
朝のライラック
彩の国さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場・NINAGAWA STUDIO(大稽古場)(埼玉県)
2019/07/18 (木) ~ 2019/07/28 (日)公演終了
満足度★★★
イスラム圏とどう付き合っていくかは、今世紀の非イスラム圏の世界的大問題で、確かに「世界最前線」ではあるが、それがたちまち「世界最前線の演劇」となるかどうかは疑問である。両者の文明の基盤が違い、共通の価値観を持ちうる部分についても手探りの状況である。はっきり見えるのは、政治的武力対立だが、他の領域でもわからないことは多い。
この芝居は、イスラム圏の政治対立の内乱の真っただ中で、非イスラム圏の価値観(西欧的な自由主義)を持つイスラム人男女(松田慎也・占部房子)が圧殺される物語である。味方も敵も、ともにイスラム教のもとにあるのだが、どこがどう違うかは、西欧的な自由主義を認めるか、どうかだけしか観客には解らない。主人公の男女も、まるで何も知らない日本人男女のような雰囲気で、同じ宗教のもとにある者同士の葛藤がない。そこを、このイスラムに生まれた作家が書いてくれなくては、異教徒にはどうしようもない。そこは役者の想像外だ。
戯曲の視点も、国際的な意図もあるのか、西欧的な近代的価値観のもとに書かれていて、異形の暴力に巻き込まれた自由主義者の悲劇になっている。救いのない話で、そういう実話は現在のイスラム圏問題の最前線では起きていることなのだろう。そのことは観客も知っている。
だが、本当に観客がみたいのは、いささかスリラーめいた脱出劇の成否ではなくて、そこに生きる人々が、どのような生き方をしているかであって、この芝居はその肝心なところを殆ど型通りの設定でしか見せていない。
舞台が小綺麗にまとまっているのが、何か空々しい感じさえする。事件の真っ最中に演劇の場を設定するのは受けやすいけど、中身は乏しくなる。この最前線演劇はそこから逃れられていない。

舞台「大悲」
BS-TBS/オデッセー
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2019/07/19 (金) ~ 2019/07/29 (月)公演終了

しだれ咲き サマーストーム
あやめ十八番
吉祥寺シアター(東京都)
2019/07/19 (金) ~ 2019/07/24 (水)公演終了
満足度★★★★★
吉原には「八朔」という行事があったという。柑橘類の話ではない。文字通り旧暦の八月一日のことである。家康が天正十八年八月朔日に江戸に入ったことを記念して各大名、旗本、御家人などは白装束で将軍に拝謁したのだが、江戸庶民にとっては、吉原の遊女が白小袖を着て客を迎えたことを意味した。未だ暑い盛りであるから白い小袖は、雪の純白や純な娘にも通じ、粋を尊んだ江戸っ子達の人気を博したようだ。(新暦では大体8月末頃)(追記2019.7.24)

長耳と甲羅 ~SFR0x~
MANIAX
ステージカフェ下北沢亭(東京都)
2019/07/10 (水) ~ 2019/07/21 (日)公演終了
満足度★★
鑑賞日2019/07/12 (金) 14:00
以前観た舞台で気になっていた役者・井上茜の出演する舞台・劇団MANIAX公演『長耳と甲羅』マルチBヴァージョンを、12日午後に観てきた。
さて、演劇情報サイトに掲載された本公演の解説を引用しておこう。
今回は、『近い将来ありそうな、少し変わった恋愛物語』として、コメディータッチに【MANIAX】独自の世界観で創りあげていきます。また、そのエンディングは公演回によって毎回変わるマルチエンディング※を採用しております。
※マルチエンディングとは・・・
このライブは、公演回ごとに作品が異なります。作品が変わることにより、人物の関わり方が変わり、「エンディングも変わってしまう」ということです。
これだけでは分かりにくいが、神と人間と複数種の地球外生命体が登場して互いに牽制し合って・・・という感じの不条理メディーといった感じの舞台で、笑える箇所は何カ所かあったものの、全体的に何を言っているのかよく分からない舞台だった。前説で「深く考える舞台では全くないので気軽に観て笑って欲しい」と行っていたが、かといって気軽に笑えて面白かったというものではなかった。笑いにはオチがないと落ち着かない。そのオチがはっきりしないのだ。
唯一の収穫は、登場してきた役者達の力というものがなんとなく分かったと言うくらいかな。
演劇を娯楽として観るぶんには、まぁ成功なのかもしれない。

ガラスの動物園
文学座
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2019/06/28 (金) ~ 2019/07/07 (日)公演終了
満足度★★★★
足が悪く内気な姉と、それを気に病む母、家を出て行きたい弟。母に頼まれて、弟は同僚の男を夕食に誘う。身の丈以上のおもてなしに見栄をはる母は滑稽だが可愛い。その男は、姉の高校時代の憧れの人だった。夢のような一夜が、ガラスの動物園のように輝いた後、何も変わらない朝が来る。夢を見た後だけに、その朝の変わらなさはは一層つらい。
一度だけでも夢を見られて良かったのか、夢など見ない方が良かったのか。作者が精神病の姉への贖罪意識から書いたと言われる作品。見終わって何かスッキリすることは何もない。いつまでも頭の片隅にこの劇の問いが引っかかっている。

朝のライラック
彩の国さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場・NINAGAWA STUDIO(大稽古場)(埼玉県)
2019/07/18 (木) ~ 2019/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★
ISに支配される中東のある街で、不信仰者と烙印を押された若い教師夫婦。離婚して妻を差し出すか、処刑されて妻を未亡人にするかという理不尽な要求を突きつけられる。
後半になって、教え子のフムードがIS戦士になって出てきてからが、緊密で、葛藤もはげしく、大変引き込まれた。
IS支配とイスラム教という馴染みのない舞台で、どれくらい入り込めるか、事前には心配していたが、生きるか死ぬかをギリギリの選択が、宗教に関係なく、自らのものに感じられた。ISがくる以前の、美しい妻に、田舎の男たちが色めき立って、長老が暗い欲望の炎を燃やすあたりも含め、大変普遍的な舞台になっていた。100分、目が離せない。

ウティット・ヘーマムーンx岡田利規x塚原悠也『プラータナー:憑依のポートレート』
Precog
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2019/06/27 (木) ~ 2019/07/07 (日)公演終了

恋のヴェネチア狂騒曲
シス・カンパニー
新国立劇場 中劇場(東京都)
2019/07/05 (金) ~ 2019/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
幕があがってすぐは学芸会か?と思ってしまったがよく言えば漫画チックなのだろうか。次第にその雰囲気に飲み込まれて笑いっぱなしの3時間弱。個々のキャラクターが強烈だがぶつかり合うことなくしっくりきてるのも福田マジックなのでしょう。

舞台「大悲」
BS-TBS/オデッセー
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2019/07/19 (金) ~ 2019/07/29 (月)公演終了
満足度★★★
大量殺人の犯人に玉城君、捉えどころのない捕まえられないその感覚、こういう役にはぴったりなキャスティングと思ったのだが・・・。
個人の感覚で申し訳ないが、彼の綺麗に切り揃えられている髪を観た時に“違う”と感じてしまった。佐久間がいかに周りに不快な行動を起こしていたか、その話が全然つながらない。見た目で感じてしまうのは彼の演技力に対して、大変申し訳ないのだが、どうにも可愛らしく見えてしまって、佐久間の人間像が語られるたびに違和感が感じられてしまった。ストーリーも特にこの話だからこそ!というものが感じられず・・・最後まで気持ちが引っ張られずに終わってしまった。

舞台「大悲」
BS-TBS/オデッセー
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2019/07/19 (金) ~ 2019/07/29 (月)公演終了

しだれ咲き サマーストーム
あやめ十八番
吉祥寺シアター(東京都)
2019/07/19 (金) ~ 2019/07/24 (水)公演終了
満足度★★★★
鉄鋼場?のような大道具に江戸が舞台にしちゃ大胆だなと思い 和服の若衆の生演奏に期待が高まり始まった女の討ち入り? 確かに面白い風習でした。芝居・落語・小噺を織り交ぜ現代と江戸が混じりあいながらも違和感なく楽しめました。時代がかわっても男どもときたらどうしょもない生き物ね~

八巻竜胆★探偵社
チャピロック
BASEMENT MONSTAR王子(東京都)
2019/07/19 (金) ~ 2019/07/23 (火)公演終了
満足度★★★
初演と変わらずスピード感のある芝居でした。オープニングの狐の面をつけての踊りの場面は好きです。
ただ臓器売買・闇の傀儡子・ダキニ様と盛り込みすぎて・・・

おクチが裂けても言えないの
まるかど企画
新宿村LIVE(東京都)
2019/05/29 (水) ~ 2019/06/02 (日)公演終了

パフェ★サンデー★アラモード
となりの芝
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/07/20 (土) ~ 2019/07/22 (月)公演終了
満足度★★★★★
あっ、だからこのタイトルなのか!と妙に納得。とても楽しい可愛らしい舞台でした。三人の全く違うキャラに翻弄される(?)お話し、でも気がついていたらベテランマスターと常連豊島さんの深みのある演技に引き寄せられていましたね。流石としか言いようがなく、後半はテンポ良くしっかりと締まってましたね。

芙蓉咲く路地のサーガ
椿組
新宿花園神社境内特設ステージ(東京都)
2019/07/10 (水) ~ 2019/07/22 (月)公演終了
満足度★★★★
「毒おんな」(@スズナリ)以来の椿組観劇(@花園神社は2年振り)。汗まみれを覚悟して出掛けたが、夜になると気温は落ち、そのせいか劇場に近い集中度で芝居に入る事ができた。土着性を扱う中上文学の世界が、椿組「夏の野外劇」の祝祭性をも飲み込み、厚みのある芝居になっていた。
今回で4回目の野外劇体験だが、劇的高揚感は最も大きかった。サイドの自由席でも比較的前列の内寄りに陣取る事ができ、距離感は最適で台詞はよく聞こえ役者の表情も見えた。主役級の常連俳優の他、久々に見た佐藤銀次やこの所ご無沙汰の張ち切れの二女優、初見の役者も力を寄せ合い弾け合う一夏のお祭り公演である。
舞台の高揚は、劇作のうまさというより取り扱う対象、中上が描く土着的神秘性に由来したのだろう。中上健次の小説はどれも未読だが、映画では幾つか観た(『青春の殺人者』『火まつり』『千年の愉楽』等)。ザッツ中上と言えば二番目になるか。三番目のは近作で(高良健吾主演)、血にまつわるスキャンダラスな筋書は追えていたが空気感まではフィルムに捉えていない。殆ど説明のない(台詞も少ない)『火まつり』が忘れ難い。その他評論等で言及された中上論から作られた私的中上像を、見出そうと構えて芝居を観たが、正体不明の土着に踏み入れた作家と「向かい合う」のでなく、同じテーマに迫ろうとする作り手のベクトルを見出した事で、良しとした所がある。
舞台は紀州の新宮という地名が出てくるので南西部(中上所縁の熊野に近い)である。
母の手で育った路地の青年・秋幸(主人公)の実父は、かつて織田信長に協力し、後に対立して討死する浜村一族の末裔を自認する。秋幸にとって「悪」そのものである父の人物像は後半変化し、浜村一族の末裔としての自覚(?)へ向かうか否かという物語の線がある。一方、彼らが育ち様々な出来事が生起する「路地」は彼らの生活世界そのものであり歴史を形成しており、ところがこの路地を消失させる張本人が父であり、土地を取得して財を成す父は「皆は恨みを自分に向けるが、皆路地を出たいと思っている」と秋幸に言う。路地を愛した秋幸の葛藤は極まる。ところが旅から戻った秋幸が目撃したのは父の自死の瞬間であった・・筋を見て行くと相当な端折りがあり、小説ではどう書かれたのだろうと想像する時間がある(劇中ではナレーションで小説の文が読まれる)。あらゆる有機物質を分解する土壌のように猥雑さを許容する「路地」が、彼の屈折の源でありながらも包み込む母胎である、これを主題とすれば、父の浜村一族信仰は寄る辺に過ぎず、行動規範は近代の拡張主義のそれで、いずれ破綻を見るものである・・といった文明批評を読み取るのが作品の正しい読みだろうか。しかし舞台で見ると、織田信長に反旗を翻して戦わざるを得なかったという浜村一族の歴史紹介に始まり、その霊魂が超然と語ったりする。一方、秋幸の他にも二人の女を孕ませていたという父こそ路地の権化に思われ、浜村信仰に寄って行くべきは秋幸で、やがて父と対峙する、という図をなぞろうと劇を見ていた所もある。
が、そうした筋立ての問題はともかく、中上文学が発掘した太古に繋がる人間像に現代人である私は見入ってしまう。そこには理性がとらえがたい活力があり、逆に現代とは何なのかを捉え直す入口を示すようにも思われる。

しだれ咲き サマーストーム
あやめ十八番
吉祥寺シアター(東京都)
2019/07/19 (金) ~ 2019/07/24 (水)公演終了
満足度★★★★★
劇中劇ならぬ落語劇といった構成である。舞台は現代と江戸時代(吉原)が混然一体となっており、時代を行き来するといった時空間の往還ではない。噺家によって場面が自由自在に操られ、それが落語の世界なのか、噺の劇化なのか...実に不思議な世界観を築き上げており見事だ。同じ舞台に花魁姿の女性がいれば、現代ファッション?のyoutuberの女性も登場するが、不思議なことに違和感はない。
この世界観を支えているのが舞台美術だ。前に観た「ダズリング=デビュタント」の舞台美術も素晴らしかったことから、舞台造形には拘りがあるようだが…。
物語は、説明にある“嫐打ち”の漢字のような女・男・女の愛憎、また至芸への執念や嫉妬といった人間の業(ごう)などを、情感豊かに描き分ける巧みさ。上演時間は2時間35分(途中休憩10分)と長いが、飽きることなく集中して観られる秀作。
後日追記

『イリクラ』-2019-
カガミ想馬プロデュース
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2019/07/18 (木) ~ 2019/07/22 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/07/21 (日) 14:00
座席1階G列3番
価格5,500円
毎年観劇していますが今回の上演時間 なんと2:40 しかも途中休憩無し。
でも全くその長さを感じさせないストーリーと演出。
もっと観ていられるぞ 位の勢いです。
何度も再演されているにも関わらず色褪せないストーリー。
本当に素晴らしい作品でした。

カンザキ
ももちの世界
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2019/07/18 (木) ~ 2019/07/23 (火)公演終了
満足度★★★★★
ももちの世界「カンザキ」
初めて見る劇団だったけど面白かったなぁ〜^_^
淡々と人間を描くなぁ…役者さんの演技に何気ない会話がリアルな空間を作り上げていく
それでも物語からそれぞれの人間性が浮きぼりにされていく
時には心が痛くなったり
時には切なくなったり
色々な感情が入り乱れて、
グイグイと引き込まれて最後まで魅入ってしまった。
中でも神藤恭平(DanieLonely)さんとのたにかな子さんの演技がかなり印象的!
生きるとこの辛さ、幸せが垣間見える上質な作品
こんなお芝居観ると演劇って改めていいなぁと思える。

グッドピープル
株式会社NLT
博品館劇場(東京都)
2019/07/18 (木) ~ 2019/07/25 (木)公演終了
満足度★★★★
たのしい芝居見物だった。場所は銀座。三百人ほどのほぼ満席の客席は下北沢とはがらりと変わって、家族連れもいる老若男女、下町の町内会の観劇会の雰囲気である。
芝居は2011年のブロードウエイのアメリカ現代演劇。大衆劇的とはいっても、中身は現代アメリカ・ボストンの下層労働者階級の性差、上昇志向、人種差別、職業差別、地域差別、などを織り込んだかなり辛い内容なのだが、万国共通の彼らの、都合のいい話には乗りやすく、酒や賭博(ビンゴ)におぼれ、常に失業不安のある労働者たちの生活を喜劇的に描いて普遍性がある。(落語の庶民の世界である)
劇団のカラーにも合っていて、主演の戸田恵子、村上弘明、サヘル・ローズは客演ながら、脇を劇団の木村有里、阿知波悟美が支え、鵜山仁の演出も心得た出来で、幕間15分を挟んで2時間半、楽しんで見られる。中でも、戸田恵子は、こういう環境に育った女性の切なさ、可笑しさ、純な心情をテンポよく演じきっていて、この女優ならいつもの出来とは言うものの、得難い名演である。べとつかず、切れ味がよく、さっと変わるところがうまい。
対する、村上弘明。大劇場の商業演劇は経験があるだろうが、こういう中劇場でも、なかなかいい。成り上がった医者の役を、余り芝居で見せようとしないで、ガラで押さえているところも成功した。サヘル・ローズと高田翔の台詞が聞き取りにくいのはキャリアの差が出た。
しかし、こういう舞台で、客席が、素直に芝居を楽しんで、劇場全体が芝居の華で包まれ一つになって盛り上がる(幕内で芝居の神様が下りてきたと言うそうだが)のは、は非常に珍しい。商業演劇だけでなく、今の小劇場にも、公立劇場にもない、現代の芝居小屋のあり方を開いた老舗NLTの久々の大ヒットだろう。

口火きる、パトス
コロブチカ
live space anima【2020年4月をもって閉店】(東京都)
2019/07/13 (土) ~ 2019/07/18 (木)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/07/16 (火) 19:30
価格2,500円
周囲がひくほど理論武装したがる高校の弁論部長の初恋(?)・デート騒動記。
ラブコメあるある的な内容はどこか懐かしさが漂い(爆)ところどころ共感するし(更爆)、何よりコロさんの熱演で45分がアッという間。
終演後のゲキバカ・菊池さんを迎えての栃木・茨城談義も楽しかった。