満足度★★★★
漫才落語家などの戦地慰問団「笑わし隊」を描いた。作・演出は今年の読売演劇大賞の優秀作品賞を受賞した注目のコンビ。前半はあっさりした展開で物足りなく感じたが、後半になって大きなヤマがあり、何度も目頭が熱くなった。できれば、もっと笑えると一層良かった。
芸人たち登場人物にくっついているだけで、時代への批判精神がなければ、今日的な意義はない。かと言って、言葉だけの戦争批判はいまさら空疎であり、観客の心を動かさない。その難しい壁をよくクリアして、彼らもまた時代に押しつぶされた存在であることをしめした。笑いのある悲劇を通して戦争の残酷さ、惨さ、非人間性を切々と感じさせる舞台だった。
柴田理恵のパーっ場を明るくする存在感、村井國夫の抑制の末に真情が溢れてくる演技がよかった。戦死した弟弟子の事を語る高橋洋介の高座の場面も良かった。