体の支出は減る傾向にあるが、政党としての政治資金は依然として肥大のままだ。

 昨年の総選挙、自民党は09年衆院選より比例区で220万票、小選挙区で166万票の得票を減少させた。。だが、「多党化」の要因により、国から支給される政党助成金自体は43・3%増(前年比)の145億5000万円である。自民党は他にも多額の企業献金等を受け取っているが、それでも銀行から借用した負債分が存在する。
小沢氏はかつて細川内閣の頃、政党助成金の法案成立を目指す際に、「民主主義のため、国民にコーヒー杯分の負担をしてもらう」と述べた。
しかし、大統領制を採用している国を除けば多額の政党助成財源であるから、やはり小選挙区比例代表並立制とリンクされる形で考えられた政党助成金も、腐敗が抑えられた一方、「政治資金の肥大」なのは間違いない。


最も小選挙区比例代表並立制において問題視されるのが、死票の多さで生じる有権者間の不公平だろう。


2012年12月18日付 東京新聞ネット版の記事を参照されたい。


 「戦後最低の投票率となった十六日の衆院選は、自民党が定数(四八〇)の六割を超える二百九十四議席を確保する圧勝で終わった。しかし小選挙区で自民党候補の名を書いたのは全有権者の約四分の一、比例代表に至っては15・99%だった。自民党の勝利は、必ずしも民意を反映したものではない。多党乱立と低投票率が自民党を利した結果であるということが、はっきり分かる。

 衆院選の投票率は小選挙区で59・32%。戦後最低を記録した。

 一方、自民党の得票率は小選挙区が43・01%。比例代表は27・62%。ただし、これは投票した人の中での比率だ。

 全有権者に占める比率は24・67%、比例代表は15・99%となる。選挙区でも比例代表でも自民党候補や党名を書いた有権者は「少数派」だ。

 ところが、自民党が獲得した議席は小選挙区で定数の79%にあたる二百三十七議席、比例代表は、同31・67%の五十七議席だった。

 現在の衆院選挙制度は、小選挙区制と比例代表の並立制を採用している。民意を集約して二大政党制に導く小選挙区制で自民党は、有権者全体に占める得票率の三倍以上の議席を獲得。信じられないような世論との乖離(かいり)が生じた」(2012年12月18日  東京新聞  ネット版)


日本国憲法に基づき、日本の成人国民は一人一人選挙権を持っている。ところが、4割の国民が投じた政党が7割近くの国会を占拠してしまうような状況は公平といえるか。
完全小選挙区制を実施している国はイギリス連邦など、多数 見受けられるものの、日本は 「一人別枠法式」という憲法違反がまかりとおり、あまりに地方重視だ。
イギリスは都市を基盤とする労働党が議席を得やすい小選挙区の線が引かれている。アメリカにおいても、やはり同様に民主党の支持者が集まる都市州に  議席配分が偏ってる。2008年米大統領選挙も、オバマ候補は 共和党マケイン候補をわずかに抑え、なんとか過半数を越えたに過ぎない。
だが、なぜかイギリスやアメリカの政治システムを見本とする日本は、地方の有権者に政治的権利=「一票の重さ」を与える。


この国には
1小選挙区制のマイナス面である死票
2自民党の地方利権誘導型システムに基づく地方重視
3比例代表との重複立候補可。それに伴う単一選挙の複数候補当選。(一票の格差9倍の可能性)
4地域ごとの比例代表ブロック制。および拘束式の弊害。(過激政治家の出現)



以上、4点の選挙制度をめぐる問題を抱えていると、私は考えている。
ここでは全てを詳しく紹介できず残念だが、中選挙区制の弊害を埋めるための小選挙区比例代表並立制は誤りであり、事実に反しているのだ。旧たちあがれ日本などは、中選挙区制の回帰を主張したものの、世論はより公平さを求め、政党の品位や主義主張を重視。しかも候補者査定が要るのであれば、非拘束式比例代表制が現実的なのではないか。
ひかる君ママの復讐

ひかる君ママの復讐

月刊「根本宗子」

BAR 夢(東京都)

2013/04/28 (日) ~ 2013/05/06 (月)公演終了

満足度★★★★★

緑川Ver.
緑川Ver.もやっぱり面白かった!とにかく女優陣の熱量が凄い!明らかにパワーアップしてた。根本宗子さんは本当に役者の生かし方がうまい!

SHOOTING PAIN

SHOOTING PAIN

コロブチカ

横浜美術館レクチャーホール(神奈川県)

2013/05/04 (土) ~ 2013/05/06 (月)公演終了

満足度★★★★

良かった!
切なくてあたたかなお話でした。仕掛けはシンプルですが、その分役者の魅力が満載でした。中心となる右手愛美さんとコロさんが特に素敵でした。そして前園あかりさんの動きのキレがなんとも凄い!

チョンガンネ~おいしい人生お届けします~【DVD好評発売中♪♪】

チョンガンネ~おいしい人生お届けします~【DVD好評発売中♪♪】

ワタナベエンターテインメント

本多劇場(東京都)

2013/04/25 (木) ~ 2013/05/06 (月)公演終了

満足度★★★★★

けっきょく
3回観た。このことがこの公演のできを表しているのかもしれない。
話自体はよくある筋立て、とくに奇抜なものはなかったが、それだけに、
女優陣の演技力、歌唱力に助けられた感は否めないとはいえ、男優陣のまじめさや楽しく演じている様子に好感が持てました。夢・絆・家族・友情。これらは、ちょっとてれくさいようなダサいような気がするいまどきにあって、働く喜びや楽しさといったものと合わせて、正面からそれも説教調や道徳観とは違ったアプローチで迫られたことで、すなおに涙が頬をつたってきた。若い人ばかりでなく、大方の観客の親世代にももっと観てもらいたかった。素直な気持ちで感動できた。すがすがしかった。主催事務所の他の若手の子たちのアフタートークでの初々しさもよかった。ただ、関係者のオジサン、オバサンたちの名刺交換は、別の場所でやってもらいたい。

Bye-bye,Sneak

Bye-bye,Sneak

劇団スクランブル

シアター711(東京都)

2013/05/02 (木) ~ 2013/05/06 (月)公演終了

満足度★★★

笑いをとるということ
酷な言い方ですが、コメディと銘打ったわりに、面白かったと思えた部分の少ない劇でした。
帰り道、それはなぜなのかを、一生懸命に考えてみました。
ひとつめは、やはり脚本、配役、演出の問題です。笑いは、意外性だったり、ああなるほどと思わせる皮肉や批評であったり、そんな台詞や演技からわき起こるのだと思います。
今回の劇は、市井の、普通の若者が、たぶんこんな冗談を交わすであろうという予想があり、その予想が外れることなく、冗談を言う。そんな台詞の行き交いでした。だから、意外性がなく、私の中では、なにも動かされるものがない、つまり、笑えない、そんな感じを受けました。
彼ら、彼女らが、もっとダンディーで、スマートであったなら、少しイメージが変わっていたかもしれない。それは脚本からくるものだろう。
配役にも不満がありました。それはあとから。
演出は、単なる文字の羅列である、脚本に、血や肉を加えるもの。身体表現や、間の取り方など、私には演出者の意図がはかりかねました。
二つめは、役者の構成についてです。若い劇団を見るたびに感じることですが、みなさんあまりにも若い。ここに一人でも、中高年役者がいたらなあと、感じるのです。この劇では、マスターあたりが、老けた、しかも落ち着いているようで、じつは小心者だったらどうでしょう。あ、これは脚本の問題。重みのある俳優を配置してほしかった。高校生か大学の演劇同好会のような印象しか残りませんでした。(失礼承知で)
若いだけに熱気、やる気は、充分に伝わってきます。
笑いをとるということは、とても難しいものだと、いつも思います。さらなる稽古と学習とを!

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