悲しみよ、消えないでくれ
モダンスイマーズ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2015/01/23 (金) ~ 2015/02/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
樹脂の光沢のごとき
クオリティの高い芝居の出来であった。芸劇イーストの空間と機構を使い得ている雰囲気、緊張感と人物たちのリアルな生きる時間が終幕まで持続し、話じたいにもそこはかと揺さぶられるものがある。ここ幾本か劇団公演を観てきた目からは、最上の仕上がりであった。
もっとも「良い」とか「高い」といった言葉はその芝居の娯楽性(エンタテインメント性)の達成度を言っていて、つい口から出てしまうが、今回のは私の勝手なモダンスイマーズへの思いからの感慨。作品と同程度かそれ以上に劇団の来歴なり構成員の特性や事情にいつしか思いを及ばせる(思い入れのある)数少ない劇団の一つだから、今回の舞台製作の成果には、対外試合で苦節のすえ勝利したスポーツ選手への拍手に近い心情と感動があった。
芝居の質感としては、蓬萊戯曲の空気(台詞の行間に語らせる)を漂わせながらも、意味深な伏線の謎解きが二転三転するサスペンス構造で物語として圧縮された感がある(過去作品に比して)。人物の役割(ロール)の演じ分け、互いの棲み分けが素晴らしく、人物の一貫性の点で空白をほとんど感じない。それによってサスペンスが成立するのみならず、人物らがアトモスフィアの中に群像として立ち上がり、愛おしい。この群像の中心にあるのがでんでん演じる山小屋の主でキーマン。主人公の青年(古山)はストーリー上最も大きな問題を提供する存在となっているが、他にも主の娘、これに縁のある山岳仲間、物資運搬に出入りする夫婦らが、濃淡ある親密圏を形成し、この濃淡に応じた関係性が群像を作っていく。でんでんは一瞬のほころびなく手抜きもなく立ち、圧倒的に強靭だった。拮抗するようにして他の役者も、その人自身と見まごうリアルさで、切実に存在する。何よりその人物像の「現代性」にえらく共感するものあり、細を穿った造形は痛快というより恐ろしい。自分を見るようだった。
さまよえるオランダ人
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2015/01/18 (日) ~ 2015/01/31 (土)公演終了
満足度★★★★
-
作品について、すぐれた音楽であるが演劇としては面白みに欠ける。プロダクションは地味で、奇抜なものが嫌いなのでこのくらいでよいと思う。よって、見やすさはあまり関係ないので座席はどこでもよい。金管楽器は安定した演奏だった。2幕と3幕は切れ目なく連続して演奏、よく知らないがこういう曲なのだろうか。
This is 30
シンクロ少女
スタジオ空洞(東京都)
2015/01/23 (金) ~ 2015/02/01 (日)公演終了
満足度★★★★
いきあたりばったりな男達
楽しい方へ楽しい方へのチョイス、その先はどん詰まりか?
This is 30
シンクロ少女
スタジオ空洞(東京都)
2015/01/23 (金) ~ 2015/02/01 (日)公演終了
満足度★★★★
得も言われぬ気持ちに・・・
開演間もなく、三兄弟の物語とわかる。
私自身も三兄弟なので、どんな物語になるのか興味津々。
話が進んでいくうちに、「ん・・・?、えっ・・・」、
まるで、私たち三兄弟をベースに脚本を描いたと思えるほどもので、
ほぼ、劇中の当事者である私は、この舞台をどう観たらいいのか・・・、
得も言われぬ気持ちに・・・。
こんなことってあるんですね。
作品としては良く出来ていると思いました。
アルマ
THE TRICKTOPS
ザ・ポケット(東京都)
2015/01/28 (水) ~ 2015/02/01 (日)公演終了
満足度★★★
脚本が演技に殺された
物語、テーマは良かったのにほとんどの役者の演技に
「軽さ」(これで意味伝わるかな)を感じてしまい、
まったく気持ちを引き込まれない
残念なお芝居だと感じられてしまいました。
演出/演技指導が「そういう演技」をさせたのか、
演者自身の「熱量」「各役としての背景の深堀り/感情表現の不足」なのか
(自分は「台詞読みマシーン」を見ているかのように感じました)、
どちらにしろ「もったいなすぎる」お芝居でした。
ネタバレBOX
今年の演劇観劇1本目、かなり期待していました。
そして、脚本/テーマとしては十分期待に答えたものだと思いましたが、
とにかく役者の演技に「吸引力」を感じられない、
出来損ないのコメディを見ているかのような気持ちにさせられました。
【気になった点】
・ 脚本/物語自体は(つっこみ所もなくはないですが)
その始まりからの展開、暗号のくだりや過去の2人、
そしてお芝居の最後の締め方までかなり良く考えられているものだと思いました。
・ メインとなる人物達が観客の感情を引きこもうとしても、
その周りのメンバーの演技が「軽く」感じられてしまい、
引きこまれかけた気持ちをすぐにリセットされてしまいました。
・ お芝居自体に感情が引き込まれていない為、
「笑わせ役」達の「笑いネタ」の投入についても
まったく心に刺さらず(クスリとも出来ず)、
素の感情で「ただ眺めて」しまいました。
はっきりいって、無理に笑わせようとするその姿に哀愁すら感じました。
・ この「軽さ」は演出/演技指導によるものなのでしょうか?
あるいは役者自体がまだ経験が浅いその他の理由から、
「集中しきれていない」「各役としての背景の深堀りやその感情を理解し表現する事が出来ていない」
など、観客側に伝播するもののない、
単なる「台詞読みマシーン」になってしまっていたのでしょうか?
演出/演技指導によるものだとしたら役者さんが可哀想ですし、
技量不足によるものだとしたら、
一部高い熱量を持って演技をしていた
役者さん達の努力が逆に浮いてしまうようで悲しすぎます。
・ 主人公の演技には気持ちを引かれるものがあり、
ラストの主人公/ヒロイン2人の対話には
それまでの吸引力を10%とするなら
一気に90%まで気持ちを引っ張られ、涙腺を緩ませられてしまいました。
+この場面で登場する過去(学生時代)の2人の演技も良かったと思います。
この吸引力の何割かでも、本劇中にもっと散りばめてもらえていたら・・・
・ 学生時代の2人の天才の出会い、そして突然の別れの後
・ 天才であり続け孤独であり続け、自分を「猿」と称した主人公
に対して、その双対象である
・ 天才である事をやめて自称「凡人」になったヒロイン
の側についての物語をもっと深堀りして欲しかったです。
それこそ主人公とタメを張るぐらいに「凡人」となった、その背景を見せて欲しかったです。
それでこそ、フライヤー通りに「天才」と「凡人」、この2人の対比が活きたかと・・・
(本劇中ではヒロインの一部の台詞でのみ、自分が「凡人」となった理由が
語られており、ちょっと主人公側に比べて背景が弱いかと)
・ 舞台上部の映像について、前方席からは完全に上を見ないとその内容が確認出来ず
(見逃す事も多く)、舞台上のお芝居への集中をさえぎる存在でしかなかったかと思います。
映像で暗号の説明その他を行うのであれば、もう少し舞台セット構成に工夫が欲しかったかと・・・
せっかく前方席を詰め過ぎないように配置して観劇しやすさを考慮してくれた、
と感じていたのにいざ舞台が始まったら「後ろの席にすれば良かった」と
思い直してしまいました。
・ 本劇について、フライヤーのあらすじからは、「2015年現代」のインターネット、IT社会、という雰囲気が
感じられていたのに、セットが未来的/宇宙船内部のようなちょっと浮世離れした構成になっていた事も
実際演じられたお芝居との間にちぐはぐさを感じてしまった要因かと思います。
PCの代わりや、舞台中央その他にお立ち台的な台を置いた所までは良かったと思うのですが・・・
・ 「メリハリ」の付け方をしっかり決めていなかった?
重要な場面などで微妙に笑いを取りに行こうとしたりせず、
「ここは真剣に」
「ここは笑いネタをぶっこむ」
など、ちゃんと切り替えをしっかりして欲しかったです。
また、物語中真面目な役と、完全にコメディな役との格差がひどく、
これでは「この役はいい演技/いい役者」
「この役はダメな演技/ダメな役者」
のように、与えられた役で役者さん自身の評価が分かれてしまいます。
自分は主人公や途中以降の「過去の記憶/主人公との決め事」とつながった後のヒロインを8点として
笑いだけのテロリスト集団などについては1点(舞台を壊す不要な存在)と感じてしまいました。
これでは役者さんが可哀想すぎます。
・ 前半、休憩までは全く舞台上のお芝居に引き込まれる事はなく、
後半、物語が動くのに合わせてやっと各役者の演技に熱が入ってきた、
吸引力が感じられるようになった、
かと思ったのですが、
その後も前半同様の「軽さ」の抜けないグダグダ感がたびたび入り、
やはり物語に引き込まれる所までは行けませんでした。
・ はっきりいって「コメディ」として作品を作ろうとしたのでないのなら、
微妙なラインの笑いを狙うよりも、脚本/テーマの良さを活かした
骨太なお芝居をさせた方が良かったのではないでしょうか?
主人公/ヒロインを中心に、
主人公を追い詰めた両親や、
エシュロンコードの利用を認めさせる為に
テロリスト活動に加担したリーダーなどの存在を
うまくシリアス側で描いていけば、十分に「面白い」「気持ちを引き込まれる」作品になったかと思います。
・ 舞台セットについて、基本明るい状態であり、
自分のシーンの終わった役者がいきなり演技をやめて立ち去る、
という場面転換の仕方ははっきりいって「下手な観せ方」すぎます。
(これも場面場面でお芝居への集中を切られてしまう一因になっていたかと)
もう少しいい場面転換の方法は考えられなかったのでしょうか?
・ 序盤こそIT用語などにうまく合いの手的に説明を入れる事で
観客の理解度を損なわない工夫ができていたと思いますが、
途中からはもうそういった工夫がまったくなくなり、
「用語の意味が分かる人だけついてくればいい」とばかりに
IT、インターネット用語などのキーワードを多用していたかと思います。
一部の観客はもうお話自体についてこれていなかったのでは?
配役の中に、そういう言葉に弱い人物を置く、などして
うまく説明を織り交ぜていく事はできなかったのでしょうか?
(あるいは平易な言葉に置き換えるなど)
非常にもったない作品だっただけに、
「ここを直せばもっと良くなるのに」と思えてしまう部分が多々心に浮かびました。
うーん・・・
PS.演技が「軽い」「薄い」と曖昧な表現を使いましたが、
今思えば多分
「その役を(その舞台上で)”本当に生きている人間”として演じられていない」
(ただ脚本/台詞にそっているだけ)と感じられた、という事だと思います。
(自分が観劇して思った感情ながら上手く説明できていませんが)。
役になりきれていない、あるいは役の気持ちを深く理解していない、
その為役の発する言葉が単なる「台詞読み」に聞こえてしまう、
という感じでしょうか。
This is 30
シンクロ少女
スタジオ空洞(東京都)
2015/01/23 (金) ~ 2015/02/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
迷える30
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。80分。
ネタバレBOX
兄貴(泉政宏)…38。ツタヤ勤務の父子家庭。何かあんまよくないことで妻を亡くしたらしい。借りた金も返さない「チンピラ以下」な兄貴。イケイケ。
タクミ(横手慎太郎)…35。次男。作家志望。8年付き合ったミナにふられる。ジュンがミナと結婚すると知り、キレまくる。ヒトの家で寝るのが怖い。先を考えるのが苦手。
ジュン(中田麦平)…30。商社勤務。ミナと出会ったその夜に中出しして子を授かる。ギリギリゆとり世代でない。
ミナ(名嘉友美)…35。元タクミの彼女でジュンの婚約者。先を考えないタクミに愛想を尽かす。
タクミとミナが別れて5年。ジュンの誕生日に兄貴の妻の墓参りをする3人。ジュンの告白から一転、高速を走る車で罵りあって気づいたら雪国で、バッテリー上がっちゃって、付近の民家で一夜を明かし、ぐったりして家に帰る…。
序盤のタクミとミナの会話の、小説の書き方と人生の設計とか、行き先のなく高速を走り続ける車と人生の終着も見えなくて時間が過ぎていく男3人の姿とか、シーンと意味のシンクロが愉快。
友達だったら絶交してそうな事柄でも、なんだかんだ互いを求める兄弟「愛」が眩しい。雪の中の行進とか、民家での添い寝とか。
30越えても子供な感じな大人(男)たちってっいうかわらしさが滲んでて良かった。30越えて、あのテンションはなかなか得られないだろうなと。兄貴の「楽しかった」という一言が沁みる。
メフィストフェレスにさえそっぽを向かれた男たちのハナシ
スケアクロウズ
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2015/01/28 (水) ~ 2015/02/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
怖かった
本日、初日を拝見致しました!!
なんと言うか…
《ベテラン》て凄いです。
お話しの内容や演出はどれも好き嫌いがあるもの。
私はこの作品、好きです。
ゲラゲラ笑うようなお話ではありませんが、
ご出演の皆様の熱演に引き込まれました。
最後に残った感想としては、
《怖かった》かな。
とても心に《感じ》ました。
セットや照明もステキですょ。
近くで役者さんの熱気を感じられるセットです。
是非ご覧になって頂きたい(^_^)
私ももう一度拝見します。
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シンクロ少女
スタジオ空洞(東京都)
2015/01/23 (金) ~ 2015/02/01 (日)公演終了
満足度★★★★
劇場空間との差
面白かったです。ネタバレにて。
ネタバレBOX
スタジオ空洞の小規模なスペースに平台や椅子を並べただけのほぼ素舞台。劇場空間のむき出し感と演技の質感の差に戸惑いながらも、慣れればすんなり物語に入ることができました。
俳優4、観客10くらいだったので観客の反応を濃く全体で共有し、それがかなり独特の空気をつくっていたんじゃないかと思います。
決して難解な作品ではないのですが、おそらく僕以外にも劇場の空気とかを感じて「どう観たらいいのか」と戸惑ったお客さんはいたのではないでしょうか。兄のトゥモローの後の拍手が最高に面白かったです。
個人的に私が男三兄弟ということもあって未来に思いを馳せながら観ていました。中田麦平さんの演技の強度はちょっとすごいです。毒きのこちゃんとの差に驚きました。
NINAGAWA×SHAKESPEARE LEGEND Ⅱ 『ハムレット』
彩の国さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)
2015/01/22 (木) ~ 2015/02/15 (日)公演終了
満足度★★★★
独白対決でした!
エネルギー爆発で火の玉のような藤原ハムレットと、青いLEDライトのように、熱量はないけど強い光の平クローディアスのガチ対決!でした。
甲乙つけがたい、いい対決でしたが、私には僅差で平さんが勝っていたように感じました。
今回は最前列だったので、涙とつばと鼻水の区別ができるくらいの距離で見られました。
迫力ありました!
ネタバレBOX
藤原さんご出演の舞台は、いつもハーフヌードのサービスシーンがありましたが、今回は平さんのサービスシーンでした!
水を浴びるクローディアスの後ろからにじり寄るハムレット、殺意に満ちた瞳がすごかったです。
『鬼切丸』再演
タンバリンステージ
あうるすぽっと(東京都)
2015/01/24 (土) ~ 2015/02/01 (日)公演終了
満足度★★★★
エンタ
やっぱ人気漫画の舞台化。いくつもの章がどんどん繰り広げられて,どれが本筋なのか,ちょっと戸惑ってもしまった^^;漫画なんて全く読まないからなぁ^^;でも舞台自体は,もちろん悪いわけじゃない。殺陣が良かったねぇ。2時間超の長時間だけれど,考え込むことなく,楽しんで観ることができた。再演されたのも分かるなぁ。
『鬼切丸』再演
タンバリンステージ
あうるすぽっと(東京都)
2015/01/24 (土) ~ 2015/02/01 (日)公演終了
満足度★★★★
観せる…魅せる…
90年代カルト的人気を誇った楠桂の人気コミック「鬼切丸」の舞台化である。この公演は、2013年夏に大盛況で終演した作品の再演だというが、その魅力は何といってもキャストのビジュアル性と殺陣の素晴らしさであろう。キャストは当日パンフの紹介によれば34名が登場している。そのメイク・衣装が妖しげな雰囲気を醸し出す。
そのお話は…
ネタバレBOX
はるか昔、少年の姿をした鬼が生まれたが、彼には角(つの)はなく、一振りの神剣「鬼切丸」を携えて鬼と戦う。すべての鬼を倒せば、人間になれると信じている。同族同士の争いかと思われるが、そうではないようだ。修験僧も現れ、人間、特殊能力を身に付けた修験僧、そして鬼という三竦みの戦いが繰り広げられる。この戦いの場面は、「あうるすぽっと」という中規模舞台を目一杯使用した殺陣シーンは迫力があった。もっとも本当に殺せているか、という疑問がある踏み込みではあるが…、そこは魅せる芝居である。
また、鬼退治に深い理由・動機付けが説明されている訳でもない。敢えてその深みにはまり込むことはしていないようだ。娯楽性を重視した制作になっており、それが純粋に観て面白いに繋がっていた。
まさしくエンターテイメントを目指した作品として印象に残った。だからこそ多くの観客に支持され、再演に至ったと思う。またキャストは、初演から引き続きの人と再演からの人とバランスよく配役しているらしい。そこにも初見の観客に楽しんでもらう、という制作側の想いも伝わる。
今後の公演にも期待しております。
わたしが消えた
普通のラジオ
新宿眼科画廊(東京都)
2015/01/23 (金) ~ 2015/01/28 (水)公演終了
満足度★★★
誰かが消えている
誰かが消えてることはわかったが、理解のハードルの高い作品ばかり。私は消化不良。
ここにいる!?
BIG MOUTH CHICKEN
劇場MOMO(東京都)
2015/01/27 (火) ~ 2015/02/01 (日)公演終了
満足度★★★
Aチームを拝見
シックスセンスを身につけた霊児の周りに集まるのは、奇妙な人々と霊ばかり。唯一、まともなのは、最近できた彼女だが。彼の特殊な能力と良く見る夢とも現とも知れぬ世界には、信じられないような因縁が潜んでいた。
ネタバレBOX
様々な霊を活かすか殺すか判断し、決められた世界へ送ることを生業とする死分、怨霊化しそうな思念の強すぎる霊を自らに取り込んで浄化することのできる魔子。二人は現在、上司と部下の関係である。上司は魔子。
死分と魔子が、元カレ・元カノの関係で、表面上は面も見たくない、というフリをしているものの、未練たらたらなのが、傍目にも丸見えのシチュエイションという設定だが、組み立てが若干甘いようだ。序盤に登場するギャグの質が低いのである。ここ数年、殊に目立つ不自然な発音やイントネーションを用い、粋でもなければ通でもない、単なる駄洒落と楽屋落ちレベルのギャグもほぼ同時に出てくるのだが、彼らの恋が一方の中核を為すこの作品で、この構成はないだろう。
本来、若者たちが、伝統的な表現形式や言葉を変えて行く背景には、先代たちに対する異議申し立てや、批判があったハズである。今作で序盤に用いられている現代日本の若者表現もまた然り。
だが、今作では、その表現法を此処で用いているだけで、中盤からは普通の表現に戻る。そのことに対して、序盤の、先代たちの表現やそれによって示される価値観を批判していた地平から、批判対象の用いる表現に戻す何らの必然性も説明されていないのみならず、何故、序盤でそのような表現をしたのかについて、納得のゆく科白もない。TVなどの三流番組じゃあるまいし、舞台に掛ける科白であれば、シナリオライターはもっと言葉に対して真摯に向き合うべきであろう。
中盤は、まったり感が強い。流石に終盤だけは、キチンと作品を盛り上げてゆくし、思い掛けない上質のギャグシーンと人間関係が見出せるだけに、指摘した点を改善して欲しい。
This is 30
シンクロ少女
スタジオ空洞(東京都)
2015/01/23 (金) ~ 2015/02/01 (日)公演終了
満足度★★★★
計画性
あってもなくても楽しい人生です。まだ30代だもの。
ネタバレBOX
行きあたりばったりで脚本作りをする次男は生き方も行きあたりばったりで、それに嫌気を差して去った彼女は数年後に彼の弟と知り合い、その三男は計画性のある生活を送っていたものの酔った勢いで計画性のないことになってしまい、30歳になったこともあってこれが幸せなのだと自分に言い聞かせ結婚を決めました。そして、弟たちから無心するようなだらし無い性格の一番上の38歳の兄貴と35歳になった次男を誘い、兄貴の亡くなった奥さんの墓参りにかこつけてそのことを報告しようとする話。
三者三様、計画性がなくても何とかなる人もいれば、計画性がなくて振られる人がいて、計画性があっても計画通りに行かない人もいる、楽しいおバカ三兄弟でした。
長男役の泉政宏さんの歌うトゥモローが素晴らしく、下手なミュージカルよりも素敵でした。
レンアイドッグス
合同会社シザーブリッツ
サンモールスタジオ(東京都)
2015/01/24 (土) ~ 2015/02/01 (日)公演終了
満足度★★★★
チームA
ぅん よかったw
展開は あまりイヒョウをついてなくて ふつうでしたが
テンポがよく 世界観を感じやすかった
・・・まだ 書きたいw
でも チームBも観たくなったから あとは その時にでも
ネタバレBOX
天使・・・ 最高w 天使が おっきな 大人で 何が悪いw
元ヤン アイドル・・・ 意外と多く生息するんですよね あたしも 数人知ってますし リアルに 先生と結婚してるの居るしw
お嬢様系アイドル… リアルじゃおめにかからないけど こういうイメージw というか 桃瀬さん これ 演技じゃなくて ジか?
ホモ・・・ ぁ キタコレw そう 恋愛に 性別は関係ない… ぃゃ あるだろw
まだ 書きたいw
でも チームBも観たくなったから あとは その時にでも
こわれゆく部屋
水素74%
こまばアゴラ劇場(東京都)
2015/01/16 (金) ~ 2015/01/25 (日)公演終了
満足度★★★★
モラハラ
高橋三船夫婦の離婚訴訟が話題になっている中、タイムリーでした。
ネタバレBOX
両親ともに亡くなって姉と二人暮らしをしていた妹が、姉のモラハラに嫌気が差して飛び出してから十数年、ホストクラブに作ったツケを家賃を節約して払うように馴染みのホストから促され、ホストとともに実家に戻ってきてからの話。
妹の彼氏であるホストが居座り続けて家を乗っ取ろうとするなど困ったことになり、イライラさせられるストーリーになるのかと期待していましたが、単に妹を監視していただけで、数ヶ月後取立てに成功したらさっさと出て行ってしまいました。まさに金の切れ目が縁の切れ目でした。
どちらかと言うと、姉や姉の同居人たちの職業である看護師の患者の死に際しての意識のあり方等を考えてみようとすることが主眼のようでした。
姉は社会規範や職業倫理に関して理想的な考え方を持っていて、同居人も最初は彼女のプロらしさに憧れて同棲を始めたわけですが、結局はあまりにも切り替えが早いことに、理屈では分かっているものの人間味が感じられず心が離れていきました。妹が正論を押し付けてくる姉のモラハラ振りに嫌気が差して出て行ったのと同じことになりそうです。
患者が死ぬ度に風俗に行って変態プレーをしなければ気持ちが切り替わらないというのは極端過ぎて、少し看護師に不向きなのかとも思いますが、患者に感情移入し過ぎないことが如何に難しいことなのかということは理解しました。
ラスト、姉が妹に共依存の状態のようで驚きました。同居人の心が離れたためか、モラハラの相手としてもう一度妹を対象にしようとしたのかもしれません。しかし、もしそうならば妹が家出したときにもっと積極的に探すはずだったのではないかとも思いました。
親族代表 THE BEST LIVE『親族旅行記』
親族代表
駅前劇場(東京都)
2015/01/22 (木) ~ 2015/02/01 (日)公演終了
満足度★★★★
たくさん笑いました
つかみから爆笑してしまいました。
鬼のぬけがら
ナイスコンプレックス
OFF OFFシアター(東京都)
2015/01/21 (水) ~ 2015/01/26 (月)公演終了
満足度★★★★★
海が見えた!
「海に人が、浜に人が、みえた!」
被災地が舞台、と聞いた時点で取り扱いが難しそうだと思い、「鬼のぬけがら」というのがファンタジーなのか比喩なのか?謎のまま観劇。初見時、構成の見事さに感服。台詞のひとつひとつに意味があり、自分のこととして考えることが山ほどある。「考えさせられる」ではなく「考える」。しかしテンポよく進んで行くので熟考している暇はない。4回拝見したがきっと何度見ても答えを出し尽くすことはできないだろう。
妻、妹、嫁、女性3人の存在が素敵。それぞれの立場で共感する。しかしこういう題材、どういう結末になるのか全く見当がつかない。ちゃんと納得できる終わり方が可能なのか?観ていて一抹の不安が過る。ところがクライマックス!軽快なピアノに乗って、それまでのもやもやはすべて押し流された!最高のエンディング!大いに納得のラスト!海に、浜に、人がいる……! 昔から。そしてこれからも。人がいるから物語が生まれる。
物語といえばこの人、劇団おぼんろ主宰末原拓馬。キムラ真とのまさしく「融合」は、作品を立たせるために必要不可欠なものに感じた。
もっと沢山の人に観て欲しかった。自分の物語として。再演、お待ちしています!
This is 30
シンクロ少女
スタジオ空洞(東京都)
2015/01/23 (金) ~ 2015/02/01 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しめました
3兄弟のロードムービー的会話劇。等身大プラスアルファの内容で、少し身につまされて、大いに笑える。今までに観たシンクロ少女とはちょっと毛色が違うけど、こんな作風好きだなー。
プルートゥ PLUTO
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2015/01/09 (金) ~ 2015/02/01 (日)公演終了
満足度★★★
んー
原作の「プルートゥ PLUTO」は知らないので、舞台だけの感想ですが、いろいろと面白い趣向が織り込まれていて飽きなかった。
後半の演出も面白かった。
ただストーリー自体があまり面白くないのか、原作を端折りすぎてるのかわからないけど、そんなに深みも重みもなかったので、本当にマンガを舞台化しただけの感じ。
タイプ的には、昔見た鉄人28号の感じがした。
まぁあれよりはマシな気がしますが。