最新の観てきた!クチコミ一覧

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両国花錦闘士(りょうごくおしゃれりきし)

両国花錦闘士(りょうごくおしゃれりきし)

東宝/ヴィレッヂ

明治座(東京都)

2020/12/05 (土) ~ 2020/12/23 (水)公演終了

原作知らずに行きました。
好きな役者さんや振付家だったんですが、わたしには合わなかったようです。

先生の暗いロッカー

先生の暗いロッカー

非・売れ線系ビーナス

ぽんプラザホール(福岡県)

2020/12/10 (木) ~ 2020/12/13 (日)公演終了

伏線が未回収で終わったような感じで、悪くはないんですが、もやっとはします。
セリフ回しや表情はいいです。

山田一家〜家族の在り方、有難さ。〜

山田一家〜家族の在り方、有難さ。〜

演劇集団ステージパラノーマル

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2020/12/17 (木) ~ 2020/12/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

内容はシンプルですが、泣けました。家族👨‍👨‍👧‍👦とは何かを、再認識させてくれます。もう一度見たい‼️

そらのいと

そらのいと

アンティークス

シアター711(東京都)

2020/12/16 (水) ~ 2020/12/21 (月)公演終了

満足度★★★★★

短編集でしたが、どれも良かったです!特に「15分間の奇跡」は涙腺が緩みました。もう二度と会えない人に、とても会いたくなりました。役者さん達の演技も良かったです。愛する人達を大切にしなくては、伝えたい事は伝えなくては・・と思いながら帰りました。心の温まる素敵な時間を過ごせました。

「その鱗 夜にこぼれて」

「その鱗 夜にこぼれて」

空宙空地

こまばアゴラ劇場(東京都)

2020/12/04 (金) ~ 2020/12/07 (月)公演終了

満足度★★★

切ないだけでした。

ネタバレBOX

普通の人が普通に生活していると、社会にインパクトを与えるような業績を上げるわけでもなく、知らないうちに年月が経ち老いていくという話。

正に私がそうです。

ボーっと生きているわけでもありませんが、たとえボーっと生きていたとしてもそれはそれで良いのであって、生きていること自体が尊いのだと思います。
紛争地域から生まれた演劇シリーズ12

紛争地域から生まれた演劇シリーズ12

公益社団法人 国際演劇協会 日本センター

東京芸術劇場アトリエウエスト(東京都)

2020/12/11 (金) ~ 2020/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

毎回情報を得た時には完売のパターンで2012年「第三世代」から数えて今回で鑑賞4度目であった。それぞれ興味深い内容で少なからずカルチャーショックを受けた事を思い出す。それを求めて普段は想像してみさえしない国・地域の演劇を観に行く。
さて1演目のみ上演の年は今回初めてで、芸劇アトリエでのリーディングという風情は変わらぬものの(主催側の構えも違う=一作入魂?という事なのか)1500円のリーディングならこの程度、という枠をかなり超えていた。小林七緒演出、彼女の所属劇団(流山児事務所)の常連でもある諏訪創が音楽をふんだんに提供し、これが最初現地での上演から借りたものと思った程異国情緒がネイティブ。キャストはその前提での布陣か、山﨑薫を始め、ソロでは井上加奈子等、群唱も迫力あり。音楽劇の趣きもあった。

イスラエル・ラビン首相の暗殺を題材にした演劇を、あるセンター(何等かの問題を抱えた人が集う施設)のメンバーによって上演される時間が、この芝居の時間である。冒頭、このリーディング上演と劇中劇上演を兼ねた開始の挨拶を演出小林女史(多分)が行なう。またこのリーディングの主催団体の担当者が、劇中の近い役に動員され「らしさ」が活きている。10名前後の役者も最高齢だろう藤井びん以下各年代にバラけ、キャラも各様で良い空気感である。・・と思ったのだが、どうやらそう感じたのは皆登場した後、台詞のない時間「出番の無い時に座る椅子」に座っていても「役」を演じ続けているからだ、と思い当る。細長いアトリエウエストに、一段高い木製の台がステージとして横長に置かれ、その向こう側に椅子が並び、役者、というより劇中の役者(センターのメンバー)が待機する場になるが、誰かが喋るとにやけたり、感情を表出したり、劇に割って入って止めたりする。彼らはこの演劇を自分たちの「問題への取り組み」の成果として一般の観客(それは市民であったり関係者、または行政担当者、あるいは政治家を想定しているかも知れない)に披露し、理解してもらおうという姿勢が滲んでいる。中断した演劇を再開したりそこで生じた事態に介入する際に観客に向かって説明を行う場面もある。
上演している現実の時間と、劇中の時間とは錯綜するものの、役名の札を下げたり演技モードが変わるため「劇中劇」との境目は判りやすい(事情に疎い観客には劇構造が飲み込みやすい事はとても重要)。
ラビン暗殺という結末に至る劇と、それを中断するメンバーによる自己主張がどのような言葉を紡ぎ具体的に何を問題にしているのかは判然としない。だが「首相」という役にしては彼に異を唱える者が多く、しかし「劇」は彼を肯定的に位置づけている事は判り、その役を演じるビンデル(藤井びん)個人は「首相」の立ち位置と同期している事も分かる(後で読んだ解説では劇作りを提案し主導したのはビンデル)。それがため首相と反首相派という劇中の関係のみならず現実(劇が止まった時間)でもビンデルが説得姿勢で相手と対峙する場面がある、というのも何となく。
そのあたりで漸く私はイスラエルで唯一「パレスチナとの対決姿勢を崩した」首相、即ちかのオスロ合意に調印した「和平に勇気をもって踏み出した英雄(恐らく作者にとって)」という史実に結びついた。なぜ彼は暗殺されたのか、この事実と今どう向き合うべきなのか・・この問いがこの劇の問いであり劇を上演するというシチュエーションにおける対話と事象を通して問おうとした問いである、(という風な状況が描かれている)と判る。
平和を望むイスラエル人が、その後再び訪れていない雪解けを無にした事件を痛恨の思いで振り返るのだろうその思いを、伝え想像させる熱量のある戯曲であった。
ラスト、首相を射殺する暗殺者役の若者は、実弾の入った銃で「ビンデル」を打ち殺す。戯曲の言葉を十分に追えていない自分には唐突な展開であるが、現実の社会にある対立構図はセンターの中にも拭い難くあり、ビンデルにとっての理想に近づく手段としての劇作りは、同じく理想に近づこうとしたラビンの行動と同質のものであり、ラビンが受けた「制裁」は当然にビンデルに与えられるというイスラエルの現実を映した。もっと想像を広げれば、ラビン元首相に言及する事それ自体がタブーなのかも知れない。日本にもタブーが随分と増えた気がする。

ネタバレBOX

個人的に特筆は、藤井びんに次いでベテランになるだろうか、井上加奈子女史には幾分思い入れがあったのだが、今回の上演で彼女が披露した胆の座った女性が発する低音の声に、私は釘づけになった。
個人的にと言っても大した話ではないが、演劇に興味を持ち始めた二十数年前にTV放映で見た永井愛作「時の物置」で、描かれた1961年(安保闘争に破れた市民が「経済」へと方向転換していく分岐点)で井上女史が演じた役は、不器用な長男(小さな同人誌を作っているがやがて「名声」に飢え有名作家に自作を売り込む行動に走る)と違って、割り切りよく町工場の経営者にくっついた「前向きな日本人」の典型である根アカな長女役だった。
井上女史の生の立ち姿を見たのはその十数年後になるか。アルカンパニーの公演で3本程観たどれも秀作だったが、女優井上氏の仕事はどこか控えめな印象。心のどこかで「芝居の世界」に魅入らせたかの作品を弾けた演技で彩った三女優(大西多摩恵、田岡美也子と共に)の近年の活躍を追っている所があり、中でもアルカンパニー絡みで身近に感じていた存在な訳であった。
さて今回は台本を持ちつつのリーディングとは言え実際の劇のように動く臨場感のある舞台、そして音楽。劇終盤、緊迫した状況での井上女史のソロは、センターのケアスタッフらしい立ち居振る舞いと声共々、存在感があった。そういう役どころであったとはいえ、作者が描こうとする絶望的なテーマの「深さ」を理解し体現する仕事は、誰もが担えるものではないかも知れない、という感じを持つ。厳しい状況の中で、その厳しさを認識しつつ強い心をもって立つ、という姿に、私は感動したのかも。。
リベラルである事や、人と社会に寛容さと公正を求める心、その生き方を一度潜る事がなければやれない、と言われるような領域に今はなっているのか、等と少々ネガティブな想像をした(よく芝居では極限状況を体現する難しさとして「戦争」が言われそうだが、今は「リベラルな心」の方が体現しにくい時代になりつつあるのではないか)。
エゴや本音を自ら露呈する(露悪)演技、誇張する演技の方が(ここ20年のお笑いの主流であるし)今時の役者は巧く、自分も舞台上のその弾け具合に笑っているように思うが、一方でいつしか霧消して行く途上にある領域がありそうだ。
最後に歩く道。

最後に歩く道。

TOKYOハンバーグ

座・高円寺1(東京都)

2020/12/09 (水) ~ 2020/12/15 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2020/12/14 (月)

このコロナ禍でペット業界は活況なのだそうだ。
動物好きとペット好きは必ずしもイコールではないと思っている。
「お金を出して買う人がいるから」みたいなセリフはとても共感できました。

残酷な現実や場面は婉曲的に表現をされていたように感じました。
社会派作品としての側面よりも動物愛護センターを舞台にした人間ドラマ、
といった印象の方が強いです。
(なので物語としてはとても観やすかった)

こういった問題提起はよい試みだと思いました。

人類史

人類史

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2020/10/23 (金) ~ 2020/11/03 (火)公演終了

身体表現で百万年単位の人類の進化を描いた第一幕が楽しかった(振付:エラ・ホチルド)。
詳しい目の感想:http://shinobutakano.com/2020/10/31/16933/

歳月/動員挿話【3/28-29公演中止】

歳月/動員挿話【3/28-29公演中止】

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2020/03/17 (火) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

岸田國士戯曲の2本立て公演。

ネタバレBOX

『歳月』は初めて拝見。女性が着替える着物、洋服がおしゃれ(過ぎ?)。物語は面白いが、演技は全体的に硬い印象。女中役が良かった。

『動員挿話』は何度か拝見している戯曲。戯曲にはない要素を付加して、それらを目立たせる演出の方向性が自分には合わなかった。

障子やふすまの枠を組んだ抽象美術で、格子のあいだに紙がないから透け感がある。
HOMO

HOMO

OrganWorks

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2020/03/06 (金) ~ 2020/03/08 (日)公演終了

スタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」から着想を得たというダンス作品。異なる種が交わり新たな種が誕生。生命爆発。約1時間経過したあたりの群舞に引き込まれた。上手奥の床で黒いコートを被って仰向けに寝る男性は死体?死神?などと想像。

ネタバレBOX

左右にスライドして稼働する、床から天井まで届く細長い真っ赤なパネル以外には、大がかりな装置はなし。150cm~250cmぐらいの高さの針金製っぽく見えるオブジェが、10~20個ぐらいほど舞台奥側にばらばらと並んでいた。揺れるオブジェをさまざまに見立てられた。
大地【6/20から初日延期】

大地【6/20から初日延期】

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2020/07/01 (水) ~ 2020/08/08 (土)公演終了

(Social Distancing Version)と名付けられたとおり、出演者らが近づきすぎない工夫が凝らされた演出だった。有名俳優の個性や持ち味を生かす人物像、背景、出番が用意されていて、ドタバタ喜劇のように声を出して笑える場面も多い。とはいえ設定はシリアスで、苦みも残る物語だった。
詳しい目の感想:http://shinobutakano.com/2020/07/13/16155/

通りすがりのYouTuber

通りすがりのYouTuber

ジェットラグ

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2020/12/09 (水) ~ 2020/12/16 (水)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/12/15 (火) 19:00

チラシ裏に載ってた粗筋のようなものとは全然違うお話でしたが、予想よりもっとずっと深みのある内容で大満足。途中、小難しい演劇論も交えながら、最後は親子の絆を取り戻し、姉弟が精神的に大きく成長するという人間ドラマが展開。ジャニーズが中心になって作っているステージは、将来お母さんになる人へのメッセージが込められてるような気がしますが、この作品も例にもれず。ちょっとポップなバージョンのトラッシュマスターズでもあったかな。

レディ・ア・ゴーゴー!! 2020

レディ・ア・ゴーゴー!! 2020

LIVEDOG

新宿村LIVE(東京都)

2020/12/05 (土) ~ 2020/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

OPダンスは泣けました。
新型コロナウイルスの影響でプロローグはビニールシートが付いていて、台詞が聞き取れない所があり、もったえなかったです。

炎の人【公演中止(02/28~ 02/29)】

炎の人【公演中止(02/28~ 02/29)】

劇団文化座

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2020/02/20 (木) ~ 2020/02/29 (土)公演終了

三好十郎の1951年初演戯曲。老若男女の出演者がそろう老舗劇団ならではの贅沢な公演で、演出は鵜山仁さん。

絵画のキャンバスのようなパネルを組み立てていく舞台美術で、教会、アトリエ、画廊、ゴッホがゴーギャンと暮らした家などに場面転換する。19世紀半ばのヨーロッパの時代背景がわかる、具象の衣装とヘアメイクも凝っている。戯曲の世界観を丹念に立ち上げる群像劇になっていた。

ネタバレBOX

昨年の『アニマの海』でも特に印象に残っていた、ゴッホ役の藤原章寛さんが素晴らしかった。しばしば「狂気」と称されるゴッホの激しさが、一人の人間のありようとして受け入れられた。舞台上に誰もおらず、藤原さんの独白音声のみが流れる場面でも、ゴッホの心境の変化がありありと伝わった。娼婦シィヌ役の小川沙織さんもむき出しの純粋さに説得力があり、魅力的だった。

死んだゴッホに贈る長い独白は、おそらく三好十郎自身の言葉。出演者がかわるがわる、一部分ずつ分担して語っていくラストは私好みではなかった。祝祭劇にしなくてもよかったのでは。
ピーター&ザ・スターキャッチャー

ピーター&ザ・スターキャッチャー

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2020/12/05 (土) ~ 2020/12/27 (日)公演終了

満足度★★

新国が世間離れしているのは今に始まったことではないが、これだけ外されると唖然とするしかない。子供と見る演劇を作って、演劇普及するという触れ込みだが、私が見た回は子供が一人もいなかった。高校生らしい生徒もいない。学校休校で授業が詰まっている今、よほど自由の利く私立学校以外芝居見物などしていられないだろう。まだ冬休みも始まっていない。新国がその建前に自己陶酔して勝手にやっているだけなのである。
作品の選択もわからない。ピーターパンが子供の世界に普及している英米ならともかく、フライイングのピータンパンを見た生徒ですら、このストーリーは楽しめないだろう。
子供のための演劇が難しいのはわかっている。学校の団体観劇が不人気なのも知っている。しかし、その中で、円の「お化けりんご」のような傑作も出てくるので、思い付きだけでは周囲も迷惑、客席も半分がやっとで、楽しんでもいない。確か円はスタジオの近所の学校の生徒を必ず招待していたように覚えている。せめてそこが児童を扱う原点だろう。
芝居を見ると、込み入った筋の割にまとまりは悪くはなく、ノゾエは意外に商業劇場も行けるのでは・・と思ったが、子供抜きで大人だけで芝居として見ろ、と言われるとつらい。主演のピーターの入野白由とモリーの豊原江理佳は歌もまずまずで柄があっている。ミュージカル仕立てでそこはさすがアメリカでそつなくいい曲が揃っていて、そこではちゃんと子供と大人の観客が読み込まれていた。

ガールズ・イン・クライシス

ガールズ・イン・クライシス

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2020/12/04 (金) ~ 2020/12/16 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/12/15 (火) 19:00

座席F列11番

まあ表現(舞台装置から衣装、演出)がかなり誇張されているので、何かとんでもない話(不条理劇)のような気がするけれど、主人公の行動原理とその周辺の人物が陥る状況を整理してみれば、かなり辛辣な風刺劇、自己啓発あるいは自立成長礼賛への批判劇と言うか、かなりスパイシーな現代喜劇か。
 イプセンの「人形の家」が嫌い、というかノラに何の共感もしない、ただのエゴイストじゃない、という評価の人が割といます。(そう感じます)女性の自律を、当時の封建的な家族関係の中で高らかに訴えかけた、というのが、日本の明治期以降、早稲田演劇を中心になされてきた解釈ですが、本当にそうなの、という素朴な疑問です。
 まあ、日本に限らずアメリカでもフェミニズム運動の象徴として、ジェーン・フォンダなどは嬉々として「人形の家」の映画化に乗っていましたからねえ。(今となっては、彼女のフィルモグラフィーとして語られることはまずない)
 でも、イプセン自身にそのような意図があったのかと言われれば、これは謎。
 この「ガール・イン・クライシス」は、ダーク版「人形の家」あるいは、突き抜けるとこういうことなのよ版と言えまいか。
 

ネタバレBOX

まあ、ベイビーという名前からして、おつむの足りないカワイ子ちゃん、あるいは駄々をこねる赤ん坊の意ではないか。彼女の状況はノラのそれとは違い、現代プチブル主婦の理想像なのだが、突然にその日常に飽き足らなくなり、その原因を周囲にいる生身の人間たちのせいだとして、自立を訴える。ただ、欲しいものは欲しい、という自律心はないので、性欲も物欲も満たしたい、人を自由にしてみたいということで、人形を手に入れる。しかし、人形は、自由にはなるが、彼女に奉仕はしてくれない。その不満は、小さな幸せで満たされる親友に向けられ、哀れ彼女とその子の殺害に。ひいては、人間であり彼女の身辺にいることを望んだ(当初は彼女をコントロールして、元の生活に戻そうとするが、ミイラ取りがミイラになって)夫や愛人の人形を、その心情や立場を想像だになく破壊する。
 登場する殺人集団も、彼女を身内として迎え入れようと誘うが、ベイビーには彼らと自らの違いも判らない。彼らは理由や動機がない生活、自律できない生活が何を招くかの象徴であったのに。(彼らは自らの居場所を求めながら、それと他の場所との違いに気付かず、自ら焼き払ってしまう愚かさをもって、自らの存在証明をなす)
 終始、うろたえてばかりでなす術のないのべイビーの母親、これは彼女の道徳律?
獄窓の雪―帝銀事件―

獄窓の雪―帝銀事件―

ISAWO BOOKSTORE

サンモールスタジオ(東京都)

2020/12/15 (火) ~ 2020/12/20 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/12/15 (火)

価格4,000円

出演者のお一人、上田尋さんに「おととい来やがれ!(劇中のセリフ)」と言われる前にw 15日19時開演回(115分)を拝見。

その上田さんの他
『旅とあいつとお姫さま』『二輪草』の若松力(ちから)さん
殿様ランチの板垣雄亮さん
といった既知のお三方
そしてお初の皆さんが構築する115分の社会派ドラマは、とても歯応えがあった。

ただ、杞憂を承知で言うと、当日パンフや劇中の説明だけで、帝銀事件はさておき、七三一部隊とかの事情を、若い観客が理解出来たかなぁ?とも感じたことを付記しておく。

演技陣では、生き残った銀行員の一人を演じた石井玲歌さんが、髪型?衣装?佇まい?のためか、事件当時(1948)の新しい日本人像を体現しているかのように感じられ、とても好感が持てた。

ネタバレBOX

【配役】
平沢犯人説に懐疑的な新聞記者・竹内(本作における狂言回し)
…若松力さん
唯一、平沢は犯人とは違うと証言する生き残った銀行員・村田正子氏
…石井玲歌さん
正子氏の母親・トキ(本作唯一の架空設定の人物)…上田尋さん
弁護士・山田…児島功一さん
検事・高木…板垣雄亮さん(どこかで聞き覚えのある声…殿様ランチの方だぁ!)
吉田支店長代理…菊池敏弘さん
刑事・居木井…モリタモリオさん
生き残った銀行員・田中…松田真織さん
生き残った銀行員・芳子…優木千央(ゆうき・ちひろ)さん
平沢貞通氏…加藤忠可さん
裁判長(声)…高橋いさをさん
23階の笑い

23階の笑い

シス・カンパニー

世田谷パブリックシアター(東京都)

2020/12/05 (土) ~ 2020/12/27 (日)公演終了

満足度★★★★

もう何度も上演されているニールサイモンの本だが、大きな劇場では初めてか。
自らが放送作家時代だった経験をもとに書かれた構成作家・コント作家部屋を舞台にしたコメディだ。時代に遅れそうになってきたコメディアンを軸にした90分のショーが次第に短縮され、打ち切りを迫られる。そこまでの作家たちの仕事場・事務所の人間模様である。参加したばかりの新人(瀬戸康史)作家の語りで進む。いつまでもロシア訛りが抜けないヴァル(山崎一)中堅作家の気取り屋のミルト(吉原光夫)、さっさと見切りをつけてハリウッドへ行って成功するブライアン(鈴木浩介)、天才少年と言われたコント作家のケニー(浅野和之)、ただ一人の女流作家のキャロル(松岡美優)、いつも遅刻しては大げさな言い訳をするアイラ(梶原善)と多彩なキャラの作家たちが、軸になるコメディアン・マックス(小手伸也)のブレーンとして働いている。マックスの得意芸がギリシャ・ローマの史劇ネタというシーンもあって、懐かしいバックステージものの空気が伝わってくる。舞台としては、集団劇を狙っているので、マックスも物語が進む軸のひとつにすぎず、人生誰もが味わう働く仲間の一時期の哀歓のドラマである。ワサビは赤狩りがネタになるところだろうが、映画はともかくこの時代のテレビはあまり眼中になかったんじゃないか。それはいいのだが、やはりショーは放送局との力関係も、俳優事務所も一種の権力の構造で出来ているから、そこでは人間模様の面白さとはぎくしゃくする。ドラマのつくりが喜劇だから、その齟齬はあまり目立たないし、三谷幸喜も手練れだから2時間足らず、それぞれの俳優のガラが生かされた芝居を楽しめる。浅野和之や梶原善が健闘。小手伸也は懸命に話の軸をつとめている。懐かしいクリスマス観劇にはいい芝居だが、まさかのの囲い付きの客席では弾まない。

ネタバレBOX

ラスト。一杯セットだった事務所全体が、舞台奥の闇に引っ込んでいき、現れた夜の街灯のもとに登場人物が揃ってカーテンコールになるが、ここは中劇場のクリスマスの舞台らしく、なかなかよかった。
AO

AO

立教大学演劇研究会

立教大学SPF公式YouTubeチャンネル(東京都)

2020/11/03 (火) ~ 2020/11/30 (月)公演終了

満足度★★★★★

 2度目である。1度目はディストピア作品の傑作、という印象を持ったが

ネタバレBOX

2度目は、女性の持つ恋する命としての特徴を見事に描いた傑作抒情作品ととった。様々な角度から観ることができるという点でも素晴らしい。
ガールズ・イン・クライシス

ガールズ・イン・クライシス

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2020/12/04 (金) ~ 2020/12/16 (水)公演終了

満足度★★★★

文学座らしくなくて面白いよ、という評判を聞いてあまり予備知識なく寒空のアトリエへ。
コロナ下のせいか当日ビラも配役表も、もちろんパンフもない。ドイツの作品(2017?)という事はわかったが、余っていたチラシをもらうと、ここにも文学座らしからぬキッチュなタッチで男女の裸が躍っている。東欧の作品らしいエゲツなさもあって文学座としては珍しい演目だ。アトリエ70周年記念公演、とか日独協会の後援とか、大いに力は入っているらしい。演出は新進の生田みゆき。
ドイツのキワモノというと、時代は違うが、猥雑さと切迫した環境で書かれたでドルーテンの「キャバレー」を連想する。
内容は、男はうざいばかりで満足できないベイビー(鹿野真央)が、友人のデブで男にうぶなドリー(吉野美紗)と、思い通りになる男の人形(亀田佳明、木場尤視)と共に、金沢映子と横田栄司の狂言回しで、現代地獄巡りをするという筋の中で、「人間の欲望、エゴ、差別意識、群集心理をファンタジックに描く」(チラシ)という80分だ。ストーリーも登場人物たちもすべて男女三人づつの俳優で演じるのであまり筋を追っても仕方がない。役の設定にも母娘の関係や犯罪友の会のメンバーなどまるでよくわからないグループの登場などもあって、どんどん進む割には、気分は渋滞する。
俳優も、鹿野真央も亀田佳明も熱演だが、弾まない。文学座としては色変わりだが、こういう一種の不条理劇は文学座も日本の演劇も経験がないわけではない。別役実やケラリーノ・サンドロヴィッチがすでに扱っている領域である。その経験がうまく生かせていないのが残念なところだが、こういう戯曲を発掘して、このところすぐれた演出家を次々デビューさせている文学座の若い女性演出家で、見られたのは来年に期待を持たせる年末のいい企画であった。


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