最新の観てきた!クチコミ一覧

80501-80520件 / 189814件中
第十七捕虜収容所

第十七捕虜収容所

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2015/09/29 (火) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

充実した観劇空間
捕虜という単語から受ける残虐なシーンはなく、多くの不自由と少しの楽しみ、仲間内のスパイを探り合う諍いを、洗練された美術とクールな音楽で繰り広げていました。
実力派の役者揃いな上、片時も飽きさせぬ展開。
最後の決断に「仲間」の定義を考えると共に、これは戦争の話なのだと見せつけられた。

ジャンク

ジャンク

サンハロンシアター

ザ・ポケット(東京都)

2015/09/30 (水) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しめましたが・・・
全体的に落ち着いたお芝居でした。その合間に結構小ネタが良いアクセントになって、リズム感をうまく引き出していました。ただ、テーマ的には少し分散したのが残念でした。

プリンシパル・ワルツ

プリンシパル・ワルツ

劇団HT

北池袋 新生館シアター(東京都)

2015/10/02 (金) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★

面白かった!
2時間20分という長い舞台でしたが(もう少し短いといいかも)、とても面白かったです。登場人物が多くて、最初は把握出来るか懸念しましたが、ストーリーと人物がどんどん繋がっていくので、良く出来た脚本だなぁと思いました。役者さん達は、みな全力で演じていて一生懸命さが伝わってきました。そして一人が何役も演じていて、見事でした。暗転部分などは、もう少し工夫した方がいいかな?と思いましたが、面白くて切なくて温かみのあるストーリー、役者さん達の熱演、とて好感が持てる舞台でした。個人的に、こういう舞台、好きだなぁ・・と感じました。とても面白い舞台で満足でした。

Five Star Splash!!

Five Star Splash!!

W.Strudel

ABCホール (大阪府)

2015/10/02 (金) ~ 2015/10/05 (月)公演終了

満足度★★★★★

最高❗
2時間40分…長いなぁと思いながら席につきましたが、なんのなんの時間忘れてましたわ。ストーリーがしっかりあって、鍛えられたアクション、演者それぞれの存在感、全て良かったです。ありがとうございました。次回も楽しみにしてます。

想いはブーン

想いはブーン

小松台東

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2015/10/02 (金) ~ 2015/10/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

しょーもない
面白い。105分。

ネタバレBOX

理奈(異儀田夏葉)…三女。浩史と恋仲だけど浩史がダメダメなので、父に報告できずにいる。終盤、関係を考えさせてと、浩史の背中を押す。
薫(三像かおり)…長女。年の割りにきゃぴきゃぴしちゃうかわいい人。
麻耶(森谷ふみ)…次女。隆史と関係にあったが、事情により重光と婚姻。会社のことで隆史に相談している。
浩史(細見大輔)…中退後、東京でフラフラしてて父の葬式にも出ずというしょーもなくて、ウジウジしてるイケメン。
隆史(瓜生和成)…浩史の兄。ダメな浩史を気にしてる母のため、安永電気を紹介した。社長からは会社を継ぐよう言われている。
杉浦(尾倉ケント)…家庭持ち。社長の病気の件で会社の行く末が気になっている。
井戸潤(松本哲也)…入社半年の浩史を「師匠」と呼ぶ。自分と同じようにダメなヤツと見下げている。
黒木(山田百次)…理奈のことが好きなクリーニング屋。
美来(小園茉奈)…薫の娘。高校中退でやや反抗期。
重光(佐藤達)…麻耶の夫。麻耶が隆史と不倫しているとイラつく。

理奈らの父で社長の入院が決まり、最後の晩餐が行われている横の詰め所での会話劇。いいバランス感覚な群像劇。それぞれの描き方もいいし、笑いと緊張感のバランス(ミックス具合)もいい。中盤、ウジウジしてて隆史に何も言えない浩史が、「俺は誉められて伸びるタイプだ」とボソっというとこなんかはセンス抜群だなと。
入れ替わり立ち替わりで会話が進むが、安永三姉妹のシーン(ラストもいいけど)のユーモラスさを保ちつつ家族の想いが行きかう感じが素敵。

上手く家族と恋愛を絡めた秀作。
4時44分、せつなに青く。【ご来場ありがとうございました!】

4時44分、せつなに青く。【ご来場ありがとうございました!】

劇団えのぐ

上野ストアハウス(東京都)

2015/10/01 (木) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★

驚愕!
こんな内容だったとは、正直驚いた。期待以上の素晴らしさであり、かなりの問題作といえる。この件でトラウマを持つ人にとっては、かなりつらい話であろう。自分も動揺した。泣いてた人もいたよなー。

幸せを運ぶ男たち

幸せを運ぶ男たち

アナログスイッチ

小劇場 楽園(東京都)

2015/09/23 (水) ~ 2015/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★

安心のクオリティ
初演も観ました。安心して心から笑える数少ない団体さんなので、とても楽しみにしていきました。自分にとっては安定の娯楽です。
初演時よりテンポがあがって軽やかに、だが引き締まった印象。猪俣さんがいい味出していました。楽園の劇場が、「ワンルーム」の雰囲気を出すという意味で、ちょうどいいサイズ・構造で、劇場が一体として凄く良い空気が充満していました。

あえて言うならば、少し「重量感」のある役者がいても良いのかなと。軽やかなだけに、巧くてもどことなく「学生芝居」の雰囲気が消えていない印象があります。これは個性と受け止めるべきか、どうなのか・・。

4時44分、せつなに青く。【ご来場ありがとうございました!】

4時44分、せつなに青く。【ご来場ありがとうございました!】

劇団えのぐ

上野ストアハウス(東京都)

2015/10/01 (木) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

話のつくり方がよかった
チラシが素敵でした。
舞台も綺麗でした。
前半コミカルで後半シリアスでした。
7不思議の謎解きにかけていじめの問題を持ち出すのは話しの作りとして上手だと思いました。
佐伯さんの今後の活躍が楽しみです。

モノクロ

モノクロ

劇団ロオル

シアターブラッツ(東京都)

2015/09/30 (水) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

劇団ロオル:「モノクロ 【白】」
 昨日の夜、新宿シアターブラッツで、佐藤歩さんの出演されている劇団ロオルの「モノクロ」を観て参りました。

 「モノクロ」は、白と黒の2つのチームに分かれての公演。
今回観に行ったのは、白チームですが、黒チームには、橘菜穂さんが出演されています。今回どうしても都合がつかず黒チームを観に行けないのが唯一残念なのですが、今日が千秋楽のこの舞台、出演者は全て女性。男性の役者さんは登場しない。

 武力によって平和を得た国。戦い勝利を収めた彼女たち3人の戦死を、国は「英雄」と呼び、国に無意識の内に思考をコントロールされた国民は、彼女たち3人の戦士を、「英雄さま」と奉った。

 正義の名のもとに、平和となった今も政府の名により、戦い続ける彼女たち。生きるため、大切な者を守るため、己の意思や思いを抑え国の言うままに戦い続けなければならない彼女たちをも政府は国のために人身御供にするため、国民をコントロールして【英雄さま】を「罪人」だと信じこませたその先にあるものはなんだったのか?国にとって、国民にとって、そして彼女たちにとって、正義とは、幸せとは何であったのかを考えさせる舞台。

 高橋茉由さんの千年は、家族とも思う二人を護るために、自ら政府の手先になり、命を下されるまま戦い続ける。彼女にとって正義とは、大切な者を護ること。それ故に、抱えるジレンマに葛藤し、それでも自ら選んだ自分の正義のために、心身ともにボロボロになろうとも、戦い続ける者の強さと強さゆえの脆さ、痛々しいまでの生き方を自らに科す千年の悲しみと怒りと痛みが胸に刺さって、涙が溢れる。

 柴田茉莉さんの律は、千年と七生と戦士として戦いながらも、政府に対して反発も感じ、政府の名のもとに戦い続けることに一抹の疑問ももっている。彼女の正義とは、一体何だったのたろう。少なくても、自分にとって不都合だからと自分たち戦士に命じ、正義という名のもとに命を奪わせる事に疑問を持っていた律にとって、待ち受けている明日はどんな色だったのか。

 佐藤歩さんの七生は、千年と律の中間、いや、二人の思考を持ち、一番冷静に状況を観て、国の思惑と自分の中にある正義のズレ、何が本当の正義なのかを一番見えていた存在ではなかったのか?

 立場によって正義の定義は異なり、立場によって、ひとつの物事でも捉え方も感じ方も定義も変わる。

 しかし、たったひとつはっきり言えるとしたら、正義のための戦争など、聖戦などと言うものは存在しないということ。正義とは、人の命を奪って成り立つものでも、手に入れるものでもない。血には血を、武力には武力の連鎖しか生まれないし、人の命の上に成り立つ正義も幸せもあり得ないということ。

 正義と悪は背中合わせの紙一重。立場によって、見方ひとつで、白が黒に引っくり返るように、正義と悪は引っくり返る。昨日の善は今日の悪、昨日の悪は今日は善。戦争と革命も同じこと。背中合わせの紙一重。

 何と戦うのか?誰と戦うのか?戦った先にあるものとは?正義とは何か?命とは?生きるとは?その先にあるもの、あるべきもの、一番大切なものは何?いろんな事を考え、心の動いた素晴らしい舞台でした。
 
 小松原里美さんの三日月、楽して行きたい、だから有利な方に着くといいながら、最後に政府に向かって放った一言は胸がすく思いで、もしかしたら事の本質を一番客観的に見ていて、事の真実をわかっていた存在ではなかったかと思う。

 そして、何よりも女性がかっこいい舞台。殺陣が本当に格好よくて、綺麗でした。久しぶりに観た、あゆさんの殺陣が格好よくて、惚れ惚れしました。

 観られて良かったと心から思った素晴らしい舞台でした。

                            文:麻美 雪

頑張れ!けんせつ小町   おはようございます!

頑張れ!けんせつ小町 おはようございます!

サン・マルガン

ブディストホール(東京都)

2015/09/29 (火) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

小町のみなさんが魅力的!
今日は築地本願寺のホールで、お芝居観てきました!
__
建設業界で働く女性の物語です 。
__
ある女性が多い建設現場の物語です。併せて派遣労働者の苦労や建設現場の御近所さんとのやりとりも描かれていました。
__
この作品は建設現場の物語で昨今の業界ネタ満載のようですが、コメディ仕立てになっていて深刻にはならず面白く観られました。
__
では以下は「けんせつ小町」ならぬ「演劇小町」の感想でございます。
_
・AKANEさん:お花に添えられたメッセージによれば、今回初主演との事でおめでとうございます! 登場人物のなかで唯一苦悩を見せる女性現場監督の役廻りですが、コメディのなかで必要以上に重くなることなく責任者の重責をサワヤカに演じたのはお見事でした!
_
・上脇さん:ムッとしたような表情の場面が多かったですが、舞台上の彼女は、終演後の笑顔の御本人と同じひととは思えないトッテモな美人顔の少々強気の女性役を魅力一杯に演じていて、これじゃあ廻りの男の子が惚れるのも当然ですね!これまで存じ上げなかった女優さんですが、これからも御活躍を~
_
・日里麻美さん:日里さんは上脇さんとは好対照に、いつもニコニコしている役ですが、時に事務デスクの場面では得意の(?)シカメっ面も存分に楽しませてくれました。例え、男の子に食事には誘われなくても、女性の魅力に溢れた舞台姿とコミカル演技で責任者とは違う立場の「けんせつ小町」の魅力を十分楽しませてくれたと思います。特に事務服じゃない時は…
_
・柳野さん:女優陣に混じっての演技、ナカナカのものでした! 次回も頑張ってくださいね~

_以上、長くなっちゃいましたが客席にいて楽しい時間を過ごせました。有難う御座いました(^^)

月光条例 ~かぐや編~【全公演満員御礼!ありがとうございました!】

月光条例 ~かぐや編~【全公演満員御礼!ありがとうございました!】

カプセル兵団

笹塚ファクトリー(東京都)

2015/09/27 (日) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

「月光条例〜カグヤ編〜」
 昨日のお昼に、笹塚ファクトリーでカプセル兵団の「月光条例〜カグヤ編〜」を観て参りました。

 原作の漫画もアニメも知らなかったし、カプセル兵団の舞台も初めてだし、月光編も観ていなかったけれど、存分に楽しめた舞台でした。

 パフォーマーとして出演されている、笠川奈美さんから連絡を頂いて、観に行った舞台だったのですが、前から奈美さんからこの舞台の面白さを聞いていたので、ずっと観たいと思っていた舞台でもありました。

 何十年かに一度、青き光に当てられたおとぎ話の登場人物たちが、おかしくなるという、ムーントラックが再び起き始め、おとぎ話の長老会は、おとぎ話を守るため、「青き月光でねじれたおとぎ話は、猛き月光で正せねばならない」という「月光条例」を作った。

 その「月光条例」を執行する執行者が岩崎月光と工藤伽耶である。

 子供の頃に慣れ親しんだ、一寸法師やあかずきんちゃん、シンデレラ、フランダースの犬、桃太郎などなど、ムーントラックで最初は暴走していた洋の東西、古今東西のおとぎ話の主人公たちが、月光たちに「月光条例」を執行されて、もとに戻り命を懸けて、月光たちと共におとぎ話をこの世から無くそうとするオオイミ王と戦う物語。

 懐かしいおとぎ話の登場人物たち。母に読み聞かせて貰ったり、何度も読み返してきたおとぎ話の登場人物たちが、目の前で動き、走り、戦い、生き生きと飛び回るのを見ていると、何とも言えない懐かしさと高揚感に胸躍り、血が沸き返る。

 舞台装置は何もないのに、舞台背景が立ち上ぼり見えて来る不思議な感覚。

 物凄いスピードで登場人物と物語が進んで行く。音と光と音楽。それだけでこの壮大で可笑しなスペクタクルを目の前に、魔法のようにボンと出現させるのは、出演されている全ての役者さんたちがその人物としてそこにいるからであり、切れのあるスピード感のある動きの凄さでもある。

 描かれているのは、信じること。自分を信じ、仲間を信じ、その信じること、信じる仲間を守るために戦う。人は、自分の為ではなく、大切なもの、大事な者を守るために戦う時、とてつもない強と愛を知り、その手に掴む事が出来る。

 オオイミ王とて、病弱の幼馴染みの妻を守るために、誤った方向に舵をとり、方向を見誤ってしまっただけなのではないだろうか。

 人の数だけ正義がある。立場が違えば見方も違う、何をもって正義と言い、何をもって悪というのかわからなくなってくる。けれど、厳然としてひとつあると言えば、何をどう言い繕っても、自分のエゴのために人の命と未来を犠牲にしてはならないとうこと。

 その二つを守るために、月光たちは戦う。

 信じることで人は強くなり、信じられることで人は強さを発揮できる。自分の道は自分で選ぶ、選んだからには言い訳しない。それとて、「信じる」から出来ること。

 笑いながらも、最後は月光の言葉が胸に強く響き、涙が溢れる。

 滑らかな場面転換、息を着かせぬアクション、壮大なスペクタクルでありながら、最高におかしくて、しっかりと心に響く物語がある、今までに見たことのない舞台。

 鶴見直斗さんと金澤洋之さんの殺陣のかっこよさ、笠川奈美さんの躍りの強くてしなやかさも素敵でした。

 畑中ハルさんの一寸法師と永澤菜教さんのきびだんごが、ツボに入ってすきでした。

 奈美さんにお誘い頂いて、観に行けて本当に良かったと思った、最高の舞台でした。

                            文:麻美 雪

ジャンク

ジャンク

サンハロンシアター

ザ・ポケット(東京都)

2015/09/30 (水) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★

序盤難はあるが
 米軍基地を間近に持つ福生。ここに住むちょっと変わった男・田野の塵屋敷が強制執行の対象となることになった。

ネタバレBOX

執行は午前8時からであるが6時半になると男は室外にラジオを持ち出しラジオ体操を始めた。その傍らには1組の男女。1人はTV局のAD、もう1人はカメラマンである。近隣住民から強制執行の話を聞き取材に訪れたのであった。暫くすると執行の際、塵を収集し運び出すために雇われた何でも屋兄妹・新庄 崇、亜美もやってくる。更にTV局クルーにメモを渡して何処かへ去る若者・井上 賢。メモには電話番号らしきものが記されていた。クルーらは、情報提供者だろうと当たりを付け、取材の下準備に入る。役所からも係りの者が来、強制執行を強行する為警察官も2人やって来るのだが。
 田野はかなり強行に反対する。おまけに自分が取材されることをハレの儀式のように考えている節もあって、強制執行断固阻止の意気が高い。何れにせよ、執行予定時刻が来るまでは、執行側も手出しができないので、現場は宙ぶらりんの状態である。
 だが、事件が起きた。メモを渡した井上が、ビルの屋上に現れたのである。ひょっとすると飛び降りかも知れないと下では大騒ぎ。TVクルーも当初の取材予定はそっちのけで飛び降りる瞬間を取り損ねてはならない、とカメラを屋上に向けて固定、こちらの撮影がメインになる。
 一方、警察官らは、レスキューやネゴシエイターにも連絡を取り、現場へ急行するよう手配していたが、取り敢えず、巡査部長は高所恐怖症なので下の事態に対応し、巡査は屋上に対応して時間稼ぎをしようと手分けしてことに当たっていた。だが、レスキューに出動要請は出したものの、肝心の落下ショック緩衝用の器材に穴が開いて修理が長引いたり、漸く直って空気を入れたら今度は畳めなくなって、持ってくることができないという。到着していたネゴシエイターが妙案を提示し、警察官らはそれに協力することになるが、井上は自殺する意思があるのか否かその辺りもはっきりしなかった。だが、屋上と会話をする為に用意したトランジスタメガホンを彼は、一旦降りてきて奪い演説を始めたのだった。派遣で一生を過ごさざるを得ず、ただ普通に結婚して子供を持ち家庭を築きたいという、ごく当たり前の夢さえ実現できない、と訴える彼の叫びは悲痛である。おまけにその悲痛な叫びも米軍機の低高度飛翔の爆音によってかき消されるシーンが何度も入ることによって、日米地位協定によって植民地化されている日本の姿を分かる者には分からせる作りになっている。これ以外にも現在最終段階を迎えているTPP交渉の件も頭を過る者は多かろう。何れにせよ、トリクルダウンなどの大嘘や、政府の財政支出による経済の底上げというまやかし、大企業優先で中間層を消滅させること請け合いの経済政策等々、安倍のように低能ないかさま師の戦略が下々を苦しめている実態が暴露される。
 ところで、このどさくさに紛れて崇が屋上へ近づいていた。然し井上は、屋上へ出る扉を鎖でロッしたので屋上へは出ることができない。何とかドアを開けさせようとするのだが、井上は頑としてこれを拒むので仕方なく壁をよじ登って屋上へ到達し、彼と話をする。この対話の中で2人のつらい過去や井上のことを携帯の番号から調べたネゴシエーターが言っていたように8時15分に飛び降りる必然性が明らかになると共に、崇が伊達や酔狂で命を懸け屋上に上がってきたわけではないこと、彼の一所懸命に生きている姿の意味する所が観客に明らかにされる。また、ネゴシエーターの仕組んだ塵屋敷解決案と同時に井上救出作戦の同時進行が演じられる。
 ラストが衝撃である。崇が何とか井上を確保し下へ下ろした後、ネゴシエーターは、挨拶をして皆と別れたのだが、屋上から飛び降りてしまう。彼女が最後に姿を現すのは、塵を集めたトラックの塵の山の中からである。即ち、彼女の真の姿は輪廻転生の主体、即ち仏法でいう第八識、西洋流にいえば集合無意識の実態化である。ということは、この作品のメッセージとは、民衆の夢の実現ではないか? 問題の所在は随所で示されている通り、アメリカによる植民地支配である。そして、この認識は正しかろう。人々よ、立ち上がれ、敵は、在日米軍基地にあり!
落語でショー改め「座布団劇場七枚目ッ」

落語でショー改め「座布団劇場七枚目ッ」

占子の兎

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2015/10/01 (木) ~ 2015/10/05 (月)公演終了

満足度★★★

表現する者とエンターテインメント Cを拝見
 今作は、落語のネタをもとに各々を造形化して見せた作品であるが、落語と演劇の衝突を賭して、そこに生じる矛盾や爆裂を唯一の表現と看做すようなラディカルな作品ではない。6話を総じて括るとすれば、人情話が選ばれていると言えよう。

ネタバレBOX

従って、創作サイドの狙いは、観客を癒すことだと思われる。無論、激しく政治が右傾化している第二次安倍政権下での戦争状態を、この植民地の民が狂わず受け入れる方法は、こういうやり方なのかも知れない。然し、と自分は言うのである。ここで狂うことを恐れていては、本質を捉えることも逃すのではないか? 時代がこのように酷く虚偽と瞞着と裏切りと、破廉恥に塗れているというのに、我らの根にある昏く深い我ら自身の倨傲や欺瞞に竿ささずに何をどうすることができると考えているのだろうか? 
 それとも、何の力も情報もなく知恵もない所から諦めが先に立って、情けない侘しい自分たちのせめてもの慰めにという所存なのだろうか? 改めて、表現する者に何ができるのか? という問いが立てられねばなるまい。何故なら、仮に表現に意味があるとするならば、それは、自らの根差す人間と人間性総体を場とする時代と切り結ぶことによって生じている坩堝のような生活・存在の総体の一部に入り込んで、定かならぬカオスに何らかの秩序を与えることに他ならないからである。
その「秩序」が、アメリカの都合による押し付けと目論見によって為されているのが、現在、安倍政権のやっていることであるならhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015092202000210.htmlこの背景にあるのは、アメリカの弱体化による日本への軍事代替である。具体的には、日本全土の沖縄化が考えられるであろう。実際、数々の反対に関わらず米原子力空母、ロナルド・レーガンは横須賀に10月1日に入港した。即ち推定120万KW(2基で)の出力を誇る原子炉を首都圏に置いている訳であるが、出力が推計でしかないことからも明らかなように、事故時に推定しなければならない被害規模の基礎データさえ、日本は持っていない。これが国家と言えるのか? という程度の危機意識は最低限持ったうえで生活したいものである。核事故で、最も惨めな死の危険に晒されるのは、他ならぬ我々自身である。そしてその我々は、選挙年齢に達していれば、基本的に主権者であるのだから。
月に叢雲、花に風

月に叢雲、花に風

劇団ZTON

神戸市産業振興センター ハーバーホール (兵庫県)

2015/10/02 (金) ~ 2015/10/03 (土)公演終了

満足度★★★★

夢幻のような2時間
初演はDVDで見ていましたが、
初演にも出ていたキャストのほとんどが1世代上の配役になっていて、
また、大筋は同じですが随所に変更点もあって
よりリアルに作品の成長を見れた感触がありました。

休憩なしで約2時間。

可動式パネルを使ってのキャストの出ハケは幻想的で、
1、2秒で戦場が変わるのも鮮やかでした。
それによって暗転の回数も抑えられたようで
疾走感が維持されていて楽しかったです。

ネタバレBOX

特に心に残ったのが

平忠正(清盛の叔父)の死に際とその際の清盛の表情、
源義朝の親殺しの際にずっと同じことを口走っていたときの
その言葉各々のニュアンスの違い、
音楽に合わせて総キャストが入れ替わりたちかわりでのACTシーンで
両者のその状況を上手下手で対比させた見せ方

ほかにも

鎌田正清&正近兄弟(今回は兄弟設定でした)の
わちゃわちゃ空気読めてない感じの前半から
後半で見せたシリアス、熱さ、口惜しさに打ちひしがれながらも
次代を支えようとする姿のそのギャップ

信西にかわって登場した、妖艶さをたたえた公家の藤原璋子の
腹に一物抱えながらも公家公家した上品さのオブラートに包んでいるさま、
後半で堕ちていく彼女の叫び声

キャラクターが大きく変化した常盤の、
笑いに見せかけつつも実は壊れているさま、
運命的な「出会い」から皮肉にも増していく艶っぽさ
すべてをつぎ込むと決意した彼女の笑い声

言人(ときひと=安徳天皇)の作中での心情変化、
男女どちらともとれる純な声質と笑顔、それゆえの傲慢さ、
言人と同じ次元で相対する義経の妄執と
イメージシーンの中で見せた悲しさ・絶望、
義朝をのっとり、はべっている時の存在感、義朝とのリンクっぷり

などなど、書ききれません!

星をひとつ減らしたのは、
早口になると聞き取りづらくなってしまう言葉が多くあったことと、
殺陣がちょいちょいずれてたところ、
ラストが「現状維持で終わった」ように見えてしまって
個人的に少々物足りない…と思ってしまったことから。

あ、海賊の頭領が匣を持っていたときにいたのは誰だったんだろうな…
海賊の先祖ってことでいいのかな。
スピンアウトで、ほかの「匣の使役」の話も見てみたいなと思いました。

ZTON作品はキャラクターが生き生きして設定も凝っているので、
一作では収まりきらないふくらみがあって好きです。

月光条例 ~かぐや編~【全公演満員御礼!ありがとうございました!】

月光条例 ~かぐや編~【全公演満員御礼!ありがとうございました!】

カプセル兵団

笹塚ファクトリー(東京都)

2015/09/27 (日) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

涙腺崩壊
前編の月光編から、今回のカグヤ編が始まるのを待ち望み本日千秋楽。カプセル兵団の舞台は飛び出ているので、1回しか見れないのであれば正面から、複数回観れるのであれば方向を変えて見るのが面白い。始まって3分から泣き続け、途中で大爆笑。小ネタを挟みつつもしっかりと泣かせられる。何度観ても泣ける。キャラクターのすべてが輝いていた。表現が大変美しかった。今日もきっちり泣かせていただきます。

ネタバレBOX

今回も前説が面白かった。毎日早く席に着こうと思った。鯛と亀、最高のコンビネーションでした。
第十七捕虜収容所

第十七捕虜収容所

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2015/09/29 (火) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

戦争が堕とした闇
元々 戦争を題材にした舞台は余り好まなく、役者さん目当てで 予備知識も入れないままの観劇。 所が その素晴らしい舞台美術を始め 細部まで拘り抜いた照明や音響… そして何より出演者 1人として 居なくては 成り立たないと思える程の存在感。 久々に瞬きする間も惜しい舞台に出逢えた。これだから 観劇は止められない。 ただ 彼方此方に観たい方が居て 2回位では足りそうも無い。贅沢な悩み(笑)

老人と怪物

老人と怪物

テノヒラサイズ

SPACE9(大阪府)

2015/10/02 (金) ~ 2015/10/05 (月)公演終了

満足度★★★★★

シリアス味の強めなテノヒラサイズ
19:30の回を奥から観劇しました。
上演時間120分。

全体的にシリアス調ですが、
ぽいっと入ってくる笑いが効いていて、
前半の、物語のたんたんとしたところも飽きずに観れました。

アリスが対決することになる「怪物」の正体とその姿、
その際の登場人物の様子に心が揺り動かされて、
自分でも何の感情かわからない涙が出てきました。

ガツンとくる良作でした。

ネタバレBOX

やってることはチラシのとおり。

てっきり、2つのストーリーが同時進行する
(客席側からは片方の物語のみがメインで見えるつくり)
のかと思っていて
「1回しか観れないの悔しいなぁ」と臨んだのですが
2つ目は1つ目の時代の回想録的な表現だったので、
どちらの客席からも2つのストーリーは視認できました(笑

役者さんの表情などで2回見たかった気持ちはありましたが、
ストーリーは1回で把握できる設計でよかったです。

基本はツナギで、そこにポイントで個性をつけて
「衣装」として魅せる方法はいつも上手いなぁ…とおもいます。

一人で複数の役をやっていますが、
どの登場人物も生き生きとしていて、見間違えることもなく、
役者さん各々の力量の高さが感じられて安心して観ていられます。

田所さんのかわいさと、謎めき年齢不詳感を生かした演技は
今回も目を引きました。
姿をほぼ変えてないのに別人になるさまが見事でした。
一方、姿かたちが違いすぎて、
(キャスト表を見ていたにもかかわらず)信じがたかったあだちさんの
メイン2役も見事でした。
女運の悪い青年の伊藤さん、
某老人に向ける彼の感情は「人間あるある」だなぁと。
わかりやす過ぎるくらいの彼の心の動き、朗らかさが、
話を重苦しくさせなくてよかったです。

川添さんの絵に描いたような「俗物」っぷりは恐ろしくもあり、
いっそ清清しく笑えるようでもあり、
湯浅さんのおびえきった姿は可哀想でもあり
もはや哀れを通り越して笑えてしまったり、
彼を翻弄する松木さんの揺ぎなさとその奥にある本心、
あと、別ストーリーで松木さんが演じてる彼の理不尽な心(←笑)など、
人間って面白いし怖いしやっぱり楽しい生き物だなと思いました。

涙を流すシーンで、どこから見ても「泣いている」とわかる木内さんと、
役柄上何が起きてもぜったいに泣いてはならないだろう上野さんの姿が
同じ場面だったわけではないけど大きく対比になっているように思えて、
ストーリー上で互いに果たす役割などもあって特に印象に残りました。

鳥取イヴサンローラン

鳥取イヴサンローラン

ロ字ック

シアター711(東京都)

2015/09/26 (土) ~ 2015/10/11 (日)公演終了

満足度★★★★

可愛いとさえ思える(予定外2回目)
当日券で行ってきました。
(当日券入れない人出たそう急げ❗)
2回目だと内容知ってるので
人(仕草、表情とか)が良く観れます。
だから最初のメンドクサイ印象から
それぞれに可愛らしい(意地らしい)
そんな風に見えてきます。
杏さんの過去に何があったのか?
ちずるの表情や仕草は最初から
関係のや状況が解っている分
合点が行って面白い。
小川さん飛躍の作品になるかも?
敷居高い内容ですが、
2回見ると敷居が消えると思うよー

文化祭大作戦

文化祭大作戦

20歳の国

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2015/10/02 (金) ~ 2015/10/11 (日)公演終了

満足度★★★

ベタは多いけど青春です。
前半はベタな青春群像が続きます。
クラスで文化祭に演劇を上演
そこで全てを一気に終わらせるのが
なかなか爽快です。
ダンスも可愛いし、バッサリ中断し
イベントを盛り上げるのも楽しい
やっぱり岡野さんの、ハニカミ具合が
最高に素敵ですね。他の人じゃむ無理
残念なのが
前説で写真オッケーと説明しますが
本気か?嘘か判断出来ず誰も準備しない
本気ならカメラの電源入れさせて
前説の自分を撮影させればいいのに
(あくまでも本当にオッケーならですが)
見易くて楽しい舞台ですから、
お暇ならお勧めです。

生涯

生涯

9PROJECT

劇場MOMO(東京都)

2015/09/29 (火) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

死に際でとちってたまるかよ
以前は地方に住んでいたため、つかこうへいとの出会いは、エッセイや小説が最初であり、その後映画であった。舞台を観たのは阿部ちゃんのモンテカルロが最初だったと思う。生涯という作品に関しては、小説のポックリソングを30年以上前に読んだのだが、未だに鮮明に記憶に残っている。やはり台詞が強烈なんでしょうね。奇しくも先日のNHKでラジオドラマが再放送されたのだが、偶然というにはあまりに出来過ぎている。つかさんの魂が呼び寄せたのではと思ってしまう。
渡辺、小川、高野のチーム、前作も良かったが、今回はそれ以上に熱が入っていた。死に際のじーさんが元気過ぎるような気もしたが、それだけ死に際にかけているということなのでしょう。終活なんて言葉がなかった時代にこの作品、どれだけ先を見据えていたのでしょうか。つかさんの発想力にはいつもながら驚かされます。
次回作はかけおちとのこと、1983年にNHKで見たとき、やはり強烈な記憶を残した作品です。また楽しみが増えました。

このページのQRコードです。

拡大