
両国花錦闘士(りょうごくおしゃれりきし)
東宝/ヴィレッヂ
明治座(東京都)
2020/12/05 (土) ~ 2020/12/23 (水)公演終了

先生の暗いロッカー
非・売れ線系ビーナス
ぽんプラザホール(福岡県)
2020/12/10 (木) ~ 2020/12/13 (日)公演終了

山田一家〜家族の在り方、有難さ。〜
演劇集団ステージパラノーマル
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2020/12/17 (木) ~ 2020/12/20 (日)公演終了

そらのいと
アンティークス
シアター711(東京都)
2020/12/16 (水) ~ 2020/12/21 (月)公演終了
満足度★★★★★
短編集でしたが、どれも良かったです!特に「15分間の奇跡」は涙腺が緩みました。もう二度と会えない人に、とても会いたくなりました。役者さん達の演技も良かったです。愛する人達を大切にしなくては、伝えたい事は伝えなくては・・と思いながら帰りました。心の温まる素敵な時間を過ごせました。

「その鱗 夜にこぼれて」
空宙空地
こまばアゴラ劇場(東京都)
2020/12/04 (金) ~ 2020/12/07 (月)公演終了

紛争地域から生まれた演劇シリーズ12
公益社団法人 国際演劇協会 日本センター
東京芸術劇場アトリエウエスト(東京都)
2020/12/11 (金) ~ 2020/12/13 (日)公演終了
満足度★★★★
毎回情報を得た時には完売のパターンで2012年「第三世代」から数えて今回で鑑賞4度目であった。それぞれ興味深い内容で少なからずカルチャーショックを受けた事を思い出す。それを求めて普段は想像してみさえしない国・地域の演劇を観に行く。
さて1演目のみ上演の年は今回初めてで、芸劇アトリエでのリーディングという風情は変わらぬものの(主催側の構えも違う=一作入魂?という事なのか)1500円のリーディングならこの程度、という枠をかなり超えていた。小林七緒演出、彼女の所属劇団(流山児事務所)の常連でもある諏訪創が音楽をふんだんに提供し、これが最初現地での上演から借りたものと思った程異国情緒がネイティブ。キャストはその前提での布陣か、山﨑薫を始め、ソロでは井上加奈子等、群唱も迫力あり。音楽劇の趣きもあった。
イスラエル・ラビン首相の暗殺を題材にした演劇を、あるセンター(何等かの問題を抱えた人が集う施設)のメンバーによって上演される時間が、この芝居の時間である。冒頭、このリーディング上演と劇中劇上演を兼ねた開始の挨拶を演出小林女史(多分)が行なう。またこのリーディングの主催団体の担当者が、劇中の近い役に動員され「らしさ」が活きている。10名前後の役者も最高齢だろう藤井びん以下各年代にバラけ、キャラも各様で良い空気感である。・・と思ったのだが、どうやらそう感じたのは皆登場した後、台詞のない時間「出番の無い時に座る椅子」に座っていても「役」を演じ続けているからだ、と思い当る。細長いアトリエウエストに、一段高い木製の台がステージとして横長に置かれ、その向こう側に椅子が並び、役者、というより劇中の役者(センターのメンバー)が待機する場になるが、誰かが喋るとにやけたり、感情を表出したり、劇に割って入って止めたりする。彼らはこの演劇を自分たちの「問題への取り組み」の成果として一般の観客(それは市民であったり関係者、または行政担当者、あるいは政治家を想定しているかも知れない)に披露し、理解してもらおうという姿勢が滲んでいる。中断した演劇を再開したりそこで生じた事態に介入する際に観客に向かって説明を行う場面もある。
上演している現実の時間と、劇中の時間とは錯綜するものの、役名の札を下げたり演技モードが変わるため「劇中劇」との境目は判りやすい(事情に疎い観客には劇構造が飲み込みやすい事はとても重要)。
ラビン暗殺という結末に至る劇と、それを中断するメンバーによる自己主張がどのような言葉を紡ぎ具体的に何を問題にしているのかは判然としない。だが「首相」という役にしては彼に異を唱える者が多く、しかし「劇」は彼を肯定的に位置づけている事は判り、その役を演じるビンデル(藤井びん)個人は「首相」の立ち位置と同期している事も分かる(後で読んだ解説では劇作りを提案し主導したのはビンデル)。それがため首相と反首相派という劇中の関係のみならず現実(劇が止まった時間)でもビンデルが説得姿勢で相手と対峙する場面がある、というのも何となく。
そのあたりで漸く私はイスラエルで唯一「パレスチナとの対決姿勢を崩した」首相、即ちかのオスロ合意に調印した「和平に勇気をもって踏み出した英雄(恐らく作者にとって)」という史実に結びついた。なぜ彼は暗殺されたのか、この事実と今どう向き合うべきなのか・・この問いがこの劇の問いであり劇を上演するというシチュエーションにおける対話と事象を通して問おうとした問いである、(という風な状況が描かれている)と判る。
平和を望むイスラエル人が、その後再び訪れていない雪解けを無にした事件を痛恨の思いで振り返るのだろうその思いを、伝え想像させる熱量のある戯曲であった。
ラスト、首相を射殺する暗殺者役の若者は、実弾の入った銃で「ビンデル」を打ち殺す。戯曲の言葉を十分に追えていない自分には唐突な展開であるが、現実の社会にある対立構図はセンターの中にも拭い難くあり、ビンデルにとっての理想に近づく手段としての劇作りは、同じく理想に近づこうとしたラビンの行動と同質のものであり、ラビンが受けた「制裁」は当然にビンデルに与えられるというイスラエルの現実を映した。もっと想像を広げれば、ラビン元首相に言及する事それ自体がタブーなのかも知れない。日本にもタブーが随分と増えた気がする。

最後に歩く道。
TOKYOハンバーグ
座・高円寺1(東京都)
2020/12/09 (水) ~ 2020/12/15 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2020/12/14 (月)
このコロナ禍でペット業界は活況なのだそうだ。
動物好きとペット好きは必ずしもイコールではないと思っている。
「お金を出して買う人がいるから」みたいなセリフはとても共感できました。
残酷な現実や場面は婉曲的に表現をされていたように感じました。
社会派作品としての側面よりも動物愛護センターを舞台にした人間ドラマ、
といった印象の方が強いです。
(なので物語としてはとても観やすかった)
こういった問題提起はよい試みだと思いました。

人類史
KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)
2020/10/23 (金) ~ 2020/11/03 (火)公演終了
身体表現で百万年単位の人類の進化を描いた第一幕が楽しかった(振付:エラ・ホチルド)。
詳しい目の感想:http://shinobutakano.com/2020/10/31/16933/

歳月/動員挿話【3/28-29公演中止】
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2020/03/17 (火) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

HOMO
OrganWorks
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2020/03/06 (金) ~ 2020/03/08 (日)公演終了
スタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」から着想を得たというダンス作品。異なる種が交わり新たな種が誕生。生命爆発。約1時間経過したあたりの群舞に引き込まれた。上手奥の床で黒いコートを被って仰向けに寝る男性は死体?死神?などと想像。

大地【6/20から初日延期】
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2020/07/01 (水) ~ 2020/08/08 (土)公演終了
(Social Distancing Version)と名付けられたとおり、出演者らが近づきすぎない工夫が凝らされた演出だった。有名俳優の個性や持ち味を生かす人物像、背景、出番が用意されていて、ドタバタ喜劇のように声を出して笑える場面も多い。とはいえ設定はシリアスで、苦みも残る物語だった。
詳しい目の感想:http://shinobutakano.com/2020/07/13/16155/

通りすがりのYouTuber
ジェットラグ
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2020/12/09 (水) ~ 2020/12/16 (水)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/12/15 (火) 19:00
チラシ裏に載ってた粗筋のようなものとは全然違うお話でしたが、予想よりもっとずっと深みのある内容で大満足。途中、小難しい演劇論も交えながら、最後は親子の絆を取り戻し、姉弟が精神的に大きく成長するという人間ドラマが展開。ジャニーズが中心になって作っているステージは、将来お母さんになる人へのメッセージが込められてるような気がしますが、この作品も例にもれず。ちょっとポップなバージョンのトラッシュマスターズでもあったかな。

レディ・ア・ゴーゴー!! 2020
LIVEDOG
新宿村LIVE(東京都)
2020/12/05 (土) ~ 2020/12/13 (日)公演終了
満足度★★★★
OPダンスは泣けました。
新型コロナウイルスの影響でプロローグはビニールシートが付いていて、台詞が聞き取れない所があり、もったえなかったです。

炎の人【公演中止(02/28~ 02/29)】
劇団文化座
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2020/02/20 (木) ~ 2020/02/29 (土)公演終了
三好十郎の1951年初演戯曲。老若男女の出演者がそろう老舗劇団ならではの贅沢な公演で、演出は鵜山仁さん。
絵画のキャンバスのようなパネルを組み立てていく舞台美術で、教会、アトリエ、画廊、ゴッホがゴーギャンと暮らした家などに場面転換する。19世紀半ばのヨーロッパの時代背景がわかる、具象の衣装とヘアメイクも凝っている。戯曲の世界観を丹念に立ち上げる群像劇になっていた。

ピーター&ザ・スターキャッチャー
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2020/12/05 (土) ~ 2020/12/27 (日)公演終了
満足度★★
新国が世間離れしているのは今に始まったことではないが、これだけ外されると唖然とするしかない。子供と見る演劇を作って、演劇普及するという触れ込みだが、私が見た回は子供が一人もいなかった。高校生らしい生徒もいない。学校休校で授業が詰まっている今、よほど自由の利く私立学校以外芝居見物などしていられないだろう。まだ冬休みも始まっていない。新国がその建前に自己陶酔して勝手にやっているだけなのである。
作品の選択もわからない。ピーターパンが子供の世界に普及している英米ならともかく、フライイングのピータンパンを見た生徒ですら、このストーリーは楽しめないだろう。
子供のための演劇が難しいのはわかっている。学校の団体観劇が不人気なのも知っている。しかし、その中で、円の「お化けりんご」のような傑作も出てくるので、思い付きだけでは周囲も迷惑、客席も半分がやっとで、楽しんでもいない。確か円はスタジオの近所の学校の生徒を必ず招待していたように覚えている。せめてそこが児童を扱う原点だろう。
芝居を見ると、込み入った筋の割にまとまりは悪くはなく、ノゾエは意外に商業劇場も行けるのでは・・と思ったが、子供抜きで大人だけで芝居として見ろ、と言われるとつらい。主演のピーターの入野白由とモリーの豊原江理佳は歌もまずまずで柄があっている。ミュージカル仕立てでそこはさすがアメリカでそつなくいい曲が揃っていて、そこではちゃんと子供と大人の観客が読み込まれていた。

ガールズ・イン・クライシス
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2020/12/04 (金) ~ 2020/12/16 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/12/15 (火) 19:00
座席F列11番
まあ表現(舞台装置から衣装、演出)がかなり誇張されているので、何かとんでもない話(不条理劇)のような気がするけれど、主人公の行動原理とその周辺の人物が陥る状況を整理してみれば、かなり辛辣な風刺劇、自己啓発あるいは自立成長礼賛への批判劇と言うか、かなりスパイシーな現代喜劇か。
イプセンの「人形の家」が嫌い、というかノラに何の共感もしない、ただのエゴイストじゃない、という評価の人が割といます。(そう感じます)女性の自律を、当時の封建的な家族関係の中で高らかに訴えかけた、というのが、日本の明治期以降、早稲田演劇を中心になされてきた解釈ですが、本当にそうなの、という素朴な疑問です。
まあ、日本に限らずアメリカでもフェミニズム運動の象徴として、ジェーン・フォンダなどは嬉々として「人形の家」の映画化に乗っていましたからねえ。(今となっては、彼女のフィルモグラフィーとして語られることはまずない)
でも、イプセン自身にそのような意図があったのかと言われれば、これは謎。
この「ガール・イン・クライシス」は、ダーク版「人形の家」あるいは、突き抜けるとこういうことなのよ版と言えまいか。

獄窓の雪―帝銀事件―
ISAWO BOOKSTORE
サンモールスタジオ(東京都)
2020/12/15 (火) ~ 2020/12/20 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/12/15 (火)
価格4,000円
出演者のお一人、上田尋さんに「おととい来やがれ!(劇中のセリフ)」と言われる前にw 15日19時開演回(115分)を拝見。
その上田さんの他
『旅とあいつとお姫さま』『二輪草』の若松力(ちから)さん
殿様ランチの板垣雄亮さん
といった既知のお三方
そしてお初の皆さんが構築する115分の社会派ドラマは、とても歯応えがあった。
ただ、杞憂を承知で言うと、当日パンフや劇中の説明だけで、帝銀事件はさておき、七三一部隊とかの事情を、若い観客が理解出来たかなぁ?とも感じたことを付記しておく。
演技陣では、生き残った銀行員の一人を演じた石井玲歌さんが、髪型?衣装?佇まい?のためか、事件当時(1948)の新しい日本人像を体現しているかのように感じられ、とても好感が持てた。

23階の笑い
シス・カンパニー
世田谷パブリックシアター(東京都)
2020/12/05 (土) ~ 2020/12/27 (日)公演終了
満足度★★★★
もう何度も上演されているニールサイモンの本だが、大きな劇場では初めてか。
自らが放送作家時代だった経験をもとに書かれた構成作家・コント作家部屋を舞台にしたコメディだ。時代に遅れそうになってきたコメディアンを軸にした90分のショーが次第に短縮され、打ち切りを迫られる。そこまでの作家たちの仕事場・事務所の人間模様である。参加したばかりの新人(瀬戸康史)作家の語りで進む。いつまでもロシア訛りが抜けないヴァル(山崎一)中堅作家の気取り屋のミルト(吉原光夫)、さっさと見切りをつけてハリウッドへ行って成功するブライアン(鈴木浩介)、天才少年と言われたコント作家のケニー(浅野和之)、ただ一人の女流作家のキャロル(松岡美優)、いつも遅刻しては大げさな言い訳をするアイラ(梶原善)と多彩なキャラの作家たちが、軸になるコメディアン・マックス(小手伸也)のブレーンとして働いている。マックスの得意芸がギリシャ・ローマの史劇ネタというシーンもあって、懐かしいバックステージものの空気が伝わってくる。舞台としては、集団劇を狙っているので、マックスも物語が進む軸のひとつにすぎず、人生誰もが味わう働く仲間の一時期の哀歓のドラマである。ワサビは赤狩りがネタになるところだろうが、映画はともかくこの時代のテレビはあまり眼中になかったんじゃないか。それはいいのだが、やはりショーは放送局との力関係も、俳優事務所も一種の権力の構造で出来ているから、そこでは人間模様の面白さとはぎくしゃくする。ドラマのつくりが喜劇だから、その齟齬はあまり目立たないし、三谷幸喜も手練れだから2時間足らず、それぞれの俳優のガラが生かされた芝居を楽しめる。浅野和之や梶原善が健闘。小手伸也は懸命に話の軸をつとめている。懐かしいクリスマス観劇にはいい芝居だが、まさかのの囲い付きの客席では弾まない。

AO
立教大学演劇研究会
立教大学SPF公式YouTubeチャンネル(東京都)
2020/11/03 (火) ~ 2020/11/30 (月)公演終了

ガールズ・イン・クライシス
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2020/12/04 (金) ~ 2020/12/16 (水)公演終了
満足度★★★★
文学座らしくなくて面白いよ、という評判を聞いてあまり予備知識なく寒空のアトリエへ。
コロナ下のせいか当日ビラも配役表も、もちろんパンフもない。ドイツの作品(2017?)という事はわかったが、余っていたチラシをもらうと、ここにも文学座らしからぬキッチュなタッチで男女の裸が躍っている。東欧の作品らしいエゲツなさもあって文学座としては珍しい演目だ。アトリエ70周年記念公演、とか日独協会の後援とか、大いに力は入っているらしい。演出は新進の生田みゆき。
ドイツのキワモノというと、時代は違うが、猥雑さと切迫した環境で書かれたでドルーテンの「キャバレー」を連想する。
内容は、男はうざいばかりで満足できないベイビー(鹿野真央)が、友人のデブで男にうぶなドリー(吉野美紗)と、思い通りになる男の人形(亀田佳明、木場尤視)と共に、金沢映子と横田栄司の狂言回しで、現代地獄巡りをするという筋の中で、「人間の欲望、エゴ、差別意識、群集心理をファンタジックに描く」(チラシ)という80分だ。ストーリーも登場人物たちもすべて男女三人づつの俳優で演じるのであまり筋を追っても仕方がない。役の設定にも母娘の関係や犯罪友の会のメンバーなどまるでよくわからないグループの登場などもあって、どんどん進む割には、気分は渋滞する。
俳優も、鹿野真央も亀田佳明も熱演だが、弾まない。文学座としては色変わりだが、こういう一種の不条理劇は文学座も日本の演劇も経験がないわけではない。別役実やケラリーノ・サンドロヴィッチがすでに扱っている領域である。その経験がうまく生かせていないのが残念なところだが、こういう戯曲を発掘して、このところすぐれた演出家を次々デビューさせている文学座の若い女性演出家で、見られたのは来年に期待を持たせる年末のいい企画であった。