ING版「戦場のピクニック」 公演情報 劇団ING進行形「ING版「戦場のピクニック」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    多様な表現
     息子の戦うバトルフィールドへ父母がバイクでピクニックに来る。父は、かつて矢張り戦場にあり、敵の騎兵と戦った。また、若い頃には走る地下鉄から何度も飛び降りたことがあるのが、自慢である。息子は、前線に父母が来ては危険だと、帰るように頼むが、馬耳東風!。ご存じアラバールのスペイン内戦を扱った作品だ。

    ネタバレBOX

     同一テキストを全部で15の劇団が、其々の方法で舞台化、自分は、その最後のパート13劇団目から15劇団目迄を拝見したわけだが、いや、驚いた。2次元のテキストが、3次元になるということは、これほど大きな差を生むのか、ということにである。実際、各々の劇団で出演する演者の数も異なれば、作品解釈も異なる。どの部分を強調するのか、各劇団の、今迄演じて来た方法論を、この作品に如何様に映すのか、予算や規模の範囲内で、ベストな表現は何か、というのを真剣に考えた結果だろう。どちらかと言えば、オーソドックスに創る者、アナーキーな迄に、不条理性を野生味に置き替えエネルギーを爆発させる者、エネルギーポテンシャルを保ったまま、溜めを使って抑え、その緊迫感を美しさに迄高めた者、それぞれが、其々の仕方で作品を構築した。面白い試みである。また、3作品の上演の順番も良く考えられていたと思える。3作品中最もソフィスティケイションされていたのは、最後に演じたING進行形だろう。ダンスの動きなども得意な集団だが、敢えて抑えを効かした演出で締まった舞台になった。衣装のセンスもこの演出に合うきりっとしたフィギュアであり、色であった。それにしても、これ程、多様な表現に結実する不条理劇の底知れぬ深さと広がりに改めて感心した。(因みに、このようなことは、ゴドーを演出した、外国の天才的演出家も言っていたし、今回、ゲネで総ての作品を観た演出家も、「不条理劇だから、ここ迄、印象の異なる作品化が出来た」という意味のことを言っていた。以上、二人の演出家に近い自分の感じ方を、自分流の表現で言ってみた。)
     今後も、今回のような企画をどんどんやってほしい。

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    2013/05/06 23:16

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