
しゃぼん玉の欠片を集めて※無事公演終了致しました!ありがとうございました!
TOKYOハンバーグ
ワーサルシアター(東京都)
2013/08/08 (木) ~ 2013/08/13 (火)公演終了
満足度★★★★
心が喜んでました
素敵な劇をありがとうございました。
久しぶりに、俳優さんの役に惚れこんだといえる劇を観せていただきました。あまり私にはないことです。
登場人物は、どこにでもいる市井の人たちです。しかし、その誰もが素敵な表情をしている。誰もが、一日一日を真摯に精一杯生きている。それが伝わってきました。
おそらくは多分に脚本の力強さにあるのでしょうが、どの役柄も個性的で、重みを感じました。
個人的には、相原さんの魅力的な演技、表情、山岡さんの表に出さない隠れた演技を、じっと観ていました。
年寄りくさい言い方ですが、人生とは、なんと重く、切なく、それでいて素晴らしいものなのでしょうね。
少し褒めすぎかもしれません。
脚本と演じるものとが、うまくマッチした今回の劇。次回での更なる発展に期待。

カンダタ ~自殺作家倶楽部によこそ~
劇団与太組
ART THEATER かもめ座(東京都)
2013/08/06 (火) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★
消化不良
何となく訳が分らずじまいで、消化不良な感じでした。有名作家の文学の引用が沢山あるので、文学好きの人には面白く感じるかもしれませんが、そうでない人は「?」だと思いました。私は小説は好きで、昔は沢山読んでいましたが、最近はさっぱりです。なので、もう一度読み返そうかなという気持ちになりました。役者さん達の演技は良かったと思います。

小野寺の弟・小野寺の姉
ホリプロ
天王洲 銀河劇場(東京都)
2013/07/12 (金) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
爽やかな、軽さ
『小野寺の弟・小野寺の姉』良質で軽いコメディ。片桐はいり、向井理の姉弟に片桐仁の隣人、姉の同級生ユースケ・サンタマリアなんて非現実的な人々ながら劇中劇でまとめるオーソドックスなホームドラマ仕立が返って巧みに見える。猛暑の夏にぴったり。
副題「お茶と映画」にちなんで、映画観てお茶飲んで帰るカルチャーに芝居を巻き込みたいように見える。巧みに仕組まれているが細部は破綻してウェルメイドほど厚みは感じない。その軽さがテレビ的消費物だが、映画、ラジオを引き合いに演劇の濃さを敬遠しているかの意図を感じた。
ラジオ、映画を絡めて舞台で描くテレビ的演劇。手作り映画やラジオへの投稿という確かな手触りを求める姿はメディアに囲まれた私たちには共感しやすい。それはあるしかけをスペクタクルとして、演劇的な切り札として使用した演出家の、演劇に対する不安にも見えたが効果はいかに。

ゲッコウテラス【満員御礼!】
劇団ゴールデンタイム!
明石スタジオ(東京都)
2013/08/01 (木) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
文明開化のもどかしさ
新しい文明と融合することが出来ない武士の誇りを持った人。それを利用する人。人を守るために刀を捨てない人。それから文明を愛する人たち。
文明開化という大きな変化の中で、それぞれの大切な想いを抱えた人たちがいます。みんな理由があって抱えているのに、上手くかみ合わない歯がゆい気持ち。それが一つの事件を通して思いが通じあっていく作品です。
表面だけでは人の気持ちはわかりません。もっともっと深いところで理解しあえるなら、人は分かりあえるのかもしれない、と考えさせてくれた作品でした。
ただ、人物の関係性がやや複雑だったかな?滑舌などなど不安定感のある役者さんもいましたが、これから楽しみな劇団さんです。

めいとーでん~鬼切之編~
COTA-rs
シアターサンモール(東京都)
2013/08/07 (水) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★
名刀が全員集合!
おもしろいアイデアだと思ったけど、原作あり。それなら原作を生かすべくもっと視覚的に、演劇的に見せる工夫をしないと。なんだかつっ立ってるだけの場面が多いし、カラスは無意味に動きすぎてうっとおしい。舞台に役者が出てきたら背景に本物の刀の写真か絵を投影するぐらいはしてほしかった。(草薙とか無理?)出演者の演技及びアクションのレベルがまだまだ低い。

飛龍伝
COTA-rs
シアターサンモール(東京都)
2013/08/01 (木) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★
1人の女性の生涯が悲しかった
飛龍伝が有名な作品であることは後から知った私。予備知識も無く見たからか、とても難しく思えました。ただ、主人公の志をもって上京してきた天才・美智子の生涯が悲しかったです。
周りの流れに流されトップに祭り上げられた美智子。トップである責任感と頭の良さ、女であることが絡み合って、【イヤだけど、ツライけれど。そうするしかない】といった状況に耐える姿が苦しかったです。
全体の作品としては、人の生涯のダイジェストを見た、という感想です。登場人物が常に一生懸命で、当時はきっとこうだったんだろうな、と考えさせられるお話でした。

cocoon
マームとジプシー
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2013/08/05 (月) ~ 2013/08/18 (日)公演終了

絶望と握手
Bobjack Theater
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2013/08/01 (木) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
人の絆を感じた作品でした。
一つの夢に向かって、真っすぐ真っすぐ進んでいた主人公が、その道を絶たれたれた。
どんなにあがいても、叫んでも、泣いても、現代の発達した医学でもどうすることもできなくて、どんどん空っぽになっていく主人公。
ずっと一緒にがんばっていた相方や、本人をよく知る家族や恋人も【本当にこの方向で正しいのか?】と自分と闘いながら主人公を元気づけていくが…
といった作品です。(かりん目線ですが。)
キラキラした夢がキラキラしすぎてる故に手に入らないと分かったどん底の気持ち。見てる側も胸が痛くて、それでも大好きだから、なんとか立ち直ってほしい!とあの手この手を使う人たち。
なんで自分が?と思うことは人生でたくさんあると思いますが、そんなときこの作品は大丈夫だよ、と元気づけてくれると思います。
コメディ要素もたっぷりあって、とても面白い作品でした!

七月花形歌舞伎
松竹
歌舞伎座(東京都)
2013/07/04 (木) ~ 2013/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
菊之助のお岩が出色
江戸時代、三代目菊五郎が当てたお家芸に挑む菊之助。
玉三郎、18代目勘三郎の初役も観ているが、いままで観た中で一番哀れさが勝ったお岩だったと思う、出色の出来だ。
この若さで役の性根をしっかりつかみ、的確に表現できている。
場数を踏んでいる最近の若手の強みだ。
しかし、本当に腹がたったのは、隣の男性客が遅れて途中入場し席に着くなり、バッグをガサゴソとまさぐり、驚くことに舞台をまったく観ずにその場で足の水虫のケアをは始めた。
それが終わると半ズボンをはいているので素肌の太ももを附けうちに合わせてバシバシ叩く。台詞まで大声で言う始末。
うるさくてかなわない。こういうのが新しい歌舞伎座の常連客なのか。私の世代には考えられない所業だ。

二都物語
東宝
帝国劇場(東京都)
2013/07/18 (木) ~ 2013/08/26 (月)公演終了
満足度★★★★★
ずっと楽しみにしていました!
初演を観ることが出来て本当に幸せ。帝劇にふさわしい素晴らしいミュージカルだと思います。これから楽曲も心に沁みていくことでしょう。色んな座席で何度も観たい。
期待しています!

COMIX!!!!!
斬撃☆ニトロ
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2013/08/02 (金) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
ちょっとラブリーな、面白いお芝居
その世界は 、頭の夢 今までのお芝居がマンガで、チヒロがマンガを書いた設定 勢いがあります、楽しい マキの優しさが良い ちょっとラブリーな、面白いお芝居でした。

頭痛肩こり樋口一葉
こまつ座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2013/07/11 (木) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
今の季節にぴったり!
せつないんだけれど台詞やしぐさが楽しく,ついつい笑ってしまう。
皆うまいなぁ!
若村麻由美さんのイメージ変わりました(笑)
舞台美術はシンプルなようで,ちょこちょこっと変わってくところが面白かった。
こまつ座のていねいな舞台作りは気持ちよく,本当に安心します。
これからも井上ひさしさんの作品をずっと観続けたいです。

cocoon
マームとジプシー
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2013/08/05 (月) ~ 2013/08/18 (日)公演終了
満足度★★★
...
役者の演技で見せるというより、舞台全体をつかった動きで描き出すその劇世界には独特のものがあった。抽象画を見ているようなイメージ。
ただ、前衛というよりは、最新のおしゃれという印象。
何らかの本質に至るために新たな方法論が模索されているというよりは、面白おかしくするために新奇な方法が採用されているという印象を持った。
その印象が邪魔して、どうしてもその劇世界に馴染めなかった。
おしゃれ、と言っても、内容・テーマなどは重厚なもの。
そういう点では真摯な作家なのだと思う。
私が批判的に書いているのは、あくまで演出の方法論の話。
誤解なきよう。
好き嫌いで言ったら、好きな作品ではないが、
この作品にしかない強度は確かにあると思った。
李そじんさんの演技が印象に残った。
(その新奇さを考えたら☆5、好き嫌いで言ったら☆無、間をとって☆3)

ラジエーター
シアターノーチラス
シアター711(東京都)
2013/07/10 (水) ~ 2013/07/14 (日)公演終了
満足度★
どこにいきたいんだ
思い返すと、ハズレだったなあと思う芝居だった。
話は、リアリティの考証が弱い。バス来ないから、無理くり待たないといけないって、、諦めて帰るか、タクシー乗れよとつっこんでしまった。
話の中で延々人がいがみ合い、色んなエピソードは出るもぶん投げっぱなし。最後で一気に伏線回収してスッキリするのかと思って観たけど、最後まで何もなし。役者も万遍なく普通だったので、楽しみ方が分からず疲れた。久しぶりにガッカリしたので、コメント。

波よせて、果てなき僕らの宝島(ネバーランド)
天幕旅団
ザ・ポケット(東京都)
2013/07/17 (水) ~ 2013/07/21 (日)公演終了
満足度★★★
パターンなのか、作風なのか
毎回良くも悪くも期待は裏切らない、安定したクオリティは流石です。
ただ前身の笑劇時代から観ていますが、だんだんパターン化してきた感がしました。良い脚本演出なのに、役者が微妙なのが残念。
オウムちゃんが何言ってるか全然分からなかったなあ。

あかい壁の家
オフィス3〇〇
本多劇場(東京都)
2013/08/01 (木) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
さすが!
芝居とは、本来こういうものを指すんだろう。
客の想像力に働きかけながら、舞台上の役者の演技と客の想像力が一体になって、すごいものを見せてくれる。
時空を跳ぶ不可思議感と、時折挟まれるミュージカルシーンのナンセンスでチープな空気が、劇場にも合ってる。
ゲゲゲのげにも出演した中川さんが一番好きでした。
久しぶりの観劇で調子を合わせられるか心配でしたが、良いものを観れて幸せでした。

あかい壁の家
オフィス3〇〇
本多劇場(東京都)
2013/08/01 (木) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
不可思議な感動
「ゲゲゲのゲ」で、中川さんの才能にインスパイアされたらしいえりさんの、中川さんの存在故の音楽劇の誕生に、息を呑みました。
16年ぶりの舞台という緑魔子さんと、中川さんの共演は、まさに奇跡的なコラボという感覚があります。
芝居の内容自体は、頭の整理が追い付かない部分もあるのですが、何だか目ではなく、心の深淵で観た芝居という感覚です。
見逃さなくて良かったと心底思いました。
ただ、えりさんと同い年の私には、中のエピソードは全て理解できますが、若い観客には、少々不親切な部分もありそうな気はしました。

ダヤンのフールスディ
Studio Life(劇団スタジオライフ)
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2013/08/06 (火) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
「銀河鉄道の夜」→「ダヤンのフールスディ」の回観劇
従来は学校などを巡るのが主なのだが、
今回は初めて劇場内での上演だそうです。
う~ん小さい頃に見たかったなぁと思わせる情感豊な劇でありました。
語り=ストーリーテラーが声優なさっているSHOGOさんであり、
ライブ進行でのつくりも効果がよかったであります。
お子様向けのコトもあり、進行するのにポンっと作品をやらずに。
前説口上をいろいろと述べて興味を掻きたててくれたのも楽しめました。
(80分+休憩10分+20分です)

カルメン、オレじゃダメなのか…
シンクロナイズ・プロデュース
調布市せんがわ劇場(東京都)
2013/08/07 (水) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★
彫を深く。これが注文だ
メリメの「カルメン」ともビゼーの「カルメン」とも異なりながら、カルメンの情熱的な本質を活かし、ロマンティシズムに彩られたfemme fataleを描いた作品と言えよう。

ジゼル
萌木の村
萌木の村特設野外劇場(山梨県)
2013/07/30 (火) ~ 2013/08/10 (土)公演終了
満足度★★★★★
『ジゼル』は,現代の不倫問題にも該当し,解釈によっては悲劇にもなる。
『ジゼル』は,現代の不倫問題にも該当し,解釈によっては悲劇にもなる。
タリオーニとエルスラーの時代は去った。カルロッタ・グリジの時代が来た。彼女は,7歳からバレエをやっている。15歳になったとき,24際だったジュール・ペローと出会う。ペローは,バレエの指導者として優秀で,その様子は,名画ドガ『踊り子』に残されている。当時,メートル・ド・バレエは,ジャン・コラーリであった。『ジゼル』を誰が振付するか。プリ・マドンナであったグリジは,振付もやっていた恋人ペローのいいなりであった。そのために,『ジゼル』の振付は,記録としては,ジャン・コラーリとなっているが,実際には,ジュール・ペローの振付である。
グリジは,ドニゼッティのオペラでのバレエ・シーンが,初舞台であった。五幕でなく二幕の『ジゼル』は,グリジには取り組み易く,彼女を有名にした。原題は,『Giselle, ou Les Wills』で,1842年,ボードレールも崇拝する文学者テオフィル・ゴーチエが,書き下ろしたものである。ゴーチエの作品としては,もう一つ『バラの精霊』がある。ハイネの民話からヒントを得て,ユーゴー作品中の舞踏会も参考にしている。ゴーチエ同様に,バレエ好きなアダンは音楽を担当した。アダンは,視覚的に,踊り子の足を見ることが快感であったことを告白している。
『ジゼル』は,ロマンチック・バレエなので,異国趣味の,妖精物語。淡いはかない貴族と,村娘の恋という以上の意図はなかった。しかし,これが,すぐに,ロシアに渡り改訂され,フランスで上演されなくなっても,人気を得ていく。1884年頃,マリウス・プティパが大規模に作品を手直ししている。貴族のきまぐれな恋の物語は,『フィガロの結婚』『二都物語』も同様である。しかし,『ジゼル』は,現代の不倫問題にも該当し,解釈によっては悲劇にもなる。
以下,ストーリーを追うと,
村娘ジゼルの笑顔は,人を引きつける。彼女は,ダンスがとても上手である。あるとき,とおりすがりの男は,この娘に出会い恋に落ちた。しかし,彼には,許婚がすでにいた。そのことを隠しても,娘に近付きたくなって,アルブレヒトは転落していく。
村娘ジゼルのことを村で一番想っていたヒラリオンは,アルブレヒトの許婚であるバディルドと,彼女の父親を,無理やり密会の現場に引きずり出す。愛するアルブレヒトに許婚がいたことに衝撃を受けたジゼルは,もはや生きている希望を失ってしまうのである。
村には言い伝えがあった。恋に盲目となり,身を滅ばした者は,妖精となって,暗い森を彷徨う。娘たちをだました男がその森を訪れたら,妖精は復讐をすれば良い。皆でからかってやるといい。祝宴を催し,酒をのませ,毒牙にかけて,ダンスの相手をさせるのだ。妖精には,疲れという言葉は存在しない。だから,妖精たちが気の済むまで,ダンスの相手したまぬけな男たちは,気が狂うか,絶命してしまうしかないのだ。
ある日,ジゼルたちの祝宴には,二人の懐かしい顔があった。ひとりは,一方的に自分にのぼせあがって,挙句に,アルブレヒトと自分の恋を見事に引き裂いた,ヒラリオンである。もう一人は,村にたまたま寄ったために,自分のダンスを見て,自分の美に釘付けになり,はからずも恋に落ちたアルブレヒトだった。妖精たちの判断は,まず,ヒラリオンを死ぬまで踊らせて,目的を果たす。しかし,次なる標的のアルブレヒトには,ジゼルはなんの恨みも抱いていなかった。しいていえば,許婚の存在を明かさなかったことだ。ただ,最初にそのような男を誘惑したのも自分であり,恨む筋合いでもなかったのだ。この男に,本当に罰を与えて良いものなのだろうか。
というようなことになると,『ジゼル』は,きまぐれな貴族の遊びにされた恋という意味を失う。現代人の恋,不倫的な気持ちが起こるのは,自然なものか,許されざるものか,そいうシリアスな劇になる。
ところで,『ジゼル』の時代は,靴も十分に完成されていない。技術を,足の筋肉で補うのが精一杯であった。『ジゼル』の少し前の,『ラ・シルフィールド』で,初めて爪先の利用,ポワントが出現する。鳥のように軽やかで地に足がついていないこと,これを示すために,どうしたら良いだろう。一回跳ぶあいだに二回交差して,元に戻ってみよう,これが,アントルシャ・カトルと呼ばれた。
バレエの語幹bal-は,ラテン語の「踊り」を意味する。詩と音楽の融合,さらに,演劇・美術を加え,四つの要素から「バレエ」は生まれる。「バレリーナ」は,伊ballere「踊る」から来た。「マリー・タリオーニ」は史上最大のバレリーナだ。彼女は,北欧生まれのイタリア人であり,パリ・オペラ座の学校に入る。1830年,パリ民衆は,王政復古を嫌って,七月革命を起こす。ここで,パリ・オペラ座は,ときの権力者の直轄機関から,民営企業にかわる。ルイ・ヴェロン総裁は,複雑な風俗コメディを捨てた。音楽・美術に優れ,ストーリーはシンプルだが,踊りが自然に流れ出て来るようなバレエを構築した。そこで,ヴェロンは,タリオーニに白羽の矢をたてた。歴史上,ロマンチック・バレエといわれるものは,このとき出現する。
タリオーニは,風の精という当たり役を得る。 このドラマは,スコットランド大農園の子息が,許嫁との式直前に,風の精=シルフィードに心を奪われるという設定だ。風の精を一目みて,心奪われ,ジェームスは,許嫁エフィをすっぽかしてしまう。彼には,森の中で出会った妖精たちのことがどうしても忘れられなくなる。格別心を奪われたのは,シルフィードという名の妖精だ。妖精たちと,一晩中踊り,唄い,語らい,微笑みあっていた時間はあっと言う間に過ぎた。シルフィードは,妖精なので,その手に抱きしめることはできない。それは,わかっていた。悩んでいると,悪魔のささやきがあった。魔法使いマッジが,特別なスカーフをあげた。それでお好みの妖精を捕獲してしまえ。恋の炎に身も心も燃えつきてしまったジェームスは,そのようなことをすれば恐ろしいことが起こることは察知していたが,とうとう我慢できなくなる。ある日,宴が終わろうとするとき,突然,ジェームスは蛮行に及ぶ。たしかに,魔法使いマッジのいうとおり,妖精シルフィードを一度スカーフに絡みとることには成功する。だが,妖精シルフィードの羽根は,脆くも崩壊し,同時に,シルフィードの息も絶える。
この上演は,その後のバレエ史上にはかり知れない影響を与える存在となっていく。最大の功罪は,バレエの名を一方で破格の地位に押し上げたという点。それと,女子ども向きのセンチメンタルで甘ったるいスペクタルとの評価を強めてしまったという点。情景設定が,異国であり,幻想的な要素を多分に含むものが,バレエであるという認識も確立された。白い薄もののスカートのコール・ド・バレエが定番となった。シルフィードの息の根を止めた「スカーフ」は,バレエ芸術に生命力を与えた。
「ラ・シルフィード」が,1832年に初演された。マリー・タリオーニは,1837年にパリ・オペラ座を去る。彼女をスターにしたヴェロンは,彼女にライバルを与えた。パリ・オペラ座では,スターに独断場を決して与えない伝統があった。ここで,ファニー・エルスラーが抜擢された。彼女は,オーストリア人でロンドンにいたところを引き抜かれる。ヴァイオリンの名手に特訓を受ける。タリオーニは,宙を漂うように舞う。エルスラーは,しっかりと地についた踊り方をした。エルスラーは,タリオーニにとって手ごわいライバルとなった。エルスラーが,タリオーニの当たり役「ラ・シルフィード」を踊ると騒ぎになった。やがて,エルスラー自身は,アメリカに渡り大歓迎を受ける。パリ・オペラ座から,しばらくスターはいなくなった。
参考文献:バレエの歴史(佐々木涼子)