満足度★★★★★
海が見えた!
「海に人が、浜に人が、みえた!」
被災地が舞台、と聞いた時点で取り扱いが難しそうだと思い、「鬼のぬけがら」というのがファンタジーなのか比喩なのか?謎のまま観劇。初見時、構成の見事さに感服。台詞のひとつひとつに意味があり、自分のこととして考えることが山ほどある。「考えさせられる」ではなく「考える」。しかしテンポよく進んで行くので熟考している暇はない。4回拝見したがきっと何度見ても答えを出し尽くすことはできないだろう。
妻、妹、嫁、女性3人の存在が素敵。それぞれの立場で共感する。しかしこういう題材、どういう結末になるのか全く見当がつかない。ちゃんと納得できる終わり方が可能なのか?観ていて一抹の不安が過る。ところがクライマックス!軽快なピアノに乗って、それまでのもやもやはすべて押し流された!最高のエンディング!大いに納得のラスト!海に、浜に、人がいる……! 昔から。そしてこれからも。人がいるから物語が生まれる。
物語といえばこの人、劇団おぼんろ主宰末原拓馬。キムラ真とのまさしく「融合」は、作品を立たせるために必要不可欠なものに感じた。
もっと沢山の人に観て欲しかった。自分の物語として。再演、お待ちしています!