
Le Père 父
東京芸術劇場/兵庫県立芸術文化センター
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2019/02/02 (土) ~ 2019/02/24 (日)公演終了
満足度★★★★
認知症になった父と娘の物語だが、父役の橋爪功、娘役の若村麻由美、主演のふたりが非常に良かった。認知症の父から見た世界で、「あなたの娘です」というのが全然別の俳優だったり、時間が前後したり、主人公の経験が、夢なのか現実なのかが曖昧なままだったり、技巧的に面白かった。自分の部屋と思っているのに、壁や家具の配置が物語が進むにつれてどんどん変わっていくのも効果的だった。
父は「自分は呆けてなどいない」と頑固で、周囲を振り回しつつも、どこかに自分自身の変化を感じ取っていて、不安と寂しさを覚えている。橋爪はその心情の振幅、心底の孤独感をよく垣間見せてくれた。高齢者はわがままを言いつつも、結局は弱い存在なのである。そのことを本人も十分わかっている。橋爪功がさらに10年後に、87歳で再演した舞台もぜひ見てみたい。

接点 vol.1
チーズtheater
新宿スターフィールド(東京都)
2019/02/13 (水) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/02/14 (木) 14:00
価格3,500円
チーズtheater・TOKYOハンバーグ・フロアトポロジーがそれぞれ書き下ろした30分ほどの短編を短編集形式でなく、場ごとに併走する形式で構成し1本の作品として編み上げたスタイル。
明確な共通のテーマはなさそう……どころかオーソドックスな人情噺、σ(^-^)の大好きな某有名文学作品を想起させるファンタジー系、手法が(やや)異色なもの、と作風・味わいも三者三様でありながら、人物の境遇など共通点が散見され(この感覚はまさしくタイトルの「接点」)、深読み・誤読が得意な身にとって「こっちのあの人はあっちで話に出た人ではないか?」などと勝手に想像を膨らませることも可能。(笑)
また、一通り観た後で再見するとまた新たな共通項も見つかりそう。
なお、そんな風にそれぞれ異なってはいるが、根底には「優しさ」がある、な感じ。
ところでタイトルに「vol.1」が付いているということは、第二弾、第三弾も期待してイイのかな?そしてどんな団体とコラボするのかな?

ビョードロ
おぼんろ
新宿FACE(東京都)
2019/02/14 (木) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
何となくティム・バートン×ジョニー・デップの『シザーハンズ』を想像していたら、全くの別物。筋肉少女帯の世界観。この世を憎み滅ぼすルサンチマン・ファンタジー。真の主人公、ジョウキゲンの登場から物語は加速する。わかばやしめぐみさん演ずるジョウキゲンの恐ろしいこと。トラウマ級のキャラ設定に呆然。子供騙しではない、濃密な世界観。戦争兵器としての病原菌作りを生業としているビョードロという民。一族を皆殺しにされた最後の生き残りのほんのひとときの月夜のお話。土方巽を思わせる軟体サーカス団の呪術的舞踏がまた凄い。

芸人と兵隊
トム・プロジェクト
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2019/02/13 (水) ~ 2019/02/24 (日)公演終了
満足度★★★★
漫才落語家などの戦地慰問団「笑わし隊」を描いた。作・演出は今年の読売演劇大賞の優秀作品賞を受賞した注目のコンビ。前半はあっさりした展開で物足りなく感じたが、後半になって大きなヤマがあり、何度も目頭が熱くなった。できれば、もっと笑えると一層良かった。
芸人たち登場人物にくっついているだけで、時代への批判精神がなければ、今日的な意義はない。かと言って、言葉だけの戦争批判はいまさら空疎であり、観客の心を動かさない。その難しい壁をよくクリアして、彼らもまた時代に押しつぶされた存在であることをしめした。笑いのある悲劇を通して戦争の残酷さ、惨さ、非人間性を切々と感じさせる舞台だった。
柴田理恵のパーっ場を明るくする存在感、村井國夫の抑制の末に真情が溢れてくる演技がよかった。戦死した弟弟子の事を語る高橋洋介の高座の場面も良かった。

カーテンを閉じたまま
Ammo
シアター風姿花伝(東京都)
2019/02/14 (木) ~ 2019/02/19 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/02/14 (木)
Ammo vol.6 「カーテンを閉じたまま」@シアター風姿花伝
いまは1本のドキュメンタリー映画を観た気分。
上演時間2時間5分…2時間超を予告されると流石に身構えてしまうが、ポル・ポトが祖国に戻り革命を進める過程も見たくなる。
若者の革命ストーリーといえば、連赤やあさま山荘が定番だが、ポル・ポトという人物にフォーカスしているのが興味が途切れなかった理由の1つかも。このStageがFactかフィクションかは別にして、自分が知っているポル・ポトは政権を取った後。それ以前の彼がどんな足跡なのか探ってみたくなる。
セットや衣装も変に凝る事なくシンプルな分、各キャラの性格が際立っており演者さんたちの熱量は大きかった。
今後も注目したいユニット。

花に嵐
南山大学演劇部「HI-SECO」企画
ナビロフト(愛知県)
2019/02/14 (木) ~ 2019/02/17 (日)公演終了

ビョードロ
おぼんろ
新宿FACE(東京都)
2019/02/14 (木) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
2011年に上演されたものを、二度観劇した経験があります。今回の物語は、そのときの作品に多少手が入ったようですが、内容にはほとんど変更はありませんでした。本演劇は、童話の世界を借りて、残酷な世界を表現したものです。この世に生まれて、うまく自分の愛を表現できない。それは、何が間違っていたのか。感じながら、なぜか涙があふれる。とても不思議で、美しい演劇です。前回あった軽いつなぎの間を消し、かわりに、今回は幻想的な新感覚パフォーマンス集団が、驚くほどうまく情景をつないでいました。一見の価値は、あるかと思います。

正造の石
劇団民藝
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2019/02/14 (木) ~ 2019/02/25 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/02/14 (木) 18:30
座席1階
婦人活動家福田英子の家にお手伝いに入った女性、サチの人生を通して、足尾鉱山の鉱毒に汚染され水中に沈められた谷中村を描く物語。分かりやすい展開で進む。
作者の主張はラストシーンで語られる。今でこそ、自分たちはこうあらねばというメッセージだ。明治時代と今は比較しづらいかもしれないが、今の政府の方がずっと信用ならない。だから、サチのように勉強し続けなければひどい目に遭うのだ。
初日だったためか分からないが、音楽の入りなど、民藝らしからぬミスが目立ったのは残念。福田英子役の樫山文枝は体調不良だったのではないか。聴き取りにくかった。
いつもは安定感がある丹野郁弓の演出だが、今回は細切れすぎて、成功したとは言いがたい。

荊姫~いばらひめ~
演劇ユニット 金の蜥蜴
ブディストホール(東京都)
2019/02/13 (水) ~ 2019/02/17 (日)公演終了

ドメスティック ラブソング
FREEDOM SPHERE
荻窪小劇場(東京都)
2019/02/09 (土) ~ 2019/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★
Bキャストを観ました。小劇場の演劇は初でしたが、少ないセットで複数の場面を表現する演出が素晴らしいと思いました。ストーリーはわかりやすく、役者さんがそれぞれ役にはまっていて(本当は違うキャラなんでしょうが)臨場感あふれるお芝居でした。ストーリー的には身につまされるものがあり、考えさせられました。今後の舞台も期待したいと思います。

モルディブの星 モルディブの月
劇団東京イボンヌ
cafe&bar 木星劇場(東京都)
2019/01/29 (火) ~ 2019/02/05 (火)公演終了
満足度★★★★
この数年活動を停止していた劇団東京イボンヌが活動を再開するということで、その公演を観てきた。作品は主演女優がダブルキャストで、孝島佑香が主演を務めるのが『モルディブの月』、坂口彩が主演を務めるのが『ノルディブの星』で、他の役はシングルキャストで話の内容は全く同一。主演の女優が変わるだけで舞台がどう違ってくるのか、それを楽しめる貴重な公演であった。
主人公は宇都宮でキャバクラ嬢をしていた田中布美。キャバクラを辞め、海と星の美しさに惹かれてモルディブに行きダイビングのインストラクターを目指していたが、子供が欲しくなって日本に帰り結婚し一児の母に。しかし、夫を愛しているわけではなく子供が欲しかっただけの布美は専業主婦に飽きてきていた。そこで地元の飲み屋で知り合った会社員と仲良くなり、布美は再び自由を求めて子供を連れてモルディブに。彼女には、新たなパートナーとして会社員だった男がそばにいた。
途中、布美の妹や宇都宮のバーのマスターなどの絡みもある、90分の作品。
フライヤーに「何かを選んだら何かを手放さなければいけない」「人生は、選択の繰り返し」と書かれていたが、まさにその選択の苦悩をしんみりと演じていたのが主演の女優二人。孝島佑香はどちらかといえば精神的な表現に長けていて静的な雰囲気で、反対に坂口彩は動的な演技で田中由美を演じていて、共演者はそれぞれの持つ雰囲気に引っ張られて月と星を自然と演じ分けていた。
個人的な好みのから言えば、坂口彩の演技に見入っていた。
それと、男優陣でモルディブのインストラクター役を務めた森山太と、布美の夫役を務めた米倉啓は、独特の存在感があって興味深くその演技を観させてもらった。
過去の東京イボンヌの作品の『無伴奏』にどこか精神的に通じるところがあるように感じたこの作品。演じる女優を変えて再演したら、さらなる発見があって面白そう。
この公演を機会に、東京イボンヌの活動再開を祝したい。

稽古場公演2019「野鴨」
無名塾
無名塾 仲代劇堂(東京都)
2019/02/08 (金) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
不義の娘は、出生の秘密を知りショックを受ける。大人の事情で、彼女は自殺に追い込まれた。後半の修羅場が、秀逸!とても感動的に仕上がっていました。

接点 vol.1
チーズtheater
新宿スターフィールド(東京都)
2019/02/13 (水) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
3団体が一つづつストーリーを作り最後にリンクしていくという作り。
登場人物はどこかで劣等感を感じながら生きている人々で、心の底で苦しさや悲しさ、寂しさが出ていてこのまま重い感じで舞台は終わってしまうのかと思ったが最後には少しの希望が見えてよかった。
物語のキーとなった海の見える駅、たぶんあそこだろうと想像しながら一度行ってみたいなぁと思わせてくれた舞台でした。
前2列は背もたれの無い席なので95分辛い方は3列目以降がおすすめです。

柴田智之一人芝居「寿」
Atelier柴田山
なみきスクエア 大練習室(福岡県)
2019/02/11 (月) ~ 2019/02/13 (水)公演終了
満足度★★★★
オールマイティな柴田さんだったけど、やはり舞踏に秀でていた。
前半は観やすかったけれど、後半は心に訴えかけてきた。
効果音や音楽も心に残った。ハイテクもいいものだ。

あ!デンジャーズ!?
ZERO BEAT.
Geki地下Liberty(東京都)
2019/02/12 (火) ~ 2019/02/17 (日)公演終了

MANKAI STAGE『A3!』
MANKAI STAGE『A3!』製作委員会
天王洲 銀河劇場(東京都)
2019/03/15 (金) ~ 2019/03/24 (日)公演終了
若手俳優が若手俳優の役を演じる上に2.5次元で、劇中劇もあるというだけでなんとなくすごいのが伝わるんじゃないかと思います。見てきたのは銀河劇場じゃなくて青年館です。

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 最新作「青学(せいがく)vs四天宝寺」
テニミュ製作委員会
Kanadevia Hall(東京都)
2019/02/07 (木) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
テニミュは楽しいねえ!久しぶりに見たので途中でなんだか伝統芸能みたいになりつつあるなと思ったんですけど、15周年ってそりゃそうか。四天宝寺は毎回小春ちゃんの役者さん(森田力斗くん)が本当にできる人ですごいなあ、と思います。

ミュージカル 封神演義ー目覚めの刻ー
パルコ・プロデュース
EX THEATER ROPPONGI(東京都)
2019/01/13 (日) ~ 2019/01/20 (日)公演終了
丸尾丸一郎脚本!というのを強く感じるジャンプ舞台でした。後半のカタルシスは鹿殺しにも通じてサイッコーだなと。ジャンプに似合うんだなあ。衣装も役者さんたちも素晴らしかった!

MONSTER MATES
TEAM NACS
EX THEATER ROPPONGI(東京都)
2019/02/08 (金) ~ 2019/02/13 (水)公演終了

芸人と兵隊
トム・プロジェクト
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2019/02/13 (水) ~ 2019/02/24 (日)公演終了
満足度★★★★
老夫婦の漫才、若手の漫才、落語、若い女性の音曲の4つの演目から成る慰問団が中国大陸に展開する日本軍の部隊を訪問して回るお話である。時期は昭和16年の2月から10月、劇中でも日米開戦も近いと語らせている。
老夫婦を演ずるのは村井國夫さんと柴田理恵さん。ところどころに演目のダイジェストが挿入されるがほとんどは楽屋などでの6人の会話である。村井さんと柴田さんは本物の夫婦漫才師にしか見えない。村井さんは当然として柴田さんがこんなにも説得力のある演技をなさる方だとは知らなかった。他人を思いやる当たり前の言葉が深く心にしみる。
いろいろな観方はあるだろうが、私はこういう時代があってこのように生きていた人々がいたということをしみじみと楽しんだ。
会場は平均年齢65歳以上だろうか。満席とはいかないのが少しもったいない。