Le Père	父 公演情報 東京芸術劇場/兵庫県立芸術文化センター「Le Père 父」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    認知症になった父と娘の物語だが、父役の橋爪功、娘役の若村麻由美、主演のふたりが非常に良かった。認知症の父から見た世界で、「あなたの娘です」というのが全然別の俳優だったり、時間が前後したり、主人公の経験が、夢なのか現実なのかが曖昧なままだったり、技巧的に面白かった。自分の部屋と思っているのに、壁や家具の配置が物語が進むにつれてどんどん変わっていくのも効果的だった。
    父は「自分は呆けてなどいない」と頑固で、周囲を振り回しつつも、どこかに自分自身の変化を感じ取っていて、不安と寂しさを覚えている。橋爪はその心情の振幅、心底の孤独感をよく垣間見せてくれた。高齢者はわがままを言いつつも、結局は弱い存在なのである。そのことを本人も十分わかっている。橋爪功がさらに10年後に、87歳で再演した舞台もぜひ見てみたい。

    0

    2019/02/14 23:59

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大